企業ホームページ運営の心得

社長! SEOをご存知ですか? 迷惑テレアポを回避してサクサク仕事を進める

ホームページへの訪問者が増え始めると、多くなるのが「売り込み」です
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の376

ホームページの閉鎖まで考える

社長はSEOというサービスご存知ですか?

ホームページへの訪問者が増え始めると、多くなるのが「売り込み」です。電話(テレフォン)で面談の約束(アポイントメント)を取り付けてから、営業マンが訪問して売り込む「テレアポ」が増えます。クローラ(Web巡回プログラム)によって、Web上から企業情報を収集する方法が一般化してから、ホームページの訪問者数の増加と、テレアポの頻度の相関関係が強まりました。さらに集めたリスト(名簿)は売買されているので、テレアポの頻度が訪問者の増加率を逆転することも珍しくありません。

はっきりいって迷惑。電話のたびに作業の中断を余儀なくされ、ホームページを閉鎖したいとまで言い出すお客もいるほどです。このお客には、ホームページの閉鎖は無駄と伝えました。リストが売買されており、営利団体の連絡先は「個人情報」の保護対象にならないからです。そして今回紹介する「テレアポの断り方と心得」を指導します。

大原則は問答無用

大手企業に勤めている方は、テレアポの多くは総合受付ではじかれるためほとんど気づかないかもしれませんが、中小企業や個人事業主にとっては日常茶飯事の出来事です。問い合わせ窓口を閉鎖したいという気持ちもわかります。

テレアポ対応の原則は「会わない」です。テレアポのすべてを否定はしませんが、時間の無駄になる確率が高いのです。テレアポという営業戦術は「数打ちゃ当たる」を下敷きとし、商品やサービスに自信のない企業が採用する傾向があるからです。テレアポ先の事業すら知らないことも珍しくありません。そしてお人好しの日本人は、かかってきた電話をむげにすることができず、下手な鉄砲に狙撃されます。これが、テレアポ商法が絶えない理由です。

テレアポと気がついた瞬間、ひと言も発さず、受話器を置きます。なまじ会話を交わすから情が湧くのです。問答無用にコミュニケーションを拒絶します。「相手に悪い」という優しい気持ちは、人間として大切ですが、無用のテレアポに対しては不用です。むしろそれを「優しさ」と心得ます。

なぜなら、「相手の時間を奪わずに済んだ」のですから。

テレアポの構造

テレアポはリストを元に電話を掛け、1人が1日に電話を掛ける件数は数百件を超えるケースもあります。するとなまじリアクションを取られるより、即断で拒絶された方が次に取りかかれるので効率が良いのです。

かつては5秒とおかずに「リダイヤル」してくる業者も多くありましたが、消費者保護への意識の高まりから迷惑な売り込みは激減しており、さほど心配することはありません。しつこく「食い下がる」ようなら、お近くの消費者センターを通り越して「警察」に通報してください。執拗な電話攻勢は「威力業務妨害」に触れる可能性があるからです。

うっかり会話をしてしまうこともあります。テレアポ業者は日夜研究を続け、相手がうっかり返事をしたくなる質問を投げかけてくるからです。

得する話しですが

を断ろうとすると、

得することで何か問題でも

と“Yesしかない質問”

を投げかけてきます。これは催眠術師や詐欺師の手法です。

昨今の事案につき

そんなときはこう答えます。

セキュリティ上の秘密です

得か損かはこちらが決めること。他人が決めることではありません。金銭の多寡はビジネス上の損得と同義ではありません。たとえば、「マイライン」のテレアポでは、現在利用中の回線会社を訊きだそうとしますが、どの通信会社を利用しているかはセキュリティに直結するので、軽々に伝えるべきものではありません。他にも、

  • 個人情報に触れるので
  • 守秘義務事案なので回答できない

などのバリエーションがあります。しかし、相手も必死です。多くの場合、面会約束を取り付けた件数が給与に反映される仕組みだからです。あまりにもしつこい場合は、

資料を送ってください

これでやり過ごします。

テレアポをする業者の中にも、まともな業者はいますし、興味を覚える売り込みもあることでしょう。そんなときも資料を先に送付させます。なぜなら「まともな業者」なら、社員をわざわざ訪問させるより、郵送その他で資料を送る効率性を重視するからです。このとき資料がないと返答する業者は「舌先三寸」とみて間違いありません。

最後の砦が突破されたら

それでもうっかりアポ(アポントメント)=面会約束を取られてしまったとき、すなわち砦が突破されたときは「奥義 キャンセル」の出番です。

営業の世界において、アポのキャンセルは日常茶飯事です。ドタキャンは社会人のマナーとしていかがかとは思いますが、事前のキャンセルは、お客の都合ですから仕方がありません。必要がなくなったと、アポをキャンセルします。

しかし、ここで問題が発生します。「連絡先がわからない」ことがあるのです。キャンセルされないように、連絡先を伝えない業者もかなりの割合で実在するからです。もし連絡先を教えない業者にであったら、「究極奥義 正論」を繰り出します。

自社の連絡先、担当者名(あるいは部署)を伝えておくのはビジネスマナー以前の基本です。そこで業者がアポイントを取ろうとしたときに、

連絡先も伝えないような業者とは取引できない

と正論を炸裂させます。あらかじめ連絡先を聞いておくことで、後々キャンセルすることも可能ですし、連絡先が言えないような業者だとすれば信用に値しません。

世界が幼児化している

知人の社長がテレアポからの訪問を受け入れました。「ビジネスマッチングサイト」の営業です。遅刻してきた訪問者は1人の若者で、友だち感覚なのか敬語が不確かなことは目につぶっても、サイトの説明も不確かどころか、サイトに掲載するメリットも不明瞭でした。当然、断りを告げたところ、自分は大学生で「インターン」として働いていると、訊ねてもいないのに語りはじめ居座ります。そして、

マジ、どうしたら契約とれるっスカ

と訊ねてきます。あまりのことに社長は、

しらねーよ

と口を開く元気もなくなったと言います。「インターン」とは学生に社会経験を積ませるチャンスを提供する企業による「社会貢献」。それを他社に押しつける会社も実在します。迷惑無礼の実例は枚挙に暇がなく、ゆえに「会わない」を原則するのです。もちろん、例外はありますが。

今回のポイント

迅速に断るのも優しさ

会って得する事例はとても少ない

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