ネットショップ担当者フォーラム

コンバージョンUPに良質なコンテンツが重要な理由と高品質コンテンツを作るために押さえておくべき4つのポイント | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

4 years 3ヶ月 ago
eコマースのコンテンツはテキストと画像ですが、その改善効果は数字に現れます。eコマースコンテンツの最適化は、ブランドの潜在能力を最大限に引き出すための重要なカギです

eコマースのコンテンツは、ブランドの可能性を最大限に引き出すための重要な要素です。また、コンテンツの影響力は、eコマースにおいて最も測定可能な要素でもあります。

実店舗の体験をオンラインで再現するには戦略的な努力が必要

実店舗に入り、商品を見て、店員と話し、試着して、買う気になったらレジに向かう消費行動を覚えていますか? とても単純な買い物体験ですが、これをオンラインで再現するには、戦略的かつ意図的な努力が必要です。

店頭でのショッピングが回復しても、eコマースの成長は続くと予測されています。ブランドは、これまで以上にデジタルに精通した消費者の期待に応えるために、戦略を練る必要があります。

ECのコンテンツでリアル店舗の疑似体験を

実店舗に行ったときの感覚を思い浮かべてみてください。通路で見たモノ、商品棚を見て感じたこと、キャンドルショップでの匂い、親切な店員との会話から得たモノなど、現在はそのすべてがコンテンツという形でオンライン上に存在しています。

ブランドと消費者のコミュニケーション方法がコンテンツであることが多いため、パフォーマンスが高く、関連性の高いコンテンツが必須となるのです。そして、コンテンツは標準以上の内容でなければなりません。

消費者のトレンドがデジタルに移行し、カスタマーエクスペリエンスへの期待値は、以前よりはるかに高くなっています。eコマース黎明(れいめい)期には、企業はデジタルに精通した消費者にアピールしていましたが、当時の消費者は、不完全な商品情報、不便なナビゲーションといったオンラインショッピング体験における不具合に寛容でした。

しかし、この1年半の間に、20年以上デジタルの世界を避けていた新しい消費者が、オンラインで商品を購入せざるを得なくなりました。この変化を示す最近のレポートでは、コロナ禍において、調査対象者の29%が新しいデジタルショッピングの方法を試し、そのうち81%が2021年も継続すると回答しています。

また、これまでデジタルでの購入を避けていた層もいます。特に、高額商品をインターネットで購入するのは危険だと考えていた人達です。

つまり、これからのeコマースのコンテンツは、消費者のニーズに合わせて、必要な情報を提供し、購入の意思決定を迅速に行う助けになる必要があるということです。

eコマースのコンテンツは、ブランドの可能性を最大限に引き出すための重要な要素

質の高いコンテンツを提供するために知っておくべき4つのポイント

① 新しいカスタマージャーニーは多面的になっている

オンライン通販利用者が購入に至るまでの道のりは、直線的ではなく、多面的なものになっています。ブランド認知から商品検討、購入に至るまで、消費者の行動には明確なフェーズがありますが、消費者はこれらのフェーズを行き来するようになっています。

消費者は、複数のショッピングサイトを同時に利用しているのです。従って、消費の購入前の疑問に答える最も関連性の高いコンテンツを提供して、迷うことなくその場で購入するように仕向けることが極めて重要です。

マーケティングの観点から見ると、購入に至るまでの各フェーズにおけるコンテンツは、それぞれ販売につながる機能を果たしています。

② 商品説明の充実がコンバージョンUPに直結

効果を最も測定しやすいのが、カスタマージャーニーの最後に位置するeコマースのコンテンツです。

チェックアウト直前の商品ページのパフォーマンスを向上できれば、そのページにたどり着いた消費者のコンバージョン率が即座に向上します。

そうすれば、オンラインマーケティング予算全体のROI(費用対効果)に大きな効果をもたらすでしょう。だからこそ、ブランドは常に商品ページの最適化を最優先すべきなのです

さらに、商品説明の充実は返品率に大きな影響を与えます。たとえば、ファッション業界では、消費者が実際の商品に触れたり試着したりすることなく購入を決定するために、単純なサイズ情報に加えて「フィット&フィール」に関する優れた説明が不可欠です。詳細な情報を提供すれば、より確かな情報に基づいた購入につながり、返品率が低くなります。その結果、ブランドは返品された商品の物流や処理にかかる数百万ドルのコストを削減することができるのです。

③ カテゴリーページのコンテンツが検索トラフィック向上に直結

カテゴリーページに検索に引っ掛かりやすいコンテンツを用意することは、検索エンジンからのトラフィック増加と収益アップへの最も効果的な方法の1つです。

オンライン検索のデータ分析からは、ほとんどの消費者は特定の商品を探していません。ミニ ブラックドレス」「ウェッジソール シューズ」などの一般的な検索用語を使用していることがわかっています。

このような検索需要に対応したカテゴリーページ(一般的な検索キーワードに対応した消費者向けのコンテンツが掲載されているページ)を作成することで、これまで失っていた大きなトラフィックを獲得することができます。商品ページと同様、カテゴリーページのコンテンツの影響は、これらのページに起因する検索トラフィックと収益の増加によって測定できます。

④ 質の高いガイドコンテンツは平均注文金額の向上につながる

おそろいの洋服を紹介する場合、ホリデーシーズン用のキャンドルの香りを比較する場合でも、ブランドは消費者にオンライン上で可能な限り多くのわかりやすいコンテンツを提供し、商品群のなかから購入を決断してもらう必要があります。

「選択のパラドックス」と呼ばれていますが、情報が多過ぎるとと、消費者は何も決められなくなってしまいますよく練ったガイドコンテンツを用意し、消費者が興味を持ちそうな商品を厳選して提供、最も適した商品を素早く選択できるようにしましょう

質の高いガイドは、検索エンジンからのアクセスを集めると同時に、関連商品のクロスセルや平均注文金額を押し上げる強力な手段にもなります。

◇◇◇

eコマースのコンテンツはテキストと画像ですが、その改善効果は顕著に数字へと現れます。

たとえば、あるページにアクセスした100人のうち平均30人が購入するとします。商品説明が充実していれば、コンバージョン率が平均33%向上、30人の購入者が40人になるのです。この増加分をすべてのデジタルマーケティングチャネルに掛け合わせると、大規模な小売事業者の場合、数百万ドルの投資効果が得られることになります。

バーチャルなショッピング体験の向上から、デジタルマーケティング予算のパフォーマンス向上まで、eコマースコンテンツの最適化は、ブランドの潜在能力を最大限に引き出すための重要なカギなのです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360
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【読者プレゼント】『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する』を10名様にプレゼント!

4 years 3ヶ月 ago

こちらのコーナーでご紹介している『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する』を、10名様にプレゼントします。ご希望の方は下記のフォームにご記入の上、お申し込みください。締め切りは8月31日(火)です!

『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する』のご紹介

表紙
この本をAmazonで購入

日本発D2Cブランドの代名詞とも言われる「FABRIC TOKYO」が、D2Cによる小売推進・変革のための事業戦略を徹底解説する1冊。

小売業のDX化を推進する活動を背景に、D2Cの基礎知識、世界観の作り方、オンラインとオフラインの融合(OMO戦略)、マーケティング戦略、組織運営、さらにその先の未来の話(RaaS)まで、具体的な事例やデータを盛り込みながら解説します。

DX化が遅れている中小の小売メーカー、ECのビジネスモデル転換を図りたい中小経営者、D2Cの考え方やノウハウを事業戦略に取り入れたい方、モノづくりの分野でスタートアップを始めたい方などに、課題解決のヒントを提示します。

 
contents

第1章 D2C戦略が小売を変革する
第2章 D2C立ち上げ時に考えるべきこと
第3章 マーケティング戦略
第4章 LTVの最大化
第5章 組織運営
第6章 ファイナンス&提携
第7章 D2Cのその先へ

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  • メールアドレスには株式会社インプレスからのお知らせを送らせていただくことがあります。
  • 賞品の当選は発送をもって代えさせていただきます。抽選結果のお問い合わせにはお答えしかねます。
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内山 美枝子

「リテールテインメント」「ウォルマートの事例」などに学ぶCVR・LTV向上に役立つマーケティング施策【資料を無料提供】

4 years 3ヶ月 ago
CVR向上が期待できる「リテールテインメント」「ショッパーテインメント」とは? 「Walmart」が進める買い物体験、ゲーム感覚の「肌診断」でECサイト遷移率7倍を達成した事例などをまとめた資料
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コンバージョン率(CVR)、LTV(顧客生涯価値)の向上は、多くのEC事業者にとって最優先の課題と言える。無料提供する本資料は、「リテールテインメント」「ショッパーテインメント」という新しい潮流、世界最大のスーパーマーケットチェーン「Walmart」が進める顧客体験、AI(人工知能)を活用したEC事例などを掲載、CVR・LTV向上に役立つヒントをまとめている。

オイシックス・ラ・大地の専門役員COCOの奥谷孝司氏、セガ エックスディー取締役執行役員・片山智弘氏、COUNTERWORKS 代表取締役CEO・三瓶直樹氏が、「リテールテインメント」「ショッパーテインメント」をテーマに鼎談(ていだん)。小売業に求められるエンタメ要素についてまとめている。

『CVR・LTV向上に役立つマーケティング施策事例集』PDF誌面イメージ1

また、「Walmart」は「生活の意思決定の負担を減らす」ためのサービス提供に注力。考えずに買い物ができる環境作りなどの取り組みについて、有識者へのインタビューを基にまとめた。

『CVR・LTV向上に役立つマーケティング施策事例集』PDF誌面イメージ2
PDFのダウンロードはこちら 「Impress Business Library」(インプレス・ビジネスライブラリー)に移動します

CONTENTS

今、小売り・ECに「エンタメ要素」が求められるワケは?
CVR向上が期待、「リテールテインメント」「ショッパーテインメント」を有識者3人がひも解く

オイシックス・ラ・大地の専門役員COCO/顧客時間の共同CEO取締役・奥谷孝司氏、セガ エックスディー取締役執行役員・片山智弘氏、COUNTERWORKS 代表取締役CEO・三瓶直樹氏による鼎談。


コンバージョンのカギは良質な顧客体験の提供
「意思決定の負担を減らす」体験の徹底を進めるWalmartの例

Walmartのコロナ禍における取り組み、そして今後の戦略から、EC事業者がCVRを改善していくためのヒントを探る。


ゲーム感覚の「肌診断」で化粧品の購買促進!?
肌状態に適した商品レコメンドでECサイト遷移率7倍に

独自の肌診断AI(人工知能)技術を開発し、ポーラ・オルビスHDから出資を受けるなど美容テック領域で注目を集める「Novera」の事例を紹介。


2か月でCVRを272%改善した
「コンバージョン最大化サービス」とは

Web接客ツール「Repro(リプロ)」のReproが提供する、題を分析しPDCAを高速に回すことでコンバージョン率(CVR)を向上させる「コンバージョン最大化サービス」について解説。

無料でダウンロードできる資料(PDF)のご案内

CVR・LTV向上に役立つマーケティング施策事例集
CVR・LTV向上に役立つ
マーケティング施策事例集

本資料は、鼎談、専門家による解説、事例記事、サービス提供会社のサービス紹介で構成。全9ページで、CVR・LTV向上に役立つヒントをまとめている。

PDFのダウンロードはこちら 「Impress Business Library」(インプレス・ビジネスライブラリー)に移動します
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ネットショップ担当者フォーラム編集部

メルカリの国内流通総額は25%増の7845億円【2021年6月期】

4 years 3ヶ月 ago

メルカリの2021年6月期における日本国内の流通総額は前期比25%増の7845億円だった。調整後の営業利益率は32%、流通総額・利益率とも目標値を上回った。

年間を通じた月間アクティブユーザー数(MAU)は前期比12.0%増の1954万人。招待キャンペーンなどで新規ユーザーを順調に獲得したことが寄与した。

メルカリの2021年6月期における日本国内の流通総額
流通総額とMAUの推移(画像はメルカリのIR資料からキャプチャ)

2021年4-6月期(第4四半期)における商品カテゴリー別の需要を見ると、最も売れているいるのは「エンタメホビー」で、全体のシェアは前年同期比1.0ポイント増の27%。このほか「スポーツレジャー」が同2.0ポイント増の8%を占めるが、全体として大きな変動はなかった。

メルカリの2021年6月期
カテゴリーの変化(4-6月、画像はメルカリのIR資料からキャプチャ)

2021年以降の取り組みでは、国内のメルカリ事業において、新規ユーザーの獲得によるMAUの成長、既存ユーザーの活性化による1ユーザーあたりの平均売上高(ARPU)を増やし、流通総額を拡大していく。

メルカリの2021年6月期
事業方針(画像はメルカリのIR資料からキャプチャ)

具体的には、中高年世代を中心とした潜在出品者3600万人に対し、梱包発送の簡便化、各種オフライン施策、マーケティング施策等によってメルカリの利用を促していく。

メルカリの2021年6月期
事業方針(画像はメルカリのIR資料からキャプチャ)

経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2020年のCtoC-ECの市場規模は1兆9586億円で前年比12.5%増。新型コロナウイルスの感染症拡大による巣ごもり消費などで、CtoC-ECの利用者が増加した。

石居 岳
石居 岳

2021年下半期以降の通販市場「拡大する」が約8割。消費者の行動変化に合わせた対応が必要【主要通販企業への景況感調査】 | 通販新聞ダイジェスト

4 years 3ヶ月 ago
通販新聞社は2021年7月、通販実施企業を対象に2021年下半期以降の通販市場の予想、景況感についてアンケートを実施。約8割が「通販市場が拡大する」と回答しました

通販新聞社は7月、通販実施企業を対象に、今年下半期以降の通販市場の予想、景況感についてのアンケート調査を行った。その結果、「拡大する」と回答した企業の割合は78%にのぼった。コロナ禍による通販の利用増が今後も一定程度継続するとの見方のほか、ワクチン接種が進むことによる景気回復効果が通販市場にも好影響をもたらすのではとの回答が目立った。

一方、足元の消費動向には「横ばい」とする回答が半数を占めた。これからの通販市場はどうなっていくのか。各社から寄せられた声をみていく。

2021年下半期以降の通販市場、78%が「拡大する」と予想

本紙は主な通販実施企業約600社を対象に7月に実施した通販通教売上高調査にあわせて、通販市場の景況感に関するアンケートを実施した。

まず、「2021年下期以降の通販市場について、どのように予想していますか」と質問し、「拡大する」「横ばい」「縮小する」の3つの選択肢の中から選んでもらった。その結果、有効回答数のうち、「拡大する」と回答した企業は78%を占めた。「横ばい」は13%で「縮小する」は9%だった

通販新聞 2021年下半期以降の通販市場の予想
2021年下半期以降の通販市場についての予想

コロナをきっかけに増えた通販利用が定着

「拡大する」と回答した事業者の多くはコロナ禍をきっかけに増えた通販利用が定着し、それが市場拡大に今後も寄与していく、との意見だ。

「コロナによる通販利用の定着により、通販市場自体は維持・拡大すると思う」(GSTV)や「コロナによって通信販売の利便性・安全性が高く評価され、それは今後も一定は定着すると想定されるため」(ジュピターショップチャンネル)、「実店舗に出向かず通販を利用する購買行動が定着化すると考えている」(JALUX)、「新型コロナウイルス感染症の拡大により、ECの購買行動のハードルは下がり、マーケット全体の裾野が広がったと捉えているため」(オイシックス・ラ・大地)、「2020年に拡大したネット通販市場は、今後、コロナ禍が沈静化したとしても、その利便性の高さから顧客離れが起きるとは考えにくい。前期よりも伸び率は下がるものの、拡大傾向は続くと予想している」(田中貴金属ジュエリー)、「新型コロナの状況が先を見通せない中にあって、引き続きインターネットによる情報収集~購入の消費行動は変わらないまま増進するとみられるため。また、一度、アカウントを作成して通販を使用すれば、その利便性は手放せないことからも、アフターコロナも引き続き通販市場は勢いが落ちないのではないか、と期待している」(大網)などの回答が多かった。

また、「新規参入者が多いから」(世田谷自然食品)、「スマートフォンの普及に伴うインターネット人口の増加、新型コロナウイルスによる実店舗からオンライン市場への消費の移行などの要因により、今後も市場規模の拡大が見込まれるため」(北の達人コーポレーション)などコロナ禍による通販市場への新規参入事業者の拡大が起因するのではという意見のほか、「まだまだコロナ禍で自粛が続いているため通販は引き続き伸びる」(ブレーンコスモス)、「いまだにコロナに対する決定的な対策がないため、健康食品や通信販売の需要は継続的にあると思う」(ちゅら花)、「新型コロナウイルス感染拡大による在宅時間増加の影響により、市場全体は拡大。しかし、店舗販売メインの企業が通信販売に参入するなどの動きがみられることから、競争は激化すると感じている」(えがお)、「長引くコロナ禍における先行き不透明な状況ではあるが、デジタルシフトは継続し、持続的な成長を維持できる」(マガシーク)などの意見もあった。

「横ばい」「縮小する」理由は、「すごもり需要の減少」

「横ばい」と予測した事業者の意見で目立ったのは、通販の利用増は継続するもののコロナの収束により、巣ごもり需要が減少することで昨年までのような特需は見込めないとの見方だ。

「ワクチン接種の普及により、コロナが収束に向かい、店頭での需要が回復傾向となり巣ごもり需要による消費がやや減少する。これまで拡大傾向ながらも一時的に横ばいになる」(アイム)、「外出時間が増え、お店での購入が増加すると予測。通販については、コロナ禍での特需が徐々に収まり、通常に戻ると予想」(ヒラキ)などといった回答があった。

「縮小する」と予測した事業者の回答では「コロナに起因する需要増が落ち着きをみせる可能性があるため」(ロッピングライフ)などコロナ禍での通販特需がコロナの収束でなくなり、それにより市場は縮小するという回答が多かった。

現状の消費動向、半数が「横ばい」と回答

アンケートでは次に「現状の消費の動向をどう捉えていますか」と質問し、各社に「上向いている」「下がっている」「横ばい」の3択で回答してもらった。その結果、「横ばい」が50%と最も多く、「下がっている」は29%、「上向いている」が21%となった

通販新聞 現状の消費の動向をどう捉えているか
現状の消費の動向をどう捉えているか

コロナのマイナス要因と消費意欲上向きのプラス要因がせめぎ合い

最も多かった「横ばい」の選択理由ではいまだ続くコロナの感染拡大というマイナス要因とワクチン接種などが進み、全体的に消費意欲が上向きつつあるプラス要因がせめぎ合う現状を踏まえた回答をした企業が目立った。

「外食、旅行、イベント関連の需要は落ち込み、消費スタイルは変化したものの、巣ごもり需要の増加によって自炊、生活家電、オンラインサービスに関連する消費が大きく伸びており、消費行動は変化していないため」(北の達人コーポレーション)、「現在、コロナウイルスのワクチン接種の順番待ちやオリンピック開催による不安などから現状の消費動向は横ばいになっている印象を受ける。ワクチン接種率の上昇やオリンピック、パラリンピックの終了に伴い、2021年下半期以降は全体的に経済が回復し、ネット通販に関しても状況が今の状況より良くなるのではないか」(プラグイン)などの回答のほか、「昨年度に大幅に下降してから、現時点では大きな変化は感じられない。しかし、今後のコロナの状況次第では反動消費も発生すると想定される」(ジュピターショップチャンネル)、「セール在庫減によるセール不振ではあるがプロパーは堅調のため下がっていない」(マガシーク)、「店舗の売り上げ減少の一方、通販の売り上げ増加」(ヒラキ)、「アフターコロナの消費環境、市場が見通せない」(ベルネージュダイレクト)などの回答もあった。

コロナによる先行き不安で「下回る」と予想

次いで多かった「下回っている」はコロナの影響を挙げた回答が大半を占めた。

「コロナによる景気悪化のため」(世田谷自然食品)、「新型コロナウイルス感染症の収束が見通せず、先行き不安が増大」(ニッピコラーゲン化粧品)、「店舗の売り上げがマイナスしている分、通信販売が伸びているが、全体の消費は落ち込んでいると捉えている」(JALUX)、「政府による消費喚起政策やコロナウイルスの段階的な鎮静化により、一時期と比べて消費動向は回復の兆しを見せているものの、コロナ前と比べては依然、低水準での消費が継続しており、先行き不安からの消費抑制・貯蓄増が予想されているため」(オイシックス・ラ・大地)、「先が見えない状況が予想以上に長引いていることから、消費動向は全体的に低調と見ている。リベンジ消費を大きく期待できる状況にはない」(田中貴金属ジュエリー)などだった。

自宅時間を楽しむことに消費者の意識が変化し「上向いている」

「上向いている」を選んだ企業からは「昨年から新型コロナウイルスが蔓延しているが、流行初期と比較すると上向いている。自粛を余儀なくされている中で、『禁止・自粛』という視点から『今の環境をどう楽しむのか』という視点に消費者全体の意識が変化したと考えている」(えがお)、「自宅で過ごす時間が増えたことにより、さまざまな形のエンターテインメントによって『楽しむ』時間を求める傾向がある。『鑑賞』『作る』『遊ぶ』などのキーワードを持つホビー商材(フィギュア・プラモデル・ゲーム)などはその需要を満たすものであって、ある程度自分のお金を自由に利用できる社会人世代にも人気の高い分野であることから、消費は上向きであると考えている」(大網)などの回答があった。

今後の通販市場、コロナでどう変化するのか

通販の利便性が定着し、「拡大続く」と楽観的な意見多く

まだまだ収束が見通せない新型コロナウイルス。とはいえ、ワクチン接種も進みつつあり、今後、消費者の生活様式も変化する可能性がある。通販各社は今後の通販市場がどのようになっていくと観測しているのだろうか。各社にアンケートで尋ねた。

「コロナが落ち着いても通販市場の活況は続くのではないか」(世田谷自然食品)、「『健康であることの大切さ』や『通信販売の利便性』など、新しい生活様式の中で消費者が感じた『メリット』は必ずある。そのため、コロナウイルスの影響で市場のブレは多少あるとは思うが、大きく市場が縮小することはないと考えている」(えがお)、「アパレルなど、一部商品の通販離れ、リアル店舗回帰は起こるものの、ECでの購入体験とその優位性(商品・価格・サービス)は浸透しており、通販市場規模は伸び率の鈍化はあれ、拡大基調が続く」(ベルネージュダイレクト)、「コロナ前の消費行動に段階的に戻ると想定するものの、EC経由の買い物スタイルの広がりは不可逆なものであり、今後も加速すると想定する」(オイシックス・ラ・大地)など、通販市場の今後の行方について楽観的な意見が多かった。

消費者の行動変化に合わせた対応が求められる

 一方で「withコロナの世界がある意味、日常になっていくだろうが、その分、特需は見込めなくなり、売り上げも落ち着くと考える」(ロッピングライフ)、「コロナにより通信販売の利便性・安全性が高く評価され、それは今後も一定は定着すると想定される。一方でコロナ収束後にはリアル店舗での購買や旅行・レジャーなどの消費も伸びることが見込まれるため、顧客層や商材によっては影響を受けると思われる」(ジュピターショップチャンネル)、「巣ごもり消費で好調だった自宅使用の商品は縮小し、トラベル関連商品、余所行き商品が一定水準回復してくると考えている」(JALUX)といった回答や、「ワクチン接種率が上がれば外出自粛や緊急事態宣言の発令などによる消費マインドの冷え込みの反動があると想定。その時に消費者の購買行動の変化に合わせた新しいショッピング体験の提供が重要」(マガシーク)、「過去にも社会情勢の変化や消費スタイルの多様化によって、新たな需要が生まれてきたように、アフターコロナではまたさまざまな分野で新たなビジネスが生まれると想像している。特にコロナ禍で自粛を強いられた分野、サブスクリプション系、顧客の利便性が更に向上するサービスなどに影響があると考える」(田中貴金属ジュエリー)、「企業によるテレワークの推進などデジタル化が一気に進んだ背景もあり、”利便性”と”効率性”を求める意識は不変のものとしてインターネット通販は引き続き増進するものと考えている。また、国家間を移動すること自体がリスクという意識も生まれたことによって、よりボーダーレスな取引(越境販売など)も需要が増えると思われる」(大網)などとみる回答もあった。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

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通販新聞

「敬老の日特集」を「楽天市場」内にオープン。コロナ禍のシニア世代ニーズに応える「ニューノーマルギフト」を紹介

4 years 3ヶ月 ago

楽天グループはECモール「楽天市場」に、「楽天市場 敬老の日特集2021」を公開した。花や食品、お酒などの定番商品に加え、コロナ禍におけるシニア世代のニーズに対応した「ニューノーマルギフト」を紹介している。2021年の敬老の日は9月20日(月)。

2019年から2020年で流通額が約1.3倍に

「楽天市場」では、2021年7月末時点で敬老の日関連商品を約250万点販売しており、流通額は2019年から2020年の1年間で約1.3倍に拡大している。

特集では、花や食品、お酒などの定番商品に加え、「体を気遣う商品」、自宅で充実した過ごし方を提案する「新・おうち時間グッズ」、四季とともに成長を楽しめる「育てる楽しみアイテム」、有事に備える「防災グッズ」など、世代間で話題になるような商品や、コロナ禍におけるシニア世代のニーズに対応したギフトを紹介している。

楽天市場 敬老の日特集2021 定番ギフトカテゴリー
特集内の定番ギフトカテゴリー(画像は楽天市場からキャプチャ)
楽天市場 敬老の日特集2021 こだわりギフトカテゴリー
特集内のこだわりギフトカテゴリー(画像は楽天市場からキャプチャ)

約2人に1人が「子どもや孫を気にかけたり思い浮かべる機会が増えた」

楽天グループは特集ページ公開にあたり、「楽天インサイト」に登録している20代~70代の男女1200人を対象に「敬老の日本音調査2021」を実施。調査期間は2021年7月15日~7月18日。

調査の結果、孫がいる人の約半数が「コロナ禍で会えず、子どもや孫を気にかけたり思い浮かべる機会が増えたと思う」(48.2%)と回答した。

楽天市場 敬老の日特集2021 敬老の日本音調査2021 コロナ禍で会えず、子どもや孫を気にかけたり思い浮かべる機会が増えた
コロナ禍で会えず、子どもや孫を気にかけたり思い浮かべる機会が増えたと思う(n=191)

また、コロナ禍において感じていることについて聞いたところ、孫がいる人の約3割が「外出制限下で体力低下が気になる」(30.6%)、「おうち時間の新しい趣味を探したい」(27.3%)と回答した。

楽天市場 敬老の日特集2021 敬老の日本音調査2021 外出制限下で体力低下が気になる
外出制限下で体力低下が気になる(n=191)
楽天市場 敬老の日特集2021 敬老の日本音調査2021 おうち時間の新しい趣味を探したい
おうち時間の新しい趣味を探したい(n=191)
藤田遥
藤田遥

幸楽苑ホールディングスの事業計画、通販事業の売上高を20億円まで拡大へ

4 years 3ヶ月 ago

幸楽苑ホールディングスは2022年3月期から2026年3月期までの5か年を対象とする新中期経営計画「Kourakuen Next 500」を策定、通販事業を売上20億円まで引き上げる計画を掲げた。

経営方針は「イートイン主体の外食企業から総合食品企業へと変革」。外食需要と非外食需要に対応した事業ポートフォリオを再構築し、5年後に外食事業で売上高400億円、非外食事業で100億円とする。

非外食事業は通販事業20億円、デリバリー事業15億円、外販事業40億円など。

幸楽苑ホールディングスは2022年3月期から2026年3月期までの5か年を対象とする新中期経営計画「Kourakuen Next 500」を策定、通販事業を売上20億円まで引き上げる計画を掲げた
売上高の内訳

幸楽苑ホールディングスは2020年、コロナ禍が当面継続することを想定した経営戦略に基づく事業展開を決定。イートイン型の外食業態から、デジタルを活用した「総合食品企業」への変革をめざしている。

ECビジネスは2018年9月に「楽天市場」へ出店。2020年には「PayPayモール」「Amazon」に「幸楽苑公式ショップ」を新規出店した。オリジナル食品を販売している。

瀧川 正実
瀧川 正実

「futureshop」と「アパレル管理自動くん」が連携をスタート

4 years 3ヶ月 ago

フューチャーショップは8月11日、SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」と「futureshop omni-channel」と、dual&Co.が提供するアパレル特化型クラウド販売管理システム「アパレル管理自動くん」が連携を始めたと発表した。

「futureshop」「futureshop omni-channel」で構築したECサイトは、受注情報・在庫情報をリアルタイムで、自動管理することが可能。実店舗・ECサイト含めた全店舗の在庫数・売上を「アパレル管理自動くん」のみで管理できるようになる。

「アパレル管理自動くん」は、商品・在庫・請求管理、店舗・EC連携、顧客管理、分析機能といった機能を搭載したアパレル企業向けのクラウド型販売管理システム。

瀧川 正実
瀧川 正実

ラストワンマイル物流のエニキャリがセイノーグループと業務提携、自転車と軽貨物を組み合わせた流通網を構築

4 years 3ヶ月 ago

小売業向けクイックデリバリーのシェアリングプラットフォームを運営するエニキャリは、セイノーホールディングスの輸送グループ会社でオンデマンドデリバリー構築を全国で展開しているGENieと業務提携契約を締結した。

小売業向けクイックデリバリーのシェアリングプラットフォームを運営するエニキャリは、セイノーホールディングスの輸送グループ会社でオンデマンドデリバリー構築を全国で展開しているGENieと業務提携契約を締結

GENieが持つ軽貨物輸送ネットワークと、エニキャリが持つ自転車および自動二輪配達輸送ネットワークを融合。新しい「ウルトラクイックデリバリーネットワーク」と「スマートサプライチェーン」を共同で構築する。

軽貨物輸送のルート配送は主にネットスーパー、自転車のクイックデリバリーは主にフードデリバリーを想定する。

近距離・中距離を網羅する新しいエリア物流網を構築し、普及を推進して速やかに全国ネットワーク展開をめざす。

小売業向けクイックデリバリーのシェアリングプラットフォームを運営するエニキャリは、セイノーホールディングスの輸送グループ会社でオンデマンドデリバリー構築を全国で展開しているGENieと業務提携契約を締結
構築する物流ネットワークのイメージ

「スマートサプライチェーン」とは、サプライチェーン(製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費までの一連の流れ)に内在するさまざまな課題の解決と新たな価値創造に向け、IoTを活用して店舗をスマート化、これまで把握できなかったデータを解析し、その結果をサプライチェーンで共有することで実現する最適な流通を指す。

GENieは「買い物弱者を解消し、地域を守るお届けサービス」を展開している。少子高齢化や単身世帯の増加、女性の就業率の上昇など社会環境が大きく変化するなか、日常の買い物にも不便を感じる人が増加。店頭で購入した重たい荷物を自宅まで届けたり、来店が困難な人には、自宅までご用聞きにうかがい買い物を代行している。

エニキャリは、店舗から消費者へのクイックデリバリー(短時間配達)を必要なときだけ利用でき、利用した分だけ料金が発生するオープン型配達インフラ「DeaaS(Delivery as a Service=デリバリー・アズ・ア・サービス)モデル」を提唱しているシェアリングデリバリー「anyCarry(エニキャリ)」を手がけている。

石居 岳
石居 岳

ネッ担の皆さんにおなじみの電子商取引に関するあのレポートが今年も発表されました【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

4 years 3ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年8月2日〜15日のニュース
ネッ担まとめ

経産省が毎年発表している電子商取引に関する市場調査の令和2年(2020年)分が発表されました。コロナの影響でネット通販が急増したイメージがありますが実際はどうだったのでしょうか?

コロナの影響を受けた分野/受けなかった分野

電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました | METI/経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210730010/20210730010.html

令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)| 経済産業省(PDF)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/210730_new_hokokusho.pdf

2020年のBtoC-EC市場規模は19兆円。物販系は21%増の12兆円、EC化率は8.08% | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8952

BtoC-ECの各分野の市場規模と伸長率

ずっと右肩上がりに成長してきた国内BtoC-EC市場規模。今回はなんと全体でほぼ横ばいという結果となりました。物販とデジタル系は伸びたものの、旅行サービス、飲食サービス、チケット販売といったサービス系分野の落ち込みが大きく、特に旅行サービス系は前年比60.24%減と落ち込みが大きかったためです。その一方で今回の調査から新設されたフードデリバリーサービスの市場規模は3,487億円となっており、このカテゴリーの市場規模の大きさもうかがえます。

物販系はすべてのカテゴリーで伸びており、軒並み20%以上の伸び率となっています。「生活家電・AV 機器・PC・周辺機器等」「衣類・服装雑貨等」「食品、飲料、酒類」「生活雑貨、家具、インテリア」の4カテゴリーで物販系分野の73%を占めています。実際に皆さんがネットで購入されているのもこのカテゴリーが多いですよね。

デジタル系は電子出版、有料動画配信の伸びが大きく、伸び率は30%を超えています。有料動画配信はもっと伸びてもよさそうな気もしましたが、無料で楽しめるYouTubeなどがあるので仕方のないところでしょうか。

法人取引のBtoB-EC市場規模は334兆円で5%減、EC化率は33.5%。「小売」「建設・不動産業」「情報通信」で規模拡大【2020年】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8961

「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 2020年のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は334兆9000億円 前年比5.1%減
BtoB-ECの市場規模とEC化率の推移(2016年〜2020年)

国内BtoB-EC市場規模は334兆9000億円で前年比5.1%減となっていますが、EC化率は31,7%から33.5%と増加しており、商取引の電子化が進んでいることがわかります。その中でも、「小売」「建設・不動産業」「情報通信」のカテゴリーは前年比で増加しており、特に小売は30.6%の増加となっています。詳細はわかりませんが、食料品小売業、スポーツ・本・音楽・玩具小売業あたりの市場規模が大きくなっていそうですね。

CtoC-ECの推定市場規模と伸び率

CtoCの市場規模は1兆9,586億円で12.5%増でした。リユース業界の市場規模は2020年に2兆5,000億円で2025年には3兆2,500億円に達すると予測されていますので、二次流通が伸びるのは間違いなさそうです。

経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 スマートフォン経由の市場規模の直近5年間の推移
スマートフォン経由の市場規模とスマートフォン比率の推移(2015年〜2020年)

物販におけるスマホEC市場は2020年は6兆2269億円で46.1%増となっています。全体の50.9%で8.5ポイント拡大し、半分以上がスマホ経由となっています。こちらも納得の数字ですね。

調査報告書ではDtoCやサブスクについても触れられていますし、配送数などの物流関連、カードの不正、SNSの利用などについても書かれていますので、ネッ担の皆さんは隅々まで目を通しておきましょう。

EC全般

報道発表資料:令和2年度宅配便取扱実績について | 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000235.html

上記調査に関連して。宅配便の取扱個数も対前年度比11.9%の増加です。

メルカリ、初の通期で黒字化 潜在顧客がまだまだ増えている理由:21年6月期 | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2108/12/news136.html

CtoC市場が拡大していることがわかる記事。まだまだ伸びるとのこと。

千趣会がオークネットと協業、二次流通サービスを通じてベルメゾン会員向けに新しい価値を提供 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8943

千趣会も「衣料品を中心としたアイテム(他社製品含む)の買い取りサービス」を会員向けに開始。

【独占】GMO熊谷正寿 社長を直撃、NFTがなぜ「ブロックチェーンに続く衝撃」なのか? | FinTech Journal
https://www.sbbit.jp/article/fj/67378

国内初、NFTを活用したJリーグオフィシャルライセンスゲームを提供 | OneSportsのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000084533.html

熊谷社長の話されている通りになるとすると通販業界が激変しそうです。

ライブコマースや企業統合、アフィリエイト広告の行政処分など【コロナ禍の2021年上半期通販業界の主要な出来事まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8948

気になったのは業界再編とアフィリエイト広告をめぐる行政処分。この動きはまだまだ続きます。

「私の家族も被害者に」ネット広告のプロが"サプリや化粧品をネットで買うな"と訴える理由 ネットでは「法律を守る」と損をする | PRESIDENT Online
https://president.jp/articles/-/48367

上記に関連して。ネット広告の規制は厳しくなりますが悪徳業者はなかなか減りません。

Amazon、マーケットプレイスの返品や売れ残りを再活用する2つのプログラム | ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2108/05/news068.html

アマゾンがマーケットプレイスで販売された欠陥製品にも自社で補償を行うと発表 | TechCrunch Japan
https://jp.techcrunch.com/2021/08/12/2021-08-10-amazon-says-it-will-now-compensate-consumers-for-defective-products-sold-on-its-marketplace/

日本では適用されていませんが、海外では返品やマーケットプレイスの仕組みが変わってきました。

しまむらがEC購入品を系列店で受け取り可能に。促進狙う驚きの“ついで買い”効果 | ニュースイッチ by 日刊工業新聞社
https://newswitch.jp/p/28224

ECでの購入商品を全国の2200店舗で受け取り可能、事前決済もOKとなるとかなり利便性が上がりますね。

ヤフー、EC「翌日配送」ほぼ全商品で ヤマトと連携 | 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC28BNE0Y1A720C2000000/

「24年度までに離島や特大サイズの商品をのぞき、原則として全国で翌日配送ができるようにする」とのこと。

EC物販を行う個人事業主の34.6%が商標未登録により後悔した経験 約9割がECプラットフォーム内で商標登録できるサービスを希望 | cotoboxのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000029675.html

商標関連のトラブルはよく聞きます。登録費用は弁理士手数料なども含めて10万そこそこなので登録した方が良いですよね。

ヤフオク!とPayPayフリマ、偽物出品対策に商品説明を十分に行わない行為についてパトロールを強化 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/4233

偽物や怪しい商品などがあるモールは使われなくなりますよね。

今週の名言

好奇心さえあればなんとでもなっちゃうので。そこさえ本人が持っていれば、そこから先のことは、本人次第で勝手に形になると思うんです
─株式会社ウチノ板金 代表取締役 内野友和氏

ドローンに折鶴好奇心旺盛におもしろがる板金屋 | 日本仕事百貨
https://shigoto100.com/2021/05/uchinobankin.html

好きこそものの上手なれ。何事も興味を持って取り組む人が強いですよね。

森野 誠之
森野 誠之

LTVを最大化するために「RaaS(Retail as a Service)」が重要な理由 | 『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する』ダイジェスト

4 years 4ヶ月 ago
『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する 』(インプレス刊)第4章より(第3回)

ライフスタイルのストーリーに基づき、生涯かけてそのブランドで買い続けてもらえるのか。顧客との関係を、いわば揺りかごから墓場まで制することができるのかどうか。結論が出ているわけではありませんが、提案を含めてこの点を検討してみたいと思います。

時間軸だけで考えるのは難しい

スーツで言うと、初めて着用するのは成人式などでしょうか、または新卒1年目でしょうか。当然、揺りかごにあたる初期の顧客は、様々な年代層に散らばるかもしれません。

アパレルでは、コアユーザーの年齢とともに、ブランドがターゲットとする年齢層も変わっていきます。過去にあったアパレルブランドのほとんどのコアユーザーが40~50代に変わっていったのは、揺りかご当時20~30代だったコアユーザーが年を取るのとあわせて変化していったからです。

時間軸だけにとらわれると、時の流れとともにブランドが古びてしまいますし、事業のサステナビリティも低くなります。国内のアパレルブランドが苦しんでいる理由の1つがこの変化にあるでしょう。

当然、揺りかご時期の年齢層に絞って、ブランド作りをすることを否定するものではありません。広い層にブランド展開すると、ブランドコンセプトが薄くなる可能性もあります。そのため、顧客層に合わせてブランドを分けるなどの施策をする必要がありますが、より広い層に愛されるブランドを作る場合には、やはり顧客とブランドとの間に強固な関係性を作るべきです。

これは第1章でも述べたような、WHO(顧客ニーズ)とWHAT(提供価値)の見直し、と言い換えることもできます。

顧客との関係性を強固にする

初めて体験したブランドの感動を忘れないということは、皆さまにもあると思います。筆者の場合、iPodやiPhoneを初めて使ったときの感動体験を忘れませんし、その結果ずっと今でも使い続けています。機種のアップデートがあれば定期的に買い替えをしています。また、そこでの感動体験から、Apple WatchやAir Podsなどなど、他の商品へもクロスセルしていき、LTVはさらに高められていきました。

また、スーツでも初めてオーダーしたお店での感動体験から、ずっと同じブランドを使い続け、ビジネス向けの洋服はすべてそこで買うようになっていきました(もちろん今はFABRIC TOKYOのスーツを着ています)。

このような感動体験は、長くそのブランドと付き合い続けるためのスティッキネス(Stickiness)を強固にします。スティッキネスとは直接的には「粘着性」を意味しますが、転じてブランドやサービスなどへの愛着を表します。エンゲージメントが短期的な愛着を表すとすれば、こちらは長期的で強固な愛着を表すと考えてください。揺りかごから墓場までという長期のLTVを検討するにあたっては、このスティッキネスの解像度を上げることも重要かと思います。

アップルのようなレベルになると、顧客のブランドに対するスティッキネスは強固になり、LTVも揺るぎないものになっていくでしょう。そのレベルにまで、顧客との強固な関係性を構築することを、ブランドの「あるべき姿」として据えると良いと思います。

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利用時の課題にフォーカスする

商品の購入時に限らず、顧客はむしろ日々の利用時にこそ、様々な課題を抱えています。顧客との関係性を強める施策として、利用時の課題解決や価値提案をすることで、カスタマーサクセスをさらに向上させられる可能性が高まるのではないでしょうか。

D2Cは顧客と直接コミュニケーションできるのが強みです。利用時の課題やインサイトについても、把握しやすいのも特徴です。そのため、当該課題やインサイトについても、新しいコンテンツやサービスを訴求していくことで、顧客との関係をスティッキネスしていけます。

つまり、D2Cブランドが物売りにとどまらないサービス提供者(サービサー)となることで、顧客のあらゆるタッチポイントを制覇していくことが「揺りかごから墓場まで」の本質なのかもしれません。こうした視点はD2Cの次なる成長可能性にもつながるのではないかと考えています。

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購入から利用へ、小売からサービス業へ

実際、FABRIC TOKYOでユーザーヒアリングを実施すると、購入時よりは利用時の課題を口にする顧客が非常に多いです。とはいえ、個々の課題を解決するサービスは、ステークホルダーにあたる各企業に分かれています。また当然、想定外のユーザーペインが浮上することも多々あります。現状、複数の課題を一気通貫で解決できる決定的なサービスがないのも事実なのです。

例えば、アパレル業では、洋服を修理するお店、近所のクリーニング店、廃棄を請け負う業者、ファッション誌やウェブメディアなど、様々な企業がサービスを提供しています。これを顧客の視点で眺めると、商品利用に関するタッチポイントは分散していると言えます。

一方で、アパレルブランド側にとっては「お店での購入」というそのタイミングでしか、顧客とのタッチポイントを持てません。結果として、お店で売り切るという活動、つまり売上を上げるという活動にばかり目が向きがちです。しかし、利用シーンにフォーカスし、一気通貫できるサービスという視点で眺めれば、LTVを最大化するためのヒントが多数見つかるのではないでしょうか。

このような発想から生まれたビジネスモデルが、RaaS(Retail as a Service)です。購入が「ゴール」から「スタート」に変わり、購入後の「利用」にもフォーカスした各種サービス提供していく。今後、D2CではRaaSが重要になると考えています。詳しくは第7章で説明します。

※この記事は『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する』(インプレス刊)の一部を編集し、公開しているものです。

 

リテール・デジタルトランスフォーメーション
D2C戦略が小売を変革する

日本発D2Cブランドの代名詞とも言われる「FABRIC TOKYO」が、D2Cによる小売推進・変革のための事業戦略を徹底解説する1冊。

小売業のDX化を推進する活動を背景に、D2Cの基礎知識、世界観の作り方、オンラインとオフラインの融合(OMO戦略)、マーケティング戦略、組織運営、さらにその先の未来の話(RaaS)まで、具体的な事例やデータを盛り込みながら解説します。

DX化が遅れている中小の小売メーカー、ECのビジネスモデル転換を図りたい中小経営者、D2Cの考え方やノウハウを事業戦略に取り入れたい方、モノづくりの分野でスタートアップを始めたい方などに、課題解決のヒントを提示します。

リテール・デジタルトランスフォーメーション
D2C戦略が小売を変革する 表紙

リテール・デジタルトランスフォーメーション
D2C戦略が小売を変革する

三嶋憲一郎/FABRIC TOKYO 著
インプレス 刊
単行本(ソフトカバー)2,200円
電子書籍(Kindle版)1,980円
この本をAmazonで購入

筆者登壇情報

この『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する』の筆者、三嶋憲一郎氏が、8月18日に開催されるインプレス主催のオンラインイベント「ネットショップ担当者フォーラム2021夏 〜リピート客作り、ファンを増やすネットマーケティングのコツ〜」に登壇いたします。

テーマは「D2Cを成功させるには? 「FABRIC TOKYO」の失敗・成功事例に学ぶ成長のヒント」。聴講は無料です。下記のバナーからお申し込みください。

三嶋 憲一郎
三嶋 憲一郎

「雇用調整助成金」特例措置を12月末まで延長へ

4 years 4ヶ月 ago

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが減少した事業者が休業手当を支給して従業員を休ませた場合、解雇などを行っていない中小企業の従業員の休業および教育訓練に対する助成率9/10、大企業は3/4、1日1人あたりの上限助成額は1万3500円とする現行の「雇用調整助成金」特例措置について、厚生労働省は12月末まで延長する方針を発表した。

新型コロナウイルス感染拡大が続くなか、10月から最低賃金引き上げが実施される。雇用維持の観点から、9月末までとしていた現行の「雇用調整助成金」特例措置を延長する。

詳細はまだ公表していないが、業況の厳しい企業への配慮を継続するとしており、中小企業の従業員の休業および教育訓練に対する助成率9/10などを維持する予定。10月以降の助成内容については、雇用情勢を踏まえながら検討し、8月中に公表するとしている。

厚労省は5-9月の「雇用調整助成金」特例措置について、特に業況が厳しい事業者などに対して特例を設け、原則的な措置の水準は一定程度抑えて運用している。

現行の「雇用調整助成金」特例措置について

原則的な措置

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが減少した事業者が休業手当を支給して従業員を休ませた場合、解雇などを行っていない中小企業の従業員の休業および教育訓練に対する助成率9/10、大企業は3/4、1日1人あたりの上限助成額は1万3500円。

解雇などを行っている中小企業の従業員の休業および教育訓練に対する助成率は4/5、大企業は2/3。1日1人あたりの上限助成額は1万3500円。

地域特例、業況特例

地域特例は、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」の対象地域で、知事による基本的対処方針に沿った要請に基づき、営業時間の短縮といったことに協力する企業などが対象。

業況特例の対象は、生産指標(売り上げなど)が直近3か月の月平均と前年または前々年の同期と比べ3割以上減少した全国の企業。

対象となる企業などには、大企業への助成率は4/5で解雇せず雇用を維持した場合は10/10、中小企業の助成率は4/5で解雇せず雇用を維持した場合は10/10。1人1日あたりの助成額の上限は1万5000円。

瀧川 正実
瀧川 正実

コロナ禍で消費者の行動やニーズはどう変わった? グローバル8000人の意識調査

4 years 4ヶ月 ago

PwCあらた有限責任監査法人が公表した「世界の消費者意識調査2021(6月)『より良い暮らしを求めて』変化する世界の消費者」によると、消費行動のデジタル化が大幅に加速している。

調査票を16の言語に翻訳し、22の国と地域(オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、香港、インドネシア、日本、マレーシア、中東、メキシコ、オランダ、フィリピン、ロシア、シンガポール、南アフリカ、韓国、スペイン、タイ、米国、ベトナム)を対象とした8681人の消費者から回答を得た。回答者の条件は、18歳以上で前年に1回以上オンラインで買い物をした人。

世界の消費者の半数以上がデジタルへの依存を高めており、モバイルショッピングの消費が増加。実店舗での買い物がわずかな回復にとどまった一方、携帯電話を利用した買い物は急上昇している。

PwCあらた有限責任監査法人が公表した「世界の消費者意識調査2021(6月)『より良い暮らしを求めて』変化する世界の消費者」
商品購入した購買チャネルについて

一方、オンラインの買い物頻度も前回調査(2021年3月)より高くなっており、「毎日オンラインで買い物をしている」と回答した人の割合が、アラブ首長国連邦、フランス、米国、エジプトといった国・地域で大きく増加している。

PwCあらた有限責任監査法人が公表した「世界の消費者意識調査2021(6月)『より良い暮らしを求めて』変化する世界の消費者」
ECで毎日買い物をする人の割合

オンラインの買い物で重視する項目は、「配送のスピード・信頼性」「欲しい商品の在庫がある」が引き続き1位と2位を占めた。3位は、前回の「ウェブサイトを迅速かつ便利に見て回れること」から今回は「良い返品ポリシー」に入れ替わっている。

PwCあらた有限責任監査法人が公表した「世界の消費者意識調査2021(6月)『より良い暮らしを求めて』変化する世界の消費者」
オンラインショッピングで重視する項目

サステナビリティに配慮した買い物については、44%が「分からない」「同意しない」と回答。サステナブルな商品を購入しない理由としては、「価格が高すぎる」「商品の種類が少ない」「品質にバラツキがある」が上位となっている。

PwCあらた有限責任監査法人が公表した「世界の消費者意識調査2021(6月)『より良い暮らしを求めて』変化する世界の消費者」
サステナビリティに配慮した買い物について

調査では、環境保護への取り組みが商品・サービスの顧客ロイヤルティに影響していることもわかった。「顧客ロイヤルティ」について重要なものは、「信頼性」「商品の入手しやすさ」「顧客サービスの質」がベスト3だが、「エシカルな取り組み」「サステナブルな取り組み」も上位となっている。

PwCあらた有限責任監査法人が公表した「世界の消費者意識調査2021(6月)『より良い暮らしを求めて』変化する世界の消費者」
顧客ロイヤルティへの影響について

調査結果を詳しく分析すると、マチュア・ミレニアム世代(33~36歳)の「生産元が追跡可能で明確な製品を選ぶ」と、コア・ミレニアム世代(27~32歳)の「環境保護を意識し、支援する会社から購入する」が、ほぼ同じ割合。一部例外はあるが、ミレニアム世代を中心に若者世代の環境意識は高まりつつある。

PwCあらた有限責任監査法人が公表した「世界の消費者意識調査2021(6月)『より良い暮らしを求めて』変化する世界の消費者」
世代別におけるサステナビリティへの意識

オンラインで買い物をする理由を聞いたところ、多くの商品カテゴリーにおいて1位は「価格」で、他の項目を大きく上回った。

PwCあらた有限責任監査法人が公表した「世界の消費者意識調査2021(6月)『より良い暮らしを求めて』変化する世界の消費者」
カテゴリー別、オンラインで買い物する理由

消費者が今後支出を増やす予定と回答した商品カテゴリーでは、「食料品」「食品のテイクアウト」「自宅でのエンターテインメント」がそれぞれ30%を超えた。このほか、6つ以上の商品カテゴリーで支出を増やす予定と回答した消費者の割合は23%だった。

PwCあらた有限責任監査法人が公表した「世界の消費者意識調査2021(6月)『より良い暮らしを求めて』変化する世界の消費者」
消費者が今後支出を増やすと回答した商品カテゴリー

日本市場における考察としては、オンラインチャネルにおいて利用頻度が増加しており、PCは10%から19%、モバイルは13%から22%へと、どちらも10ポイントほどアップ。ECシフトはコロナ禍で加速しているが、最も利用頻度が高いのは実店舗という事実は変わらない。消費者は「実店舗だけ」「ECだけ」はなく、「実店舗とEC」で買い物をするようになっている。

瀧川 正実
瀧川 正実

【アパレルショップ向け】Googleマイビジネスを利用した集客方法と利用時のポイント | 店舗ビジネスに役立つ『口コミラボ』特選コラム

4 years 4ヶ月 ago
「Google マイビジネス」は店舗情報をユーザーに簡単に提供できる、Googleのサービス。アパレルショップ向けの集客方法、利用時のポイントを解説します

Google マイビジネスは店舗情報をユーザーに簡単に提供できる、Googleのサービスです。

このツールのメリットは、Googleの検索エンジンを使用して情報収集をしている消費者を自店に取り込む機会になることです。具体的には、このサービスに登録することでGoogle マップなどサービスに店舗の詳細情報を表示することができます。さらには、付属するインサイト機能を使えば対象の顧客行動分析も可能です。

この記事ではGoogle マイビジネスをどのように利用すれば集客向上につながるのかを紹介します。

Google マイビジネスとは?アパレルショップの集客には有効?

Google マイビジネスを利用することで、店舗情報がGoogleのサービスに掲載されます。

さらに、インサイト機能を使用して集客の動向を分析し、Google マイビジネスの情報を改善していくことで、効果的な集客が可能になります。

Googleへの表示で、店舗の情報をユーザーにアピール

店舗経営者がGoogle マイビジネスに登録すると、ユーザーがその登録内容と関連性のある語句でGoogle 検索を使用することで、登録されたビジネスプロフィールが表示されます。

つまり、店舗経営者は、提供したいものやユーザーが検索するであろう語句を予測し登録することで、それを要望している消費者に店舗情報や商品、サービス内容などを提供をすることができます。

Google マイビジネスは文字情報だけではなく、写真で店舗や商品、サービスも伝えることができるため、来店前に店舗の雰囲気も知ってもらうことができます。

また、固定された情報だけでなく、一時的な情報も随時更新できるので、キャンペーンの問い合わせなど来店希望者を取り込むきっかけにもなり得ます。

インサイト機能の利用でユーザーの行動分析/より効率的なインターネット集客へ

Google マイビジネスには、顧客行動分析ができるインサイト機能があります。インサイトとは、どの語句を検索してビジネス プロフィールをクリックしたか、そしてそのビジネス プロフィールを閲覧後どのような行動を起こしたのかを分析できる機能です。

これらの情報から、ユーザーが問い合わせやルート検索につながったかを知ることができます。行動に移さなかった原因を分類し、より効果が表れやすいようにビジネス プロフィールを編集し直すことで、今以上の集客につなげられる可能性もあります。

また、掲載している商品写真などの閲覧数をインサイト情報で知ることができます。ユーザーがどの商品に興味を持っているかを知ることができ、今後の集客につなげるビジネス プロフィールの改善や今後の商品展開の企画にも役立ちます。

Google マイビジネスを始める前に…まずは登録とオーナー確認

Google マイビジネスとは、Google 検索やGoogle マップなどのGoogleが提供しているサービスに店舗情報を表示して管理できる無料ツールですが、Google マイビジネスに登録するには、Google アカウントを所持していることが必須の条件です。

Google アカウント取得後、Google マイビジネスにログインすると、店舗の所在地、電話番号などの詳細情報を入力することができます。

Google マイビジネスに詳細情報を入力した後、オーナー確認をしましょう。オーナー確認を行わなければ、インサイトや口コミの管理などの機能を利用することができません。オーナー確認は、基本的には郵送で行われます。

Googleから登録された店舗宛に、確認コードが記載されたはがきが郵送されます。その確認コードを入力することでオーナー確認が完了します。

プロフィールの編集で顧客に店舗の魅力を発信。ローカルSEO(MEO)対策にも

Google マイビジネスへの登録が完了すると、ビジネス プロフィールを編集することができます。

ポイントを意識したビジネス プロフィールを作成することで、集客だけでなく、ローカル検索の順位改善にもつながります。ここからはオーナーが行うべきポイントについて紹介します。

ビジネスの基本情報を充実させる/ローカル検索結果の順位を改善

まず最初に、基本情報であるビジネス プロフィールを正確に書き込みましょう。

具体的には、住所、電話番号、カテゴリ、属性、営業時間などの情報を記入します。

Google マイビジネスはローカル検索者に対して、その関連性が高い情報を表示します。つまり、ビジネス情報の内容を充実させることでユーザーが検索する語句と自店の情報が一致しやすくなり、検索結果の上位表示をねらうことができます。

口コミの管理、返信を行う

Google マイビジネスには、自店舗から発信する情報だけでなく顧客からの口コミ評価が掲載されます。

ローカル検索をしたユーザーにとって、顧客の口コミは来店動機になるため、顧客には口コミの投稿を促すとよいでしょう。

また、口コミを書いてもらった際には、オーナーは返信をするべきだといえます。口コミの返信により、口コミを投稿した顧客との信頼関係を築く場にもなり、継続的な来店を促す機会にもなります。

そのうえ、ユーザーは、店舗の口コミとその返信を見ることで、接客対応の品質を垣間見ることができます。この接客品質をみせることは、来店を検討しているユーザーにとって予約や問い合わせなどの次の行動に移す重要な判断材料になり得ます。

商品や店内の写真を追加する

文字による詳細情報でローカルSEO対策を行うのと同様に重要なのが、写真を追加することです。

分かりにくい場所に店舗がある場合などにはユーザーがわかりやすいように外観の写真を載せたり、店舗の雰囲気を伝えるために内観の写真を載せたりすることでユーザーは来店前に店舗のイメージをつかむことができます。他にも、売れ筋の商品を掲載することで、ユーザーの興味を引くことにもつながります。

投稿を利用し、商品やセール情報を発信

Googleマイビジネスには、変わりにくい固定された情報とは別に一時的な情報を連載できる機能があります。

その機能を使えば、来店希望客に向けてイベントや特典などお得な情報や最新情報を発信することができます。その投稿は大きく5種類あります。

  • 最新情報
     新商品についての情報を掲載できます。写真や動画なども掲載可能です。
  • イベント
     イベント名やそのイベントの開始時間と終了時間を掲載できます。写真や動画なども掲載可能です。
  • 特典
     セール情報などを開始終了時刻と共に掲載できます。Google検索とGoogleマップのビジネスプロフィールの上部に表示されます。
  • 商品
     商品情報を追加できます。
  • 営業時間の更新
     営業時間が更新されると、ビジネスプロフィールにアクセスした時に表示されます。

    効果的にGoogle マイビジネスを利用しているアパレルショップの事例

    Google マイビジネスの機能を利用して、積極的な集客を行っているアパレルショップの事例を紹介します。

    事例1. 外観の写真でユーザーの来店しやすさをアピール

    Google マイビジネスには内観や外観などの店舗の雰囲気を伝えることができる写真を追加できます。

    外観の写真を追加することには2つのメリットがあります。

    1つは、初来店者にとっても土地勘のない遠方からの訪問者にとっても、わかりやすく親切な情報となることです。

    2つ目は、店舗に足を運ぶ動機になることです。こちらの店舗はチェーンの店舗とは違いセレクトショップであるため、写真がなければ伝わらない雰囲気を伝えることができています。

    事例2. 商品情報を登録

    アパレルのGoogle マイビジネス活用事例
    ▲アパレルのGoogle マイビジネス活用事例:編集部スクリーンショット

    この店舗は、おすすめ商品や人気商品を伝えるために投稿機能を利用し、そこから公式ページの導線も用意しています。

    商品の投稿は、ユーザーにどのような商品を取り扱っている店舗であるのかを紹介するだけではなく、ユーザーの求めている商品が店頭に並んでいることをアピールすることもできます。

    投稿の下にある「詳細」ボタンから公式サイトに移動することもできるため、商品情報にとどまらず来店のきっかけ購入につながる情報に導く仕組みをうまく利用しています。

    ウェブサイトリンクをECショップのものとすれば、Google マップからのアクセスに由来する売上も期待できるでしょう。

    Google マイビジネスの機能を利用して、ユーザーに対して継続的なアピールを

    Google マイビジネスは、Google サービスを利用しているユーザーに対して大きな集客効果があります。

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    頻繁な更新を行うことで、ユーザーの来店前イメージアップを図れます。インサイト機能での分析と投稿機能を利用して積極的な営業活動を行いましょう。

    この記事を書いた「口コミラボ」さんについて

    「口コミラボ」は、様々な地図アプリ・口コミサイトの監視、運用、分析を一括管理できる店舗向けDXソリューション「口コミコム」が運営する店舗ビジネス向け総合メディアです。近年、企業の評判管理が重要視されるなか、特に注視すべきGoogleマイビジネスを活用したローカルSEO(MEO)や口コミマーケティング、それらを活用した集客事例から、マーケティング全般、店舗経営のハウツー、業界動向データにいたるまで幅広い情報を紹介します。

    口コミラボ
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    創業305年目のチャレンジ。コロナ禍のピンチをチャンスに変えた老舗和菓子屋のネット通販奮闘記

    4 years 4ヶ月 ago
    創業305年になる京都の老舗和菓子屋「笹屋伊織」。おもてなしの心を大切した顧客対応や、コロナ禍のピンチをチャンスに変えた取り組みとは?

    創業305年になる京都の老舗和菓子屋「笹屋伊織」。新型コロナの影響による百貨店や実店舗の休業といったピンチをチャンスとして捉え、日持ちしない和菓子のネット通販、Instagramを活用したキャンペーンを実施して苦難を乗り越えてきました。

    老舗として大切にしている“おもてなしの心”あふれる顧客対応、ECサイトの役割を確立したコロナ禍の取り組みなどについて話を聞きました。

    新しいことにチャレンジし続ける老舗和菓子屋「笹屋伊織」

    ――「笹屋伊織」について教えて下さい。

    広報宣伝部 広報・Web担当 片山祐美氏(以下、片山氏):創業は1716年、京都でのれんを掲げて2021年で305年になる老舗和菓子屋で、現在の当主は10代目です。

    現在は全国の百貨店への出店、店頭でのお菓子販売がメインですが、昭和初期くらいまでは店頭にお菓子を並べておらず、お客さまの御用を聞いてから製造・販売するという和菓子屋でした。

    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ 笹屋伊織の歴史
    「笹屋伊織」の歴史について(画像は「笹屋伊織」サイトからキャプチャ)

    ――ECサイトを開設した時期はいつ頃ですか。

    片山氏:今の形態になったのは2018年3月です。その前からECサイトはあったのですが、運営は外部に委託しており、ほとんど手を入れていないので使いにくい状態でした。 受注処理も、委託企業からFAXで届いた注文情報を事務のスタッフがパソコンに打ち直して送り状を作成、出荷するという……。

    こうした状況だったので、女将は「他社に任せるのではなく、自社運営にして効率を良くするとともに、もっとお客さまと近づきたい」と考え、ECサイトとホームページをリニューアルしました。私だけではすべてを変えられなかったので、外部企業の方にもサポートいただいています。

    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ
    「笹屋伊織」のECサイト(画像は「笹屋伊織」ECサイトからキャプチャ)

    ――老舗和菓子屋と聞くと、伝統を重んじる印象があります。ECサイトをリニューアルする際、周囲からはどのような反応がありましたか。

    片山氏:「ECに力を入れよう」という雰囲気は社内にありました。それから、社長や女将は「各時代の当主が新しいことに挑戦してきたからこそ、305年も続いてきた」と考えている方なので、チャレンジすることに対して否定的な意見はほとんどなかったですね。

    ただ、対面で接客する実店舗とは異なるECサイトでどこまで売り上げが伸ばせるか、お客さまに怒られたりするのではないかという不安はありました。

    ――「新しいことにチャレンジしよう」という気持ちが強い人が多いんですね。

    片山氏:職人は最初は難色を示すことも多いですが、実際にやってみて上手くいくと誰よりも新しいことを考えてきてくれるのが面白いところだと思っています。

    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ 広報宣伝部 広報・Web担当の片山祐美氏
    笹屋伊織 広報宣伝部 広報・Web担当の片山祐美氏(画像提供:笹屋伊織)

    ピンチをチャンスに! 消費期限2日の和菓子をECサイトで販売

    ――1度成功して確信が持てると次のアイディアが生まれる、良い循環が生まれますね。

    片山氏:コロナで百貨店や実店舗が休業するといった辛い時期があったのですが、そのときにECサイトが力を発揮しました。

    それまでは消費期限が短いお菓子はお客さまが留守で受け取れないと廃棄になってしまうため、ECサイトでは取り扱えないと諦めていたんです。しかし「コロナで在宅時間が増えるなら受け取れる、販売してみよう」と考え、柏餅をECサイトで販売することにしました。

    その結果、驚くほど注文が入り、職人から「準備をしたけれど売る場所がなくて無駄になると思っていた。ECサイトで売ってくれて本当にありがとう」とお礼を言われたんです。ECサイトを担当していてやりがいがある、嬉しいと感じるときでした。

    それ以降、あまり日持ちがしない商品も取り扱うようになると、お客さまの方が日持ちしないことをしっかり理解した上で注文していただけるようになりました

    「笹屋伊織」ではお菓子の販売だけでなく、毎年職人が近くの小学校で和菓子作り体験を行っているのですが、コロナで中止になり、生徒さんたちも非常に残念がっていました。

    けれど、職人から「家で和菓子作りができるようなキットを作ったら、子ども達が喜ぶんじゃないか」と提案があったんです。

    そのキットがとても好評だったので、「折角なら作ったものを発表してもらおう」と思い、Instagramで「#笹屋伊織こいのぼり」のハッシュタグを付けて投稿してもらうキャンペーンを実施したところ、社内でも話題になりました。

    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ Instagram 笹屋伊織こいのぼり
    Instagramで実施した「#笹屋伊織こいのぼり」キャンペーン(画像は「笹屋伊織」Instagramからキャプチャ)

    そのときに受注作業をしているスタッフや職人、他のスタッフも「ECはすごい可能性を秘めている」という雰囲気になり、ECサイトの位置付けが向上しました

    それまでも売り上げはそれなりにはあったものの、「対面接客していない中でのこと」という思いがスタッフにはありました。しかし、これをきっかけになくなったと感じています。

    今ではスマホを使ったことがない職人からも「ECサイトでこれ売ってよ」「反応を見たいから、百貨店での販売前にECで販売してみようよ」と言ってくれて。そこは大きく変わってきた点ですね。

    ――「水無月」など日持ちしない和菓子をECサイトで販売するのは勇気が要ると思いますが、そういった経験や受け取ってもらえる状況だからこそECサイトで販売したんですね。

    片山氏:他のECサイトを見ても賞味期限の短い商品を販売しているところは少ないですし、無理だろうと思っていました。

    コロナは悪いものですが、この状況がなかったら新しいことにチャレンジできなかったし、職人から感謝されることもなかったかもしれません。社内でのECサイトの立場・役割も見いだせて、「ピンチはチャンスだな」と思いました

    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ 水無月 夏限定和菓子
    夏限定の和菓子「水無月」。賞味期限は製造日含む2日(画像提供:笹屋伊織)

    ECサイトをマーケティングの場としても活用

    ――先ほど「実店舗での販売前にECサイトで販売する」という話がありました。ECサイトがマーケティングの場にもなっているのでしょうか。

    片山氏:「わざわざ携帯やパソコンを開いて、インターネットでクレジットカードの番号や住所を入力してまでうちのお菓子を買ってくれるということは、うちのお店のファンの人なんだろう」と職人に言われてハッとしました。職人としては、「ファンに買ってもらって、商品が売れるか売れないかを知りたい」という考え方です。

    百貨店内の数あるお店の中から「疲れたし、ここでもう良いか」という選び方ではなく、「笹屋伊織」と検索して来店し買ってもらうのだから、提供する商品や来店するお客さまを大事にしていこうと職人から声をかけてもらっています。

    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ 和菓子職人
    「笹屋伊織」の和菓子を手がける職人(画像提供:笹屋伊織)

    その時代に合った働き方提案がECサイトなら可能に

    ――ECサイトはどのような運営体制でしょうか。

    片山氏:私が全体管理、補佐が1人、受注作業担当のパートさん2人の4人です。忙しいときは5~6人ほど。発送は路面店のスタッフが兼任で行っており、補佐役のスタッフも他の業務と兼任です。

    受注作業は最初から社員ではなく、パートさんにお願いしようと考えていました。どうしても日によって注文数にばらつきがあるので、受注専任で社員1人抱えるのは難しかった。

    そのため、受注数に応じて就業時間が変動することを了承しているパートさんに極力入っていただいています。そのかわり、お子さんの送り迎えや突然の体調不良などで途中抜けOKなど、フレキシブルな働き方ができるようにしています。

    パートさんのモチベーション維持には気を付けていて、働きやすい環境作りをすることで、長く働いてもらえるようにしていこう、という考えです。

    ――就業時間が決まっていると、お子さんがいる方は働きにくいこともあるかと思いますが、お互いプラスになる働き方ですね。

    片山氏:女将が3人の子どもを育てた経験があるのも大きいです。やっぱりその時や年代にあわせた働き方はあると思いますし、柔軟に対応できたら良いなと

    実店舗だとずっと店頭に人がいないといけないので、こうした働き方は難しいですが、ECサイトならできることだと思っています。

    「素敵なシーンを届ける」商品ページ作りを意識

    ――写真がとても綺麗ですが、撮影は片山さんが行っているのでしょうか。

    片山氏:そうです。以前カメラマンをしていた経験を生かし、半分くらいは私が撮影して、もう半分はセッティングを私が行い、定期的にカメラマンさんにお願いしています。

    「ザ・商品写真」にならないよう背景やお皿にもこだわっています。お客さまには「こんな時に食べよう」「こんなに素敵な食べ方ができるんだな」と想像しながら買ってほしいので、素敵なシーンを届けることを意識して撮影しています。

    ――商品ページ作りには「素敵なシーンを届ける」ということが軸になっている。

    片山氏:和菓子を買うと不思議と「急須でお茶を淹れようかな」「ちょっと良い紅茶を飲もうかな」と思える、特別な時間を和菓子と一緒にお届けしたい。それはECサイトを始めた時から考えています。

    和菓子は贈り物でもここぞというときに選ぶことが多いと思うので、贈る時にも「素敵な時間を過ごしてもらえますように」という思いで選んでいただきたい。そのため、商品の背景にお茶や緑を添えたりしています。

    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ お手作り最中
    急須や茶器と撮影した「お手作り最中」(画像は「笹屋伊織」ECサイトからキャプチャ)
    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ 涼菓 伊織の水羊羹 こし
    竹を背景に使用して撮影した「涼菓 伊織の水羊羹 こし」(画像は「笹屋伊織」ECサイトからキャプチャ)

    ――商品ページでは、セット内容を書いたボタンをクリックすると値段が切り替わる仕様になっています。

    片山氏:同じ商品でも4個入りや8個入りなどバリエーションがある商品があります。「4個入りを買ったけれど、8個入りもほしい」となった時、いちいち画面を戻ってカゴに商品を追加するのは買いにくいなと。

    サイト構築をお願いした企業に商品をスムーズに選べる方法を相談して、今のスタイルにしました。

    ただ、年配の方に多いのですが、ボタンがクリックできると思わなかったようで……。もっとわかりやすくすることは課題の1つですね。

    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ 価格表示が変わる仕様
    商品画像上のボタンをクリックすると、表示する価格が変わる仕様(画像は「笹屋伊織」ECサイトからキャプチャ)

    潜在的なニーズで売り上げ増加した「帰れなくてごめんねセット」

    片山氏:商品の1つに「帰れなくてごめんねセット」というのがあるのですが、実はコロナ前からあった商品なんです。

    ――コロナをきっかけに生まれた商品かと思いました。

    片山氏:忙しくて年末年始に実家に帰れず、熨斗も手紙も付けずに商品だけ送った自分の実体験から生まれた商品です。

    忙しくて実家に帰省できないけれど何か贈れる商品を作りたいと思って。「帰れなくてごめんね」という熨斗をつけたら贈りやすいかなと。

    販売後、最初の1年はまったく売れなかったのですが、コロナをきっかけに凄くヒットして。

    「何か贈りたかったけれど、何を贈ったら良いのかわからなかったので良かったです」といった声をいただきました。潜在的なニーズ、見えないニーズを熨斗紙1つで表せたこと、そこにコロナがちょうど重なり、商品へのニーズが増えたのでご注文が増えたのではないでしょうか

    この商品を注文して下さった方が、コロナ収束後にまた何かの機会で「笹屋伊織」をお選びいただけるのではないかと思うので、贈り物の新しい形、贈り方に一石投じられたかなと感じています

    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ 帰れなくてごめんねセット
    コロナ禍でニーズが増加した「帰れなくてごめんねセット」。セット商品は季節に応じて変更している(画像は「笹屋伊織」ECサイトからキャプチャ)

    顧客対応は「おもてなしの心」を大切に

    ――女将さんがおもてなしについての講演を行っていますが、おもてなしの心をECサイトに生かした点はありますか。

    片山氏:「笹屋伊織」の商品は結婚や出産のお祝い、お詫びなど重要なシーンで選ばれることが多く、そういった関連のお問い合わせも多いです。

    「笹屋伊織」では、入社すると社員もパートさんも全員女将のおもてなしセミナーを受講し、しっかりおもてなしについて学ぶため、お問い合わせにもきちんと対応できることは、生かされている点ですね。

    また、和菓子はお供えや供養のシーンで使われることがあります。以前、お客さまから「お供えの熨斗をかけてください」と依頼があったのですが、ご注文いただいた商品が「千客万来」というすごくおめでたいお菓子だったんです。そういったお菓子をお葬式などで出すわけにはいかないですよね。受注の担当者が「お供えの熨斗をかけるなら、このお菓子は合わない」と気付いてお客さまに連絡したことがあります。

    受注担当者がそういったことに気付けるようになっていること、用途に合わせたお菓子の提案ができることは、おもてなしについて学んだ結果だと考えています。

    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ 十代目女将の田丸みゆき氏
    笹屋伊織 取締役 十代目女将の田丸みゆき氏(画像は「TAMARU MIYUKI.com」からキャプチャ)

    ――アドバイスをもらえたことで、贈る側・受け取る側ともに残念な気持ちにならずに済みそうです。

    片山氏:そういったことができるのは、老舗として大事なことです。そこは女将からも徹底して言われていますし、私もスタッフに伝えています。意識をすることで、受注をただの作業で終わらせないことにつながるのではないでしょうか

    ――お問い合わせ対応だけでなく、提案もできるのは凄いですね。

    片山氏:受注担当者だけでなく、発送担当者でストップがかかることもあります。スタッフ全員が意識しているからこそ、受注担当者が見逃していても、熨斗をかける時に「おかしいのでは」と気付いてお客さまに連絡することもできるんです。

    丁寧な対応から生まれる信頼がリピーターにつながる

    ――そのような対応からリピーターにつながることも多いのではないでしょうか。

    片山氏:結婚の内祝いで初めて購入したお客さまが、今度は出産の内祝いでも注文してくださったことがありました。それに受注担当者が気付き、「お子さまが生まれたんですね、おめでとうございます」とメールに一文入れることでお客さまとの接点が増えます

    結婚、出産、入学、卒業など人生の重要なポイントで何か贈るシーンに和菓子を選んでいたけることがとても大事なことだと思っています。

    その情報はかける熨斗紙1つでわかるので、お客さまとのメールのやりとりで伝えていくことを大事にしていますね

    ――丁寧な対応から信頼感が生まれているのかもしれないですね。

    片山氏:一番大切なことかもしれません。私たちは長いお付き合いをお客さまとさせていただきたい。和菓子を通して大切なシーンのお手伝いをさせていただけることが、やりがいにつながっています。

    オススメ商品だけでなく「シーン別の渡し方」も掲載

    ――ECサイトを拝見すると、法人向けカテゴリーが多いように感じました。法人利用が多いのでしょうか。

    片山氏:多いですね、全体の約30%が法人の方です。1人で40箱購入しているお客さまがいてビックリしていたら、領収書希望と記載があったことで法人の方だと気付いて。

    法人での利用が多いなら、法人の方が選びやすいページを作ろうと。実店舗のスタッフにお客さまがどのような用途で購入することが多いのか、女将にはおもてなしやマナーについてヒアリングをして、お問い合わせの多い内容をすべてページに掲載しています。

    お手土産にオススメな商品をはじめ、訪問時のお菓子の渡し方、渡すタイミングなど、それこそ「おもてなしの気持ち」を法人向けのページに書いておこうと。

    謝罪の時の渡し方やお菓子を渡すタイミングと合わせて商品を選べるようにしたら、商品が売れるようになりました。

    ――ページを見ることで勉強にもなりますね。

    片山氏:いざというときじゃないですか、法人で使うときって。たとえば謝罪に行くときに色々なページを見て調べるより、手土産を持って行くのなら渡し方なども全部書いてあったら楽だな、選ぶ人が助かるんじゃないのかなと

    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ 法人向けのカテゴリページ
    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ 法人向けのカテゴリページ
    法人向けのカテゴリページ。商品の渡し方や用途に合わせた商品の選び方などを解説している(画像は「笹屋伊織」サイトからキャプチャ)

    ――カテゴリページに関連して、トップページのカテゴリ表示順をオススメ商品の次に利用目的別にしている理由は何でしょうか。

    片山氏:利用シーンからの方が和菓子は選ばれるかなと思いまして。

    最初は羊羹、饅頭など商品の種類を上にしていたんです。けれど、「お饅頭が食べたい」と思ってECサイトに来る人よりも、父の日やお中元などシーンに合わせて選ぶ方が多いんじゃないかと考えて変更しました。変更後のほうが商品が動くようになりました。

    皆さん目的があって購入するので、その目的に沿ったものを選べるようにしようという考えです。

    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ 利用目的別にカテゴリ分け
    利用目的ごとにカテゴリ分けされている。法人向けも用途に合わせて細かく分類(画像は「笹屋伊織」ECサイトからキャプチャ)

    「食べる芸術」和菓子の魅力をInstagramで発信

    ――SNSでInstagram、Facebook、YouTubeを選んだ理由は何でしょうか。

    片山氏:InstagramかTwitterはやりたいと考えていたんです。和菓子は「食べる芸術」といわれるくらい綺麗なものなので、その魅力を発信したかった。

    「笹屋伊織」の人気商品に毎月20、21、22日にだけ販売するどら焼があるのですが、毎月20日になったらフィードでどら焼が流れてきて、夏の「冷やし中華始めました」みたいに「どら焼がフィードで流れてきたからもう20日かぁ」と感じてもらえるとか、水無月という夏だけの和菓子が流れてきたら「もう夏だなぁ」とか、和菓子が季節を感じるツールの1つになったら良いなと思いながら運用しています

    Facebookは以前からあったのですが、ほとんど手を入れていない状態でした。Instagramを運用するために必要だったのもあり、Facebookも平行運用しています。

    Facebookをアップすると、イベントなどは集客にとてもつながりますね。一方で、Instagramで発信すると、オンラインショップの売り上げが上がる。なので、カラーミーショップの「Instagramショッピング連携機能」を秋頃に導入しようと考えています。

    ――Instagramは比較的利用層が若いSNSかと思います。Instagramショッピング導入で若い人にも購入してもらえる機会が増えそうです。

    片山氏:若い人たちにも和菓子や「笹屋伊織」が浸透したら、いずれ結婚や出産時のお祝いに選んでもらえたら良いなと。そういった点でのアピールもしていきたいと思っています。

    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ Instagram
    和菓子の美しさをInstagramで発信している(画像は「笹屋伊織」Instagramからキャプチャ)

    ECが当たり前になった時代でも「老舗らしさ」を忘れない

    ――今後の施策や展望について教えて下さい。

    片山氏:10年前は「カードの番号を入力して大丈夫なのか」「商品が本当に届くのか」など、オンラインショッピングは怖いものだったと思います。けれど今は身近で当たり前になってきたので、当たり前の中でもしっかり老舗らしさを持ちながら運営を続けていきます

    それから、Instagramを使ってもっと皆を巻き込んでいく。ECサイトって全国に商品を発送できるものの、まだどら焼のことは知られていないことが多くて。「旅するどら焼」「私を実家に連れて行って」のような切り口でキャンペーンを実施したいと考えています。

    名古屋の方が購入されたら、名古屋のランドマークと一緒にどら焼を撮影・投稿してもらったり。どら焼が全国に旅立っている姿を私も見たいし、職人にも見せてあげたいと思っていて。

    キャンペーン名はまだ具体的に決めていませんが、全国発送をしていることをSNSを使ってしっかり発信していきたいと思っています。

    笹屋伊織 老舗和菓子屋 カラーミーショップ 代表銘菓どら焼
    「笹屋伊織」の代表銘菓どら焼(画像は「笹屋伊織」ECサイトからキャプチャ)

    それ以外にも考えている施策はあるのですが、1つずつ実現できたら良いなと思っています。皆さんが喜ぶ瞬間を和菓子を通じて伝えていきたいです。

    藤田遥
    藤田遥

    消費ニーズの多様化に対応しロイヤル顧客を生むECサイト作りのポイント&Adobe Commerce最新情報を解説した資料【無料提供】

    4 years 4ヶ月 ago
    PDF資料『消費ニーズの多様化&変化に対応し ロイヤル顧客を生むコマース体験に必要なECサイト作りのポイント』のご案内
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    デジタルシフト、消費行動やニーズの多様化、競争の激化、少子高齢化など小売・EC市場を取り巻く環境が激変。また、サードパーティーCookie規制、Apple社によるSafariのプライバシー保護機能「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」の実装に代表される個人のプライバシー保護といった世界的な動き、媒体による広告掲載基準の変更など、新規顧客の獲得環境も厳しさが増している。

    こうした環境の変化に対し、小売・EC事業者に求められるのが変化・対応だ。その1つとしてフォーカスしたいのが、ロイヤル顧客の育成である。

    今回、無料提供するホワイトペーパーでは、市場環境の変化をわかりやすく解説、厳しいビジネス環境で成長を遂げるためのポイントとロイヤル顧客を生み出すために必要なEC基盤の選び方、「Adobe Commerce(旧:MagentoCommerce)」の最新情報を、全14ページでまとめた。

    『消費ニーズの多様化&変化に対応し ロイヤル顧客を生む
コマース体験に必要なECサイト作りのポイント』PDF誌面イメージ
    PDFのダウンロードはこちら 「Impress Business Library」(インプレス・ビジネスライブラリー)に移動します

    日本法人を持つアドビがMagento社を買収したのは2018年。そこから、日本の窓口が開き、「Magento Commerce」から「Adobe Commerce」へのブランド刷新、最新の機能アップデートといった最新情報もまとめている。

    消費市場や環境の変化をチェックしたい事業者はもちろん、ロイヤル顧客生むためのECサイト作りのポイント、「Adobe Commerce」最新動向などを知りたい方はぜひ、このPDFをチェックしてほしい。

    CONTENTS

    1章:
    大きく変わる消費市場

    2章:
    成長を遂げるためのポイントと
    ロイヤル顧客を生み出すために必要なEC基盤の選び方

    3章:
    ロイヤル顧客を生むECプラットフォーム
    「Adobe Commerce(旧:Magento Commerce)」

    無料でダウンロードできる資料(PDF)のご案内

    消費ニーズの多様化&変化に対応し ロイヤル顧客を生む
コマース体験に必要なECサイト作りのポイント
    消費ニーズの多様化&変化に対応し ロイヤル顧客を生む
    コマース体験に必要なECサイト作りのポイント

    市場環境の変化、成長を遂げるためのポイントとロイヤル顧客を生み出すために必要なEC基盤の選び方のポイント、それを実現するための「Adobe Commerce(旧:MagentoCommerce)」について解説

    PDFのダウンロードはこちら 「Impress Business Library」(インプレス・ビジネスライブラリー)に移動します
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    ネットショップ担当者フォーラム編集部

    楽天グループの国内EC流通総額は約2.3兆円で17%増、2021年度の目標は5兆円の突破【2021年中間期】 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

    4 years 4ヶ月 ago
    楽天グループは2021年通期国内EC流通総額について、5兆円の突破を目標としている

    楽天グループの2021年1-6月期(第2四半期累計)連結業績における国内EC流通総額は2兆2777億円で前年同期比17.0%増だった。出店店舗数は2021年1-3月期(第1四半期)から752店舗増の5万5232店舗。

    国内EC流通総額は「楽天市場」の流通総額に加え、トラベル(宿泊流通)、ブックス、ゴルフ、ファッション、ドリームビジネス、ビューティ、デリバリー、楽天24(ダイレクト)、オートビジネス、ラクマ、Rebates、楽天西友ネットスーパーなどの流通額を合算した数値。

    国内EC流通総額(画像はIR資料からキャプチャ)

    2021年4-6月期(第2四半期)の国内EC流通総額は1兆1557億円で同12.2%増。巣ごもり需要は一巡したものの2ケタ成長を維持しており、ショッピング流通総額は堅調に拡大しているという。ショッピング流通総額は、ここ2年間の第2四半期におけるCAGR(年平均成長率)で23.6%増。

    ショッピングECは、「楽天市場」、1stパーティー(ファッション、ブックス、楽天24、楽天西友ネットスーパー)、オープンEC(Rebates、楽天ペイ オンライン決済)、ラクマが対象。

    「楽天市場」の利用ユーザーは2020年に大きく成長。2021年第1四半期で購入したユーザーが、第2四半期でも利用した割合は約76%で、ユーザーの定着率も安定して推移している。

    リピートユーザーの推移(画像はIR資料からキャプチャ)

    なお、楽天グループは2021年通期国内EC流通総額について、5兆円の突破を目標としている。

    国内EC流通総額の推移と目標(画像はIR資料からキャプチャ)

     

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    EC売上500億円めざす高島屋、ECサイトをライフスタイル提案型にリニューアル

    4 years 4ヶ月 ago

    高島屋はこのほど、ECサイト「高島屋オンラインストア」を刷新した。

    百貨店ならではの独自性の発揮と顧客利便性の向上をめざしリニューアルを実施。顧客にストレスなく居心地の良い買い物空間を提供していく。

    「高島屋オンラインストア」は、ECサイトの訪問者の約7割がスマートフォン経由。スマホでの視認性や操作性を向上させるなど「スマートフォンファースト」の仕様に変更した。

    「高島屋オンラインストア」がリニューアル
    「スマートフォンファースト」に刷新した

    店舗でウインドーショッピングを楽しむ感覚でサイト内を楽しく回遊できるよう、衣食住のジャンルをまたいだライフスタイル型の商品提案を強化。「選ぶ楽しさ・贈る楽しさ」を体験してもらう機能を拡充した。

    「高島屋オンラインストア」がリニューアル
    生活シーンをイメージした商品を提案する

    さまざまな商品群を取り扱う百貨店ならではの、衣食住のカテゴリーをまたいだ商品の提案を強化。ワインの楽しみ方、初めてのママライフ、ギフトのマナーなど、興味や生活シーンに寄り添うストーリーコンテンツを拡充した。

    「高島屋オンラインストア」がリニューアル
    ストーリーコンテンツを拡充した

    お気に入りアイテムリストを、オンラインストア会員以外の人とも共有できるようにした。プレゼントを贈ってくれる友人や家族などに「ウィッシュリスト」として送ったり、結婚・出産祝いなどを考える際に、商品の候補を友人間で共有するなど、さまざまなシーンで活用できるようにした。

    「高島屋オンラインストア」がリニューアル
    お気に入りアイテムリストの共有機能

    オンライン上で、写真入りのオリジナルメッセージカードを作成できるようにした。今後はクリスマス、母の日、年賀などの季節の挨拶のデザインをさらに充実していく。

    「こんなアイテムが欲しい」「あの方にこんなギフトを贈りたい」など、顧客のさまざまな要望に対応する検索機能を拡充。ギフトサービス対象商品やお気に入りブランドで商品を絞り込んだり、ギフトシーズンにはチャットでギフト選びを支援したりする。

    「高島屋オンラインストア」がリニューアル
    検索機能を向上した

    実際に購入した顧客の感想や評価(レビュー)をレーダーチャートで視覚的に表現。グラフィカルなレビューを参考に、商品選びを楽しめるようにした。1人ひとりの顧客に最適な情報を提供するため、利用可能なキャンペーンやクーポン情報、お気に入りブランドの新着アイテムのお知らせなど、顧客ごとのパーソナルな情報をタイムリーに通知する。

    「高島屋オンラインストア」がリニューアル
    商品の魅力を伝える「アイテムレビュー」

    高島屋は今期(2022年2月期)から、3か年の中期経営計画(中計)をスタート。2020年度(2021年2月期)に前期比60.0%増の297億円だったEC売上高は、最終年度となる2023年度(2024年2月期)には500億円まで引き上げる計画だ。

    中計最終年度のEC売上高500億円達成に向けて2021年夏にECサイトを改修、スマホファーストの視点で利便性向上を図る計画を掲げていた。

    高島屋は今期(2022年2月期)から、3か年の中期経営計画(中計)をスタート EC売上
    ECビジネスについて(画像は高島屋のIR資料からキャプチャ)
    石居 岳
    石居 岳

    顧客満足度の低下を招くリスク「急成長」。その前に検討したいカスタマーエクスペリエンス向上に直結する業務の「自動化」 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    4 years 4ヶ月 ago
    購買プロセスの各段階で優れたカスタマーエクスペリエンスを提供することに注力し、さらに自動化を戦略的に導入して顧客の期待に応えるブランドは、長期的に高い定着率、収益性、成功を期待することができます

    オンライン通販事業者は大きな危機に直面しています。コロナ禍に直面して以来、倉庫や配送センターでは人員削減やソーシャルディスタンスの確保に必死です。小売企業はeコマースの需要増加による負担増の管理に苦慮していますが、今後もその傾向は続くでしょう。

    ただ、オートメーションによってeコマースのワークフローが最適化されれば、他のタスクにリソースを割り当てることができるようになります。

    オムニチャネル向けのプラットフォームを提供するBrightpearl社の調査によると、消費者の3分の2(65%)が、2021年のオンラインショッピングの消費額を2020年よりも増やすと答えています。事実、オンライン通販事業者の上半期の売上高は前年同期比で600%以上増加しています。

    慎重に成長する

    売り上げが増加するのは喜ばしいことですが、従来のピーク時以外の「需要の高まり」に十分に適応できていない小売事業者が多いのが現状です。オンラインで買い物をする消費者の需要の増加に対応できず、圧倒されてしまうことがあります。

    その結果、注文を逃すこともあります。また、誤った受注、商品を売り過ぎたりし、消費者を失望させてしまうこともあります

    これらの問題は、中小規模の小売事業者だけの問題だと思われるかもしれません。しかし、世界の大企業の中には、急な需要増加に対応するのに苦労している企業もあります。たとえば2020年、Microsoftは、新世代のXboxコンソールの予約受付を開始した後、さまざまな問題に直面しました。

    このようなオペレーション上のトラブルはコロナ禍以降、重要な課題となっています。また、消費者の多くが経験していることでもあります。

    急な需要増加による在庫切れや配送の遅れが増えたことで、消費者とオンラインブランドとの関係が大きく損なわれ、34%の消費者が「配送が信頼できないことで、オンラインショッピングに対する信頼が完全に失われた」と回答しています。

    オートメーションで期待通りの配送を実現

    オンラインビジネスを長期的に成功させるためには、オンライン注文をより迅速に、より正確に、そして従業員やエンドユーザーの安全を確保しながら処理する必要があります。それが実現できなければ、エラーや遅延のリスクが発生。販売者と消費者の間の微妙な関係をさらに悪化させ、結果的に再販の機会を失うことになります。

    多くのユーザーがAmazonにロイヤルティを感じるのには理由があります。注文から配送まで、Amazonは完璧に処理するからです。Amazonは、スピードと利便性を支える効率的なエコシステムに数十億ドルを投資してきました。そのようななか、小規模なブランドは競合などとの競争に苦戦しています。

    さまざまな市場で事業を展開し、需要が拡大している場合、効果的に対応するためには正しいオペレーションが必要になります。しかし、成長を求めるあまり、マルチチャネルでの販売競争を生き抜くために必要な、フレキシブルなデジタルオペレーションを持たないブランドがあまりにも多いのが現実です。

    在庫管理や顧客とのコミュニケーション、配送を含むすべての重要な業務タッチポイントを上手に管理する術を持っていないのです。

    このような状況は、最終的に、需要に対応できない脆弱なインフラ、サービスの失敗、カスタマーエクスペリエンスの低下につながります。2020年の調査では、25%の消費者が購入後に商品が在庫切れになった経験をしています。

    オートメーションで解決

    今の状況下、小売企業と倉庫はオペレーションを回すために、柔軟性と拡張性を維持しつつ、一時的な労働力、信頼性の低い労働力への依存度を下げる必要があります

    それを実現するのが自動化です。注文処理から在庫、出荷までのワークフローを自動化することで、倉庫作業のために人が常駐する必要がなくなります

    オートメーションによって、ソーシャルディスタンスが保たれ、従業員を守ることができるだけでなく、反復的な手作業によるヒューマンエラーのリスクを取り除くことが可能です。また、オーダーのピッキングと梱包を効率的かつ迅速に行うことができ、従業員の生産性が向上します。

    オートメーションによってeコマースのワークフローが最適化されると、会社の成長やイノベーション支援など、他のことにリソースを割り当てることができるようになるのです。

    Amazonは競合他社よりも速い処理スピードを維持していますが、中小企業もスピードアップしています。調査によると、出荷を自動化した小売事業者はオンラインでの注文を最大92%増加させることができます。中小ブランドでも、巨大なオンライン通販企業に取って代わる選択肢として、自らをアピールする機会が十分にあるのです。

    ブランドが今まで気にかけていなかった小売モデルや技術が、コロナ禍によってにスポットライトを浴び、ブランドの復活や競争力アップに役立っています。

    成長の前にオートメーションを

    ボイスコマース、AR、新しいソーシャルメディア(Reels、TikTokなど)、さらにはWhatsAppなどによるアプリ内課金など、多くの魅力的な技術が新しい販売方法を可能にしています。

    しかし、小売企業が成長を優先させることには注意が必要です。新たな販売方法を模索する前に、まず、現在の体制がさらなる需要の増加に対応できるほど洗練されているかどうか、自問する必要があるでしょう。

    体制が整っていない場合は、販売チャネルや注文を、在庫や出荷と同期させる技術や、注文管理やフルフィルメントを自動化するツールを導入し、消費者が常に正しい商品を予定通りに入手できるようにしましょう。そうすることで、期待以上の成果を上げ、LTV(顧客生涯価値)を最大化することができます。

    コロナ禍以降、顧客獲得のみに関心を持つ企業は、需要増に対応が追いつかず、カスタマーエクスペリエンスが標準以下になるというリスクを常に抱えています

    一方、購買プロセスの各段階で優れたカスタマーエクスペリエンスを提供することに注力し、さらに自動化を戦略的に導入して顧客の期待に応えるブランドは、長期的に高い定着率、収益性、成功を期待することができます

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360
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    大塚商会、横浜市に大型物流センターを新設。出荷スピードの改善と物流生産性を向上

    4 years 4ヶ月 ago

    大塚商会は2021年10月、神奈川県横浜市に新たな物流センター「横浜物流センター」を開設する。

    オフィスサプライ通販事業「たのめーる」の受注量拡大に対応する。高島平物流センター(東京・板橋区)、東日本物流センター(東京・大田区)に続き、首都圏における第三の物流拠点として物流ネットワーク体制を強化する。

    大塚商会は2021年10月、神奈川県横浜市に新たな物流センター「横浜物流センター」を開設する
    横浜物流センターのイメージ

    「横浜物流センター」では、省スペース化と省人化を実現する最新鋭のロボットストレージシステム「オートストア」を2基導入。既存物流センターと比較して保管効率は3.5倍以上で、作業人員の省人化を実現する。オートストアの導入としては国内最大規模となる。

    大塚商会は2021年10月、神奈川県横浜市に新たな物流センター「横浜物流センター」を開設する
    導入したオートストア

    庫内には最新のマテハン(マテリアルハンドリング)設備を各種導入し、DPS(デジタルピッキングシステム)のステーション数を既存の東日本物流センターの1.75倍となる28ステーションに拡張。画像処理とデジタルチェックを組み合わせて商品知識などのスキルに頼らない作業環境を構築する。

    高能力ケース荷揃えシステム(シャトルラック)による配送引渡し待ちの一時保管、コンベアラインの渋滞を抑制し、出荷スピードの向上も実現する。

    さらに、出荷頻度に応じた在庫配置の最適化だけでなく、各設備の特色に応じてその能力を充分に引き出す自動分析や解析機能など、AIやビッグデータを活用したシステムを構築した。「横浜物流センター」の延べ床面積は5万3838平方メートル、地上4階建て。

    石居 岳
    石居 岳
    確認済み
    3 分 20 秒 ago
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