Googleアナリティクスの導入から、運用、活用まで、正式なサポートがない初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。
Googleアナリティクスとは/衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座[目標到達プロセス]レポートを見てみよう
[目標到達プロセス]レポートを見てみよう
この設定例で、実際の[コンバージョン]>[目標]>[目標到達プロセス]レポート上部が図7だ。
まずは、目標を選択できるプルダウン(図7赤枠部分)で、見たい目標を選択しよう。目標は最大20個まで設定できるので、複数の目標を設定した場合は、そのうちの1つを選択する。図7と、次の図8では、先ほど設定した「目標1:注文完了」が選択されている状態になっている。
レポート上部(図7)では、選択した1つの目標(図7赤枠部分)に関して、期間全体のコンバージョン率(図7青枠部分)と日別のコンバージョン率の推移グラフ(図7緑枠部分)を見ることができる。
例によって設定後から集計が開始されるので、過去に遡って集計されるわけではない。いま設定したばかりの人は、設定後、しばらくしてデータが溜まってから見てみよう。
閲覧ページ移動図の見方を覚えよう
そして、[目標到達プロセス]レポート下部が、閲覧ページ移動図(図8)になる。図8も先ほど設定した「目標1:注文完了」が選択されている状態になっている。
目標完了までの過程でどこがボトルネックになっているのかは、この閲覧ページ移動図で確認する。この移動図の見方をまず説明しておこう。
中央の幹は「目標到達プロセス」の各ステップ
中央の幹の部分(図8赤枠部分)は、「商品詳細」→「ショッピングカート」→「ご注文方法の指定」→「ご注文内容の確認」→「注文完了」というように、目標到達プロセスで設定したステップ1の名前、ステップ2の名前、ステップ3の名前、ステップ4の名前、目標名の順に上から表示されているのがわかる。
ステップ名の下の数字は訪問数
この各ステップ名と目標名の直下にある数字はそのページの訪問数で、「商品詳細」→「ショッピングカート」→「ご注文方法の指定」と進むにつれて、訪問数が減っていくのがわかる。
矢印の数字が移動率
ここで、次のステップへの移動率に当たる部分が、各ステップの間を結ぶ矢印の部分にある数字(図8黒枠部分)だ。たとえば図8では、最後の「ご注文内容の確認」→「注文完了」のステップで12.22%が離脱していることがわかる(図8一番下の黒枠部分が87.78%なので)。
チェックすべきは移動率が低い箇所
この閲覧ページ移動図を見て、移動率が想定以上に低いところがないかを確認しよう。そして、自分でページを再確認したり、ユーザーテストを行ったりして、ページの改修ができないかを考えてみよう。
閲覧ページ移動図の数字の流れを把握しよう
閲覧ページ移動図に表示されている数字の流れについて解説しておこう。
流入元は、上と左
各ステップの流入元となっているのは、そのステップの「上」と「左」である。つまり、「上の数字(訪問数)」(図8黒枠部分)と、「左の数字(訪問数)」(図8青枠部分)を合計したものが、「各ステップの数字(訪問数)」(図8赤枠部分)になる。
図8で言えば、ステップ1の「商品詳細」は、それより前のステップがないので「上の数字」はない。したがって、「左の数字」である12,685訪問(図8一番上の青枠部分)が、そのままステップ1の「商品詳細」の訪問数12,685訪問になっている(図8一番上の赤枠部分)。
次の第2ステップ「ショッピングカート」では、前のステップから進んできた「上の数字」である470訪問(図8一番上の黒枠部分)と、ここへ初めて流入した「左の数字」である0訪問(図8上から2番目の青枠部分)の合計が、「このステップの数字」470訪問になっている(図8上から2番目の赤枠部分)。
流出先は、下と右
一方、「各ステップの数字(訪問数)」は、その後に次のステップに進んだものと、そこで脇道へ逸れたものに分かれる。
ステップ1の「商品詳細」の訪問数12,685(図8一番上の赤枠部分)は、次のステップへ進んだ470訪問(図8一番上の黒枠部分)と、別のページへ行ってしまった残りの12,215訪問(図8一番上の緑枠部分)に枝分かれしている。
また、ステップ2の「ショッピングカート」の訪問数470(図8上から2番目の赤枠部分)は、次のステップへ進んだ251訪問(図8上から2番目の黒枠部分)と、別のページへ行ってしまった残りの219訪問(図8上から2番目の緑枠部分)に枝分かれしている。
一般化して表現すると、次のようになる。
- 「左の数字」(図8青枠部分)は、そのステップから初めて流入した訪問数(目標到達プロセスに指定したステップ以外からの流入)
- 「右の数字」(図8緑枠部分)は、そのステップから次のステップに行かずに出ていった訪問数
- 「各ステップの数字」(図8赤枠部分)は、そのステップを通過した訪問数
- 「各ステップをつなぐ矢印の数字」(図8黒枠部分)は、前のステップから次のステップへ進んだ訪問数
[目標達成プロセス]レポートを見る際の注意
「目標到達プロセス」のコンバージョン率を見る際の注意点
[目標達成プロセス]レポートには、コンバージョン率が2か所表示されている。このコンバージョン率を見る際に、注意すべき点がある。「目標到達プロセス」のコンバージョン率(図8赤丸部分)は、レポート上部の「目標のコンバージョン率」(図7青枠部分)とは、一致しないのだ。
これはなぜかというと、レポート上部の「目標のコンバージョン率」(図7青枠部分)は分母がサイト全体の訪問数であるのに対し、「目標到達プロセス」のコンバージョン率(図8赤丸部分)は、この目標と目標までのステップのどれかを1つ以上踏んだ訪問全体(つまり図8青枠部分の数値合計)であるからだ。
今回の例では、「目標到達プロセス」のコンバージョン率の計算式は、
158÷(12,685+0+0+0+0)=1.25%
となる。
「左の数字」と「右の数字」の明細は上位5位だけ
また、この各ステップの左右にある、ページの明細はそれぞれ上位5位だけが表示(図8緑丸部分)されているため、これらの明細の数字を合計しても、全体の数値には合致しない(図8青枠部分)。
「必要な手順」にチェックを入れると、「左の数字」はすべてゼロになる
なお、目標到達プロセスの最初のステップの横にある「必要な手順」(図6赤枠部分)をチェックした「目標」の場合は、途中からの流入はすべてゼロ(図8上から2番目以降の青枠部分)になる。
これは最初のステップ1を通過することが前提となり、ここを飛ばして途中から流入するものは除くからだ。図8の例はこれに該当しているため、ステップ2以降、途中からの流入を示す「左の数字」がすべて0になっている。
寄り道はOK
ちなみに、この登録ステップは完全にこの流れに沿っていないと含まれないのかというと、そうではない。たとえば、「ステップ1」→「ステップ2」→「ステップ3」→「目標」という流れで「目標」と「目標到達プロセス」を設定している場合、下記のようなステップを通っても、この流れにすべて1カウントされる。つまり寄り道していてもOKなのだ。
「ステップ1」→「登録外のページ」→「ステップ2」→「ステップ3」→「目標」
途中のステップを飛ばしてもカウントされる
また、「ステップ1」→「目標」のようにステップ2とステップ3を飛ばして直接目標を完了した場合でも、ステップ2とステップ3を通過したことになる。つまり、ステップ2とステップ3にも通過した数としてそれぞれに1カウントされるというわけだ。
閲覧の順番も関係ない
さらに、実際閲覧したのが、「ステップ2」→「ステップ1」→「ステップ3」→「目標」であっても、「ステップ1」「ステップ2」「ステップ3」「目標」のそれぞれに1カウントされる。これは、下記公式ヘルプにも書いてあるので、詳しく知りたい方は、下記を参照していただきたい。
最後は大変細かい話になったが、要はこのレポートは、大雑把に次のステップへ進んだかどうかというのを確認し、ボトルネックの改善に役立てればよいということだ。次回はこのレポートを活用するための他の方法も解説する。
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