企業ホームページ運営の心得

政治の世界で見つけたWeb屋の飯のタネと日本の未来

政治の世界ではホームページの活用が十分ではなく、地方ではブログだけでも広報に大いに役立ちます
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の百九十弐

ITの力を実感

ある地方都市の支所(出張所、区民事務所)では、地元選出の地方議会議員の「ブログ」をチェックしてから月曜日の朝礼がはじまるといいます。役人が政治家に弱いのは中央も地方も同じで、ざっくりといえば役人が作った法律や条令案の「可否」を握るのが議員だからです。しかし、この支所が議員のブログをチェックするのは、地元情報を収集するのが目的。支所から離れたところに自宅を構えている職員が多く、地元で活発に活動する議員のブログで休日の「職場周辺情報」を効率よく拾うためです。

来年は統一地方選挙です。与党の迷走を見ていると「ネット選挙解禁」どころではなさそうですが、ネットは選挙に欠かせない「インフラ」となりつつあるのは衆目の一致するところでしょう。ところが、いまだに「ホームページ」の活用は十分ではありません。ここにWeb屋の飯のタネと日本の未来を見つけます。

4年に1回の祭り

統一地方選挙とは、戦後の新憲法発布前に首長や議員を揃える必要から行われ、歴史的経緯から沖縄県以外の日本全国で任期満了の4年ごとに行われています。各政党には選挙区や市区町村ごとの「支部」があることが多いのですが、すべての支部がホームページをもっているわけではなく、その有無と政党の大小は重なりません。

巨大政党となった与党の支部は地域で異なり、ホームページが開設されていない支部も多数確認しています。なお同党の「元IT企業社長」という肩書きを持つ衆院議員が支部長を務める地域にもホームページはありません。一方、イデオロギー色の強さから退潮著しい政党が、地域活動を紹介する充実したサイトを公開しているのはホームページの妙味です。

高速ブロードバンド時代だから

冒頭の地方議会議員のブログは、地域活動で廻った先での人物や風景の「写メ」にひとことコメントを寄せるだけの簡単なものです。投稿はメールで行います。政治家は選挙期間しか仕事をしないというのは嘘で、24時間、365日が「選挙活動」ですから地元のイベントや会合、勉強会へと足繁く通います。こうして「撮り貯めたブログ」へのアクセスは1日2,000PV、ユニークユーザーで800人を越えることもあり「広報媒体」としての役割を十二分に果たしています。携帯電話からでも容量の大きな画像を送れる時代になったことも成功の理由です。

時代はツイッターというのは何度も繰り返していますが、一部のヘビーユーザーの意見に過ぎません。また、地方議会議員のつぶやきを追いかける暇な市民は少なく、「ネットの住民」も知名度の低い地方議員のつぶやきなどネタにもしません。しかし、「写真ブログ」なら「モデル(被写体)」自身がみることも期待できます。ケータイ版を用意していれば効果は倍増。こうした「接点」が無党派層の投票行動に大きく影響します。

議員は個人事業主

ある選挙の投票日。「誰に投票しても同じ」と訳知り顔の亭主の発言に妻が「少年野球大会の開会宣言をした議員」を思い出します。ネットで検索すると、開会式の写真がすぐに見つかりました。人は接点に親近感を覚えます。ブログで何万票も増えることはないでしょうが、地方議会議員の場合、わずか数票が当落を分けることがあるのは議員当人が一番知っていることです。そして「写真ブログ」なら、簡単に開設できます。統一地方選挙を前に「ネットインフラ」の整備はWeb屋の飯のタネになると睨んでいます。

地方議会議員と知り合うのは簡単です。多くが個人事務所を開いていますし、「後援会事務所」という看板をあげている会社や家人に声をかければ紹介してくれます。ただし、ビジネスとしての取引を希望するなら、「議員」と直接のコネクションが絶対条件です。議員は「個人事業主」で、決裁権は議員にあります。また、スポンサー気取りの後援者も多いのですが、その中には相当数の「フカシ」がいるので徒労に終わることも少なくありません。ご注意ください。

ネット世論について

2010年の参院議員選挙を前に「ネット選挙解禁」が話題となり、私も何紙かの新聞にコメントを寄せました。ネットユートピア論に立つ人はリスクを怖れずに解禁せよという主張をしましたが、私は「政治不信につながるリスク」の警鐘を鳴らしました。それは「リアル世論」との乖離です。

2009年の衆院選前のネット世論(せろん)で自民党は健闘していました。2010年の民主党のお家騒動的代表選挙でも小沢一郎氏の有利を語ったのはネット世論です。ネット世論は調査方法が「ネット利用者」であり、モニター登録していたり、特定のサイトに入り浸っていたりする「一部の意見」に傾く性質を内包しています。そこから、ネットの住民の意見と乖離した選挙結果がでることは前述の2つの選挙が結論をだしています。こうした性質が周知されずに、盲目的に解禁へとなだれ込んだ先に「政治不信」が高まると見ていたのです。

ちなみに議員との接点ができると「空論」の楽しさと虚しさを知ることができます。

本来の政治は身近なもの

街角ではポスターや看板が「新調」され選挙が近いことを実感します。ネットを本格的に活用するとなれば、いまからでも遅いぐらいだということはWeb屋なら理解できるでしょう。さて問題は「費用」です。政治家が皆、金持ちというのは貧乏人のひがみで、真面目に政治活動をしていると、お金がいくらあっても足りないというのは本当です。私はここで未来の日本を重ねてしまいます。さて、質問です。

あなたは、旨い汁をすすれますか

ある国会議員のポスターやDMを手がけたデザイナーは激務をこぼしました。深夜に呼び出されデザインを変更し、印刷寸前に写真を撮り直すこともあったといいます。そこで「実入り」について尋ねるとニンマリと笑います。私が「その議員が所属する政党支部のホームページを作った」と話すと、同じ質問を返してきたので正直な金額伝えると「絶句」しました。損はしていませんが「政治に金がかかる理由」の1つをなくせたことは、未来の日本人への小さな自慢です。

今回のポイント

ホームページがあまり活用されていない業界が「政治」。

プロの技術で政治にIT革命を。

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