はじめてWEBエキスパート(専門家)コラム 色彩とコミュニケーション(全6回)

デザイン外注で「コレジャナイ」結果にならない配色指示のポイント――色彩とコミュニケーション#6

デザインを外注する場合に準備しておくべき情報やその伝え方などをまとめます。適切な指示は成果物のクオリティに直接影響するものです。
※「はじめてWEB」は2020年10月13日をもってサービスを終了しました。

自分のデザインに限界を感じたり、業務が忙しくて制作を外部に委託したりする場合、色に関する指示が抽象的であれば、希望通りのデザインができあがる確率は減ってしまい、それが制作業者への不信感に変わったりもします。適切な指示は成果物のクオリティに直接影響するものです。デザインを外注する場合に準備しておくべき情報やその伝え方などをまとめます。

色の使い方のルールを伝える

ロゴマークなどの色に規定はあるか

会社によっては、ロゴマークの色の使い方に規定がある場合もあります。その色を画面上で表示するときにはこの数値で、印刷の時にはこの数値でのようにルールがある場合には、それに従う必要があります。

制作会社からロゴデータの支給を希望された場合には、合わせて会社のロゴにルールがあるのかどうかを確認し、存在するならばそのルールも合わせて提出するようにしましょう。場合によっては色を変えてもよい場合もありますし、背景色と反転させて白抜きで使うことが許可されていることもあります。

twitterのロゴの規定
元の青や白抜きであれば使えるが形を変えることや色を変えてはいけないことがわかる

ロゴの色を元に配色することも多く、ルールをきちんと伝えておかなければ、誤った配色を行われる可能性もあります。重要な色を変更しなければならない場合には、全体の配色バランスを見直さなければならないことも多いため、きちんとしたルールを把握し、忘れずに外注先に伝えるようにしましょう。

具体的な言葉でイメージを伝える

何らかの物に例える

色に関する情報を伝える場合、一番簡単なのは実物で示すことです。同じ色でも質感が異なったりしますので、青とか緑という言葉だけでは伝える側と伝えられる側の主観や好みによって、齟齬をきたすこともあります。

例えば緑を例に考えてみましょう。同じ緑であっても、新芽のような明るい黄緑を指すこともありますし、うっそうとした針葉樹林のような暗い青みがかった緑を指すこともあります。森のような緑のように絞り込んだとしても、同じ色のイメージを共有できるとは限りません。このような色のイメージを上手く伝え、共有することができない場合には、デザインを作成にも、チェックするにも無用な工数が掛かってしまいます。

同じ呼び方の色でもその幅は広い。常に具体的に指示することが重要

非常口の看板に使われている緑やファミリーマートの看板のような緑のように、具体的な物で表すことができるなら、イメージの伝達はかなり容易になります。その分細部のデザインに時間を使えることになるので、使いたい色をできるだけ丁寧に説明することを第一に心掛けましょう。

実物がない場合には写真のこの部分の色という表現も可能です。

写真の一部で色を指定することもできる

色の分量を伝える

例えば「落ち着いた固い印象」を与えたい時に使いたい色は、どちらかというと暗い色を選ぶことになります。しかし、これが画面のごく一部にだけ使われており、背景色が白であるならば、すっきりとした明るい印象になるかもしれませんが、「落ち着いた固い印象」にはなりません。

同じ色であっても、色を多く使えばその分目に入りやすくなり、与える印象も強くなります。また派手な強い色であっても、小さく使えばそれほど派手と感じられないこともあります。色のイメージを伝えるためには、使いたい色をどのくらい多く使いたいかを考えることも必要です。

色の印象は使われる分量に大きく左右されるため、色を多く使って「色の印象を強く与えたい」「色をしっかり使ってほしい」のか、そうでないのかを伝えておくとデザイナーも作業しやすくなります。

色の印象をしっかり出したいかどうかを伝えることも重要

しっかりとコミュニケーションを取る

「色彩とコミュニケーション」というテーマで6回にわたってお送りした連載も最終回になりましたが、色そのもので伝えることも、色を選ぶために誰かと話すこともコミュニケーションの一つです。

色にまつわるコミュニケーション

今選んでいる色にどのような意味があるのか、その意味はきちんと伝わっているのか、デザイナーが適切にデザインしてくれたかどうか、そしてその色の目的が達成されたのかを、個人の好みや主観にとらわれず考えることを最優先とします。色選びで成功するために、もう一度その色が適切な選び方をされているかを考え直してみてはいかがでしょうか。

もし今使われている色の意図を感じ取ることができないのであれば、それは色を見直すいい機会なのかもしれません。

このコーナーのコンテンツは、KDDI提供の情報サイト「はじめてWEB」掲載の「エキスパート(専門家)コラム」の情報を、許諾を得てWeb担の読者向けにお届けしているものです。

※「はじめてWEB」のオリジナル版は掲載を終了しました

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