国内1700サービスの統計にみる
レンタルサーバーの基本情報としては、使用されているOS、管理ツール、バックアップ、転送量制限などがある。専用サーバーや仮想専用サーバーでは、用途によっては使用するOSが制限されることもあるので、事前に動作環境を確認することが重要だ。
また、管理ツールやバックアップの有無は、操作性に影響するものであり、これも検討する上で重要な要素となる。
TEXT:レンタルサーバー完全ガイド編集部
OSはLinuxを中心にUNIX系が多数を占める
レンタルサーバーでは、広く一般に使われているプログラムは、標準構成としてインストールした状態で提供される。たとえば、スクリプト用プログラムのPerlやPHP、オープンソースのデータベースソフトのPostgreSQL、またはMySQLなどである。しかし、ブログ作成ツールやグループウェア、サイト構築ツールのXOOPSなどは、標準構成としてインストールされるものはほとんどない。
この場合でも、専用サーバーや仮想専用サーバーであれば、各自でインストールすればよいが、プログラムによっては特定のOSでなければ使用できないものや、動作保証が行われないということもある。そこで、使用するプログラムの動作環境を調べ、動作保証、あるいは動作確認されているOSを使用したサービスを選択しなければならない。ここでは、レンタルサーバーで使用されているOSを調べてみた(グラフ1~3)。
サーバータイプにより多少傾向は異なるが、Linuxが多く、大半をUNIX系が占める。 共用サーバーでは、独自にサーバー用の基本プログラムをインストールすることは、まずないが、別のレンタルサーバーから移転するような場合には、移転先のPerlのパスが異なり、スクリプトの修正が必要な場合もある。
また、専用サーバーや仮想専用サーバーでは、Linuxとはいってもディストリビューションによりディレクトリ構成が異なったり、動作保証されないものもあるので、ディストリビューションが何であるかの確認はすべきだ。
Windowsを使用している社内のワークグループサーバーをレンタルサーバーに移行する場合には、当然Windowsでなければ新たにシステム構築が必要となるなど費用がかさむ。目的、環境に合わせて選択するしかないが、Windowsが使えるサービスは少数だ。
管理コスト削減のためには、管理ツールが提供されるかをチェック
レンタルサーバーでは、「管理ツール」または「コントロールパネル」と呼ばれるツールが提供されていることがある。専用サーバーや仮想専用サーバーでは、ターミナルによるコマンド操作でよければ、SSHが使用できればよい。しかし、コマンド操作によるサーバー管理は誰もができるものではない。そのため、GUIで管理操作ができるようにするものが「管理ツール」だ。管理ツールは、コマンドによる操作ほど専門性を要求されるものではないが、複数の種類が存在し、操作方法やメニュー構成が異なる。また、レンタルサーバー事業者独自の管理ツールが提供されている場合もある。要するに「慣れ」の問題ではあるが、操作性の良い管理ツールが使用できるに越したことはない。管理ツールを利用することで一般的には操作性が高まるし、高い専門性をもった管理者でなくても操作できるので、管理コストの削減も可能となるからだ。
管理ツールの多くはウェブアプリケーションの形式をとっている。レンタルサーバー事業者によっては、その操作性を確認するためのウェブページが用意されている。契約の前には、こうしたページを見て、実際に操作してみるとよいだろう。製品として販売されている管理ツールなら、開発元や販売元でこうした体験用のサイトが用意されていることも多い。
サーバー側でのバックアップは必要か?
バックアップの重要性は改めて述べるまでもない。しかし、その方法、重要度は、さまざまだ。たとえば、情報公開を目的としたウェブコンテンツであれば、コンテンツファイルをクライアント側にバックアップしておけばよいだろう。しかし、サーバー側のデータが随時更新されるデータベース等であれば、サーバー側でのバックアップが必要となる。 こうしたシステムでは、ユーザーが任意のタイミングで最新のスナップショットを撮り、必要となった段階でリストアーすることができるようになっていないと不都合だ。 こうした要求に応えられるレンタルサーバーはどれだけあるのか調べた。グラフ4を見てほしい。
共用サーバーでは、半数近くが「未提供」だ。「非公開」も2割強を占める。無料でこれを提供しているのが2割強、「有料」も1割に満たないという状況にある。
専用サーバーでは、それぞれの選択肢が1/4ずつといった状態。仮想専用サーバーでは、7割弱が「無料」となっている。
バックアップはレンタルサーバー事業者にという選択肢も
データバックアップをレンタルサーバー事業者側で行っているサービスもある。そこで、データバックアップサービスの状況についても調べてみた(グラフ5)。
共用サーバーでは、ユーザーによる復旧用とは異なり、半数近くが無償でバックアップサービスを提供している。専用サーバーでは、「無料」「有料」の双方を合わせると半数程度がバックアップサービスを提供しており、仮想専用サーバーでもほぼ同様だ。
HDDのクラッシュは、その頻度は別として起こり得ることだ。その中でバックアップサービスがないということは、データの保全はユーザーが行う必要がある。したがって、バックアップサービスがないサービスを使用する場合には、どのようにして、データを保全するかを事前に検討しておく必要がある。
この記事で紹介したレンタルサーバーの調査データは、インプレスR&Dの発行する『レンタルサーバー事業者調査報告書2007』に掲載されているものをベースにしている。
調査報告書『レンタルサーバー事業者調査報告書2007』では、レンタルサーバー事業者を、サービス内容に応じて、専用サーバー、共用サーバー、仮想専用サーバーに分類し、さらに価格帯、ハードウェア仕様、ネットワーク仕様、運用体制、セキュリティー関連サービス、アクセスログ解析機能、ショッピングカートや決済代行などの付加サービスを詳細に分析、前年度データを使った時系列の分析も行っている。
調査対象企業一覧とそのサービス内容も掲載しているため、レンタルサーバー業界の需要や傾向はもちろん、提供事業間のサービス競合研究などにも役立つ。
本調査は、事業者に対する調査とユーザーに対する調査の2つからなっている。事業者調査は、2006年12月に、国内のレンタルサーバー事業者280社(1,733サービス)に対して、ウェブを使った調査を行った。
また、利用者へのアンケート調査は、個人および会社でレンタルサーバーを利用している2,050サンプルに対して行った。
『レンタルサーバー事業者調査報告書2007』に関する詳細情報や目次などは、こちらから。
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