はじめての中国EC “どうすりゃいいんだ?”指南

売れているのに空室だらけのマンション

売れているのに空室だらけのマンション

中国の不動産の価格がここ2~3年前で急激に高騰している。特に、国内の主要70都市は2010年1月から3月の3か月間で月ごとに平均して10%上昇した。

不動産価格の急激な高騰の背景にあるものとしては、投機目的による国内の不動産購入の過熱化が挙げられる。経済成長に伴い不動産価格も上昇するだろうと考えた資本力のある現地人がマンションなどを購入し始め、さらに市場の活性化と共に増加してきた富裕層がその競争に参加し始めた。積み重なっていく購入と売買の連鎖より、現在の中国版「不動産バブル」が生まれたのだ。

特に住宅用不動産の高騰が顕著である。身近な話しで失礼だが、2001年に都市圏にある100m²のマンションを60万元で購入したが、今年2月には240万元で売却できた。上海は富裕層が多いことから部屋を購入して住居として使用することも多いが、地方・郊外のマンションに関しては、今後の都市の発展に伴う値上がりを期待して購入している場合が多いため、“実際には人が住んでいない”という意味での空室率は高い。

今後は住宅から商業用不動産の動向に注意

この不動産バブルを抑制するために、中国では国と各都市が引き締めを行う動きが進んでいる。

たとえば2011年2月には、上海や南京東部、ハルビン東北部の都市で、住宅用不動産の売買における条例が出された。「住居を持つ地域に所属しておりかつすでに2棟以上住宅用不動産を所有する家庭と、所属していないが1棟所有する、また、社会保障や所得税を1年間未納付の家庭」について、新しい住宅用不動産の購入を禁止するものだ。

さらに、同時期に北京でも5年連続で社会保障や所得税を支払っていない家庭のさらなる不動産の購入を禁止している。

これらの施策を契機に、各都市で引き締めが行われ、国としても住宅ローンの貸付金利を上昇させた。そうした施策が功を奏したのか、中国の主要70都市のうち12都市で、2011年6月度の不動産価格が下落したと中国国家統計局が7月18日に発表している。とはいえ、住宅用の購入が引き締まった分、商業用へ投機が流れており、さらなる不動産バブルが発生するのではないかと国は注視している。

現在の価格感としては、1LDKの賃貸マンションの家賃は上海では5000元(約6万円)、購入すると約250万元(約3000万円)程度だ。弊社セールスインチャイナの上海の事務所は、120m²程度なので、家賃は1万4000元/月ほど。購入するとおそらく600万元かかる。

1000元の部屋を10人で住む若者

これらの価格を聞いて「あれ? 意外に安いな……」と思った読者もいるだろう。現在のレート1元=12円)で考えると家賃にしても日本円にして6万円だ。

しかし、そもそも日本よりも物価が安いのが本来の中国だ。たとえば、コンビニエンスストアのおにぎりの値段は2元から3元(約24円から36円)であり、日本に比べたら4分の1から3分の1の物価である。それでも地域格差はあるが、中国一の商業都市である上海で大卒の初任給は平均3000元から3500元、20代の社会人が都市圏で生活することは難しい

また、EC市場で主要ターゲットになる若者に関しては、10年前から就職難が問題となっている。理由として、市場が成長しているので大卒の求職者の条件が上がる一方で、高待遇を出している企業が少なくアンマッチが発生しているためだ。

さらに、地方出身者に対する新しい雇用施策が問題に拍車をかけている。以前は、地方出身者の福利厚生が安かったため企業は雇用しやすかったが、新しい雇用政策によって地方出身者(農村戸籍)でも都会出身者(都市戸籍)と同様の福利厚生を設定しなければいけなくなり、企業は都会出身者(都市戸籍)を優遇しだしたのだ。

そういった事情により現在の中国では、職につけない、または希望に合致した労働環境で働けない地方の若者が多く、その大半が月1000元の部屋に10人で住むなど、シェアで生活している。

※大学卒業者の就職率は2010年7月に72%だったが2011年には90.7%まで回復したと人力資源社会保障部の尹成基報道官が2011年1月25日に発表したが、現状を考慮すると国内外問わずこの数字に疑問を持つものは少なくない。

支出を抑えての価格維持がポイント

では、本筋の中国ECに話を戻そう。日本企業の中国進出に際してここで考えなければいけないことは、自国の感覚で製品の値段設定をすると物価と見合わず中国に価格を合わせると収益をあげられないという矛盾をいかにして解消するかである。

今後、商業用不動産の価格上昇が予想されるなかで、単価が低い商品、特に佳子が参入しようとしている若者を対象にしたアパレル業界では、対象層の所得を考慮すると売価を上げることはできない。しかし、不動産の価格が高騰しているため、もし実店舗で展開するとテナント料が余計にかかり、低価格帯で維持することは難しいだろう。

そこで重要になってくるのは、いかに効率よくコストをカットし、価格に反映させていくかである。進出当初から大規模に事業展開をすれば、短期スパンで収益を得られる可能性はあるがリスクは大きい。それならば、支出をとにかく削りながら価格を調整していき、長期的な事業戦略を構築するほうがリスクは低く、市場変化に適宜対応できるため成功する可能性も高くなる。

中国で成功するためには「長期的な販売戦略が必須である」ことへのロジックはここにも存在するのだ。

ここから始まります
セイ「反応が正直ね」
セイ「こっちは物価が安いから十分やっていけるのよ逆に日本が凄く高く感じるわ」
佳子「話聞いてて、こっちの人たちがものによって出す価格感が分かった気がします」
ルル「テナント料も高騰してるし、佳子ちゃんの会社のアパレルの価格帯ならこっちでお店出しても黒転するのかなり先になる。佳子ちゃんが思ってた日本での価格感でいくと多分上手く行かなくなるわよ」
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