CMSのクラウド化でWeb制作の現場はどう変わる? 大手制作会社とCMSベンダーに聞くホンネ

Web制作会社のミツエーリンクスとCMSベンダーのミックスネットワーク双方の視点から聞いた
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高額なCMSのライセンス費用が不要なら、予算に占めるシステムの構築費用の割合を抑えられ、よりコンテンツや運用面を考えた提案へと集中できる
制作会社がクリエイティブな部分に集中できる仕組みを作るのも、CMSメーカーの役割。Win-Winになれる仕組みを作っていきたいですね
取材に応じた、ミツエーリンクスの真中 翔太氏(左)と藤岡 龍太氏(中央)、ミックスネットワークの布施 貴規氏(右)

この数年のうちにさまざまなクラウドサービスが登場し、CMS業界でもクラウドサービスの製品が登場してきている。従来のインストール型のCMSとは何が異なり、どんなメリットがあるのか。制作会社側の視点からミツエーリンクスに、CMSベンダーの視点からミックスネットワークに聞いた。

クラウドCMSで制作会社は提案の幅が広がる

――Web制作においてCMSが必須であるという認識は広がっていると思いますが、予算の限られた中小企業のWeb制作現場でも必要性が浸透しているのでしょうか。

株式会社ミックスネットワーク
執行役員
クラウド事業プロジェクト担当
布施 貴規氏
株式会社ミツエーリンクス
第四本部 第二部
部長
真中 翔太氏

布施 中小企業のお客様は、Webに詳しい担当者がおられない場合もあるので、要望に合わせたCMSを制作会社側で選定して提供することがほとんどだと思います。とはいえ、Webに詳しくはなくても、CMSを使えば、サイト更新の流れが内部でできてコストを抑えられるということや、マルチデバイス対応が行えるという意識はあると思います。

真中 日々の運用を制作会社に任せると、どうしてもコストがかかります。CMSを導入してお客様で細かい修正ができるようになれば、その分のコストが削減でき、予算をクリエイティブな提案やアクセス解析を活用した改善など、よりWeb戦略に近い提案にまわせるようになると考えています。

――そのようななかで、CMSの選定導入にはどのような課題があると考えていますか。

真中 従来のインストール型のCMSでは、コストの面で高い壁があるのかな、と思いますね。サーバーなどのインフラも含めて用意しなければならず、特に中小企業ではサイト構築全体で予算が500万円程度の場合が多いので、初期コストが大きくなりがちなパッケージ製品を使いづらいと思います。また、制作面ではCMSを構築するために開発側と連携していかなければなりません。

――一般的に、低予算のWebサイト制作/リニューアルでは、どのようにしているのでしょうか。

真中 CMSをインストールして開発する費用を抑えるために、Movable TypeやWordPressのような比較的安価なCMSを使って、制作に予算を回しています。

布施 制作会社としては、中小企業のお客様に対してMovable TypeやWordPressを選ぶケースが多いですよね。初期コストを抑えられて、知識やノウハウもあり、情報も豊富であるため選びやすいと思います。

しかし、自分もこれまでWordPressでサイトを構築した経験がありますが、スタートの段階で何をやるのかを厳密に決めておかないと運用で問題となり、後からカスタマイズに追加費用がかかることになるのが問題です。オープンソースは安いと考えているお客様と、後から費用面でトラブルとなるケースもありますね。

クラウドなら予算が限られ、サーバーの仕様が決まっているような場合でも提案の幅が広がる

真中 予算以外にも、お客様のなかには、サーバーなどの仕様が決まっている場合があり、そのスペックに合ったCMSに限定され、最悪の場合は選択するCMSがない場合もあります。このような場合にクラウド型のCMSを使えれば、提案が楽になり、提案の幅も広がっていくと思います。

布施 パッケージ製品と比較し、クラウドサービスは、ソフトウェアやサーバーの調達費用がかかりませんから、初期コストを抑えることができます。クラウドCMSならサーバー費用込みで月額数千円、または数万円から利用できますから、予算の少ない、中小企業向けの選択肢として選びやすくなってきたのではないでしょうか? 100ページ程度のWebサイトであれば、予算150万円の案件でも対応できるケースもあるでしょう。

真中 予算がある程度決まっているなかで提案していくため、カスタマイズ費用を抑えられるというメリットは大きいですね。サーバーにインストールする手間も省けます。また、中小企業のお客様にはシステム担当者がいない場合もあるので、サーバーとシステムがメーカー側で保守運用されるということは、セキュリティ面で安心できるといえるでしょう。

システム側の原価を抑えることで制作会社がやるべきこと

予算全体に占めるCMSライセンス費が小さくなれば、その分を制作費にあてられる

布施 たとえば、全体の制作予算500万円のうち、200万円をCMSのライセンスに使うと、コンテンツの制作費は残りの300万円ということになりますよね。CMSメーカーはそれで儲けが出ますが、制作会社に入る代理店マージンは200万円のライセンスの2~3割ほどです。

しかし、先ほど話したようにクラウドCMSであればサーバー込みで、初期コストを抑えて利用できますから、その分の予算を制作へとあてることができます。

弊社のクラウドCMSであれば年間12万円程度にコストを抑えることもでき、残りの480万円以上を制作費にあてられます。後は戦略次第で、コンペに勝つために価格を抑えたり、要望以上のコンテンツを提案できるようになるでしょう。原価を圧縮することで、提案の選択肢が広がることになります。

値下げ交渉となるとどうしてもコンテンツの制作費が削られやすいのが現状です。その点、クラウドCMSはコスト面のメリットが大きい。戦略的な提案にコストを回せるのは大きなメリットだと思います

真中 サイト構築の予算にはシステム費とコンテンツの制作費が含まれていて、値下げ交渉となるとどうしても制作費が削られやすいのが現状です。その点で、クラウドCMSはコスト面のメリットが非常に大きいと思います。

これによって、PDCAを回すためにアクセス解析ツールを導入して、使い方をお客様に教育するなどの余裕も生まれ、リニューアルの段階で運用面も考えた設計により力を入れられるようになります。これまでは予算内ではできなかった要望も吸収して、お客様に提供することも可能となりそうですね。

布施 制作会社が本来のWebデザインや情報設計に力を入れて、よりクリエイティブな部分に注力できるように手助けをすることもCMSメーカーの役割だと考えています。制作会社の方には、CMSの販売代理ではなく、本来のアイデアやデザイン、情報設計で利益を出してもらえればいいと思います。

また、オープンソースのCMSをカスタマイズして運用していると、新たなデバイスが出てくるたびに新たなことを覚えたり、勉強しなければならなくなります。クラウドであれば、新たなデバイスへの対応はメーカー側が行うので、クリエイティブな部分に集中できます。クライアントも制作会社も、もちろん我々のようなCMSメーカーも本来望む形でメリットを得られ、Win-Winになれる仕組みを作っていけると考えています。

真中 Web制作は作って終わりではなく、常に改善していかなければならないと我々は考えています。こうしたクラウドCMSによってコストが下がり、そのコストをPDCAに回せるのは、大きなメリットだと思いますね。

開発コストが大きく、コンテンツの予算を確保できないため、CMSを導入しても戦略的にPDCAを回せないケースもある

布施 せっかくCMSを入れてホームページをリニューアルしても、戦略的にPDCAを回せていないケースも見かけます。開発に大きなコストがかかるため、コンテンツにかける予算に余裕がなくなり、息切れしてしまうことが原因の1つだと思います。

――クラウドCMSは、やはりコーポレートサイトよりもアクセス数が読みづらいキャンペーンサイトなどでメリットが大きいのでしょうか。

布施 アクセス数などのスケールに合わせ、リソースを最適化して利用できるのはクラウドのメリットの1つですね。しかしキャンペーンサイト以外でも、たとえば美容院などの本当に小規模で個人商店に近いところは、サイト規模は小さくても、予約などの集客のための施策をやらなければなりませんから、予算をなるべくかけずに利用できるクラウドは合っていると思います。

スマートフォンサイト管理の選択肢を広げる

――スマートフォン対応というのも、今後の企業Webサイトの大きな課題だと思われます。

布施 Web制作の現場で今一番の課題は、スマートフォンサイトをどうするか、ということですよね。サイト変換のコンバーターなどを使う場合もありますが、スマートフォンにもしっかりと対応したワンソースマルチデバイスで管理できるCMSを使うほうがスムーズでコストも下げられると思います。

すべてレスポンシブWebデザインにすればよいわけではない。利用環境やターゲットに合わせて情報を伝えていくことが必要

真中 我々は、基本的にワンソースで制作するレスポンシブWebデザインという技術を利用しています。1つのHTMLを修正すればすべてのデバイスに反映でき、表示幅によってデザインを変えられるのですが、現在はお客様の要望として最も多くなっています。

CMSで管理する場合はテンプレートが1種類で済むことになりますね。

ただし、PCとモバイルではターゲットユーザーや、使われる環境、時間帯などが異なるため、すべてをレスポンシブWebデザインにすればよいというわけではないですね。スマートフォンに最適化するページと共通でよいページを見極めて、的確な情報をユーザーに伝えていくことが今後必要になってくると思います。

株式会社ミツエーリンクス
第四本部 第一部
デジタルコンテンツグループ
デザイナー
藤岡 龍太氏

藤岡 CMSの機能でワンソースマルチデバイスを実現するのか、レスポンシブWebデザインでマルチデバイス対応するのか、お客様の選択肢を増やすことができることは重要だと思いますね。

布施 お客様と話をしていると、スマートフォンで目立たせたい情報とPCで目立たせたい情報を変えたいという需要もあります。今はスマートフォンに対応させることを優先して考える場合が多いですが、スマートフォンとPCで情報の出し方や設計を分けられるような道は用意しておくべきだと個人的には考えています。数年先にどのような状況になるかを考えておかなければならないですね。

――PCサイトとスマートフォンサイトを一度に制作する場合もありますが、PCサイトはあるのでスマートフォンサイトを至急作りたいという要望もあると思いますが。

真中 そのような場合は、既存のPCサイトを修正してまでレスポンシブWebデザインにしようという提案は難しいですね。コストメリットを考えると、情報は一元管理しながら新たにスマートフォンサイトを作ったほうがよいと思います。

布施 すでにCMSを使ってPCサイトを運用している場合は、新たにスマートフォンサイトを作る方が安価に済みます。PCサイトの改修も含めるとコストがかかりますから、弊社でもこうした案件では、まずはスマートフォンサイトだけ作ることをお勧めしています。なぜなら、できるだけ迅速にスマートフォン対応をする必要があると考えるからです。

たとえば、弊社のCMSはスマートフォンサイトの構築に対応しており、PCサイトしか持っていないお客様が、月額9,800円でスマートフォンサイトが作れるというだけでも大きなメリットがあると思っています。中小のお客様のコーポレートサイトのスマートフォン対応では、30ページぐらいの案件が多いのですが、PCとスマートフォンのテンプレートが用意されているので、数日でスマートフォンサイトを作れます。その後、PCサイトをCMSに引越せば、マルチデバイスに対応したサイトの情報を一元管理できるようになります。

――ミックスネットワークのCMSには、各携帯端末をプレビュー表示できる機能があります。国内の携帯端末に対応できるのは、国産のCMSならではのメリットと思うのですが、制作会社としてはどのように活用できると思いますか。

藤岡 最終的には実機で確認したほうが確実ですが、実機に近いプレビューで確認が行えるのは便利ですね。

すべての機種でモバイルの検証を行うのは現実的ではない。CMSで検証できると便利に使えそうですね

真中 検証のためのコストが掛けられないような場合、お客様にプレビューで検証を行うことを了承してもらえれば使う価値はあると思います。我々の基本的なポリシーとしては、実機ですべてをチェックすることですが、何千ページもあるサイトをすべての機種で確認するのは現実的ではありません。どの範囲でプレビュー機能を使うかは要件定義で決める必要がありますが、制作しながら検証していくときに使うのにも便利だと思います。

布施 タブレットは7インチが主流になるのではないかと言われていますが、今後はユニークなサイズのタブレットも出てくるかもしれません。弊社のCMSでは、新機種が出た場合も、パッチをダウンロードできるようにしているので、新たな機種が出たときにもすぐに対応できます。一次テストとして、プレビューで検証するのには便利なのではないでしょうか。また、ユーザーがどの端末で訪問したかをチェックし、特定のキャリアや機種専用のコンテンツを表示するといった機種別の設定も可能です。

藤岡 以前に手がけた案件では、特定のキャリアからのアクセスに対しては特定のページを表示させたいというものがありました。そのような場合には便利に使えそうですね。

HTML5/CSS3/アクセシビリティ対応、進化を続けるCMS

――制作会社として、今後のCMSに期待したいことは何でしょうか。

真中 HTML5やCSS3などの新しい技術も出てきているので、お客様がWYSIWYGで入力した情報を新しい技術に対応したソースで出してもらえるように、どんどん対応してほしいですね。また、我々がWebサイトをリニューアルするときには、アクセシビリティのシングルA以上に対応するように検証してますが、お客様がCMSで情報を入れたときにもシングルA以上のアクセシビリティが確保できるようにしてほしいと思います。

国産CMSは自治体や省庁向けに発展してきたので、アクセシビリティにすばやく対応できる

布施 国産CMSの多くは自治体や省庁での利用も多く、アクセシビリティには厳しく対応していると考えてよいと思います。弊社でも、アクセシビリティ対応のオプションを用意し、最新の規格に対応できるようにしています。

また先ほども話したように、国産の携帯端末にいち早く対応できるのは国産CMSならではの特徴ですね。予算やリソースに余裕がない中小企業において、検証作業を行うのは容易ではないですし、それにクラウドなら新しい技術にもすばやく対応できますから、大きなメリットになると思います。

真中 布施さんの話を聞くと、クラウドCMSは今後提案しやすいと思いましたね。システム側の予算を圧縮してコンテンツ制作に予算を回せるようになれば、制作の品質をもっと高めて、さまざまな技術をお客様に提供できます。今後は、お客様への提案の1つとして選択することが増えていくと思います。複数のプラットフォームをテンプレートを分けて1つのURLで管理できるだけでも、大きなメリットがあると思います。

布施 弊社のPUBLIS Cloud Platformには、ソーシャルメディアと連携するプラグイン、GoogleやYahoo!のサービスと連携するプラグインなど、多彩なプラグインが提供されています。今後は、プラグインの数を増やしていくとともに、制作会社さんが作ったプラグインを登録してもらってお客様がダウンロードできるようなサービスも展開していこうと考えています。

データベースや基幹システム、ECなどとの連携も可能にし、長い間使っていただけるCMSを目指していきたいですね。

マルチデバイス対応した小~中規模サイト向けクラウドサービス
「PUBLIS Cloud Platform」

「PUBLIS Cloud Platform(PCP)」は、マルチデバイス対応した小~中規模サイト向けクラウドサービス。PCPは、Webサイトをページ単位のテンプレートではなく、ページを構成する各要素をブロックとして管理することができます。そして、このブロックをPCやモバイル、スマートフォンといったデバイス単位で切り分けて出力整理することが可能です。

さらに、スマートフォンに特化したデザイン設定も行うことができ、スマートフォンに最適化したWebサイトをCMSによる簡単運用で実現することができます。

今後続々と登場するスマートフォンは、ディスプレイサイズはもちろん、若年層向け、一般向け、そして高齢者向けなどの各ユーザー層に特化し、さらにバリエーション豊かなラインナップになっていくと見られていますが、こうしたスマートフォンマーケットの多様化にも対応が可能です。

株式会社ミックスネットワーク

  • 設立:1997年8月7日
  • 代表者:代表取締役 吉川 隆二
  • 住所:【東京本社】東京都千代田区神田神保町1-11-1 DSM神保町ビル 4F
  • 【福岡本社】福岡市博多区博多駅東2-6-26 安川産業ビル 8F
  • 【関西支社】大阪市淀川区宮原5-1-18 新大阪サンアールセンタービル10F
  • 【沖縄センター】沖縄県那覇市久茂地2-8-1 沖縄第27大京ビル 6F
  • URL:http://www.micsnet.co.jp/
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