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Webマスターへの「とりあえず会議」「よろず相談」「これやっといて」はNG! Webマスターの上司が読むべき取扱説明書

Webマスターたちによって作られた「Webマスターの取扱説明書」を紹介
本間充(アビームコンサルティング) 2016/8/17 7:00 |

いまや企業サイトは顧客とのコミュニケーションにおいてなくてはならない存在です。一方、Web戦略の中核を担うWebマスターの仕事は、理解が進んでいないのが現状。Webマスターのスキルを引き出せないのは、Webマスターが不幸になるだけでなく、企業にとってもデメリットです。「Webマスターの取扱説明書」をもとに、Webマスターのスキルを最大限に生かしてください。

Webマスターの仕事は一言で表せない

こんにちは、アビームコンサルティング デジタル・マーケティングセクターの本間 充です。みなさんは、「Webマスター」というとどんな仕事をしている人を想像するでしょうか。

  • 企業サイトの運用更新
  • Webコンテンツの企画制作
  • 公式SNSアカウントの管理
  • ディスプレイ広告の運用
  • 制作会社の発注管理
    ……など

組織、企業のWebサイトの責任者と言えば簡単ですが、実は詳細な定義はないかもしれません。そのWebマスターや次世代のWebマスターが集まって、ディスカッションを行っているのが、私もアドバイザリーボードとして関わる「loftwork Webmaster Camp」です。

loftwork Webmaster Campで講演する本間 充 氏(写真は第6回の様子)

2015年2月の開始から、毎回多くのWebマスターの方に参加いただき、さまざまなテーマで議論してきました。多くの方が集まる理由には、組織・企業のなかでWebマスターという方が、まだまだ孤独であることが挙げられます。

また、組織・企業から一定の期待をかけられているものの、実際のWebマスターの役割が不明確なことも理由の1つではないでしょうか。実際、どの回のloftwork Webmaster Campも議論や情報交換が白熱しています。

Webマスターの“やらないこと”リスト

2016年度は、Webマスターのニーズに応えるために、今年度のloftwork Webmaster Campで何を議論するかを4月14日開催の「第5回 loftwork Webmaster Camp」で話し合いました。そして、6月22日の「第6回 loftwork Webmaster Camp」では、そのなかのテーマの1つである「Webマスターのやらないことリスト」について議論しました。

本来なら、「Webマスターのやるべきことリスト」を作ることが王道かもしれません。しかし、そこは和製Webマスターです。断捨離的な発想で、「やらないこと」について議論しました。

実は、私も企業のなかでWebマスターに近い仕事をしていました。そして、現在はマーケティングのコンサルタントとして、多くのWebマスターの方と一緒に仕事をさせていただいています。そんななか、

競合のあのサイトの印刷持ってきて

自社で公開したスマートフォンのアプリを、私の携帯に入れてくれ

など、実に多くの雑務や無駄な仕事に出くわす様子を目にします。そのような時間があれば、組織・企業で一番総合的にWebに詳しいWebマスターは、次の大きなコミュニケーション・プランを作るべきではないでしょうか。

Webマスターのスキルを引き出すための取扱説明書

そこで、今回はWebマスターの上司の方に、「Webマスターの取扱説明書(トリセツ)」を紹介します。

ここでは、loftwork Webmaster Campで実施したワークショップを通し、多くの方が「やるべきでない」と挙げた項目から、3つの項目を厳選しました。しかし、Webマスター自身が「やらない」と決めても周りの協力がないと実現できません。ここで紹介する3項目は、そのままにしているとWebマスターの生産性や本来の価値を低下させるものです。

Webマスターを抱えている上司の方は、Webマスターを組織・企業のなかでもっと有効に活用するために、ぜひ熟読してください。

1. とりあえず会議は禁止、参加者には適切なメンバーを

私は、急な会議に呼ばれることがあるのです

Webマスターには、よく急な会議の召集がかかります。その会議の内容はといえば、「とりあえず集まる」「とりあえず相談」というものが多いようです。Webを使ってコミュニケーションを行いたいけど、良いアイデアがないのでWebマスターが呼び出されるのです。

Webマスターのこのような会議の参加はいいことなのでしょうか。もちろん、社内の相談のような会議は必要でしょう。しかし、上司の方に考えていただきたいのは、「社員の育成」と「適切な参加者」という視点です。

「社員の育成」は、どの企業においても、マーケティングの改革のために求められていることでしょう。それは、Webの専門部署ではなく、事業やサービスを展開しているWeb利用部門にもあてはまります。

上司の方は、いきなり会議を開催するのではなく、「Webを活用してリーチしたいターゲット」や「Webを活用したい目的」を明確にしてから、会議を行うように整理してみてください。そして、Webマスターがこの会議に必要な「適切な参加者」なのかを判断してください。

おそらく、アイデアを出し合う会議は、極めて創造性が高いことでしょう。しかし、このような会議に、本来サイトのガバナンスなどを多く担うWebマスターが参加することが適切でしょうか。

提案1 そこにWebマスターが必要なのかを考えよう

もし、自分のチームのWebマスターが突然会議に呼ばれたら、上司の方は「その会議は本当にあなたが出席しないといけないの?」と確認してください。もちろん、Webマスターも、これが本業ではないことは理解しているのですから。

2. Webマスターは何でもおまかせのよろず屋ではない

私の強みを生かしていただければ、長持ちします。よろず屋ではありません

次の問題は、Webマスターが、一番Web関係に詳しい人として有名で、他のWebに関するメンバーが社内にあまり有名でないときに起こる問題です。Webに少しでも関係があると、Webマスターが呼び出されます

本来、Webマスターは日々のWebサイトの進行管理や、将来のWebサービスの設計・構想などを行わないといけません。本来やるべき仕事について、しっかり考える時間が欲しいときに、このような中断が起きては大きな問題です。

提案2 Webマスターが集中できる環境を作ろう

Webマスターはよろず屋ではありません。上司の方は、Webに関する従業員用サービスの担当者をWebマスターと別に決めるか、対応時間を決めてみましょう。そして、Webマスターが集中して考える時間を増やしてあげてください。それが、組織・企業のWebサイトの進化につながります。

3. 表面的な作業だけでなく、ビジネスの本質を共有する

私には、細かい指示ではなくビジョンを伝えてください

最後の項目は、本当に上司の方の関与が必要です。

Webマスターに「サイトを公開して」「このコンテンツを公開して」などと、表層上の指示ではなく、本質的な狙いとともに業務のお願いをしてもらいたいのです。

Webが一般普及したばかりの90年代であれば、Webに関する業務というのは、確かにコンテンツの公開をゴールとしていたかもしれません。しかし、現在は事業のためにWebを活用しています。そして、コンテンツの公開時期や方法によっても、事業への貢献度がことなります。

提案3 Web活用の目的はどこにあるのかビジョンを共有しよう

本当に、Webマスターのスキルを引き出したいのであれば、「作業の指示」を出すのではなく、「Webを活用することで獲得したい事業メリット」を伝えてほしいのです。そうすることで、Webマスターから、さまざまなアイデアを引き出すことができるでしょう。そして、Webチームももっと輝くのです。

以上の3項目が、Webマスターと気持ちよく仕事をし、成果を出すための「トリセツ」です。これを読んでいるWebマスターの方もいると思うので、その方は「やってはいけないこと」として、3点を整理しましょう。

Webマスターのやらないことリスト
  1. 突然、または、ちょっと来てという会議には参加しない
  2. Webに関する、従業員のサポート業務は自分で行わないか、サポート時間を限定する
  3. サイト公開やサイト改良だけの指示のみ場合、なぜそれを行うのか、何のために行うのかを明確にするまでは取り掛からない

Webマスターが、もっと本質的な仕事を行い、組織・企業の事業貢献をより行えるように、ぜひ頑張りましょう。

Webに携わるすべての人が学び共有するコミュニティ、次回「loftwork Webmaster Camp Vol.7」が9月1日(水)に開催されます。テーマは「ブランディング×CX」。

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