ネットショップ担当者フォーラム

eコマース取扱高は8172億円で15.5%増、ショッピング事業は3808億円【Zホールディングスの2021年4-6月期】

4 years 7ヶ月 ago

Zホールディングスの2021年4-6月期(第1四半期)におけるEコマース取扱高は、前年同期比15.5%増の8172億円だった。

Eコマース取扱高のうち物販系は6908億円で同5.7%増。ショッピング事業の取扱高は同0.4%増の3808億円。リユース事業の取扱高は同13.1%増の2283億円だった。「ヤフオク!」の客単価向上や、「PayPayフリマ」の堅調な拡大で2ケタ成長を達成した。

ヤフーなどを傘下に抱えるZホールディングスの2021年4-6月期(第1四半期)におけるEコマース取扱高などについて
Eコマース取扱高について(画像はZHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

ZホールディングスのBtoCコミュニケーションインフラとして、「LINE公式アカウン」を全面的に導入。ショッピング事業の出店者への導入を進めており、7月28日時点で1万3773店舗が申し込んでいる。

ヤフーなどを傘下に抱えるZホールディングスの2021年4-6月期(第1四半期)におけるEコマース取扱高などについて LINE公式アカウントの拡大施策
LINE公式アカウントの拡大施策(画像はZHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

ヤマトホールディングスとの連携を通じて配送品質を改善、ユーザー体験の持続的向上をを進めている。出荷遅延率や受注から出荷までの速さなど、ヤフーの定める一定基準を満たした商品に「優良配送」ラベルを付与(商品お届け日が最短当日~2日以内、出荷遅延率が5%未満のストア)する取り組みでは、6月時点の取扱高に占める「優良配送」比率が、2021年2月開始時期と比較して約1.2倍となった。

ヤフーなどを傘下に抱えるZホールディングスの2021年4-6月期(第1四半期)におけるEコマース取扱高などについて ヤマトホールディングスとの連携
ヤマトホールディングスとの連携について(画像はZHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

「LINE」を通じて友だちにさまざまなプレゼントを贈ることができる「LINEギフト」サービスは取扱高が急速に拡大。5月の「母の日」キャンペーンが奏功し、「LINE」ギフトの取扱高は前年同期比203%増だった。

ヤフーなどを傘下に抱えるZホールディングスの2021年4-6月期(第1四半期)におけるEコマース取扱高などについて LINEを活用したソーシャルコマースなど
LINEを活用したソーシャルコマースなど(画像はZHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

7月28日からはアスクル、出前館と協働し、日用品などの即配サービス「PayPayダイレクト by ASKUL」の実証実験を開始。取扱商品の拡大や他地域・他サービスでの展開を検討する。

ヤフーなどを傘下に抱えるZホールディングスの2021年4-6月期(第1四半期)におけるEコマース取扱高などについて 即配サービス「PayPayダイレクト by ASKUL」の
即配サービス「PayPayダイレクト by ASKUL」について(画像はZHDのIR資料から編集部がキャプチャ)

第1四半期におけるコマース事業の売上収益は同11.8%増の1959億円、調整後EBITDA(税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益)は同14.6%減の354億円。コマース事業の売上収益が全売上収益に占める割合は52.5%。

石居 岳
石居 岳

日本発D2C企業の代名詞「FABRIC TOKYO」が実践してきた「LTVを最大化する方法」 | 『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する』ダイジェスト

4 years 7ヶ月 ago
『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する 』(インプレス刊)第4章より(第1回)

D2Cにとっての最重要指標はLTV(Life Time Value)。LTVとは顧客生涯価値を意味します。顧客が長期にわたり商品やサービスを使い続ける可能性を表し、かつ収益性が高いかどうかを測る指標です。またこれは、ブランドのWHAT(提供価値)を考えていく際の指標にもなります。

商材の購買頻度を把握する

LTVの計算式

LTV=平均購買単価×購買頻度×継続購買期間×限界利益率(または粗利率)

このうち、平均購買単価と購買頻度を掛け合わせると、ユーザー1人あたりの平均売上金額を把握することができます。これをARPU(Average Revenue Per User)と言います。

ARPUの計算式

ARPU=平均購買単価×購買頻度

LTVを算出するための前提として、ARPUの想定は必須です。例えば、FABRIC TOKYOの事例としてスーツで考えれば次のようになります。

あるべきARPUの想定(スーツの場合)

平均購買単価:5万円
購買頻度:1年間平均1.5回
1年間のARPU:5万×1.5=7万5000円

平均購買単価を5万円、購買頻度を年間平均1.5回とすると、1年間のあるべきARPUとして7万5000円が導き出されます

あるべきARPUを目標にする

D2C立ち上げ時のスタートとしては、まずは1年間のあるべきARPUを目標として、LTVの最大化を図っていくべきと考えます。このARPUから導き出されたLTVのユニットエコノミクスが成立しないと、そもそも商材選びからやり直す必要があるため注意が必要です。

ユニットエコノミクスが成立していない場合、商材を変更するか、立ち上げ時からある程度様子見した時点で、周辺領域のクロスセル商材等を想定しておく必要があるでしょう。

また当然、この数値は商材のARPUの最大値なので、購買頻度が実際にどうなるかは、サブスクリプションサービスでない限り、サービスを開始して一定期間を経ないとわかりません。立ち上げ初期に、どの程度の期間で、どの程度のリピート率になるのか検証する必要があります

スーツの場合は、商品到着直後にリピートする顧客が多かったため、平均の購買サイクルは1年程度ですが、半年も経過すればどの程度の購買頻度になるのか想定できました。そして、必ずあるべきARPUとの差分ができるので、その差分は何なのかしっかりとユーザーヒアリングを実施して、リピートを妨げているハードルを特定し、サービスの改善につなげるところまで行うのがお勧めです。

クロスセルのARPUの想定

立ち上げ初期に、周辺領域のクロスセル商材がある場合は、それとミックスしたARPU、およびミックスした場合のあるべき購買サイクルも準備する必要があります

例えばFABRIC TOKYOでは、立ち上げ初期からシャツも販売していました。

あるべきARPUの想定(シャツの場合)

平均購買単価:1万円
購買頻度:1年間平均3回
1年間のARPU:1万×3=3万円

こちらも平均購買単価を1万円、購買頻度を年間平均3回とすると、1年間のあるべきARPUとして3万円が導き出されます。つまり、先のスーツと合算すると、1年でのクロスセル合計のあるべきARPUは10万5000円となります。

その上で、表4-1のように初回購入から1年間のクロスセルも想定した、購買頻度の仮説を準備し、それに対して検証を繰り返すと良いでしょう。

クロスセルの購買頻度の例
表4-1 クロスセルの購買頻度を想定

あるべきARPUに到達することは、立ち上げ初期にはまずないため、焦らずに原因を追及しましょう。また、あるべき値を設定せず、いたずらにARPUを上げようとすると、顧客にとって購入タイミングがないのに、買い増しを促し続ける訴求になってしまうことになります。

買い増しを促すことは簡単ではなく、なかなかARPUは上がりません。「今だけ安い」「期間限定」などのCall to actionを付けることで、購入タイミングへ切り替える訴求をし続けることになりかねません。顧客が購入する量には限界があるのであって、顧客の財布は他商材との争奪戦ですので、注意が必要です。

あるべきARPUになっていないということは、必ずそこにユーザーペインが存在します。それを解消してこそ、LTVの最大化という土台にやっと乗せられるのです。

コホートによるリピート率を管理する

コホート分析にはCPM(Customer Portfolio Management)、RFM(Recency Frequency Monetary)など様々な手法がありますが、ここでは、D2C向けのリピート率管理手法として、FABRIC TOKYOで実施しているリピート率の管理手法を説明します。

弊社では1回目のリピートをするかしないかが、その後のLTVを左右するキードライバーになっているため、1回目のリピート率とリピート平均購入回数を全体として管理しています(図4-1)。

期間ごとのリピート率の例
図4-1 期間ごとのリピート率

また、スーツで言うと、1年に1回の購買が多数を占めるため、1年を1つの測定の区切りとしています。そして、1年目のリピーターが、2年目、3年目へ遷移しているかどうかを観測していきます。

先ほど説明した1年でのあるべきARPUや2年目以降でのあるべきARPUなど、どの程度ギャップがあるのかどうか差異を特定し、対策を講じていきます。商材の購買頻度などにより、1年でなくても3ヶ月や6ヶ月など測定の経過単位が異なるかと思いますが、目安としては顧客獲得コストの投資回収期間、購買頻度等により適切に設定してください

また、FABRIC TOKYOでは全体のリピート管理としては、2回目以降のリピートを平均購入回数としてまとめていますが、図4-2のように2回目、3回目のリピート率などを細かく管理するのも良いかと思います。どこがLTVを上げるボトルネックとなっているのかがわかってきて、またどこのリピート回数を超えるとその後LTVが伸びるかがわかると思います。

回数ごとのリピート率の例
図4-2 回数ごとのリピート率

さらに、図4-3のように、1年目、2年目、3年目など継続率を追っていくと長期でのリピート率を把握していくのも良いと思います。

1年ごとのリピート率の例
図4-3 1年ごとのリピート率

また、筆者が参考にしているコホート管理のサンプルも以下にURLを参考に掲載します。

グロースの前のバケツの穴を埋める

スタートアップの業界ではよく言われることですが、D2Cにおいても、マーケティング投資を加速する等グロースのフェーズに入る前に必ず、LTVを上げて投資対効果が合う状態を作りましょう

特にD2Cではもの売りがLTVの中心になりますので、サブスクリプションサービスでない限り、LTVのトラックレコードも当該期間を経過しない限りは、蓋然性が高まりません。こちらは第6章で詳しく説明します。

商材の購買頻度にもよりますが、適切なLTVの検証期間として、適切な期間を設定し、マーケティング投資などの投資対効果が合うのかどうか検討しましょう。

FABRIC TOKYOでは、商材の購買頻度の特徴から、3年程度をLTVの検証の目安としています。スーツであれば1年に1回が50%程度を占めているので、1年での投資回収を目標としており、さらに2~3年での購買頻度のさらなる継続性、及び2~3年に1回のリピートでの購買戻りを考慮して決定しています。

当然、他商材の購買頻度やクロスセルの構成率によっては、短期で見ることも可能でしょうが、FABRIC TOKYOではサービスインしてから、3年程度はグロース投資(マーケティング投資や店舗出店投資等)をしてきませんでした。それまでは、ほとんどLTVに関する投資で、バリューチェーンを磨くものだけに投資してきました

D2Cではここを見誤ると、焼き畑な投資となり、損益分岐点がどんどん遠くなってしまいます。スタートアップの死の谷からなかなか抜け出せなくなるため、注意が必要です。

タッチポイントの最適化がLTV最大化の鍵

あるべきARPUを最大化し、適切な訴求をしていくためには、ユーザーペインの解消と顧客の購入タイミングの想定が肝心です。

当然、顧客の購入タイミングを具体化するには、顧客インサイトからの濃密なストーリーとペルソナの想定があってはじめて作成できるものなので、不安な方は第3章をもう一度読み返してみてください。年間を通した詳細な見取り図をスケジューリングできれば、顧客獲得だけでなくリピーターの訴求にも役に立ちます

ただし、リピーターに対する訴求としては、初期的にはメルマガやSNS等が中心になることが多いと思いますが、常にオンラインでのタッチポイント(顧客接点)が最適であるわけではありません。紙媒体のDMやカタログ、はたまた店舗での体験なども、顧客へのリーチを最大・最適化し、顧客の購入するきっかけを捉えるチャネルになります。適切なタイミングとチャネルを見極めた訴求をするためにも、顧客の購入タイミングの具体化は必須とも言えます。

また、顧客の購入タイミングが年間を通して非常に少ないD2Cブランドもあるでしょう。第3章でも説明したキャスパーのマットレス、アウェイのスーツケース、ワービーパーカーの眼鏡なども、顧客の購入タイミングが非常に少ない商材でもあります。そのため、購入タイミングの間をつなぐ、サービスやコンテンツとしてのタッチポイントが非常に重要になります。

FABRIC TOKYOが運営するコンテンツメディア「はたら区」は、まさにそれに当たります。また、アウェイは自社について旅を提案する会社と位置づけ、紙雑誌「HERE」を発行していたり、キャスパーは睡眠やウェルネス関連のコンテンツを雑誌「WOOLY」で発信したりしています(図4-4)。デジタルネイティブブランドにもかかわらず、購入以外のリアルな顧客接点を随所に設けています。どちらもハイクオリティで読み応えがあり、デザイン性も高いものです。

このように、顧客の購入タイミング以外に、随所にサービスやコンテンツを用意すると顧客のエンゲージメントが高まります。これはD2Cの特徴でもある、「ものを売るだけでなく、顧客体験を提供する」という根本的な部分を表していると言えます。

※この記事は『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する』(インプレス刊)の一部を編集し、公開しているものです。

 

リテール・デジタルトランスフォーメーション
D2C戦略が小売を変革する

日本発D2Cブランドの代名詞とも言われる「FABRIC TOKYO」が、D2Cによる小売推進・変革のための事業戦略を徹底解説する1冊。

小売業のDX化を推進する活動を背景に、D2Cの基礎知識、世界観の作り方、オンラインとオフラインの融合(OMO戦略)、マーケティング戦略、組織運営、さらにその先の未来の話(RaaS)まで、具体的な事例やデータを盛り込みながら解説します。

DX化が遅れている中小の小売メーカー、ECのビジネスモデル転換を図りたい中小経営者、D2Cの考え方やノウハウを事業戦略に取り入れたい方、モノづくりの分野でスタートアップを始めたい方などに、課題解決のヒントを提示します。

リテール・デジタルトランスフォーメーション
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リテール・デジタルトランスフォーメーション
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三嶋憲一郎/FABRIC TOKYO 著
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筆者登壇情報

この『リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する』の筆者、三嶋憲一郎氏が、8月18日に開催されるインプレス主催のオンラインイベント「ネットショップ担当者フォーラム2021夏 〜リピート客作り、ファンを増やすネットマーケティングのコツ〜」に登壇いたします。

テーマは「D2Cを成功させるには? 「FABRIC TOKYO」の失敗・成功事例に学ぶ成長のヒント」。聴講は無料です。下記のバナーからお申し込みください。

三嶋 憲一郎
三嶋 憲一郎

ビームスが次世代スター社員の発掘&新商品企画の公募で「Makuake」を活用する理由【マクアケグランプリ2021を取材】

4 years 7ヶ月 ago

セレクトショップのビームスは、所属部署や勤続年数の枠組みを超えて新商品企画を社内で公募するプロジェクト「マクアケグランプリ2021」を2021年4月からスタートした。最終審査を通過したアイデアは、商品化実現に向け、オンラインプラットフォームの応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」の活用機会を得る。

6月に都内で行われた、全応募者の中から最終審査に選ばれた15案の企画の中から「Makuake」でのプロジェクト挑戦権獲得者を決定する「マクアケグランプリ2021」の模様を紹介する。

設楽社長が語る「マクアケグランプリ2021」の実施目的とは

ビームスはリアルタイムに消費者ニーズを知ることができる場として「Makuake」に着目し、2020年12月からマクアケと業務提携を開始。「Makuake」を通じてビームスの新商品発表や共催イベントなどを中長期的に実施している。

「Makuake」内に設置したビームス専用ページでは既に複数のプロジェクトを行っており、「マクアケグランプリ2021」は次なる取り組みとなる。

「マクアケグランプリ2021」冒頭で挨拶したビームスの設楽洋代表取締役社長は、グランプリ開催の背景と期待を次のように説明した

次の時代のスターを育て、常にファンに愛されるブランドで居続けるために、ファンが応援購入する「Makuake」のシステムがマッチしていると感じた

グランプリを通じて、新しい時代のディレクターが生まれる可能性がある。時代に寄り添い、突き抜けていく人材を発見していきたい。「マクアケグランプリ2021」は、次の時代のスター、次の時代のBEAMSを作っていくプロジェクトだ。(設楽氏)

マクアケ Makuake ビームス マクアケグランプリ2021 ビームス代表取締役社長の設楽洋氏
「マクアケグランプリ2021」冒頭で実施の意図を語るビームスの代表取締役社長 設楽洋氏

全社員にチャレンジ機会。「Makuake」を活用し、新しいキャリア育成につなげる

「マクアケグランプリ2021」はビームス全社員を対象とし、所属レーベルや部署、勤続年数の垣根を越えて、新商品の企画提案を公募するプロジェクトだ。

2021年4月に告知・募集を始め、審査を通過した起案者が6月上旬、設楽社長も参加する最終審査の場でプレゼン。最終的に選考に残った企画は8月以降、「Makuake」でのプロジェクト始動に向け、Makuakeによる全面サポートの元、起案者となる社員が中心となり準備を進めて行く。

マクアケ Makuake ビームス マクアケグランプリ2021
「Makuake」の仕組みを活用した社内公募プロジェクト「マクアケグランプリ2021」

プロジェクトを通じて発案者は消費者のニーズに向き合い、普段の所属部署での役割を超えて自身の思いを自由に提案・企画することができるため、将来のスター社員発掘の機会として期待されている。

また、採用された起案者は、商品やブランド作りの全工程やPR、運営などすべての行程に責任者として携わるため、新しいキャリア育成の場にもなる

マクアケは、「Makuake」への商品掲載だけでなく、企画選出における審査から専任キュレーターによる各プロジェクトのコンサルティング、マーケティング、PRサポートなどプロジェクトの全行程を支援する

社員の自由な思いを企画・発表

グランプリ選抜イベント当日は、計10組の起案者が各自3分間の持ち時間の中でプレゼンを実施。ビームスのブランドディレクター3人と、マクアケの取締役、キュレーター2人の計6人が審査員を務めた。より多角的に審査が行えるよう、さまざまな役割を担うメンバーを起用した。

子どもに物作りの楽しさを知ってもらう「知育玩具ふくパズル」

ビームスのユニフォーム課に所属し、普段から企画生産を担当している穂積優さんが起案したのは「知育玩具ふくパズル」。マジックテープがついた洋服のパーツをパズルのように組み合わせ、1着の洋服を作るという商品で、4~6歳を対象年齢としている。

小学校・中学校の家庭科の授業で制作するエプロンなどの柄がもっとオシャレで、かつ自分で選べたら、洋服を作ることやファッションの楽しさに気づけるのではないか、という考えから着想を得た。

穂積さんはこの商品のポイントについて、「自分で作った服が着られること」だと説明する。「作るだけでなく着心地やスタイリングを楽しむことで、『物作りは楽しい』と思ってもらいたい」(穂積さん)。将来的には小中学校の教材として提案を行っていきたいという。

マクアケ Makuake ビームス マクアケグランプリ2021 知育玩具ふくパズルの起案者 穂積さん
「知育玩具ふくパズル」の起案者 穂積さんのプレゼンのようす

コミュニケーションのきっかけにもつながる「BEAMS BEER」

「BEAMS BEER」は、デイリーユースのデザイナー担当の中塩敬恵さんによるアイデアだ。もともと、ビールは苦いと感じていた中塩さん。クラフトビールの魅力を知ったことで生活が豊かになり、ビールを通して人とのコミュニケーションが活性化したことが商品企画のきっかけだ。

コロナ収束後に友人たちと会えるようになった時、「BEAMS BEER」で人々に笑顔を届けたいと考えている。

商品化が実現した暁には、商品の販売だけでなく、醸造所での体験を通してビールに触れる機会の創出やコラボ商品作りで、コラボ先の売上向上にも貢献したいと意気込みを語った。

マクアケ Makuake ビームス マクアケグランプリ2021 BEAMS BEER発案者の中塩さん
「BEAMS BEER」の起案者 中塩敬恵さんのプレゼンのようす

起案者の中には、1人で2案以上発表する人やペアで発表する人もいた。

マクアケ Makuake ビームス マクアケグランプリ2021 ペアでプレゼンのようす
サウナ好き社員2人が、サウナで使える商品アイデアについてプレゼンしているようす

審査基準は①審査員が純粋に「施策を応援したい」と思えるか ②ビームスの方向性に合致するかの2つが主なポイントとなり、特に1つめに比重を置いている。審査の結果、次の6組が最終審査通過者となった。

  1. 「BEAMSのKANREKI」/五味川尚さん
  2. 「知育玩具ふくパズル-うみのなかまシリーズ-」/穂積優さん
  3. 「災害常備服 移動空間リュック」/穂積優さん
  4. 「BEAMS BEER」/中塩敬恵さん・松原知也さん
  5. 「TSUNAGU PAJAMAS」/竹村潤さん・藤田佳大さん
  6. 「ミンサーGUAYABERA」/謝花勇輝さん
マクアケ Makuake ビームス マクアケグランプリ2021
「マクアケグランプリ2021」最終審査通過者たち(中央)とビームス代表取締役社長の設楽洋氏(右)、同社取締役副社長の遠藤恵司氏(左から2番目)、マクアケ 共同創業者/取締役の坊垣佳奈氏(左)(画像はマクアケ提供動画から編集部がキャプチャ)

今後は上位6組分の商品サンプル作成や撮影を行い、8月以降に「Makuake」で掲載を開始。目標金額を達成し商品化が実現したプロジェクトに関しては、今秋以降、順次応援購入したサポーターに商品を発送する予定だ。

藤田遥
藤田遥

ヤッホーブルーイングがECサイト「よなよなの里」を刷新、ネット通販と定期購入サービスを1つのサイトに集約

4 years 7ヶ月 ago

クラフトビール「よなよなエール」などのヤッホーブルーイングは7月、ECサイト「よなよなの里 | よなよなエール公式通販」を刷新した。

個別で運用していたネット通販、定期購入ビールサービスを1つのECプラットフォームに集約。消費者は「よなよなの里」へログインするだけで、すべてのサービスを利用できるようにした。

「よなよなの里」はEC機能のほか、読み物コンテンツ、イベント情報の発信など「お客さまの体験を作る場」の役割う。ファンとのエンゲージメント向上施策やCRM強化が行いやすい環境へ移行するためにリニューアルしたという。

ECプラットフォームには、ecbeingのECサイト構築パッケージ「ecbeing」を採用。ecbeingのグループ会社であるエートゥジェイが提供する国産CMS「SiteMiraiZ(サイトミライズ)」を導入し、読み物コンテンツなどの更新作業を簡易的に行えるようにした。

クラフトビール「よなよなエール」などのヤッホーブルーイングは、ECサイト「よなよなの里 | よなよなエール公式通販」を刷新
国産CMS「SiteMiraiZ」の導入で読み物コンテンツなどの更新が容易になった

公式通販サイト「よなよなの里」に導入された機能のポイント

「よなよなの里」は、毎月1ケース(または2か月に1回1ケース)を8~9種類のクラフトビールから1本単位で選べる定期宅配サービス「ひらけ!よなよな月の生活」を展開している。サイト刷新を機に、以下のような機能を追加した。

クラフトビール「よなよなエール」などのヤッホーブルーイングは、ECサイト「よなよなの里 | よなよなエール公式通販」を刷新
「ひらけ!よなよな月の生活」はビール定期宅配サービス

定期コースの種類を新設し加入ハードルを緩和

リニューアル以前は契約期間が1年の「年間コース」のみだったが、3回目の受け取り以降はいつでも解約できる「お気軽コース」を新設。気軽に「ひらけ!よなよな月の生活」を体験できる環境を整えた。

「2か月ごと24缶」「毎月24缶」「毎月48缶」の3パターンから選べる。また、配送タイミングは上旬、中旬、下旬それぞれ最大10日間から選べるようにした。

クラフトビール「よなよなエール」などのヤッホーブルーイングは、ECサイト「よなよなの里 | よなよなエール公式通販」を刷新
「毎月48缶」を選んでいる画面

初回のお届け先と日時を選択でき短期間でビールをお届け

新規申込後、初回のビール選択から配送までのリードタイムを従来から大幅に短縮。ビールを選ぶワクワク感そのままに商品を配送するとしている。

お知らせの通知をLINE配信

LINE連携で、ビールの選択期間開始などの通知をLINEで受け取ることが可能。LINEによる通知のON/OFFは、マイページから設定できる。

クラフトビール「よなよなエール」などのヤッホーブルーイングは、ECサイト「よなよなの里 | よなよなエール公式通販」を刷新
お知らせの通知をLINE配信する
瀧川 正実
瀧川 正実

「Amazonパンドリー」8/24サービス終了/「メルカリShops」プレオープン【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

4 years 7ヶ月 ago
2021年7月30日~8月5日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. アマゾンが「Amazonパントリー」を8月にサービス終了

    「Amazonパントリー」は食品・日用品などを必要な分だけ購入できるサービスで、日本では2015年にスタートした

    2021/7/30
  2. 「メルカリShops」がプレオープン! ショップなので法律順守が必須。禁止行為にもご注意を【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年7月26日〜8月1日のニュース

    2021/8/3
  3. ビックカメラ、関東1都3県&大阪府の一部エリアへの配送業務をファイズトランスポートサービスへ委託

    ビックカメラがメインに利用している委託配送会社は佐川急便。一部商品で日本郵便などを活用している

    2021/7/30
  4. 千趣会が通販事業を伸ばすために取り組む4つの変革

    「千趣会の独自性」「ユニークな個客データベース」「ビジネスパートナー」の掛け合わせて差別化した顧客体験価値を創造するという

    2021/8/3
  5. アスクルがライトワンマイルに新たな電気自動車を導入、再生可能エネルギーの利用率は38%に拡大

    アスクルは2030年までに、グループ全体での電力使用量について再生可能エネルギー利用率100%にすると宣言している

    2021/8/2
  6. 2020年のBtoC-EC市場規模は19兆円。物販系は21%増の12兆円、EC化率は8.08%

    2020年の日本国内における消費者向けEC市場規模は19兆2779億円で前年比0.43%減。物販分野を対象としたBtoC-ECにおけるEC化率は8.08%で同1.32ポイント増

    2021/8/4
  7. EC売上250億円(2023年度)をめざすエイチ・ツー・オー リテイリングの中期経営計画とは

    エイチ・ツー・オー リテイリングは、2021年3月期に84億円だったEC売上高を、中計最終年度は約3倍となる250億円を目標としている

    2021/8/2
  8. 千趣会がオークネットと協業、二次流通サービスを通じてベルメゾン会員向けに新しい価値を提供

    まずは「ベルメゾン」会員を対象とした買い取りサービスを展開。流通先情報のフィードバックによる循環型社会への貢献の可視化、顧客が次に必要とする商品の買い取り情報に基づいたレコメンドなどに着手していく予定

    2021/7/30
  9. 大規模ECサイトでやるべき広告施策① 「スマートショッピングキャンペーン」の使い方と売上拡大に必須の設定

    「SEO」「広告」、2つの視点から語る、EC事業者のためのデジタルマーケティング講座。業態別広告施策解説「DB型大規模ECサイト編」【連載第6回】

    2021/8/4
  10. 多重下請け構造の印刷業界、直接取引で風穴を開けたラクスルの印刷DXとは?

    全国にある印刷機の非稼働時間をシェアするプラットフォームを運営するラクスル。いま取り組むDX生産性革命とは?(連載第1回)

    2021/8/4

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    ベルーナがアパレルEC「Pierrot」のセレクトを買収

    4 years 7ヶ月 ago

    カタログ通販大手のベルーナは8月3日付で、レディースアパレルECを展開するセレクトの全株式を取得し子会社化した。

    セレクトは、30代女性を中心に幅広い年齢層に支持されているアパレルECサイト「Pierrot(ピエロ)」を運営。自社サイトのほか、「楽天市場」「ZOZOTOWN」「Yahoo!ショッピング」など、各大手ECモールサイトでもECビジネスを展開している。

    また、ベルーナが運営する「RyuRyuモール」でも人気のショップとなっている。

    カタログ通販大手のベルーナは8月3日付で、レディースアパレルECを展開するセレクトの全株式を取得し子会社化
    アパレルECサイト「Pierrot(ピエロ)」(画像は編集部がキャプチャ)

    セレクトの全株式取得は、ノウハウ共有、グループ内への商品供給、集客連携などを通じて、ベルーナグループの企業価値向上につながると判断した。

    セレクトの2020年6月期売上高は15億3400万円。2021年3月にGCJG4株式会社(SPC)と合併、存続会社であるGCJG4がセレクトに商号変更した。

    アパレルECの買収を巡ってベルーナは2020年10月、「KOBE LETTUCE/神戸レタス」を運営するマキシムの全株式を取得し、子会社化すると発表したものの、2020年11月にマキシムの親会社であるC Channel(Cチャンネル)と締結した株式譲渡契約を解除すると発表している。

    ベルーナはC Channelが最終的なクロージング条件を整えることができなかったため、株式譲渡契約の解除に至ったしていた。

    石居 岳
    石居 岳

    中国・米国向け越境EC市場は約3兆円で14%増。中国向けは約2兆円、米国向けが約1兆円

    4 years 7ヶ月 ago

    経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2020年の中国・米国向け越境EC市場は前年比14.2%増の2兆9266億円だった。

    内訳は米国向け越境ECが同7.7%増となる9727億円、中国向けが同17.8%増の1兆9499億円。

    経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 日本・米国・中国 3か国間の越境EC市場規模
    日本・米国・中国 3か国間の越境EC市場規模

    消費国としての米国の越境BtoC-EC(日本・中国からの購入)の総市場規模は1兆7108億円で同9.9%増。このうち、日本からの購入額規模は9727億円、中国経由は7382億円(同12.9%増)。

    消費国としての中国の越境BtoC-EC(日本・米国からの購入)の総市場規模4兆2617億円で同16.3%。このうち、日本からの購入額規模は1兆9499億円(同17.8%増)、米国経由は2兆3119億円(同15.1%増)。

    経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 日本・米国・中国 3か国間の越境EC市場規模
    消費国としての日本・米国・中国3か国の越境EC市場規模

     

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    法人取引のBtoB-EC市場規模は334兆円で5%減、EC化率は33.5%。「小売」「建設・不動産業」「情報通信」で規模拡大【2020年】

    4 years 7ヶ月 ago

    経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、BtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は334兆9000億円で前年比5.1%減だった。

    財務省が公表した法人企業統計によると、多くの業種で2020年のBtoBの商取引市場規模が2019年比で減少。その影響を受け、BtoB-ECも市場規模が縮小した。

    BtoB-EC市場規模の業種別内訳における「その他」を除いたEC化率は、2019年比で1.8ポイント増の33.5%。

    「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 2020年のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は334兆9000億円 前年比5.1%減
    BtoB-ECの市場規模推移

    業種別内訳を見ると、「小売」「建設・不動産業」「情報通信」の業種では、2019年に比べて、2020年のBtoB-EC市場規模が増加している。

    BtoB-ECの業種別トピック

    製造:食品

    「食料品製造業」の総売上高について、2020年は41兆8353億円で2019年比6.7%減。総売上高の減少に伴いBtoB-EC市場規模は26兆4672億円で同0.5%減となった。外出自粛の広がりで、消費者による外食やホテル利用が減少、業務用食品市場規模などが縮小し、商取引市場規模が減少した。

    ただ、EC化の動きは加速し、EC化率は2019年比で4.0ポイント増の63.3%。ECによる取引は今後広がっていくことが予想されるとしている。

    製造:産業関連機器・精密機器

    2020年の法人企業統計データによると、製造:産業関連機器・精密機器全体の総売上高は、2019年が47兆9451億円で、2020年は41兆7194億円と減少している。業種により新規設備投資の抑制や減産の動きがあり、産業関連機器・精密機器の需要が低迷した。BtoB-EC市場規模は、15兆9623億円で同5.2%減、EC化率は38.3%。

    製造:鉄・非鉄金属

    2020年の法人企業統計データによると、鉄・非鉄金属業全体の総売上高は2019年に55兆8073億円、2020年は50兆408億円で推移している。売上高の縮小でBtoB-EC市場規模は20兆2892億円で同4.6%減。一方、EC化率は40.5%と増加した。

    情報通信

    2020年の法人企業統計データでは、2020年に72兆2944億円で同1.3%減。2020年のBtoB-EC市場規模は、15兆1685億円で同4.0%増、EC化率21.0%。

    卸売

    2020年の法人企業統計データによると、2020年の総売上高は301兆91億円で同15.5%減。BtoB-EC市場規模は92兆944億円で同10.3%減だったが、EC化率は30.6%と増加した。

    「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 2020年のBtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模の業種別内訳
    市場規模の業種別内訳

     

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    流通総額600億円めざす家具EC「LOWYA」のベガコーポレーション、テレビCMやホームファッション化など今後の戦略

    4 years 7ヶ月 ago

    家具のECサイト「LOWYA」を運営するベガコーポレーションは、2021年4月から5か年の展望をまとめた中期事業方針で、GMV(流通総額)を500~600億円規模まで高まる方針を掲げている。

    ベガコーポレーションの中期経営計画
    GMV目標について(ベガコーポレーションが公表したIR資料から編集部がキャプチャ)

    家具のネット通販「LOWYA」事業のビジョンは「インテリアを、自由きままに。」。5か年のコンセプトとして、「お客様のニーズを叶える徹底したCX強化」を掲げている。会員数および1人あたりのLTV(顧客生涯価値)という2つのポイントを示し、集客・品ぞろえ・サービスの拡充を通じてカスタマーエクスペリエンス(CX)を強化していく。

    ベガコーポレーションの中期経営計画
    CXの強化を進める(ベガコーポレーションが公表したIR資料から編集部がキャプチャ)

    集客強化は、プロモーションの強化でアクセス数・会員数を拡大。SEOによる自然流入の強化、Ewb広告による新規ユーザーへのアプローチ、SNSによる新規フォロワーの獲得、テレビCMのテストによる認知度アップによるスケールアプローチを行っていく。

    ベガコーポレーションの中期経営計画
    集客強化について(ベガコーポレーションが公表したIR資料から編集部がキャプチャ)

    品ぞろえの強化は、プラットフォーム化に向けて商品数・品目を拡大。雑貨を充実させてホームファッション化を図る。

    ベガコーポレーションの中期経営計画
    品ぞろえ強化について(ベガコーポレーションが公表したIR資料から編集部がキャプチャ)

    LTVの最大化、顧客ニーズに応えてリピート率を高めるためにサービス強化を進める。。UI/UXの強化、配送の強化、革新的サービスの強化(AR)によって、「LOWYA」が理想とする顧客体験を実現する。

    ベガコーポレーションの中期経営計画
    サービス強化について(ベガコーポレーションが公表したIR資料から編集部がキャプチャ)

    CXの強化により、年間平均成長率は21~26%増で推移する流通取引総額の成長を想定。自社ECの旗艦店での成長率は34~40%増、モールは現状の流通総額を維持しながら成長させる。5年後の流通総額は500億~600億円を描く

    モール・旗艦店などから生み出されるキャッシュフローに加えて、有利子負債も活用し、5か年の展望実現に向けて積極的に投資する。

    MDの拡充とEC化の進展で、ターゲットとなる市場は拡大し、成長余地は十分にあると判断。現状のEC化率は9%だが、中期的にターゲットとなるEC事業は、EC化率が35%に達した時点で市場規模は1兆5000億円+アルファに成長すると見ている。

    ベガコーポレーションの中期経営計画
    ターゲット市場について(ベガコーポレーションが公表したIR資料から編集部がキャプチャ)

    ベガコーポレーションの2021年3月期業績は、売上高が前期比42.3%増の193億1300万円、営業利益は同1467.0%増の18億2400万円だった。

    編集部からのお知らせ

    事業拡大を続けるベガコーポレーション。「LOWYA」事業などのマーケティング責任者である京谷謙吾・執行役員マーケティング統括部統括部長が、8月18日(水)開催のオンラインイベント「ネットショップ担当者フォーラム 2021 夏」に登壇。「家具インテリアEC『LOWYA』のブランディング事例~売上約200億円、モール依存から自社ECシフトに成功したブランド作り~」と題して講演します。オンラインイベントの詳細は以下のリンクよりご確認ください。

    ネットショップ担当者フォーラム 2021 夏

    家具インテリアEC『LOWYA』のブランディング事例~売上約200億円、モール依存から自社ECシフトに成功したブランド作り~
    石居 岳
    石居 岳

    ECプラットフォームを使う通販サイトを狙う新たなサイバー攻撃「Magecart」とは | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    4 years 7ヶ月 ago
    サイバー犯罪グループ「Magecart」が進化し、ターゲットを拡大しています。EC事業者は敵を知り、リアルタイムに対抗することが、現在の、そして未知の脅威に対する最善の防御となります

    オンライン通販事業者にとって、最も深刻で大きな金銭的被害をもたらすサイバーセキュリティ上の脅威の1つがサイバー犯罪グループ「Magecart」。数多くのeコマースプラットフォームを使うユーザー達が、「Magecart」の攻撃の危険にさらされています。

    「Magecart」とは

    デジタルスキミング攻撃「Magecart」の名称は、オープンソースのeコマースプラットフォーム「Magento」に由来しています。「Magecart」ギャングと呼ばれるデジタルスキミング攻撃のほとんどは「Magento」が標的です。「Magento」はアプリケーション運用のため、現在でも多くの古いバージョンのアプリケーションが使用されているためです。

    しかし、「Magecart」は現在、「Magento」よりもはるかに大きな存在となっています。2020年12月、研究者たちは、技術的に進化した新しいタイプの「Magecart」攻撃を確認しました。

    Webアプリケーションからクレジットカード情報をスキミングする他の「Magecart」攻撃と同様に設計された新しい攻撃は、多くの一般的なeコマースプラットフォームやコンテンツ管理システム(CMS)を攻撃します。その標的は、「Magento」「WordPress」「Drupal」「Shopify」「BigCommerce」「Salesforce Commerce Cloud」「WooCommerce」などです。

    2019年9月以降に確認された「Magecart」による複数のECサイトへの攻撃概念図
    2019年9月以降に確認された「Magecart」による複数のECサイトへの攻撃概念図(画像はトレンドマイクロセキュリティブログから編集部がキャプチャ)

    デジタル時代のスキミングの脅威「Magecart」

    「Magecart」がデジタルスキミングの対象が幅広いプラットフォームに拡大していることを示す指標として、汎用性の高い攻撃の出現があげられています。

    たとえば2021年5月、「Magecart」がモバイルブラウザやモバイルWebサイトをターゲットにした「MobileInter」と呼ばれる新種のデジタルスキマーの発信源であることが確認されました。「MobileInter」は、多種多様なブラウザでモバイルユーザーを識別する働きをしていました。

    「Magecart」は現在、攻撃対象を増やし、対応可能な市場を拡大しています。問題は、「Magecart」がプラットフォームに依存せず、同じフレームワークやコード言語(PHPやJavaScript)を使用しているあらゆるアプリケーションで動作するように設計されていることです。

    セキュリティチームやWebアプリケーションの運営者は、ECサイトを保護するために、「Magecart」のリスク軽減対策を、顧客の機密情報を保持するすべてのeコマースアプリケーションに適応させなければいけません

    「Magecart」は2015年に登場して以来、Webやモバイルアプリケーションに対する幅広いデジタルスキミング攻撃を包括的に表す言葉になりました。以前は、POS端末やPOSシステムのハッキングにフォーカスされていましたが、過去5年間でスキミングはインターネットやeコマースプラットフォームへと急速に移行しました。現在では、個人情報や金融情報のスキミングのほとんどは、Webやモバイルアプリケーション上で、カードを使わない取引で行われています。

    このような変化により、「Magecart」とデジタルスキミングは、eコマース、金融サービス、旅行、政府機関のサイトにとって、最も深刻で金銭的な被害を与えるサイバーセキュリティ上の脅威の1つとなりました

    サイバー攻撃のイメージ

    「Magecart」の手口

    「Magecart」攻撃では、悪意のあるハッカーが、顧客が機密情報を入力するチェックアウトページやその他のページに、不正なJavaScriptコードである「スキマー」を挿入。また、フォームやページ全体に「スキマー」を差し込み、正規のフォームでは求められていないデータを収集し、フィールドを追加するも場合もあります。

    「Magecart」攻撃のなかには、暗号通貨ユーザーのデータを盗むことに特化した攻撃もあり、高度な技術を使用しても「スキマー」のコードを見たり理解したりすることが難しくなっています。

    多くの場合、「Magecart」の攻撃は、サイト運営者やセキュリティチームがハッキングに気づかないまま、数か月にわたって行われます。「Magecart」は、クライアント側でのみアプリケーションの動作を微妙に変化させるため、ユーザーが見ているものに変更が加えられているかどうかを確認する簡単な方法がありません。

    「Magecart」は、これまでに何千ものWebアプリケーションやモバイルアプリケーションを攻撃することに成功しています。被害者の中には、British AirwaysやMacy'sといった数多くのグローバルブランドが含まれています。

    「Magecart」攻撃は、他のサイバー攻撃と一緒にカウントされるため、オンラインショップやその他の事業者が被る年間コストを、「Megecart」攻撃単体で正確に算出することは困難です。しかし、被害額、修復費用、風評被害などを総合すると、年間数十億ドルに上るでしょう。たとえば、British Airwaysは、「Magecart」攻撃に対する顧客の保護を怠ったとして、2,000万ドルの罰金を支払いました。

    「Magecart」はMagentoを超えてどのように進化するのか

    Webアプリケーションのコードに「スキマー」を注入する「Magecart」攻撃は、コロナ禍で増加、プラットフォームにおける攻撃件数は多いままです。さらに、他のプラットフォームへ攻撃の手を広げるのは決して難しいことではありません。

    「WordPress」「WooCommerce」「Magento」は、主要なアプリケーションコードベースとしてPHPを使用。主要なWebクライアント言語はJavaScriptを使っているように使用言語が重なるため、1つのプラットフォームをターゲットにした攻撃を、別のプラットフォームでも機能するよう、素早く修正することができるのです

    また、「Magecart」の攻撃者たちは、プラグインやサードパーティのアドオンが、他のプラットフォームを侵害するための効率的な方法だと認識しています。悪意の攻撃者は、攻撃のためにプラグインのソースコードリポジトリやビルドプロセスにコードを挿入します。プラグインは通常、eコマースプラットフォームごとに変更されないため、「Magecart」の攻撃コードは、プラットフォームを超えてプラグインにも有効に働く傾向があります。

    「サプライチェーン攻撃」と呼ばれるこのスタイルは、より洗練された犯罪者に好まれており、信頼できるサードパーティを経由して犯罪の道筋を作るため、さらに危険です。サイト運営者は、攻撃されたコードを可視化できない場合もあり、顧客が変化に気づくことで異常を特定しています。

    サイバー攻撃イメージ

    進化する攻撃にどう立ち向かうか

    セキュリティチームが社内にいなかったり、「Magento」以外でeコマースストアを運営している事業者にとっても、「Magecart」によるスキミング攻撃のリスクは、利用するプラットフォームの数を広げていくにつれて高まっています。このような攻撃から身を守るには、「Magecart」の攻撃がどこで行われ、どのような犯罪が実行されているかを、包括的に把握する必要があります。

    「Magecart」のコードが複数のプラットフォームにまたがるようになったことで、プラグインや共有フィールド、あるいは不要なJavaScriptコードを難読化して挿入する手段として有名なファビコンなど、プラットフォームに共通する属性に焦点を当てて攻撃する可能性が高くなります。

    また、「Magecart」の犯罪者は、決済フォームやクレジットカードの要求など、特定の情報を認識できる動作もプログラムします。このように、「Magecart」がより広く普及しているため、より危険なのです。

    Webアプリケーションファイアウォール(WAF)のような基本的なサイバーセキュリティツールでは、「Magecart」の攻撃を防ぐことはほとんどできません。WAFは、インバウンド(サーバ側)の攻撃を防ぎますが、クライアント側の攻撃は防げないのです。セキュリティチームのなかには、Webアプリケーションのコードを静的にスキャンして、変更や異常を特定しているところもありますが、「Magecart」は、動的に提供されるサードパーティのコード(ファビコンなど)を攻撃することでこれを回避します。

    より効果的なアプローチは、コンテンツ・セキュリティ・ポリシー(CSP)を使用して、Webアプリケーションコードが望ましくない動作を実行しないようにすることです。しかし、CSPには大幅なチューニングが必要で、また、信頼されたドメインが侵害されてアプリケーションコードに「スキマー」を挿入された場合には、十分な保護にはなりません。

    さらに、CSPは、許可ポリシーに基づいてドメインとのトラフィック(インバウンドおよびアウトバウンド)を制御することができますが、この方法は、攻撃対象が許可されたドメイン(googleやその他の大手ソフトウェアプロバイダなど)の場合には意味がありません。これらの制限を適用すると、開発者がCSPの修正を忘れたときに、サイトに多くの障害が発生します。

    あらゆるタイプの「Magecart」攻撃を適切に防御するために、セキュリティチームやサイト運営者は、アプリケーションの動作を継続的に分析し(クライアントサイドセキュリティモニタリング)、「スキマー」の存在を示すような些細な異常を特定するソリューションを検討する必要があります。すべての「スキマー」は同じ目的を持っているため、似たような挙動を示す傾向があります。そのため、何十億ものインタラクションを対象に、スキミングの行動と正規のWebアプリケーションの行動を大規模に調査するためには、機械学習の活用が理想的なソリューションとなるでしょう。

    機会学習の技術を使えば、「Magecart」の共通パターンを認識し、アプリケーションの通常動作からほんの少し逸脱している場合でも、検知することができます。アプリケーションの動作をリアルタイムに分析し、過去の動作と比較することで、「Magecart」による攻撃をリアルタイムに特定し、サイト運営者に問題を通知することができるのです。「Magecart」が進化し、ターゲットを拡大していく中で、敵を知り、リアルタイムに対抗することは、現在の、そして未知の脅威に対する最善の防御となります

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360
    Digital Commerce 360

    AIでクレジットカードの不正利用を早期発見、フューチャーショップとSBペイメントサービスが不正検知サービスでシステム連携

    4 years 7ヶ月 ago

    フューチャーショップは2021年9月28日から、SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」「futureshop omni-channel」とソフトバンク子会社のSBペイメントサービスが提供するAIを活用した不正検知サービス「AI不正検知」のシステム連携を始める。

    SBペイメントサービスのAI不正検知の利用にはSBペイメントサービスの決済代行サービスの導入が必要。「futureshop」とSBペイメントサービスの決済代行サービスは2019年に連携している。

    「futureshop」導入企業で、SBペイメントサービスの「オンライン決済サービス」を使う事業者は、ECサイトの不正対策として不正検知サービス「AI不正検知 for futureshop」を利用できるようになる。

    疑わしい注文を受け付けると、「futureshop」の受注管理画面の該当注文にアラートが表示されるため、不正な取引を早期発見することが可能。

    フューチャーショップは2021年9月28日から、SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」「futureshop omni-channel」とソフトバンク子会社のSBペイメントサービスが提供するAIを活用した不正検知サービス「AI不正検知」のシステム連携を始める
    「AI不正検知 for futureshop」のイメージ

    「AI不正検知」は決済情報と機械学習で不正利用を検知する不正検知サービス。年間数億件を超える決済データから過去の不正パターンを機械学習。ユーザーが決済を行うタイミングで当該決済の不正利用リスクをリアルタイムに算出する。

    SBペイメントサービスがECサイト構築プラットフォームと「AI不正検知」のシステム連携を行うのは、今回が初。

    日本クレジット協会が発表した年次調査資料によると、2020年におけるクレジットカードの不正利用による被害金額は251億円で前年比8.3%減。その内訳を見ると、対面販売が主となる偽造カード被害額が8億円(同55.1%減)、ECなど非対面取引が主となる番号盗用被害額が223億6000万円(同0.3%増)、その他不正利用被害額は19億4000万円(同41.4%減)。

    クレジットカード決済はECサイトで最も普及している決済手段だが、クレジットカード決済における不正利用被害は高水準にある。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    CRM自動化ツール「アクションリンク」、ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」ユーザーに利用料2か月無料キャンペーン

    4 years 7ヶ月 ago

    アドブレイブは、ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」ユーザーに向けて、EC・通販専門のCRM自動化ツール「アクションリンク」の利用料を最大2か月間無料とするキャンペーンを始めた。

    「アクションリンク」と「futureshop」は2020年に連携済み。「futureshop」を利用するEC事業者は、専用プラン「アクションリンク for futureshop」を利用すると、顧客属性や購買履歴、Web閲覧履歴などのデータ、深層学習AI(人工知能)を活用したOne to Oneマーケティングの自動化を実現できる。

    利用料は最大で2か月間を無料にする。初期費用は対象外。

    「アクションリンク」はECにCRM機能を搭載し、既存ツールよりも導入コストを大幅に抑えることができるというCRMツール。「誰でもデータ活用できるシステム環境」「リピーター獲得ノウハウを凝縮したシナリオの用意」「自由度の高いシナリオ設定機能」「自由度の高いシナリオ設定機能」などの特徴がある。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    住宅設備ECの交換できるくん、住まいのプロが回答するQ&Aコンテンツなどのオウンドメディア「スムタノ」を開設

    4 years 7ヶ月 ago

    住宅設備のECを手がける交換できるくんは7月30日、「住む」「住宅設備」を楽しむオウンドメディア「スムタノ」を開設した。ユーザーの投稿に住宅設備のプロが回答するQ&Aコンテンツなど、ノウハウを活用した専門性あるコンテンツを発信していく。

    リフォーム市場は、「水漏れ等の緊急対応」と「大規模リノベーション」との、2つのニーズが大きな割合を占めている。交換できるくんは、オウンドメディアを通じて、設備交換を楽しむマーケットの創出をめざす。

    「スムタノ」は、住宅設備や家具、インテリアなど、暮らしを彩る情報を集めたメディアサイトで、「住むを楽しむ」ライフスタイルを提案する。

    住宅設備のECを手がける交換できるくんが開設した、「住む」「住宅設備」を楽しむオウンドメディア「スムタノ」
    「スムタノ」の開設背景

    ユーザーから募集した質問に、住宅設備のプロがアドバイスするコンテンツ「暮らしのQ&A スムタノひろば」を展開。「掃除しやすいトイレはどれか?」「食洗機の選び方を教えて!」など、住まい作りで気になる事象に専門家がアドバイスする。

    交換できるくんは「スムタノ」の運営・監修を通じ、設備交換を楽しむカルチャーを浸透。住宅設備機器の潜在ニーズの掘り起こしを長期的に進める。

    交換できるくんは、自社運営のECサイト「交換できるくん」において、給湯器やガスコンロ、トイレなどの商品および交換サービスの販売を行っている。2020年12月には東証マザーズに上場した。

    2021年3月期決算は売上高が前期比17.8%増の47億2100万円、営業利益は同60.6%増の2億5700万円、経常利益は同48.9%増の2億5500万円、当期純利益は同53.9%増となる2億500万円。

    石居 岳
    石居 岳

    「PayPay」がQRコード決済サービス総合満足度トップに。利用頻度が最も高いのは「楽天ペイ」

    4 years 7ヶ月 ago

    MMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「2021年7月 スマートフォン決済(QRコード)の満足度調査」によると、調査対象の6サービス(PayPay、d払い、楽天ペイ、au PAY、メルペイ、LINE Pay)中、総合満足度1位は「PayPay」だった。2021年1月の同調査のトップは「楽天ペイ」。

    調査対象は18歳~69歳の上記QRコード決済サービス利用者(男女600人)。期間は2021年7月1日~7月5日。

    総合満足度トップは「PayPay」

    各QRコード決済サービス利用者に、メインで利用しているサービスの満足度を「お得部門」「アプリデザイン部門」「利便性部門」「信頼部門」についてそれぞれ聞いたところ、総合満足度トップは「PayPay」。2021年1月の同調査では「楽天ペイ」がトップで、「PayPay」は3位だった。(参考:QRコード決済サービス、総合満足度と利用頻度トップは「楽天ペイ」

    各部門のトップ、質問項目は次の通り。

    • 「お得部門」(キャンペーンの頻度、ポイント還元率、還元されるポイントのわかりやすさ):楽天ペイ
    • 「アプリデザイン部門」(操作のわかりやすさ、利用した金額(残高)のわかりやすさ、見た目の良さ):PayPay
    • 「利便性部門」(使える場所(店舗・EC)の多さ、店員の理解度、チャージ方法の豊富さ):PayPay
    • 「信頼部門」(セキュリティ、企業の信頼性、使える場所のわかりやすさ):PayPay
    MMD 調査データ QRコード決済サービス 部門別満足度
    利用中のQRコード決済サービスの部門別満足度(各サービスn=100、出典:MMD研究所)

    利用頻度最多は「楽天ペイ」、利用者の約6割が1週間に1回以上利用

    各サービス利用者にそのサービスの利用頻度を聞いたところ、「1週間に1回以上利用する」という回答は「楽天ペイ」が72.0%で最多、次いで「d払い」と「au PAY」がともに62.0%、「LINE PAY」が61.0%、「PayPay」が60.0%、「メルペイ」が44.0%だった。

    MMD 調査データ QRコード決済サービス 利用頻度
    メインで利用しているQRコード決済サービスの利用頻度(各サービスn=100、出典:MMD研究所)

    人に勧めたいサービス1位は「楽天ペイ」

    各サービス利用者にメインで利用しているサービスを家族・友人に勧めたいか10点満点で点数をつけてもらい、NPS(ネット・プロモーター・スコア:顧客推奨度)を出した。9点から10点を付けた推奨者は11.0%、7点から8点をつけた中立者は38.5%、0点から6点をつけた批判者は50.5%で、推奨者から批判者を引いたNPSは-39.5だった。サービス別のNPSは「楽天ペイ」が-27.0で最も高かった。

    MMD 調査データ 人に勧めたいQRコード決済サービス NPS 顧客推奨度
    メインで利用しているQRコード決済サービスのNPS(ネット・プロモーター・スコア:顧推奨度)
    (各サービスn=100、出典:MMD研究所)

    知ったきっかけ上位は「テレビCM」「公式サイト」「関連アプリ上での案内」

    調査対象者に現在メインで利用しているサービスを知ったきっかけを聞いたところ、最も多かったのは「テレビCM」(14.2%)で、次いで「公式サイト」(13.5%)、「関連アプリ上での案内」(13.0%)と続いた。

    MMD 調査データ QRコード決済サービスを知ったきっかけ
    メインで利用しているQRコード決済サービスを知ったきっかけ(n=600、出典:MMD研究所)

     各サービスごとに上位5位までの項目を抜き出すと、「PayPay」「d払い」は「テレビCM」、「楽天ペイ」は「公式サイト」、「au PAY」は「企業からの配信メール」、「メルペイ」「LINE Pay」は「関連アプリ上での案内」がそれぞれトップだった。

    MMD 調査データ QRコード決済サービスを知ったきっかけ サービス別
    サービスを知ったきっかけ(上位5位)(各サービスn=100、出典:MMD研究所)

    使い始めたきっかけ上位は「ポイントが貯まる」「キャンペーンに興味を持った」

    現在メインで利用しているサービスを使い始めた理由を聞いたところ、「ポイントがたくさん貯まるから」(33.2%)が最多。次いで「キャンペーンを知って興味を持ったから」(29.0%)、「普段使っているサービスとポイントが連動しているから」(22.5%)だった。

    MMD 調査データ QRコード決済サービスを使い始めた理由
    メインで利用しているQR決済サービスを使い始めた理由(n=600/複数回答可、出典:MMD研究所)

    サービス別に上位5位までの項目を抜き出すと、「PayPay」「メルペイ」「LINE Pay」は「キャンペーンを知って興味を持ったから」、「d払い」「楽天ペイ」「au PAY」は「ポイントがたくさん貯まるから」が最多だった。

    MMD 調査データ QRコード決済サービスを使い始めた理由 サービス別
    サービスを使い始めた理由(上位5位)(各サービスn=100、出典:MMD研究所)
    調査実施概要
    • 調査タイトル「2021年7月 スマートフォン決済(QRコード)の満足度調査」
    • 調査方法:インターネット調査
    • 調査期間:2021年7月1日~7月5日
    • 調査対象:18歳~69歳の下記QRコード決済サービスをメイン利用している男女
    • 有効回答:600人(PayPay、d払い、楽天ペイ、au PAY、メルペイ、LINE Pay各100人)
    • 設問数:9問
    藤田遥
    藤田遥

    大規模ECサイトでやるべき広告施策① 「スマートショッピングキャンペーン」の使い方と売上拡大に必須の設定 | EC事業者のための「SEO」と「広告」の話

    4 years 7ヶ月 ago
    「SEO」「広告」、2つの視点から語る、EC事業者のためのデジタルマーケティング講座。業態別広告施策解説「DB型大規模ECサイト編」【連載第6回】

    大規模ECサイトでやるべき広告施策についてお伝えします。対象になるのは、商品データが数千件から数万件あり、それぞれの商品をカテゴリで分類して掲載している規模の大きなサイトです。ということは、広告したい商品やサービスも数千件から数万件あることになります。

    かつてはものすごく大変だった大規模ECサイトの広告出稿

    以前のキャンペーン構とグループ構成の例

    上の図は、以前行っていたキャンペーン構成を「漫画」を例に簡単に図化したものです。表記ゆれは上記以外に「まんが」「manga」などもあります。また「コミック」といった異なる名称も同様に設定していました。これに「作品名」や「著者名」「出版社名」なども加えると、それは気の遠くなるような膨大なキーワードが生成されます。

    そのキーワードの数だけ器となるグループが存在し、広告文を複数作成していました。媒体によっては、1グループに入れられるキーワード数に制限があるので、複数のアカウントを作成しなければならない場合もあり、広告運用に苦戦されていた方も少なくないでしょう。

    しかし今はそのような広告構成は広告媒体から推奨されておりません。広告に関するテクノロジーの進化により、整えられたサイト構成=カテゴリとデータベースを活用し、簡単に広告を出稿できるようになりました。カテゴリとデータベースを活用した広告プロダクトはとても重要で、小売業の方に大いに活用していただきたいものです。

    前編・後編に分けて6つのポイントをお届けします。前編が導入時や配信スタート時に関する内容で、後編は実施後、さらに売り上げを拡大することに重点を置いた内容になります。

    前編

    ポイント① データベースを活用した広告プロダクト「スマートショッピングキャンペーン」

    ポイント② 「スマートショッピングキャンペーン」の導入方法

    ポイント③ 売上を拡大するために必須な設定条件

    後編

    ポイント④ 整頓されたサイト構成=カテゴリが重要な理由

    ポイント⑤ カテゴリに沿ったサイト構成を活用できる、もう一つの広告プロダクト

    ポイント⑥ 大規模ECサイトで採用したい目標指標とその理由

    まとめ

    ポイント① データベースを活用した広告プロダクト「スマートショッピングキャンペーン」

    データベースを活用した広告の代表として、Googleのスマートショッピングキャンペーンがあげられます。すでに導入している企業も多いと思いますが、SEOでカテゴリを整えた後、整頓された商品データフィードを広告のアセット(材料=画像・タイトル・説明など)として活用できる広告プロダクトです。私の経験上、手動でセットしているキャンペーンより高い成果が出ています。

    小売以外のECサイトではこのスマートショッピングキャンペーンは利用できないのですが、同じような仕組みを配信の手法とした「動的リマーケティング広告」があります。「動的リマーケティング広告」の説明は割愛しますが、求人や旅行予約、不動産賃貸などのジャンルの大規模ECにおいて高い成果が出ていますので、また別の機会にお伝えできればと考えています。

    「スマートショッピングキャンペーン」と通常のショッピングキャンペーンの違い

    従来からある通常のショッピングキャンペーンは検索ネットワークのみに広告を掲載できますが、スマートショッピングキャンペーンは、検索ネットワークに加えてディスプレイネットワーク、YouTube、Gmailにも配信可能です。

    名称が似ているので混乱するかもしれませんが、通常のショッピングキャンペーンとは設定方法や配信面が異なるので、現在ショッピング広告を実施している場合は、ご自身が実施しているフォーマットがどちらなのかをまず確認してみるとよいでしょう。

    通常のショッピング広告とスマートショッピングキャンペーン
    Google広告の管理画面より
    ショッピング広告の掲載例
    Googleのショッピング広告の掲載例

    上記はショッピング広告の掲載例です。実は、ここで表示されている広告が通常のショッピングキャンペーンなのか、スマートショッピングキャンペーンなのかは不明です。しかし、通常のショッピングキャンペーンよりスマートショッピングキャンペーンが優先されるので、ここに掲載されている広告はスマートショッピングキャンペーンである可能性が高いと言えます。

    「スマートショッピングキャンペーン」ではコンバージョンしたキーワードが確認できない

    通常のショッピングキャンペーンは商品や入札戦略、ターゲティングなどを自由に設定できますが、スマートショッピングキャンペーンはその名の通り「スマート」なので、コンバージョン値の最大化を目的とした自動入札により広告が自動的に運用調整されていきます。

    通常のショッピングキャンペーンでは検索語句が確認でき、どのキーワードでコンバージョンしたかを確認できたのですが、スマートショッピングキャンペーンでは検索語句を確認できません

    一見、自分の手で設定でき、検索語句も確認できる通常のショッピングキャンペーンの方が使いやすいと感じるかもしれません。しかし、スマートショッピングキャンペーンはディスプレイネットワークにも配信されるため、圧倒的な配信量とそれに伴う商品に対する喚起を促すことができるため、成果は上がります

    たとえば、「検索ネットワークは通常のショッピングキャンペーンで、ディスプレイや他の面ではスマートショッピングキャンペーンを使ったらどうか」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、スマートショッピングキャンペーンは配信面を選べません。両方を同時に走らせると、通常のショッピングキャンペーンとスマートショッピングキャンペーンがバッティングし、配信に悪影響が出る可能性が高いのでお勧めしません。

    ポイント② 「スマートショッピングキャンペーン」の導入方法

    スマートショッピングキャンペーンも通常のショッピングキャンペーンも、共通するのはGoogleが用意した小売業向けの「Google Marchant Center(グーグル・マーチャントセンター)」を導入することです。そして、自社データベースとマーチャントセンターをリンクさせ、商品情報をマーチャントセンターに送る設定をすれば、配信準備が整います。

    Google Marchant Center

    「Google Marchant Center」https://merchants.google.com/signup/

    自社データベースとマーチャントセンターをリンクさせる方法はいくつかあります。詳しくはヘルプページをご覧ください。

    カートシステムをご利用の場合は、それぞれにショッピング広告への配信オプションなどが用意されているかと思いますので、そちらをご覧ください。

    検索結果のショッピング広告枠には無料掲載ができる

    現在、マーチャントセンターに格納されている商品データフィードを基にした無料リスティングが掲載可能です。これは広告ではないので、文字通り無料でGoogleのショッピングタブや画像検索タブなどに掲載されます。

    広告を掲載する、しないに関わらず、EC小売業なら売り上げにつながる道が増えるので、マーチャントセンターは大いに活用しましょう。

    Facebookの「カタログ」とは?

    ちなみにFacebookにもマーチャントセンターと似た機能があります。「カタログ」と呼ばれるデータフィード機能で、自社データベースとの接続機能も付いています。「カタログ」を導入することで、FacebookやInstagram上で、広告を介さずに商品を販売できます(詳しくは単品系通販の回で解説します)。

    ポイント③ 売上を拡大するために必須な設定条件

    スマートショッピングキャンペーンで売上を拡大するために必須なこと、それは、美しく鮮明な商品画像の設定と、充実した商品データベースのつなぎ込みです。

    必須条件1:美しく鮮明な商品画像

    ショッピング広告の大きな特徴は実際の商品画像をそのまま広告として利用できることです。ユーザーはサイトに訪れる前に商品を画像で確認でき、魅力を感じたらサイトに訪問し、購買行動を行います。そのため、ショッピング広告に掲載する画像はとても大切な役割を担っています

    ショッピング広告で使用できる画像は、ガイドラインをクリアしたものに限ります。

    画像が不鮮明であれば、売り上げにつながりにくいことは言うまでもなく、マーチャントセンター内の審査で落ちてしまうこともあります。鮮明/不鮮明の線引きは難しいのですが、少なくとも見るに堪える画像である必要があります。

    同時に、美しい商品画像は人の興味を喚起し購買意欲をそそります。華美な装飾や演出はガイドラインに抵触するのでショッピング広告の画像としては不適切ですが、「手に取ってみたい」と思わせるような画像を設定しましょう。

    図 ショッピング広告
    ショッピング広告における画像の悪い例(左)と良い例(右)
    ※検索結果画面に表示されるショッピング広告枠の一例であり、すべてのショッピング広告のフォーマットではありません

    ここ数年、画像を変更していない商品があるようでしたら、ぜひこの機会に見直してみることをおすすめします。

    必須条件2:充実した商品データフィード

    ショッピング広告は通常のリスティング広告と違ってキーワードを設定しません。では何をターゲットとして広告を配信するのでしょうか? それは、マーチャントセンターに格納されている商品情報です。ユーザーが能動的に検索したタイミングでショッピング広告が表示されることで、新規ユーザーにアプローチでき、ブランド認知や購入の可能性が高まるので、商品情報は充実させておくべきです。

    そのために必要なのが、自社データベースにある情報をデータフィードとしてマーチャントセンターに格納する際、所定の項目をきちんと埋めることです。商品情報をマーチャントセンターへ送る方法には、以下の3つがあります。

    1. 自社データベースから直接マーチャントセンターへ商品情報を送る場合
    イメージ 自社データベースから直接マーチャントセンターへ商品情報を送る場合

    自社データベースでは独自の呼び方や独自のカテゴライズが可能ですが、マーチャントセンターに格納する際は、マーチャントセンターが用意しているカラムにデータが入るようにしなければなりません

    自社データベースから直接マーチャントセンターにつなぎたい場合は、自社データベースの商品データをマーチャントセンターのフィードのカラムにマッチさせるために、何かしらの手段でフィードを作成、アップロード方法を指定し、格納する必要があります。

    マーチャントセンターには、フィードのルールを作成する機能があるので、マーチャントセンター内である程度の調整は可能です。

    フィードルール
    フィードルール
    2. カートシステムを介してマーチャントセンターへ商品情報を送る場合
    イメージ カートシステムを介してマーチャントセンターへ商品情報を送る場合

    カートシステムを利用している場合、各カートシステムでマーチャントセンター用にフィードを生成し格納できるサービスが用意されていることがあります。

    その際、自社サイト用の商品項目のカラム以外に「広告用」とか「ショッピング広告用」といった項目で、広告用の文言をカスタム設定できるケースがあるので、そちらにも商品情報を入力していくことが重要です。

    ショッピング広告枠のタイトルカラムは短いので、例えば、商品タイトルの冒頭にキャッチコピー的な内容を入れてしまうと、商品名がわからなくなります。

    図・商品タイトルの良い例と悪い例
    商品タイトルの悪い例(左)と良い例(右)
    ※検索結果画面に表示されるショッピング広告枠の一例であり、すべてのショッピング広告のフォーマットではありません

    テキスト広告の場合は購入意欲を向上させる「送料無料」や「限定品」といった文言を冒頭に持ってくることがありますが、ショッピング広告の場合、それは適切ではない、ということです。

    また、カートシステムから「広告用カラムは記載を省略してもよい」とアナウンスされていたとしても、用意されている広告用のカラムはすべて埋めるようにしましょう。

    3. フィード生成ツールからマーチャントセンターへ商品情報を送る場合
    イメージ:フィード生成ツールからマーチャントセンターへ商品情報を送る場合

    おそらく、一番適切にマーチャントセンターへフィードを送れるのは、第三者のフィード生成ツールを利用することです。詳細はサービスによって異なるため割愛しますが、フィードを作ることに特化しているツールですので、ショッピング広告で表示される際、ユーザーに届く文言を改めて設定し、購買行動を起こしてもらうためのテストなども実施できます。

    最後に、マーチャントセンターに格納するフィードの主要な商品データについて簡単にまとめました。☆(必須)または○(任意)の項目はぜひ記載しておきたい情報です(△は必要な時のみ)。

    主な商品データ一覧
    商品基本情報
    title(商品の名前)
    description(商品説明)
    id(商品ごとにユニークに振られているID)
    link(商品ページのURL)
    mobile_link(モバイル用に異なるURLがある場合のみ記載)
    image_link(商品のメイン画像のURL。規定あり)
    additional_image_link(他の商品画像がある場合、任意で設定可能)
    価格と在庫状況
    availability(在庫状況)
    availability_​date(入荷予定日。予約・取り寄せの場合必須)
    price(商品価格と通貨)
    sale_price(セール価格)
    sale_price_effective_date(セール価格の有効期間)
    subscription_cost(定期購入の費用)
    installment(分割払いの価格)
    unit_​pricing_​measure(価格の計量単位)
    unit_​pricing_​base_​measure(基準とする計量単位)
    loyalty_​points(獲得可能なポイント表示。日本のみ)
    商品カテゴリ
    product_type(自社が定める商品カテゴリ)
    google_product_category(Googleが自動的に割り当てるカテゴリ)
    商品ID
    brand(ブランド、サプライヤー、メーカー名)
    ☆ 〇gtin(商品の国際取引商品番号)
    ☆ 〇mpn(製造者が定める製品番号。GTINがない場合必須)
    送料
    shipping(送料。個別設定の場合に利用)
    shipping_weight(搬送重量)
    詳細な商品説明
    ☆ 〇condition(商品の状態。新品は省略可。中古等は必須)
    ☆ 〇multipack(マルチパックに含まれる同一商品の数量)
    ☆ 〇is_​bundle(一括販売商品)
    ☆ 〇age_group(対象年齢)
    ☆ 〇color(色)
    ☆ 〇gender(対象性別)
    ☆ 〇material(素材)
    ☆ 〇pattern(柄)
    ☆ 〇size(サイズ)
    size_​type(サイズの種類。対象はファッション商品)
    ☆ 〇item_group_id(バリエーションがある商品のグループID)
    ショッピング キャンペーンなどの設定
    ads_redirect/adwords_redirect(追加のランディング ページ パラメータを指定)
    ◇◇◇

    どんなにスマートな広告プロダクトであっても、効率良く運用フェーズに乗せるためには、それなりに人が考え、手を加える必要があります。すでにスマートショッピングキャンペーンを導入されている方も、今一度、適切な設定が行われているか確認してみてください。

    後半は、整えられたサイトを上手に活用しながら売り上げを拡大していくために、何を目標にして広告運用していくべきか、という内容を中心にお伝えします。

    河野 芽久美
    河野 芽久美

    多重下請け構造の印刷業界、直接取引で風穴を開けたラクスルの印刷DXとは? | 印刷通販ラクスルのDX戦略

    4 years 7ヶ月 ago
    全国にある印刷機の非稼働時間をシェアするプラットフォームを運営するラクスル。いま取り組むDX生産性革命とは?(連載第1回)

    この連載では「印刷DX」というテーマのもと、ラクスルがこれまで印刷業界においてどのような変革を担ってきたのか、さらなる業界再編に向けて、なぜ印刷DXに取り組んでいるのかについて説明していきます。まずは、印刷業界に根付いていた多重下請けのピラミッド構造、ラクスルの事業を立ち上げた背景やビジネスモデル、そしてラクスルが考えるDX(デジタルトランスフォーメーション)について掘り下げていきます。

    印刷業界の市場規模はピーク時の半分

    印刷業界の構造について説明しましょう。

    印刷業界の出荷額のピークはバブル崩壊直後の1991年でした。市場規模は8兆〜9兆円でしたが、そこから年々縮小。現在では5兆円を下回るまで落ち込んでいます。

    それでも5兆円近い市場は決して小さくはありません、印刷業界は大日本印刷(DNP)と凸版印刷の大手2社が全出荷額の半分近くを占めているという、大手2社による寡占市場なのです。

    そして、印刷産業は下請け・孫請け産業。大手2社でも案件の約6割〜7割は下請け会社に外注しており、およそ2万社に上る中小の印刷会社が、そういった下請け仕事や大手が引き受けない仕事を支えているのです。

    言い換えれば、印刷業界は長らく多重下請けのピラミッド構造を前提に作られてきたのです。

    image1

    印刷業界にとって大きな課題は、季節や生産量によって、手余り状態と手不足状態の差が大きいことでした。効率的な生産が実現できず、結果的に低収益な事業構造に陥り、新たな技術への投資も進まない。事実、印刷会社の生産性(従業員1人あたりの生産高)は1991年から改善するどころか、悪化し続けているのです。

    多重下請け構造の弊害は顧客側にももたらされます。印刷物の依頼がアナログなコミュニケーションを前提にしていることによる非効率や、印刷物にかかるコストのブラックボックス化など、印刷会社、顧客の双方から産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められていました。

    印刷機の非稼働時間をシェアするプラットフォームを構築

    ラクスルは2009年に創業しました。印刷業界のピラミッド構造をなくし、直接取引することで産業を変えていくため、ラクスルは全国の印刷会社の非稼働時間に着目しました。

    印刷会社における印刷機の平均的な稼働率は5割~6割程度です。この非稼働時間を活用し、効率的な印刷サービスを提供するため、インターネットを使って印刷機の非稼働時間をシェアするプラットフォームを構築しました。

    ネットを通じて印刷したい利用者と、提携する全国の印刷会社の非稼働時間をマッチングさせることで、ユーザーは安価で高品質なサービスを享受でき、事業者側もこれまで諦めていた非稼働時間の収益化が実現できるという、Win-Winな取引を生み出すことができました。

    当時はまだ「シェアリングエコノミー」という概念は日本に根付いていませんでしたが、シェアリングサービスの先駆けとなるビジネスモデルを作ったことで、ネット印刷市場をリードするようなサービスにまで成長できたと考えています。

    image2

    ラクスルのDX生産性革命とは

    2015年頃からはSaaS(Software as a Service)の台頭や働き改革の推進などにより、デジタルを活用して企業の生産性改善や省力化につなげる機運が高まってきました。

    最近ではDXという言葉で注目されていますが、昨今のコロナ禍により、さまざまな業界が商慣習や働き方を変える必要性に迫られ、半ば強制的にデジタル化を余儀なくされている状況にあります。

    ただ、私はDXを単なるデジタルツールの導入ではなく、産業や事業の課題、顧客が抱える問題を解決する手段として捉えることが重要なのではないかと考えています。言い換えれば、企業価値や事業価値の向上に結び付かないものはDXとは呼べない、ということです。

    ラクスルはこれまで、印刷における「取引」を効率化してきたわけですが、さまざまな印刷会社や顧客と継続的に関わっていくうちに、「業務」にも多くの非効率があることがわかってきました。そこで、さまざまな領域で展開するサービスのブラッシュアップを行なっています。

    今後は業界全体の生産性、収益性を伸ばすことを目的に、産業変革を実現する一翼を担いたい─。このような思いで産業レベルのDXの旗振り役として印刷業界の生産性革命に取り組んでいます。

    ①顧客体験の向上

    ラクスルが考える印刷産業におけるDXは大きく2つに分けられます1つ目は、テクノロジーによって顧客体験を向上させ、ネットで印刷物を注文するという購買体験を研ぎ澄ませることです。

    ユーザーに対して定性・定量調査を繰り返し、課題の言語化を行った結果、ユーザーの印刷物の発注プロセスそのものに目を向ける必要性があるという結論に至りました。テクノロジーを活用して、より深い業務のレベルにまで踏み込んで解決することで、これまでラクスルを利用することができなかった新規のユーザーの「トライアルバリア」(利用の障壁)をなくすことにつながり、既存ユーザーの顧客体験も向上できます。

    具体的な事例についてはこの連載の第3回で詳しくお話しますが、データのチェックや変換作業を自動化する技術の開発や、オンラインで誰でも簡単に高品質なデザイン制作ができるシステム、担当者だけでなく会社や部署全体で注文や請求を管理できるサービスなど、ラクスルでは毎年かならず、ユーザーに新しい仕組みを作り上げ、提供し続けています

    ユーザーに新たな体験価値を提供し、事業者側の利益としても還元されるサイクルを作ることこそがDXの根本的な考え方であり、大事な捉え方だと考えています。

    image3

    ②業界全体のデジタル化の推進

    2つ目は印刷業界全体におけるデジタル化を推進することです。

    これまでは印刷産業はもちろん、さまざまな産業においても直接会って打ち合わせをするなど、物理的な接点を前提として取引の仕組みや商習慣が作られてきました。

    産業のDXと言うと、既存の業界に根付くバリューチェーンをゼロリセットし、新しくデザインしていくことを目指すという考え方が多い印象ですが、私は長い歴史の中で積み上げられた取引の仕組みや業界慣習をいきなり変革させることは現実的ではないと考えています。

    そこでラクスルでは、印刷産業の最終的なあるべき姿を考えながらも、まずはバリューチェーンの中でボトルネックになっている部分や、効率化の余地が多い工程を「半デジタル化」「半自動化」していくアプローチをとっています。

    完全なデジタル化・自動化が実現できた世界を「DX 1.0」とするならば、まずは「DX 0.5」というフェーズを定義し、パートナーの印刷会社の中にまで入り込んで、その実現を進めていくわけです。

    シェアリングエコノミーを軸に取引の効率化を進めてきたラクスルですが、今後は顧客や印刷会社のバリューチェーンに深く入り込み、産業のDXを推進していくことが新たな使命だと考えています。

    image4
    ◇◇◇

    次回は、テクノロジーを活用してどのようにユーザー体験を向上させてきたのかについて、実際の事例や取り組みを具体的にお伝えします。

    高城 雄大
    高城 雄大

    2020年のBtoC-EC市場規模は19兆円。物販系は21%増の12兆円、EC化率は8.08%

    4 years 7ヶ月 ago

    経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、BtoC-EC市場規模は19兆2779億円で前年比0.43%減だった。BtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は334兆9000億円で前年比5.1%減。

    経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 BtoC-EC市場規模の経年推移
    BtoC-EC市場規模の経年推移

    物販分野を対象としたBtoC-ECにおけるEC化率は8.08%で同1.32ポイント増。BtoB-ECで33.5%で同1.8ポイント増。

    経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 物販系分野のBtoC-EC市場規模、EC化率の経年推移
    物販系分野のBtoC-EC市場規模、EC化率の経年推移

    BtoC-EC市場

    新型コロナウイルスの感染症拡大の対策で、外出自粛の呼びかけ、EC利用の推奨により物販系分野は大幅に市場規模が拡大した。一方、主に旅行サービスの縮小などでサービス系分野の市場規模が大幅に減少しあためBtoC-EC市場規模全体は縮小した。BtoC-EC市場規模が増加しなかったのは、本市場調査開始以降、初めてのこと。

    2020年のBtoC-EC市場について、物販系分野は同21.71%増の12兆2333億円、デジタル系分野は同14.9%増の2兆4614億円、サービス系分野は同36.05%減の4兆5832億円。

    物販系分野について

    すべてのジャンルで2020年のEC市場規模は前年比で2ケタ増となっている。

    「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」(2兆3489億円)「衣類・服装雑貨等」(2兆2203億円)「食品、飲料、酒類」(2兆2086億円)「生活雑貨、家具、インテリア」(2兆1322億円)の上位4カテゴリー合計で、物販系分野の73%を占める。

    EC化率が高いジャンルは、「書籍、映像・音楽ソフト」(42.97%)「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」(37.45%)「生活雑貨、家具、インテリア」(26.03%)。

    経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 物販系分野のBtoC-EC市場規模
    物販系分野のBtoC-EC市場規模
    経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 物販系分野内での各カテゴリーの構成比率
    物販系分野内での各カテゴリーの構成比率

    サービス系分野について

    新型コロナウイルス感染症拡大の影響で「旅行サービス」「飲食サービス」「チケット販売」の市場規模が大きく縮小した。

    経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 サービス系分野のBtoC-ECの市場規模
    サービス系分野のBtoC-ECの市場規模

    デジタル系分野について

    「オンラインゲーム」(1兆4957億円)が大きな割合を占める。

    「オンラインゲーム」「有料動画配信」「有料音楽配信」市場拡大の背景には、新型コロナウイルス感染症拡大によって、在宅で過ごす消費者が増えたことがあげられる。

    経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 デジタル系分野のBtoC-EC市場規模
    デジタル系分野のBtoC-EC市場規模

    スマホEC市場の規模

    スマートフォン経由の物販EC市場規模も拡大した。2020年は6兆2269億円で同46.1%増。物販ECに占める割合は50.9%で、2019年比で8.5ポイント拡大した。

    経済産業省が7月30日に発表した「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」 スマートフォン経由の市場規模の直近5年間の推移
    スマートフォン経由の市場規模の直近5年間の推移
    ◇◇◇
    瀧川 正実
    瀧川 正実

    千趣会が通販事業を伸ばすために取り組む4つの変革

    4 years 7ヶ月 ago

    千趣会が策定した2021年12月期から2025年12月期までの、5か年の新中期経営計画(中計)では、通信販売事業を中核とした“独自の共創モデル”に変革することにより成長を実現していく方針を掲げた。

    コロナ禍による不可逆的な消費者の価値観・行動の変化、ESG・SDGsなど企業の持続的発展に必要な新たな規範への対応要請、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展とEC需要の拡大に伴う他業種からの参入増加といった環境の変化が起きている。

    こうした環境を踏まえ、千趣会は今後の方向性について、以下の取り組みを推進する。

    • 顧客とのつながり方や提案方法を、時代に即したデジタル活用により変革する(DX推進)
    • 顧客に寄り添い、多様なライフスタイルに応える商品と役立つサービスを提供する
    • サステナブルな社会の実現に向けて、顧客とともに社会課題の解決に取り組む

    こうした取り組みを推進しつつ、“独自の共創モデル”への変革については、「千趣会の独自性」「ユニークな個客データベース」「ビジネスパートナー」の掛け合わせて差別化した顧客体験価値を創造するという。そのための取り組みとして掲げたのが4つの変革。

    千趣会が策定した2021年12月期から2025年12月期までの、5か年の新中期経営計画(中計)
    2025年の実現イメージ(画像は中計の資料から編集部がキャプチャ)

    ① 全従業員が消費者を深く知り、共感し、寄り添うための仕組みと体制の再整備

    顧客とマンツーマンで対話する仕組みを導入、常に顧客と接触する機会を創出する。モニターサイト「ベルメゾンデッセ」の会員データベース(約20万人)の活用を強化。顧客視点に立った理解と、双方向でのコミュニケーションを通じたファン化を促進する。

    ② 「消費から使用へ」という潮流を先取り、「使用価値の最大化」に向けてビジネスモデルを再構築

    新規商品は基本方針に従い、コト(体験価値重視、モノとサービスの組み合わせ)で企画。使える、長く使えている状態や工夫を、顧客との間で共有するための仕組みの整備・展開を図る。パートナーとの共創で買い取りサービスを展開し、二次流通サービスで循環型社会の実現に寄与していく。

    顧客とのコミュニケーションはモバイルを中心とし、ロイヤリティプログラムの再整備を通じて、購買データ以外の行動データを取得・蓄積して顧客データベースを強化する。

    ③ ユニークなオリジナル商品とサービスで解決するモデルを国内外に横展開

    新たな事業領域を開拓する。その一環として、既存のコミュニティに対するBtoBtoCサービスも展開する。

    ④ ①~③の実現を可能とし、収益性も担保した新たな経営基盤を構築

    ビジネスモデル再構築の迅速な実現に向け専任組織を新設。新設部門へのリソース配分と、新設部門で実現したプロトタイプの全社展開を統制するための、意思決定プロセスを刷新する。さらに、資本業務提携を締結している東日本旅客鉄道(JR東日本)との協業を進化させる。

    千趣会が策定した2021年12月期から2025年12月期までの、5か年の新中期経営計画(中計)
    4つの変革(画像は中計の資料から編集部がキャプチャ)

    中計初年度となる今期(2021年12月期)の業績目標は売上高760億円、営業利益10億円。中計最終年度となる2025年12月期の数値目標は、売上高900億円、営業利益40億円、ROE8%以上をめざす。

    千趣会が策定した2021年12月期から2025年12月期までの、5か年の新中期経営計画(中計)
    数値目標(画像は中計の資料から編集部がキャプチャ)

     

    石居 岳
    石居 岳

    「楽天市場」内に日本の工芸品を紹介する「日本のよいもの市」オープン

    4 years 7ヶ月 ago

    楽天グループはECモール「楽天市場」に、日本の工芸品を紹介する特集ページ「日本のよいもの市」を公開した。地域の生産者や事業者支援策の一環。

    和食器やインテリア雑貨などを掲載

    楽天市場 日本のよいもの市 生産者・事業者支援策の一環
    「日本のよいもの市」では日本の工芸品を紹介(画像は「楽天市場」よりキャプチャ)

    「日本のよいもの市」では、日々の暮らしに役立つ波佐見焼や益子焼などの和食器、国産木材で作られたインテリア雑貨、桐生織や博多織などのファッションアイテムといった工芸品を紹介している。紹介商品は「楽天市場」出店店舗が販売する。

    楽天市場 日本のよいもの市 工芸品
    「益子焼 コーヒーカップ&ソーサー」「波佐見焼 コーヒーフィルター」など「日本のよいもの市」で紹介している商品の一例

    2020年から続くコロナ禍の影響で、依然として多くの生産者や事業者が「ものが売れない・出荷できない・ユーザーが来ない」などの状況に直面しており、「日本のよいもの市」は地域の魅力を発信する施策として実施している。

    藤田遥
    藤田遥

    ライブコマースや企業統合、アフィリエイト広告の行政処分など【コロナ禍の2021年上半期通販業界の主要な出来事まとめ】 | 通販新聞ダイジェスト

    4 years 7ヶ月 ago
    ライブコマースやコロナ禍の新しい店舗の在り方の模索など前向きなニュースもある一方で、アフィリエイト広告の行政処分や個人情報の流出などもありました【2021年上半期の通販業界の主な出来事まとめ】

    新型コロナウイルスが続いている2021年。国内でのワクチン接種が本格化したこともあり、収束に向けた希望も見られるが、都心部を中心に感染状況は一進一退を繰り返している。通販業界においては、引き続き、緊急事態宣言下での購買活動を支える社会インフラとしての役割を果たすことができた一方、行政処分などの暗い話題もいくつか見られている。今上半期において通販業界に起きた主な出来事を振り返ってみる。

    実店舗の在り方や顧客とのコミュニケーション方法が変化

    通販新聞 2021年上半期の通販業界の主な出来事
    2021年上半期の通販業界の主な動き

    コロナ禍ならではの新たな販売手法として注目されるようになったのが「ライブコマース」。昨年もアパレル企業を中心に活用が進んでいたが、この上半期もその流れが続いている。2月には宝島社とモフリーが共同で企業のライブコマース参画を支援する事業を開始しており、3月にはイオンモールが全国約80のイオンモールでライブコマースを開始。KDDIとauコマース&ライフでは、吉本興業と共に仮想モールでライブコマース番組を開始している。

    画面越しに商品の使い方などを見せられるという利点もあって、新たな手法として各社で本格導入が進んでいる。

    通販新聞 2021年上半期の通販業界の主な出来事 イオンモール LIVE SHOPPING ライブコマース
    イオンモールが2021年3月から開始した「LIVE SHOPPING(ライブショッピング)」
    (画像は編集部が「イオンモール」サイトからキャプチャし追加)

    客とのコミュニケーションの強化という観点では、アパレル企業などで「OMOストア」の開設が相次いでいる。大手アパレルのオンワード樫山やアダストリアなどが4月から5月にかけて、専用店舗を出店。基本的にはサービスの設計面でECなどのデータを活用するなど通販サイト名を冠した店舗として運営している。コロナ禍で変わりゆく小売市場において、今後の実店舗の新しい在り方を模索している

    通販新聞 2021年上半期の通販業界の主な出来事 アダストリア OMO店舗 ドットエスティストア
    アダストリアのOMO店舗「ドットエスティストア」
    (画像は編集部が「アダストリア」サイトからキャプチャし追加)

    そのほか、コロナ関連の話題としては大手通販企業や物流といった周辺企業で、6月下旬頃から社員への職域接種が徐々に始まった。本社内に接種専用のスペースを設けるなど、スムーズな作業に向けて各社で工夫がなされている。

    通販新聞 2021年上半期の通販業界の主な出来事 ワクチン接種
    2021年6月下旬頃からワクチンの職域接種がスタート

    企業の統合や事業再編が相次ぐ

    M&Aなどを中心とする事業再編や統合の動きも大きく進んだ。1月にはニトリホールディングスがホームセンター事業を手がける島忠をTOBで連結子会社化。通販事業関連では、双方のECやアプリの運営・管理、会員情報の利活用などが検討されており、共通ポイントの導入による相互送客なども予想されている。

    3月にはヤフーの親会社のZホールディングス(ZHD)とLINEが経営統合。仮想モールなどのコマース事業については、バーコード決済サービスなど「フィンテック」とともに、集中的に取り組むべき集中領域の1つと定め、強化していく考えで互いのEC関連事業を掛け合わせることで規模拡大を進めていくことを目指している。

    通販新聞 2021年上半期の通販業界の主な出来事 Zホールディングスの統合
    Zホールディングス代表取締役社長 Co-CEOの川邊健太郎氏(左)と代表取締役 Co-CEOの出澤剛氏(右)
    (画像は編集部が「Zホールディングス」サイトからキャプチャし追加)

    昨年から活発な動きを見せていたのはユーグレナで、1月には化粧品通販のLIGUNA、6月にはキューサイをそれぞれ子会社化しており、事業拡大を図っている。

    また、西友の株式取得を進めている楽天グループでは、自動配送ロボット(UGV)を使い西友店舗で取り扱う商品を配送するサービスや、農業サービス「楽天ファーム」の「100%国産オーガニック冷凍野菜」の西友店舗での販売を実施するなど、両社で連携した施策が順調に進んでいる。

    日本郵便と楽天が合弁物流会社「JP楽天ロジスティクス」を設立

    物流を巡る環境にも変化が見られている。EC需要の拡大を受けて、2020年度の宅配便の「ゆうパック」(「ゆうパケット」含む)が10億個超となり、過去最高を記録したことを明らかにした日本郵便では、楽天グループとの合弁で物流事業を手掛ける新会社「JP楽天ロジスティクス」の設立を発表した。楽天の物流拠点を日本郵便の配送網に組み入れることで、シームレスで効率の良い物流ネットワークを構築する考え

    通販新聞 2021年上半期の通販業界の主な出来事 楽天と日本郵便
    日本郵便と楽天が合弁物流会社を設立

    同じく、日本郵便ではコロナ以降、停止していた米国宛てのEMSを6月より再開している。越境ECなどでの需要を大きく見込んでいるものだが、同時に航空運賃の高騰などを踏まえて、欧州宛てなども含めて、一時的に値上げする措置も導入した。

    また、アマゾンジャパンでは有料会員である「アマゾンプライム会員」向けに展開する専用アプリを介した即配ECサービス「プライムナウ」を3月末で終了した。同サービスなどで展開してきたライフコーポレーションの生鮮品などのネット販売は、アマゾンの通販サイトやアプリで継続するという。

    大きな波紋を呼んだ通販企業に対する行政処分

    今年度についても通販企業に対する行政処分が見られている。中でも景表法に基づく措置命令が目立っており、3月には除菌効果をうたうスプレーの販売事業者3社や、健康茶などの通販を行うティーライフ、4月には洗濯用品の宮本製作所、6月にはまつ毛美容液や健康茶のハウワイなどがそれぞれ処分を受けている。

    とりわけ、大きな波紋を呼んだのが、アフィリエイト広告を巡る行政処分だ。3月に育毛剤通販を行うT.Sコーポレーションに対する景表法に基づく措置命令では、アフィリエイト広告そのものを対象に企業責任を初めて認定。消費者安全法に基づく「アフィリエイト広告の注意喚起」でも、虚偽・誇大と判断した広告の表示責任を企業に求めた。

    従来から、その構造の複雑さやステークホルダーの責任回避の連鎖から不当表示の温床になっていた面もあり、消費者庁も対策強化に向けて本腰を入れ始めている。6月にはアフィリエイト広告に対する景表法適用の考え方、不当表示の未然防止に向けた方策を検討する会合も始まっている

    関連して、3月には大阪府警が薬機法違反の疑いでアフィリエイターの男性を書類送検した。健食で医薬品的効能効果を標ぼうしていたというもので、アフィリエイターの立件という非常に珍しい事案でもあり、今後もアフィリエイト広告を巡る動向が大きく注目されている。

    個人情報の流出や商品の安全性問題も

    また、企業の不祥事というところでは、個人情報の流出が今年も散見された。セレクトショップ運営のアーバンリサーチの通販サイトが外部からの不正アクセスで個人情報が流出した恐れがあることを発表。

    さらに個人情報に関連したニュースでは、3月にLINEが、コミュニケーションアプリ「LINE」ユーザーの個人情報にアクセスする業務を中国で実施していた問題などについて記者会見で釈明。同社では中国からのアクセスを遮断したほか、国外で保管・管理しているデータは順次国内に移転するとしており、総務省からも指導を受けるなど大きな話題となった。

    そのほか、商品関連の話では、昨年末よりニトリやカインズホームといった大手量販店で、中国製の珪藻土関連商品から基準以上のアスベストが検出されるという問題が露見した。通販サイトでも取り扱われていた商品であり、後に厚労省が実施した買い取り調査ではアマゾンの出店者が販売する商品からも検出されたことが分かった。

    各売り場では商品の取り下げや自主回収などに踏み切っており、再発防止に向けたガイドラインなどを設ける仮想モールも出てきている

    ◇◇◇

    上半期だけで2回の緊急事態宣言が発令されるなど、依然として、国内ではコロナ感染に対して高い警戒状態が続いている。それに伴い、リアルでの小売り活動の範囲も狭まっており、通販の需要も引き続き拡大していった。コロナ直後の前年ほどの勢いを持続しているというところは限られているものの、2019年度との比較では大きく伸びているとする通販企業は少なくないようだ。コロナ禍も2年目を迎え、各社で新しい生活や消費環境に対応する動きが一層進んだことが伺えた。

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