ネットショップ担当者フォーラム

SNS、リスティング広告、プレスリリース――自社ECに適した宣伝方法を 「卒塔婆屋さん」の事例で解説【宣伝戦略フェーズ】 | 「卒塔婆屋さん」の「鬼塾」

4 years 2ヶ月 ago
卒塔婆のECサイト「卒塔婆屋さん」の谷治大典店長が自社の実例を踏まえてECサイト運営について解説。5回目は宣伝手法や自社に合う方法の見つけ方について【「卒塔婆屋さん」の「鬼塾」:連載5回目】

卒塔婆のECサイト「卒塔婆屋さん」で実践してきたリスティング広告、SNS、プレスリリース、マスメディア(テレビ・ラジオ)などの宣伝手法をご紹介しながら、宣伝戦略についてお伝えします。

1.リサーチより、まずは少額でも始める

宣伝手法はさまざまなものがあり、ターゲットや商材によって向き不向きがあります。「卒塔婆屋さん」で効果が出たからといって、その手法が他のお店にそのまま横展できるかと言えば、実践してみなければわかりません。

「どんな宣伝手法を採用すればコンバージョンにつながるのか」とまずは考えましょう。私は、リサーチに時間をかけるよりも、まずは少額の予算でさまざまな手法を試してPDCAを回し、最終的に効果が上がった方法に広告宣伝費をかける方が効率的だと考えています。

これはただやみくもに宣伝をするという意味ではなく、きちんと仮説を立てた上でさまざまな手法を試していくことが重要です。

「広告宣伝費にお金をかけない」という方法ももちろんあります。しかし、ECサイトを立ち上げた直後はSEO的に上位表示することは厳しく、サイトへの流入は見込めません。

初速をつけるためにも、最初は広告宣伝費に予算をつけて、サイト流入が増えてきたら宣伝費を削っていくというやり方が良いでしょう。最終的には宣伝をしなくてもブランドが確立し、SEOも強くなればサイト流入は増え続けていきます。

2.宣伝する目的を明確にする

宣伝をする目的は何でしょうか? 「ECサイトの認知を獲得する」「流入を増やす」「売り上げを伸ばす」などが真っ先にあがるでしょう。しかし、これらは目標であり、目的はその先にある利益を伸ばすことです。認知・流入・売り上げは利益を伸ばすための通過点に過ぎません。

投資に対する利益(ROI:Return On Investment)を計測できるような仕組みを整えておく必要があります。

たとえば、売り上げが100万円、原価が30万円、投資額が20万円だった場合、利益は100万円-30万円-20万円=50万円で、ROIは50万円÷20万円×100=250%となります。ROIが高ければ高いほどより、少ない投資で大きな利益を計上したことになります。

この場合は投資全体ですが、宣伝費を投資額ととらえれば同じように計算できます。

ただし、ROIという指標は短期的な効果に目が向いてしまいがちです。長期的なブランドの確立、見込み客の獲得など数字に表れない部分の効果測定には向いていないことに注意してください

ブランドの確立や見込み客の獲得といったことは宣伝ではなく、コンテンツの充実など別の方法を検討するのが良いでしょう。

大手企業は商品の広告ではなくイメージ広告をよく打ちますが、中小零細企業ましてや立ち上げたばかりのECサイトでは、まずは「いかに売り上げと利益を増やしていくか」に集中することが得策です。ブランドやイメージはコンテンツを作りこんで確立していきましょう。

3.宣伝の手法と「卒塔婆屋さん」の実例

それでは、「卒塔婆屋さん」で実際に行ってきた宣伝手法をどんな仮説をもとに行ってきたのか、結果とあわせて紹介します。ここでのメリット・デメリットは実際に運用してみた感想です。

リスティング広告の運用

リスティング広告とは

リスティング広告とはユーザーが検索したキーワードに連動して掲載される広告で、次のようなものがあります。

  • 検索結果一覧に、テキストで表示される検索広告
  • ニュースサイトなどにバナーで表示されるディスプレイ広告
  • 検索結果一覧に、商品が表示されるショッピング広告
  • YouTubeに表示される動画広告

これらの広告は表示されただけでは課金されず、クリックされた時に課金されます。費用はキーワードによって変動し、ビックワードと呼ばれる検索ボリュームの大きいものは単価が高くなります。

また、表示される場所も入札形式で、予算が高い方が画面トップなど人の目に留まりやすい場所に表示されます。

メリット

  • 少額から始められ、すぐに停止できる
  • 確実に表示される
  • PDCAが回しやすい
  • クリックして初めて課金されるので、費用対効果が優れている

デメリット

  • 運用には知識と手間がかかる

「卒塔婆屋さん」のリスティング広告

ECサイトを開設したばかりの頃は、砂漠にポツンとお店をオープンしたような状態です。そのためまったく流入がなく、検索しても下位表示しかされない状況でした。

リスティング広告を知り、リスティング広告の入門書を購入、悪銭苦闘しながら運用をスタートしました。

検索すると1ページ目に表示されるようになり、広告経由の流入も増えてきましたが、キーワードの設定などが稚拙だったため、たとえば「卒塔婆立て」で検索したユーザーも流入してしまい、広告費ばかりかさんで利益どころか売り上げすら伸びない状況でした。

動的広告検索を活用し、作業削減&コンバージョンアップ

Googleの場合、広告を出稿すると専任のコンサルタントがついて年に何回かアドバイスをしてくれます。そのアドバイスをもとに、キーワードを整理したり広告文を見直したり、トライアンドエラーを繰り返して、徐々に広告経由の売り上げと利益が確保できるようになりました。

しばらくは、手動でキーワードや広告文を試しながら、より効果的な広告を模索していました。しかし、手動では限界があったので、途中から検索広告は動的広告検索というものを使うようになりました。

これは、検索キーワードから最適なページの広告文章を自動で生成、表示するというもので、ほとんど何もせずにAIによってより精度の高い広告を出すことができるというものです。ただし、除外キーワードは小まめに設定する必要があります。それでも手動に比べて手間は大幅に削減、コンバージョンも10%以上向上しました。

費用対効果が良かった「ショッピング広告」

同時に、ショッピング広告も運用するようになりました。これは、検索すると商品が画像付きで表示される広告で、文字だけと比べてより目立ち、まだ利用しているところも少ないので検索広告よりもクリック単価も非常に安く、チャンスだと考えました。

Googleショッピング広告の利用者が少ない最大の要因は、商品を登録するのが難しく、つまずく人が多そうなところだと考えられます。

検索広告であればGoogle広告の管理画面上で完結できますが、ショッピング広告は「Google Merchant Center(グーグルマーチャントセンター)」に商品情報をアップロードしてGoogle広告と紐づけする必要があり、慣れないとかなり難解です。

一度理解してしまえばそこまで難しくはないのですが、はじめの一歩のハードルが高いので、時間があるときにじっくり取り組むことをオススメします。

卒塔婆屋さん リスティング広告 ショッピング広告の事例
「卒塔婆屋さん」のショッピング広告事例

費用対効果は抜群なので、ショッピング広告は大変ですが必ず出稿した方が良いでしょう。

最近、ASPによっては簡単に商品情報を「Google Merchant Center」に連携できるシステムも提供されていますので、ぜひチャレンジしてみてください。

リスティング広告は、購買意欲の高い人にピンポイントで広告を出せるので、特にECサイトを立ち上げた直後のショップにとっては必ず実施すべき宣伝手法だと考えています。

SNSの運用

ここでのSNSはメディアとして考えます。Facebook、Instagram、Twitter、LINEオフィシャル、Pinterest、YouTubeなどを指します。

メリット

  • 基本無料ですぐに始められる
  • スマートフォンからも簡単に投稿できる

デメリット

  • SNSの使い分けが難しい
  • フォロワーを増やすのが大変
  • 商売っ気を出しにくい

「卒塔婆屋さん」のSNSでの宣伝

Facebook

オフィシャルな要素が一番強いと考えています。新商品、新機能についての情報やレビューアプリと連携し、お客さまからレビューがあるとタイムラインにも投稿されるようにしています。また、Instagramとも連携しています。

卒塔婆屋さん Facebookの事例
「卒塔婆屋さん」のFacebookページ(画像は「卒塔婆屋さん」Facebookからキャプチャ)

SNSのなかでは一番流入経路として多く、購入率が高くなっています。リンクを貼れたりショッピング機能があったりと、ECと最も相性が良いSNSだと感じています。

Instagram

写真に特化しているので、フィード投稿では特注品や新商品の写真を投稿、商品をタグ付けしてサイトの商品ページに誘導しています。

また、製造工程の短い動画は一番目立つストーリーズに投稿しています。投稿一覧の写真に統一感が出るよう、写真を撮影するときから意識しています

卒塔婆屋さん Instagram 活用事例
「卒塔婆屋さん」のInstagramページ(画像は「卒塔婆屋さん」Instagramからキャプチャ)

Twitter

Instagramと連携しているだけで、個別に投稿はしていません。「卒塔婆屋さん」のターゲット層では使っている人が少ないので、効果はありません。商材によっては「一番効果がある」というECサイト運営者もいます。

LINEオフィシャル

あまりタイムライン投稿はせず、お客さまと個別のやり取りに使っています。

Pinterest

アイディアを得るための素材集的なものなので、卒塔婆の写真を投稿していますが、効果はほとんどありません。

YouTube

主に製造工程の動画を投稿しています。宣伝ではなく、どちらかというと購入を検討中のお客さまに対して、動画で情報を提供することで購入の後押しとして使っています。

「卒塔婆屋さん」のYouTubeチャンネル

SNSはショップの世界観を伝える、ブランドイメージ向上に活用する

SNSはあまり商売っ気を出してしまうと、フォロワーが増えていきません。ショップの世界観を伝え、店主やスタッフの人柄が伝わるような投稿をして、ブランドイメージを向上させる方向で使った方が良いと考えています。

リアル店舗でも「この店員さんがいるからこの店で買物をする」ということは決して少なくないと思います。ECも同様で、どんな人が売っているのかは、お客さまにとって購入を左右する有益な情報となります。恥ずかしがらずに顔出しでSNSに投稿してみましょう。

プレスリリース

プレスリリース配信を代行するサービスに登録し、広くメディアに新商品や新サービスを拡散することができる手法です。

メリット

  • さまざまなニュースサイトやオウンドメディアに転載、拡散される
  • 検索一覧に自社サイトの他、自社サイトについての記事が掲載される
  • 取材依頼が来やすくなる

デメリット

  • コストがそれなりにかかる
  • 古い情報も検索結果に出てしまう
  • 書き方に慣れが必要

「卒塔婆屋さん」のプレスリリース

新商品や新サービスを始めた際は、必ずプレスリリースを出すようにしています。プレスリリースから購入につながることより、プレスリリースを通じて新聞記事、ラジオ、TVでの紹介につながることが多く、認知度向上に役立ちました。

テレビ・ラジオ

視聴者数は多く、インパクトは健在です。

メリット

  • インパクトの瞬間最大値は絶大

デメリット

  • 放送中や放送直後しかサイト流入は増えない
  • ネットとは違い、後から拡散することがほとんどなく、放送中に視聴していた人にしか宣伝効果がない

「卒塔婆屋さん」のTV・ラジオ出演

BSの経済番組やラジオ番組で紹介されました。放送中のサイト流入は他の時間帯と比べ、10倍以上に跳ね上がりました。しかし、ターゲット層ではなく不特定多数への放送なので、購入につながることはありませんでした。

卒塔婆のように極めてニッチな商材ではなく、コモディティ商材のように一般大衆向けの商材であれば、購入につながる可能性が高いかもしれません。

「卒塔婆屋さん」の宣伝手法について、感じたメリットとデメリット、実際の効果についてご紹介しました。卒塔婆という商材の特性上、爆発的に売れるということはありませんが、根気よくコツコツとさまざまな手法で宣伝することで、確実に成長を遂げてきました。

4.まとめ

商材によってはバズって一気に世間の注目を集め、爆発的に売り上げが上がることもあります。ただ、こういった商品やお店はその場限りで終わってしまうことも多く、私が知っている成功しているECサイトは、コツコツとブランド価値を高めて「気がついたら高みに来ていた」というところが多い印象です。

広告宣伝にはお金がかかります。私も最初の頃は、無駄な広告も数多く打ち、多いときで月50万円程度使っていたこともありました。今では、多い月でも10万円にも達しません。

特にリスティング広告は初めに予算を決めてしまうと、いくら自由に変えられるとしても、そのままの予算を放置してしまうといったことがあります。宣伝費もメリハリを付けて、結果を検証し、より効率よくROIを高めていくことを意識することが大切です。

谷治 大典
谷治 大典

アズワンの「販売店網+新規顧客開拓」を生かしたBtoB-ECサイト「AXELショップ」成長の秘訣

4 years 2ヶ月 ago
専門商社アズワンが運営するBtoB-ECサイト「AXEL(アクセル)ショップ」が、その成長の裏側とバックヤードの効率化について解説
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製品カタログを中心とした法人向け通販から、BtoB-ECに舵を切った科学機器、産業機器、病院・介護用品の専門商社アズワン。ECに注力するのは、掲載点数に上限がある紙カタログではできない取扱点数拡大を通じて、顧客の利便性向上、売上拡大などを実現するためだ。

EC売上は161億円(2021年3月期)と順調に見えるが、自社ECサイトのスタート前後は課題も抱えていた。その1つが決済だ。販売店経由のビジネスモデルがベースにあったが、自社ECサイトを作るからには、既存販売店でアプローチできていない顧客層にもリーチをしたいと考えていた。しかし、不特定の新規顧客からの債権回収のノウハウがない。法人相手のBtoBビジネスでは掛け払い(請求書払い)のニーズが高い。請求書の作成、入金チェック、さらには債権回収まで、社内だけではとても回すことはできない――。アズワンがとった解決策とは?

アズワンが運営する「AXELショップ」とは?

アズワンは創業90年の研究・医療分野の専門商社で、1963年に研究者向けのカタログ販売を開始したBtoBカタログ通販の先駆け的な企業。運営するBtoB-ECサイト「AXEL(アクセル)ショップ」は、科学や医療といった専門分野の商品販売に特化。研究用の科学機器、消耗品をはじめ、工場MRO※、看護・介護用品など600万点の商品を法人向けに販売している。

MRO……「Maintenance, Repair and Operations(メンテナンスリペアアンドオペレーションズ)」の略。工場や研究所などでのメンテナンスやリペア、オペレーションに必要な備品や消耗品(副資材)のこと。

会員数は現在11万人超。月間ページビューは500万を超えるなど、事業規模が着実に拡大している。

AXELショップ
アズワンが運営するBtoB-ECサイト「AXELショップ

カタログ中心のビジネスからBtoB-ECへ

アズワンは、販売店を通じたエンドユーザー向けのカタログ販売からスタート。全国にある4500社、1万3000拠点の販売代理店経由で、大学の研究室や病院、クリニック、介護施設にカタログから商品を選んでもらい、購入してもらうというビジネスで成長してきた。

基幹の「研究用総合機器カタログ」には研究系と医療系の商品を7万点以上掲載しており、業界最多の品ぞろえを誇る。

アズワンのカタログ販売のビジネスモデル
アズワンのカタログ販売のビジネスモデル

コロナ禍で感染対策用品のニーズが爆発的に拡大。行動変容による集中購買のEC化需要の増加に加え、安定供給やクイックデリバリー、品ぞろえの拡大などで事業全体が拡大。2021年3月期の連結売上は前期比15.9%増の816億円となった。

アズワンのカタログガイド
アズワンのカタログガイドには「研究用総合機器カタログ」「医療用品総合カタログ」「感染症対策用品パンフレット」「防災・防犯対策用品パンフレット」など、業種や用途に合わせた15のカタログを掲載している(2022年2月21日現在)

AXELショップをスタートしたのは2015年11月。「カタログのアズワン」として顧客から厚い信頼を得ていたアズワンがBtoB-ECに踏み込んだ理由は“危機感”だった。

MRO商材市場には競合が複数社存在する。すでにECに力をいれている各社がアズワンの得意領域である理化学機器や医療用品の取り扱いも強化していくなか、強みとする商品に差異はあったものの、次第に競合と均質化してきいく可能性があると感じていた。

我々自身がECを持たなかったら、アズワンが強みとするジャンルも他社に奪われてしまう。他社に商品を供給するだけの1サプライヤーになってしまうのではないか」。こんな危機感を抱えていたという。

アズワンのBtoB-EC売上高と売上計画
アズワンのBtoB-EC売上高と売上計画

まずは100万アイテムが載っているサイトをめざしてスタートし、2016年度末で達成した。徐々に商品点数を増やしていき、現在は600万点を突破。商品点数の増加に伴い、eコマース売上も2021年3月期で161億円と伸びている

幸い、理化学の分野では弊社が最初に進出したので、現在、理化学系のWebショップと言えば弊社という感じになっている。しかし、遅かったら他社に市場を取られて出る幕はなかったはず。よく6年前に決断したと思う。

アズワン eコマース推進部 eコマース規格グループ 中野裕也氏
アズワン eコマース本部 UXデザイン部 部長
中野裕也氏

「AXELショップ」独自の特色と強み

「AXELショップ」の強みは大きく2点ある。1つ目は圧倒的な商品点数だ。圧倒的な商品点数を確保することによってロングテール販売を実現。顧客の利便性を高め、専門商材を探す顧客層から支持を集めた。

2つ目は“販売店と共に作って育てていくECサイト”作りだ。一般的に、ECのメリットはダイレクトに顧客とつながることができる点にある。アズワンはこうしたメリットも取り入れながら、販売店網を活用したECビジネスを展開している。

「AXELショップ」では販売店が価格を決められる。エンドユーザーがログインする前はアズワンが設定した価格が表示され、ログインすると販売店がそのユーザーに設定した価格が表示され、商品注文が入ると、販売店経由で売上が上がる仕組みだ。エンドユーザー価格は販売店側が決めるという、卸業の商習慣をそのままWeb化しつつ、ユーザー企業に「いつでも」「どこでも」「大量の商品情報から商品購入できる」環境を用意しているのだ。

アズワンのBtoB-ECのビジネスモデル
アズワンのBtoB-ECのビジネスモデル

従来は販売店が取引先に商品を納品するといった手間が発生するケースもあったが、基本的にはアズワンの物流倉庫から取引先にダイレクトに商品が配送される。

また、ECサイトを立ち上げるまではエンドユーザーへの直接販売は行っていなかったが、「AXELショップ」では販売店に紐づいた会員登録だけでなく、販売店を通さない直接会員登録もできる仕組みにした。

「AXELショップ」のプラットフォームは販売店経由の仕組みを入れた大幅なカスタマイズを施した独自仕様にしている。これが販売店と共に作って育てていくECサイトという意味だ。(中野氏)

オープン当初は販売店経由の会員が多かったが、サイトが徐々に大きくなり、SEOや広告からの流入も増え、販売店を経由しない会員も増えていったという。業界に特化した独自の検索システム、当日出荷率95%というクイックデリバリーシステムを有し、基本的には価格訴求ではなく、品ぞろえとデリバリー力が強みだ。

「AXELショップ」が抱えていた課題とは?

BtoB-EC事業を行うには、代理店以外の顧客のマスター管理や与信管理、債権回収など、従来から行ってきた販売代理店経由のカタログ販売事業にはなかったさまざまな業務が必要になる。また、基幹システム自体も卸を前提とした設計となっており、すべてを社内で行うのは無理があった。

そもそもアズワンは販売店への卸販売だったので、販売店以外から債権を回収するノウハウを持っていなかった。ECサイトを立ち上げた際は、基本的に販売店経由のBtoB-ECモデルだったので、販売店経由ではない注文の債権回収をどのように処理するのかという課題があがった。当時、さまざまな情報を集めていくなかで、「NP掛け払い」の存在を知った。(中野氏)

ネットの利点である商圏の拡大を発揮するには、販売店が抱える顧客以外からの直接購入も受け付けなければならない。そのためには、販売店経由以外の注文をどう処理するか。「餅は餅屋」で……アズワンは販売・営業などに集中、債権管理はプロに任せる――。専門の会社に外注して連携するのが良いということになり、ネットプロテクションズのNP掛け払いを導入し、販売店以外の直販の決済方法は「NP掛け払い」のみとした。

当初、受注件数はそれほど多くなかったため手作業でデータ連携していたが、ECサイトが成長して受注が増えると、手動では受注処理がこなせなくなってしまった。そこで、2018年10月にAPI連携を実装した。

現在は受注時にAPIで与信を行い、クリアされれば基幹システムに注文情報を流し、商品を発送するという流れが自動でできるようになった。これにより、現在の「3時までの注文は即日出荷」を実現できている。

掛け払いに対するニーズが高い理由

「与信が通らない」「アズワン以外の口座に振り込みたくない」。取引先が増えるにつれてさまざまな要望が寄せられるようになった。

2018年にクレジットカード決済に対応し、現在の決済手段は、販売代理店経由、「NP掛け払い」、クレジットカードの3種類。販売代理店経由を除いた「NP掛け払い」とクレジットカードの使用比率は、6対4で「NP掛け払い」が多い

掛け払いのニーズはやはり多い。いったんクレジットカードで決済し、後で領収書を経費精算するよりも、請求書を発行してもらい、経理部門で処理してもらう方が楽だからだろう。(中野氏)

事前に顧客から了解を得ることで、後になって顧客対応に時間を取られないようにするため、カート内に「NP掛け払い」についての説明やFAQを掲載している。また、「上記内容に同意します」の項目にチェックを入れないと、決済処理を進められないようにした。

決済画面のイメージ
決済画面のイメージ。「NP掛け払い」を選ぶと、決済画面内に「NP掛け払い」の説明も表示し、サービスのメリットなどを伝えている

そもそもなぜ「NP掛け払い」を選んだのか

「AXELショップ」の顧客は法人のため、「請求書を立てて掛け払い(請求書払い)で支払いたい」という問い合わせが圧倒的に多かった

自分たちで請求書を作成して、入金をチェックして、未入金の対応をやるとしたら、かなりの工数がかかる。リソースも限られている中で、債権回収までやるとなると、現在の倍以上の人手とコストが必要となるだろう。それが「NP掛け払い」の導入によって、請求書発行から債権回収までをトータルで委託できた。(中野氏)

「NP掛け払い」は、与信から請求書発行、代金回収、督促まで、決済に関する一連の業務をアウトソーシングできる決済システム。未回収リスクを100%保証するのも大きな特徴だ。

「NP掛け払い」のサービス概要
「NP掛け払い」のサービス概要

掛け売りの代金は「NP掛け払い」がすべて立て替え、支払い遅延などの場合も100%代金を保証する。万が一貸し倒れになった場合にも、企業側の手続きは一切不要。そのため、企業は未入金リスクを気にする必要がない

「NP掛け払い」と他のサービスとの比較
「NP掛け払い」と他のサービスとの比較

「NP掛け払い」の利用料金は、下記の3つで構成されている。

  • 手数料(取引金額の1.2%〜3.6%)※
  • 月額固定費(1万2000円〜)
  • 請求書発行・郵送料金(1通あたり税抜190円)

※取り扱い商材、販売方法などによって提供内容・金額は異なる

さらに心強いのは、「NP掛け払い」では担当の営業が付いていることだ。

たとえば、与信枠の相談や不具合があった時、困ったことがあれば、営業担当者が電話ですぐに対応してくれる。これはとても有り難い。ヘルプデスクもきちんと対応してくれるのが心強い。手数料以上の手厚いサポートがあり、安心感がある。(中野氏)

「NP掛け払い」を導入して得られた変化

最近ではECサイトでの不正注文が増えているため、初回注文、高額商品といった転売の可能性がある注文はなるべく社内でもチェックしている。だが、アズワンの顧客サポートなどを担うヘルプデスクは4人体制。少ないリソースで業務を回しているため、不正利用のチェックだけに時間を割くわけにはいかない

自分たちなりに細かくチェックしているが、万が一漏れがあっても、「NP掛け払い」で与信審査が行われる。たとえ、審査が通ってしまった不正注文であっても、「NP掛け払い」の債権の未回収保証がある。そういったところで支えてくれるので、導入企業として安心して注文を受けることができる。(三戸田氏)

アズワン eコマース推進部 エキスパート 三戸田かおり氏
アズワン AXEL企画グループ エキスパート
三戸田かおり氏

「NP掛け払い」の導入によって、注文を受けて良いかどうかの判断にまつわる不安がなくなり、日々の業務に集中できているという。

自社のヘルプデスクが、日々の問い合わせに加えて回収の督促も社内でするとなると消耗してしまう。そういうところも完全にアウトソーシングできるのはとても大きなメリット。自社で専用の部署を作ったらどれくらいのランニング・イニシャルコスト、リソースがかかるのか想像もつかない。その仕組みを数%の手数料で利用できるのはありがたい。(中野氏)

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大村 マリ
大村 マリ

ニトリの2022年2月期EC売上は横ばいの710億円、EC化率は10.5%

4 years 2ヶ月 ago

ニトリホールディングスが発表したニトリの2022年2月期通販事業の売上高は前期比0.8%増の710億円だった。

ニトリ事業の売上高は同5.3%減の6792億円だったため、EC売上高の割合は10.5%。

アプリ会員数は2022年2月期末で、前期末比44.7%増の1314万人。アプリ会員数の増加に伴い、店舗とECを併用して利用する顧客が増加。アプリを活用したオンラインとオフラインの融合施策により、顧客の買い物利便性の向上を図っている。

ニトリホールディングスが発表したニトリの2022年2月期通販事業の売上高は前期比0.8%増の710億円 アプリ会員数について
アプリ会員数について(画像はニトリHDが公表したIR資料から編集部がキャプチャ)

新たな販売チャネルの拡大として、ライブコマースでの販売「インスタライブ」を展開。「インスタライブ」は2022年2月20日時点で計9回実施し、ニトリの通販サイトにアーカイブ、接客コンテンツとしても活用している。

ニトリホールディングスが発表したニトリの2022年2月期通販事業の売上高は前期比0.8%増の710億円
通販事業について(画像はニトリHDが公表したIR資料から編集部がキャプチャ)

ニトリグループは、店舗の出店加速、ライフスタイル変化に伴うEC需要拡大などの環境変化に対応するため、国内物流拠点の再配置を進めている。愛知県飛島村と埼玉県幸手市に物流センターを新設。運用は物流子会社のホームロジスティクスが担う。

2021年9月には一般貨物自動車運送事業を手がけるホームカーゴを、物流子会社のホームロジスティクスが設立。ニトリグループが掲げる「製造物流IT小売業」において、グループ全体のスケールメリットを生かした一貫物流を実現するため、関東圏内におけるドレージ輸送を始めた。

ドレージとは、海外からコンテナで輸送されてきた荷物を直接目的地まで陸送する方法。自社で車両を保有し、港から各物流拠点までの輸送の効率化、ならびにコスト削減につなげる。その一環として、国内物流拠点を再配置し、ドレージ事業を拡大する方針を掲げている。

ニトリホールディングスは、愛知県飛島村と埼玉県幸手市に物流センターを新設 ドレージ事業を拡大する
ドレージ事業を拡大する方針

海外においてもEC事業を強化している。台湾ではECサイト「mono」に、中国ではECサイト「Tmall」へ出店。米国では自社サイトのほか、「Amazon」「Walmart Marketplace」へ出店した。

東南アジアでは、マレーシアで2021年4月に自社ECサイトをオープンし、SNSの自社アカウントを作成。シンガポールでも自社ECサイトを開設、SNS自社アカウントを作成した。韓国では2022年1月、韓国最大のEC企業であるCoupang社と提携、韓国国内向けにECサイトで販売を開始した。実店舗のない韓国にオンライン販売チャネルを活用することで、市場参入を開始。中国から直接コンテナでの仕入れを実現し、粗利益率向上を図っている。

ニトリホールディングスは今後、EC事業の基盤強化を進め、2025年度までにEC事業の売上高を1500億円まで拡大させる方針。

石居 岳
石居 岳

通販・EC関連のユニークなエイプリルフール企画まとめ【2022年】 | 忙しすぎて疲れているあなた。ちょっとしたECの小ネタでブレイクタイム

4 years 2ヶ月 ago
通販・EC業界および関連の企業が創意工夫を凝らして展開するエイプリルフールネタ【2022年版】

年に1度の“うそ”の祭典「エイプリルフール」。2022年はどんな素晴らしい“うそ”が発信されたのでしょうか。4月1日までに公開された、通販・EC業界に携わる企業さんのネタ合戦をまとめました。

うそを燃料として走るモビリティ「キントウソ」カーを開発

車のサブスクサービスを展開するKINTOは、車ライフを充実させるサービスを提供する「モビリティマーケット(モビマ)」で、うそを燃料として走るモビリティ「キントウソ」カーを開発した。

「ウソ探知ナビ」がついたうそを測定、燃料に変える。ガソリン価格の高騰に苦しむ車ユーザーに、うそをついて燃料を増やしてほしいとしている。なお、「人に迷惑をかける悪質なウソなどに対しては燃料が減るという結果がでている」(KINTO)

モビリティ「キントウソ」カーを開発
モビリティ「キントウソ」カーを開発

希薄なコミュニケーションにメスを入れるにんにく洗口液

アース製薬は、洗口液「モンダミン めっちゃにんにく 1080mL」を4月1日に発売した。クチュクチュするだけでにんにくの香りと強烈な風味が口いっぱいに広がるという。

マスクを付け、ソーシャルディスタンスが求められる環境を踏まえ、希薄になりがちなコミュニケーションに対し香りでメスを入れる洗口液として開発したという。「すれ違った際、ふわっと漂う残り香であなたの印象を残したくはありませんか?きっとあなたもクセになるはず……」(アース製薬)

価格は、“にんくににんにく”の22万9229円(税抜)。

モビリティ「キントウソ」カーを開発
モビリティ「キントウソ」カーを開発

【関連リンク】

カレーへの愛情が高まる「カレー布団」を企画

年間150万食以上のレトルトカレーを販売するニシキヤキッチンは、「カレー布団」を4月1日に発売した。

ニシキヤキッチンスタッフの「カレーで寝られたらいいのに……」という夢を叶えるために商品を企画。カレーのように温まるお布団に、にんじんやじゃがいもなどの具材をイメージしたクッションや枕を付けている。

ニシキヤキッチンの調査によると、カレー布団で寝れば寝るほど、カレーへの愛情が高まるという。

カレーへの愛情が高まる「カレー布団」
カレーへの愛情が高まる「カレー布団」

エレコムがアパレル業界に参入

IT周辺関連製品の開発、製造、販売を手がけるエレコムは、アパレル業界に参入した。人気のしろちゃんやトラックボールをデザインしたエレコム公式Tシャツを販売する。

家の外でもTシャツを通じてエレコムの存在をPR。また、「このTシャツを着ることでいつでもエレコムを身近に感じていただくことができる」(エレコム)と言う。

エレコム公式Tシャツ
エレコム公式Tシャツ

【関連リンク】

“アレ”に答える音声アシスタント「アレ草」

インターリンクは、“アレ”を勝手に推測して答える音声アシスタント「アレ草」を開発した。

「アレ草は」インターリンクのスマートグラス「ZOOT草」シリーズに搭載する人工知能(AI)として開発した音声アシスタント。1つの要求に対して時には10分以上のやり取りが必要になるという。

「ああなんだっけ、アレアレ!アレだよ!アレ!」という曖昧な要求になんとか答えようとするゲス機能(guess、推測)を搭載。導き出す回答は正しくないことがあるものの、要求に粘り強く対応するという。

価格は、イイクサの1193円(税込)。

音声アシスタント「アレ草」
音声アシスタント「アレ草」

【関連リンク】

ネットショップ担当者フォーラム編集部
ネットショップ担当者フォーラム編集部

アパレル・生活雑貨の中小メーカー7割が卸価格を値上げする方針、理由は「原材料の価格高騰」「海外からの輸送費の上昇」など

4 years 2ヶ月 ago

ラクーンコマースが運営する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」は、衣類や生活雑貨、家具、生活家電、食料品などを扱う会員企業(メーカー・小売事業者)を対象に、卸価格の値上げに関する実態調査を実施した。

製造販売・中小メーカーに対し、過去数か月で卸価格の改定(値上げ)を行ったか、あるいは今後数か月の間に卸価格の改定(値上げ)を行う予定があるか聞いたところ、「すでに値上げを行った」が28%、「今後値上げする予定」が41%、「値上げは予定していない」が31%だった。

すでに値上げを行ったところを含め、全体の69%が値上げを実施する意向であることがわかった。

ラクーンコマースが運営する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」は、衣類や生活雑貨、家具、生活家電、食料品などを扱う会員企業(メーカー・小売事業者)を対象に、卸価格の値上げに関する実態調査 値上げの意向について
値上げの意向について

値上げの実施時期については、「時期は明確に決めていない」が最多で27%、「2022年4月に予定」が24%、「2022年3月」が20%。2022年4月以降に値上げする企業が全体の61%を占めた。複数回値上げを実施する企業もあり、長期的に値上げの傾向が続くことが予想される。

ラクーンコマースが運営する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」は、衣類や生活雑貨、家具、生活家電、食料品などを扱う会員企業(メーカー・小売事業者)を対象に、卸価格の値上げに関する実態調査 値上げの実施時期について
値上げの実施時期について

製造販売・中小メーカーに対し値上げの理由を聞いたところ(複数回答)、「原材料の価格高騰」が95%、「海外からの輸送費の上昇」が66%、「燃料費の高騰による製造コスト増加」が57%、「梱包資材の価格高騰」が41%。「その他」の回答では、「為替変動」「国内輸送費の高騰」「倉庫管理料の増加」「商品改良のため」といった理由があがった。

ラクーンコマースが運営する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」は、衣類や生活雑貨、家具、生活家電、食料品などを扱う会員企業(メーカー・小売事業者)を対象に、卸価格の値上げに関する実態調査 値上げの理由について
値上げの理由について

値上げする金額幅は、「10%台」が55%、「20%台」が24%、「10%未満」が13%、「30%台」が7%など。

ラクーンコマースが運営する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」は、衣類や生活雑貨、家具、生活家電、食料品などを扱う会員企業(メーカー・小売事業者)を対象に、卸価格の値上げに関する実態調査 値上げする金額幅
値上げする金額幅について

一方、仕入販売・小売事業者に対し、2021年12月移行に仕入先から卸価格の改定(値上げ)の連絡があったか質問したところと、「値上げの連絡は来ていない」が61%、「値上げの連絡があった」は39%となった。

ラクーンコマースが運営する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」は、衣類や生活雑貨、家具、生活家電、食料品などを扱う会員企業(メーカー・小売事業者)を対象に、卸価格の値上げに関する実態調査 値上げの連絡の有無
値上げの連絡の有無について

さらに、卸価格の値上がり分を販売価格に反映するかを聞いたところ、「値上がりした金額はすべて販売価格に上乗せしている/する予定」が39%、「値上がりした金額の一部だけを販売価格に上乗せしている/する予定」が15%。販売価格に上乗せする移行の企業が全体の54%に達している。

このほか、「販売価格をどうするか検討中」が29%、「販売価格は据え置きで変えていない/変えない予定」は17%となった。

ラクーンコマースが運営する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」は、衣類や生活雑貨、家具、生活家電、食料品などを扱う会員企業(メーカー・小売事業者)を対象に、卸価格の値上げに関する実態調査 販売価格への反映について
販売価格への反映について

仕入販売、小売事業者は値上げによる顧客離れの不安を多くの事業者が感じており、3割の事業者は販売価格をどうするか決めかねている状況で、すでに値上げを決めた事業者にも葛藤が見られた。消費者に値上げを受け入れてもらえるよう、「正直に事情を説明するしかない」とのコメントも多く寄せられたという。

調査概要

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2022年2月10~24日
  • 調査対象:スーパーデリバリー会員 出展企業281社/会員事業者349社
  • 会員属性:<規模>中小規模の企業・事業者<業種>アパレル・生活雑貨・家具・生活家電・食料品など
石居 岳
石居 岳

GMOペパボが月額制サービス「制作代行サブスクプラン」。「カラーミーショップ」利用ショップのバナー作成などを行う

4 years 2ヶ月 ago

GMOペパボが運営するネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」は、バナー制作や商品登録などを代行する月額制サービス「制作代行サブスクプラン」の提供を開始した。

「制作代行サブスクプラン」とは

ネットショップ運営者が用意したテキスト、画像などの素材レイアウト案などを基に、バナー作成、商品登録などの作業を代行する月額制サービス。依頼ごとに発注書を取り交わす必要がなく、チャットで作業を依頼できる。

依頼可能な作業は次の通り。

  • キービジュアルの作成
  • バナー作成
  • 商品登録
  • SNSボタンの設置、画像のリサイズ、メニュー追加など、5営業日以内で完了する一部カスタマイズ
GMOペパボ カラーミーショップ 制作代行サブスクプラン 依頼の流れ
依頼の流れ(画像は「カラーミーショップ」サイトからキャプチャ)
GMOペパボ カラーミーショップ 制作代行サブスクプラン プランの種類と料金表
プランの種類と料金(画像は「カラーミーショップ」サイトからキャプチャ)

ユーザーの声を受け提供を開始

ネットショップ開設後は、季節やトレンドの変化に合わせた商品の入れ替え、ユーザーの利便性や売り上げ向上を目的としたアップデートなど、多くのショップがさまざまな更新を行っている。

一方、ネットショップ専任担当、デザイナーがいないショップでは、商品登録の時間が取れず商機を逃してしまう、画像編集のノウハウがなくビジュアル的な訴求が難しいなどの課題が発生している。

これまで「カラーミーショップ」には、ショップから「繁忙期の期間だけネットショップ運営を手伝ってほしい」「デザイン業務を代行してほしい」などの声があがっていたという。こうした声を受け、これまで提供していたネットショップ開設・リニューアル時の制作代行サービスに加え、「制作代行サブスクプラン」の提供をスタートした。

藤田遥
藤田遥

北海道、楽天グループ、日本郵政が包括連携協定を締結。北海道の地域課題解決、地域創生に向けた取り組みで連携・協力

4 years 2ヶ月 ago

北海道、日本郵政、楽天グループは、北海道における地域課題解決に向けたデジタル実装の推進、地域創生の取り組みなどで連携・協力するため、包括連携協定を締結した。

北海道の地域課題解決、地方創生に向けて連携

北海道は、全国を上回るスピードで進行する人口減少・高齢化、首都圏からの距離の遠さなどの地域課題を抱えている。今回の協定では、こうした課題解決に向けて三者の強みを相互に生かし、先駆的な取り組みに挑戦していく。

協定に基づき、連携して行う取り組みは次の通り。

1. 北海道デジタル実装サポートチームの設置

北海道内各地の課題解決に向けたデジタル実装を推進するため、三者が持つノウハウ、情報を持ち寄って市町村のサポート体制を構築する。サポートチームは2022年4月設置予定。

北海道、楽天グループ、日本郵政の包括連携協定の締結 デジタル実装サポートチームの取り組み
「北海道デジタル実装サポートチーム」の取り組みについて

2. 寒冷地へのドローン配送実用化、配送の効率化

寒冷地へのドローン配送の実用化、荷物配送効率化に向けた協働を行う。

北海道、楽天グループ、日本郵政の包括連携協定の締結 寒冷地域へのドローン配送実用化
寒冷地でのドローン実用化に向けた検討内容
北海道、楽天グループ、日本郵政の包括連携協定の締結 北海道発荷物の配送効率かに向けた検討内容
北海道発荷物の配送効率化に向けた検討内容

3. オンライン行政、シニア向けスマホ基礎講座の実施

地域住民の利便性向上に向け、外国人向けのオンライン行政相談、シニア向けスマホ基礎講座を北海道内の郵便局で実施予定。

北海道、楽天グループ、日本郵政の包括連携協定の締結 オンライン行政、シニア向けスマホ基礎講座について
オンライン行政、シニア向けスマホ基礎講座について

「果敢に挑戦する官民協働モデル」をめざす

北海道と楽天グループは2009年に包括提携協定を締結し、特産品の販路拡大、環境保全を目的とした官民事業を通じて地域社会の発展に取り組んできた。

また、日本郵政グループにおいては、日本郵便が2017年に北海道と包括連携協定を締結、地方創生、災害対策に関する取り組みにおいて協働している。

今回の協定を受け、鈴木直道北海道知事は次のようにコメントした。

三者による協同プロジェクトの展開が、デジタル実装など社会変革に果敢に挑戦する官民協働モデルと言われるように取り組みを進めて行きたいと考えている。(鈴木直道北海道知事)

北海道、楽天グループ、日本郵政の包括連携協定の締結 鈴木直道北海道知事
北海道知事の鈴木直道氏
藤田遥
藤田遥

楽天グループが郵便局を通じたカタログ通販に参入、日本郵便と物販分野でも協業

4 years 2ヶ月 ago

楽天グループと日本郵便は、物販分野での協業を進める。

日本郵便の持つリアルチャネルの郵便局ネットワーク、楽天グループのネット販売の知見やノウハウなどを相互活用。楽天グループはカタログ販売、日本郵便は子会社を通じて「楽天市場」での商品販売を展開する。

楽天グループは「楽天市場」商品を掲載した通販カタログを発行、郵便局を通じた通販を始める。

郵便局内に設置した通販カタログには申込用紙があり、消費者はその用紙に購入したい商品を記入、郵便局の窓口に手渡す仕組み。産地名産品、ギフト用品など、幅広い商品を郵便局の窓口で販売するカタログ販売事業のインフラを活用する。

まずは、日本郵便近畿支社管内(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)2府4県の郵便局で始める。販売期間は4月1日(金)~2022年6月30日(木)まで。掲載商品はファッション、日用品、インテリア、美容関連商品を中心に50商品程度。

6月以降、日本郵便北海道支社管内でも展開。アウトドアグッズ、車関連用品など、北海道でのニーズが高い商品を加えたカタログ販売も新たに展開する予定。扱う商品は楽天グループが選定し、事前に出店者へ通知する。

日本郵便の100%子会社である郵便局物販サービスが「楽天市場」へ出店。「楽天市場」ユーザーへ産直品を展開する。郵便局物販サービスは、郵便局で扱う通販カタログの編集・発行、商品販売などを手がける企業。

日本郵便の100%子会社である郵便局物販サービスが「楽天市場」へ出店
「楽天市場」へ出店した郵便局物販サービスのサイト(画像は編集部がキャプチャ)

産直品(青果、加工品など)を中心に約300商品をまずは展開。今後、出品数を800商品程度まで拡大する。

瀧川 正実
瀧川 正実

EC企業にとってのリアル販売の価値とは? 車両を使った移動型店舗での販売に「世界観が変わる」「リピート率も高い」

4 years 2ヶ月 ago
ECサイト「最北の海鮮市場」を運営するノース物産が移動型店舗で商品を販売。参加した鈴木洋一常務取締役は「どんなイベントでもいいが、リアルでの販売を経験すると新たな発見がある」と言う

移動型店舗はEC事業者の新たな販路になるのか――。人口が集中する東京都内の商業施設、オフィス、マンション、公園などの公共施設の空きスペースで商売を手がける移動型店舗サービス。これを新たな販路として活用しようと試みたEC企業がある。北海道の海産物や農産品などをネット販売するノース物産だ。運営するECサイト「最北の海鮮市場」は2006年の立ち上げ。老舗ECサイトを運営するノース物産が挑戦した新たな試みを取材した。

リアル販売は未来の開拓、将来の投資

「最北の海鮮市場」は、カニ、海産物、農産物、ラム肉など北海道の“美味しい”食材を販売するECサイト。

2013年には、北の達人コーポレーションが立ち上げたことで知られる北海道の特産品を販売する通販サイト「北海道・しーおー・じぇいぴー」(北の達人コーポレーションは2011年、広告代理店へ売却済み)を買収。2015年には「最北の海鮮市場」と統合した。

ネット通販以外での商品販売は、北北海道の食のイベント「食べマルシェ」での催事販売のみ。移動型店舗サービスの取り組みはノース物産にとって新たな取り組みであった。ノース物産の鈴木洋一常務取締役は移動型店舗サービスへの挑戦についてこう話す。

リアルでの販売は興味あった。リアルでの販売は社員教育、新規開拓、既存顧客とのコミュニケーション深化などにもつながる未来を開拓する、将来への投資という観点から今回の取り組みにチャレンジした

ノース物産 鈴木洋一常務取締役
鈴木洋一常務取締役

ただ、地方企業が都内の人口が集まる場所でリアル販売を行うには、場所選定から確保、売り場作りなどさまざまなハードルがある。これらのハードルを一気に解決するインフラを活用した。住友商事が提供する移動型店舗サービス「ショップモビリティ」だ。

「ショップモビリティ」は小売りとモビリティの融合により、新たなシナジー効果の創出をめざす住友商事の新事業。人気商業施設、オフィス、マンション、公園などの公共施設の空きスペースに車両を用意し、場所の組み合わせで最適な店舗空間を構築する。

住友商事の「ショップモビリティ」について
「ショップモビリティ」について

リアル販売の1つの手法として代表的な催事とは何が異なるのか? 催事は多くの出店者が1つの場に集まるが、「ショップモビリティ」は「自分のお店が主役になる」(鈴木常務)

住友商事 「ショップモビリティ」の全体像
「ショップモビリティ」の全体像

「ショップモビリティ」で期待される効果

プロモーション効果

顧客が実際に商品を手に取ったり、展示物を見たりできる。そのため、ECサイトを中心に運営しているような顧客接点が少ない店舗にとって、ブランドの認知向上に効果的

オンラインの集客に加え、店舗ディスプレイなどの世界観を顧客が体験すること可能。ブランディング向上、プロモーション強化が期待できる。期間限定で出店するため話題性があり、SNSなどで店舗の写真や感想が発信、拡散されることでさらなる認知度向上が望める。

顧客との関係を構築

リアル店舗での販売では、販売スタッフと顧客とのコミュニケーションを取りやすく、対面接客を介して商品の特徴や使用方法を伝えやすいというメリットがある。来店した顧客に対し、その後オンラインでのコミュニケーションに展開することで、リピーター顧客の獲得にもつながる

実店舗出店に向けたテストマーケティング、効果測定が可能

期間限定という特徴を持つ「ショップモビリティ」は、常設店舗と比べて効果測定を行いやすいというメリットがある。来店数、SNSでの反響、店舗名の検索数などのデータを実施期間とそれ以外の期間で比較することで、実施による販売促進効果を測定できる。

住友商事 「ショップモビリティ」が提供する価値
「ショップモビリティ」が提供する価値

リアルでの販売は新たな発見がある

ノース物産が出店したのは東京・丸井吉祥寺店。自宅で簡単に楽しめる「最北の海鮮市場」専用のオリジナルスープカレー(冷凍食品)などを、7日間にわたって提供した。

丸井吉祥寺店のスペースに置いた車両では、オリジナルスープカレー「saihokまるごとチキンスープカレー」と共に、QRコードを掲載したチラシを配布。自宅に帰り食したユーザーからの「リピート購入が増えた。リアルからネットへの送客ができたと感じている」(鈴木常務)

ノース物産が販売するオリジナルスープカレー「saihokまるごとチキンスープカレー」
オリジナルスープカレー「saihokまるごとチキンスープカレー」(画像はイメージ)

今回の取り組みで新たな発見もあった。「リアルの場で『最北の海鮮市場』のECサイトを知り、再びECサイトで商品を購入した人はモチベーションが高い。そのためリピート率も高くなっている」(鈴木常務)

住友商事 ショップモビリティ 出店風景
出店風景

「ショップモビリティ」に参加したスタッフ、鈴木常務にとってリアルの重要性を痛感した場にもなった。普段はインターネットを通じてのみのコミュニケーションだった常連客が、ノース物産の車両を訪れた。

現地に足を運んでくれた常連客と関係性を深めることができたスタッフも感動していた。スタッフ教育という観点でも大きな効果があった。(鈴木常務)

住友商事 ショップモビリティ 社外スペース活用例
車外スペース活用例

7日にわたって行った「ショップモビリティ」で、約1000人近いユーザーが車両を訪れ、商品を購入した 。車両を置く場所を管轄する保健所の判断になるが、今回は試食なし。「試食なしでこれだけ商品が売れたので大きな成果だと思う」(鈴木常務)

ネット広告市場は現在、レッドオーシャンの状態。今までリーチできなかったリアルの場で新規顧客を開拓してみたい」と話していた鈴木常務。新規顧客獲得単価というKPIだけを見ると採算は取れていないが、社員教育、顧客とのコミュニケーションなどを含めると、「ショップモビリティ」の費用対効果は高かったと感じているようだ。

リアルでの販売を経験すると世界観がかわる。五感を使ってコミュニケーションをとり、商品を販売するのでスタッフの成長につながる。お店の良いところ、悪いところを肌で感じることができる。どんなイベントでもいいが、リアルでの販売を経験すると新たな発見がある。(鈴木常務)

住友商事 ショップモビリティ 既存サービスとの違い
既存サービスとの違い

ノース物産の今回のチャレンジは、SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」を提供するフューチャーショップが、住友商事の「ショップモビリティ」実証実験に参加したことで実現した。

「ショップモビリティ」は現在、まだ実証実験という位置づけだが、EC事業者に新たな販売の場を提供するという価値に、住友商事は手応えを感じているようだ。

販売員の手配、装飾など、「ショップモビリティ」を活用したEC事業者からさまざまな要望・改善点があがっている。ただ、車両を使った販売、低コストで新たな消費者にアプローチできる点などは評価をいただいている。EC事業者のペインを検証して、より価値のあるサービスにしていきたい。(住友商事の森田 杏花氏)

キャプション>住友商事の森田 杏花氏
キャプション>住友商事の森田 杏花氏
瀧川 正実
瀧川 正実

サンリオ、タカラトミー、EVANGELION STOREなどが“メタコマース”に参入。バーチャルショップが集まる商業施設とは

4 years 2ヶ月 ago

タカラトミー、サンリオ、「EVANGELION STORE」を運営するグラウンドワークスなどの企業が、一斉にメタコマースを始める。

メタコマースは、インターネット上の仮想空間「メタバース」に「Eコマース」を掛け合わせた造語。ネット場の仮想空間でアバターを操作し、メタバース内のバーチャルショップで買い物などができる仕組み。

タカラトミー、サンリオ、「EVANGELION STORE」を運営するグラウンドワークスなどの企業が、一斉にメタコマースを始める 「そらのうえショッピングモール」
タカラトミーのバーチャルショップ

タカラトミー、サンリオなどが出店するのはバーチャルショッピングモール「そらのうえショッピングモール」。ITサービスのベネリックデジタルエンターテインメントが運営するバーチャル空間の商業施設で、人気キャラクターのショップやイベントスペースを併せ持つ。

「そらのうえショッピングモール」は、monoAItechnology(モノアイテクノロジー)が開発・運営するバーチャル空間プラットフォーム「XR CLOUD(エックスアールクラウド)」上で展開、4月1日にオープンする予定。

タカラトミー、サンリオ、「EVANGELION STORE」を運営するグラウンドワークスなどの企業が、一斉にメタコマースを始める 「そらのうえショッピングモール」
「そらのうえショッピングモール」のイメージ

スマートフォンやPC、タブレット端末を用い、アバターを通じて参加できる。アバターはゲーム感覚で簡単に操作することができ、キャラクターショップや有名専門店、イベント会場が集まっているメタバースのショッピングモール内を自由に歩き回ることが可能。

バーチャルショップ上の商品を購入する場合は、ECサイトに移動することができる。それぞれのバーチャル店舗の店内でのオンラインショッピング、イベントへの参加などが楽しめる。実際の商業施設を超えた仮想空間ならではのコンテンツも準備し、何度も来店したくなるような魅力あるバーチャルショッピングモールをめざす。

タカラトミー、サンリオ、「EVANGELION STORE」を運営するグラウンドワークスなどの企業が、一斉にメタコマースを始める
バーチャルショップ「トミカ・プラレールショップ」からECサイトに移動できる

「そのらうえショッピングモール」は、「ジブリがいっぱい どんぐり共和国」「ウルトラマンワールドM78」「トミカショップ/プラレールショップ」「エヴァンゲリオンストア」「モンチッチショップ」など人気キャラクターショップが集まったバーチャルショッピングモールとなっている。

キャラクターショップ以外にも、さまざまなショップの出店を計画しており、年内には100店舗以上が集結する予定。360度カメラで撮影したショップで、実際のお店の中にいるように商品を探すことができる。

「そらのうえショッピングモール」内の店舗には相互送客によるECの新規顧客の拡大、リピーターの拡大の可能性が期待できる。
 

石居 岳
石居 岳

銀行口座からの引き落としでECサイトの支払いができる「口座直結決済」、GMO-PGが9月スタート

4 years 2ヶ月 ago

GMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)は3月29日、金融機関口座からの引き落としでECの支払いができる「口座直結決済」の提供を9月下旬から始めると発表した。

「口座直結決済」は、消費者がECサイトでの決済時に口座情報の入力と認証により購入代金を消費者の口座から直接かつ即時に引き落とす決済サービス。

EC事業者がECやオンラインサービスで口座から直接かつ即時引き落としによる支払いを提供するには、各金融機関と個別に契約を結び、システム接続を行う必要があった。「口座直結決済」を利用することで三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、横浜銀行など100以上の金融機関(2022年3月29日時点)での口座引き落とし支払いを提供できる。

GMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)は3月29日、金融機関口座からの引き落としでECの支払いができる「口座直結決済」の提供を9月下旬から始めると発表
「口座直結決済」の概要

「口座直結決済」はGMO-PGが提供する総合決済サービス「PGマルチペイメントサービス」の決済手段として提供する。EC事業者はクレジットカード決済や後払い決済サービス「GMO後払い」などと併せて、「口座直結決済」を一括してECサイトに導入・管理できる。

「口座直結決済」は購入代金を消費者の口座残高から直接かつ即時に引き落とす決済方法のため、「クレジットカードを持たない・あまり利用をしない」「使い過ぎや払い忘れを防ぎたい」といった消費者の利用が見込まれる。

GMO-PGでは「ECだけでなくオンラインサービス、デジタルコンテンツ、サブスクリプションサービスなどのシーンでも利用できる」としている。

内山 美枝子

小売業者のコンバージョン率UPのカギはオムニチャネルにあり!店舗受け取り、カーブサイドピックアップ、提供なしのCVR率まとめ | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

4 years 2ヶ月 ago
カーブサイドピックアップを提供しているトップ2000社の小売事業者の2021年におけるコンバージョン率の中央値は3.1%

オムニチャネルを展開している小売企業は、非展開企業に比べて高いコンバージョン率を示しています。なかでも、カーブサイドピックアップ(車中受け取り)を提供している企業が、最も高いコンバージョン率を実現しているのです。

カーブサイドピックアップ提供で最も高いコンバージョン率

2021年もコンバージョン率が上昇し続けることを期待していたオンライン通販事業者は、肩を落としました。

上位のオンライン小売事業者のコンバージョン率(ECサイトの流入数に対してどれくらい購入に至ったかを示す割合)はほとんど動きがありませんでした。

『Digital Commerce 360』がトラッキングしている14の商品カテゴリーのうち、コンバージョン率の中央値が2020年より0.2ポイント以上上昇したのは、スポーツ用品小売事業者だけでした。

2020年と同様に、オムニチャネルを展開している小売事業者は、展開していない事業者に比べて高いコンバージョン率を示しています。なかでも、カーブサイドピックアップを提供している企業は、最も高いコンバージョン率を実現しているのです。

『Digital Commerce 360』が発行している「北米EC事業 トップ1000社データベース 2021年版」にランクインした小売企業のうち、カーブサイドピックアップを提供している企業における2021年のコンバージョン率の中央値は3.4%でした。

この数字は、2020年のコンバージョン率と同じで、2019年から1ポイント上昇しています。

「北米中堅小売業者トップ1000社」と「北米EC事業 トップ1000社」の両方を網羅するデータベース「Digital Commerce 360 トップ2000社」でも同じパターンが見られました。カーブサイドピックアップを提供しているトップ2000社の小売事業者の2021年におけるコンバージョン率の中央値は3.1%で、2020年から変化はありませんでした。

オムニチャネルサービスごとのコンバージョン率。購入に至った訪問者の割合の中央値 オンラインで購入/店舗受け取り(BOPIS)、カーブサイドピックアップ、BOPISおよびまたはカーブサイドピックアップ、BOPISもカーブサイドもなし
オムニチャネルサービスごとのコンバージョン率。購入に至った訪問者の割合の中央値

在庫と利便性がCVRアップにつながる

在庫と利便性は、何よりもコンバージョンを促進します。『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが1108人のオンライン通販利用者を対象に行った調査(2022年1月に実施)によると、消費者が商品購入する可能性を高める要因のトップに「商品在庫」(66%)をあげました

第2位は「注文した商品を受け取ることができる店舗が近くにあること」で60%が回答。3位は54%で「注文した商品を受け取ることができる時間帯」でした。

利便性を重視する消費者に応えるため、小売事業者は注文受け取り方法のオプションを急速に増やしています。『Digital Commerce 360』のデータによると、2021年にはトップ1000社の小売事業者のうち170社がカーブサイドピックアップを提供しています。わずか25社だった2020年から580%も増加しています

また、2021年には上位1000社の小売事業者のうち232社がBOPIS(Buy Online Pick up in Store、オンラインで購入/店舗受け取り)を提供し、2020年の201社から15.4%増加しています。

上記データは、レポート「2022年版 コンバージョン率の改善方法」に記載されている一部の情報です。「2022年版 コンバージョン率の改善方法」では以下のトピックも明らかになっています。

SMSが好みのコミュニケーション手段トップ3に

『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが行った調査では、若い消費者はテキストメッセージを好むことが明らかになりました。18歳から39歳の半数以上(52%)が、SMSを好みのコミュニケーション手段のトップ3にあげています。また、調査対象者全体では、20%が好みの通信手段のトップ3にSMSをあげました

CVR向上にECプラットフォーム、デザイン、デジマに投資

ほとんどの小売事業者は、2022年にコンバージョン率と全体的なパフォーマンスの向上をめざし、いくつかの分野への投資を増やすことを計画しています。上位3つは、eコマースプラットフォーム(75%)、ECサイトのデザイン(69.6%)、デジタルマーケティング(66.1%)でした。

CVR向上には「SEOが重要」と8割の小売事業者が回答

『Digital Commerce 360』が調査した小売事業者の79%は、コンバージョン率を高めるためにSEOを「非常に重要」または「やや重要」と回答しました。

サイトの表示スピードに課題

『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが1000人の消費者を対象に行った調査(2021年9月実施)によると、オンライン小売事業者はECサイトのスピードをもっと早めることができるはずと回答。サイトの読み込み速度について「期待通り」または「期待以上」と答えたのは、わずか42%にとどまりました。また、73%の消費者は、オンライン小売事業者が迅速で簡単なチェックアウトのプロセスについて、「期待に応えている」「期待を上回っている」と答えていま。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360
Digital Commerce 360

音楽用品EC大手サウンドハウスが始める音楽を通じた「まちづくり」「地域活性化」とは

4 years 2ヶ月 ago

千葉県に本社を置く音楽用品EC大手のサウンドハウスは、宮城県牡鹿郡女川町で「音楽のまち」づくりに向けた新たなプロジェクトをスタートした。

サウンドハウスは女川町が行った旧女川中学校の土地や建物を利活用し事業を行う事業者募集に応募。町は事業内容などを審査して優先交渉権者をサウンドハウスに決定した。サウンドハウスは旧女川中学校を購入、引渡式が行われたと3月26日に公表した。

女川町を「音楽のまち」として活性化するため、新倉庫稼働、ショールームのオープンなど新たな事業展開に向けたプロジェクトをスタート。町も「産業の新たな核としての役割が大いに期待される」としている。

「音楽のまち」づくりに向けてスタッフ募集を行っているWebサイトでは、「音楽の力で日本を元気にする取り組みにチャレンジしたい」「女川を『音楽のまち』としてさらに発展させたい」「子供たちに楽器の楽しさを伝えたい」「女川の雇用を促進して町の活性化に貢献したい」という女川進出理由を説明している。

スタッフ募集を行っているWebサイトで女川進出の狙いなどを説明している(画像はサウンドハウスのWebサイトから編集部がキャプチャ)

サウンドハウスは音響機器ECの大手で、2021年12月期の売上高は208億円。千葉県成田市に本社を構える。関連会社には、大和の湯、印刷全般・製本を手がけるプレスハウスなどがある。

瀧川 正実
瀧川 正実

ベイクルーズがECサイトの検索機能を強化。特定商品を指定した日時まで検索結果に表示させない機能を実装

4 years 2ヶ月 ago

ベイクルーズは、ユーザーのさらなる利便性向上に向けて公式ECサイト「BAYCREW'S STORE(ベイクルーズストア)」にEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」の追加機能を実装した。

検索ヒット開始時間の設定が可能に

ベイクルーズは以前から「ZETA SEARCH」を導入している。今回、特定の商品を事前に指定した日時まで検索結果に表示させないように設定できる機能を実装した。

ベイクルーズ BAYCREW'S STORE ZETA SEARCH 商品ごとに検索ヒット開始時間を設定できる
商品ごとに検索ヒット開始時間の設定が可能に

「新商品のサイト内検索ヒット開始時間を店舗の開店時間と合わせたい」「限定の商品を特定の日時から売り出したい」など、状況に応じて活用できるという。

「ZETA SEARCH」とは

ECサイト内の検索における「絞り込み」「並び替え」の設定の自由度・柔軟性を追求したEC商品検索・サイト内検索エンジン。

キーワード入力時のサジェスト機能や、もしかして検索、ドリルダウン式の絞り込み、事前に検索結果の該当数を表示するファセットカウントなど、多数の検索機能を有している。

JRE MALL ZETA SEARCH サイト内検索 EC商品検索
「ZETA SEARCH」の基本機能(画像は「ZETA CX」サイトからキャプチャ)
藤田遥
藤田遥

小売店や飲食店などの実店舗を探す情報源の1位は「企業やサービスのホームページ」、2位は「Google検索」 | 店舗ビジネスに役立つ『口コミラボ』特選コラム

4 years 2ヶ月 ago
小売店や飲食店などの店舗情報を探す際に活用されているものは、1位が「企業やサービスのホームページ」(47.3%)、2位が「Google検索」(46.5%)

株式会社ONE COMPATHが運営する「LocalONE」は、8,576名を対象に店舗の情報収集や口コミに関する調査を行いました。調査の結果、店探しを行う際は公式サイトに加え、Googleマップを使う人が多いことがわかりました。また72.8%の人が、Googleマップの口コミを参考にしており、口コミの重要性が再確認できる結果となりました。

情報源は公式サイト・アプリとGoogle検索

小売店や飲食店などの店舗情報を探す際に活用されているものは、1位が「企業やサービスのホームページ」(47.3%)、2位が「Google検索」(46.5%)となりました。

このように公式のページだけでなく、Google検索やGoogleマップ上に表示される情報もよく参照されます。これらの情報を整備・管理することは、集客に直結すると考えられます。

小売や飲食店などお店の情報は、企業のホームページとGoogle検索で調べる人が多い
▲小売や飲食店などお店の情報は、企業のホームページとGoogle検索で調べる人が多い

またGoogle検索やGoogleマップでは、ほとんどの人が場所や営業時間を調べています。ここに正確な営業時間を載せておくことは、非常に重要です。

Google検索は新規顧客獲得に有効

「行ったことのないお店」を探す際に、もっとも使われるのは「Google検索」(80.4%)で2位が「Yahoo!検索」(75.7%)でした。

このように新規顧客に店舗情報をアピールする場所には、GoogleやYahoo!などの検索エンジンとそれに付随する地図アプリが有効であることがわかりました。

また「前から気になっているお店」を調べる際には「SNS」や「公式サイト」が、さらに「リピートするお店」には、「LINE」や「店舗検索メディア」が使われることが多いようです。

生活者は目的に応じて情報収集するメディアを選択している
▲生活者は目的に応じて情報収集するメディアを選択している

このように新規顧客には「検索エンジン・地図アプリ」、潜在顧客には「SNS・公式サイト」、既存顧客には「LINE・店舗検索メディア」が有効であることが判明しました。

それぞれのメディアをターゲットを意識して利用することで、効果を高めることができます。

72.8%が「口コミを参考にする」

Google上の「口コミを参考にしたことがある」と回答した人は、72.8%でした。多くの人が口コミを参考にして店選びをしていることがわかります。

口コミの情報を参考にする人は72.8%
▲口コミの情報を参考にする人は72.8%

また口コミや評価の良しあしだけでなく、お店からの返信も重要です。

ネガティブな口コミであっても「内容に即した個別の返信」があれば、65.4%に人が「お店に行ってみようと思う」と回答しました。

定型文ではない個別の返信で、ネガティブな口コミでも「お店に行ってみようと思う」65%以上
▲定型文ではない個別の返信で、ネガティブな口コミでも「お店に行ってみようと思う」65%以上
 

たとえネガティブな口コミが投稿されたとしても、ひとつひとつ真摯に対応することで逆に来店につなげることもできることが、調査結果から明らかになりました。

この記事を書いた「口コミラボ」さんについて

「口コミラボ」は、様々な地図アプリ・口コミサイトの監視、運用、分析を一括管理できる店舗向けDXソリューション「口コミコム」が運営する店舗ビジネス向け総合メディアです。近年、企業の評判管理が重要視されるなか、特に注視すべきGoogleマイビジネスを活用したローカルSEO(MEO)や口コミマーケティング、それらを活用した集客事例から、マーケティング全般、店舗経営のハウツー、業界動向データにいたるまで幅広い情報を紹介します。

口コミラボ
口コミラボ

小売・ブランドのECサイトが購入の意思決定に与える影響が拡大。ハイブリッド化するショッピングジャーニーまとめ【2022年版】

4 years 2ヶ月 ago

Criteo(クリテオ)が発表したショッピング動向や広告の好みについてまとめたレポート「ショッパーストーリー2022」によると、新型コロナウイルス感染症拡大により、オンライン上で新たな商品を発見・購入する機会が増えている一方、ショッピングジャーニーにおける実店舗の重要な役割も明らかになった。

月に1回以上インターネットを利用する日本の消費者1045人にショッピング動向や広告の好みなどについて調査、レポートにまとめている。

ショッピング動向

68%が「オンラインで商品を閲覧してから、店舖でその商品を購入している」、72%が「店舗で商品の実物を見てからオンラインで購入する」と回答した。

Criteo(クリテオ)が発表したショッピング動向や広告の好みについてまとめたレポート「ショッパーストーリー2022」

小売業者・ブランドの店舗でショッピングする可能性が高くなる要因

「商品がすぐに必要なとき」が54%、「商品を試用できる」が44%、「便利な立地」が39%、「店舗で利用できる特典がある」が33%。

すぐに商品が欲しい買い物客にとって実店舗は根強い人気があり、流行や最新のトレンドを理解するのに役立っている。実際に商品を確認・試すこともでき、多くの消費者にとって重要な役割があることがわかった。

Criteo(クリテオ)が発表したショッピング動向や広告の好みについてまとめたレポート「ショッパーストーリー2022」 小売業者・ブランドの店舗でショッピングする可能性が高くなる要因

この2年間、オンラインで商品を検索して購入する場合にどこから検索を開始するか

欲しい商品を正確に知っているときは「小売業者・ブランドのWebサイト(楽天、DMM、メルカリなど)」が41%。欲しい商品のタイプを知っているときは「小売業者・ブランドのWebサイト」が35%だった。

ブランド・小売業者のWebサイトは、オンラインでの購入を検討する消費者が最初に閲覧する場所であり、欲しい特定の商品・サービスが正確にわかっている場合、直接小売業者・ブランドのWebサイトでそれらを検索するケースが増加している。

Criteo(クリテオ)が発表したショッピング動向や広告の好みについてまとめたレポート「ショッパーストーリー2022」 この2年間、オンラインで商品を検索して購入する場合にどこから検索を開始するか

購入の意思決定をする上での小売業者・ブランドのWebサイトの影響力

「影響力は強まった」が21%、「影響力は変わらない」が72%、「影響力が弱まった」は7%。多くの消費者が、新しい商品との出会いや欲しい商品を検索する際、小売業者・ブランドのWebサイトに直接アクセスする傾向にあり、消費者の5人中1人が小売業者やブランドのWebサイトは、この2年間、購入の意思決定に影響を与えるようになったと回答した。

Criteo(クリテオ)が発表したショッピング動向や広告の好みについてまとめたレポート「ショッパーストーリー2022」 購入の意思決定をする上での小売業者・ブランドのWebサイトの影響力

この半年で行ったこと

日本の消費者の3分の1以上が、特定の企業が提供する顧客体験が優れていたため、他の人に推薦したことがあると回答。また、約3人に1人が特定の企業が提供する顧客体験が劣っていたため、そのネガティブな体験を他と共有したと答えている。

消費者は自らのオンラインおよび実店舗でのショッピング体験を前向きに捉える傾向があり、43%の消費者は好意的なレビューを投稿したと回答する一方、批判的なレビューをしたとする消費者はこの半年で23%にとどまっている。

Criteo(クリテオ)が発表したショッピング動向や広告の好みについてまとめたレポート「ショッパーストーリー2022」 この半年で行ったこと

定期的あるいは不定期的に行うこと

Z世代とミレニアル世代の70%がインターネットを利用中に広告をクリックすることがあると回答した。この割合はX世代、ベビーブーム&サイレント世代でもほぼ変わらず、広告が幅広い世代にクリックされていることが判明した。特にZ世代&ミレニアル世代では5人中3人がオンライン広告で見た商品を購入すると回答した。

Criteo(クリテオ)が発表したショッピング動向や広告の好みについてまとめたレポート「ショッパーストーリー2022」 定期的あるいは不定期的に行うこと

調査概要

  • 調査期間:2021年12月
  • 調査対象:月に1回以上インターネットを利用する日本の消費者
  • 有効回答数:1045件
石居 岳
石居 岳

流入が取れてもリード獲得できない! コンテンツマーケティングの悩みを解決「SEO×コミュニケーション設計」 ─BtoBサイトでやるべきSEO施策① | EC事業者のための「SEO」と「広告」の話

4 years 2ヶ月 ago
「SEO」「広告」2つの視点から語る、EC事業者のためのデジタルマーケティング講座。アユダンテとさまざまな取り組みを一緒にしているA-canの白砂ゆき子氏と業態別SEO施策を解説「BtoB-ECサイト編」【連載第12回】

BtoBサイトの性質を踏まえた最新の施策、「リードの獲得につながらない」などコンテンツマーケティングの壁とその対策、「SEO×コミュニケーション設計」について専門家と語り合います。

御社の記事コンテンツ、成果を出していますか?

製品とターゲットユーザーが限られるBtoBはSEO施策が難しい業種です。そこまで明確なキーワードがなかったり、商材が専門的すぎて検索が発生しないことも多いのです。

そこで、昨今流行っているのが記事コンテンツ。記事で周辺ニーズを獲得するという手法が流行り、SEOを意識したコラムコーナーなどを運営しているBtoBサイトをよく見かけます。

そして、最近よくある問い合わせが「記事で流入は取れるけど、リードが獲得できないんです……」というお悩み

それはその通りで、記事で情報収集したユーザーはすぐに離脱します。仮に、そのサイトの製品に興味があったとしても、一律「お問い合わせ」に誘導している記事から問い合わせをするでしょうか?

そのような背景を踏まえて、アユダンテでは「SEO×コミュニケーション設計」という新たな施策を打ち出しています。「コミュニケーション設計」とは、SEOで獲得したトラフィックを成約までどうつなげていくか、どう潜在顧客とコミュニケーションを取り続けるか、SEOの先の施策になります。

今回は、「コミュニケーション設計」を得意とし、アユダンテとさまざまな取り組みを一緒に行っているA-canの白砂ゆき子氏をお招きしました。白砂氏はFaber Companyで長年コンテンツマーケティングに携わってきたエキスパート。さまざまなセミナーにも登壇しているのでご存知の方も多いかもしれません。

白砂さんと15年くらいのお付き合いがあり、ここ数年、コンテンツマーケティングやSEOの情報交換をするなかで、BtoBに最適な施策、そしてコンテンツのその先の施策として「コミュニケーション設計」という取り組みを教えてもらいました。アユダンテの製品で施策してみて効果を感じたので、協業する形で顧客にも提供しています。

白砂ゆき子氏(写真右)
株式会社A-can 代表取締役 /株式会社FaberCompany シニアコンサルタント。映像コンテンツプロバイダー・化粧品メーカーECでのWebディレクション・マーケティング担当を経て、コンサルタントに。20社以上のオウンドメディア・コンテンツの企画・戦略設計を行った経験を持つコンテンツマーケティング専門家。2018年5月に独立。検索ユーザーに寄り添うコンテンツ設計を得意とする。 「Web担当者Forum ミーティング 2019 春」「MarkeZine Day 2019 Autumn」で講演。 寄稿はWeb担当者Forum、SATORIマーケティングブログなど多数

コミュニケーション設計の3つのステップ

江沢氏 コンテンツマーケをやっていますが、感じた課題や限界などありますか?

白砂氏 多くのオウンドメディア立ち上げ、グロースに関わってきましたが、コンテンツを充実させて検索流入やPVを増やしたところで、「思ったよりコンバージョンが起こらない」という課題に幾度も直面してきました。

なかには100万PV以上のメディアに育てたのに「成果が出ないから」と経営サイドから閉鎖を言い渡された案件もありました。検索流入のことだけ考えて運営を開始しコンテンツを投下していたら、いずれこのような壁にぶつかるのです。最初からコンバージョンを意識した設計を行う必要があると強く感じました。

全体で100本あることは把握しているが、各コンテンツの役割は不明確。整理してみると……

江沢氏 コミュニケーション設計はどんなことをどんな流れでやっていくのか、改めておさらいさせてください。

白砂氏 おおよそ、図のような流れで進めます。

① 現状把握(コンテンツリスト作成) ② バイヤージャーニーの設計 ③ コンテンツ制作・リライト、リンク設計

① 現状把握(コンテンツリスト作成)

白砂氏 すでに記事コンテンツがある場合は、現状のコンテンツを洗い出し、コンテンツリスト、いわゆる「在庫表」を作成します。

多くのオウンドメディア運営チームではコンテンツが何本あるかは管理していても、そのコンテンツが見込み顧客のどのフェーズ向けのコンテンツなのか把握できていません。各コンテンツのテーマを確認し、どのフェーズ(ターゲット)の読者に当たるのかを洗い出します。もちろん、各コンテンツの現状のターゲットとなる検索ニーズや検索順位、流入状況も把握しておきます。

また、Googleアナリティクスの行動分析からコンバージョンの経路となっているコンテンツも把握します。記事コンテンツ以外のWebページやホワイトペーパー、動画など、コンバージョンさせるために使えそうなコンテンツはすべて洗い出します

江沢氏 そうそう、すでに記事コンテンツがあるサイトの場合、この「在庫表」が重要なんですよね。私も何度か見てますが、全記事を「興味関心」「話題・ニーズ」「認知」「情報収集」「比較検討」の5つのフェーズに分類するんですよね。

これによって、「興味関心フェーズの記事は多いけど、情報収集系の記事がまだ十分ない」というように評価するんですよね。

もちろん新規で記事コンテンツを作っていく際にもこのフェーズを意識した検索ニーズ調査が重要! またこの在庫表は記事だけでなく、そのサイトが保有しているあらゆるコンテンツ(ホワイトペーパー、事例集、デモ動画など)も一覧化するんですよね。「自身がどんなコンテンツを持っているのか」この視点ってとても大事だと感じています。

チラ見せで恐縮ですが、こんな項目でリスト化してこれをずっとアップデートしていきます。ターゲットという列で5つのフェーズにわけています。

② バイヤージャーニーの設計

白砂氏 次のステップで「製品・サービスを購入する」ことが前提となる、見込み顧客のルートを、コンテンツをベースにして作成します。簡単に言うと、先ほど洗い出したコンテンツのどことどこをつなげると、見込み顧客の「買いたい気持ち」を育てていけるか、設計していくのです。

たとえば、製品で解決できる課題に対し「興味関心があるだけ」の人向けのコンテンツから、いきなり製品紹介やLPにリンクしても、なかなかクリックしてもらえませんよね。「課題への興味関心」だけの人には、「その課題を解決することで何が起こるのか」が載っているコンテンツへの誘導が必要なんです。

江沢氏 出た! バイヤージャーニー。これはすごいですよね。どことどこをつなげると見込み顧客の「買いたい気持ち」を育てていけるかを可視化したこの図版は、まさにコミュニケーション設計の肝です。

③ コンテンツ制作・リライト、リンク設計

白砂氏 ②のジャーニーを描くことで不足しているコンテンツや、カギとなるコンテンツがわかってきます。次の3つ目のステップでは実際のコンテンツ制作を行います。たとえばコンバージョンにつながりやすい集客コンテンツの検索順位や流入数が悪い場合はリライトしたり、類似テーマへのコンテンツ拡張をしたりします。

併せて、ジャーニーマップのコンバージョン経路に空白があれば、そこを担うホワイトペーパーや説得型ページなどのナーチャリング・クロージングコンテンツを新規で作成していきます。

また、ヒートマップを確認しながら、CTA(Call To Action)の挿入位置やリンク先の設計も行います。この際に、②で作成したジャーニーが羅針盤となります

江沢氏 やっと制作ですね。キーワード調査→ライティングして記事作成という流れが一般的ですが、やはり最初の分析と設計をまずしっかり行うことが重要だなと私も感じています。改めてまとめるとこんな感じかな?

江沢氏 コミュニケーション設計、奥が深い…。では次に、やはりSEO的に大事な記事コンテンツ部分において、白砂さんのこだわりやポイントがあれば教えてください!

白砂氏 CTAの挿入位置にはすごくこだわっています。必ずヒートマップ分析を行い、熟読エリアの直下(いったん話が終わるタイミング)や、スクロール離脱が50%以内のエリアから送客することなどですね。SEOコンテンツ改善も、ナーチャリング・クロージングコンテンツの改善もすべてヒートマップを使います。

私はミエルカのヒートマップツールをよく使っています。熟読エリアとスクロール離脱、クリックエリアを見比べながらCTA挿入で効果が出そうな場所を特定できます。無料から始めることができミニマムプランが月額9800円というのも嬉しいですね。

ミエルカヒートマップ

江沢氏 ミエルカヒートマップ、アユダンテでもずっと活用しています! 記事のリライトにしてもCTA設置にしても、この分析は欠かせないですよね。

自社が保有するコンテンツの棚卸から始めよう

江沢氏 次にコミュニケーション設計部分でのポイントを教えてください。これ、本当に経験が必要でなかなか難しい施策だと感じています。

白砂氏 重要なポイントは、現在保有しているコンテンツの棚卸と整理整頓をしっかりやることですね。あるクライアントは、Webダウンロードには出していないけど現場で使っているホワイトペーパー(冊子)をたくさん保有しており、それらがリード獲得に使えることがわかりました。

みなさん意外と自分たちが保有しているコンテンツのすべてを把握できていないのです。また、それぞれのコンテンツの役割や目的も曖昧になっています。全体設計の前に、各コンテンツにきちんと役割と目的のラベル付けを行いましょう

そしてジャーニー設計を行ったら、不足コンテンツの作成や成果の悪いコンテンツのリライトやリメイクをし、コンテンツが増えるたびに在庫表とジャーニーマップを更新、これを繰り返していきます。かなり面倒な作業に感じますが、作る意味のわからないコンテンツを作り続けるより成果が出ます。制作本数を減らしてでも、管理体制を整えることをおすすめします

江沢氏 確かに! SEO観点でコンテンツを作るとどうしても人気のキーワードにフォーカスしちゃうんですよね。あと大きな企業になればなるほど保有コンテンツを活用しきれていないケースはよく見かけます。在庫表にしても、ジャーニーマップにしてもとにかく可視化することが大事ですよね。

BtoBの内部施策とは?

白砂氏 江沢さんに質問してもいいですか? 私はコンテンツマーケティングが主ですが、やはりBtoBのSEOで内部施策もまだ重要なんでしょうか?

江沢氏 そうですね、昨今のBtoBのSEO施策は記事優位みたいな風潮がありますが、やはり内部施策は重要だと感じています。案外、本体側にもキーワードがあり、記事よりCVRが高いのに対策できていないケースが多い。ちょうどBtoBの内部施策で何をどう進めるべきか、「Web担ビギナー」のこちらの記事を監修したのでご紹介しておきます。

よくありがちなのが、記事への導線が本体側からほとんどないケースです。やはり内部リンクは超重要ですし、記事の中には訪れたユーザーの役に立つものもたくさんあるので、TOPページのメインエリアから新着記事、人気記事、コラムTOPなどへのナビゲーションをしっかり設置したほうが良いです。グローバルナビにも入れてほしいです。

白砂氏 この連載はSEO×広告ですが、BtoBにおいて広告との取り組みって何かありますか?

江沢氏 結構、BtoBはSEOと広告のコラボレーションの事例があります。広告はキーワード単位のCVRデータがわかるので、そこから記事のネタを探したり、SEOでいまいちの記事を広告でデリバリーして強化したり、逆にキラーコンテンツを広告出稿してさらにコンバージョン獲得を目指すなど、さまざまな取り組みをしています。詳しくは広告の回で河野さんに取り上げてもらいます。

BtoBは「総合力」が大事

江沢氏 最後に白砂さんに聞きたいです。今後のBtoBのSEO施策はどうなりますか? どこに注力していきたいですか?

白砂氏 コンテンツを作って流入を稼ぎ、アクセスを増やすだけだと成果が出ないことがわかってきました。ソーシャルメディアやメールマーケ、オフラインやイベント・セミナー、動画コンテンツなどを融合させて、総合力で勝負できるよう、すべてのコンテンツに詳しくなりたいですね。

そして、先ほど説明した全体設計を行い、描いたシナリオ通りに成果が出るコンテンツマーケティングを実施していきたいです。忍耐力の必要な施策ですが、やりつくせば必ず成果が出ます

江沢氏 そうですね、どの業種でも「SEOだけ」「広告だけ」「SNSだけ」では大きな効果が望めなくなってきていますよね。総合力で勝負、大事な言葉だと感じました。

白砂さん、今回はありがとうございました! SEOのその先のコミュニケーション設計、私自身も今後の打ち手として非常に期待していますし、すでに効果を体感しています。BtoB、そしてBtoCでも検討期間の長い商材では有効ではないかと感じています。

◇◇◇

次回は実際にSEOとコミュニケーション設計を実施して流入とリード獲得の成果が出たサイボウズ様の事例をお届けします。

江沢 真紀
江沢 真紀

GMOペパボが「カラーミーショップ大賞 2022」を実施。全374ショップがノミネート【一般投票受付中】

4 years 2ヶ月 ago

GMOペパボが運営するネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」は、創意工夫を凝らしたネットショップを発掘、表彰するコンテスト「カラーミーショップ大賞 2022」を開催する。

ノミネートショップ公開&一般投票スタート

コンテストに向けて、ノミネートされた全374のショップを特設サイトで公開、一般投票の受付を開始した。一般投票は4月8日(金)23時59分まで。一般投票の結果を踏まえて最終審査を行い、5月24日(火)に行われる授賞式で受賞ショップを発表する。

カラーミーショップ大賞2022 GMOペパボ 全374ショップを公開 一般投票スタート
全374のショップを公開。一般投票を受け付けている
(画像は「カラーミーショップ大賞」特設サイトからキャプチャ)

「カラーミーショップ大賞」とは

「カラーミーショップ」利用ショップのなかから、ネットショップの構築・運営において独自の創意工夫を凝らしているショップを発掘・表彰するコンテスト。2014年からスタートし、今回が8回目となる。

「カラーミーショップ大賞」では「カラーミーショップ」を利用している4万以上のショップすべてが一次審査の対象となる「オファー制」を採用。「カラーミーショップ」スタッフによる審査を経てオファー対象となるショップを選出し、オファーを受けた374ショップが一般投票のノミネートショップとなった。

今回から、サステナブルを意識した商品販売、生産工程を導入しているショップに贈る「SDGs賞」を新設。また、三越伊勢丹の審査協力のもと、ネットショップを通じて日本文化の発信を積極的に行ったショップに贈る「にっぽん文化奨励賞」を2ショップ選定する。

そのほか、各賞は次の通り。

  • 大賞(1ショップ):年間を通して総合的に最も優れたショップに贈る賞。「デザイン・PR・成長率」において最も秀でたショップを優秀賞のなかから決定
  • 優秀賞(10ショップ):「デザイン・PR・成長率」の審査基準をバランスよく満たしている上位ショップに贈る賞
  • 地域賞(20ショップ):国内7つのエリア(北海道・東北、関東、東京、中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄)を代表するショップに贈る賞
  • 特別賞(6カテゴリ・10ショップ):「ベスト店長賞」「ベスト商品賞」「ベストセレクト賞」「ベストデザイン賞」「SDGs賞」「新人賞」の6カテゴリで優秀なショップに贈る賞
  • にっぽん文化奨励賞(2ショップ):ネットショップで日本文化を発信しているショップに贈る賞
  • Amazon Pay賞(1ショップ):「Amazon Pay」の決済を導入して、より多くのユーザーに簡単・便利な購入体験の提供を実現したショップに贈る賞

「全国のネットショップを応援しようキャンペーン」を実施

一般投票期間中、Twitterで投票したショップ名とハッシュタグ「#カラーミーショップ大賞2022」をつけて投稿した人のなかから抽選で10人に「カラーミーショップ大賞」歴代受賞ショップのグルメが当たる「全国のネットショップを応援しようキャンペーン」を行う。

カラーミーショップ大賞2022 GMOペパボ 全国のネットショップを応援しようキャンペーン
「全国のネットショップを応援しようキャンペーン」を実施

応募期間は4月8日(金)23時59分まで。期間中は1ショップにつき1日1回まで投票できる。投票できるショップ数に制限はなし。

藤田遥
藤田遥

ニトリがEC需要拡大などに対応するため国内物流拠点を再配置、愛知県飛島村と埼玉県幸手市に新物流センター

4 years 2ヶ月 ago

ニトリホールディングスは、愛知県飛島村と埼玉県幸手市に物流センターを新設する。運用は物流子会社のホームロジスティクスが担う。

2021年に石狩DC(DC=Distribution Center、在庫保管型物流センター)、神戸DCの新設を発表しており、国内物流拠点の再配置を進める。

愛知県飛島村に新設する名古屋DCは、名古屋港から7kmの距離に立地、名古屋市中心部への優れたアクセス性を持ち、東海・北陸エリアをカバーする物流拠点となる。

ニトリホールディングスは、愛知県飛島村と埼玉県幸手市に物流センターを新設
愛知県飛島村に新設する名古屋DC

埼玉県幸手市の幸手DCは、関東・上信越エリアを広くカバー。ニトリグループの国内物流センターでは最大規模の面積。

ニトリホールディングスは、愛知県飛島村と埼玉県幸手市に物流センターを新設
埼玉県幸手市に新設する幸手DC

名古屋DCは2023年11月1日、幸手ICは2024年3月1日に竣工する予定。

ニトリグループは、店舗の出店加速、ライフスタイル変化に伴うEC需要拡大などの環境変化に対応するため、国内物流拠点の再配置を進めている。

2021年9月に一般貨物自動車運送事業を手がける株式会社ホームカーゴを、ホームロジスティクスが設立。ニトリグループが掲げる「製造物流IT小売業」において、グループ全体のスケールメリットを生かした一貫物流を実現するため、関東圏内におけるドレージ輸送を始めた。

ドレージとは、海外からコンテナで輸送されてきた荷物を直接目的地まで陸送する方法。自社で車両を保有し、港から各物流拠点までの輸送の効率化、ならびにコスト削減につなげる。その一環として、国内物流拠点を再配置し、ドレージ事業を拡大する方針を掲げている。

ニトリホールディングスは、愛知県飛島村と埼玉県幸手市に物流センターを新設 ドレージ事業を拡大する
ドレージ事業を拡大する方針

 

瀧川 正実
瀧川 正実

ショップチャンネルの新社長に小川吉宏経営企画本部長が就任

4 years 2ヶ月 ago

テレビ通販最大手のジュピターショップチャンネルは、4月1日付けで執行役員経営企画本部長の小川吉宏氏が代表取締役社長に就任すると発表した。

新森健之代表取締役社長は3月31日付けで退任、4月1日付けで特別顧問(常勤)への就任を予定する。

代表人事は4月1日に開く取締役会の承認を経て正式決定する。

小川吉宏氏は1990年、ショップチャンネルの第2位株主である住友商事に入社。2018年に繊維事業部長、2019年にリテイル事業第二部長、2020年にショップチャンネルの執行役員経営企画本部長に就いた。

ジュピターショップチャンネルは24時間365日生放送のショッピング専門チャンネル「ショップチャンネル」を運営するテレビ通販最大手企業。2020年度(2020年4月~2021年3月)売上高は前期比1.4%減の1610億5200万円。営業利益は199億4900万円、当期純利益は139億4200万円。

瀧川 正実
瀧川 正実
確認済み
1 時間 14 分 ago
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