ネットショップ担当者フォーラム

アドネットワークで進み始めた広告健全化の動き。薬機法改正を見据えた業界動向&ポップインの取り組みまとめ | 通販新聞ダイジェスト

4 years 5ヶ月 ago
顕在化したアフィリエイト広告を中心とした不適切な広告の増加や8月に施行される改正薬機法の影響を受け、ネット広告業界が市場の健全化に動き始めています

ネット広告業界が、市場の健全化に動き始めている。顕在化した問題の1つが、アフィリエイト広告を中心とする不適切な広告の氾濫。大量の広告配信を担うアドネットワークの提供事業者は、不適切な広告の配信停止に舵を切る。背景には、8月に施行される改正薬機法の影響、強まる「何人規制」の圧力もある。

広告の審査基準強化、薬機法に抵触する場合は配信停止

百度グループでアドネットワークを提供するpopIn(ポップイン)は5月、配信広告の審査基準の強化を決めた。薬機法など表示関連法に抵触すると判断した広告、過度にコンプレックスを煽ったり、差別を助長する表現の広告配信を停止する方針を公表した。

審査体制も強化した。社内に独立した権限を持つ「品質管理室」を設置。3人の人員を配置し、審査プロセスを監査する。広告審査では、広告チェックなどをサポートするビズテーラー・パートナーズに一部を業務委託。社内外で客観的な審査を行い、信頼性の高い配信を目指す

社員にYMAA(薬機法医療法遵守代理店認証)など民間の資格取得も推奨していく。自社の提供枠に表示されるクレジットからリンクする「申告フォーム」を設置するなど広告に接した消費者の苦情受付も充実した

配信事業者の審査厳格化の流れはこれにとどまらない。同業のZucks(ザックス)は3月、取引先に4月末でEC単品コスメ案件の配信をNGにすると通知した。業界関係筋によると、「同業のGMOアドマーケティングも審査強化を決めた」という。

方向転換の背景に、相次ぐ薬機法違反事件

方針転換の背景には、8月に控える改正薬機法施行があるとみられる。

改正薬機法は、医薬品や医薬部外品、化粧品の「虚偽・誇大広告」の抑止を図り、新たに課徴金制度を導入する。薬機法は「何人規制」で、代理店や配信事業者も対象になりうる。

通販新聞 アドネットワーク ネット広告 改正薬機法
2021年8月に施行される改正薬機法の課徴金制度

これら”仲介者”の取締りも厳しくなっている。広告業界に衝撃を与えたのは昨年7月、大阪府警が代理店、広告制作会社を含め6人の逮捕者を出した「ステラ漢方事件」。対象となった健食のアフィリエイト広告を配信した1社はポップインだった(配信したとされるもう1社は事実確認に未回答)。

府警は今年3月にも薬機法違反の疑いでアフィリエイターの男性を書類送検。ASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)の家宅捜索も行われた。

「責任回避」の連鎖が違反広告を招く

アドネットは、媒体社に広告配信・分析のシステムを提供。運営するニュースサイトなどの広告枠に配信する。有力企業は、前出のポップインやザックス、GMOアドマーケティングのほか、ログリー、Speee(スピー)、Taboola(タブーラ)などがある。

媒体社にとってもアドネットは、マネタイズを図る上で無くてはならない存在。有力アフィリエイターにとっても同様だ。ここ数年、アフィリエイト業界は自ら広告出稿し、アフィリエイトサイトに集客を図る「アドアフィリエイト」が増加している。運用に欠かせないのが、広告を数多くの媒体に一斉配信するアドネットワークだ。

通販新聞 アドネットワーク ネット広告 アドアフィリエイト
広告主から消費者に広告が表示されるまでの流れ

不適切なネット広告氾濫の背景には、業界の構造的な問題がある。アドネットが媒体社に提供するシステムには、基本的に配信広告のオン・オフ機能がある。媒体社は、自らの判断で違反の蓋然性が高い広告をシャットアウトできる。

だが、「チェックするとなると膨大な数になる。また、潤沢な予算を確保しにくいブランド広告より強い煽りのレスポンス広告の方が総じてクリック単価が高い。定期縛りに誘導するなら数か月の継続が見込め、広告主も高い入札金額を設定できる。媒体社とアドネットで分配する利益も増える」(関係者)。

こうした背景から、媒体社も掲載広告の健全化に二の足を踏む。強い広告を配信したい広告主、アフィリエイター、より高い収益をあげたい媒体社、アドネット。広告責任は一義的に広告主にあり、関係事業者に遵法意識は醸成されにくい。こうして「責任回避」の連鎖は起こる。

形骸化した広告健全化の取組み

広告業界は、過去にも市場健全化に舵を切ったことがある。

19年7月、広告配信に関わる9社は、フェイク広告や違反広告の根絶に取り組むとの共同声明を公表。ポップインのほか、アイモバイル、サイバーエージェント、インタースペース、Gunosy(グノシー)、GMOアドマーケティング、Speee、Taboola、ログリーが参加した。だが、今なお市場に不適切な広告はあふれる。代理店関係者は「声明は形骸化している」と話す。

「ステラ漢方事件」の後にもアドネットの関連事業者は協議の場を持ったとされる。だが、「『やられることはないから大丈夫』との結論に至った」(前出関係者)という。改正薬機法の施行を前に「アドネット事業者で足並みを合わせようという話があったが、内実は都合よく外向けに発信しようというものだった」(別の関係者)との話も聞かれる。

「なぜ通さないんだ」。ポップインの方針転換を受け、一部代理店からはクレームが寄せられている。「また戻るのでは」と、冷ややかな感想を口にする関係者もいる。一方、適切な広告の掲載を望む複数の企業は、歓迎の意向を示す。ザックスの通知にも「個人的印象では5月以降もさほど変わっていない」との評が聞かれる。

通販新聞 アドネットワーク ネット広告 popin ポップインが配信している広告の一例
ポップインが配信している広告の一例

一連の動きは、改正薬機法の影響を図りかねる中、一過性のもので終わるのか。ポップインの西舘亜希子取締役は「薬機法うんぬんではなく、不適切広告は社会課題になっている。企業姿勢を示し、賛同してくれる広告主と正しくビジネスに取り組みたい」と、決断の理由を話す。ネット広告業界に起こった綱引きの着地点が注目される。

「応援の声を信じてやり切る」、売り上げは2割減も2度目の挑戦

方針転換の理由や取り組みとは?

ポップインの髙橋大介取締役副社長、広告配信事業を統括する西舘亜希子取締役に、審査強化の目的を聞いた。

通販新聞 アドネットワーク ネット広告 popin ポップイン
popin(ポップイン)の髙橋大介取締役副社長(右)と西舘亜希子取締役(左)

――方針転換の理由は。

髙橋:家庭用プロジェクターの製造販売事業も行っており、拡大基調にある中でブランディングを意識し始めたこともある。

――広告配信事業で意識する必要はない。

髙橋:収益追求と厳格なブランド管理というベクトルが異なる事業がある中で、社員のモチベーションの共有が難しくなっていた。統一的な方向性を発信したかった。

――薬機法違反事件など外的要因もあるか。

髙橋:今夏に薬機法の改正が控えていることも一因ではある。

西舘:外的要因以上に、企業としてどうありたいかの決断。媒体社のマネタイズの重要性は理解している。ただ、正しいことをしている会社が残っていける健全な市場を作りたい。誰かがやらなければいけないのであれば、媒体価値を高めるためにも、上流で止められるものは自分たちでやろうと考えた。

――取り組みは。

髙橋:取引社は約140社。とくに不適切と判断した広告を配信する代理店25社と協議を進めてきた。最終的に方針が一致しない6社は契約解除を伝えた。改善に向けた協力姿勢を示し協議を続けているところもある。

2度目の方針転換で売り上げ・配信数減少も

――19年にも声明を出した。

髙橋:代理店が他社に流れ、売り上げの下落に耐え切れず審査を緩和した。覚悟がなかったことに尽きる。

――「また戻る」との見方もある。

髙橋:他社の審査を通過しているというエクスキューズもあり、審査担当者もジレンマと葛藤していた。振り切れず、社内を混乱させた。代理店からも急に変えたり戻したり、と批判を受けた。

――売り上げの変動は。

髙橋:初速で1日あたり3割ほど落ちた。今は2割減ほど(5月末時点)。

――契約解除の代理店の貢献度は。

髙橋:年間を通じた取引より、短期的に売れる商品を持ってきては消える会社も多い。

――配信数は。

髙橋:常時1000件ほどの広告を回しているが、代理店によっては半分ほどになった。

新たな広告主・代理店との取引につながる

――取引先の反応は。

髙橋:クレームもあるが、支持してくれるところもある。コンプレックスを強調した訴求があるため敬遠していた広告主、代理店もあり、新たに取引につながっている

――なぜ敬遠されていた。

髙橋:ブランドを大切にする広告主は、提供枠の横に並ぶ広告も気にする。シミを強調した強い訴求の広告があれば、適正な広告のレスポンスは悪くなる。

――媒体側が提供枠を他社に委託するかもしれない。

髙橋:可能性はある。事前のアナウンスに好意的な反応もあるが、マネタイズが厳しいと話す媒体もある。広告がきれいになっても、数字の下落を見れば担当者が大変な思いをすることは容易に想像できる。

――広告審査はどう変えた。

西舘:法令遵守と感覚的な側面がある。とくに審査が必要なのは健康食品と化粧品。薬機法、景表法は専門的な知識も必要になる。判断に迷うものは止め、提携企業の協力を得て配信可否の論拠を持ちつつ配信する

――感覚的な側面は。

西舘:何をもってコンプレックスの強調と判断するか、価値観は多様で一律対応は難しい。主観的な部分もある。明確な基準はないが、視覚的に問題と感じるものなど、法律以前の部分も抜本的に変えたい。たとえば太っている体の強調が不快という判断もあるし、不快と指摘することが差別的という判断もある。自社の価値判断を磨きたい

髙橋:広告も情報コンテンツと理解している。単に配信する事業者ではなく、よりよい広告、情報を届ける企業でありたい。反省すべきところはしつつ、応援の声を信じて実務に落としてやり切る。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

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通販新聞

「自分がやられて嫌な仕事の出し方はしちゃイカン」。プロに丸投げで成功したECサイトとは【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

4 years 5ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年6月21日〜27日のニュース
ネッ担まとめ

皆さんご存じの通り、ネットショップ運営に必要な知識は多岐に渡ります。外部のプロの力が必要なので、その人たちと良い関係を築くことができれば成功が近付いてきます。

信頼できるパートナー探しが売上拡大の秘訣

アメ横のリアル店舗経営からEコマース進出を果たし軌道に乗せた小島屋三代目店主・小島靖久さんの商売の哲学 | commerce+
https://commerceplus.jp/yasuhisa-kojima/

まとめると、

  • ナッツとドライフルーツ専門店「小島屋」がECを始めたのは販路の開拓のため。ECサイトのコンセプトは「商品のバリエーションを楽しんでもらえるショップ」+「ただ食べるだけではなく、組み合わせの可能性を提供していくショップ」
  • 外部に依頼する際は信頼する人から信頼されているか、自分との相性が良いかが大事。記事の執筆も記事単価ではなく時給にしてから質がグッと上がった
  • 自社ECではAmazon Payの導入の効果が大きく、「AiDeal」というAIのWeb接客ツールも効果を発揮している

1文字1円、みたいな記事の依頼の方法も聞きますが、正直あまり意味がないと思っていて。1文字1円だった場合、書く側は1文字でも長く書いてやろうと思うだろうし、その結果冗長な記事が出来上がっても誰も得しないでしょう。

そう考えると結局、自分がやられて嫌な仕事の出し方はしちゃイカン、ということだなと思います。

EC運営の忙しさを乗り切るには自分が楽しむことと、細かい指示をしなくても動いてくれるスタッフや外部パートナーを見つけること。スキルや経験よりも相性は本当に重要だと思いますので、まずは仕事をしてみてお互いを理解するところから始めたいですね。細かいテクニックはそんな人たちが教えてくれますから。

高いものは良い……とは限らない

うちは最初からShopify Plusかな、というEC事業者必読! 通常版の違いと失敗しない選びかた | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/9280

まとめると、

  • Shopify Plusへのアップデートはとてもスムーズなので、通常版で運用してから必要に応じてPlusに移行すると良い
  • Shopify Plusの利用は審査があり、「このような理由でShopify Plusのこの機能が必要です」を説明できないと通らないことがある
  • Shopify Plusで会員基盤をきちんと作ることは、本気で越境ECに取り組む企業にとっては1つの良い選択肢とも言える
Shopify Plusを選ぶ事業者が重視しているポイント
決済ページのカスタマイズができる
シングルサインオン
APIのコール数を増やすことができる
基幹システムとの連携などカスタマイズに向いている
1アカウントで10サイト管理できる
Shopify Plus Merchant Success Managerがついて相談できる
https://eczine.jp/article/detail/9280より編集部でキャプチャ

Shopifyの通常版は毎月3,000円ほどで、Shopify Plusでは毎月20万ほど。「機能がたくさんあるPlusにしよう!」となるかもしれませんが、アプリで解決できることもあったりしますので、そこはよく考えた方が良いです。図にあるようなポイントに該当しない限りは不必要といっても良いでしょう。そもそものカスタマイズ自体も不要な可能性もありますので、要件をしっかり詰めてからですね。

EC全般

古着ブームの裏側に高まる若者の環境意識? 「優しい目線」の買い物が欲しい未来を引き寄せる | Gyoppy!(Yahoo! JAPAN)
https://gyoppy.yahoo.co.jp/originals/87.html

「エシカルとかサステナブルとかSDGsってなに?」と思っている人向けの記事です。アパレルの販売員さんは読んでおきたい。

大規模ECサイトでやるべきSEO施策①「カテゴリ」と「商品データベース」を精査しよう | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8788

大規模になるとSEOだけではなく基幹システムも考慮して動かないと危険。

2021年6月21日、Yahoo!ショッピングのストアパフォーマンスにおける優良店判定のロジックが変更 | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/4408

優良店判定のロジックに「お届け日指定可能率」「お届け日指定の最短日数」「送料無料注文率」「お問い合わせ率」「回答の早さ」が加味されます。

Amazon、「プライムデー」の国内売上は過去最高 販売個数は1100万個、最も売れた商品はAmazonデバイスと飲料と「○○」 | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/4050

わずか2日間でこれだけ売れたということは、日用品を買いだめした人もたくさんいたのでは?

<独自>アマゾン、不正商品管理に不備 名誉毀損やわいせつ物頒布の疑い | 産経ニュース
https://www.sankei.com/article/20210620-7BHUWZKFSJOTLK5RFYCQNNFLXI/

一方でこんな問題も。Amazonは品質向上に取り組んでほしいですね。

世界の小売業ランキング2021発表 Amazon.comが2位に躍進、日本企業最上位はイオンが14位 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/9320

Amazonの小売売上高成長率は13%と驚異的。

「Yahoo!ショッピング」2021年上半期「10大ヒット」。ホームプロジェクターなど「おうち時間」関連商品が上位に | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8837

ラベルレスペットボトル飲料が前年比1220%。自宅で飲むとはがすのが面倒ですしね。

最新版 EC-CUBE 4.0.6 のリリース およびEC-CUBE 3.0系・4.0系における脆弱性のお知らせ | EC-CUBE
https://www.ec-cube.net/news/detail.php?news_id=388

EC-CUBEクラウド版「ec-cube.co」では対応済みとのこと。

今週の名言

そもそも、「あの人は気づいていない」と思うこと自体が傲慢なのかもしれませんね。「気づかせてやろう」と思う時点で、相手の一部分しか見えていないのではないでしょうか。

相手には、何か気づかない理由があるのではないか。常にそう考えて、いくつものやり方で工夫してみることがコミュニケーションのズレをなくしていくためには必要なのだと思います。

「オンラインだから伝わらない」ではなく、課題が明確になっただけ──『具体と抽象』細谷功さんに聞く、会話のコツ | サイボウズ式
https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m005966.html

ネッ担の皆さんがよく思うことであろう「ここに書いてある」も同じでは?

森野 誠之
森野 誠之

中小企業のための「売上を上げるための集客」無料セミナー、7月6日から開催(Zoomウェビナー)

4 years 5ヶ月 ago

KDDIグループのCPIは7月6日(火)〜9日(金)の4日間、中小事業者における集客にフォーカスしたウェビナーを開催する。「SEO検索エンジン最適化」運営者の住 太陽(すみ もとはる)氏、PROPO代表取締役の中尾 豊氏、コミュニケーション・マーケティングコンサルタントの鈴木珠世氏が、SEO、LPO、アフィリエイト広告のプロとして登壇する。

Webを通じてこれから自社の商品やサービスの問い合わせや売上を増やしたい事業主、Web担当者向けの内容。

 
開催概要

イベント名/日時 「売上を上げるための集客」

  • 7月6日(火)18:50〜20:30「ウェブ集客について考える」(住 太陽氏、中尾 豊氏、鈴木珠世氏)
  • 7月7日(水)18:20〜20:50「中小企業向け集客の心得」(住 太陽氏)
  • 7月8日(木)18:20〜20:50「中小企業向けLPO実践」(中尾 豊氏)
  • 7月9日(金)18:20〜20:50「中小企業向けアフィリエイト活用」(鈴木珠世氏)

場所 オンライン(Zoom)
定員 各セッション500名
参加費 無料(セッションごとに申し込みが必要)
主催 CPI

内山 美枝子

マガシークがLINE+次世代動画技術「TIG」を使い直感的なショッピング体験を実現

4 years 5ヶ月 ago

ファッションECのマガシークは、動画をスマホで再生して気になったアイテムを指で触るだけで商品情報を保存、購入前の比較や検討ができる取り組みを始めた。

「MAGASEEK公式LINEアカウント」に導入。触って購入できる新感覚のショッピング体験を提供するとしている。

ファッションECのマガシークは、動画をスマホで再生し、気になるアイテムを指で触るだけで商品情報を保存して購入前の比較や検討ができる取り組みを、Tigを導入して実現
新感覚のショッピング体験のイメージ

マガシークがLINE公式アカウントに導入したのは、パロニムが開発・提供する次世代型動画テクノロジー「TIG」。動画視聴中に商品や音楽、料理、人物、場所など、気になったものに触るだけで、瞬間的に情報をストック、動画再生終了後に保存した商品アイコンをタップすると通販サイトなどで購入できる技術だ。

ファッションECのマガシークは、動画をスマホで再生し、気になるアイテムを指で触るだけで商品情報を保存して購入前の比較や検討ができる取り組みを、Tigを導入して実現
「TIG」を活用したショッピングの流れ

「MAGASEEK公式LINEアカウント」内リッチメニューの「MY TIG LIST」にアイテムをストックできる。興味を持っているアイテムを一目で確認でき、動画による買い物の向上につながると考え導入を決めた。

また、「TIG」の導入で、ユーザーがどのようなアイテムに興味関心を持っているのか、詳細に分析することが可能。ユーザーニーズに合わせたコンテンツを配信できるようになるため、顧客の要望に適したアイテムを案内することができるようになるとしている。

「TIG」は直感的なコマース体験を実現できる最新テクノロジーとして注目を集めており、ニトリなどが導入している。

瀧川 正実
瀧川 正実

1000万人以上が使うニトリのアプリ、コーディネート提案の新機能を実装

4 years 5ヶ月 ago

ニトリは「ニトリアプリ」に「コーディネートページ」を導入した。ライフスタイルに合わせて、部屋のコーディネートを楽しめるようにした。

「コーディネートページ」は、ニトリが提案する暮らしのコーディネートを、実際の部屋のコーディネート画像で閲覧できる機能。好みの画像を選択すると、コーディネートのコンセプト、実際に使用されている商品の一覧を表示する。

ニトリは「ニトリアプリ」に「コーディネートページ」を導入
「コーディネートページ」のイメージ

好みのスタイルや商品の組み合わせ方がわかり、理想の部屋のイメージをつかむことが可能。気になった商品はワンタッチでお気に入り登録でき、そのままアプリでまとめて購入できる。

「コーディネートページ」の使い方は、「おうちでニトリ」のタブをタッチした後、「コーディネート」をタップし、気になる画像を選択する。ハートマークをタップすると気になる商品を、お気に入りに登録可能。商品の詳細を確認したり、まとめて購入できる。

ニトリは「ニトリアプリ」に「コーディネートページ」を導入
「コーディネートページ」の使い方

「トピックス(お役立ち記事)」では、お得な買い物情報や暮らしのアイデアを配信。「サイズwithメモ」は、スマホのAR(拡張現実)機能を使って、写真を撮りながら気になる場所のサイズを計測できる。

ニトリは「ニトリアプリ」 「サイズwithメモ」は、スマホのAR(拡張現実)機能を使って、写真を撮りながら気になる場所のサイズを計測できる
「サイズwithメモ」のイメージ

大きさなどが記載された画像が生成され、画像は編集・保存ができメモとして利用可能。「カメラdeサーチ(画像検索)」によって、気になるインテリアの写真から、似ているニトリの商品を検索することもできる。

ニトリのアプリ会員数は2021年2月期で908万人。今期(2022年2月期)の目標は1300万人まで拡大する方針を掲げている。

ニトリアプリの利用者について
アプリ会員について(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

ニトリホールディングスの2021年2月期におけるEC事業の売上高は、前期比59.2%増の705億円。連結売上高に占めるEC売上高の比率は9.8%で、前期から2.9ポイント増加した。今後、EC事業の基盤強化を進め、2025年度までにEC事業の売上高を1500億円まで拡大させる。

石居 岳
石居 岳

iPhoneの「マップ」vs「Googleマップ」の比較&iPhoneのマップ向けローカルSEO対策を徹底解説 | 店舗ビジネスに役立つ『口コミラボ』特選コラム

4 years 5ヶ月 ago
iPhoneの「マップ」と「Google マップ」という2つの地図サービスの違いを知っておくことは、地図サービスを活用したローカルマーケティングを実施する際に役立ちます

iPhoneの「マップ」(Apple Maps)Google マップは、どちらも多数のユーザーを抱える地図サービスです。

Statistaが2018年4月に発表した資料によると、米国におけるiPhoneの「マップ」のユーザー数は2,330万人、Google マップのユーザー数は1億5,440万人となっています。

iPhoneの「マップ」とGoogle マップはどちらも地図検索やルート案内などの機能を搭載していますが、iPhoneの「マップ」ではストリートビューに類似した機能として「Look Around」、Google Earthに類似した機能として「Flyover」などが提供されています。

2つの地図サービスの違いを知っておくことは、地図サービスを活用したローカルマーケティングを実施する際に役立ちます。

今回の記事では、iPhoneの「マップ」とGoogle マップの違いを徹底比較します。

関連記事

iPhoneの「マップ」とは

Apple Mapsは、Appleが提供している地図サービスです。iPhoneでは「マップ」という名称で、端末に標準搭載されています。

2012年から提供されており、iPhone以外にもiPad, iPod touch, Apple Watch, MacなどのApple製デバイスで利用できます。

StatCounterが2021年4月に発表した資料によると、日本のスマートフォン市場におけるiOSデバイスが占める割合は66.03%となっています。

また、TesTee Labが2018年9月に発表した調査によると、地図アプリを利用している回答者のうちGoogle マップを利用している回答者は77.5%、iPhoneの「マップ」を利用している回答者は40.3%でした。

iPhoneの「マップ」とGoogle マップの使用者数の割合
▲iPhoneの「マップ」とGoogle マップの使用者数の割合:TesTee Labより、編集部作成

中でも10代の利用率が最も高く、地図アプリを利用している回答者のうち男性では50.7%、女性では48.6%の回答者がiPhoneの「マップ」を利用していることがわかりました。

この数字は2018年時点のものであるため参考程度に留めておく必要がありますが、iPhoneユーザーの一部はGoogle マップではなく、iPhoneの「マップ」を利用していることがわかります。

<参考>

過去には不具合が話題となるも、2020年には大型アップデートがリリース

初代iPhoneが発売されたのは2007年ですが、当時のiOS(当時の名称はiPhone OS)が搭載していた「マップ」はGoogle マップの地図情報を用いていました。

その後、2012年にiOS 6が公開され、この時に「マップ」が独自の地図情報を用いるものに更新されました。

しかし、公開当初は店舗や施設、道路などの位置情報や名称に間違いが多く、更には実在しない施設が地図上に出現するなどの不具合があり物議を醸しました。

特に「パチンコガンダム駅」や「餃子の王将駅」などが地図上に表示されたことは多くの日本人ユーザーの間で話題となりました。

このような不具合は世界中で発生したため、AppleのCEOを努めるティム・クック氏はApple公式サイトに謝罪文を掲載し、不具合が改善するまでの間はGoogle マップなどほかの地図サービスを使うようユーザーに案内するなど、Appleとしては異例となる措置が採られました。

翌年公開されたiOS 7よりiPhoneの「マップ」は徐々に改善を重ね、現在ではGoogle マップと地図サービス市場を奪い合うほどの実用性を備えています。

交通情報の報告機能が追加、評価の投稿も可能に

iPhoneの「マップ」はアップデートを重ねており、さまざまな新機能が追加されています。

2021年4月に公開されたiOS 14.5では、交通情報の報告、評価の投稿などの機能が追加されました。

  1. 交通情報の報告機能:事故情報、危険情報、スピード違反取り締まり情報、道路工事情報などが報告できます。
  2. 評価の投稿機能:「全体」「料理・ドリンク」「カスタマーサービス」「雰囲気」などの項目に高評価、低評価のいずれかを選び、投稿できます。評価に写真を添付することも可能です。
    現時点では投稿した本人しか評価・写真を閲覧できないようになっていますが、今後はGoogle マップのように一般公開されるものと考えられます。

また、iOS 14.5のベータ版では、ある場所の混雑具合をほかのユーザーに知らせるためにiPhoneが位置情報を匿名化、暗号化された状態でAppleに送信する機能が追加されています。

この変更は、Google マップの「混雑する時間帯」に対応する機能をiPhoneの「マップ」に搭載する前触れとも噂されており、今後もiPhoneの「マップ」には定期的に新たな機能が追加される見込みです。

iPhoneの「マップ」とGoogleマップ、4つの違い

iPhoneの「マップ」とGoogle マップには、類似した機能が数多く存在します。

ここでは、その中からLook Aroundとストリートビュー、FlyoverとGoogle Earth、評価と口コミ、Apple Maps ConnectとGoogle マイビジネスについて紹介します。

1. Look Aroundとストリートビュー

iPhoneの「マップ」の「Look Around」と、Google マップの「ストリートビュー」は、どちらも道路沿いの風景を見渡せる機能です。

Look Aroundとストリートビュー
▲Look Aroundとストリートビュー:編集部作成

まるでその場所にいるかのような臨場感が味わえるほか、行き先の店舗や施設の外観を事前に知りたいときにも有効活用できます。

Look Aroundは2019年に公開されましたが、ストリートビューは12年早い2007年に公開されています。

Look Aroundは2021年5月時点では東京、名古屋、大阪、広島、福岡、高松のみの対応となっています。一方、ストリートビューは国内ほぼ全ての公道に対応しています。

操作性の面では、Look Aroundは地図との同時表示と全画面表示のどちらにも対応していますが、ストリートビューは全画面表示のみとなっています。

また、Look Aroundでは移動したい地点をタップして移動しますが、ストリートビューでは移動したい地点をダブルタップするか画面に表示される線をなぞって移動します。

ほかにも、Look Aroundには画面上に方位磁針が表示され、タップすると北を向く機能が搭載されており、ストリートビューには方位磁針アイコンをタップするとスマートフォンの角速度センサーを用いてスマートフォンを向けた方向を見渡せる機能が搭載されています。

関連記事

2. FlyoverとGoogle Earth

iPhoneの「マップ」の「Flyover」と、Google マップの「Google Earth」は、どちらも3D化された地図を上空から眺められる機能です。

FlyoverとGoogle Earth
▲FlyoverとGoogle Earth:編集部作成

Flyoverは2012年の新「マップ」アプリと同時に公開されましたが、Google Earthは11年早い2001年に公開されています。

Flyoverは2021年5月時点では東京、名古屋、大阪などをはじめとする38都市のみに対応しています。一方、Google Earthは日本全国に対応しています。

Flyoverには都市の観光名所を上空から見て回る「Flyoverツアー」という機能が搭載されており、Google Earthには自然や文化、教育などのテーマごとに世界中の名所を上空から見て回る「Voyager」という機能が搭載されています。

なお、FlyoverはiPhoneの「マップ」から利用できますが、Google Earthを利用するには別途アプリのダウンロードが必要です。

3. 評価とクチコミ

iPhoneの「マップ」の「評価」と、Google マップの「クチコミ」は、どちらも店舗や施設への口コミを閲覧、書き込みできる機能です。

iPhoneの「マップ」とGoogle マップの口コミ一覧
▲iPhoneの「マップ」とGoogle マップの口コミ一覧:編集部作成

iPhoneの「マップ」における「評価」では、FoursquareやYelp、じゃらんnet、食べログなどから口コミを取得して地図上に表示しています(※)。

一方、Google マップにおける「クチコミ」では、Google マップのユーザーが投稿した口コミを掲載しています。ユーザーは地図上の店舗や施設を5段階で評価し、文章や写真と共に投稿できます。

Google マップには口コミを要素ごとに絞り込んだり、投稿日順や高、低評価順で並べ替える機能などが備わっています。

また、Google マップでは口コミなどを積極的に投稿するユーザーを「ローカルガイド」として認定し特典を付与するなど、さまざまな手段を用いて口コミの活性化に努めています。

※先述の通り、2021年4月にはiPhoneの「マップ」にユーザーが評価・写真を投稿できる機能が発表されています。現時点では投稿した本人しか閲覧できないようになっていますが、今後は一般に公開されるものと考えられます。

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4. Apple Maps ConnectとGoogleマイビジネス

Apple Maps ConnectGoogle マイビジネスは、どちらも事業者が店舗や施設の情報を地図上に登録できるサービスです。

iPhoneの「マップ」とGoogle マップの事業者情報
▲iPhoneの「マップ」とGoogle マップの事業者情報:編集部作成

Apple Maps ConnectはiPhoneの「マップ」に、Google マイビジネスはGoogle マップに、それぞれ情報を登録できます。

Apple Maps ConnectとGoogle マイビジネスの機能の違いについては、以下の表をご覧ください。

▲Apple Maps ConnectとGoogleマイビジネスの機能比較:編集部作成
▲Apple Maps ConnectとGoogleマイビジネスの機能比較:編集部作成

 

 

 

このように、Apple Maps Connectでは基本的な情報のみが登録できますが、Google マイビジネスではSNSのように投稿を作成したり、ビジネスプロフィールのアクセス数などを分析する機能が備わっています。

関連記事

iPhoneの「マップ」向けローカルSEO対策で知っておきたいこと

iPhoneの「マップ」やGoogle マップなどの地図サービスにおいて、自らの店舗や施設が検索結果の上位に表示されるような対策をローカルSEO(またはMEO)」と呼びます。

ローカルSEO対策は主にGoogle マップに向けて実施されていますが、国内にはiPhoneの「マップ」を利用するユーザーも数多く存在するため、iPhoneの「マップ」に向けたローカルSEOも無視できないものとなっています。

ここからは、iPhoneの「マップ」においてローカルSEO対策を実施する上で気をつけておきたいポイントを紹介します。

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1. iPhoneの「マップ」には各口コミサービスの口コミが表示される

iPhoneの「マップ」には、Booking.com, Foursquare, Yelp, じゃらん食べログトリップアドバイザーなどの口コミが表示されます。

そのため、各口コミサービスに店舗や施設が登録されていないと口コミが表示されず、ユーザーに店舗や施設の様子が伝わりづらくなってしまいます。

iPhoneの「マップ」の機能をフル活用するには、自社の業種に合わせた口コミサービスにあらかじめ登録しておくことがおすすめです。

※先述の通り、2021年4月にはiPhoneの「マップ」にユーザーが評価・写真を投稿できる機能が発表されており、今後はiPhoneの「マップ」でも口コミ返信などの対応が必要となる可能性があります。

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2. Google マイビジネスとの併用を

先述した通り、iPhoneの「マップ」に情報を登録するにはApple Maps Connectが利用できます。

しかし、Apple Maps Connectから登録できる情報の種類は現時点ではGoogle マイビジネスと比べて少なく、基本的な情報だけを登録できる形となっています。

Google マップは地図サービスの中では最大となるユーザー数を持っており、国内でも相当数のユーザーがGoogle マップを日常的に利用しています。

そのため、Apple Maps Connectと同時にGoogle マイビジネスにも登録すれば、より多くのスユーザーに自社の店舗や施設を見てもらえる可能性が高まります。

ローカルSEOを実施する際にはiPhoneの「マップ」とGoogle マップの両方を意識し、Apple MapsとGoogle マイビジネスの双方を活用するとよいでしょう。

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iPhoneユーザー向けのローカルSEOにはApple Maps Connectも活用しよう

iPhoneの「マップ」には定期的に新機能が追加されており、今日では日常利用に差し支えのないほどの地図サービスとなりました。

4月からはユーザーが店舗や施設の評価を投稿できるようになるなど、口コミ周りの機能も向上を図っていることがわかります。

ローカルSEOではGoogle マップやGoogle マイビジネスが重視されがちですが、iPhoneの「マップ」やApple Maps Connectに向けたローカルSEOも同時に実施することで、より多くのユーザーに自社の店舗や施設を見てもらえることにつながります。

iPhoneユーザー向けのローカルSEOにはApple Maps Connectも活用し、ローカルSEOを盤石のものとしましょう。

この記事を書いた「口コミラボ」さんについて

「口コミラボ」は、様々な地図アプリ・口コミサイトの監視、運用、分析を一括管理できる店舗向けDXソリューション「口コミコム」が運営する店舗ビジネス向け総合メディアです。近年、企業の評判管理が重要視されるなか、特に注視すべきGoogleマイビジネスを活用したローカルSEO(MEO)や口コミマーケティング、それらを活用した集客事例から、マーケティング全般、店舗経営のハウツー、業界動向データにいたるまで幅広い情報を紹介します。

口コミラボ
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【GlossierのDX事例】「愛するブランドは私が支える!」ファンの貢献心理が大きな武器に | DX経営図鑑(全8回)

4 years 5ヶ月 ago
Glossierは自ら製造した商品をショールームで公開し、オンラインで販売するD2C企業。熱心なファンが集うデジタルコミュニティからいくつもの新商品が生まれてきました。
DX経営図鑑

この記事は、書籍『DX経営図鑑』の一部を特別にオンラインで公開しているものです。

Part 2「業界別に見るDX事例
 》 Category 1「小売
 》 「Glossier コミュニティのハピネスの上に成り立つコスメの新星」より

Glossier(グロシエ)はミレニアル世代をターゲットとしたコスメブランドとして2010年にニューヨークで設立されました。DtoCに関するマーケティングや事例紹介の記事では常連となり、今やアメリカでは爆発的な人気を誇るコスメブランドです。2018年には売上1億ドル、評価額が12億ドルを突破してユニコーン企業の仲間入りを果たしました。創業者のエミリー・ワイスは2019年に雑誌『TIME』が発表する次世代を支える100人、“TIME 100 Next”に選ばれています。

はじめはブログから

Glossierは最初からDtoCブランドだったわけではありません。創業年の2010年というのは、創業者ワイスが運営する「Into The Gloss」というブログ開始の年です。彼女はニューヨーク大学を卒業後、世界的ファッション誌『VOGUE』のアシスタントスタイリストとして働いていました。Into The Glossは彼女自身がファッション業界についての発信を通じて情報交流を行い、スタイリストとしてのキャリアに生かすために始められました。そして、ブログの「バスルーム・インタビュー」と呼ばれるシリーズが一躍有名になり、急速にファンを増やしていったのです。

「バスルーム・インタビュー」はワイスが『VOGUE』の仕事を通じて知り合った女優やモデルなどのバスルーム(洗面所)を訪問してインタビューし、セレブリティがどのようにコスメやスキンケア商品を整理して日常的に美容ケアをしているのかを紹介したものです。セレブを身近に感じられるこのコンテンツはすぐに人気に火がつき、SNSで拡散され、それによってさらにブログファンが増えていきました。

2013年、ワイスは退社してブログ制作に専念するようになります。その翌年、Into The Glossで得たセレブからのアイデアやユーザーの要望を反映する形で、オリジナル商品のGlossierシリーズをリリースしました。

コミュニティの上に立脚したユーザーのためのコスメ

Glossierは自ら製造した商品をショールームで公開し、オンラインで販売する典型的DtoC企業です。彼らの最大の特徴は、デジタルコミュニティに立脚している点です。つまり、ブログInto The Glossのファンが顧客であり、商品開発の発案者であり、宣伝担当でもあるのです。

コミュニティのユーザー(ファン)が欲しいと思うものを実際に作り、批評してもらい、認知拡散や商流開拓もファンによって行われます。このため、ブランド認知と共感のためのマーケティングはしても、販促目的のプロモーションは行いません。ドラッグストアや百貨店の化粧品フロアはもちろん、Amazonにですら販売せず、全て自前のデジタルメディアで販売します。一部の新商品や定番商品はショールームでも買えますが、基本的にはオンラインで購入し、店舗で受け取る形式です。

Glossierは大量生産することで原価を下げ、量販店で大量に販売する、という従来のビジネススタイルに意識的に対立しています。必要とされるアイテムを開発し、必要なだけ生産する。原価を下げるために店舗や販促などのマーケティングコストを下げる。サステナビリティの実践を重視し、大量生産・大量消費について強い問題意識を持つミレニアル世代の意思を具現化したブランドであり、だからこそ、ファンはGlossierがより良くなるための商品開発や販売促進に貢献するのです。GlossierのビジネススタイルはBonobosと同様に、長期的な顧客価値体験の向上を主眼とするDNVBの一角として、単純な直販型のDtoCブランドとは一線を画すポジションを取っています。

Glossierが取り除くペイン
──品質確信までの時間を最小化する

Glossierは小売店舗での販売を行わず、デジタルで決済し、配送によって商品を届けるので、店舗訪問やレジ待ちがないという点では他のeコマースやDtoCと同じペインを除去しています。

ただ、Glossierのペイン除去の本質は、化粧品の消費者がブランドへの安心や信頼を確信するために費やす「時間と労力」を最小化しているところにあります。「品質への確信」を提供しているのです。

これまでの化粧品業界は、セレブリティを起用したブランドイメージの構築と大量の広告投下によって「確からしさ」を演出してきました。また、科学的根拠やユーザーの声とされる情報を用いて、さまざまな角度からその「確からしさ」を説明することで消費者の信頼を得てきました。

一方で、常に類似した商品がしのぎを削り、画像加工による誇大広告も多く、時には成分偽装による被害もあったりするので、現代の消費者は化粧品ブランドのプロモーションを斜めに見るようになっています。何より、デジタルメディアの隆盛によって、埋もれていた良い商品を見つけ出すこともできる時代です。特にミレニアル世代の消費者は、ブランドのプロモーションを真に受けず、ソーシャルメディアで商品レビューを確認したり、購入する前に比較吟味したりします。本当に良いものを探し出すというモチベーションそのものが、「探求負荷という新たなペイン」を作り出しているともいえるのです。

Glossierの前身であるInto The Glossはそのような商品レビューも含めて人気を博し、メイクアップのプロの視点から「あるべき化粧品の姿」をコミュニティと一緒に作ってきたという歴史がブランドの核心になっています。伝統的ブランドのマーケティング情報を疑うようになった消費者にとって、Glossierの商品は最初から「確からしい」商品であることが担保されており、安心して熱狂できる土台があるのです。

Glossierが作り出すゲイン
──愛するブランドに貢献するハピネス

Glossierが新たに作り出す価値は、ファンによる「自分たちがこのブランドを支えている」という自負でしょう。

これまでの化粧品業界は、ユーザーインタビューを注意深く行い、その意見を生かして商品を開発してきました。しかし、そこに参加できるのは商品を所持しているわずかな人たちだけでした。

GlossierはInto The Glossというブログが形成したコミュニティが全ての基盤です。Glossierの良さを伝えたい純粋なファン心理と、紹介した相手がGlossierを気に入ってくれる喜びを原動力に、コミュニティメンバーがGlossierの当事者として活動しているのです。

事実、Glossierは新規顧客の約8割がコミュニティからの紹介であると発表していて、コミュニティメンバーが自発的に開設したGlossier応援のためのInstagramアカウントは大きな流入元になっています。

コミュニティはGlossierという誠実なブランドを人に伝え、それによって得られる幸せ──ハピネスをゲインとして受け取っています。

  • 著者: 金澤 一央、DX Navigator 編集部
  • 発行: 株式会社アルク
  • ISBN: 978-4757436787
  • 価格: 2,310円(税込)

勝てるDXの本質
~次に生き残るのは、誰か?~

世界の伝統的企業やスタートアップがいち早く取り組んできたDXの数々。各事例をつぶさにレポートしてきた「DX Navigator」編集部の知見をまとめ、事例分析と価値提供のプロセスを可視化した一冊です。

本書は世界全32社のDX事例を収録。いずれも、顧客/ユーザー視点での「ペイン(苦痛)」と「ゲイン(利得)」を切り口に、顧客/ユーザーが最終的に得た「価値」について解き明かします。

Part 1では、従来の商習慣や価値提供の概念を新しい基準に転換させた「ゲームチェンジャー」である9社―Netflix、Walmart、Sephora、Macy’s、Freshippo、NIKE、Tesla、Uber、Starbucks―を取り上げます。

Part 2では、海外のスタートアップを中心に日本企業も加えた23社の事例を、業界別に紹介。多くの顧客/ユーザーから支持を得た、各社のエッジが効いた斬新なアイデアとその背景に鋭く迫ります。

日本の「DXブーム」には問題も潜んでいます。DXとは単なる技術導入やカイゼンを言い換えた言葉ではなく、「ユーザーが最終的に得る価値」を見つめ、新しい価値提供の仕組みを創り出すということ。これからも続く企業の変革、世の中の変革のなかで、次に生き残るのは誰か?

金澤一央+DX Navigator 編集部
金澤一央+DX Navigator 編集部

Amazonプライムデーの流通総額は111億ドルと米専門誌が推定、日本では出品者による商品販売は約1100万個

4 years 5ヶ月 ago

アマゾンジャパンが6月21-22日の2日間に実施したAmazonプライム会員向けセール「プライムデー」は、出品者による商品販売が約1100万個に達した。プライム会員に加入した消費者の数、販売事業者の売上高は過去最多だったという。

「プライムデー」で使用できる1000円分のクーポン提供といった中小企業応援キャンペーンを「プライムデー」開催前2週間にわたって実施。数百万人のプライム会員が中小規模販売事業者の商品を購入した。

プライム会員が購入した商品のトップカテゴリーは、日用品、飲料、ベビー用品、Amazonデバイス。「Fire TV Stick 4K」「Echo Show 5(第1世代)」「Echo Dot(第4世代)」「やかんの麦茶650mlPET ×24本」、「ICY SPARK from カナダドライ430mlPET ×24本」「除菌ジョイ コンパクト 食器用洗剤 詰め替え ジャンボ 1330mL」などが売れた。

Amazonによると、グローバルではプライム会員が2億5000万以上の商品を購入。米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』の分析では、2日間の流通総額は111億9000万ドルで前年実績比7.6%増だったと推定している。

なお、グローバルで「プライムデー」開催2週間前からキャンペーンを実施。販売パートナーの成功に数十億ドルを投資したという。

瀧川 正実
瀧川 正実

Facebookがパーソナライズしたショッピング体験を実現するショップ広告とAI・AR分野のテクノロジーへ投資

4 years 5ヶ月 ago

Facebookは6月22日(米国時間)、コマース領域の取り組みとして、ショップ機能や広告ソリューションの拡充、充実したショッピング体験を将来的に実現するためのテクノロジーへの投資について発表した。

利用者のショッピングの好みに応じてパーソナライズされた広告体験を提供するショップ広告を導入する。

たとえば、FacebookやInstagramのショップもしくは自社サイトでの商品購入など、利用者のショッピング行動に基づいて、最も商品を購入しそうな場所に送客できる広告を米国でテストしている。

将来的には、特定顧客に特別なオファーやプロモーションを提供するなど、EC事業者などがショップ広告をさらにパーソナライズできる方法を検討している。

Facebookは、AR(拡張現実)やAI(人工知能)などのイマーシブテクノロジー(没入型技術)が今後のオンラインでのショッピング体験の基盤になると予測。こうした技術への投資も進めている。

Facebookは6月22日(米国時間)、コマース領域の取り組みとして、ショップ機能や広告ソリューションの拡充、充実したショッピング体験を将来的に実現するためのテクノロジーへの投資について発表
イマーシブテクノロジー(没入型技術)に投資していく

InstagramにAIを活用した新たなビジュアル検索ツールを導入、利用者が簡単に新しい商品を発見できるようにするほか、AR体験を通じて購入前に商品を体験し、イメージしやすくなるようにする。

Instagramでは2021年、AIを活用した新たなビジュアル検索機能のテストを米国で開始。たとえば、花柄のワンピースの画像をタップすると、類似商品を見つけることができるようになるといった機能だ。

将来的には、利用者がカメラで撮影した画像からもビジュアル検索を利用できるようにする。初期段階だが、ビジュアル検索を導入することでInstagram上の多くの画像や動画からショッピングを楽しむことができるようになり、モバイルでのショッピング体験がさらに充実すると見ている。

Facebookは6月22日(米国時間)、コマース領域の取り組みとして、ショップ機能や広告ソリューションの拡充、充実したショッピング体験を将来的に実現するためのテクノロジーへの投資について発表
ビジュアル検索を利用できるようにする

Facebookによると、オンラインショッピング利用者の3分の2は、自宅で商品をバーチャル試着したいと回答しているという。顧客が商品を購入する前に使用感を試すことができるよう、API連携を通じてARを活用した試着体験をショップ機能内で提供できるようにする。

なお、2022年6月までの1年間、FacebookとInstagramのチェックアウト(決済)機能を利用している出品者への手数料を免除する。

2020年に提供が始まったショップ機能は、現在の月間アクティブショップ数は120万、毎月ショップを訪れる利用者の数は3億を超えているという。

石居 岳
石居 岳

雇用調整助成金 特例措置、8月まで延長/コロナ禍で最も利用されているECモールは?【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

4 years 5ヶ月 ago
2021年6月18日~24日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 「雇用調整助成金」特例措置を8月まで延長する方針、厚生労働省が発表

    「雇用調整助成金」特例措置について厚生労働省は、8月まで延長する方針を発表。9月以降の助成内容は、雇用情勢を踏まえながら検討、7月中に公表するとしている

    2021/6/21
  2. コロナ禍で最も利用されているECモールは楽天市場。アマゾン、楽天、ヤフーの利用者属性はどうなった?【ニールセン調査】

    利用者数が多い大手ECモールの世帯を対象にした延べ視聴率を性年代別で見ると、「楽天市場」がどの性年代別でも他のモールを上回った

    2021/6/21
  3. ECの課題は「売上拡大」「新規獲得」。効果が高いと感じるSNSは「YouTube」

    シナブルがEC担当者460人に対して自社ECサイトの課題を調査。「売上拡大」「新規顧客獲得」「商品・サービスの企画/開発」「コスト削減」などがあがった

    2021/6/23
  4. 大規模ECサイトでやるべきSEO施策①「カテゴリ」と「商品データベース」を精査しよう

    業態別SEO施策解説第1回「DB型大規模ECサイト編」(前編)【連載第4回】

    2021/6/23
  5. 今さら聞けないCRM(顧客関係管理)入門。ツール導入までのステップは? オフラインとのID統合はどう実現する?

    消費者の共感を呼ぶ商品やサービスを生み出し選び続けてもらうためには、顧客との接点において関係性を維持させていくCRM施策が不可欠(連載4回)

    2021/6/21
  6. 京王百貨店がLINEミニアプリ活用で“ファンづくり”。会員160万人へのOne to Oneマーケティング

    デジタルでの顧客接点拡大と顧客1人ひとりに合わせたサービス提供が必要と判断、会員情報とひも付けた施策が行えるLINEミニアプリの活用を決めた

    2021/6/18
  7. トヨタ自動車公式サイトがインスタ投稿活用したUGCマーケ、試乗予約や見積依頼などにも誘導

    トヨタ自動車公式サイトでトヨタユーザーがInstagramに投稿したコンテンツをピックアップし、掲載するコンテンツ「みんなのトヨタグラム」をスタート

    2021/6/22
  8. 【CasperのDX事例】重いマットレスはもう卒業! いくつもの「手軽さ」が生み出す新習慣

    アメリカのCasperはミレニアル世代をターゲットにしたマットレスの通販企業。重い、不便といった顧客のペイン(苦痛)を新手法で解消しました。

    2021/6/21
  9. CRMツールを入れたけど「効果がない」はナゼ?失敗するCRM施策と3つの大きな問題点

    CRMでLTVとリピート率を改善するには? CRMツール「アクションリンク」開発者が解説

    2021/6/23
  10. 「Magento」から「Adobe Commerce」へ。アドビが取り組むコマース事業の最新情報&Cookieレス対応&事業者事例

    アドビはライセンス版「Magento Commerce」を「Adobe Commerce」に統合した。「Adobe Commerce」などが属するサービス群「Adobe Experience Cloud」のアップデートなどの最新情報をまとめた

    2021/6/22

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    「Yahoo!ショッピング」2021年上半期「10大ヒット」。ホームプロジェクターなど「おうち時間」関連商品が上位に

    4 years 5ヶ月 ago

    ヤフーは「Yahoo!ショッピング」の2021年上半期「10大ヒット」商品を発表した。1位は「ホームプロジェクター」で2位はアニメ「エヴァンゲリオン」のフィギュア、3位は「シャワーヘッド」。自宅で過ごす時間を充実させる物や、リラックスする時間に使いたい物など「巣ごもり消費」の傾向が顕著という。ランキングの集計期間は2021年1月1日~6月15日。

    「おうち時間」を充実させる商品がランクイン

    ヤフー Yahoo! Yahoo!ショッピング 2021年上半期大ヒット10 ランキング
    Yahoo!ショッピング 2021年上半期「10大ヒット」商品(画像は「Yahoo!」サイトからキャプチャ)

    1位は「ホームプロジェクター」で、取扱高は前年比150%。「おうち時間」増加に伴い、売り上げが伸びた商品の1つだという。ホームプロジェクターの中でも、工事なしで簡単に取り付けられる商品が人気。

    ヤフー Yahoo! Yahoo!ショッピング 2021年上半期大ヒット10 ランキング ホームプロジェクター
    「ホームプロジェクター」で売れた商品トップ3(画像は「Yahoo!」サイトからキャプチャ)

    2位はアニメ「エヴァンゲリオン」のフィギュアで、取扱高は前年比310%。2021年3月に映画が公開されたことにより、ブームが再燃した。

    3位は「シャワーヘッド」で、取扱高は前年比350%。マスク生活による肌荒れやオンライン会議で自分の顔を見る機会が増えたなどの理由で、スキンケアに関する関心が高まっているという。

    ヤフー Yahoo! Yahoo!ショッピング 2021年上半期大ヒット10 ランキング シャワーヘッド
    「シャワーヘッド」で売れた商品トップ3(画像は「Yahoo!」サイトからキャプチャ)

    2021年上半期に特に売り上げが増加した物は、ラベルレスのペットボトル飲料で、前年比1220%。コロナ禍で在宅時間が増加した2020年から売り上げが伸びていたという。

    ヤフー Yahoo! Yahoo!ショッピング 2021年上半期大ヒット10 ランキング ラベルレスのペットボトル飲料
    ラベルレスのペットボトル飲料で売れた商品トップ3(画像は「Yahoo!」サイトからキャプチャ)

    2021年は東日本大震災から10年という節目で防災意識の高まりから防災グッズが人気で、取扱高は前年比160%。家族などへのギフトとしても売れているという。

    また、日持ちするレトルト食品の利用が直近1年で増加。レトルト食品は賞味期限が長いため、防災を意識した「ローリングストック(普段から少し多めに購入し、使った分だけ新しく補充することで、一定量を家に備蓄する方法)」として購入したユーザーも増えたという。

    ヤフー Yahoo! Yahoo!ショッピング 2021年上半期大ヒット10 ランキング 防災グッズ
    防災グッズで売れた商品トップ3(画像は「Yahoo!」サイトからキャプチャ)
    藤田遥
    藤田遥

    「世界の小売業ランキング2021」トップはウォルマート、2位はAmazon。日本企業トップはイオンで14位

    4 years 5ヶ月 ago

    デロイト トーマツ グループは6月23日、「世界の小売業ランキング2021」を発表した。

    「世界の小売業ランキング2021」は、全世界の小売企業から2019年度(2020年6月30日までを期末とする事業年度)の売上高上位250社をランキングにまとめたもの。調査開始から24回目を迎えるGlobal Powers of Retailingの最新版を日本語訳した。

    トップはWalmart(ウォルマート)で、2位にはAmazon.comがランクイン。Amazon.comは前回まで6年連続で2位にランクインしていたCostcoを抜き世界第2位に躍進した。2015年度に初めて10位にランクインして以降、毎年順位を上げている。

    「世界の小売業ランキング2021」のトップ10社 デロイト トーマツ グループ発表
    「世界の小売業ランキング2021」のトップ10社

    上位250社の総小売売上高は4兆8500億米ドル(前年度は4兆7400億米ドル)、平均小売売上高は194億米ドル(前年度は190億米ドル)、2014年から2019年度における小売売上高の年平均成長率は5.0%。

    日本企業でトップ250入りした企業数は前回調査から1社減の28社。最上位は14位にランクインしたイオン。18位にセブン&アイ・ホールディングス、51位にファーストリテイリングが入った。

    「世界の小売業ランキング2021」 デロイト トーマツ グループ発表 日本企業
    上位250社に入った日本企業

    250社のランキング詳細や急成長小売企業50社の一覧、地域別の動向、商品セクター別の動向などについて、以下のサイトからダウンロードできる。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    休業した労働者が生活資金を直接申請できる「休業支援金」の申請対象期間を8月末まで延長、厚労省が発表

    4 years 5ヶ月 ago

    新型コロナウイルス感染症の影響で勤務先から休業させられたものの、勤め先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、生活資金を申請できるようにする労働者向けの給付制度「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(休業支援金)に関して厚生労働省は、申請対象期間を8月末まで延長すると発表した。

    これまでの申請対象期間は7月末だった。沖縄県での「緊急事態措置」の期間延長、東京都・愛知県・大阪府などの都道府県は「まん延防止等重点措置」へ移行されたことを踏まえ、延長を決めた。

    新型コロナウイルス感染症の影響で勤務先から休業させられたものの、勤め先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、生活資金を申請できるようにする労働者向けの給付制度「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」
    「休業支援金」」の申請対象期間の延長について

    「休業支援金」は、企業の選択によって雇用調整助成金を活用しない勤務先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接現金を申請できる制度。中小企業・大企業の被保険者(労働者)に対し休業前賃金の80%を、国が休業実績に応じて支給している。

    大企業については、シフト労働者など(労働契約上、労働日が明確ではない労働者)が対象。中小企業での日々雇用やシフト制で、実態として更新が常態化しているケースにおいて、事業主が休業させたことについて労使の認識が一致した上で支給要件確認書を作成すれば支給対象としている。

    原則的な措置の助成額上限は9900円。緊急事態宣言、感染が拡大している地域(まん延防止等重点措置対象地域の知事による基本的対処方針に沿った要請)について、都道府県知事による要請を受けて時短協力などに応じた企業による休業で、事業主に休業させられる労働者が休業手当を受け取れないときは、助成額の上限額は1万1000円。

    新型コロナウイルス感染症の影響で勤務先から休業させられたものの、勤め先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、生活資金を申請できるようにする労働者向けの給付制度「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」
    「休業支援金」の申請期限など
    瀧川 正実
    瀧川 正実

    コロナ禍の家具・インテリア市場規模は過去最高の1.5兆円、巣ごもり需要や在宅勤務が追い風

    4 years 5ヶ月 ago

    帝国データバンクによると、2020年度の国内における家具・インテリア販売市場(事業者売上高ベース)は前年度比6.1%増の約1兆5000億円となった。ニトリやIKEAなど大手各社が業界全体をけん引し、過去最高を更新する見通しだ。

    家具・インテリア販売市場(事業者売上高ベース)
    家具・インテリア販売市場(事業者売上高ベース)

    総務省の調査によると、家具や寝具、ホームインテリアなどへの支出額(12か月移動平均値)は総じて前年を上回る水準で推移。一般家具はリアル店舗・ネットでの購入を含め、2019年の消費税増税による駆け込み需要から反動減となった9月を除くすべての月で前年から支出額が増加した。

    家具や寝具、ホームインテリアなどへの支出額推移
    家具や寝具、ホームインテリアなどへの支出額推移

    コロナ禍での在宅勤務など、自宅で長時間を過ごす新しい生活様式が定着。自宅の仕事環境の整備や、普段の生活の中における「快適性」を重視する傾向が強まった。こうした外部環境を背景に、家具販売各社では低価格帯に強みを持つ大型量販店、EC販売分野に特化した家具店で、前年度から大幅な増収となる企業が相次いだ。

    ニトリの2021年2月期の連結売上高が前期比11.6%増の7169億円。イケア・ジャパンの2020年8月期は前年比2.7%増の867億円。ホームセンターのナフコにおける家具販売事業も同6.7%増の475億円と伸長した。

    EC販売も大幅に伸びた。「LOWYA」ブランドを展開するベガコーポレーションの2021年3月期は前年を大幅に上回る業績を確保している。

    一方、好調な大手とは対照的に高級家具店や町の家具店は苦戦。規模別では、年商10億円以上の大・中型店舗の約半数が前年比で増収だったが、高級家具店やセレクトショップなどアッパーミドルの価格帯を得意とする家具店は業績が伸び悩んでいる。

    大規模ショールームや自前のネット販売チャネルを持たない小型店舗も増収の割合が低いほか、零細店舗では売り上げ伸び率の平均が1割超のマイナスに。コロナ禍で家具・インテリアの買い替え需要は増加したものの、客足の多くが低価格帯に流れ込んでおり、こうしたラインナップに勝る大手やEC専門店と小規模店で業績の二極化がより鮮明となっている。

    企業規模別の販売状況
    企業規模別の販売状況

    2021年度の家具販売はニッチな高級家具市場と低価格家具の二極化が進行する予想。特に低価格市場が占めるシェアは高ると帝国データバンクは予想する。低価格帯では引き続き大手の出店攻勢が続くほか、異業態からの参入も相次ぐなど、国内家具・インテリア市場は拡大する低価格家具市場のパイを取り合う厳しい競争が続く。

    飛躍的な成長を見せる家具のD2C業態は世界的にも浸透が進む。欧州市場では豊富な品ぞろえや配送料無料を武器に急成長を遂げる「ホーム24」(独)、スタイリッシュで高品質な家具で人気を集めるメイド・ドット・コム(英)など、新興のD2C家具企業が台頭。こうしたEC販売のシェア拡大は国内でも同様に進むと見られ、競争はより熾烈化していくとしている。

    石居 岳
    石居 岳

    クッキーレス時代のマーケティングに重要な「ファーストパーティデータ」。個人情報を喜んで提供する顧客を増やすためのヒント | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    4 years 5ヶ月 ago
    ファーストパーティデータを駆使したパーソナライゼーションは、Cookieに代わるマーケティング手法になり得るか? 先行事例から探ります

    消費者から直接収集したデータ(ファーストパーティデータ)を分析すると、ライフステージ、所属する団体や組織、職業など、消費者の特性をより深く理解することができます。クッキーレス時代の新たなマーケティング手法として注目を集める、消費者が自発的に開示した個人情報を基に、企業が顧客1人ひとりに高度なサービス還元するパーソナライゼーション事例とメリットを見ていきます。

    クッキーレス時代、企業はファーストパーティデータの収集が必須に

    「今後は、ChromeでCookieを使ったトラッキングを許可しない」。Googleが公表した最近の声明は、消費者のプライバシーに対する懸念を大手企業が認めたことになります。この声明以降、Cookieを使わずに広告を行う方法に関する議論が盛り上がっています。

    しかし、潜在的顧客の特徴を理解するためには、推測による行動追跡だけでは不十分です。よりパーソナライズされたマーケティングを望む消費者が、喜んで個人情報を提供してくれるよう、ファーストパーティデータ(自社で蓄積するデータ)のクリエイティブな収集方法を見つける必要があります。

    業界ではこの顧客の同意を得たデータを、ファーストパーティデータと区別するために「ゼロパーティデータ」という新しい言葉で呼び始めていますが、ここではわかりやすくするためにファーストパーティデータという言葉で統一します。

    消費者から直接収集したデータがあれば、消費者のライフステージ、所属するソーシャルグループや職業など、より深いレベルで消費者を理解することができます。また、消費者のクリックや購買行動を密かに追跡するようなストーカー行為を行わなければ、最初から透明性と信頼性に基づいた関係を築くことが可能です。

    ファーストパーティデータを収集・利用する方法はいくつかありますが、これらはすべて、「自発的情報開示型パーソナライゼーション」と呼ばれる大まかなカテゴリーに分類されます。見込み客に自分に関する情報を進んで提供してもらい、その見返りとして、高度にパーソナライズされた商品やサービスを提供するというものです。

    「ThirdLove」の活用事例

    興味深い例として、「ThirdLove(サードラブ)」というアパレルDtoCブランドがあげられます。共同設立者のハイディ・ザック氏は、「ショッピングモールでブラジャーを購入した時に、会社設立を思い立った」とCNNに語っています。

    彼女は、ショッピングモールでブラジャーを購入する際、サイズが合わないことに気付いたものの、とりあえず商品を購入してしまい、家に帰ってから後悔したそうです。女性が自分に合ったブラジャーを見つけるためには、より良いカスタマーエクスペリエンスが必要だと、ザック氏は考えました。

    「Third Love」のECサイトトップページ
    「Third Love」のECサイトトップページ(画像:サイトから編集部がキャプチャ)

    彼女と彼女のチームは、消費者にクイズに答えてもらうことで個人情報を入手し、そのデータに基づいて最適なブラジャーをおススメするという解決法を打ち出しました。

    たとえば、過去の回答に応じて「体重が増えたか減ったか」を尋ねる質問をします。そのような個人的な情報でも、「ThirdLove」にぴったりの商品を提供してもらうために、消費者は迷わず答えてくれるでしょう。

    「ThirdLove」が実施しているクイズ例
    「ThirdLove」が実施しているクイズ例(画像:サイトから編集部がキャプチャ)

    また「ThirdLove」は、同じファーストパーティデータを、組織の重要な意思決定に役立てています。インタビューでザック氏は、「私たちは(クイズから集めた)すべてのデータポイントを使って、より賢くなり続ける内部アルゴリズムを構築しています」と説明しています。

    たとえば、特定のサイズの在庫を管理するなど、サプライチェーンに関する意思決定にも役立てています。また、サイズの傾向が時系列でどのように変化するかを理解するのにも役立ちます。(ザック氏)

    顧客への情報提供依頼はためらわずに行おう

    商品やサービスの割引を提供するために、消費者のキャリアや所属団体に関する情報を求めるブランドもあります。

    たとえば、旅行会社の「Cheap Caribbean(チープ カリビアン)」では、医療関係者を対象に旅行パッケージを特別価格で提供しています。消費者は、医師や看護師などの医療従事者であることを証明する書類を進んで提出し、特典を受けることができます

    これまで多くの小売企業は、不必要な「摩擦」が生じることを恐れて、見込み客にあまり多くの、あるいはあまりにも個人的な質問をすることを躊躇してきました。しかし、これらの個人的な質問が、消費者が欲しいものを手に入れる手助けになると考えてみてください。「押しつけがましい摩擦」から、「素晴らしい購買体験」へと脚本を変えることができます。

    さらに、「自発的情報開示型パーソナライゼーション」の取り組みから集められたデータは、将来のブランドロイヤルティの原動力となります。オープンで誠実なデータを得ることで、お互いの信頼関係が構築され、双方が満足し、そこから利益を得ることができるのです。これが、長期的な関係性とロイヤルティの出発点となります。

    ◇   ◇   ◇

    消費者のプライバシー保護が強化される中、業界が変化していることは間違いありませんが、それは実は良いことなのです。新しい世界では、「自発的」をキーワードに、プライバシーとパーソナライゼーションの共存が可能になります。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360
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    「LOHACO」本店サイトをリニューアル。PayPayモール店との連携強化、同一ポイント倍率の適用、購入履歴の閲覧機能

    4 years 5ヶ月 ago

    アスクルが運営する一般消費者向けECサイト「LOHACO(ロハコ)」は、6月22日(火)に本店サイトをリニューアルオープンした。リニューアル後は、オリジナル商品のラインナップ強化や「LOHACO」 PayPayモール店での購入履歴が本店でも閲覧可能になる。

    従来より「おトクで便利な買い物」を可能に

    LOHACO ロハコ アスクル 本店リニューアルオープン
    6月22日(火)にリニューアルオープンした「LOHACO」の本店サイト

    新サイトでは、サステナビリティや暮らしの悩み解決など、「LOHACO」ならではの視点で企画開発したオリジナル商品のラインナップを強化するという。

    また、「LOHACO」 PayPayモール店と同一のポイント倍率を適用するほか、「LOHACO」 PayPayモール店の購入履歴を本店でも閲覧できるようになる。

    「LOHACO」は4月20日から、ユーザーに向けてリニューアルに関する事前告知を行っていた。リニューアルに伴う主な変更点などは次の通り。

    • 本店ECサイトのURL変更
    • 「LOHACOアプリ」が6月14日(月)から新しいアプリに変更
    • 注文締め切り時間が14時に変更(リニューアル前は15時)
    • 購入履歴は新サイトから閲覧可能
    LOHACO ロハコ アスクル 本店リニューアルオープン ロハコアプリ
    6月14日に新しくなった「LOHACO」アプリ(画像は「LOHACO」サイトからキャプチャ)

    リニューアルキャンペーンを実施

    本店リニューアルを記念して、7月1日(木)12時00分~7月26日(月)11時59分まで「リニューアルキャンペーン」を実施する。対象店舗は「LOHACO」本店、PayPayモール店(一部企画はいずれかの店舗のみ)。主なキャンペーン内容は次の通り。

    LOHACO ロハコ アスクル 本店リニューアルオープン リニューアルキャンペーン
    本店リニューアルを記念した「リニューアルキャンペーン」を実施

    ① PayPayボーナスがもらえる「HAPPY DAY」

    期間中にエントリーすると最大39%のPayPayボーナスが付与される。「LOHACO」新サイトの全商品が対象で、7月3日~5日、7月22日~25日はさらにPayPayボーナスが付与される「もっともっとHAPPY DAY」を実施予定。

    • 実施期間:7月1日(木)12時00分~7月26日(月)11時59分
    • 対象店舗:「LOHACO」本店

    ② リニューアル記念セットの販売

    「LOHACO」でのみ購入できるオリジナル商品や「暮らしになじむデザイン」をテーマにしたメーカーとのコラボ商品を対象に、ノベルティ付きなどの限定セットを販売する。日用品や食品、ビューティアイテムなどを予定。

    • 実施期間:7月1日(木)12時00分~7月30日(金)23時59分
    • 対象店舗:「LOHACO」本店

    ③ 3グループ以上購入で10%割引

    3グループ以上の商品を購入すると10%割引になるまとめ割企画を実施する。

    • 実施期間:7月1日(木)12時00分~7月30日(金)12時00分
    • 対象店舗:「LOHACO」本店
    • 対象グループ:暮らしになじむデザイン、 環境にやさしい生活用品、 日用品・文具・雑貨、 洗剤・洗濯・清掃用品、薬・健康食品・サプリメントなど10グループを予定

    ④ アウトレットセール

    旧パッケージや旧仕様品、通常よりも賞味期限までの期間が短い商品をアウトレット価格で紹介している「LOHACOアウトレット」でセールを実施。

    • 実施期間:7月1日(木)12時00分~7月26日(月)11時59分
    • 対象店舗:「LOHACO」本店、PayPayモール店

    ⑤ PayPayモール店で使えるクーポンを発行

    「LOHACO」PayPayモール店でのみ利用できるクーポンを発行する。クーポンは5%、10%、15%オフの3種類で、対象となる商品は1万点以上。

    • 実施期間:7月1日(木)12時00分~7月20日(火)12時00分
    • 対象店舗:「LOHACO」PayPayモール店
      ※クーポンによって割引率・対象商品が異なる。一部対象外商品あり

    ⑥ PayPayモール店でセールを実施

    「LOHACO」PayPayモール店において、特設ページを設けて日用品や食品を中心としたセールを実施。前半・後半に分けて行い、対象商品が異なる。

    • 実施期間:(前半)7月1日(木)12時00分~7月13日(火)11時59分ごろ
      (後半)7月13日(火)12時00分ごろ~7月30日(金)11時59分
    • 対象店舗:「LOHACO」PayPayモール店

    ⑦ 6850人限定、オリジナルBOXティッシュプレゼント

    1回の注文で対象商品を合計4000円以上(税込)購入すると、抽選で6850人に「LOHACO」のロゴをモチーフにしたコンパクトサイズのBOXティッシュ1点が商品と一緒に届く。

    • 実施期間:7月1日(木)12時00分~7月26日(月)11時59分
      ※上限に達し次第、早期終了の場合あり
    • 対象店舗:「LOHACO」本店
    LOHACO ロハコ アスクル 本店リニューアルオープン オリジナルBOXティッシュ
    抽選で6850人に届くオリジナルBOXティッシュ
    藤田遥
    藤田遥

    大規模ECサイトでやるべきSEO施策①「カテゴリ」と「商品データベース」を精査しよう | EC事業者のための「SEO」と「広告」の話

    4 years 5ヶ月 ago
    業態別SEO施策解説第1回「DB型大規模ECサイト編」(前編)【連載第4回】

    ECサイトのタイプ別にSEO施策を解説していきます。1回目は大規模ECサイトについて、2回にわけて解説します。

    「ECサイト」と言っていますが、商品やサービスデータが数千件〜数万件あり、カテゴリで分類しているような大規模サイトを指すため、求人、不動産、美容系のポータルサイトなども含みます。データベースを使っていても、商材が限られたり規模が小さめのサイトは「単品系通販」として次回以降、取り上げます。

    DB型の大規模ECサイトとは

    データベース型の大規模ECサイトの特徴は、SEOと広告の協業がかなり効率的に行えることです。SEOではサイト構造やカテゴリ、商品データ周りまで手を入れることがあり、マーケティングの環境整備ができます。そして広告ではその整った環境下で自動化を見据えた効率的な広告配信、つまりアセット活用ができるのです。

    SEOの最初のステップは、サイトの構造と検索ニーズを俯瞰してみることです。そこはスマホ時代になっても変わらないので、一度サイト構成図を作ってみることをおすすめします。

    それなりの商品数がありメーカーやブランド商品も扱っていて、実店舗もあるようなサイトの構造を作ってみました。

    サイト構成図の例

    DB型の大規模ECサイトに共通しているのは、

    • カテゴリがある
    • 場合によってはカテゴリを複数クロスしたクロスカテゴリがある
    • 特集やコラムがある
    • 末端に商品やサービスがある
    • リアルビジネスがある場合、店舗ページがある

    といったことです。ここに「know(知りたい瞬間)」「go(行きたい瞬間)」「do(やりたい瞬間)」「buy(買いたい瞬間)という4つのモーメントを当てはめます(モーメントに関してはこちらの記事を参照)。

    サイト構成図の例にモーメントをプラスした状態

    このタイプのサイトは、カテゴリや商品ページで「buy」を、特集やコラムで「know」や「do」を、そして店舗があれば「go」、それぞれのモーメントを刈り取っていくことができるはずです。

    ここに注力! いま注目すべきSEO施策5つ

    SEO施策には内部施策、外部施策、コンテンツ施策、ローカル施策などいろいろな種類があります。さらに、たとえば内部施策にはtitleのチューニング、内部リンクの設置、カテゴリ設計などの作業があります。Googleの順位を決めるアルゴリズムが数百あるわけですから、やるべき作業もたくさんあるのです。

    そのなかから、今回は大規模ECサイトが今注力した方が良いポイントを5つに絞って解説します。

    前編(今回
    後編(次回)
    • ポイント③ 一覧ページのスマホ最適化
    • ポイント④ パフォーマンス改善で速く使いやすく
    • ポイント⑤ ECは指名検索を増やす

    ポイント① カテゴリの最適化と“一覧”ページの精査

    このタイプのサイトでは、カテゴリは非常に重要です。「buy」モーメントとなるアイテムクエリではここがヒットし、SEOの入り口となるページ群になるからです。

    カテゴリはユーザーの検索ニーズに合わせて階層化、細分化すると良いです。ECサイトのスカートのカテゴリを例にあげてみましょう。

    cat1:スカート 
cat2:  └ フレアースカート
cat3:    └ フレアースカート ロング
クロス1:      └ フレアースカート ロング 麻
クロス2:       └ フレアースカート ロング 麻 黒
クロス2:       └ フレアースカート ロング 麻 ピンク
クロス1:      └フレアースカート ロング ニット
クロス1:      └ フレアースカート ロング 綿
cat3:    └ フレアースカート ミニ
cat3:    └ フレアースカート マキシ
cat2:  └ プリーツスカート
cat2:  └ タイトスカート
    カテゴリの例

    上記のように、スカートの形状や長さで分け、さらに素材や色とクロスしたカテゴリも作るとします。URLも「/skirt/flared/」「/skirt/flared/long/」というように、きちんと階層化して作成するとベストです。

    このようにさまざまなカテゴリページ群ができることで、SEO的には流入機会が広がることになりますが、実は動的検索広告でも「フレアースカート ロング 麻 黒」と検索された際、自動的に適切なランディングページが表示されるのでパフォーマンスが上がります

    何でもかんでもカテゴリ化しない

    ただSEO面では1つ重要なポイントがあります。今のSEOでは「質」を重視しますので、人気だからといって何でもかんでもカテゴリ化するのは良くないという点です。必ず紐づく商品やサービスの数をカウントし、1点〜2点しかないカテゴリが大量に生成されないように注意してください。

    「フレアースカート ロング 麻 黒」のようなあまりに細かいページはSEO的には意味がないので、noindexを入れてインデックスさせない、もしくはパラメータを利用したURLであればSearch Consoleのパラメータツールで「クロールしない」制御をすると良いでしょう。

    検索ニーズと商品数を加味した適切な粒度のカテゴリを整備することは、SEO的にも広告的にも重要です。

    「質の悪い」一覧ページに注意

    もう1つ、カテゴリと一緒に考えたいのは“一覧ページ”です。一覧ページとは商品が一覧で並んでいるページで、主にカテゴリを指しますが、なかにはタグやサイト内検索結果なども存在します。大規模になればなるほど、ここのコントロールができておらず、1つのキーワードをカテゴリとタグ、カテゴリとサイト内検索で食い合っているケースをよく見かけます。

    カテゴリは階層化され、管理されていることが多いですが、タグやサイト内検索は自動で生成されたり、無限に生成されたりするような仕組みも多いため、意味のないワードのページや商品が0件のページが大量にできているケースもよくあります。つまり、質の悪い一覧ページがカテゴリと食い合っているのです。

    Search Consoleのインデックスカバレッジの除外「クロール済み - インデックス未登録」にそのようなURLが大量に出てきていませんか?

    「クロール済み - インデックス未登録」のレポート画面
    「クロール済み - インデックス未登録」のレポート画面

    SEOは基本的にカテゴリで行います。構造化して管理もでき、パンくずなどのナビゲーションも「スカート>ロング>麻」というように、しっかり階層化して出すことができるからです。タグやサイト内検索を使うなら、カテゴリを横断するようなワード、季節やトレンドワードのみに限定すると良いでしょう。

    カテゴリ名はツールで確認

    カテゴリの名称はGoogleの日本語の認識力も向上し、ほとんど気にする必要がなくなっています。ただ、明らかに検索数が違う場合は、人気の言葉を使う方が良いでしょう。たとえば「フラットシューズ」(検索数18,100)と「フラット靴」(検索数170)はどちらを使っても、一応ヒットはしますが、圧倒的に人気度が高い「フラットシューズ」を使う方が良いです。

    ちなみにカテゴリ名称は想像でなく、キーワードツールを使って検索ボリュームを調べることをおすすめします。無料であれば「Ubersuggest」がおすすめです。最近Chromeの拡張機能もリリースされ、かなり高機能になりました。

    「クロール済み - インデックス未登録」のレポート画面
    Ubersuggest」の拡張機能

    拡張機能を入れるといちいちツールにアクセスしなくても検索した言葉の検索数や派生語、トラフィック予測が一目でわかり便利です(「Ubersuggest」はGoogleアカウントでのログインが必要なツールです。企業内ポリシーを確認してからご利用ください)。

    ポイント② 商品データベースの整備

    「buy」モーメントとなるアイテムクエリは、時に商品ページも対象になります。特に型番商品でなく、ユニークでオリジナルな商品であれば、流入獲得できることが多いです。その際に商品ページで重要なSEO要件は以下のとおりです。

    • 高画質な画像
    • 検索結果のサマリーに出るtitle(=わかりやすい商品名)
    • 検索結果のサマリーに出るmeta descriptionの最適化
    • 詳細な商品説明とスペック
    • ユーザーレビュー
    • 所属カテゴリへ戻れること
    • SKUをまとめる

    SKUは集約しよう

    SKUについて補足します。SKUはSEO的には1商品ページに揃えた方が良いです。

    たとえば4色展開でサイズが4種類ある場合、SKUは16ですが、これらをすべて別々の商品ページとして生成してしまうとユーザーも選びにくいですし、SEO的にも大量の類似ページができてしまいます。サイズはともかく、色は1つに集約することをおすすめします。

    SKUの集約イメージ
    SKUが集約されていない例

    商品データベースとフィードデータ

    次に商品ページの元となる商品データベースについて考えてみます。titleタグや見出しに出力される商品名、商品説明、所属カテゴリ、価格、送料など、すべての情報は通常、商品データベースに格納されていると思います。前述したSEO要件を最適化する際もこの商品データベースが関係してきます。

    そして、商品データベースはGoogleショッピングのフィードデータとも関係します。すでに多くの大規模ECサイトがGoogleショッピングを活用しているのではないでしょうか。特に2020年10月からは無料リスティングも始まったため、新規利用も増えているのではないでしょうか。

    このGoogleショッピングで必要となるのがGoogle Merchant Centerに送信するフィードデータです。フィードデータはフィード作成ツールなどで別途設定しているケースを除き、多くの場合、商品データベースを元に作成されているでしょう。

    この元となる商品データがどのくらい充実しているか、どのくらい整備されているかは、SEOだけでなく、フィードデータを使うGoogleショッピングや広告活用においても重要なポイントになります。

    「クロール済み - インデックス未登録」のレポート画面
    商品フィードデータのサンプル例

    商品フィードデータには「標準リスティング」と「拡張リスティング」の2種類がありますが、流入を見込むには商品説明、在庫、ブランド、GTIN、色やサイズ、送料など、「拡張リスティング」の細かい属性が必要です。

    また、わかりやすく整備されたデータであることも重要です。たとえばフィードデータのタイトルとなる商品名の良くない例と良い例を比べてみてください。

    良くない例
    本日まで送料無料!ワコール 肌着 女性 夏用、冷感、速乾、さらっと快適 2,980円
    良い例
    ワコール レディース 肌着(夏用/冷感)

    良くない例は長く、キャッチコピー的な内容が入っているため、SEO的には何が重要なキーワードなのかわからず、検索結果でも長すぎて切れてしまう可能性があります。

    広告的にも「ブランド+性別(アパレル)+商品カテゴリ+属性」のようなわかりやすい名づけが推奨されており、タイトルはわかりやすい商品名のみとし、送料無料はフラグで判別できるように、価格は価格のフィールドに入れるなど、商品名の命名規則は重要です。

    概要(meta description)も同様にわかりやすい一文にすることがポイントで、タイトルも概要も重要な文言をなるべく先頭に配置することがSEOにも広告にもおすすめです。

    商品が属する商品カテゴリはユーザーの細かい検索に応えらえるよう、検索需要のある商品カテゴリへの登録がフィードデータ的に推奨されています。3階層以上が目安とも言われており、前述したスカートの例のように、細分化したカテゴリの作成と商品登録はSEOにも広告にも有効です。

    ちなみに更新が課題となるフィードデータですが、商品ページを構造化マークアップしておくことで、Google Merchant Centerのデータの自動更新ができるようになり、価格や在庫状況の不一致が原因で広告が停止してしまうリスクが減るようです。

    構造化マークアップはSEO面でも内容の理解、検索結果のリッチ化などメリットがあります。ぜひやっておくといいでしょう。

    商品の属性を充実させて整備することは非常に手間のかかる作業です。特に大規模サイトでは最低限の情報しかない、DB化されていない、正規化されていないといった課題を目にします。

    • わかりやすい商品名
    • 適切な商品descriptionの作成
    • 商品説明文やサイズ
    • 色、素材など細かいスペック情報
    • 必要な情報のフラグ化

    など、商品データベースの整備は、SEOと広告の両面に効果があります。大変ですが、やる価値は大いにあるのではないでしょうか。

    補足:SEOと広告の相乗効果

    SEO同様、昨今さまざまな進化を遂げているリスティング広告では、アセット活用が重要なポイントとなってきています。「アセット」(asset)は、一般的には「資産」「経営資源」という意味ですが、Webの世界では「企業がビジネスを行う上で保持する情報やデータベース」を指しています。

    アセットと広告の打ち手の関係
    アセットと広告の打ち手の関係

    この図の左側にあるのがアセット、右側にあるのが主にECサイトにおけるオンライン広告の打ち手の例です。広告に関しては次の回で河野が解説しますが、ここで理解いただきたいのは「アセット」の重要性です。

    Googleの広告と言えば「設定した検索キーワードに連動して表示される広告」と認識しがちですが、2021年時点ではキーワードより自社ビジネスの情報がまとまっている「アセット」が重要になってきていると言われています。つまり、今回解説したサイト構造やカテゴリ、商品データをきちんと整備すること、それが効果的な広告にもつながるのではないかと思います。

    整備できるのはSEOをやるタイミングです。私も大規模なDB型サイトのSEOをやる際には必ずサイト構造を定義し、カテゴリを最適化し、時には商品データにもリクエストを出します。SEOで「アセット」を整えて広告にも生かす。これが大規模ECサイトの重要なポイントだと考えます

    ◇◇◇

    長くなりましたので、次回は後編として残りの3つのポイントを解説します。

    江沢 真紀
    江沢 真紀

    ECの課題は「売上拡大」「新規獲得」。効果が高いと感じるSNSは「YouTube」

    4 years 5ヶ月 ago

    ECサイト専用のマーケティングオートメーション・CRMツール「EC Intelligence」の開発・提供を行うシナブルは、EC担当者460人に対して自社ECサイトの課題を調査した結果を公開した。

    EC担当者に「自社ECサイトにおける課題」を聞いたところ、トップは「売上拡大」で47.0%。次いで「新規顧客獲得」が43.5%、3位は「商品・サービスの企画/開発」で40.2%だった。「コスト削減」は37.4%。

    シナブルの調査「⾃社ECサイトの課題」 自社ECサイトにおける課題
    自社ECサイトにおける課題

    SNSへ広告を出稿している担当者を対象に、広告効果が高いと感じるSNSを選んでもらった結果、「You Tube」が58.9%で最多。「LINE」「Twitter」「Instagram」が各52.8%で続いている。

    「You Tube」が最多だったのは、動画視聴者の興味関心に対してリーチができるといった特長が、広告効果に貢献しているようだ。

    シナブルの調査「⾃社ECサイトの課題」 広告効果が高いと感じるSNSについて
    広告効果が高いと感じるSNSについて

    自社ECの公式SNSアカウントを保有する担当者に、運用による効果が高いSNSを聞いた。トップは「Instagram」で47.4%、2位は「You Tube」で42.2%、3位は「LINE」「Twitter」でそれぞれ41.4%だった。

    シナブルの調査「⾃社ECサイトの課題」 運用による効果が高いSNSについて
    運用による効果が高いSNSについて

    新型コロナウイルス感染症拡大によって、より重要度が増した自社ECサイトの取り組みについて聞いたところ、「ECサイトの機能強化や改善」が37.5%でトップ。「新規客の増加」が35.0%、「業務の効率化、標準化」が32.8%、「リピートの増加」が32.2%と続いている。

    新型コロナウイルスの感染防止に伴う外出制限などで、ECを利用する人は増加。こうした背景から、機会損失を防ぐためにサイトのUI/UXを見直す機運が高まっている。

    シナブルの調査「⾃社ECサイトの課題」 重要度が増した自社ECサイトの取り組みについて
    重要度が増した自社ECサイトの取り組みについて

    調査概要

    • 調査期間:2021年3月23日~27日
    • 調査方法:インターネットリサーチ
    • 調査対象:自社ECサイトを所有する企業のEC担当者(主にBtoC事業に携わる)
    • 回答者数:460人
    石居 岳
    石居 岳

    CRMツールを入れたけど「効果がない」はナゼ?失敗するCRM施策と3つの大きな問題点

    4 years 5ヶ月 ago
    CRMでLTVとリピート率を改善するには? CRMツール「アクションリンク」開発者が解説

    ECビジネスで継続的に事業を拡大していくために、CRMによるLTV(顧客生涯価値)とリピート率改善の取り組みは欠かせません。ところが、CRMツールを導入しても、しっかりと活用できている企業は、1割未満(※2019年アドブレイブ社によるCRM導入企業100社へのモニタリング調査)とまだ少ないようです。CRMツール「アクションリンク」開発者が、EC企業によるCRMの利活用が進まない理由、CRM導入に失敗する原因、LTV向上につながる「最新CRM事例」を解説します。

    ECで再購入のきっかけはEメールがダントツ1位

    LTV向上はどうすればいいかを考える前に、お客さまがリピート購入に至る「理由」や「きっかけ」を見ていきます。2019年にアドブレイブが行った調査によると、再購入のきっかけは「Eメールで得た情報」がダントツ1位でした。

    その理由で多くあげられたのが、「ちょうど(良いタイミングで)欲しい商品を知らせてくれた」「欲しい商品を気づかせてくれた」。この2つで半数以上を占めています。

    つまり、メールで1人ひとりのお客さまに合わせた情報提供を行うことが、最も効率的にLTV向上につながるというわけです。しかし、お客さまに適した情報を提供するためにCRMツールを導入しても、「うまくいかない」と感じている企業が多いようです。それはなぜでしょうか?

    アドブレイブが調査した再購入のきっかけとなった情報源など
    再購入のきっかけとなった情報源など

    9割のECがCRMツールを導入しても活用できない理由

    アドブレイブが2019年に実施したCRMツール導入企業100社へのアンケート調査によると、ECのCRMがうまくいかない理由として事業責任者や現場の担当者が考える主な原因は、下記の3つで8割を占めています。

    • 設定が難しく専門知識を要する
    • 忙しくて作業時間を確保できない
    • そもそも何をしたらよいか分からない
    企業がCRMツールを活用できない理由など

    つまり、大半の企業がCRM施策をスタートする以前につまずいていることになります。

    その結果、高額なCRMツールを導入したもののすべての会員に同じメールを一斉配信するなど、2000年前後のEC黎明(れいめい)期のような単純な施策に終始し、ツールの費用対効果が見合わない事態に陥ってしまうのです。

    こうした単純な施策が効果を上げにくいのは、「自分に興味がない商品を紹介するメールが来る」「もう購入している商品のメールが来る」「購入したばかりでまだ商品が届いていないのに宣伝メールが来る」など、顧客エンゲージメントを損なうメッセージ配信になってしまっているからです。リピート購入を促しLTVの改善をめざすのであれば、商品やサービスを提供する企業と顧客との間の信頼関係とも言える、「顧客エンゲージメント」の向上は必須です。

    一斉配信せざるを得ない、企業側の理由とは?

    このような施策を推進してしまうのには、企業側にも理由があります。たとえば、以下のような声があります。

    • 売上目標は落とせない、売り上げを最大化するには全配信が最も効果的な施策だ
    • 細かいセグメント配信をしても、手間の割にターゲット母数が絞られ売り上げが小さくなる
    • 一斉配信を増やすと一時的に売り上げは増えるが解除が増えたりと、長期で見るとレスポンスが低下する。そのため本来はもっと配信したいが、仕方なくメールの配信頻度を落としている

    顧客エンゲージメントが下がるとはわかりつつも、一時的な売り上げを作るために、仕方なく全配信の乱発を止められずにいるのです。

    ECでは業種にもよりますが、全配信メールの開封率は、5%~15%ほどと言われています。つまり、残りの9割近い顧客には、“見られもしないメール”をせっせと配信し続けているのです。これでは誰もハッピーになれません。

    ECを立ち上げたばかりでCRMノウハウがない企業ならまだしも、中小企業や大手企業において、なぜいまだに理想的なCRMを実現できていないのでしょうか?

    そもそも顧客にとって理想的なCRMとは?

    CRMがうまくいかいない原因の前に、そもそもECにとっての、“あるべきCRMの理想的な姿”を考えてみましょう。

    それは、「誰に(Right target)」「何を(Right message)」「いつ(Right timing)」「どうやって(Right channel)」伝えるか、この「4R」が最適化された状態です。必要なメッセージを必要なときに、必要な人に送る。実はとてもシンプルなことなのです。

    • 誰に:最適なターゲット(Right target)
    • 何を:最適なメッセージ(Right message)
    • いつ:最適なタイミング(Right timing)
    • どうやって:最適なチャネル(Right channel)

    この「4R」の実現によって、顧客1人ひとりの購入履歴や頻度など行動にあわせたメッセージを届けられれば、顧客エンゲージメントの向上と、その先にある顧客との長期的な関係構築、LTVの向上を実現できます。

    なぜCRMはうまくいかない?「自社ECのCRM問題」の本質とは?

    私はEC事業コンサルタントの立場として過去にさまざまなECの現場を見てきただけでなく、実際にCRMツールの選定・導入から運用体制の構築まで携わってきました。その経験を踏まえ、ECにおけるCRMの推進には大きくわけて「3つの問題」が存在すると感じています。

    CRMツールの導入に失敗する企業は、この「3つの問題」を知らずにシステムを導入するために、失敗してしまうのです。

    1. ノウハウの問題

    CRMツールは魔法の杖ではありません。ツールはただの箱であり、それをどう使うかはEC事業者次第です。課題を見つけ、仮設を立てて施策をプランニングし、それをシステムに実装したうえで結果をみて改善していく――。CRM施策におけるこの一連のPDCAを推進するノウハウがなければ、ツールを導入しても費用対効果に見合う活用はできません。コンサルタントとしてEC事業を見ていると、この失敗パターンが最も多い印象です。

    2. 工数(時間)の問題

    CRMのノウハウがあって実現できるシステム環境があっても、実行するための人員も時間も無い、では絵に描いた餅です。できるつもりで高機能なCRMツールを導入したものの、結局時間が無くて活用できていない、というケースも多いです。

    BtoC-ECの場合は単価が低いビジネスモデルになっていることが多く、CRMに取り組んだ時間に対して費用対効果が合わないという事態が発生しやすくなります。理想を追うだけではなく、限られた時間の中で効果的に取り組むことが重要です。

    3. 費用の問題

    ノウハウも時間もない場合は、費用をかけて外部のコンサルタントや運用代行業者の力を借りなくてはいけません。

    しかし、規模の小さなECではその費用をかけることが難しいケースもあります。そのため、費用対効果が合う範囲でベストな取り組みを実行することが重要になります。

    アドブレイブが調査したBtoC-EC事業者が高機能なCRMツールを導入しても、費用対効果が見合いにくくなる理由
    BtoC-EC事業者が高機能なCRMツールを導入しても、費用対効果が見合いにくくなる理由

    ◇   ◇   ◇

    次回は、ノウハウも時間も予算もない企業が、効率的にCRMで効果を上げるための「自動化ツール」活用例を紹介します。

    中村 隆嗣
    中村 隆嗣

    トヨタ自動車公式サイトがインスタ投稿活用したUGCマーケ、市場予約や見積依頼などにも誘導

    4 years 5ヶ月 ago

    トヨタ自動車と電通グループが出資するトヨタ・コニック・ホールディングスの子会社トヨタ・コニック・プロは、運営するトヨタ自動車公式サイトで、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用したファンマーケティングを始めた。

    トヨタユーザーがInstagramに投稿したコンテンツをピックアップし、掲載するコンテンツ「みんなのトヨタグラム」をスタート。コンテンツ拡充と、ファンマーケティングを推進する。

    トヨタの愛車、愛車との思い出、旅行、レジャーの写真など、Instagram上に投稿された写真をトヨタ・コニック・プロがピックアップする。車種ごとの絞り込み表示、インテリア(interior)、お気に入り(favorite)、思い出(memories)などのジャンルで絞り込み表示できる。

    トヨタ・コニック・プロは、運営するトヨタ自動車公式サイトで、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用したファンマーケティング「みんなのトヨタグラム」を開始
    「みんなのトヨタグラム」のイメージ

    投稿をタップ(クリック)すると、モーダル画面が立ち上がり、投稿の詳細を見ることが可能。車種の詳細ページ、試乗予約、見積依頼、販売店検索ページにジャンプできる。

    トヨタ・コニック・プロは、運営するトヨタ自動車公式サイトで、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用したファンマーケティング「みんなのトヨタグラム」を開始
    投稿コンテンツから車種詳細ページへジャンプできる

    Instagramのコンテンツを自社の公式サイトに活用し、さまざまな販促に活用する取り組みは、ecbeingの子会社であるvisumoが提供するInstagramの写真や動画をECサイトに活用するソリューション「visumo social curator」を導入して実現した。

    「visumo social curator」を導入すると、Instagram上に投稿されているフィード写真、フィード動画、IGTVを取り込み、ECサイト内にギャラリーコンテンツを作成することが可能になる。

    コンテンツ化した写真や動画には自社製品やサービスと紐づけることが可能で、Instagramのコンテンツを活用し、コンバージョンへと訪問者を誘導できるようになる。

    瀧川 正実
    瀧川 正実
    確認済み
    1 時間 11 分 ago
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