取りたいドメインが取れない!を解決する6つの対処法と3つの心得
ちょっとした工夫で希望のドメインを取得できます!
新しいサイトを立ち上げようとしたら、社名や製品名など希望のドメインはもう他者に取得されてしまっており、途方にくれるなんてことありませんか? そんな場合でも、ちょっとの工夫で希望のドメインは取得できるのです。魅力的で信頼感のあるドメインを取得する6つの方法と、最適なドメインを選ぶために覚えておきたい3つの心得をお伝えします。
絶対避けたい、一発屋ドメイン
ここまでの2回は、「新gTLD」への懸念を見てきました。「新gTLD」は拡大するベクトルにあり、毎年どころか毎月のように「新ドメイン」が登場し、ほんの数年後には「懐かしー!」と、まるで「あの人は今」に登場する一発屋のような扱いのドメインになっているかもしれません。あるいは、イラストレーターの辛酸なめ子氏が、“高校時代に血迷ってつけた”そのペンネームに悩んでいると、週刊文春(2014年6月26日号)で告白するように、その場のノリでドメインを決定する先に待つのは後悔です。
そこで「現場の心得、ドメイン特別編」の最終回は実例を織り交ぜながら、
最適なドメイン名を取得する6つの方法
をお届けします。
最適なドメイン名を取得する6つの方法
希望のドメイン(文字列)がすでに取得されているからと諦めるのは“一発屋ドメイン”への入口です。工夫次第で「え? こんなドメイン空いてたの?」というお宝ドメインを見つけ出すことができます。まず、ポピュラーなのは、
- 1.ハイフンを入れる
です。ただし、ハイフンをいれる場所は、音節や意味が明らかな箇所にします。具体的には「4」で紹介します。
- 2.省略する
上手くハマれば最高のドメインとなりますが、省略の仕方が明暗を分けます。「ABC株式会社」という会社があったとしましょう(仮名です)。しかし、「abc.co.jp」ドメインがすでに取得できなかったため、「abc-cop.co.jp」ドメインを取りました。これはうまくありません。ハイフンで区切った後は「コーポレーション(corporation)」の略称を意図したのだとしても、まるでアメリカにおける警察官の俗称のようだと方々から突っ込みを受けることになるでしょう。ちなみに一般的な「corporation」の略称は「corp」です。
このように、1、2のどちらのパターンも、実は言語感覚のセンスが試されます。そこでオススメするのが、
- 3.フルスペルアウトする
という方法です。先の事例なら「abccorporation.co.jp」とまで開き直ると、意外とお宝ドメインが眠っているものです。唯一の懸念は口頭で伝えにくいことですが、それはSEOにより充分にカバーできます。また、ローマ字的フルスペルアウトもアリです。例えば「kimurashouten.co.jp(木村商店)」や、「satousekizai.co.jp(佐藤石材)」などなど、日本人には意外とわかりやすいものです。
続いて、アドレスを見ただけで何屋かわかる便利な方法はこちら。
- 4.業種を入れる
食料品関連なら「-food」、工具販売なら「-tools」、ペットショップなら「-pets」など、屋号・商号に業種名を付与します。私が独立し、最初に取得したドメインは「mode-web.jp」でした。個人事業として起業したときの屋号が「モード」で、そこに主力商品である「web」を付加し、TLDはもちろん「日本」で、個人商店だったので「.jp」にしました。
そして経験上、もっともお宝ドメインが見つかりやすいのはこれ。
思いがけないドメインがエアスポットのように取得されていないケースも!
- 5.メインサービス名を使う
実例を挙げましょう。工具の製造販売を手がける「株式会社ユニーク(東京都足立区)」はドメイン名で悩んでいました。社名の「unique」はもちろん、希望するドメインがあらかた取得されていたからです。そこで、創業者の父親がヤスリ職人で、もっとも売りたい工具でもある「ヤスリ」で調べてみると「yasuri.jp」が空いていたのです。
こうしたそのままズバリのドメインが、エアポケットのように取得されていないケースは多くあり、例えば「manaita.jp(まな板)」、「furosouji.jp(風呂掃除)」、「amidoharikae.jp(網戸貼り替え)」、シュールなところでは「ohigan(お彼岸)」は「co.jp」「.jp」のどちらでも取得可能でした。
ただし、「co.jp」ならコーポレートサイト、「.jp」はサービスや商品のサイトと、サイトの内容に合わせて使い分けるのがオススメです。なにより、サービス名や商品名をドメインに使う予定なら、是非とも検討すべきであるのが
- 6.日本語ドメイン名にする
です。アルファベットはa~zのわずか26文字。対する我が日本語は、平仮名、カタカナに漢字(JIS第一水準、第二水準)を組み合わせれば、ほぼ無限。何よりも日本語なので、ぱっと見てわかりやすいというメリットがあります。検索結果でも表示されるので、検索ユーザーの目にとまりやすくなるという効果もあります。
この2014年4月にWindows XPがサポートが終了したことで、レガシーブラウザへの配慮も不用となったことからも、より日本語ドメインの利用は加速するのではないでしょうか。
Web担当者なら覚えておきたいドメイン取得の心得3つ
前段の方法を活用することで、必ず希望のドメインは取得できます。しかし、ドメインで悩む理由の大半はテクニカルより思いこみです。次より、その思いこみを解決する心得3連発です。
1.ドメイン名は値段で決めるものではない
値段だけの比較は妥当ではありません。初回に指摘したように「.com」より4割高い評価を「.jp」は受けています。TLDも値段の幅がありますが、たかだか年間数千円程度に過ぎません。ビジネスにおいてもっとも大切な資産とは“信用”です。むしろ値段よりも重視すべきポイントです。
2.コーポレートサイトなら「co.jp」、実は登記前でも取得できる
コーポレートサイトなら「co.jp」がオススメです。1社1ドメイン縛りのオンリーワンですから、「co.jp」を使うことできちんとした企業であることが伝わります。細かい区分分けが必要な場合でもサブドメインでフォローできますし、サービスサイトや商品サイトで別のドメインが必要なら「.jp」という選択肢があります。
私は、「co.jp」は登記後しか取得できないという理由から、「.jp」にしました。しかし、対応しているレジストラなら、登記の6カ月前から「仮登録」ができます。ドメインは「先願制」。登記が完了する前に抑えておくと良いでしょう。
3.第3の選択肢、「都道府県型JPドメイン名」
「co.jp」「.jp」と続いていて思い出したのが、こちら、「都道府県型JPドメイン名」です。「co.jp」や「.jp」に連なる選択肢として紹介しておきます。
「.jp」の中でも、ドメインの中に都道府県名が含まれる「○○○.tokyo.jp」「○○○.hokkaido.jp」「○○○.nagasaki.jp」が利用できるのです。「.jp」の信頼性を利用しながら、都道府県名により地域をアピールしたドメインが取得できます。さらに、2012年11月のリリースで、47都道府県ごとに取得できるため、まだまだお宝ドメインがたくさん眠っているのも推奨ポイントです。なにより感心したのが、ドメインの信頼度を高める取り組みがすでになされていること。都道府県型JPドメイン名を知った刹那、私が取った行動は悪意のそれです。私が住んでいる町は足立区ですが、「adachiku.tokyo.jp」で取得すれば、「公的」を装ったサイト運営も可能ではないかと、時代劇において悪代官にすり寄る「越後屋」の表情を浮かべながら、チェックするとこう表示されました。
ADACHIKU.TOKYO.JP 予約ドメイン名です
自治体としての「東京都足立区」以外は取得できなくなっているのです。欲深く「adachi」「adachi-ku」でチェックするも同じく断られ、「adachi-9」は登録できるようですが、苦しすぎるのでやめておきます。また、「日本語普通名詞」や「国際的な政府間機関」も「予約ドメイン」として取得不可になっています。悪用の困難なドメインは、私の黒い野望を打ち砕き、真面目な企業の信用力を助けてくれることでしょう。
今回で特別連載は終了です。
引き続きアズモード宮脇氏の連載「企業ホームページ運営の心得」をお楽しみください。
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