アクセス数を伸ばしたいのなら「知っている人」ではなく「知らない人」のために書くべし(第3回)
「ホームページを育てるための"心得帳"」では、「ホームページを公開したものの、そのあとどうしていいかわからない……」という方へのヒントとして、見落としがちな視点や意識しておきたい考え方をお伝えします。 第3回は「ホームページで思いを伝えること」についてのお話。ホームページでどんなにたくさんの思いを表現していても、それが見る人に伝わらなければ意味がありません。今回は「伝えたいこと」が「伝わる」にはどうしたらいいんだろう、ということを考えます。
ホームページを作る理由、見る理由
今回は「そもそもホームページを作るのはなぜ?」というところから考えてみましょう。それぞれ細かな理由はいろいろあると思いますが、単純な言葉でまとめると「自分(作る人)以外の人に何かを伝えたいから」ということになるでしょう。ホームページを作って公開すれば世界中の人に見てもらえるかもしれない。だからみんなに伝えたいと考えます。
では逆に、みなさんがホームページを見るのはなぜでしょうか?分からないことを検索して調べたり、友だちの近況を知ったり、お店の営業時間を調べたり…などなど、いろいろな理由があると思います。つまり「自分が知りたい情報を得たいから」ですよね。
「何かを伝えたい」という作る側の視点と、「知りたい情報を得たい」という見る側の視点。情報を伝えたい人と得たい人がいるのだから、お互いのニーズが満たせてていいじゃない?と一瞬思ってしまいそうですが、実はこれがそうでもないのです。どちらかというと思いはお互いに一方通行です。案外、下の図のようにホームページに書かれている情報と見る人が欲しい情報がずれているということがあったりします。
ホームページの原材料=思い
ホームページを作成するために一番大事な要素は「思い」です。「思い」がないのにホームページを作ってもまずうまくいきません。 前回の記事※「はじめてWEB」は
サービスを終了しましたで伝えたいことを書きだすというワークをご紹介しましたが、これは「思いを整理する」という作業をしていたわけです。思いをちゃんと言葉にして整理できれば、伝えるための準備がひとつできたと言えます。
でも、思いはあくまでも「原材料」です。どんなにいい商品やサービスだと自分ではわかっていても、自分の思いをそのまま表現しただけでは意外と伝わらないものです。レストランに例えると、料理を作らずに材料をそのまま出している状態であると言えます。ホームページで発信するためには、原材料を加工して「伝えたい人と見る人の思いが噛みあう」ようにすることが必要になります。
ホームページは確かに「情報発信」の場なのですが、「情報受信」の場でもあります。私たちは情報の受発信を通じてコミュニケーションをとっているということを意識して、発信をしていく必要があります。
ホームページで発信するときに意識したい2人
「そんなこと言われても、見る人ひとりひとりの思いなんてわからないじゃない?」……確かにひとりひとりの思いをあらかじめ知るのは難しいですよね。時間とお金がたくさんある場合はその道のプロに依頼してホームページを見るターゲットになる(であろう)人たちにアンケート調査をしたり、想定される行動ストーリーを考えたり、なんてこともしますが、ここではもっと簡単に自分でできることを紹介します。
ホームページで発信するとき、以下の2人が読むことを想像して内容を見なおしてみてください。
- あなたの発信する情報についての前提知識がまったくない「シラナイゾウくん」
みなさんは会社やお店で商品やサービスにずっと関わってきて、伝えたいことに対する知識が豊富です。いわばその道のプロです。でも見る人はそこまで詳しいわけではありません。むしろ詳しくないから見にきます。発信側にはあたりまえのことが、見る人にはあたりまえではないという視点を持つことがとても重要です。
- あなたの発信する情報をすみずみまで読まない「トバシヨミちゃん」
伝えたいことは丁寧に書いてある、これなら初心者でもわかるはず!と自信を持って発信しても、それが読まれなければ意味がありません。見る人は自分が書いたものを全部読んでいるわけではないということを意識しましょう。「書いてあるのになんで読まないんだよ!」とイラっとしたら、読まれるように改善できるチャンスですよ!
この2人のことを想定内容を考えることは、結構難しいのです。 お客様とお話している中で、お客様が「そんなことまで言わなくてもわかるでしょう」とおっしゃることが私たちは初めて知ることだった、ということがよくあります。そこで初めて「あたりまえがあたりまえではない」ということにお客様が気づかれるという過程を、今まで何度となく見てきました。
以前関わった案件で職人さんが働く業種の企業のホームページを作ることになりヒアリングをしました。その会社は職人のスキルが高く、他社では真似のできない技術を持っていたのですが、お話を伺ってそれに気がついたのは私たちでした。社内ではそれが当たり前だったのでスキルがほかより高いことに気がついておらず、もっと専門的な情報を発信しようとされていたのでした。
確かにホームページを見る人の中にはその分野に詳しい人もいるので、そういう人をターゲットに詳しい情報を発信したくなってしまうのですが、そうすると、現実的にはほとんどの人に伝わらないものになると考えたほうがよいでしょう。多くの人に広めたい、アクセス数を伸ばしたい、売上を伸ばしたいということであれば、「知っている人」ではなく「知らない人」のための情報発信を心がけてみてください。
「伝える」→「伝わる」にする工夫
ここまでお話したことの大前提にあるのが、ホームページを公開するだけでは情報を伝えることにならないということです。情報が見る人に「伝わる」ということを経て初めて情報伝達が成り立ちます。「伝わる」ために自分でできる努力として、以下の4つを挙げます。下に行くほど難しくなるので、まずはできるところからやってみましょう。
- 専門用語をできるだけ使わない
業界内の専門用語だけではなく、普段使っている言葉でもその会社や業界でしか使わないやりとりというのはたくさんあります。普段仕事をしているとだんだん当たり前になってしまうので、まず専門用語や特有のやりとりに気づこうとする意識が大切です。ホームページに関わりのない第三者の知り合いにホームページを見てもらうのもひとつの手です。
- 情報量を少なくする
ホームページを見る人は思ったより瞬間的に情報を得て一瞬で次の情報へ向かうので、できる限り簡潔に言いたいことをまとめます。図や写真を多く使って文字を減らすのも有効です。文章のまとめ方などは同じエキスパートコラム内にある益子貴寛さんの「Web文章入門」※「はじめてWEB」は
サービスを終了しましたも参考にするとよいでしょう。 - 情報を整理する
ホームページを見ていると、1つのページの中に関連のないバラバラな情報が詰め込まれていたり、似たような情報があちこちに分かれていたりするのをよく見かけます。このような状態では見る人はどれを見ればよいか迷ってしまいます。関連する情報はなるべくグループとしてまとめ、関連のない情報はページを分けるなど「ページの構成」にも気を配ってみましょう。
- 疑問や不安を解決するような内容にする
ホームページを見に来る人は、何らかの不安や疑問を持っています。アクセス解析で動き(検索キーワードやページのアクセス数など)を見て、ホームページを見に来る人の不安や疑問はここかな?と探りながら、発信する情報の表現方法を変えたり、情報を増やしたり減らしたりして調整をします。
ここまでの2回でホームページで「伝える」ことについて書いてきました。
次回はそれを発展させて「ホームページの個性を出す」ことについて考えてみたいと思います。
(第4回に続く)
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このコーナーのコンテンツは、KDDI提供の情報サイト「はじめてWEB」掲載の「エキスパート(専門家)コラム」の情報を、許諾を得てWeb担の読者向けにお届けしているものです。
※「はじめてWEB」のオリジナル版は掲載を終了しました
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