Googleアナリティクスの導入から、運用、活用まで、正式なサポートがない初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。
Googleアナリティクスとは/衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座Googleアナリティクスのパターン別階層構造
Googleアナリティクスのパターン別階層構造
つまりGoogleアナリティクスは、上位から「Googleアナリティクスのアカウント」→「プロパティ」→「プロファイル」という階層構造にあり、「親」→「子」→「孫」の関係になる。
要素 | 関係 |
---|---|
Googleアナリティクスのアカウント | 親 |
プロパティ | 子 |
プロファイル | 孫 |
先に見た図2の「衣袋のブログ」→「ブログA」→「すべてのウェブサイトのデータ」の例は、1つの親に対して、子が1つ、その子に1個の孫が紐づいている最もシンプルなケースだ。
Googleアナリティクスの階層構造を図にしたのが、図5だ。ここで、親子関係が「1対1のケース」と「1対多のケース」を取り上げて、説明してみよう。
1対1のケース
1対1のケース(図5赤枠部分)は、親「Googleアナリティクスのアカウント」に対して、子「プロパティ」が1つ、その子に対する孫の「プロファイル」が複数(図5では3つ)という構造になっている。
1つのGoogleアナリティクスのアカウントに対して1つのプロパティを割り当てて、該当のドメイン名を計測している。そしてそのプロパティに対しては、3つのプロファイル(レポート群)を作ってデータを見ているということだ。
これは、たとえば、個人が1つのドメイン名で、独立したブログを計測するような場合があてはまる。
1対多のケース
これに対して、個人が3つのドメイン名で、それぞれ独立したブログを計測するような場合が、1対多のケースにあたる。この3つのドメイン名のデータは全部自分しか見ないので、GoogleアナリティクスのアカウントIDを1つずつ分ける必要がないと判断して、1つのアカウント傘下にまとめてしまうという考え方だ。
図5青枠部分のケースでは、1つのGoogleアナリティクスのアカウントに対して3つのプロパティを作成している。1つ目のプロパティに対しては3つのプロファイルを作成し、残り2つのプロパティに対しては1つずつのプロファイルを作成したケースだ。
ちなみにこのケースでは、新しいプロパティを作成すると、自動的に末尾の数字が1つずつ増えていく。1つ目のプロパティIDが「UA-30344807-1」であれば、次のプロパティIDには「UA-30344807-2」が割り当てられ、その次のプロパティIDには「UA-30344807-3」が割り当てられることになる。
構造を設計する際に考慮すべきポイント
では、どのような点を考慮して、1つのGoogleアナリティクスのアカウントの対象範囲に収めるべきプロパティ、プロファイルの構造にしたらよいのだろうか。
- どこまでの範囲を1つのまとまりとして計測・集計・分析したいのか
- ドメイン名やサブドメインの物理的構造と、計測対象範囲や管理範囲の粒度
- アクセスの規模とシステム上の制約の関係
などによってそれぞれ事情が異なるので、すべてに共通する正解がある訳ではないが、そのヒントとなる項目を以下に挙げておこう。
なお、上記「ドメイン名やサブドメインの物理的構造」とは、URL構造のことを指す。つまり、ドメイン、サブドメイン、ディレクトリ、動的ページならパラメータまでを含む。これらを設計するときに、アクセス解析のしやすさを考慮に入れることで、Googleアナリティクスでの分析が、少しはしやすくなるということだ。
- プロファイルは合計で50個まで
1つのGoogleアナリティクスのアカウント配下のプロパティ群に対して作れるプロファイルの総数の上限は50個だ。多くのドメイン名やサブドメインを保有している組織は、この制限に注意が必要だろう。
- 計測ページビュー数は月間1,000万まで
AdWordsアカウントとリンクしていない場合、1つのGoogleアナリティクスのアカウントに対して月間計測ページビュー数の上限が1,000万に制限されている。これはその1つのGoogleアナリティクスのアカウントに属するすべてのプロファイルの合計ページビュー(厳密に言えば、イベントなども含めたヒット数)である。
- データを個別に識別できるのは1日7.5万ユニークレコードまで
プロファイル単位で、1ディメンションにつき、1日7.5万ユニークレコードを超えるデータは個別に識別できなくなる制限がある。その場合にレポート上では、まとめて「(other)」のように表示される。そのため巨大サイトなどでユニークURL数が膨大にある場合は、1つずつの明細が出力できない場合もあり得る。パターン数の多いキーワードについても、同様の制限に引っ掛かりやすいはずだ。なおこの「(other)」については、下記記事も併せて参照してほしい。
- アカウントには必ず1人は管理者が必要
レポート閲覧ユーザーについてはプロファイル単位で閲覧を管理できるが、1つのGoogleアナリティクスのアカウントに対して1人以上の管理者が必要で、その管理者はアカウント配下のすべてのプロファイルにアクセスして、データ閲覧と各種設定を行うことができる。
なおユーザーの役割に関しては変更がアナウンスされている。具体的には、「管理者」と「ユーザー」の2つではなく、「ユーザー管理」「編集」「閲覧」の3つになり、この3階層のどれでも割り当てられるようになるといったものだが、執筆時点では確認できていない。今後、権限の付与についての変更が予想されることを付け加えておきたい。
大企業などで頻繁に新規ドメイン名が作られるような場合は、あとあとの事も考慮に入れながら、最初の構造設計をする必要があるだろう。
筆者の『ユニバーサルアナリティクス版Googleアナリティクス完全マニュアル(PDF)』が発行されました。
筆者が講義を行うGoogle アナリティクス徹底講座も、定期的に開催しています。 → Google アナリティクス ゼミナール
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