ネットショップ担当者フォーラム

FABRIC TOKYOのLTV最大化法② OMO全体で一環した顧客体験を設計する | 『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する』ダイジェスト

4 years 4ヶ月 ago
『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する 』(インプレス刊)第4章より(第2回)

D2CはOMO戦略と親和性が高く、FABRIC TOKYOもその考え方を経営の根幹に据えています。オンラインとオフラインを分けるのではなく、一体として捉え、オンラインを基軸としてビジネスを展開していく必要があるのです。

これは、リピーターに対して、LTVを最大化する上でも同様です。一方通行の考え方ではなく、デジタル接点もリアル接点も相互に連関し、一体となって顧客体験を作る状態を前提としてマーケティングやバリューチェーンの構築を考えていくべきでしょう。

タッチポイント(顧客接点)の見極めも重要な論点です。

タッチポイント
  • デジタル接点の「テックタッチ
  • 人・場所接点の「ロータッチ」(例:店舗やイベント会場等)
  • 人接点の「ハイタッチ」(例:店舗等で人と人が直接触れ合う)

出所:藤井保文、尾原和啓著『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』(日経BP/2019年)、ニック・メータ他『カスタマーサクセス サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則』(英治出版/2018年)

それぞれのタッチポイントが顧客体験上でどのような役割を果たし、OMO全体として一貫した顧客体験を形作るのかを把握します。

例えばFABRIC TOKYOなら、ビジネスカジュアルの夏の時期は顧客の購入タイミングにあたりますが、テックタッチだけでは購入まで踏み切れないかもしれません。

運動をして筋肉がついて体型が変わったけれど、サイズ感やデザインと体型がどうマッチするのかわからない顧客は、オンラインでの購入を躊躇するかもしれません。そのような顧客を想定してテックタッチでリーチし、店舗での体験を訴求する必要が出てくるかもしれません。一方で、体型が変わったが、店舗へいく暇がないため、ズーム等オンラインでの体型診断を必要とする顧客もいるかもしれません。

このように、すべての顧客の購入タイミングを一律同様の訴求で捉えず、様々な価値観やニーズに最適化した訴求で、タッチポイントを使い分けるべきです。オンラインだけではなく、オフラインも利用できる強みを活かし、全体として一貫した顧客体験を構築すべきと思います。

そういった意味で、「八百屋のone to oneマーケティング」はOMOの本質を突いているかもしれません。お勧めの野菜や顧客の傾向を汲み取って提案するのはもちろん、時には御用聞きや配達にも応じてくれたりします。お得意様の台所事情=購入タイミングをそれぞれ把握し、店舗・配達などのタッチポイントを使い分け、場合によってはツケ払い(ユーザーペインの解消)などにも応じる姿勢は、一貫した顧客体験を構築しています。

LTVを最大化する意味でも、こうした身近な例も参考になります。想像力を働かせ、顧客とのタッチポイントを探してみてください。

カスタマーサクセスポイントを把握する

昨今、B2BのSaaS(Software as a Service)を中心に、カスタマーサクセスというワードが普及しています。直訳すると「顧客の成功」といった意味で、顧客のゴール(=成功)を理解した上で、各種施策を実行していこうということでしょうか。B2Bでは一般的に使われている概念ですが、定義はかなり曖昧なので、「その商品やサービスを利用して、顧客の自己実現や成功体験を叶えること」といった趣旨で筆者は捉えています。

例えばナイキであれば、何を顧客の成功として捉えているのでしょうか。イメージとしては、「このブランドやサービスを利用するとき、私は○○になった気分」と思わせるのがブランドの自己実現、成功体験ではないかと思います。ナイキの場合なら、「マイケル・ジョーダンのようにストイックな選手でありたい」などの欲求を満たす瞬間が、カスタマーサクセスに当たるのではないかと思います。

例えば、エアーマックスを履いた瞬間や、または履いて練習をしたときに少し前より上手くなった気分の高揚、などといった瞬間にカスタマーサクセスが訪れるのではないでしょうか。

カスタマーサクセスとは約束を果たし続けること

このカスタマーサクセスを常に把握せずして、LTV最大化は期待できないように思います。

FABRIC TOKYOでも、カスタマーサクセスのポイントを意識して、ビジネスを展開しています。商品が届いて箱を開けたときの感動、初めて着用したときのフィット感、オーダースーツを着てはじめて出社したときの気持ちのアップデート感、周りや奥さんから褒められたとき、着用して商談が成功したときなど、様々なカスタマーサクセスの瞬間があるかと思います。

企業側からすると、「○○ができます」「△△とここが違う」のような機能アピールで競争しがちですが、他と比較できるものは代わりが効くため、それだけでずっと選ばれ続けることは難しいのが現代です。

それよりも顧客の心理からすると、「何を約束してくれるのか」「どこへ導いてくれるのか」「信頼できるのか」のほうが気になるのではないでしょうか。このようなカスタマーサクセスをしっかり特定し、顧客と約束したことを常に実行していくことが大事です。

結果として、カスタマーサクセスは、すなわちブランディングであって、ブランドが掲げた約束を果たし続ける挑戦なのかもしれません。どんな想いで企画しているのか、企業の思想が見えてくるとそこに期待が生まれて、その期待に応えると顧客の喜びになるのではないでしょうか。

カスタマーサクセスは、第2章で紹介した「ブランドとしての顧客との約束」にあたる部分や第3章のWHOと関連付けて考えるのが良いと思います。顧客のライフスタイルやストーリーの中でカスタマーサクセスを特定した上で、ブランドの約束として実行していくと良いでしょう。

そのためには、図4-4のように理想の顧客像に向けて、各種カスタマージャーニー上でのペインを解消し、離脱を防いでいきます。その一方、顧客のエンゲージメントを高める施策も実行し、約束を果たすためのオペレーショナル・エクセレンス(業務改善サイクル)を磨き上げていくこの一連の活動を筆者はカスタマーサクセスと呼んでいます。

カスタマーサクセスへの道程
図4-4 カスタマーサクセスへの道程

顧客のエンゲージメントを高める

FABRIC TOKYOでは、スーツが届いて着用したらサイズが合わなかったなど、顧客がペインを感じるとそこで離脱してしまう可能性があるため、お直しの保証サービスなどを充実させています。お直しというと「時間がかかる、面倒」といったイメージがありますが、手続きの簡便さを追求したり、利便性を高めたりすることにより、顧客のペインを解消しています。

さらにホワイトフライデー、ファンイベント(シーズンリリース時に顧客へコーディネートを提案する)など、各種ブランドの理念を掲げる企画で、顧客のエンゲージメントを高めていきます。その他、ワイシャツや、カジュアルジャケットなど、スーツ以外の商材もコーディネートの提案でクロスセルを高めていき、そこでも離脱させません。最終的に、顧客との約束として、例えば「自分らしくデザインされた前向きな人生を送れるような」カスタマーサクセスを目指していくのです。

※この記事は『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する』(インプレス刊)の一部を編集し、公開しているものです。

 

リテール・デジタルトランスフォーメーション
D2C戦略が小売を変革する

日本発D2Cブランドの代名詞とも言われる「FABRIC TOKYO」が、D2Cによる小売推進・変革のための事業戦略を徹底解説する1冊。

小売業のDX化を推進する活動を背景に、D2Cの基礎知識、世界観の作り方、オンラインとオフラインの融合(OMO戦略)、マーケティング戦略、組織運営、さらにその先の未来の話(RaaS)まで、具体的な事例やデータを盛り込みながら解説します。

DX化が遅れている中小の小売メーカー、ECのビジネスモデル転換を図りたい中小経営者、D2Cの考え方やノウハウを事業戦略に取り入れたい方、モノづくりの分野でスタートアップを始めたい方などに、課題解決のヒントを提示します。

リテール・デジタルトランスフォーメーション
D2C戦略が小売を変革する 表紙

リテール・デジタルトランスフォーメーション
D2C戦略が小売を変革する

三嶋憲一郎/FABRIC TOKYO 著
インプレス 刊
単行本(ソフトカバー)2,200円
電子書籍(Kindle版)1,980円
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筆者登壇情報

この『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する』の筆者、三嶋憲一郎氏が、8月18日に開催されるインプレス主催のオンラインイベント「ネットショップ担当者フォーラム2021夏 〜リピート客作り、ファンを増やすネットマーケティングのコツ〜」に登壇いたします。

テーマは「D2Cを成功させるには? 「FABRIC TOKYO」の失敗・成功事例に学ぶ成長のヒント」。聴講は無料です。下記のバナーからお申し込みください。

三嶋 憲一郎
三嶋 憲一郎

ECサイトの広告予算はいくらが目安? 計算方法や決め方まとめ | 今日から試せるネットショップ運営ノウハウ powered by カラーミーショップ

4 years 4ヶ月 ago
リスティング広告やGoogle広告など、広告の運用を検討しているものの、いくらにしたら良いのか悩んでいる方も多いでしょう。広告費の目安について解説します

リスティング広告、リターゲティング広告、Googleショッピングなど、ネットショップを運営するために集客・広告ツールの利用を検討している方も多いでしょう。ですが、広告を出そうと思っても「広告費にいくらかければいいのか」迷ってしまいますよね。少なすぎて効果が出ないのは避けたい一方で、不要に広告費をかけすぎると経営を圧迫しかねません。

そこで今回は、広告費をいくらに設定すればいいのか悩んでいる方向けに、カラーミーショップが考える「広告費の目安の決め方」をご紹介します。必要な数値や計算方法を詳しく解説しているので、簡単におおよその広告費を出すことができます。

よむよむカラーミー ツクルくん ツクルくん

ネットショップの広告を出したいけど、広告にいくらかければいいのか、どうやって決めたらいいんだろう?

よむよむカラーミー カラミちゃん カラミちゃん

広告費の予算は、広告経由で獲得したいアクセス人数や売り上げをベースに計算して算出します。今回は、その手順をわかりやすく解説します。

広告費の予算を決めるための準備

広告費の予算を出す前に、必要な数字の確認や広告の目的を決めましょう。

準備1:計算に必要な数字を確認する

広告費の予算を決めるには、まずは現状を把握します。ご自身のネットショップの以下の3つの数字をチェックしましょう。

  • アクセス人数
  • 購買率
  • 平均購入単価

これらの数字は、Googleのアクセス解析ツール「Google Analytics(グーグルアナリティクス)」で確認が可能です。

準備2:アクセス人数か売り上げか、伸ばしたい数値を決める

予算を決めるにあたり、次に「どの数値を伸ばすために広告を出すのか」、広告の目的を決めましょう。ネットショップの広告は、大きく分けて2つの目的に分かれます。

  • アクセス人数:知名度をあげたい・新規顧客を増やしたい場合(全店舗向け)
  • 売り上げ:売り上げを伸ばしたい場合(ある程度購入者がついている店舗向け)

このように、目的によってどの数値を伸ばせばいいのかが決まります。ご自身のネットショップが今どの段階にあるのかを考え、目的を決めましょう。

広告予算の決め方

準備ができたら早速、広告費の予算を決めていきます。まずは、アクセス人数を上げるために広告を出す場合の予算の決め方を見てみましょう。

アクセス人数を伸ばしたい場合の広告予算

アクセス人数(訪問顧客数)を伸ばしたい場合、広告予算の目安を出すのは簡単です。広告ツールには大体のクリック単価が出ていますので、まずその単価を確認します。

例えば訪問顧客を1か月あたり300人増が目標で、広告のクリック単価が100円の場合は以下の計算式になります。

1か月の広告予算

目標訪問顧客数×クリック単価=広告予算

300人×100円=30,000円

※手数料などが含まれる場合はそれも加算します

このように、アクセス人数を伸ばしたい場合の広告予算は、目標とするアクセス人数とクリック単価を元にすればすぐに出せます。

売り上げを伸ばしたい場合の広告予算

売り上げを上げることを目的に広告予算を決める場合は、ある程度信用できるくらいの購入データとアクセスデータがそろっている必要があります。そのため上記にもあるように、ある程度の購入者がついてから広告による売り上げアップをめざしましょう。データがそろっている場合は、以下の手順で広告予算を出していきます。

1.売上目標を決める

いくら売り上げを伸ばしたいのか、まずは売上目標を決めましょう。今回は広告経由の売り上げを1か月で10万円にすることを目標とします。

2.顧客平均購入単価を確認する

次に、顧客の平均購入単価を確認します。顧客のデータは、多いほうが信頼性は高くなります。過去の売上単価の平均値を出すことで求めることもできます。

3.目標金額の達成に必要な購入顧客数を計算する

顧客の平均購入単価がわかったら、何人が購入すれば目標金額の10万円になるか、必要購入顧客数を以下のように計算します。今回は、仮で平均の顧客購入単価を4,000円とします。

1か月の必要購入顧客数

目標金額÷平均購入単価=必要な購入顧客数

100,000円÷4,000円=25人

これで10万円という売上目標を達成するためには、1か月あたり25人の顧客に購入してもらう必要があることがわかりました。

4.必要な訪問顧客数(アクセス人数)を計算する

さらに、何人にサイトへ訪問してもらえれば、先ほど出した購入顧客数(25人)を達成できるのか、必要な訪問顧客数(アクセス人数)を計算します。

まずは、購買率を確認します。仮に購買率を5%とすると、以下のように計算できます。

1か月の必要訪問顧客数(アクセス人数)

購入顧客数÷購買率=必要訪問顧客数

25人÷0.05=500人

これで、売上目標10万円を達成するためには、1か月あたり500人にサイトに訪れてもらう必要があることがわかりました。

5.訪問顧客数から広告予算を設定する

集客すべき訪問顧客数(アクセス人数)がわかったので、これに対してどのくらい予算がかかるかを計算していきます。

まずは広告ツールで、大体のクリック単価を確認します。今回は、仮でクリック単価を60円とします。

1か月の広告予算

訪問顧客数×クリック単価=広告予算

500人×60円=30,000円

※手数料などが含まれる場合はそれも加算します

これで1か月あたりの売上目標を達成するための広告予算の金額がわかりました。

6.広告予算を調整する

以上の計算から10万円を売り上げるための広告予算は30,000円であることがわかりました。一方で、一般的には「広告費は売上目標の30%程度」ともいわれています。

今回はちょうど売上目標の30%の金額になりましたが、計算した結果、もし広告予算が売上目標の30%を大幅に超えてしまうような場合は、少し予算を抑えるなど調整しましょう。

広告費が経営を圧迫しないためにも、まずは売り上げの30%程度を広告予算の目安とすることをおすすめします

売上目標を達成するための計算式のまとめ

上記の計算を1つの式にまとめると以下のようになります。

1か月の広告予算

((目標金額÷平均購入単価)÷購買率)×クリック単価=広告予算

((100,000円÷4,000円)÷0.05)×60円=30,000円

広告の売り上げ効果はLTVで考える

広告コストに対する売り上げ効果としては、LTVで見ましょう。LTVとはライフ・タイム・バリューの略で、日本語では「顧客生涯価値」と呼ばれます。LTVは簡単にいうと、リピートも含め、お客さまが生涯にわたってどれくらいの利益をもたらしてくれたかの指標です。

できれば数年単位で見るのが望ましいですが、データが集めにくいため、年単位で概算を見積もることをおすすめします

まず顧客の1年あたりの平均購入回数を出します。例えば平均単価4,000円で年間の平均購入回数が3回、広告経由の購入者数が25人とすると、以下の計算ができます

1か月の広告コストに対する売り上げ効果の見方

平均購入単価×平均購入回数×広告経由の購入者数(1カ月間)=広告経由の売り上げ

4,000円×3回×25人=300,000円

1か月分の30,000円の投資に対しての売り上げは概算で300,000円となりました。このように、顧客のリピート売り上げも踏まえて、広告投資をすると良いでしょう。

まとめ:目標に合わせて広告費を決めよう

今回は、ネットショップの広告費の予算の決め方についてご紹介しました。広告予算は、目標とする売り上げやアクセス人数をベースに計算するのがおすすめです。

また、広告を効果的に使うには、自社のネットショップの状況に合った目標を設定することが重要です。ぜひ、この記事を参考にネット広告の予算を立ててみてください。

この記事はカラーミーショップの公式Webメディア『よむよむカラーミー by GMOペパボ』の記事を、ネットショップ担当者フォーラム用に再編集したものです。

よむよむカラーミー
よむよむカラーミー

ローカルSEOとは? 店舗が行うべき対策を解説【チェックリスト有り】 | 店舗ビジネスに役立つ『口コミラボ』特選コラム

4 years 4ヶ月 ago
ローカル検索に”最適化”し、店舗への来店につながりやすくすることをローカルSEOと呼びます。その意味や考え方から、具体的な対策方法を解説します

ローカルSEOとは、ユーザーが「行きたい場所」を検索した際、正確かつ充実した店舗情報やたくさんの高評価な口コミを見てもらうことで、自分のお店をユーザーに選んでもらいやすくすることを指します。

一般的なメディアでは、ローカルSEOの意味を「Google マップで上位に表示させること」と説明しているものが多く存在します。

しかし上位に表示されていたとしても、評価が☆2.8のお店に行きたいと思うでしょうか。評価が高かったとしても、行ってみたらサービス内容や接客が良くなかった、そんなお店に繰り返し来店してもらえるのでしょうか。

ローカルSEO対策を始めたいと考えているのであれば、安易に短期的な上位表示をねらう施策ではなく、長期的に多くのお客様から選ばれるお店になるための施策を知る必要があるのです。

今回は、ローカルSEOの意味や考え方から、具体的な対策方法、そしてローカルSEOに取り組んでいる店舗の事例まで、網羅的に解説します。

ローカルSEOとは

Google 検索やGoogle マップなどを用いて、行きたいお店を検索したことがあるという方は多いのではないでしょうか?

たとえば、行きたいお店を検索する際のキーワードとして以下のような例が挙げられます。

  • レストラン
  • 渋谷 居酒屋
  • 美容院 パーマ
  • 品川 ホテル

地名を入れて検索した場合はその場所のお店が表示され、地名が含まれていない場合は端末の位置情報をもとに近くのお店が表示されます。

行きたいお店を検索する時、そのお店が「どこにあるか」、つまり「場所」の情報が非常に重要となります。たとえば今から都内で晩ご飯を食べる場所を探す場合、北海道にあるレストランを表示されても困ってしまうというのは、容易に想像がつくでしょう。

特に検索エンジンの中で圧倒的なシェアを誇るGoogleは、特定の場所に関連した情報をユーザーが求めているということを認識し、その場所周辺の情報を表示します。

この時行われている検索行動、つまり「場所」の情報が大きく影響する検索のことを「ローカル検索」といいます。そしてこのローカル検索に”最適化”し、店舗への来店につながりやすくすることを、「ローカルSEO」と呼ぶのです。

ローカルSEOが重要である理由は?3つのキーワードとともに解説

ローカルSEOの重要性を語るにあたり、知っておくべき3つのキーワードを解説します。

1.ゼロクリックサーチ

ゼロクリックサーチとは「一度もクリックせずに検索を終えること」で、Googleが検索結果画面に多くの情報を表示させ、利便性を向上させようとしていることに起因するものです。

場所を調べた場合、ローカルパック(地図とともに3つの店舗情報が表示されるもの)、ナレッジパネル(店舗の名前などで検索した際、右側に詳細な情報が表示されるもの)などが表示されます。

ローカルパック ナレッジパネル
▲Google検索でお店を検索した際に表示されるローカルパック、ナレッジパネル:編集部作成

店舗名や場所、営業時間、電話番号、口コミの平均評価など基本的な情報がここからわかるようになっています。そしてもちろん、Google マップのアプリでも調べられます。

公式サイトや口コミサイトなどをクリックして詳細な情報を見るという行動が以前より少なくなっているため、Googleの検索結果画面やGoogle マップ上に表示される店舗情報整備の重要性が高まっています。

2.ZMOT

ZMOT(Zero Moment of Truth、ズィーモット)は「顧客はお店に来てから買うものを決めるのではなく、インターネットで情報収集し、来店前にはすでに買うものを決めている」という理論で、Googleが2011年に提唱したものです。

インターネットの普及に伴う来店前の情報収集に着目し、Web上での情報発信に取り組むよう促しています。

3.マイクロモーメント

こちらはZMOTと同じくGoogleが、2015年に提唱した理論です。

ユーザーが「何かをしたい」と思い、反射的に目の前にあるデバイスで調べたり、購入したりという行動を起こす瞬間のことです。スマートフォンの普及により、その場で行きたい場所を検索したいというニーズが叶えられるようになったといえます。

※コロナによるデジタル化の加速も影響

さらに、コロナでデジタル化が加速。消費者はお店の営業時間(そもそも開店しているのか)、混雑度、コロナ対策の実施など、これまで以上に店舗情報を慎重に調べてから来店するようになりました。

以上のような「ローカルな情報(場所の情報)」を求める検索行動が広まったことにより、その検索で正しい・充実した店舗情報を表示させる「ローカルSEO」の重要性が高まっているのです。

ローカルSEOの目的は「上位表示」ではない!

ユーザーが行きたい場所を検索した際に自分のお店が表示されていれば、来店してもらいやすくなります。店舗経営に関わる方が、自分のお店を検索で上位に表示させたいと考えるのは自然なことです。

しかしローカルSEOで「上位表示」を目的にするということには、2つの大きな落とし穴があります。

1. そもそも特定のキーワードで常に上位に表示させるというのが非常に難しく、効果検証もしづらい

ローカル検索では、「どの場所から検索したか」が検索結果を左右します。

ローカル検索における主な順位決定要因は、「距離」「関連性」「知名度」の3つです。そのお店が検索したキーワードに関連しているか、知名度があるのかについてもGoogleは重視しますが、「距離が近いかどうか」が大きく影響するのです。

たとえば「レストラン」というキーワードで上位に表示させたいという目標を立てたとしても、場所を少し移動しただけでも検索結果が異なります。

「検索地点 × 検索キーワード」の数だけ検索結果が存在するため、それら全てで1位を取ることは不可能なのです。

またやってしまいがちなのが、店舗の中にいる時に「レストラン」「美容院」などと検索して上位に表示されているのか確認するというやり方。店内で検索すればそのお店が上位に表示されるのは自然なことなので、効果検証としては適当ではありません。

順位を基準として施策の効果検証をするならばできるだけ多くの地点で検索したデータを集めて推移を見るといったことをしなければなりませんが、日々多くの業務を抱える店舗経営者にとって、優先すべきは他にあるのではないでしょうか。

2. 仮に上位に表示されたとして、店舗情報や口コミが充実していなければお客様には選んでもらえず、来店につながらない可能性が高い

仮にあなたが飲食店を探す場合、✩2.8だが1位に表示されているお店と、表示されているのは3位だが✩4.2のお店、どちらを選ぶでしょうか。

通常の検索の場合1位のクリック率が圧倒的に高いため、SEO対策ではとにかく上位に表示されることを目指します。しかしお店を探す際はそれなりに時間をかけていくつかの選択肢を比較することが多いので、上位表示よりも口コミ評価の高さや店舗情報の充実度の方を重視すべきです。

また、ローカル検索でユーザーから選ばれ、来店してもらえたとしましょう。しかしその時、サービス内容に満足してもらえなければリピーターになってもらえません。低評価な口コミを投稿され、他のユーザーからの印象すら低下してしまう可能性もあります。

ですから店舗情報の整備だけではなく、お客様の満足度を向上させるために、お客様の声(口コミ)をもとにサービスを改善することも「ローカルSEO」の中に含まれるといえます。

ローカルSEOの最終目的は、店舗情報を上位に表示させるだけではなく、その情報を見て「行きたい」と思ってもらい、そして実際に来店した後に「来て良かった」と思ってもらえるようにすることだと考えましょう。

お客様に来て良かったと思ってもらえれば、自然と高評価な口コミも増えていきます。

そしてユーザーから評価されるようなお店は、結果的にGoogleからも評価されて上位に表示されやすくなり、さらに多くのユーザーから選ばれるようになっていくのです。

安易な「MEO対策」を推奨する悪徳業者に注意

ローカルSEO対策に「口コミ投稿の促進」や「顧客満足度の向上」までも含めるとすれば、すぐに結果が出るものでないというのはお分かりかと思います。

しかしどうしても「短期的に効果を出したい」と思ってしまうものです。そのような心理につけ込んで「すぐに上位表示できる『MEO対策』」を謳い、Googleが定める規則(ガイドライン)に違反したり、そもそも倫理的にNGな行為を推奨する悪質な業者が存在します。

そもそも「MEO(Map Engine Optimization)」とは、Google マップ上の店舗情報を充実させることを意味するもので、SEO(Search Engine Optimization)の「Search」を「Map」に変えて作られた和製英語です。ローカルSEOと似た用語ではあるものの、このように悪質な業者が使いがちであることからこの用語自体が敬遠される風潮もあるようです。

もちろん「MEO対策」として適切な施策を行う業者もいますが、以下のような運用を含んでいないか確認しましょう。

・口コミを大量に増やせる

MEO業者に報酬を支払い、「やらせ」の口コミを大量に投稿させることはGoogleのガイドラインに違反します。そしてそのような「やらせ」口コミは、ユーザーから見て不自然な場合も多く、SNS上で炎上する事例も発生しています。

そもそも口コミ評価を「やらせ」によって上げたところで、それが実際のサービスと乖離していればお客様に満足してもらうことは叶わないのですから、本末転倒な手法です。

・口コミを確実に消せる

「口コミをほぼ100%消せます」と謳う業者も存在します。不適切な口コミであればGoogleに報告する、それでも削除されなければ発信者情報開示請求を行い、直接投稿者に口コミの削除を求めるといった方法はありますが、どちらも必ず削除できるとは限りません。「ほぼ100%削除できる」と断言している時点で怪しいと思った方がよいでしょう。

このような業者の中には、一般ユーザーとして低評価な口コミを自ら投稿し、その後「口コミを消しませんか」と営業をかける例もみられます。低評価な口コミが立て続けに投稿された直後、MEO業者から営業があったという場合は注意しましょう。

・実際と異なる店舗情報を設定する

実際と異なる店舗情報を設定することは、ガイドライン違反としてGoogleからビジネス プロフィール(Google マイビジネスで設定する情報)の公開停止などのペナルティを受けるおそれがあるため、注意が必要です。

その中でもよくあるのが「店舗名に宣伝文句となるキーワードを含める」という手法。「〇〇駅から徒歩1分」「20時まで営業中」「焼き鳥が美味しい居酒屋」といった、店舗の正式名称と異なる語句を店舗名に設定することは、実はガイドライン違反です。

このような運用を勧めてくる業者には依頼しないようにしましょう。

・契約内容を明確にせず、勝手に施策を進行する

ローカルSEOMEOに対する知識は未だ浸透していません。その状況を利用し、曖昧な契約のまま施策を進行する業者もいるようです。

特に悪質な事例として、勝手に業者側のGoogle アカウントでオーナー確認を行おうとした業者もいました。依頼する際にはできれば書面で契約を結び、不審な点があれば断るのが得策です。

ローカルSEO対策に取り組もう!やるべきことチェックリスト

では、本当に取り組むべきローカルSEO対策とはどういったものなのでしょうか。チェックリストとしてまとめましたのでぜひご活用ください。

ローカルSEO対策 やるべきことチェックリスト
▲ローカルSEO対策 やるべきことチェックリスト:編集部作成

ローカルSEO対策チェックリスト ダウンロードはこちら

1. まずは店舗情報を掲載

まずは地図アプリ、口コミサイト(宿泊施設であればOTA: Online Travel Agency)に登録しましょう。

地図アプリではGoogle マップ、Yahoo!マップ、Apple Maps(iOS端末に搭載されている「マップ」アプリ)の3つに登録しておきます。

それぞれ店舗側の管理ツールとして、Google マイビジネス、Yahoo!プレイスApple Maps Connectが提供されています。郵送ハガキや電話などを用いた確認コードの入力など、手順が複雑ですので、以下記事を参考にしてください。

また、店舗情報を掲載する際に各サイトのガイドラインを確認しておき、ガイドラインに沿った運用ができるようにしましょう。たとえばGoogle マップの場合、ビジネスの名称に「キャンペーン実施中」「20時まで営業中」のような宣伝文句など、正式名称に含まれないワードを設定することが禁止されているといった、細かな規定が存在します。

2. 基本情報の登録

基本的な情報を登録しましょう。チェックリストには、Google マイビジネスで設定できる基本的な項目を示しています。

  1. ビジネス名
    店舗の名前を記載します。看板に記載されている名称以外は設定できません(「渋谷駅徒歩1分」「個室あり」「20時まで営業」といった宣伝文句など)。
  2. カテゴリ
    お店の業種業態を記載します(ただし自由入力ではなくGoogleが指定しているものから選ぶ)。メインカテゴリのほか、サブカテゴリを9個まで追加できます。
  3. 住所・サービス提供地域
    非店舗型(デリバリーのみの展開など)や、店舗・非店舗のハイブリッド型では「サービス提供地域」を追加します。ただし店舗営業のみを行っているビジネスでサービス提供地域を記載すると、ガイドライン違反としてビジネス プロフィールの公開停止などのペナルティを受ける可能性があります。
  4. 営業時間
    通常の営業時間以外に、2種類の詳しい営業時間を設定できます。
    ・営業時間の詳細:テイクアウトやデリバリーなどの営業時間を追加できます(特に緊急事態宣言下では、テイクアウトのみ営業時間が異なることもあるので活用が必須)。
    ・特別営業時間:祝日、イベント、臨時休業など通常と異なる営業時間を追加できます。
  5. 電話番号
    予約導線のため重要です。なお2021年6月から、電話番号を非公開にする設定も追加されています。
  6. URL
    公式サイトのURLを設定します。チェーン店の場合はできる限り店舗固有のURLを設定することが推奨されています。UberEatsなど予約・注文用のURLを記載する欄もありますが、こちらも予約導線のため重要です。
  7. ビジネスの説明
    ビジネスの概要を記入します。なお、URLを記載したりキャンペーンやクーポンを過度に強調したりすることは禁止されています。
  8. 属性
    テイクアウト・デリバリー対応やバリアフリー、決済手段などビジネスが対応しているものを示す項目です(ものによってはローカルパックに表示されるため重要)。2020年から、コロナ対策の属性が追加されています(マスク着用義務、検温実施の有無など)。
  9. 写真・動画
    Googleマイビジネスで写真を投稿すると「オーナー提供」の欄に表示されます。ユーザー投稿の写真は見栄えが悪いものも多いため、業者に頼むなどして魅力が伝わる写真を撮影し、投稿しましょう。
  10. メニュー・商品・サービス
    メインカテゴリにより使える機能が異なります(メニューは飲食店のみ)。メニュー、商品は写真を登録できますが、サービスはテキストのみです。なお、メニューを一部のみ登録することはガイドライン違反となっています。
  11. 開業日
    開業日を登録しておくと、業種によっては「事業年数」が表示されます。開業前の場合は、「開業予定日」を登録しておきます。

※なおGoogle マイビジネスでは、各ビジネスのURLを短縮するために用いる「略称」という機能がありましたが、2021年6月から新たな略称の設定ができなくなっています。すでに略称を設定済の場合は、引き続き使えるようです。

また、基本情報の登録の際は「NAP」を統一することが必要です。NAPとは、Name(店舗名), Address(住所), Phone(電話番号)の頭文字をとった用語です。

Googleはこれら3つの情報をもとにGoogle マップ上の情報と公式サイト・SNSなどとを関連づけているといわれていますので、表記を統一しておきましょう。

また、来店者にとっては店舗名などの表記が「〇〇東京店」「〇〇 東京駅前」などと表記が揺れていると、本当に同じ店なのかと不安を抱いてしまうかもしれません。Googleへの対策という側面だけでなく、ユーザー目線でもNAPは統一されていた方が認識しやすいでしょう。

3. 情報を正確なものに保つ・さらに充実させる

Web上の店舗情報整備は、最初に登録したあと放置してしまうのはよくありません。定期的な更新やチェックが非常に重要です。

特にコロナ禍では、店舗の営業時間を何度も変更しなければならなかったという方も多かったのではないでしょうか。

いまやユーザー目線では、Google マップなどWeb上の営業時間情報が信用できないものになってしまっています。営業時間が最新の情報に更新できているか確認するとともに、Google マイビジネスの投稿やSNSなどでその日の営業時間を伝えるようにすると、安心して来店してもらえるでしょう。

またGoogle マップでは、ユーザーが情報の修正提案を行い、それをGoogleが承認すると勝手に変えることができてしまいます公式サイトやSNS、口コミサイトなどの情報をもとに、Googleが情報を変更することもあります。

店舗情報が正確なものになっているのか、定期的に監視する必要があるのです。また、ユーザーが投稿した写真が不適切なものでないか、悪質な口コミが投稿されていないかといった点での監視も必要です。

・投稿機能の活用

Googleマイビジネスの場合は「最新情報」が基本的な投稿です。他にコロナ情報、イベント、特典(クーポン)、商品が投稿できます。

Yahoo!プレイスにも「トピックス入稿」という機能があります。Google マップに比べ閲覧数は多くないかもしれませんが、競合でもやっているところは少なくブルーオーシャンだといえます。

・検索されやすいキーワード対策/多言語対応

たとえば投稿の内容は検索の対象となります。投稿機能を活用する際、検索で当たってほしいキーワードを自然に盛り込みながら投稿すると効果的です。

多言語対応でも投稿が重要となります。英語、中国語などを投稿本文の後半に添えて投稿すると、外国語で検索された際に検索に引っかかりやすくなります。

・ユーザーからのメッセージの返信

ユーザーと直接メッセージをやりとりできます。「今日開店していますか」などすぐに返信が必要な内容であることも多いため、定期的にチェックしておくとよいでしょう。

・「Googleで予約」の整備

Googleで予約とは、お店の予約がGoogle 検索上で完結するシステムです。ユーザーとしてもGoogle 検索から移動せずにお店を予約できるのは便利で、これを設定しておくことで「予約が面倒」という理由での離脱を防ぎ、Google経由の予約が増える可能性があります。

ぐるなびなど、提携するプラットフォームに登録していることが利用の条件です。

・被リンク、サイテーションの獲得/公式サイト、SNS運用

被リンクとは、外部サイトが自分のサイトのリンクを貼ることを指します。

サイテーションとは「引用、言及」という意味で、自分のサイトのリンクは貼られていないものの、店名などに言及されていることを指します。

自然な被リンクやサイテーションを多く獲得することで、Googleが「この店舗は知名度がある」と認識し、優先的に表示するといわれています。特にSNSの運用はサイテーションの獲得に役立つでしょう。

また、公式サイトも順位決定要因の一部となっています。公式サイトを持っていないため簡単に整備したいという場合は、Google マイビジネスの「ウェブサイト」から、簡易的なWebサイトを作成することもできます。

・競合他社の違反行為を報告

Google マップでは、ユーザーが情報の修正を提案することができます。仮に競合他社のビジネスで店名にキーワードを設定しているなど違反行為がみられた場合、ユーザーとして報告することで、公正な競争を促すことができます。

また、競合他社とは少し異なりますが、Googleは悪質なMEO対策などを行う事業者を報告する窓口も開設しています。MEO業者に悩まされている場合はGoogleに報告するのがよいでしょう。

4. 口コミ管理・分析など

常に新たな口コミが投稿され続ける仕組みになるよう、口コミ投稿を促進します。口コミを直接依頼したり、QRコードを印刷して設置したりといった手法が有効です。

お客様が行きたいと思うようなオススメコメントの入った口コミ(高評価で、文章が長く具体的な口コミ)を多く集めることを目指します。

口コミがたくさん集まったら、口コミに返信していきます。

    高評価な口コミには、感謝の意を伝えるとともに、次回来店時にオススメする情報も加えましょう。リピーターにつながりやすくなります。

      低評価な口コミが入ると落ち込んでしまうかもしれませんが、的確な批判はユーザーにとっても店舗にとってもありがたいものです。真摯に謝罪しつつ、誤解があれば訂正するなどして返信します。

        ※口コミの内容が誹謗中傷など悪質なものであったり、店舗と関係のない内容であったりするのであれば、プラットフォーム側に報告しましょう。Googleのほか、食べログなどでも報告を受け付けています。

        ただし高評価な口コミが投稿され続けるようにするには、提供する商品・サービスがお客様のニーズを満たしている必要があります。

        「高評価な口コミが表示されている→ユーザーに選ばれ、来店してもらえる→サービスに満足してもらえる→高評価な口コミを投稿してもらえる」という理想的な循環を目指すため、口コミを分析したりアンケートを収集したりして、店舗の改善へ活かしましょう。

        口コミはユーザーが参考にするものであると同時に、店舗にとっては貴重な「お客様の声」です。口コミの評価や件数の推移を見たり、内容を分析したりすることでサービスの改善につながるヒントが得られます。

        5. 施策の効果検証

        経路検索の回数、電話回数などが上がったかどうかを、施策前と施策後、そして施策を行っている店舗と行っていない店舗の2軸で検証します。

        たとえばGoogle マイビジネスのインサイトでは以下のようなデータが確認できます。

        • ビジネスの表示回数
          マップでの表示回数と、検索で表示された回数が確認できます。マップでの表示は、ユーザーが「ただ近くを通った」だけでもカウントされてしまうため、検索で表示された回数を見ておくのがよいでしょう。
        • 直接検索/間接検索
          直接検索は「店名で検索された回数」間接検索は「店名以外、つまり『飲食店』といった一般的なワードで検索された際に表示された回数」
        • 検索されたデバイス(PC or モバイル)、検索されたツール(Google検索 or マップ)
        • Webサイトへのアクセス数
        • 経路検索の回数
        • どの地域から経路検索されたか
          インサイトでは「ルートのリクエスト」と表示されています。
        • 電話の回数
        • メッセージの数
        • 検索クエリ
          ユーザーがどのようなワードで検索したかを指します。
        • 写真の閲覧回数
        • 投稿された写真の枚数

        なお先述した通り、順位を基準にするのは難しいと考えられますが、順位をチェックできるツールも存在します。以下は無料で順位をチェックできるツールをまとめた記事ですのでご覧ください。

        この記事を書いた「口コミラボ」さんについて

        「口コミラボ」は、様々な地図アプリ・口コミサイトの監視、運用、分析を一括管理できる店舗向けDXソリューション「口コミコム」が運営する店舗ビジネス向け総合メディアです。近年、企業の評判管理が重要視されるなか、特に注視すべきGoogleマイビジネスを活用したローカルSEO(MEO)や口コミマーケティング、それらを活用した集客事例から、マーケティング全般、店舗経営のハウツー、業界動向データにいたるまで幅広い情報を紹介します。

        口コミラボ
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        eコマース取扱高は8172億円で15.5%増、ショッピング事業は3808億円【Zホールディングスの2021年4-6月期】

        4 years 4ヶ月 ago

        Zホールディングスの2021年4-6月期(第1四半期)におけるEコマース取扱高は、前年同期比15.5%増の8172億円だった。

        Eコマース取扱高のうち物販系は6908億円で同5.7%増。ショッピング事業の取扱高は同0.4%増の3808億円。リユース事業の取扱高は同13.1%増の2283億円だった。「ヤフオク!」の客単価向上や、「PayPayフリマ」の堅調な拡大で2ケタ成長を達成した。

        ヤフーなどを傘下に抱えるZホールディングスの2021年4-6月期(第1四半期)におけるEコマース取扱高などについて
        Eコマース取扱高について(画像はZHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

        ZホールディングスのBtoCコミュニケーションインフラとして、「LINE公式アカウン」を全面的に導入。ショッピング事業の出店者への導入を進めており、7月28日時点で1万3773店舗が申し込んでいる。

        ヤフーなどを傘下に抱えるZホールディングスの2021年4-6月期(第1四半期)におけるEコマース取扱高などについて LINE公式アカウントの拡大施策
        LINE公式アカウントの拡大施策(画像はZHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

        ヤマトホールディングスとの連携を通じて配送品質を改善、ユーザー体験の持続的向上をを進めている。出荷遅延率や受注から出荷までの速さなど、ヤフーの定める一定基準を満たした商品に「優良配送」ラベルを付与(商品お届け日が最短当日~2日以内、出荷遅延率が5%未満のストア)する取り組みでは、6月時点の取扱高に占める「優良配送」比率が、2021年2月開始時期と比較して約1.2倍となった。

        ヤフーなどを傘下に抱えるZホールディングスの2021年4-6月期(第1四半期)におけるEコマース取扱高などについて ヤマトホールディングスとの連携
        ヤマトホールディングスとの連携について(画像はZHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

        「LINE」を通じて友だちにさまざまなプレゼントを贈ることができる「LINEギフト」サービスは取扱高が急速に拡大。5月の「母の日」キャンペーンが奏功し、「LINE」ギフトの取扱高は前年同期比203%増だった。

        ヤフーなどを傘下に抱えるZホールディングスの2021年4-6月期(第1四半期)におけるEコマース取扱高などについて LINEを活用したソーシャルコマースなど
        LINEを活用したソーシャルコマースなど(画像はZHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

        7月28日からはアスクル、出前館と協働し、日用品などの即配サービス「PayPayダイレクト by ASKUL」の実証実験を開始。取扱商品の拡大や他地域・他サービスでの展開を検討する。

        ヤフーなどを傘下に抱えるZホールディングスの2021年4-6月期(第1四半期)におけるEコマース取扱高などについて 即配サービス「PayPayダイレクト by ASKUL」の
        即配サービス「PayPayダイレクト by ASKUL」について(画像はZHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

        第1四半期におけるコマース事業の売上収益は同11.8%増の1959億円、調整後EBITDA(税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益)は同14.6%減の354億円。コマース事業の売上収益が全売上収益に占める割合は52.5%。

        石居 岳
        石居 岳

        日本発D2C企業の代名詞「FABRIC TOKYO」が実践してきた「LTVを最大化する方法」 | 『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する』ダイジェスト

        4 years 4ヶ月 ago
        『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する 』(インプレス刊)第4章より(第1回)

        D2Cにとっての最重要指標はLTV(Life Time Value)。LTVとは顧客生涯価値を意味します。顧客が長期にわたり商品やサービスを使い続ける可能性を表し、かつ収益性が高いかどうかを測る指標です。またこれは、ブランドのWHAT(提供価値)を考えていく際の指標にもなります。

        商材の購買頻度を把握する

        LTVの計算式

        LTV=平均購買単価×購買頻度×継続購買期間×限界利益率(または粗利率)

        このうち、平均購買単価と購買頻度を掛け合わせると、ユーザー1人あたりの平均売上金額を把握することができます。これをARPU(Average Revenue Per User)と言います。

        ARPUの計算式

        ARPU=平均購買単価×購買頻度

        LTVを算出するための前提として、ARPUの想定は必須です。例えば、FABRIC TOKYOの事例としてスーツで考えれば次のようになります。

        あるべきARPUの想定(スーツの場合)

        平均購買単価:5万円
        購買頻度:1年間平均1.5回
        1年間のARPU:5万×1.5=7万5000円

        平均購買単価を5万円、購買頻度を年間平均1.5回とすると、1年間のあるべきARPUとして7万5000円が導き出されます

        あるべきARPUを目標にする

        D2C立ち上げ時のスタートとしては、まずは1年間のあるべきARPUを目標として、LTVの最大化を図っていくべきと考えます。このARPUから導き出されたLTVのユニットエコノミクスが成立しないと、そもそも商材選びからやり直す必要があるため注意が必要です。

        ユニットエコノミクスが成立していない場合、商材を変更するか、立ち上げ時からある程度様子見した時点で、周辺領域のクロスセル商材等を想定しておく必要があるでしょう。

        また当然、この数値は商材のARPUの最大値なので、購買頻度が実際にどうなるかは、サブスクリプションサービスでない限り、サービスを開始して一定期間を経ないとわかりません。立ち上げ初期に、どの程度の期間で、どの程度のリピート率になるのか検証する必要があります

        スーツの場合は、商品到着直後にリピートする顧客が多かったため、平均の購買サイクルは1年程度ですが、半年も経過すればどの程度の購買頻度になるのか想定できました。そして、必ずあるべきARPUとの差分ができるので、その差分は何なのかしっかりとユーザーヒアリングを実施して、リピートを妨げているハードルを特定し、サービスの改善につなげるところまで行うのがお勧めです。

        クロスセルのARPUの想定

        立ち上げ初期に、周辺領域のクロスセル商材がある場合は、それとミックスしたARPU、およびミックスした場合のあるべき購買サイクルも準備する必要があります

        例えばFABRIC TOKYOでは、立ち上げ初期からシャツも販売していました。

        あるべきARPUの想定(シャツの場合)

        平均購買単価:1万円
        購買頻度:1年間平均3回
        1年間のARPU:1万×3=3万円

        こちらも平均購買単価を1万円、購買頻度を年間平均3回とすると、1年間のあるべきARPUとして3万円が導き出されます。つまり、先のスーツと合算すると、1年でのクロスセル合計のあるべきARPUは10万5000円となります。

        その上で、表4-1のように初回購入から1年間のクロスセルも想定した、購買頻度の仮説を準備し、それに対して検証を繰り返すと良いでしょう。

        クロスセルの購買頻度の例
        表4-1 クロスセルの購買頻度を想定

        あるべきARPUに到達することは、立ち上げ初期にはまずないため、焦らずに原因を追及しましょう。また、あるべき値を設定せず、いたずらにARPUを上げようとすると、顧客にとって購入タイミングがないのに、買い増しを促し続ける訴求になってしまうことになります。

        買い増しを促すことは簡単ではなく、なかなかARPUは上がりません。「今だけ安い」「期間限定」などのCall to actionを付けることで、購入タイミングへ切り替える訴求をし続けることになりかねません。顧客が購入する量には限界があるのであって、顧客の財布は他商材との争奪戦ですので、注意が必要です。

        あるべきARPUになっていないということは、必ずそこにユーザーペインが存在します。それを解消してこそ、LTVの最大化という土台にやっと乗せられるのです。

        コホートによるリピート率を管理する

        コホート分析にはCPM(Customer Portfolio Management)、RFM(Recency Frequency Monetary)など様々な手法がありますが、ここでは、D2C向けのリピート率管理手法として、FABRIC TOKYOで実施しているリピート率の管理手法を説明します。

        弊社では1回目のリピートをするかしないかが、その後のLTVを左右するキードライバーになっているため、1回目のリピート率とリピート平均購入回数を全体として管理しています(図4-1)。

        期間ごとのリピート率の例
        図4-1 期間ごとのリピート率

        また、スーツで言うと、1年に1回の購買が多数を占めるため、1年を1つの測定の区切りとしています。そして、1年目のリピーターが、2年目、3年目へ遷移しているかどうかを観測していきます。

        先ほど説明した1年でのあるべきARPUや2年目以降でのあるべきARPUなど、どの程度ギャップがあるのかどうか差異を特定し、対策を講じていきます。商材の購買頻度などにより、1年でなくても3ヶ月や6ヶ月など測定の経過単位が異なるかと思いますが、目安としては顧客獲得コストの投資回収期間、購買頻度等により適切に設定してください

        また、FABRIC TOKYOでは全体のリピート管理としては、2回目以降のリピートを平均購入回数としてまとめていますが、図4-2のように2回目、3回目のリピート率などを細かく管理するのも良いかと思います。どこがLTVを上げるボトルネックとなっているのかがわかってきて、またどこのリピート回数を超えるとその後LTVが伸びるかがわかると思います。

        回数ごとのリピート率の例
        図4-2 回数ごとのリピート率

        さらに、図4-3のように、1年目、2年目、3年目など継続率を追っていくと長期でのリピート率を把握していくのも良いと思います。

        1年ごとのリピート率の例
        図4-3 1年ごとのリピート率

        また、筆者が参考にしているコホート管理のサンプルも以下にURLを参考に掲載します。

        グロースの前のバケツの穴を埋める

        スタートアップの業界ではよく言われることですが、D2Cにおいても、マーケティング投資を加速する等グロースのフェーズに入る前に必ず、LTVを上げて投資対効果が合う状態を作りましょう

        特にD2Cではもの売りがLTVの中心になりますので、サブスクリプションサービスでない限り、LTVのトラックレコードも当該期間を経過しない限りは、蓋然性が高まりません。こちらは第6章で詳しく説明します。

        商材の購買頻度にもよりますが、適切なLTVの検証期間として、適切な期間を設定し、マーケティング投資などの投資対効果が合うのかどうか検討しましょう。

        FABRIC TOKYOでは、商材の購買頻度の特徴から、3年程度をLTVの検証の目安としています。スーツであれば1年に1回が50%程度を占めているので、1年での投資回収を目標としており、さらに2~3年での購買頻度のさらなる継続性、及び2~3年に1回のリピートでの購買戻りを考慮して決定しています。

        当然、他商材の購買頻度やクロスセルの構成率によっては、短期で見ることも可能でしょうが、FABRIC TOKYOではサービスインしてから、3年程度はグロース投資(マーケティング投資や店舗出店投資等)をしてきませんでした。それまでは、ほとんどLTVに関する投資で、バリューチェーンを磨くものだけに投資してきました

        D2Cではここを見誤ると、焼き畑な投資となり、損益分岐点がどんどん遠くなってしまいます。スタートアップの死の谷からなかなか抜け出せなくなるため、注意が必要です。

        タッチポイントの最適化がLTV最大化の鍵

        あるべきARPUを最大化し、適切な訴求をしていくためには、ユーザーペインの解消と顧客の購入タイミングの想定が肝心です。

        当然、顧客の購入タイミングを具体化するには、顧客インサイトからの濃密なストーリーとペルソナの想定があってはじめて作成できるものなので、不安な方は第3章をもう一度読み返してみてください。年間を通した詳細な見取り図をスケジューリングできれば、顧客獲得だけでなくリピーターの訴求にも役に立ちます

        ただし、リピーターに対する訴求としては、初期的にはメルマガやSNS等が中心になることが多いと思いますが、常にオンラインでのタッチポイント(顧客接点)が最適であるわけではありません。紙媒体のDMやカタログ、はたまた店舗での体験なども、顧客へのリーチを最大・最適化し、顧客の購入するきっかけを捉えるチャネルになります。適切なタイミングとチャネルを見極めた訴求をするためにも、顧客の購入タイミングの具体化は必須とも言えます。

        また、顧客の購入タイミングが年間を通して非常に少ないD2Cブランドもあるでしょう。第3章でも説明したキャスパーのマットレス、アウェイのスーツケース、ワービーパーカーの眼鏡なども、顧客の購入タイミングが非常に少ない商材でもあります。そのため、購入タイミングの間をつなぐ、サービスやコンテンツとしてのタッチポイントが非常に重要になります。

        FABRIC TOKYOが運営するコンテンツメディア「はたら区」は、まさにそれに当たります。また、アウェイは自社について旅を提案する会社と位置づけ、紙雑誌「HERE」を発行していたり、キャスパーは睡眠やウェルネス関連のコンテンツを雑誌「WOOLY」で発信したりしています(図4-4)。デジタルネイティブブランドにもかかわらず、購入以外のリアルな顧客接点を随所に設けています。どちらもハイクオリティで読み応えがあり、デザイン性も高いものです。

        このように、顧客の購入タイミング以外に、随所にサービスやコンテンツを用意すると顧客のエンゲージメントが高まります。これはD2Cの特徴でもある、「ものを売るだけでなく、顧客体験を提供する」という根本的な部分を表していると言えます。

        ※この記事は『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する』(インプレス刊)の一部を編集し、公開しているものです。

         

        リテール・デジタルトランスフォーメーション
        D2C戦略が小売を変革する

        日本発D2Cブランドの代名詞とも言われる「FABRIC TOKYO」が、D2Cによる小売推進・変革のための事業戦略を徹底解説する1冊。

        小売業のDX化を推進する活動を背景に、D2Cの基礎知識、世界観の作り方、オンラインとオフラインの融合(OMO戦略)、マーケティング戦略、組織運営、さらにその先の未来の話(RaaS)まで、具体的な事例やデータを盛り込みながら解説します。

        DX化が遅れている中小の小売メーカー、ECのビジネスモデル転換を図りたい中小経営者、D2Cの考え方やノウハウを事業戦略に取り入れたい方、モノづくりの分野でスタートアップを始めたい方などに、課題解決のヒントを提示します。

        リテール・デジタルトランスフォーメーション
D2C戦略が小売を変革する 表紙

        リテール・デジタルトランスフォーメーション
        D2C戦略が小売を変革する

        三嶋憲一郎/FABRIC TOKYO 著
        インプレス 刊
        単行本(ソフトカバー)2,200円
        電子書籍(Kindle版)1,980円
        この本をAmazonで購入

        筆者登壇情報

        この『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する』の筆者、三嶋憲一郎氏が、8月18日に開催されるインプレス主催のオンラインイベント「ネットショップ担当者フォーラム2021夏 〜リピート客作り、ファンを増やすネットマーケティングのコツ〜」に登壇いたします。

        テーマは「D2Cを成功させるには? 「FABRIC TOKYO」の失敗・成功事例に学ぶ成長のヒント」。聴講は無料です。下記のバナーからお申し込みください。

        三嶋 憲一郎
        三嶋 憲一郎

        ビームスが次世代スター社員の発掘&新商品企画の公募で「Makuake」を活用する理由【マクアケグランプリ2021を取材】

        4 years 4ヶ月 ago

        セレクトショップのビームスは、所属部署や勤続年数の枠組みを超えて新商品企画を社内で公募するプロジェクト「マクアケグランプリ2021」を2021年4月からスタートした。最終審査を通過したアイデアは、商品化実現に向け、オンラインプラットフォームの応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」の活用機会を得る。

        6月に都内で行われた、全応募者の中から最終審査に選ばれた15案の企画の中から「Makuake」でのプロジェクト挑戦権獲得者を決定する「マクアケグランプリ2021」の模様を紹介する。

        設楽社長が語る「マクアケグランプリ2021」の実施目的とは

        ビームスはリアルタイムに消費者ニーズを知ることができる場として「Makuake」に着目し、2020年12月からマクアケと業務提携を開始。「Makuake」を通じてビームスの新商品発表や共催イベントなどを中長期的に実施している。

        「Makuake」内に設置したビームス専用ページでは既に複数のプロジェクトを行っており、「マクアケグランプリ2021」は次なる取り組みとなる。

        「マクアケグランプリ2021」冒頭で挨拶したビームスの設楽洋代表取締役社長は、グランプリ開催の背景と期待を次のように説明した

        次の時代のスターを育て、常にファンに愛されるブランドで居続けるために、ファンが応援購入する「Makuake」のシステムがマッチしていると感じた

        グランプリを通じて、新しい時代のディレクターが生まれる可能性がある。時代に寄り添い、突き抜けていく人材を発見していきたい。「マクアケグランプリ2021」は、次の時代のスター、次の時代のBEAMSを作っていくプロジェクトだ。(設楽氏)

        マクアケ Makuake ビームス マクアケグランプリ2021 ビームス代表取締役社長の設楽洋氏
        「マクアケグランプリ2021」冒頭で実施の意図を語るビームスの代表取締役社長 設楽洋氏

        全社員にチャレンジ機会。「Makuake」を活用し、新しいキャリア育成につなげる

        「マクアケグランプリ2021」はビームス全社員を対象とし、所属レーベルや部署、勤続年数の垣根を越えて、新商品の企画提案を公募するプロジェクトだ。

        2021年4月に告知・募集を始め、審査を通過した起案者が6月上旬、設楽社長も参加する最終審査の場でプレゼン。最終的に選考に残った企画は8月以降、「Makuake」でのプロジェクト始動に向け、Makuakeによる全面サポートの元、起案者となる社員が中心となり準備を進めて行く。

        マクアケ Makuake ビームス マクアケグランプリ2021
        「Makuake」の仕組みを活用した社内公募プロジェクト「マクアケグランプリ2021」

        プロジェクトを通じて発案者は消費者のニーズに向き合い、普段の所属部署での役割を超えて自身の思いを自由に提案・企画することができるため、将来のスター社員発掘の機会として期待されている。

        また、採用された起案者は、商品やブランド作りの全工程やPR、運営などすべての行程に責任者として携わるため、新しいキャリア育成の場にもなる

        マクアケは、「Makuake」への商品掲載だけでなく、企画選出における審査から専任キュレーターによる各プロジェクトのコンサルティング、マーケティング、PRサポートなどプロジェクトの全行程を支援する

        社員の自由な思いを企画・発表

        グランプリ選抜イベント当日は、計10組の起案者が各自3分間の持ち時間の中でプレゼンを実施。ビームスのブランドディレクター3人と、マクアケの取締役、キュレーター2人の計6人が審査員を務めた。より多角的に審査が行えるよう、さまざまな役割を担うメンバーを起用した。

        子どもに物作りの楽しさを知ってもらう「知育玩具ふくパズル」

        ビームスのユニフォーム課に所属し、普段から企画生産を担当している穂積優さんが起案したのは「知育玩具ふくパズル」。マジックテープがついた洋服のパーツをパズルのように組み合わせ、1着の洋服を作るという商品で、4~6歳を対象年齢としている。

        小学校・中学校の家庭科の授業で制作するエプロンなどの柄がもっとオシャレで、かつ自分で選べたら、洋服を作ることやファッションの楽しさに気づけるのではないか、という考えから着想を得た。

        穂積さんはこの商品のポイントについて、「自分で作った服が着られること」だと説明する。「作るだけでなく着心地やスタイリングを楽しむことで、『物作りは楽しい』と思ってもらいたい」(穂積さん)。将来的には小中学校の教材として提案を行っていきたいという。

        マクアケ Makuake ビームス マクアケグランプリ2021 知育玩具ふくパズルの起案者 穂積さん
        「知育玩具ふくパズル」の起案者 穂積さんのプレゼンのようす

        コミュニケーションのきっかけにもつながる「BEAMS BEER」

        「BEAMS BEER」は、デイリーユースのデザイナー担当の中塩敬恵さんによるアイデアだ。もともと、ビールは苦いと感じていた中塩さん。クラフトビールの魅力を知ったことで生活が豊かになり、ビールを通して人とのコミュニケーションが活性化したことが商品企画のきっかけだ。

        コロナ収束後に友人たちと会えるようになった時、「BEAMS BEER」で人々に笑顔を届けたいと考えている。

        商品化が実現した暁には、商品の販売だけでなく、醸造所での体験を通してビールに触れる機会の創出やコラボ商品作りで、コラボ先の売上向上にも貢献したいと意気込みを語った。

        マクアケ Makuake ビームス マクアケグランプリ2021 BEAMS BEER発案者の中塩さん
        「BEAMS BEER」の起案者 中塩敬恵さんのプレゼンのようす

        起案者の中には、1人で2案以上発表する人やペアで発表する人もいた。

        マクアケ Makuake ビームス マクアケグランプリ2021 ペアでプレゼンのようす
        サウナ好き社員2人が、サウナで使える商品アイデアについてプレゼンしているようす

        審査基準は①審査員が純粋に「施策を応援したい」と思えるか ②ビームスの方向性に合致するかの2つが主なポイントとなり、特に1つめに比重を置いている。審査の結果、次の6組が最終審査通過者となった。

        1. 「BEAMSのKANREKI」/五味川尚さん
        2. 「知育玩具ふくパズル-うみのなかまシリーズ-」/穂積優さん
        3. 「災害常備服 移動空間リュック」/穂積優さん
        4. 「BEAMS BEER」/中塩敬恵さん・松原知也さん
        5. 「TSUNAGU PAJAMAS」/竹村潤さん・藤田佳大さん
        6. 「ミンサーGUAYABERA」/謝花勇輝さん
        マクアケ Makuake ビームス マクアケグランプリ2021
        「マクアケグランプリ2021」最終審査通過者たち(中央)とビームス代表取締役社長の設楽洋氏(右)、同社取締役副社長の遠藤恵司氏(左から2番目)、マクアケ 共同創業者/取締役の坊垣佳奈氏(左)(画像はマクアケ提供動画から編集部がキャプチャ)

        今後は上位6組分の商品サンプル作成や撮影を行い、8月以降に「Makuake」で掲載を開始。目標金額を達成し商品化が実現したプロジェクトに関しては、今秋以降、順次応援購入したサポーターに商品を発送する予定だ。

        藤田遥
        藤田遥

        ヤッホーブルーイングがECサイト「よなよなの里」を刷新、ネット通販と定期購入サービスを1つのサイトに集約

        4 years 4ヶ月 ago

        クラフトビール「よなよなエール」などのヤッホーブルーイングは7月、ECサイト「よなよなの里 | よなよなエール公式通販」を刷新した。

        個別で運用していたネット通販、定期購入ビールサービスを1つのECプラットフォームに集約。消費者は「よなよなの里」へログインするだけで、すべてのサービスを利用できるようにした。

        「よなよなの里」はEC機能のほか、読み物コンテンツ、イベント情報の発信など「お客さまの体験を作る場」の役割う。ファンとのエンゲージメント向上施策やCRM強化が行いやすい環境へ移行するためにリニューアルしたという。

        ECプラットフォームには、ecbeingのECサイト構築パッケージ「ecbeing」を採用。ecbeingのグループ会社であるエートゥジェイが提供する国産CMS「SiteMiraiZ(サイトミライズ)」を導入し、読み物コンテンツなどの更新作業を簡易的に行えるようにした。

        クラフトビール「よなよなエール」などのヤッホーブルーイングは、ECサイト「よなよなの里 | よなよなエール公式通販」を刷新
        国産CMS「SiteMiraiZ」の導入で読み物コンテンツなどの更新が容易になった

        公式通販サイト「よなよなの里」に導入された機能のポイント

        「よなよなの里」は、毎月1ケース(または2か月に1回1ケース)を8~9種類のクラフトビールから1本単位で選べる定期宅配サービス「ひらけ!よなよな月の生活」を展開している。サイト刷新を機に、以下のような機能を追加した。

        クラフトビール「よなよなエール」などのヤッホーブルーイングは、ECサイト「よなよなの里 | よなよなエール公式通販」を刷新
        「ひらけ!よなよな月の生活」はビール定期宅配サービス

        定期コースの種類を新設し加入ハードルを緩和

        リニューアル以前は契約期間が1年の「年間コース」のみだったが、3回目の受け取り以降はいつでも解約できる「お気軽コース」を新設。気軽に「ひらけ!よなよな月の生活」を体験できる環境を整えた。

        「2か月ごと24缶」「毎月24缶」「毎月48缶」の3パターンから選べる。また、配送タイミングは上旬、中旬、下旬それぞれ最大10日間から選べるようにした。

        クラフトビール「よなよなエール」などのヤッホーブルーイングは、ECサイト「よなよなの里 | よなよなエール公式通販」を刷新
        「毎月48缶」を選んでいる画面

        初回のお届け先と日時を選択でき短期間でビールをお届け

        新規申込後、初回のビール選択から配送までのリードタイムを従来から大幅に短縮。ビールを選ぶワクワク感そのままに商品を配送するとしている。

        お知らせの通知をLINE配信

        LINE連携で、ビールの選択期間開始などの通知をLINEで受け取ることが可能。LINEによる通知のON/OFFは、マイページから設定できる。

        クラフトビール「よなよなエール」などのヤッホーブルーイングは、ECサイト「よなよなの里 | よなよなエール公式通販」を刷新
        お知らせの通知をLINE配信する
        瀧川 正実
        瀧川 正実

        「Amazonパンドリー」8/24サービス終了/「メルカリShops」プレオープン【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

        4 years 4ヶ月 ago
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        1. アマゾンが「Amazonパントリー」を8月にサービス終了

          「Amazonパントリー」は食品・日用品などを必要な分だけ購入できるサービスで、日本では2015年にスタートした

          2021/7/30
        2. 「メルカリShops」がプレオープン! ショップなので法律順守が必須。禁止行為にもご注意を【ネッ担まとめ】

          ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年7月26日〜8月1日のニュース

          2021/8/3
        3. ビックカメラ、関東1都3県&大阪府の一部エリアへの配送業務をファイズトランスポートサービスへ委託

          ビックカメラがメインに利用している委託配送会社は佐川急便。一部商品で日本郵便などを活用している

          2021/7/30
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          「千趣会の独自性」「ユニークな個客データベース」「ビジネスパートナー」の掛け合わせて差別化した顧客体験価値を創造するという

          2021/8/3
        5. アスクルがライトワンマイルに新たな電気自動車を導入、再生可能エネルギーの利用率は38%に拡大

          アスクルは2030年までに、グループ全体での電力使用量について再生可能エネルギー利用率100%にすると宣言している

          2021/8/2
        6. 2020年のBtoC-EC市場規模は19兆円。物販系は21%増の12兆円、EC化率は8.08%

          2020年の日本国内における消費者向けEC市場規模は19兆2779億円で前年比0.43%減。物販分野を対象としたBtoC-ECにおけるEC化率は8.08%で同1.32ポイント増

          2021/8/4
        7. EC売上250億円(2023年度)をめざすエイチ・ツー・オー リテイリングの中期経営計画とは

          エイチ・ツー・オー リテイリングは、2021年3月期に84億円だったEC売上高を、中計最終年度は約3倍となる250億円を目標としている

          2021/8/2
        8. 千趣会がオークネットと協業、二次流通サービスを通じてベルメゾン会員向けに新しい価値を提供

          まずは「ベルメゾン」会員を対象とした買い取りサービスを展開。流通先情報のフィードバックによる循環型社会への貢献の可視化、顧客が次に必要とする商品の買い取り情報に基づいたレコメンドなどに着手していく予定

          2021/7/30
        9. 大規模ECサイトでやるべき広告施策① 「スマートショッピングキャンペーン」の使い方と売上拡大に必須の設定

          「SEO」「広告」、2つの視点から語る、EC事業者のためのデジタルマーケティング講座。業態別広告施策解説「DB型大規模ECサイト編」【連載第6回】

          2021/8/4
        10. 多重下請け構造の印刷業界、直接取引で風穴を開けたラクスルの印刷DXとは?

          全国にある印刷機の非稼働時間をシェアするプラットフォームを運営するラクスル。いま取り組むDX生産性革命とは?(連載第1回)

          2021/8/4

          ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

          内山 美枝子

          ベルーナがアパレルEC「Pierrot」のセレクトを買収

          4 years 4ヶ月 ago

          カタログ通販大手のベルーナは8月3日付で、レディースアパレルECを展開するセレクトの全株式を取得し子会社化した。

          セレクトは、30代女性を中心に幅広い年齢層に支持されているアパレルECサイト「Pierrot(ピエロ)」を運営。自社サイトのほか、「楽天市場」「ZOZOTOWN」「Yahoo!ショッピング」など、各大手ECモールサイトでもECビジネスを展開している。

          また、ベルーナが運営する「RyuRyuモール」でも人気のショップとなっている。

          カタログ通販大手のベルーナは8月3日付で、レディースアパレルECを展開するセレクトの全株式を取得し子会社化
          アパレルECサイト「Pierrot(ピエロ)」(画像は編集部がキャプチャ)

          セレクトの全株式取得は、ノウハウ共有、グループ内への商品供給、集客連携などを通じて、ベルーナグループの企業価値向上につながると判断した。

          セレクトの2020年6月期売上高は15億3400万円。2021年3月にGCJG4株式会社(SPC)と合併、存続会社であるGCJG4がセレクトに商号変更した。

          アパレルECの買収を巡ってベルーナは2020年10月、「KOBE LETTUCE/神戸レタス」を運営するマキシムの全株式を取得し、子会社化すると発表したものの、2020年11月にマキシムの親会社であるC Channel(Cチャンネル)と締結した株式譲渡契約を解除すると発表している。

          ベルーナはC Channelが最終的なクロージング条件を整えることができなかったため、株式譲渡契約の解除に至ったしていた。

          石居 岳
          石居 岳

          中国・米国向け越境EC市場は約3兆円で14%増。中国向けは約2兆円、米国向けが約1兆円

          4 years 4ヶ月 ago

          経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2020年の中国・米国向け越境EC市場は前年比14.2%増の2兆9266億円だった。

          内訳は米国向け越境ECが同7.7%増となる9727億円、中国向けが同17.8%増の1兆9499億円。

          経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 日本・米国・中国 3か国間の越境EC市場規模
          日本・米国・中国 3か国間の越境EC市場規模

          消費国としての米国の越境BtoC-EC(日本・中国からの購入)の総市場規模は1兆7108億円で同9.9%増。このうち、日本からの購入額規模は9727億円、中国経由は7382億円(同12.9%増)。

          消費国としての中国の越境BtoC-EC(日本・米国からの購入)の総市場規模4兆2617億円で同16.3%。このうち、日本からの購入額規模は1兆9499億円(同17.8%増)、米国経由は2兆3119億円(同15.1%増)。

          経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 日本・米国・中国 3か国間の越境EC市場規模
          消費国としての日本・米国・中国3か国の越境EC市場規模

           

          瀧川 正実
          瀧川 正実

          法人取引のBtoB-EC市場規模は334兆円で5%減、EC化率は33.5%。「小売」「建設・不動産業」「情報通信」で規模拡大【2020年】

          4 years 4ヶ月 ago

          経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、BtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は334兆9000億円で前年比5.1%減だった。

          財務省が公表した法人企業統計によると、多くの業種で2020年のBtoBの商取引市場規模が2019年比で減少。その影響を受け、BtoB-ECも市場規模が縮小した。

          BtoB-EC市場規模の業種別内訳における「その他」を除いたEC化率は、2019年比で1.8ポイント増の33.5%。

          「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 2020年のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は334兆9000億円 前年比5.1%減
          BtoB-ECの市場規模推移

          業種別内訳を見ると、「小売」「建設・不動産業」「情報通信」の業種では、2019年に比べて、2020年のBtoB-EC市場規模が増加している。

          BtoB-ECの業種別トピック

          製造:食品

          「食料品製造業」の総売上高について、2020年は41兆8353億円で2019年比6.7%減。総売上高の減少に伴いBtoB-EC市場規模は26兆4672億円で同0.5%減となった。外出自粛の広がりで、消費者による外食やホテル利用が減少、業務用食品市場規模などが縮小し、商取引市場規模が減少した。

          ただ、EC化の動きは加速し、EC化率は2019年比で4.0ポイント増の63.3%。ECによる取引は今後広がっていくことが予想されるとしている。

          製造:産業関連機器・精密機器

          2020年の法人企業統計データによると、製造:産業関連機器・精密機器全体の総売上高は、2019年が47兆9451億円で、2020年は41兆7194億円と減少している。業種により新規設備投資の抑制や減産の動きがあり、産業関連機器・精密機器の需要が低迷した。BtoB-EC市場規模は、15兆9623億円で同5.2%減、EC化率は38.3%。

          製造:鉄・非鉄金属

          2020年の法人企業統計データによると、鉄・非鉄金属業全体の総売上高は2019年に55兆8073億円、2020年は50兆408億円で推移している。売上高の縮小でBtoB-EC市場規模は20兆2892億円で同4.6%減。一方、EC化率は40.5%と増加した。

          情報通信

          2020年の法人企業統計データでは、2020年に72兆2944億円で同1.3%減。2020年のBtoB-EC市場規模は、15兆1685億円で同4.0%増、EC化率21.0%。

          卸売

          2020年の法人企業統計データによると、2020年の総売上高は301兆91億円で同15.5%減。BtoB-EC市場規模は92兆944億円で同10.3%減だったが、EC化率は30.6%と増加した。

          「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 2020年のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模の業種別内訳
          市場規模の業種別内訳

           

          瀧川 正実
          瀧川 正実

          流通総額600億円めざす家具EC「LOWYA」のベガコーポレーション、テレビCMやホームファッション化など今後の戦略

          4 years 4ヶ月 ago

          家具のECサイト「LOWYA」を運営するベガコーポレーションは、2021年4月から5か年の展望をまとめた中期事業方針で、GMV(流通総額)を500~600億円規模まで高まる方針を掲げている。

          ベガコーポレーションの中期経営計画
          GMV目標について(ベガコーポレーションが公表したIR資料から編集部がキャプチャ)

          家具のネット通販「LOWYA」事業のビジョンは「インテリアを、自由きままに。」。5か年のコンセプトとして、「お客様のニーズを叶える徹底したCX強化」を掲げている。会員数および1人あたりのLTV(顧客生涯価値)という2つのポイントを示し、集客・品ぞろえ・サービスの拡充を通じてカスタマーエクスペリエンス(CX)を強化していく。

          ベガコーポレーションの中期経営計画
          CXの強化を進める(ベガコーポレーションが公表したIR資料から編集部がキャプチャ)

          集客強化は、プロモーションの強化でアクセス数・会員数を拡大。SEOによる自然流入の強化、Ewb広告による新規ユーザーへのアプローチ、SNSによる新規フォロワーの獲得、テレビCMのテストによる認知度アップによるスケールアプローチを行っていく。

          ベガコーポレーションの中期経営計画
          集客強化について(ベガコーポレーションが公表したIR資料から編集部がキャプチャ)

          品ぞろえの強化は、プラットフォーム化に向けて商品数・品目を拡大。雑貨を充実させてホームファッション化を図る。

          ベガコーポレーションの中期経営計画
          品ぞろえ強化について(ベガコーポレーションが公表したIR資料から編集部がキャプチャ)

          LTVの最大化、顧客ニーズに応えてリピート率を高めるためにサービス強化を進める。。UI/UXの強化、配送の強化、革新的サービスの強化(AR)によって、「LOWYA」が理想とする顧客体験を実現する。

          ベガコーポレーションの中期経営計画
          サービス強化について(ベガコーポレーションが公表したIR資料から編集部がキャプチャ)

          CXの強化により、年間平均成長率は21~26%増で推移する流通取引総額の成長を想定。自社ECの旗艦店での成長率は34~40%増、モールは現状の流通総額を維持しながら成長させる。5年後の流通総額は500億~600億円を描く

          モール・旗艦店などから生み出されるキャッシュフローに加えて、有利子負債も活用し、5か年の展望実現に向けて積極的に投資する。

          MDの拡充とEC化の進展で、ターゲットとなる市場は拡大し、成長余地は十分にあると判断。現状のEC化率は9%だが、中期的にターゲットとなるEC事業は、EC化率が35%に達した時点で市場規模は1兆5000億円+アルファに成長すると見ている。

          ベガコーポレーションの中期経営計画
          ターゲット市場について(ベガコーポレーションが公表したIR資料から編集部がキャプチャ)

          ベガコーポレーションの2021年3月期業績は、売上高が前期比42.3%増の193億1300万円、営業利益は同1467.0%増の18億2400万円だった。

          編集部からのお知らせ

          事業拡大を続けるベガコーポレーション。「LOWYA」事業などのマーケティング責任者である京谷謙吾・執行役員マーケティング統括部統括部長が、8月18日(水)開催のオンラインイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2021 夏」に登壇。「家具インテリアEC『LOWYA』のブランディング事例~売上約200億円、モール依存から自社ECシフトに成功したブランド作り~」と題して講演します。オンラインイベントの詳細は以下のリンクよりご確認ください。

          ネットショップ担当者フォーラム 2021 夏

          家具インテリアEC『LOWYA』のブランディング事例~売上約200億円、モール依存から自社ECシフトに成功したブランド作り~
          石居 岳
          石居 岳

          ECプラットフォームを使う通販サイトを狙う新たなサイバー攻撃「Magecart」とは | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

          4 years 4ヶ月 ago
          サイバー犯罪グループ「Magecart」が進化し、ターゲットを拡大しています。EC事業者は敵を知り、リアルタイムに対抗することが、現在の、そして未知の脅威に対する最善の防御となります

          オンライン通販事業者にとって、最も深刻で大きな金銭的被害をもたらすサイバーセキュリティ上の脅威の1つがサイバー犯罪グループ「Magecart」。数多くのeコマースプラットフォームを使うユーザー達が、「Magecart」の攻撃の危険にさらされています。

          「Magecart」とは

          デジタルスキミング攻撃「Magecart」の名称は、オープンソースのeコマースプラットフォーム「Magento」に由来しています。「Magecart」ギャングと呼ばれるデジタルスキミング攻撃のほとんどは「Magento」が標的です。「Magento」はアプリケーション運用のため、現在でも多くの古いバージョンのアプリケーションが使用されているためです。

          しかし、「Magecart」は現在、「Magento」よりもはるかに大きな存在となっています。2020年12月、研究者たちは、技術的に進化した新しいタイプの「Magecart」攻撃を確認しました。

          Webアプリケーションからクレジットカード情報をスキミングする他の「Magecart」攻撃と同様に設計された新しい攻撃は、多くの一般的なeコマースプラットフォームやコンテンツ管理システム(CMS)を攻撃します。その標的は、「Magento」「WordPress」「Drupal」「Shopify」「BigCommerce」「Salesforce Commerce Cloud」「WooCommerce」などです。

          2019年9月以降に確認された「Magecart」による複数のECサイトへの攻撃概念図
          2019年9月以降に確認された「Magecart」による複数のECサイトへの攻撃概念図(画像はトレンドマイクロセキュリティブログから編集部がキャプチャ)

          デジタル時代のスキミングの脅威「Magecart」

          「Magecart」がデジタルスキミングの対象が幅広いプラットフォームに拡大していることを示す指標として、汎用性の高い攻撃の出現があげられています。

          たとえば2021年5月、「Magecart」がモバイルブラウザやモバイルWebサイトをターゲットにした「MobileInter」と呼ばれる新種のデジタルスキマーの発信源であることが確認されました。「MobileInter」は、多種多様なブラウザでモバイルユーザーを識別する働きをしていました。

          「Magecart」は現在、攻撃対象を増やし、対応可能な市場を拡大しています。問題は、「Magecart」がプラットフォームに依存せず、同じフレームワークやコード言語(PHPやJavaScript)を使用しているあらゆるアプリケーションで動作するように設計されていることです。

          セキュリティチームやWebアプリケーションの運営者は、ECサイトを保護するために、「Magecart」のリスク軽減対策を、顧客の機密情報を保持するすべてのeコマースアプリケーションに適応させなければいけません

          「Magecart」は2015年に登場して以来、Webやモバイルアプリケーションに対する幅広いデジタルスキミング攻撃を包括的に表す言葉になりました。以前は、POS端末やPOSシステムのハッキングにフォーカスされていましたが、過去5年間でスキミングはインターネットやeコマースプラットフォームへと急速に移行しました。現在では、個人情報や金融情報のスキミングのほとんどは、Webやモバイルアプリケーション上で、カードを使わない取引で行われています。

          このような変化により、「Magecart」とデジタルスキミングは、eコマース、金融サービス、旅行、政府機関のサイトにとって、最も深刻で金銭的な被害を与えるサイバーセキュリティ上の脅威の1つとなりました

          サイバー攻撃のイメージ

          「Magecart」の手口

          「Magecart」攻撃では、悪意のあるハッカーが、顧客が機密情報を入力するチェックアウトページやその他のページに、不正なJavaScriptコードである「スキマー」を挿入。また、フォームやページ全体に「スキマー」を差し込み、正規のフォームでは求められていないデータを収集し、フィールドを追加するも場合もあります。

          「Magecart」攻撃のなかには、暗号通貨ユーザーのデータを盗むことに特化した攻撃もあり、高度な技術を使用しても「スキマー」のコードを見たり理解したりすることが難しくなっています。

          多くの場合、「Magecart」の攻撃は、サイト運営者やセキュリティチームがハッキングに気づかないまま、数か月にわたって行われます。「Magecart」は、クライアント側でのみアプリケーションの動作を微妙に変化させるため、ユーザーが見ているものに変更が加えられているかどうかを確認する簡単な方法がありません。

          「Magecart」は、これまでに何千ものWebアプリケーションやモバイルアプリケーションを攻撃することに成功しています。被害者の中には、British AirwaysやMacy'sといった数多くのグローバルブランドが含まれています。

          「Magecart」攻撃は、他のサイバー攻撃と一緒にカウントされるため、オンラインショップやその他の事業者が被る年間コストを、「Megecart」攻撃単体で正確に算出することは困難です。しかし、被害額、修復費用、風評被害などを総合すると、年間数十億ドルに上るでしょう。たとえば、British Airwaysは、「Magecart」攻撃に対する顧客の保護を怠ったとして、2,000万ドルの罰金を支払いました。

          「Magecart」はMagentoを超えてどのように進化するのか

          Webアプリケーションのコードに「スキマー」を注入する「Magecart」攻撃は、コロナ禍で増加、プラットフォームにおける攻撃件数は多いままです。さらに、他のプラットフォームへ攻撃の手を広げるのは決して難しいことではありません。

          「WordPress」「WooCommerce」「Magento」は、主要なアプリケーションコードベースとしてPHPを使用。主要なWebクライアント言語はJavaScriptを使っているように使用言語が重なるため、1つのプラットフォームをターゲットにした攻撃を、別のプラットフォームでも機能するよう、素早く修正することができるのです

          また、「Magecart」の攻撃者たちは、プラグインやサードパーティのアドオンが、他のプラットフォームを侵害するための効率的な方法だと認識しています。悪意の攻撃者は、攻撃のためにプラグインのソースコードリポジトリやビルドプロセスにコードを挿入します。プラグインは通常、eコマースプラットフォームごとに変更されないため、「Magecart」の攻撃コードは、プラットフォームを超えてプラグインにも有効に働く傾向があります。

          「サプライチェーン攻撃」と呼ばれるこのスタイルは、より洗練された犯罪者に好まれており、信頼できるサードパーティを経由して犯罪の道筋を作るため、さらに危険です。サイト運営者は、攻撃されたコードを可視化できない場合もあり、顧客が変化に気づくことで異常を特定しています。

          サイバー攻撃イメージ

          進化する攻撃にどう立ち向かうか

          セキュリティチームが社内にいなかったり、「Magento」以外でeコマースストアを運営している事業者にとっても、「Magecart」によるスキミング攻撃のリスクは、利用するプラットフォームの数を広げていくにつれて高まっています。このような攻撃から身を守るには、「Magecart」の攻撃がどこで行われ、どのような犯罪が実行されているかを、包括的に把握する必要があります。

          「Magecart」のコードが複数のプラットフォームにまたがるようになったことで、プラグインや共有フィールド、あるいは不要なJavaScriptコードを難読化して挿入する手段として有名なファビコンなど、プラットフォームに共通する属性に焦点を当てて攻撃する可能性が高くなります。

          また、「Magecart」の犯罪者は、決済フォームやクレジットカードの要求など、特定の情報を認識できる動作もプログラムします。このように、「Magecart」がより広く普及しているため、より危険なのです。

          Webアプリケーションファイアウォール(WAF)のような基本的なサイバーセキュリティツールでは、「Magecart」の攻撃を防ぐことはほとんどできません。WAFは、インバウンド(サーバ側)の攻撃を防ぎますが、クライアント側の攻撃は防げないのです。セキュリティチームのなかには、Webアプリケーションのコードを静的にスキャンして、変更や異常を特定しているところもありますが、「Magecart」は、動的に提供されるサードパーティのコード(ファビコンなど)を攻撃することでこれを回避します。

          より効果的なアプローチは、コンテンツ・セキュリティ・ポリシー(CSP)を使用して、Webアプリケーションコードが望ましくない動作を実行しないようにすることです。しかし、CSPには大幅なチューニングが必要で、また、信頼されたドメインが侵害されてアプリケーションコードに「スキマー」を挿入された場合には、十分な保護にはなりません。

          さらに、CSPは、許可ポリシーに基づいてドメインとのトラフィック(インバウンドおよびアウトバウンド)を制御することができますが、この方法は、攻撃対象が許可されたドメイン(googleやその他の大手ソフトウェアプロバイダなど)の場合には意味がありません。これらの制限を適用すると、開発者がCSPの修正を忘れたときに、サイトに多くの障害が発生します。

          あらゆるタイプの「Magecart」攻撃を適切に防御するために、セキュリティチームやサイト運営者は、アプリケーションの動作を継続的に分析し(クライアントサイドセキュリティモニタリング)、「スキマー」の存在を示すような些細な異常を特定するソリューションを検討する必要があります。すべての「スキマー」は同じ目的を持っているため、似たような挙動を示す傾向があります。そのため、何十億ものインタラクションを対象に、スキミングの行動と正規のWebアプリケーションの行動を大規模に調査するためには、機械学習の活用が理想的なソリューションとなるでしょう。

          機会学習の技術を使えば、「Magecart」の共通パターンを認識し、アプリケーションの通常動作からほんの少し逸脱している場合でも、検知することができます。アプリケーションの動作をリアルタイムに分析し、過去の動作と比較することで、「Magecart」による攻撃をリアルタイムに特定し、サイト運営者に問題を通知することができるのです。「Magecart」が進化し、ターゲットを拡大していく中で、敵を知り、リアルタイムに対抗することは、現在の、そして未知の脅威に対する最善の防御となります

          この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

          Digital Commerce 360
          Digital Commerce 360

          AIでクレジットカードの不正利用を早期発見、フューチャーショップとSBペイメントサービスが不正検知サービスでシステム連携

          4 years 4ヶ月 ago

          フューチャーショップは2021年9月28日から、SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」「futureshop omni-channel」とソフトバンク子会社のSBペイメントサービスが提供するAIを活用した不正検知サービス「AI不正検知」のシステム連携を始める。

          SBペイメントサービスのAI不正検知の利用にはSBペイメントサービスの決済代行サービスの導入が必要。「futureshop」とSBペイメントサービスの決済代行サービスは2019年に連携している。

          「futureshop」導入企業で、SBペイメントサービスの「オンライン決済サービス」を使う事業者は、ECサイトの不正対策として不正検知サービス「AI不正検知 for futureshop」を利用できるようになる。

          疑わしい注文を受け付けると、「futureshop」の受注管理画面の該当注文にアラートが表示されるため、不正な取引を早期発見することが可能。

          フューチャーショップは2021年9月28日から、SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」「futureshop omni-channel」とソフトバンク子会社のSBペイメントサービスが提供するAIを活用した不正検知サービス「AI不正検知」のシステム連携を始める
          「AI不正検知 for futureshop」のイメージ

          「AI不正検知」は決済情報と機械学習で不正利用を検知する不正検知サービス。年間数億件を超える決済データから過去の不正パターンを機械学習。ユーザーが決済を行うタイミングで当該決済の不正利用リスクをリアルタイムに算出する。

          SBペイメントサービスがECサイト構築プラットフォームと「AI不正検知」のシステム連携を行うのは、今回が初。

          日本クレジット協会が発表した年次調査資料によると、2020年におけるクレジットカードの不正利用による被害金額は251億円で前年比8.3%減。その内訳を見ると、対面販売が主となる偽造カード被害額が8億円(同55.1%減)、ECなど非対面取引が主となる番号盗用被害額が223億6000万円(同0.3%増)、その他不正利用被害額は19億4000万円(同41.4%減)。

          クレジットカード決済はECサイトで最も普及している決済手段だが、クレジットカード決済における不正利用被害は高水準にある。

          瀧川 正実
          瀧川 正実

          CRM自動化ツール「アクションリンク」、ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」ユーザーに利用料2か月無料キャンペーン

          4 years 4ヶ月 ago

          アドブレイブは、ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」ユーザーに向けて、EC・通販専門のCRM自動化ツール「アクションリンク」の利用料を最大2か月間無料とするキャンペーンを始めた。

          「アクションリンク」と「futureshop」は2020年に連携済み。「futureshop」を利用するEC事業者は、専用プラン「アクションリンク for futureshop」を利用すると、顧客属性や購買履歴、Web閲覧履歴などのデータ、深層学習AI(人工知能)を活用したOne to Oneマーケティングの自動化を実現できる。

          利用料は最大で2か月間を無料にする。初期費用は対象外。

          「アクションリンク」はECにCRM機能を搭載し、既存ツールよりも導入コストを大幅に抑えることができるというCRMツール。「誰でもデータ活用できるシステム環境」「リピーター獲得ノウハウを凝縮したシナリオの用意」「自由度の高いシナリオ設定機能」「自由度の高いシナリオ設定機能」などの特徴がある。

          瀧川 正実
          瀧川 正実

          住宅設備ECの交換できるくん、住まいのプロが回答するQ&Aコンテンツなどのオウンドメディア「スムタノ」を開設

          4 years 4ヶ月 ago

          住宅設備のECを手がける交換できるくんは7月30日、「住む」「住宅設備」を楽しむオウンドメディア「スムタノ」を開設した。ユーザーの投稿に住宅設備のプロが回答するQ&Aコンテンツなど、ノウハウを活用した専門性あるコンテンツを発信していく。

          リフォーム市場は、「水漏れ等の緊急対応」と「大規模リノベーション」との、2つのニーズが大きな割合を占めている。交換できるくんは、オウンドメディアを通じて、設備交換を楽しむマーケットの創出をめざす。

          「スムタノ」は、住宅設備や家具、インテリアなど、暮らしを彩る情報を集めたメディアサイトで、「住むを楽しむ」ライフスタイルを提案する。

          住宅設備のECを手がける交換できるくんが開設した、「住む」「住宅設備」を楽しむオウンドメディア「スムタノ」
          「スムタノ」の開設背景

          ユーザーから募集した質問に、住宅設備のプロがアドバイスするコンテンツ「暮らしのQ&A スムタノひろば」を展開。「掃除しやすいトイレはどれか?」「食洗機の選び方を教えて!」など、住まい作りで気になる事象に専門家がアドバイスする。

          交換できるくんは「スムタノ」の運営・監修を通じ、設備交換を楽しむカルチャーを浸透。住宅設備機器の潜在ニーズの掘り起こしを長期的に進める。

          交換できるくんは、自社運営のECサイト「交換できるくん」において、給湯器やガスコンロ、トイレなどの商品および交換サービスの販売を行っている。2020年12月には東証マザーズに上場した。

          2021年3月期決算は売上高が前期比17.8%増の47億2100万円、営業利益は同60.6%増の2億5700万円、経常利益は同48.9%増の2億5500万円、当期純利益は同53.9%増となる2億500万円。

          石居 岳
          石居 岳

          「PayPay」がQRコード決済サービス総合満足度トップに。利用頻度が最も高いのは「楽天ペイ」

          4 years 4ヶ月 ago

          MMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「2021年7月 スマートフォン決済(QRコード)の満足度調査」によると、調査対象の6サービス(PayPay、d払い、楽天ペイ、au PAY、メルペイ、LINE Pay)中、総合満足度1位は「PayPay」だった。2021年1月の同調査のトップは「楽天ペイ」。

          調査対象は18歳~69歳の上記QRコード決済サービス利用者(男女600人)。期間は2021年7月1日~7月5日。

          総合満足度トップは「PayPay」

          各QRコード決済サービス利用者に、メインで利用しているサービスの満足度を「お得部門」「アプリデザイン部門」「利便性部門」「信頼部門」についてそれぞれ聞いたところ、総合満足度トップは「PayPay」。2021年1月の同調査では「楽天ペイ」がトップで、「PayPay」は3位だった。(参考:QRコード決済サービス、総合満足度と利用頻度トップは「楽天ペイ」

          各部門のトップ、質問項目は次の通り。

          • 「お得部門」(キャンペーンの頻度、ポイント還元率、還元されるポイントのわかりやすさ):楽天ペイ
          • 「アプリデザイン部門」(操作のわかりやすさ、利用した金額(残高)のわかりやすさ、見た目の良さ):PayPay
          • 「利便性部門」(使える場所(店舗・EC)の多さ、店員の理解度、チャージ方法の豊富さ):PayPay
          • 「信頼部門」(セキュリティ、企業の信頼性、使える場所のわかりやすさ):PayPay
          MMD 調査データ QRコード決済サービス 部門別満足度
          利用中のQRコード決済サービスの部門別満足度(各サービスn=100、出典:MMD研究所)

          利用頻度最多は「楽天ペイ」、利用者の約6割が1週間に1回以上利用

          各サービス利用者にそのサービスの利用頻度を聞いたところ、「1週間に1回以上利用する」という回答は「楽天ペイ」が72.0%で最多、次いで「d払い」と「au PAY」がともに62.0%、「LINE PAY」が61.0%、「PayPay」が60.0%、「メルペイ」が44.0%だった。

          MMD 調査データ QRコード決済サービス 利用頻度
          メインで利用しているQRコード決済サービスの利用頻度(各サービスn=100、出典:MMD研究所)

          人に勧めたいサービス1位は「楽天ペイ」

          各サービス利用者にメインで利用しているサービスを家族・友人に勧めたいか10点満点で点数をつけてもらい、NPS(ネット・プロモーター・スコア:顧客推奨度)を出した。9点から10点を付けた推奨者は11.0%、7点から8点をつけた中立者は38.5%、0点から6点をつけた批判者は50.5%で、推奨者から批判者を引いたNPSは-39.5だった。サービス別のNPSは「楽天ペイ」が-27.0で最も高かった。

          MMD 調査データ 人に勧めたいQRコード決済サービス NPS 顧客推奨度
          メインで利用しているQRコード決済サービスのNPS(ネット・プロモーター・スコア:顧推奨度)
          (各サービスn=100、出典:MMD研究所)

          知ったきっかけ上位は「テレビCM」「公式サイト」「関連アプリ上での案内」

          調査対象者に現在メインで利用しているサービスを知ったきっかけを聞いたところ、最も多かったのは「テレビCM」(14.2%)で、次いで「公式サイト」(13.5%)、「関連アプリ上での案内」(13.0%)と続いた。

          MMD 調査データ QRコード決済サービスを知ったきっかけ
          メインで利用しているQRコード決済サービスを知ったきっかけ(n=600、出典:MMD研究所)

           各サービスごとに上位5位までの項目を抜き出すと、「PayPay」「d払い」は「テレビCM」、「楽天ペイ」は「公式サイト」、「au PAY」は「企業からの配信メール」、「メルペイ」「LINE Pay」は「関連アプリ上での案内」がそれぞれトップだった。

          MMD 調査データ QRコード決済サービスを知ったきっかけ サービス別
          サービスを知ったきっかけ(上位5位)(各サービスn=100、出典:MMD研究所)

          使い始めたきっかけ上位は「ポイントが貯まる」「キャンペーンに興味を持った」

          現在メインで利用しているサービスを使い始めた理由を聞いたところ、「ポイントがたくさん貯まるから」(33.2%)が最多。次いで「キャンペーンを知って興味を持ったから」(29.0%)、「普段使っているサービスとポイントが連動しているから」(22.5%)だった。

          MMD 調査データ QRコード決済サービスを使い始めた理由
          メインで利用しているQR決済サービスを使い始めた理由(n=600/複数回答可、出典:MMD研究所)

          サービス別に上位5位までの項目を抜き出すと、「PayPay」「メルペイ」「LINE Pay」は「キャンペーンを知って興味を持ったから」、「d払い」「楽天ペイ」「au PAY」は「ポイントがたくさん貯まるから」が最多だった。

          MMD 調査データ QRコード決済サービスを使い始めた理由 サービス別
          サービスを使い始めた理由(上位5位)(各サービスn=100、出典:MMD研究所)
          調査実施概要
          • 調査タイトル「2021年7月 スマートフォン決済(QRコード)の満足度調査」
          • 調査方法:インターネット調査
          • 調査期間:2021年7月1日~7月5日
          • 調査対象:18歳~69歳の下記QRコード決済サービスをメイン利用している男女
          • 有効回答:600人(PayPay、d払い、楽天ペイ、au PAY、メルペイ、LINE Pay各100人)
          • 設問数:9問
          藤田遥
          藤田遥

          大規模ECサイトでやるべき広告施策① 「スマートショッピングキャンペーン」の使い方と売上拡大に必須の設定 | EC事業者のための「SEO」と「広告」の話

          4 years 4ヶ月 ago
          「SEO」「広告」、2つの視点から語る、EC事業者のためのデジタルマーケティング講座。業態別広告施策解説「DB型大規模ECサイト編」【連載第6回】

          大規模ECサイトでやるべき広告施策についてお伝えします。対象になるのは、商品データが数千件から数万件あり、それぞれの商品をカテゴリで分類して掲載している規模の大きなサイトです。ということは、広告したい商品やサービスも数千件から数万件あることになります。

          かつてはものすごく大変だった大規模ECサイトの広告出稿

          以前のキャンペーン構とグループ構成の例

          上の図は、以前行っていたキャンペーン構成を「漫画」を例に簡単に図化したものです。表記ゆれは上記以外に「まんが」「manga」などもあります。また「コミック」といった異なる名称も同様に設定していました。これに「作品名」や「著者名」「出版社名」なども加えると、それは気の遠くなるような膨大なキーワードが生成されます。

          そのキーワードの数だけ器となるグループが存在し、広告文を複数作成していました。媒体によっては、1グループに入れられるキーワード数に制限があるので、複数のアカウントを作成しなければならない場合もあり、広告運用に苦戦されていた方も少なくないでしょう。

          しかし今はそのような広告構成は広告媒体から推奨されておりません。広告に関するテクノロジーの進化により、整えられたサイト構成=カテゴリとデータベースを活用し、簡単に広告を出稿できるようになりました。カテゴリとデータベースを活用した広告プロダクトはとても重要で、小売業の方に大いに活用していただきたいものです。

          前編・後編に分けて6つのポイントをお届けします。前編が導入時や配信スタート時に関する内容で、後編は実施後、さらに売り上げを拡大することに重点を置いた内容になります。

          前編

          ポイント① データベースを活用した広告プロダクト「スマートショッピングキャンペーン」

          ポイント② 「スマートショッピングキャンペーン」の導入方法

          ポイント③ 売上を拡大するために必須な設定条件

          後編

          ポイント④ 整頓されたサイト構成=カテゴリが重要な理由

          ポイント⑤ カテゴリに沿ったサイト構成を活用できる、もう一つの広告プロダクト

          ポイント⑥ 大規模ECサイトで採用したい目標指標とその理由

          まとめ

          ポイント① データベースを活用した広告プロダクト「スマートショッピングキャンペーン」

          データベースを活用した広告の代表として、Googleのスマートショッピングキャンペーンがあげられます。すでに導入している企業も多いと思いますが、SEOでカテゴリを整えた後、整頓された商品データフィードを広告のアセット(材料=画像・タイトル・説明など)として活用できる広告プロダクトです。私の経験上、手動でセットしているキャンペーンより高い成果が出ています。

          小売以外のECサイトではこのスマートショッピングキャンペーンは利用できないのですが、同じような仕組みを配信の手法とした「動的リマーケティング広告」があります。「動的リマーケティング広告」の説明は割愛しますが、求人や旅行予約、不動産賃貸などのジャンルの大規模ECにおいて高い成果が出ていますので、また別の機会にお伝えできればと考えています。

          「スマートショッピングキャンペーン」と通常のショッピングキャンペーンの違い

          従来からある通常のショッピングキャンペーンは検索ネットワークのみに広告を掲載できますが、スマートショッピングキャンペーンは、検索ネットワークに加えてディスプレイネットワーク、YouTube、Gmailにも配信可能です。

          名称が似ているので混乱するかもしれませんが、通常のショッピングキャンペーンとは設定方法や配信面が異なるので、現在ショッピング広告を実施している場合は、ご自身が実施しているフォーマットがどちらなのかをまず確認してみるとよいでしょう。

          通常のショッピング広告とスマートショッピングキャンペーン
          Google広告の管理画面より
          ショッピング広告の掲載例
          Googleのショッピング広告の掲載例

          上記はショッピング広告の掲載例です。実は、ここで表示されている広告が通常のショッピングキャンペーンなのか、スマートショッピングキャンペーンなのかは不明です。しかし、通常のショッピングキャンペーンよりスマートショッピングキャンペーンが優先されるので、ここに掲載されている広告はスマートショッピングキャンペーンである可能性が高いと言えます。

          「スマートショッピングキャンペーン」ではコンバージョンしたキーワードが確認できない

          通常のショッピングキャンペーンは商品や入札戦略、ターゲティングなどを自由に設定できますが、スマートショッピングキャンペーンはその名の通り「スマート」なので、コンバージョン値の最大化を目的とした自動入札により広告が自動的に運用調整されていきます。

          通常のショッピングキャンペーンでは検索語句が確認でき、どのキーワードでコンバージョンしたかを確認できたのですが、スマートショッピングキャンペーンでは検索語句を確認できません

          一見、自分の手で設定でき、検索語句も確認できる通常のショッピングキャンペーンの方が使いやすいと感じるかもしれません。しかし、スマートショッピングキャンペーンはディスプレイネットワークにも配信されるため、圧倒的な配信量とそれに伴う商品に対する喚起を促すことができるため、成果は上がります

          たとえば、「検索ネットワークは通常のショッピングキャンペーンで、ディスプレイや他の面ではスマートショッピングキャンペーンを使ったらどうか」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、スマートショッピングキャンペーンは配信面を選べません。両方を同時に走らせると、通常のショッピングキャンペーンとスマートショッピングキャンペーンがバッティングし、配信に悪影響が出る可能性が高いのでお勧めしません。

          ポイント② 「スマートショッピングキャンペーン」の導入方法

          スマートショッピングキャンペーンも通常のショッピングキャンペーンも、共通するのはGoogleが用意した小売業向けの「Google Marchant Center(グーグル・マーチャントセンター)」を導入することです。そして、自社データベースとマーチャントセンターをリンクさせ、商品情報をマーチャントセンターに送る設定をすれば、配信準備が整います。

          Google Marchant Center

          「Google Marchant Center」https://merchants.google.com/signup/

          自社データベースとマーチャントセンターをリンクさせる方法はいくつかあります。詳しくはヘルプページをご覧ください。

          カートシステムをご利用の場合は、それぞれにショッピング広告への配信オプションなどが用意されているかと思いますので、そちらをご覧ください。

          検索結果のショッピング広告枠には無料掲載ができる

          現在、マーチャントセンターに格納されている商品データフィードを基にした無料リスティングが掲載可能です。これは広告ではないので、文字通り無料でGoogleのショッピングタブや画像検索タブなどに掲載されます。

          広告を掲載する、しないに関わらず、EC小売業なら売り上げにつながる道が増えるので、マーチャントセンターは大いに活用しましょう。

          Facebookの「カタログ」とは?

          ちなみにFacebookにもマーチャントセンターと似た機能があります。「カタログ」と呼ばれるデータフィード機能で、自社データベースとの接続機能も付いています。「カタログ」を導入することで、FacebookやInstagram上で、広告を介さずに商品を販売できます(詳しくは単品系通販の回で解説します)。

          ポイント③ 売上を拡大するために必須な設定条件

          スマートショッピングキャンペーンで売上を拡大するために必須なこと、それは、美しく鮮明な商品画像の設定と、充実した商品データベースのつなぎ込みです。

          必須条件1:美しく鮮明な商品画像

          ショッピング広告の大きな特徴は実際の商品画像をそのまま広告として利用できることです。ユーザーはサイトに訪れる前に商品を画像で確認でき、魅力を感じたらサイトに訪問し、購買行動を行います。そのため、ショッピング広告に掲載する画像はとても大切な役割を担っています

          ショッピング広告で使用できる画像は、ガイドラインをクリアしたものに限ります。

          画像が不鮮明であれば、売り上げにつながりにくいことは言うまでもなく、マーチャントセンター内の審査で落ちてしまうこともあります。鮮明/不鮮明の線引きは難しいのですが、少なくとも見るに堪える画像である必要があります。

          同時に、美しい商品画像は人の興味を喚起し購買意欲をそそります。華美な装飾や演出はガイドラインに抵触するのでショッピング広告の画像としては不適切ですが、「手に取ってみたい」と思わせるような画像を設定しましょう。

          図 ショッピング広告
          ショッピング広告における画像の悪い例(左)と良い例(右)
          ※検索結果画面に表示されるショッピング広告枠の一例であり、すべてのショッピング広告のフォーマットではありません

          ここ数年、画像を変更していない商品があるようでしたら、ぜひこの機会に見直してみることをおすすめします。

          必須条件2:充実した商品データフィード

          ショッピング広告は通常のリスティング広告と違ってキーワードを設定しません。では何をターゲットとして広告を配信するのでしょうか? それは、マーチャントセンターに格納されている商品情報です。ユーザーが能動的に検索したタイミングでショッピング広告が表示されることで、新規ユーザーにアプローチでき、ブランド認知や購入の可能性が高まるので、商品情報は充実させておくべきです。

          そのために必要なのが、自社データベースにある情報をデータフィードとしてマーチャントセンターに格納する際、所定の項目をきちんと埋めることです。商品情報をマーチャントセンターへ送る方法には、以下の3つがあります。

          1. 自社データベースから直接マーチャントセンターへ商品情報を送る場合
          イメージ 自社データベースから直接マーチャントセンターへ商品情報を送る場合

          自社データベースでは独自の呼び方や独自のカテゴライズが可能ですが、マーチャントセンターに格納する際は、マーチャントセンターが用意しているカラムにデータが入るようにしなければなりません

          自社データベースから直接マーチャントセンターにつなぎたい場合は、自社データベースの商品データをマーチャントセンターのフィードのカラムにマッチさせるために、何かしらの手段でフィードを作成、アップロード方法を指定し、格納する必要があります。

          マーチャントセンターには、フィードのルールを作成する機能があるので、マーチャントセンター内である程度の調整は可能です。

          フィードルール
          フィードルール
          2. カートシステムを介してマーチャントセンターへ商品情報を送る場合
          イメージ カートシステムを介してマーチャントセンターへ商品情報を送る場合

          カートシステムを利用している場合、各カートシステムでマーチャントセンター用にフィードを生成し格納できるサービスが用意されていることがあります。

          その際、自社サイト用の商品項目のカラム以外に「広告用」とか「ショッピング広告用」といった項目で、広告用の文言をカスタム設定できるケースがあるので、そちらにも商品情報を入力していくことが重要です。

          ショッピング広告枠のタイトルカラムは短いので、例えば、商品タイトルの冒頭にキャッチコピー的な内容を入れてしまうと、商品名がわからなくなります。

          図・商品タイトルの良い例と悪い例
          商品タイトルの悪い例(左)と良い例(右)
          ※検索結果画面に表示されるショッピング広告枠の一例であり、すべてのショッピング広告のフォーマットではありません

          テキスト広告の場合は購入意欲を向上させる「送料無料」や「限定品」といった文言を冒頭に持ってくることがありますが、ショッピング広告の場合、それは適切ではない、ということです。

          また、カートシステムから「広告用カラムは記載を省略してもよい」とアナウンスされていたとしても、用意されている広告用のカラムはすべて埋めるようにしましょう。

          3. フィード生成ツールからマーチャントセンターへ商品情報を送る場合
          イメージ:フィード生成ツールからマーチャントセンターへ商品情報を送る場合

          おそらく、一番適切にマーチャントセンターへフィードを送れるのは、第三者のフィード生成ツールを利用することです。詳細はサービスによって異なるため割愛しますが、フィードを作ることに特化しているツールですので、ショッピング広告で表示される際、ユーザーに届く文言を改めて設定し、購買行動を起こしてもらうためのテストなども実施できます。

          最後に、マーチャントセンターに格納するフィードの主要な商品データについて簡単にまとめました。☆(必須)または○(任意)の項目はぜひ記載しておきたい情報です(△は必要な時のみ)。

          主な商品データ一覧
          商品基本情報
          title(商品の名前)
          description(商品説明)
          id(商品ごとにユニークに振られているID)
          link(商品ページのURL)
          mobile_link(モバイル用に異なるURLがある場合のみ記載)
          image_link(商品のメイン画像のURL。規定あり)
          additional_image_link(他の商品画像がある場合、任意で設定可能)
          価格と在庫状況
          availability(在庫状況)
          availability_​date(入荷予定日。予約・取り寄せの場合必須)
          price(商品価格と通貨)
          sale_price(セール価格)
          sale_price_effective_date(セール価格の有効期間)
          subscription_cost(定期購入の費用)
          installment(分割払いの価格)
          unit_​pricing_​measure(価格の計量単位)
          unit_​pricing_​base_​measure(基準とする計量単位)
          loyalty_​points(獲得可能なポイント表示。日本のみ)
          商品カテゴリ
          product_type(自社が定める商品カテゴリ)
          google_product_category(Googleが自動的に割り当てるカテゴリ)
          商品ID
          brand(ブランド、サプライヤー、メーカー名)
          ☆ 〇 gtin(商品の国際取引商品番号)
          ☆ 〇 mpn(製造者が定める製品番号。GTINがない場合必須)
          送料
          shipping(送料。個別設定の場合に利用)
          shipping_weight(搬送重量)
          詳細な商品説明
          ☆ 〇 condition(商品の状態。新品は省略可。中古等は必須)
          ☆ 〇 multipack(マルチパックに含まれる同一商品の数量)
          ☆ 〇 is_​bundle(一括販売商品)
          ☆ 〇 age_group(対象年齢)
          ☆ 〇 color(色)
          ☆ 〇 gender(対象性別)
          ☆ 〇 material(素材)
          ☆ 〇 pattern(柄)
          ☆ 〇 size(サイズ)
          size_​type(サイズの種類。対象はファッション商品)
          ☆ 〇 item_group_id(バリエーションがある商品のグループID)
          ショッピング キャンペーンなどの設定
          ads_redirect/adwords_redirect(追加のランディング ページ パラメータを指定)
          ◇◇◇

          どんなにスマートな広告プロダクトであっても、効率良く運用フェーズに乗せるためには、それなりに人が考え、手を加える必要があります。すでにスマートショッピングキャンペーンを導入されている方も、今一度、適切な設定が行われているか確認してみてください。

          後半は、整えられたサイトを上手に活用しながら売り上げを拡大していくために、何を目標にして広告運用していくべきか、という内容を中心にお伝えします。

          河野 芽久美
          河野 芽久美

          多重下請け構造の印刷業界、直接取引で風穴を開けたラクスルの印刷DXとは? | 印刷通販ラクスルのDX戦略

          4 years 4ヶ月 ago
          全国にある印刷機の非稼働時間をシェアするプラットフォームを運営するラクスル。いま取り組むDX生産性革命とは?(連載第1回)

          この連載では「印刷DX」というテーマのもと、ラクスルがこれまで印刷業界においてどのような変革を担ってきたのか、さらなる業界再編に向けて、なぜ印刷DXに取り組んでいるのかについて説明していきます。まずは、印刷業界に根付いていた多重下請けのピラミッド構造、ラクスルの事業を立ち上げた背景やビジネスモデル、そしてラクスルが考えるDX(デジタルトランスフォーメーション)について掘り下げていきます。

          印刷業界の市場規模はピーク時の半分

          印刷業界の構造について説明しましょう。

          印刷業界の出荷額のピークはバブル崩壊直後の1991年でした。市場規模は8兆〜9兆円でしたが、そこから年々縮小。現在では5兆円を下回るまで落ち込んでいます。

          それでも5兆円近い市場は決して小さくはありません、印刷業界は大日本印刷(DNP)と凸版印刷の大手2社が全出荷額の半分近くを占めているという、大手2社による寡占市場なのです。

          そして、印刷産業は下請け・孫請け産業。大手2社でも案件の約6割〜7割は下請け会社に外注しており、およそ2万社に上る中小の印刷会社が、そういった下請け仕事や大手が引き受けない仕事を支えているのです。

          言い換えれば、印刷業界は長らく多重下請けのピラミッド構造を前提に作られてきたのです。

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          印刷業界にとって大きな課題は、季節や生産量によって、手余り状態と手不足状態の差が大きいことでした。効率的な生産が実現できず、結果的に低収益な事業構造に陥り、新たな技術への投資も進まない。事実、印刷会社の生産性(従業員1人あたりの生産高)は1991年から改善するどころか、悪化し続けているのです。

          多重下請け構造の弊害は顧客側にももたらされます。印刷物の依頼がアナログなコミュニケーションを前提にしていることによる非効率や、印刷物にかかるコストのブラックボックス化など、印刷会社、顧客の双方から産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められていました。

          印刷機の非稼働時間をシェアするプラットフォームを構築

          ラクスルは2009年に創業しました。印刷業界のピラミッド構造をなくし、直接取引することで産業を変えていくため、ラクスルは全国の印刷会社の非稼働時間に着目しました。

          印刷会社における印刷機の平均的な稼働率は5割~6割程度です。この非稼働時間を活用し、効率的な印刷サービスを提供するため、インターネットを使って印刷機の非稼働時間をシェアするプラットフォームを構築しました。

          ネットを通じて印刷したい利用者と、提携する全国の印刷会社の非稼働時間をマッチングさせることで、ユーザーは安価で高品質なサービスを享受でき、事業者側もこれまで諦めていた非稼働時間の収益化が実現できるという、Win-Winな取引を生み出すことができました。

          当時はまだ「シェアリングエコノミー」という概念は日本に根付いていませんでしたが、シェアリングサービスの先駆けとなるビジネスモデルを作ったことで、ネット印刷市場をリードするようなサービスにまで成長できたと考えています。

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          ラクスルのDX生産性革命とは

          2015年頃からはSaaS(Software as a Service)の台頭や働き改革の推進などにより、デジタルを活用して企業の生産性改善や省力化につなげる機運が高まってきました。

          最近ではDXという言葉で注目されていますが、昨今のコロナ禍により、さまざまな業界が商慣習や働き方を変える必要性に迫られ、半ば強制的にデジタル化を余儀なくされている状況にあります。

          ただ、私はDXを単なるデジタルツールの導入ではなく、産業や事業の課題、顧客が抱える問題を解決する手段として捉えることが重要なのではないかと考えています。言い換えれば、企業価値や事業価値の向上に結び付かないものはDXとは呼べない、ということです。

          ラクスルはこれまで、印刷における「取引」を効率化してきたわけですが、さまざまな印刷会社や顧客と継続的に関わっていくうちに、「業務」にも多くの非効率があることがわかってきました。そこで、さまざまな領域で展開するサービスのブラッシュアップを行なっています。

          今後は業界全体の生産性、収益性を伸ばすことを目的に、産業変革を実現する一翼を担いたい─。このような思いで産業レベルのDXの旗振り役として印刷業界の生産性革命に取り組んでいます。

          ①顧客体験の向上

          ラクスルが考える印刷産業におけるDXは大きく2つに分けられます1つ目は、テクノロジーによって顧客体験を向上させ、ネットで印刷物を注文するという購買体験を研ぎ澄ませることです。

          ユーザーに対して定性・定量調査を繰り返し、課題の言語化を行った結果、ユーザーの印刷物の発注プロセスそのものに目を向ける必要性があるという結論に至りました。テクノロジーを活用して、より深い業務のレベルにまで踏み込んで解決することで、これまでラクスルを利用することができなかった新規のユーザーの「トライアルバリア」(利用の障壁)をなくすことにつながり、既存ユーザーの顧客体験も向上できます。

          具体的な事例についてはこの連載の第3回で詳しくお話しますが、データのチェックや変換作業を自動化する技術の開発や、オンラインで誰でも簡単に高品質なデザイン制作ができるシステム、担当者だけでなく会社や部署全体で注文や請求を管理できるサービスなど、ラクスルでは毎年かならず、ユーザーに新しい仕組みを作り上げ、提供し続けています

          ユーザーに新たな体験価値を提供し、事業者側の利益としても還元されるサイクルを作ることこそがDXの根本的な考え方であり、大事な捉え方だと考えています。

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          ②業界全体のデジタル化の推進

          2つ目は印刷業界全体におけるデジタル化を推進することです。

          これまでは印刷産業はもちろん、さまざまな産業においても直接会って打ち合わせをするなど、物理的な接点を前提として取引の仕組みや商習慣が作られてきました。

          産業のDXと言うと、既存の業界に根付くバリューチェーンをゼロリセットし、新しくデザインしていくことを目指すという考え方が多い印象ですが、私は長い歴史の中で積み上げられた取引の仕組みや業界慣習をいきなり変革させることは現実的ではないと考えています。

          そこでラクスルでは、印刷産業の最終的なあるべき姿を考えながらも、まずはバリューチェーンの中でボトルネックになっている部分や、効率化の余地が多い工程を「半デジタル化」「半自動化」していくアプローチをとっています。

          完全なデジタル化・自動化が実現できた世界を「DX 1.0」とするならば、まずは「DX 0.5」というフェーズを定義し、パートナーの印刷会社の中にまで入り込んで、その実現を進めていくわけです。

          シェアリングエコノミーを軸に取引の効率化を進めてきたラクスルですが、今後は顧客や印刷会社のバリューチェーンに深く入り込み、産業のDXを推進していくことが新たな使命だと考えています。

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          ◇◇◇

          次回は、テクノロジーを活用してどのようにユーザー体験を向上させてきたのかについて、実際の事例や取り組みを具体的にお伝えします。

          高城 雄大
          高城 雄大

          2020年のBtoC-EC市場規模は19兆円。物販系は21%増の12兆円、EC化率は8.08%

          4 years 4ヶ月 ago

          経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、BtoC-EC市場規模は19兆2779億円で前年比0.43%減だった。BtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は334兆9000億円で前年比5.1%減。

          経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 BtoC-EC市場規模の経年推移
          BtoC-EC市場規模の経年推移

          物販分野を対象としたBtoC-ECにおけるEC化率は8.08%で同1.32ポイント増。BtoB-ECで33.5%で同1.8ポイント増。

          経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 物販系分野のBtoC-EC市場規模、EC化率の経年推移
          物販系分野のBtoC-EC市場規模、EC化率の経年推移

          BtoC-EC市場

          新型コロナウイルスの感染症拡大の対策で、外出自粛の呼びかけ、EC利用の推奨により物販系分野は大幅に市場規模が拡大した。一方、主に旅行サービスの縮小などでサービス系分野の市場規模が大幅に減少しあためBtoC-EC市場規模全体は縮小した。BtoC-EC市場規模が増加しなかったのは、本市場調査開始以降、初めてのこと。

          2020年のBtoC-EC市場について、物販系分野は同21.71%増の12兆2333億円、デジタル系分野は同14.9%増の2兆4614億円、サービス系分野は同36.05%減の4兆5832億円。

          物販系分野について

          すべてのジャンルで2020年のEC市場規模は前年比で2ケタ増となっている。

          「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」(2兆3489億円)「衣類・服装雑貨等」(2兆2203億円)「食品、飲料、酒類」(2兆2086億円)「生活雑貨、家具、インテリア」(2兆1322億円)の上位4カテゴリー合計で、物販系分野の73%を占める。

          EC化率が高いジャンルは、「書籍、映像・音楽ソフト」(42.97%)「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」(37.45%)「生活雑貨、家具、インテリア」(26.03%)。

          経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 物販系分野のBtoC-EC市場規模
          物販系分野のBtoC-EC市場規模
          経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 物販系分野内での各カテゴリーの構成比率
          物販系分野内での各カテゴリーの構成比率

          サービス系分野について

          新型コロナウイルス感染症拡大の影響で「旅行サービス」「飲食サービス」「チケット販売」の市場規模が大きく縮小した。

          経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 サービス系分野のBtoC-ECの市場規模
          サービス系分野のBtoC-ECの市場規模

          デジタル系分野について

          「オンラインゲーム」(1兆4957億円)が大きな割合を占める。

          「オンラインゲーム」「有料動画配信」「有料音楽配信」市場拡大の背景には、新型コロナウイルス感染症拡大によって、在宅で過ごす消費者が増えたことがあげられる。

          経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 デジタル系分野のBtoC-EC市場規模
          デジタル系分野のBtoC-EC市場規模

          スマホEC市場の規模

          スマートフォン経由の物販EC市場規模も拡大した。2020年は6兆2269億円で同46.1%増。物販ECに占める割合は50.9%で、2019年比で8.5ポイント拡大した。

          経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 スマートフォン経由の市場規模の直近5年間の推移
          スマートフォン経由の市場規模の直近5年間の推移
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          瀧川 正実
          瀧川 正実
          確認済み
          57 分 41 秒 ago
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