BtoBメーカーのウェブ活用

BtoBで活用できるウェブの特性①:制約のない情報発信

BtoBで活用できるウェブの特性①:制約のない情報発信

制約のない情報発信とは、情報量や場所・時間の制限を受けないことを指している。例えば電子部品事業であれば、ウェブは、何万、何十万という部品点数を全て格納することができる。さらに、部品それぞれについてのカタログ基本情報、アプリケーション情報、CADデータ、技術情報を、情報スペースの確保に頭を悩ますことなく、掲載が可能だ。ちなみに、オンライン書店のAmazonで芸術書などの非売れ筋商品の売上が高いことを指すロングテールは、情報量に制限のないというウェブの特徴に基づく現象だが、BtoBメーカーのウェブ閲覧ログやウェブ経由の問い合わせ内容でも、明らかなロングテールの傾向が見て取れることが多いので、読者諸氏も自社ウェブサイトの傾向をしっかりと分析してみることをお勧めする。

ウェブを通じた情報発信が場所の制限を受けないことも、顧客への物理的リーチが弱いBtoBメーカーにとってはありがたい特徴だ。販売網が充実している国内とて、大半のBtoBメーカーの営業拠点は、全国を隙間なく埋めるものではないはずだ。結果的に営業マンが外回りにかける工数はそれなりのものとなる。当然のことながら、営業マンは拠点からそう遠くない顧客に注力するため、情報提供の密度は地域に拠って偏りが出てしまう。だがウェブサイトは、情報のやり取りにおいて物理的な距離の制約を全く受けない。ウェブサイトに情報を置いておきさえすれば、場所に関係なく必要な時にお客様から飛び込んでくるため、これまでならば、ニーズがありながらも物理的接点の不在に阻まれていた顧客との関係を、新たに構築できるようになってきたのである。

また、企業の対外コミュニケーションが時間の制約から解放されたということは、対外コミュニケーションの稼動率が飛躍的に向上したことを意味する。世界中のユーザーをターゲットにしたグローバルサイトのアクセス状況を見れば、24時間・365日の絶え間ない閲覧が確認できるはずだ。

このように、企業の対外コミュニケーションは、情報量・場所・時間の制限を受けないウェブの登場で、情報を伝達できる範囲が格段に広がった。顧客は、その製品・会社に興味を持った瞬間に、どこにいようと、どの時間帯であろうと、ネットのアクセスさえあれば、好きなだけその製品・会社に関する情報を引き出し、調べつくすことができるのである。制約のない情報発信の本質は、「鉄は熱いうちに打て」と言われるように、顧客がその製品・会社に興味を持った瞬間を確実に捉えることで、顧客の興味が冷めないうちに次のステップに持ち込めることにあると言えよう。

表1 制約のない情報発信
開放された制約 具体例 メリット
情報量 全製品の情報 ニーズの低さから十分なカタログを用意できなかった製品も掲載が可能
過去製品情報 販売は終了したが使われ続けている製品の情報は、故障などをきっかけに重要な顧客接点となる
製品マニュアル 長期使用の中で紛失したり、必要な時に手元にないリスクに対し、いつでもウェブにある安心感を提供できる
FAQ(よくある質問) 顧客自身による問題解決をサポートすることで顧客満足度も、サポートの負担も改善する
場所 拠点のカバーが薄い地域への情報配信 訪問・コンタクトが難しいゆえに埋もれていたニーズを発掘できる
時間 営業時間外の情報配信 24時間・365日アクセス可能ゆえ、顧客が興味を持った瞬間に情報提供できる

BtoBで活用できるウェブの特性②:双方向性機能

ウェブのもう1つの特徴は双方向性にある。情報が一方通行ではなく、顧客の要求に応じた反応を返せることがその意味だが、BtoBメーカーのウェブサイトにおいて重要な役割を果たす双方向性機能は、製品選択支援やシミュレーション、そしてサポート系ツールである。

製品選択支援と一言で言ってもその可能性は様々だ。最もオーソドックスなのは、例えば電子部品を選択する場合に、スペックなどの諸条件を入力することで、最適な部品を提示する機能であろう。また、最近は比較機能も実装されるようになってきた。これにも色々な種類があり、自社類似製品との比較のみならず、過去製品や他社製品との比較まで行えるものもある。また取り付け可能なオプション品を選べる機能や取り付け後の見積もりを行う機能は、PCサイトでおなじみだが、海外のBtoBメーカーサイトでも見かけるようになってきた。

シミュレーションもウェブの登場によって気軽に利用ができるようになった双方向性機能だ。シミュレーションの操作はウェブ上で実施することもあれば、シミュレーションソフトをダウンロードさせて、ユーザーのPC上で実施させる場合もある。機械のライフタイムコスト、購入・リーシング費用、性能チェック等が典型的なシミュレーションだが、CADデータを提供し、簡易的に設計を行ったり設置・稼動にムリがないかのチェックを支援することも、広い意味でシミュレーション機能と言えるだろう。

このような複雑なやり取りは従来であれば、営業マンに尋ねた後にしばらく時間をおいて回答があったり、営業マンが持ち歩くPC上でシミュレーションを行っていた訳だが、営業マンを介していては、時間がかかったり、設定条件の数には限度があるなどの制限があった。いつでもどこからでも存分に試してみることが出来るウェブ上のシミュレーションは、顧客の興味を冷めさせない上で、重要な役割を果たすはずだ。

表2 双方向性機能
双方向性機能 具体例 メリット
製品選択支援 条件入力による製品選択 機種名、用途、要求性能などによる検索で、膨大な製品群の中から適切な製品を探しだせる
自社製品比較 複数の類似製品から、より適切な製品を見つけることができる
過去製品比較 今使っている製品と比較すれば、検討製品の性能がイメージしやすい
他社製品比較 購買プロセスにおける競合比較の資料作成が容易になる
シミュレーション 製品のライフタイムコスト 購入後の試用期間をも含めたトータルの費用を簡易的に知ることができる
オプション取り付け・見積もり 膨大なオプションの中から取り付け可能なものを選択し、総費用をチェックできる
購入・リーシング費用 支払い条件の設定で購入・リースにかかる費用がわかる
性能チェック 特定条件下での性能をチェックできる
サポート 部品購入 必要な部品の検索・購入がいつでもできる

第1回 ウェブ活用の現状と可能性
第2回 企業購買プロセスのウェブ化(1)
第3回 企業購買プロセスのウェブ化(2)
第4回 BtoCウェブサイトに学ぶ
第5回 連結視点とグローバリゼーション

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※この記事は、社団法人日本産業広告協会(IAAJ)の発行する月刊誌『産業広告』に掲載の連載を、著作権者の許諾を得て転載しているものです。

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