企業ホームページ運営の心得

計画停電に備えるWeb担当者の心得

ネットの情報発信は企業の死活問題に発展することもあり、節電に加えて停電の対策が必要です
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の弐百九

ドキュメント3月17日

本稿執筆時(3月19日午前9時)までに、1日2回の計画停電が実施されたのは東京23区内では荒川区と足立区のそれぞれ一部だけ。弊社は見事にその対象でした。

「首都機能維持」のために都心が計画停電の対象から外されているのはわかります。しかし、2回目の停電の最中「山手線」の車内がガラガラだと友人からメールが届き嘆息します。被災者を思えば計画停電は苦になりませんが、空気を運ぶ山手線など「内回りだけ」にしろといいたくなります。

「無停電地域」にお住まいの読者は「カンケーネー」と思うかもしれませんが、ある都心の出版社は節電のため可能な社員を「在宅勤務」へとシフトし、知り合いの編集者は「停電地域」で仕事をしています。また、制御不能の「大規模停電」の懸念は払拭されていません。つまり東日本、とりわけ関東近郊にいる限り「停電」は他人事ではないのです。

ノマドワークのススメ

計画停電は「節電」が目的ですから不要不急以外の仕事なら停電を甘受すべきでしょう。しかし、「ネット」での情報発信は企業の死活問題に発展することもあり、私たちWeb担当者は停電を理由に思考停止することは許されません。まして「計画停電」の対象エリアになれば停電は日常です。そこでまず用意するのは「自転車」です。

停電になると町中の信号機が止まり幹線道路は混雑します。確実で迅速な移動手段は自転車です。そして「別グループ」に移動します。弊社は第5グループに属しますが、5分も走れば第4グループ。ここでは電気もネットも使えます。緊急時のために別グループに属する取引先や、スタッフの自宅などを「支店」として確保しておいてください。近隣に取引先などがない場合は「マクドナルド」もオススメです。「BBモバイルポイント」に契約し、無線LAN機能が付いたノートパソコンを持ち込めば臨時オフィスに早変わりです。もちろん、長時間の客席の占有は店の迷惑、節度を持ってご利用してください。

停電でも通話ができる方法

停電時の緊急作業は無停電地域に住む在宅スタッフに電話で指示を出します。停電するとIP電話は使えません。ネットを経由するスカイプなど論外です。携帯電話もつながりにくくなります。携帯電波の基地局の一部が予備電源を持たないためとされますが、電気の消えた不安感から誰かと会話をしたくなるのも理由でしょう。この時、役立つのがメタル回線通話、いわゆる「固定電話」です。

NTT東日本によると、固定電話の基地局内は予備電源を備えており停電時でも通話は可能です。かつての「黒電話」のように電源が必要なく、電話回線に流れる電気によって通話ができる機種かどうかもチェックしておくといいでしょう。非常事態にアナログは強いのです。

携帯の予備電源

節電は大切ですが、経済活動を正常化するためにも仕事に穴を空け続けてはいけません。災害時にも情報発信を続けた、Webサイトを支えるためにもWeb屋として全力を尽くします。

計画停電が実施されている今、仕事に穴をあけないためには通信手段の「死守」がなにより大切です。しかし、集合回線のオフィスやマンションでは停電時の通信手段は携帯電話だけです。そこで、バッテリーが切れてしまったら……という時のために「携帯用USB電源コード」を用意しておけばノートパソコンが予備電源に早変わりします。100円ショップでも売っており「保険」としては安いものです。

社名ドメイン宛てに届くメールもGmailなどに転送しておくとよいでしょう。情報漏洩防止の観点からメール転送を許可していない企業もありますが、停電時でも携帯端末から閲覧でき、緊急時に対処できるメリットは侮れません。また、携帯電話から投稿できるブログやツイッターを自社サイトのトップページに設置することで、停電時の「緊急告知」ができるチャネルの確保も必須です。

停電は最大で3時間ですが、通電時も「ネット」が不通になることがしばしばあります。通信会社の中継地点が停電して回線が止まるのです。計画停電の時間中は、当該グループでない時間帯も油断できません。

節電は毎日

東電は1日2回停電した理由を「エアコンの使用が増えた」と説明しました。当日は平年より気温が低く、それによって電力需要が高まったというのです。そこで節電できる「寒さしのぎ」の提案です。ホットカーペットなどの下に敷く「アルミ蒸着断熱保温シート」をイスに敷き、その上にブランケットを掛けると「コタツ並み」の暖かさを得ることができます。実際に弊社ではこの方法でこの冬はエアコンを使わずに乗り切りました。震災前から、エアコンの使用を極力抑えているのは、蕎麦屋がそば粉を大切にするように、Web屋にとって「電気」は大切な商売道具だからです。

他にもデスクトップからノートへ、ネット閲覧やメールだけならネットブック、スマホへと「画面」のダウンサイズで節電できます。単純に画面の大きさと消費電力は連動し、私のデスクにある「iMac 27インチ」は、私と専務を隔てる「ついたて」として活躍しています。

計画停電は無計画

停電時、事務所のレイアウト変更をしました。引っ越しして1年半、「暫定処置」として放置してきた屋内配線を見直す良い機会でした。個別のスイッチの電源タップで「常時使用」と「適時使用」を区別し、内臓電池の充電のためだけに通電していた創業時の愛機「ブルー&ホワイトのMacG3」を倉庫にしまいます。普段できない仕事に取りかかれるのは、停電ならではのメリットと前向きに捉えます。

Web担当者の作業は「日中」「平日」に縛られる必然性は高くありません。そこで電力に余裕のある夜間や土日に勤務シフトをスライドするのも節電方法です。本稿は電力需要の少ない「3連休」に執筆し、「ついたて」を使う作業は深夜か早朝に割り当てています。

当初、東電は計画停電のエリアを変更しないとしていましたが、夏には千代田、中央、港区を除いた20区での停電を示唆しています。暑くなればエアコンの使用が増え、電力需要に供給が追いつかないからです。昨年の猛暑を思い出せば「停電」は眼前のリスクです。それを回避するには「節電」を、そして「停電」の備えあれば憂いなしです。

今回のポイント

連絡、通信手段を確保しておくこと

なによりも節電を

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