ネットショップ担当者フォーラム

売上8倍、社員数3倍強を実現した輸入販売サイト「AXES」。成長の秘訣は「徹底的な業務のアウトソーシング」 | 『EC通販で勝つBPO活用術』ダイジェスト

4 years 6ヶ月 ago
EC通販における差別化成功事例②『EC通販で勝つBPO活用術』(高山隆司/佐藤俊幸 著 ダイヤモンド社 刊)ダイジェスト(第14回)

AXES(アクセス)」は2012年、取締役社長である大下公宝氏が、別の会社の一部門だった事業を分離して設立。そのままスクロールグループに加わった。現在は、自社で輸入した海外ブランド品をECサイトで販売している。取扱い品目は、男女用ファッション、バッグ、財布、時計、アクセサリー、小物、シューズなど幅広く、姉妹サイトでは化粧品も扱う。

同社は現在、在庫管理、受注処理、配送、さらには代金回収までフルフィルメントのすべてをBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)化している。その結果もたらされたメリットについて解説する。

企業データ

株式会社AXES(アクセス)
「AXES」https://www.axes-net.com/
所在地:東京都品川区
設立:2012年3月
資本金:9500万円
事業内容:バッグ、革小物(財布等)、アクセサリー、時計、化粧品など、海外ブランド商品の輸入・通信販売

海外のファッションやブランド品を直輸入

大下氏は学生時代にアメリカへ留学し、そのまま現地でブランド品などの日本向け輸出ビジネスを始めた。バブル崩壊後の日本では、ファッションや鞄などブランド品の並行輸入がブームになっており、大手流通業や百貨店などと取引きし、事業は順調だった。

しかし2005年頃、EC通販市場が日米とも本格的に拡大していく中で、ブランド品の輸出ビジネス(卸業)のままでは先行きに不安を感じ、小売業への転換を決断。日本に戻り、知人の会社で海外ブランド品のEC通販事業を始めた。

楽天市場に出店し、大下氏自身も数名の社員とともに、商品の撮影からサイト構築、受注処理、梱包や出荷までこなしていた。独自のネットワークを活かした海外からの仕入れが強みで、数年後には「ショップ・オブ・ザ・イヤー」を受賞するまでに成長した。

「フルフィルメント」を全面的にBPO化

次なるステップを考えたとき「仕入れの強化にしろ、業務の合理化にしろ、経営基盤をより堅固なものにする必要を感じた」と大下氏は語る。

2012年3月に独立してAXESを設立。同年5月にスクロールグループに入りました。スクロールは1部上場企業であり、子会社のスクロール360は物流代行などのサービスを幅広く手掛けています。そうしたリソースを自分たちの強みと結合することで、もう一段上に進もうと考えたのです。(大下氏)

大下氏は以前から、コールセンター業務をアウトソーシングしていたが、スクロールグループ入りを機に、フルフィルメント全般にBPOを拡大した。

まず、自社で借りていた倉庫からスクロール360の物流センターに商品を移しました。その結果、土日を含めて365日発送できるようになり、在庫の誤差もゼロになって、社員の負担がかなり減りました。(大下氏)

バイヤーが海外で買い付けた商品がスクロール360の物流センターに到着すると、ささげ業務の専門チーム「ささげ家」/が撮影やサイズの計測を行い、原稿を作成してECモールに掲載する。

掲載先は以前は自社サイト、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonだけだったが、現在はdファッションなど10か所に増えた。それでも入荷後1週間以内に販売を開始する。

「AXES」dファッション店
「AXES」dファッション店

コールセンター業務やメール対応もスクロール360の浜松コールセンターに移管した。クレーム情報などは日次集計され、AXESへ提供される。オペレーターでは判断が難しいエスカレーション案件を除けば、AXESの社員が対応に手をとられることはない。

こうして現在、在庫管理、受注処理、配送、さらには代金回収までフルフィルメントのすべてをBPO化しているのである。

社員のモチベーションアップにも効果

フルフィルメント全体をBPO化したことで、社員は土日にきちんと休めるようになり、最近の働き方改革の流れに対応しやすくなりました。

それ以上に重要なのは、社員のモチベーションアップにつながったことです。もともとEC通販業界の離職率は高いのですが、理由の1つはやりたい仕事ができないということです。ファッション系のEC通販は特にそうです。せっかく入社したのに受注処理や発送業務ばかりやらされていたのでは、社員がやる気をなくすのも当然でしょう。

その点、裏方的な業務の多いフルフィルメントをBPO化することで、社員は商品の買い付けやプロモーションといった本来の業務に集中でき、経験やスキルを磨くことができるのです。(大下氏)

スクロールグループに入った当時、AXESの年間売上は12億円、社員は15名だった。その後、スクロールが買収した化粧品を扱うEC通販サイト「イノベート」と経営統合し、現在、社員は50名と約3倍強になったが、売上は87億円(2019年度)と8倍近くまで伸びている

その原動力は、社員のモチベーションアップのほか、スクロールの財務力をバックにした商品仕入の強化もある。それまでの仕入先は欧米が中心だったが、いまでは東南アジアから中近東にもバイヤーが買い付けに出かけ、日本にまだ入っていないようなブランド品を輸入し、ショップの知名度と人気につながっている

そうした商品を10か所のサイトやモールに、それぞれ最適な形で素早く掲載し、季節や記念日などに合わせたキャンペーンを行い、スピード感のあるプロモーションを展開している。

10年前のEC通販事業者はどこも、売れば売るほど受注処理や発送業務に追われ、パンクするところが珍しくありませんでした。

EC通販用の各種システムもパッケージで1,000万円、ランニングコストも月数十万円かかるなど高額でした。そのため、仕方なく人手でやっている中小のショップがほとんどだったように思います。(大下氏)

いまでもモール別に担当者をあて、注文が入ると担当者がいちいち倉庫へ在庫を確認しに行ったりしている事業者を見かけるが、スクロール360であれば受注処理も含めて、同じ業務量をほぼ10分の1の人員で処理できる。

BPO活用には相互の信頼関係が重要

現在のEC通販事業では、自社の強みに集中するため、BPOの役割がますます大きくなっている。ただ、何でもBPOにすれば良いというわけではない。前提として、業務フローの標準化ができていないと、コストばかりかかってむしろ逆効果になりかねない。それを避けるには、経営者が業務フローとその勘所をわかっていることが大前提になる。

それでも、「BPOがスタートすると事前の想定との食い違いがどうしても出てくる」と大下氏は指摘する。

BPO企業も、事前にどんなことが起こるかすべてわかるわけではないからです。依頼側としては、月次ミーティングで前月の振り返りを行いつつ、修正点についてどんどん要望を出していくべきです。

同時に、出荷予測をきちんとBPO企業に渡すことも重要です。セールやポイント倍率のアップなど、モールごとのイベントの際は特に出荷数が大きく変動します。当社では、過去のデータなどを踏まえ、プラスマイナス10%程度を目指しています。

そうした積み重ねがお互いの信頼関係と業務品質のアップにつながるのです。(大下氏)

出荷予測(受注予測)の精度が低いと、出荷遅れなどのトラブルにつながる。BPO先を変更しても同じことの繰り返しで、“物流ジプシー”になるケースもある。

AXESでは今後、ブランド品(新品)の輸入販売に加え、「RE事業」と名付けた中古販売、レンタル、リフォームの各事業をスタートさせる準備を進めている。

新品を販売した後も中古買取、中古販売、レンタル、リフォームなどによって顧客との接点を増やし、LTVを高めるのが狙いだ。こうした「RE事業」についても、まずは社内で業務をルール化してからBPOへ移行させる予定である。

AXESのように順調に成長を続けているEC通販事業であっても、時代の変化に応じて常に新しい事業モデルや業務体制の効率化を続けていくことが欠かせない。

 
サイドストーリー

グループシナジーによるBPO活用

AXESやスクロール360が所属するのがスクロールグループだ。もともとカタログ販売の老舗で、総合通販企業だった。その後、AXESを初めとするEC企業のM&Aを行い現在、22社のグループ体制となった。

事業セグメントとしては、スクロール本体の行う通販事業、AXESやナチュラムが所属するeコマース事業、豆腐の盛田屋やキナリの所属する健粧品事業、スクロール360の所属するソリューション事業がある。

そして、B2C販売のeコマース事業と健粧品事業のシステム、受注処理、物流、決済を、ソリューション事業が受け持つ体制を取っている。これにより、グループ各社はわずらわしいルーティン業務から解放され、一番重要な商品開発や販売戦略に集中でき、業績好調となっている。

また、ソリューションセグメント各社では、対応する業務が拡大することで、より専門性が増し、対応品質が上がっていく。同じグループ内でコンタクトセンターや物流、決済が横連携しているため、アウトソーシングするEC事業者にストレスを感じさせない、シームレスなサービス提供が可能となっている。

スクロールは以前の総合通販企業ではなく、複合通販企業に生まれ変わった。ダイレクト・マーケティング・コングロマリットは、eコマース事業セグメント、健粧品事業セグメントをソリューション事業セグメントがBPO対応するだけでなく、売れている商品をスクロール本体の生協事業に供給するほか、海外にも販売していく戦略となっている。

 

この記事は『EC通販で勝つBPO活用術』(ダイヤモンド社刊)の一部を編集し、公開しているものです。

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活況のEC・通販業界において、アフターコロナを勝ち抜くために必要なことは何か。ネット通販の事業戦略設計やプロモーション、フルフィルメントなど、ネット通販の実践から得たノウハウを紹介し、物流、受注といったフルフィルメントのアウトソーシングの活用の仕方や成功事例を解説する。デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、「BPO」(Business Process Outsourcing)を最大限有効活用したシステム構築に必携の1冊。

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アパレルは「コロナ前」に戻れるのか? データで読み解く消費者行動とニーズの変化 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

4 years 6ヶ月 ago
Digital Commerce360シニア・コンシューマー・インサイト・アナリストが、コロナ禍のアパレル購入状況を分析

アパレル業界にとって2121年は、早く過ぎ去って欲しい厳しい1年ですが、そんな中、個人の状況に応じてアパレルの購入が加速するかどうかを分析するのは興味深いことです。『Digital Commerce 360』でシニア・コンシューマー・インサイト・アナリストを務めるローレン・フリードマン氏が解説します。

コロナ禍で変化した、アパレル商材の消費行動

コロナ禍の影響で、アパレルやアクセサリーに対する消費行動が変わりました。多くの人にとって、毎日の仕事着はスウェットや、俗に言う「アスレジャー」になったのです。

オンラインやオフラインの店舗で買わなくても、自分のクローゼットに既にあるモノで事足ります。しかし、ワクチン接種が実現すると、消費行動は再び変わるでしょう。買い物に出掛け、自宅オフィスを抜け出しておしゃれをし、トレンドに乗ろうと考えています。そう考えているのは、私だけではないはずです。

『Digital Commerce 360』によると、2020年のオンラインアパレル売上高は2,407億1,000万ドルで、2019年の3,018億4,000万ドルから20.3%減少しました。今後、復活の余地はありますが、どのくらいの量で、どのくらいの速さで復活するのか、という2つの疑問が残ります。

『Digital Commerce 360』は、調査会社の「Bizrate Insights」と共同で、5月上旬にEC利用者1,049人を対象に調査を実施。この調査では、洋服の補充(41%)、衣替え(36%)、ワードローブを一新したい(35%)という理由で、消費者がアパレル、アクセサリーを購入していることがわかり、心強く感じました。

皮肉なことに、これらはコロナ禍が存在しない世界で、消費者がアパレルを購入する理由と同じです。アパレル業界にとって厳しい2021年、個人的な状況によってこの動きが加速するかどうかを見守るのは面白いでしょう。調査対象者の27%が回答した「欲しかった商品のキャンペーン」も見逃せません。また、「気分を上げたい」という回答が多いことを期待していましたが、23%にとどまりました。22%は私同様、スタイルを見直したいと考えていました。

最近数か月間でアパレル、アクセサリー、靴をオンラインで購入したきっかけは何か?
質問:最近数か月間でアパレル、アクセサリー、靴をオンラインで購入したきっかけは何か?(画像は『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査結果を基に編集部が作成)

「コロナ禍後に購買額が増える」と予測しているのは4人に1人で、大半の回答者は「今と同じ程度の購買額になる」と考えています。しかし、最終的には消費者が外に出れば、異なる感情を抱き、結果的に消費が増えると思います。そうでなければ高級品や、これからも在宅勤務が続けば、仕事用アパレルにも重要な影響を与えるでしょう。

2020年と比較した時、2021年のアパレル、アクセサリー、靴の購買額はどれくらいになると予測するか?
質問:2020年と比較した時、2021年のアパレル、アクセサリー、靴の購買額はどれくらいになると予測するか?(画像は『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査結果を基に編集部が作成)

EC利用者の約8割が「コロナ禍がオンラインでの行動に影響を与えた」

EC利用者の76%が、「コロナ禍がオンラインでの行動に影響を与えた」と認め、5人に1人は「コロナ禍の影響で、予想されていたいくつかの変化がさらに加速された」と考えています。

消費者は、返品をさらに気にするようになり、コロナ禍以前から利用していた返品送料無料のオプションをさらに活用するようになりました。また、オフラインでは21%が地域社会の活気を維持するためには中小企業への応援が必要で、地元での買い物が重要であると理解するようになりました。

コロナ禍において消費者がECの利便性を実感したことから、ECは長期的にコロナ禍の恩恵を受けると多くの人が考えています。しかし、今回の調査では、コロナ禍後もオンラインでの買い物を継続する人は19%しかいませんでした。

もちろん、買い物には個人的な事情が常に大きく関わっています。実店舗が消費者を呼び戻すために必要な強い存在感のアピールに苦労しているため、コロナ禍後の継続的なトレンドを知るには、1年かかるでしょう。

アパレル、アクセサリー、靴をオンラインで購入する際、コロナ禍の長期的な影響を受けるのはどんな事か?
質問:今後、アパレル、アクセサリー、靴をオンラインで購入する際、コロナ禍の長期的な影響を受けるのはどんな事か?(画像は『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査結果を基に編集部が作成)

アパレル分野でも強いAmazon

オンラインで買い物をする人は、さまざまな小売事業者から商品を購入しますが、なかでもAmazonが優位に立っています。アパレル分野でもAmazonがトップになるということは、私にとっては複雑です。なぜなら、「Amazonで買えばいいや」と考えるようになってしまいそうだからです。

アパレルの購入場所として、「百貨店」を選んだ回答者が45%というのは、業界の衰退が叫ばれて久しいなか、心強い限りです。「専門店」も28%とまだ重要な役割を担っており、消費者向けのD2Cブランドも、かつて勢いのあった専門店と同様のアプローチを採っています。

アパレル、アクセサリー、靴をどのオンラインショップで購入したか
質問:アパレル、アクセサリー、靴をどのオンラインショップで購入したか?(画像は『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査結果を基に編集部が作成)

「サステナビリティへの取り組み」が消費行動に与える影響は?

調査結果によると、消費者は新しい消費スタイルを試しており、13%が「サステナビリティやその他の環境保護の考えに基づいてアパレルを購入している」ことがわかりました。この数字をさらに掘り下げると、持続可能性への関心についてさまざまなインサイトがわかります。

いずれにしても、消費者がこの重要な問題に関心を持っているのは良いことです。39%は「この問題に関心を持っている」と回答する一方、特定の小売事業者は探しておらず、さらに32%は「持続可能な購買行動を考慮していない」と答えています。

金銭面に関して、20%の人は「より多くのお金を払いたくない」と考えており、10%の人は「サステナビリティに関連するコストを受け入れる」と回答。持続可能性という概念は、消費者がサステナビリティに焦点を当てたブランドを求め、地球を守るために代償を払うことを厭わなくなって初めて到達できるでしょう。

オリジナル商品への関心が高まる傾向に

また、海外での買い物や委託販売、自分だけのオリジナル商品を作ることにも関心が高まっており、今後の普及に期待が寄せられています。

アパレル購入に関して利用したことがあるものは?
質問:アパレル購入に関して利用したことがあるものは?(画像は『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査結果を基に編集部が作成)

消費者はソーシャルメディアをショッピングの一部として利用

小売事業者は、インフルエンサーやブロガーを活用して、今の時代に適したストーリーを伝えようとしています。30%が「新しいブランドや商品について知るためにソーシャルメディアを利用」し、29%「SNS広告をクリック」し、28%が「マーケティングからインスピレーションを得ている」ことから、消費者はソーシャルメディアをショッピングの一部として利用していることがわかります。

また、「ソーシャルメディアをフォローしていない、利用していない、影響を受けていない」と回答したのはわずか24%であったことも特筆すべき点です。最後に、20%が「特定のアパレルブランドや小売事業者をフォロー」しており、興味のあるブランドとの重要なつながりをソーシャルメディアを通じて作っていることを示しています。

アパレル、アクセサリー、靴の購入にソーシャルメディアはどんな影響を与えているか?
質問:アパレル、アクセサリー、靴の購入にソーシャルメディアはどんな影響を与えているか?(画像は『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査結果を基に編集部が作成)

ECで自分に合ったサイズを選ぶために、消費者が利用・参考にしているのは?

自分に合ったサイズを選ぶことは、アパレルを購入する際の最大の課題の1つです。小売事業者は、消費者がよりよい選択ができるよう、従来の方法からテクノロジーを利用したツールまであらゆる方法を採用しています。

従来の方法として、48%のEC利用者が「フィット感を示す指標を参考」にしており、46%が「サイズごとの寸法を記載したチャートを利用」しています。

また、消費者はレビューも参考にしており、38%が「フィット感に関する情報をカスタマーレビューから得ている」と回答。消費者のサイズを特定するプロファイリング・クイズは一般的ではないかも知れませんが、そのデータを活用することで将来の顧客につながる可能性が高いサブスクリプションサービスや革新的な小売事業者にとっては、重要なツールです。

自分に合ったサイズを決める際、どれが役に立つか?
質問:自分に合ったサイズを決める際、どれが役に立つか?(画像は『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した調査結果を基に編集部が作成)

◇   ◇   ◇

アパレル成長の軌跡は、単純かつ簡単には予測できないでしょう。サプライチェーンの問題、在宅勤務の状況、実店舗の復活など、すべてがアパレルのパフォーマンスに影響を与えます。その昔、ドレスカジュアルがスーツを脅かし、その影響が他のカテゴリーにも及んだことを思い出させます。

ブロガーやインフルエンサーは、その勢いとマーケティング効果を維持するでしょう。委託販売やサブスクリプションサービスなどのモデルは、さらなる成長のために改良されるでしょう。若い消費者が主導権を握り、今後何年も続くであろうアパレル業界の流れを作っていくでしょう。

私にとって唯一変わらないことは、私がずっとショッピングを続けることだけです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360
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「アクションリンク」のアドブレイブが無料CRM診断サービス

4 years 6ヶ月 ago

アドブレイブは5月27日、EC・通販専門のCRM自動化ツール「アクションリンク」で無料CRM診断サービス「すぐ分かるCRM診断」を始めた。

「すぐ分かるCRM診断」は、通販事業者やEC事業者が抱えるリピーター対策の課題について、スピーディーで手軽に課題を特定、解決策を提示する取り組み。

通販事業者やEC事業者のCRM施策の支援を通じた知見を生かし、Webサイトに専用の診断サービスを設置。所要時間1分程度の質問項目(質問は4つ)に答えると、現状の課題を洗い出すことができるという。

詳しいアドバイスや相談を希望する場合、表示された個人情報入力画面に連絡先を入力すると、アドブレイブの「アクションリンク」に携わるCRMエキスパートが対応する。

アドブレイブの無料CRM診断サービス「すぐ分かるCRM診断」
「すぐ分かるCRM診断」について(診断サイトはこちらをクリック
瀧川 正実
瀧川 正実

青山商事がデジタル化を加速。「デジタル・ラボ」を全国100店導入でOMO型店舗を拡大する中期経営計画

4 years 6ヶ月 ago

青山商事はネットとリアルの融合システム「デジタル・ラボ」の導入を加速させる。

2016年の開始以来、5年で「洋服の青山」の約60店に導入してきたが、今期(2022年3月期)は2022年3月末までに100店へ導入する。6月から順次開始し、独自のOMO型店舗を全国に拡大する。

青山商事が展開するネットとリアルの融合システム「デジタル・ラボ」
「デジタル・ラボ」のイメージ

「デジタル・ラボ」は、ネットの豊富な在庫数とリアル店舗の接客サービスの両メリットを生かす青山商事の独自システム。導入店の店内には、青山商事のECサイトと連動するタッチパネル式の大型サイネージやタブレット端末を複数設置し、来店客はこれらの端末を通してECサイト上にある在庫から好みの商品を選ぶことができる。

店舗在庫をゲージ見本として試着や採寸できるため、実際の商品の色柄や着心地などを確認することが可能。販売員の接客を受けながら購入できるのも特徴となっている。

青山商事はネットとリアルの融合システム「デジタル・ラボ」のメリット
「デジタル・ラボ」のメリット

デジタル化の加速は、2021年度スタートの新規中期経営計画(中計)の一環。中計のテーマは「一本足経営」から脱却し、「スクラム経営」で成長をめざすというもの。トップ依存型でのスーツ・フォーマル販売に偏りすぎることなく、ビジネスを軸として顧客に向き合い、事業・商品・サービスを推進する各組織が自立して協働することで、グループでの成長をめざしていくという。

中計ではリブランディングを柱とするLTV(顧客生涯価値)の最大化をめざす戦略を掲げ、ビジネスウェア事業の変革と挑戦に取り組む。①顧客接点拡大をめざしたDX戦略(OMO戦略・デジタル基盤整備)②成長分野(オーダー/レディス/フォーマル他)――といった拡大戦略だ。

青山商事の中期経営計画では、LTV(顧客生涯価値)の最大化をめざす戦略を掲げている
新規中期経営計画で掲げた戦略(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

中計最終年度の2023年度には、DX戦略などの効果によりビジネスウェア事業は現状比で250億円の増収を計画。そのうちECは50億円の増収を計画している。

青山商事の中期経営計画(ビジネスウェア事業の計画)
ビジネスウェア事業の計画(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

OMO戦略による顧客接点の拡大では、店舗とECを相互利用する併用顧客を増やし、店舗とECそれぞれの売上高を拡大。MAツールを見直し、EC送客への店舗評価拡充およびデジタルクーポンを導入するほか、アプリやECサイトの刷新で店舗起点の情報発信、スタッフによるコーディネート発信などSNSとの連動を強化する。

青山商事 ビジネスウェア事業のOMO戦略
ビジネスウェア事業のOMO戦略(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

さらにデジタル基盤を強化し、店舗の効率化と顧客接点の拡大を図る。「デジタル・ラボ」の導入で、在庫の縮小と売り場スペースの創出によって新アイテムやサービスを投入。接客端末などを活用したオンライン接客で、顧客接点を拡大していく。

ビジネスウェア事業のデジタル施策(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

 

石居 岳
石居 岳

2021年、EC売上TOP200サイトの表示スピード状況とGoogleのUX重要指標「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」対策 | 勝手にスピードテスト Powered by SpeedCurve

4 years 6ヶ月 ago
2021年6月中旬から表示スピード改善の新指標「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」がアップデートされます。UX・SEOの観点からも注目が集まっていますが、EC売り上げTOP200サイトの対策状況はどうなっているのでしょうか? 調査・分析を行いました

「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」が、2021年6月中旬から検索エンジンのアルゴリズムでアップデートされます。Googleは、UX重要指標「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」の3指標が検索ランキング決定要素の一部になると公式に発表。このアップデートは、2018年の「スピードアップデート」時以上に、SEO観点において注目すべきだと考えられています。

最新のEC・売り上げTOP200サイトを計測し、Googleが推奨する「SpeedIndex」の指標をベースに一部ランキング化。最新ランキングをベースに、各サイトの「コアウェブバイタル」対策の状況を考察しました。

「コアウェブバイタル」とは

Googleが2020年に発表した表示スピード改善のための新しい指標で、「LCP(Largest Contentful Paint)」「FID(First Input Delay)」「CLS(Cumulative Layout Shift)」の3つです。

以下の3つの要素を元に総合的に組み合わせ、UXの良し悪しが判断できるように構成されています。

  • Largest Contentful Paint (LCP):ページ表示速度を測る指標
  • First Input Delay (FID):ユーザー応答性を測定する指標
  • Cumulative Layout Shift (CLS):視覚安定性を測定する指標
勝手にスピードテスト スピードカーブ SpeedCurve コアウェブバイタル Core Web Vitals LCP
Largest Contentful Paint (LCP):ページ表示速度を測る指標
勝手にスピードテスト スピードカーブ SpeedCurve コアウェブバイタル Core Web Vitals FID
First Input Delay (FID):ユーザー応答性を測定する指標
勝手にスピードテスト スピードカーブ SpeedCurve コアウェブバイタル Core Web Vitals CLS
Cumulative Layout Shift (CLS):視覚安定性を測定する指標

表示スピードが速いサイトは「コアウェブバイタル」対策も万全か?

計測ツール「SpeedCurve」に新しく加わった「コアウェブバイタル」対応のダッシュボードを活用して、詳しくデータを見ていきます。(参考:コアウェブバイタルズ(CoreWebVitals)をSpeedCurve内で確認する方法

勝手にスピードテスト スピードカーブ SpeedCurve コアウェブバイタル Core Web Vitals コアバイタルダッシュボード
SpeedCurveのコアバイアルダッシュボード。時系列での変化がわかります。

表示スピード上位20サイトのうち6サイト(約30%)が「コアウェブバイタル」の各指標で「良好」(オールグリーン)を獲得しています。

TOP200サイト全体では19サイト(約9.5%)という結果ですので、表示スピードが速いサイトは「コアウェブバイタル」対策も積極的に進めてきたと考えられます。それを裏付けるように、上位10サイトでは、4サイト(約40%)が3つの指標で「良好」(オールグリーン)を達成しています。

「daily-3」「ヨドバシ・ドット・コム」など、サイト名の背景が黄色になっているサイトが「コアウェブバイタル」の3指標すべてが「良好(グリーン)」のサイトです。数値はトップページ、カテゴリ、詳細ページの平均値を集計しています。

ECトップ200のSpeedIndexランキング上位20サイト

順位 サイト名 Speed
Index
(秒)①
LCP(秒) TBT
(※FID
代替え指標)
CLS
1 アサヒカルピスウェルネス 1.38 1.51 1010 0.00
2 daily-3 (デイリースリー) 1.39 1.56 19 0.01
3 ローカロ生活 1.39 1.62 348 0.00
4 ヨドバシ・ドット・コム 1.42 1.49 46 0.00
5 ビックカメラドットコム 1.45 1.44 456 0.02
6 ツクモ(TSUKUMO) 1.45 1.63 100 0.21
7 サウンドハウス 1.46 1.47 27 0.04
8 北の快適工房 1.51 2.38 148 0.50
9 激安!家電のタンタンショップ 1.51 1.45 28 0.00
10 DELL公式サイト 1.56 1.58 500 0.17
11 花王ダイレクト販売サービス 1.57 1.30 7 0.02
12 アイドラッグストアー 1.67 1.28 152 0.00
13 ニトリネット 1.75 1.82 754 0.06
14 プロアクティブ+ 1.82 1.93 202 0.38
15 とらのあな 1.84 2.34 195 0.14
16 ジーユーオンラインストア 1.88 2.31 1330 0.21
17 オレンジブック.com 1.98 2.06 182 0.27
18 PCボンバー 1.98 1.91 9 0.16
19 エノテカオンライン 2.00 1.92 712 0.01
20 フォレストウェイ 2.03 2.78 55 0.20

※TBT(FIDの代替指標)について
本計測はSpeedCurveのSynthetic計測サービスを利用しています。FIDはWebサイトに訪れたユーザーのリアルデータに基づく統計指標であり、仕様上精緻な計測が難しい指標です。そのため、GoogleDevelopersサイトの内容を踏まえて、FID代替え指標のTBT(Total Blocking Time)で計測、集計しています。

オールグリーンのハードルが非常に高い理由

3つの指標のうちいずれか1つで「良好」を達成しているサイトは31%~38%という割合ですが、LCP、FID(TBT)、CLSのすべての指標をクリアしているサイトは、19サイト(約9.5%)しかありませんでした。

これは各指標で「良好」(オールグリーン)を取るためのハードルが相当高いことを表しています。そもそも、上位サイトの表示スピード対策の内容は、サイトの構造やコーディング、画像リサイズ、CDNのキャッシュ対応など非常に手がかけられており、簡単には追随できないレベルです。

CoreWebVitalsの各指標とサイト数(割合)

  LCP TBT
(※FID代替え指標)
CLS
良好
(グリーン)
60サイト(約31%) 72サイト(約38%) 60サイト(約31%)
要改善
(オレンジ)
79サイト(約41%) 46サイト(約24%) 50サイト(約26%)
不良・低速度
(レッド)
52サイト(約27%) 73サイト(約38%) 81サイト(約42%)

※EC・売り上げTOP200サイトのうち、正しく計測できたのは191サイト

対策すべき指標の優先順位はこれだ!

すべての指標で「良好(グリーン)」をめざすべきですが、人と時間的リソースに制約がある中でどういう優先順位で対応すべきか? という疑問がわきます。

① 良好(グリーン)の割合

「良好(グリーン)」が最も多かった指標はTBT(※FID代替え指標)で72サイト(約38%)となり、LCP、CLSは同数の60サイト(約31%)でした。

② 要改善(オレンジ)の割合

「要改善(オレンジ)」ですが、最も多かったのはLCPの79サイト(約41%)でした。CLSは50サイト(26%)、TBTは48サイト(約24%)で、TBT(FID)より各指標で大きな違いが出ました。

③ 不良・低速度(レッド)の割合

最も低い評価である「不良・低速度(レッド)」が多かったのは、CLSの81サイト(約42%)です。続いて、TBTの73サイト(約38%)、LCPの52サイト(約27%)でした。この結果から、多くのサイトにCLSの課題があると予想できます。

この疑問に対するヒントは、GoogleのLighthouseのスコア変更に関する説明記事にありそうです。(参考:https://web.dev/performance-scoring/(英文))

元々「コアウェブバイタル」は、表示速度の計測ツール「Lighthouse」に採用されている指標です。「Lighthouse」における各スコアの配分(Weight)を見てみると、LCP(ページ表示速度) が25%、TBTが25%(※FID代替え指標、ページ応答速度)で、2つの指標で2分の1を占めているのがわかります。それと比較するとCLS(視覚の安定性)のスコア配分はわずか5%程度です。

勝手にスピードテスト スピードカーブ SpeedCurve コアウェブバイタル Core Web Vitals Lighthouse6での各メトリックのスコアに対するウエイト配分
Lightouse6での各スコアに対するウェイト配分

この情報から、まずはLCPとFIDの改善を優先的に行いつつ、次にCLSを図るというステップが、最も効率的なスコア向上=UX向上につながると言えるでしょう。

勝手にスピードテスト スピードカーブ SpeedCurve コアウェブバイタル Core Web Vitals CLSのズレを視覚化
SpeedCurveのダッシュボードで視覚化したCLSのズレ

対策難易度の高さは、FIDがトップ

対策の難易度ではどうでしょうか? Googleによると、FID(First Input Delay)とはWebサイトが表示されて実際にユーザーが操作可能になるまでの時間、インタラクティブ性を図る指標と定義されています。しかし、その推奨値は0.1秒と非常に高いレベルを求められます

FIDが遅くなる要因はさまざまですが、表示スピード改善の経験上最も多いのが「不要なJavaScriptの読み込みと実行」によるリクエスト数の増加です。

Webサイトを運用していく中でさまざまなJavaScriptを読み込みますが、「不要になった自作のJavsScriptライブラリが残っている」「以前は使っていたが、今は使用していない販促&マーケティング用のサードパーティタグがそのままになっている」などのケースは非常に多いと言えます。

下の表は、EC・売り上げTOP200の表示スピードランキングから、リクエスト数400以上のサイトを抽出したデータです。「Amazon」など高速サイトのリクエスト数が150前後なので、400というのはかなり多い数字です。

こうした多くのリクエスト数を持つサイトの中で、19サイト中「Good(良好)」の評価を獲得したのは「ハーブ健康本舗」だけでした。このデータを見る限り「リクエスト数が多いサイトはTBTが遅い傾向があり、その結果として『Needs Improvement(要改善)』か『Poor(不良・低速)』」という評価が出てしまいます。

リクエスト数が400以上あるサイトとTBT(FID)状況

順位 サイト名 Speed
Index(秒)
Request TBT
(※FID
代替え指標)
1 アサヒカルピスウェルネス 1.38 560 1010
33 サントリーウエルネス 2.36 700 1735
102 富士フイルムヘルスケアラボラトリー 3.67 495 789
126 エーザイの通信販売 4.22 494 2705
127 DHCオンラインショップ 4.26 453 570
128 ソニーストア 4.34 428 437
135 ヤーマンオンラインストア 4.53 894 2748
150 シーオーメディカル公式通販ストア 5.22 408 764
153 MTG Online shop 5.27 441 1275
160 カゴメ健康直送便 5.59 846 1403
161 ハーブ健康本舗 5.65 544 253
162 アイリスプラザ 5.70 407 837
164 ピーチ・ジョン公式通販サイト 6.13 419 1474
168 RUNWAY chanel 6.44 407 1404
179 Maison KOSÉ 8.08 456 1147
182 ビタブリッドジャパン公式通販サイト 8.48 447 1326
185 マウスコンピューター 9.86 445 429
187 チャップアップ公式ショップ 13.14 1640 3345
188 Hamee 13.16 448 665

「コアウェブバイタル」対策を強く意識しなければならない理由とは

Webサイトスピード研究会の有志 (ファシリテーター/スピード研究会主催:種村和豊氏(ゴルフダイジェスト・オンライン)、加藤晋平氏(インフラレッド合同会社)、近藤洋志氏(大日本印刷))の3人で、今回の結果についてディスカッションを行いました。

ゴルフダイジェスト・オンライン 種村和豊氏(以下、種村):今回、初めて「コアウェブバイタル」の計測分析データを見て、いろいろな気づきがあったと思います。これらのデータをどのように捉えていますか?

大日本印刷 近藤洋志氏(以下、近藤):「良好」という基準をめざすためには、まず現状を正確に計測して、何からどう改善するかの道筋を考えて取り組むのが重要だと感じました。

特にリクエスト数が多いと、FIDの指標が悪くなるということが今回の調査からも見えています。不要なページリクエスト内容の精査・断捨離がFIDの改善を進める上で非常に重要ですね。

インフラレッド 加藤晋平氏(以下、加藤):これまでのGoogleの指標と異なっているのは「よりユーザ視点(UX)で、それも複数の指標でWebサイトの来訪体験を評価する」という点でしょう。

種村:一方で、CLSの「視覚のズレ」という点ではレスポンシブウェブデザインは、実装上の仕組みとして不利になってしまいます。これはショックですよね。今までGoogleに推奨されていたやり方だったのに、どういうことなのかと。

近藤:その動向が少し気になりますが、いずれははっきりと駄目になっていくのだと思います。急に駄目だといったら、みんな困ってしまいます。

「コアウェブバイタル」はモニタリングと課題対応が必要

種村:いよいよ「コアウェブバイタル」がSEO検索ランキングのシグナルに組み込まれていきます。今回の調査データから、各サイト対応状況をどう感じましたか?

近藤:表示スピード上位TOP10に関しては想像通り。「コアウェブバイタル」の各指標に関しても高い水準で「良好」なので、表示スピード改善とあわせて「コアウェブバイタル」の指標もモニタリングが必要だと再認識しました。

加藤:今回の「コアウェブバイタル」の対応は、フロントエンドの実装やそれを支えるインフラアーキテクチャ含めて、きちんとモニタリング・課題対応しないといけないと改めて感じました。「コアウェブバイタル」は「Webサイトの顧客体験指標」なので、ごまかしが効きません

種村:難しいのは、「コアウェブバイタル」ではSpeedIndexのように絶対評価がしにくい点です。2つが「良好(グリーン)」でも残りが「不良・低速度(レッド)」だと大きく違いがでる。今後、評価ランクを見極めて総合ランク付けをしてくことも、わかりやすさのためには必要かもしれません。

まとめ

当初、「コアウェブバイタル」は2021年5月中旬に開始される予定でしたが、6月中旬に延期になりました。とはいえ、今回のEC・売り上げ TOP200サイトの計測データから、売り上げの大きい・表示スピードの感度が高いECサイトは、「コアウェブバイタル」対策準備が完了しているサイトが多いことがわかりました。

FID、LCP、CLSの3つ指標に関しては「さらにWebサイトの顧客体験をより良くすべき」という、Google社の強い意思を感じます。我々はサービスを提供する側として、顧客の来訪体験をより良くするために、「コアウェブバイタル」にきちんと向き合うことが大事だと再認識しました。

◇◇◇

今回の「コアウェブバイタル」ランキングの完全版データは、スピード研究会の研究記事を掲載・公開しています。ご興味ある方はこちらの「売り上げTOP・EC200サイトのCoreWebVitalsデータ完全版」からご確認ください。

この調査について

本記事の「コアウェブバイタル」の基準値はGoogle社情報「ウェブに関する主な指標レポート低速なサイトを修正してユーザー エクスペリエンスを改善する」に準拠した形をとっています。

  Good
(良好)
Needs
Improvement
(要改善)
Poor
(不良・低速度)
LCP 2.5 秒以下 4 秒以下 4 秒を超える
TBT
(※FIDの代替)
300 ミリ秒以下 600 ミリ秒以下 600 ミリ秒を超える
CLS 0.1 以下 0.25 以下 0.25 を超える

従来の一般的な計測ではアイドルタイムと呼ばれる、購入客が少ない午後の時間に計測されることが多く、朝、昼、夜のピークタイムや、土日の計測がほとんどされていませんでした。例えば、メルマガやLINEなどでキャンペーン情報を送った時にサイトがどんな状態になるのかを、ほとんどのEC事業者が知らないのが現状です。

今回の調査では売れている時間帯のコンディションを把握するために、12:30、18:30、22:30の1日3回、比較的高負荷の時間で実施しました。1サイトにつきトップページ、リストページ(カテゴリページ)、商品詳細ページの3つのURLを計測対象としました。

本記事、計測データの指標について

①「Speed Index」……Googleが発表したパフォーマンス指標。ブラウジング開始後、経過時間あたりのファーストビューが何秒で表示されるかを総合的に算出したもの。本計測、分析を行っているスピード研究会では最低目標値 4秒台、推奨値4秒以下を推奨しています。
(参考:(スピード研究会)SpeedIndexの基本合格基準、5秒から4秒の引き上げを決定!!

誤差や数値の違いについて

今回の計測は、12:30、18:30、22:30の1日3回という、ECサイトにおいて比較的高負荷とされている時間帯に行いました。従来の計測結果と乖離があるとすれば、この時間滞とアイドルタイムの違いが一番の違いとなります。

調査概要

調査期間:2021年2月22日(月)12:30 ~ 2021年3月8日(月)12:30までの14日間

調査対象:EC・売り上げTOP200のサイト対象に関しては、2019年度のネット通販売上高、上位200社のECサイト(日本流通産業新聞社「ネット経済研究所」 [2020年版]ネット通販売上高ランキングTOP480データ)を参考にしています。

調査範囲:1サイトにつき①トップページ、②リストページ(カテゴリページ)、③商品詳細ページの3つのURL(サイトの構成上、該当ページがなく測定できなかったサイトもあり、実際に計測したのは①195URL、②195URL、③195URLの計585URL。リストページと商品詳細ページが同一のため②③に同一ページで計測したのは3URL)。当該サイトURLは、検索エンジンによる検索結果から移動できるURLを用いた。

①トップページ、②リストページ(カテゴリページ)、③商品詳細ページ、それぞれの中央値(median)を平均したものをサイトの代表値とする。

※アスクルの2サイト(ASKUL、LOHACO)は別サイトとしてそれぞれ計測

※ゲオショップの2サイト(セカンドストリート、ゲオショップ)は別サイトとしてそれぞれ計測

※ログインや会員登録が必要、モール出店のみ、スマーフォン対応サイトがない場合などは計測対象から除外、EC・売り上げTOP200企業サイトの内、外部から正常計測が確認出来た191サイトを本計測、分析の対象としています。

計測時間:12:30、18:30、22:30の1日3回

測定プロファイル:Apple iPhone X(4G LTE)

1回当たりの計測数:3 checks

計測回数:585URL × 1日3回 × 3checks × 1デバイス × 14日間 = 73,710回計測

エミュレート回線品質(4G):ダウンロード 11.7Mbps/アップロード 11.7Mbps/レイテンシー 70ms

サイト調査実施:レポート/Web表示スピード研究会 種村和豊 調査解析/村岡温子、畑山真治 協力/Web表示スピード研究会(インフラレッド 加藤晋平、大日本印刷 近藤洋志) 監修/ドーモ 占部雅一

種村 和豊
種村 和豊

「ヘッドレス」で実現する一歩先のコマース体験とは? デジタルとリアルの垣根を越えるためにできること | CX UPDATES Digest

4 years 6ヶ月 ago
EC製品の機能は一旦忘れ、顧客視点でどんなeコマース体験を提供したいか、あるべき姿”を描いた上で、実装できる方法をを検討していこう

コロナ禍以降、生活者にとって、デジタルとリアルの垣根は想像以上に低くなっているようです。そうして顧客との接点が増え多様化している昨今だからこそ、企業は、その変化に合わせてデジタル・リアルをシームレスに捉えて設計した顧客体験(CX)を提供する必要があると電通アイソバーは考えます。

本稿では、顧客体験を起点に設計する“一歩先”のコマース体験とはどのようなものか? また、その柔軟な顧客体験の実現を可能にするアイソバーのヘッドレスソリューション“Kirimori”ができることはなにか? セミナーの内容をもとにお伝えします。

 

リアル店舗での体験はテクノロジーによって変化している。では、eコマースは…?

ここ数年、リアル店舗では、キャッシュレス決済やセルフレジの導入、webで購入しておいて店舗で受け取る(BOPIS)の普及など、デジタルやテクノロジーを活用することでより便利になり、購買体験が進化しています。

特にデジタルサイネージでできることは増えており、例えば商品のバーコードを読ませると色やサイズ展開などの知りたい情報が表示されるほか、店内や近隣店舗の在庫状況まで把握できるようにもなっています。こうした進化によって、顧客は「すぐに欲しい! すぐに見たい!」というニーズを十分と満たせるようになっています。

では、eコマースの購買体験はどうでしょうか?

商品の見せ方などは様々に進化しているが、肝心の購買体験はその仕組みを支えるEC製品の機能に合わせて実現できること”を考えているのではないか?」との問いを投げかけるのは、電通アイソバー株式会社 ビジネスディベロップメント部 エグゼクティブソリューションディレクター船井宏樹です。

とは言え、eコマースはコロナ禍によって売り上げが伸長しているケースが多く、「顧客に提供する体験を今すぐ改善しなければならない」という意識にはなりにくいかもしれません。

しかし船井は見聞きした話から、「確かにeコマースの売り上げは伸びているが、ソーシャルメディアやインフルエンサー経由で購買されているため店舗の名前すら覚えてもらえていないこともある。もっと顧客を大切にしてしっかりとファンづくりをしなければ…、と考える運営者は少なくない。現状に満足してウカウカしてはいられない、との危機感も高まっているようだ」と指摘します。

前述の船井の指摘から、eコマースを利用する顧客に対してもたらすあらゆる体験にはまだまだ改善の余地があることが想像できます。では、どのような発想が必要でしょうか?

これについて船井は、「よく用いられるEC製品に含まれる機能軸で自社が提供できるサービスを構想しない方がいいのではないか? EC製品を導入すればすぐにeコマースを始められるかもしれないが、その機能は過去からの『ベストプラクティス集』であり、過去から変わらない“eコマースの常識”もセットになってついてくることになる。そうなると顧客がハッとするようなイノベーションは実現しづらいだろう」との考えを述べました。

そして、「EC製品の機能は一旦忘れ、顧客視点でどんなeコマース体験を提供したいか考えてみよう」と、投げかけます。

例えば、「決済完了後、住所がわからないソーシャルメディア上で友だちになった相手にメッセージを送り、住所入力をしてもらうことでプレゼントができる」という仕組みや、「ソーシャルメディア上の友だちに欲しいものをカートに入れてもらい、決済はこちらに回してもらう」というフローはこの時代だからこそ考えられるニーズであり、新しいワクワクするような顧客体験になると言えるでしょう。

そうした“あるべき姿”を描いた上で、それが実装できる方法をどう持たせるか? を検討していこう、というわけです。

顧客体験の向上という意味では、新商品や瞬間的に人気が集中した商品のページが高負荷によって見られなくなった場合こそ“改善のしどころ”と言えます。

船井は、「そうした際に従来通りエラー画面を表示させるのではなく、リアルの店舗と同じように『どのくらい行列ができているか』待機人数がわかるようにしたり、待ち時間に特別なCM動画が見られるようにしてガッカリさせないようにもてなすことはブランディングにも貢献するはず」と、アイディアを挙げました。

このような考えを述べた上で、船井は、「顧客に受け取って欲しいメッセージングをはじめとした顧客体験を考える際、私たちは、人の心を動かす『Motivation』とゴールに向かうまでの障壁を下げる『Frictionless』の2つの軸を意識している。今回の場合、想定される施策は『Motivation』になり、それを実現させるテクノロジーが『Frictionless』だと言える。電通アイソバーでは、これらを組み合わせながらCX Design Firmとして顧客体験(CX)を作っている」としました。

ヘッドレスソリューションでeコマース体験はどう変わるか?

では、eコマースの「知る、検討する、買う、使う」という体験の中で、Frictionlessを叶えるソリューションとしてなぜ「ヘッドレスソリューション」が必要とされるのでしょうか?

電通アイソバー株式会社 ビジネスデベロップメント部 プランニングディレクター 門別諭は、「eコマースを支える仕組みは、大きく分けると顧客が接するフロント部分で用いられるCMSやMAツールと、決済や在庫情報などの“裏方”を担うECツールがそれぞれの役割を果し合いながら機能している。

これにヘッドレスソリューションをかぶせれば、各製品と通信しながらまとめ役として顧客に接することができるようになる」と、ヘッドレスソリューションの可能性を示しました。

また、そうした発想で誕生した「Kirimori」を例に、「API連携がしやすくなるので今まで以上に機能追加が柔軟にできたり、表示速度などのパフォーマンスも早くなる。また、混雑時にはエラー画面ではなく船井が示したようなスペシャルコンテンツや離脱者に『次回来店時に使えるクーポン』を付与するなどのマーケティング活動を展開することも可能だ。

このように、ヘッドレスソリューションをかぶせることでマーケティングコミュニケーションが担う事柄とテクノロジー領域ができることが広がり、結果として最適なアーキテクトのもとで最適な顧客体験(CX)を実現しやすくなる」と解説しました。

しかし、ヘッドレスソリューションの導入は単に“運用上の利便性の向上”を叶えるためのものではない、と門別。

「ヘッドレスコマースやヘッドレスソリューションというキーワードに目が行きがちかと思うが、本質は良質な顧客体験を実現するため、何が課題になっていて目指すべき姿はどのようなものかを考えた結果、必要になるだろうものとして導き出されるのがヘッドレスソリューションだ」としました。

 

デジタルとリアルの垣根を越える購買体験をヘッドレスソリューションで実現する

ここまで示してきた通り、eコマースの顧客体験をより良いものにするための環境を整えたなら、次はコロナ禍によって大きく変化した消費者行動に合わせて「どのような体験を提供するか?」を考える必要が出てくるでしょう。特に、リアル店舗を利用してきた顧客にとって、eコマースでもこれまで体験してきた“当たり前の体験やトキメキ”により近い体験をもたらすことは優先度の高い事柄だと考えられます。

その方法のひとつとして、すでに実施され始めているのがライブコマースやオンライン接客です。

この新しい取り組みについて、電通アイソバー株式会社 エグゼクティブプランニングディレクター 口脇啓司は、「eコマースやデジタル上での購買体験において大事なのは人間味が感じられるかどうか、ということだ。

eコマースを取り巻く環境は進化しているが、購買体験の中でも大きな要素はなんといっても『顧客と店舗のスタッフがコミュニケーションして生まれる“関わり合い”やその場の雰囲気を楽しむこと』だと考えられる。これをデジタル上でも体験することができれば、『リアル店舗の接客でしか提供できないことがある』というeコマースにおける課題を解決することができ、顧客が求める購買体験が叶うだろう」との考えを述べました。

ライブコマースについては、2019年から市場規模は拡大しているとの発表もなされています。認知度こそまだ高くはないものの、だからこそ伸び代は大きいと言えるでしょう。

オンライン接客についても、コロナ禍以降には実施する企業や体験したことがあるという人の数は増えています。

これらの施策について、重要なのは、オフライン(リアルな店舗)のスタッフがオンラインでも活躍する、という点を理解することです。実際に売り上げに貢献している事例も出てきており、リアル店舗のスタッフを“オムニチャネルスタッフ”へと転換するような発想も今後必要になってくると考えられます。

一方、そうしたリアルとデジタルの垣根を越えた接客の仕組みを構築したなら、その可能性をさらに伸ばすための「データ活用にも目を向ける必要がある」と、口脇。

「例えば、前回どのライブ配信を見ていたか? 以前購入した商品は? といったことを接客スタッフが事前に把握できるようになれば、前回の相談時のデータをもとにどのチャネルであろうがシームレスな体験を提供できるようになる。また、オンライン接客の満足度が確認できたり、スタッフの稼働率や成約率、KPIの管理やオンラインの売り上げ貢献度合いなどが把握できれば改善もしやすくなるだろう。

このようなリアルとデジタルの垣根を越えた顧客体験の提供するためのツールを導入する際、現在使用しているシステムとの連携に課題があり断念するという企業も多いと想像される。しかし、ヘッドレスソリューション『Kirimori』があれば、そのような場合でも柔軟に対応できるようになり、さらに、いずれ追加するかもしれないシステムの連携時や施策の展開の際にも実現可能性を高めることになるはずだ」と、締め括りました。

電通アイソバーでは、withコロナやafterコロナに求められる顧客体験を起点に設計する”一歩先”のコマース体験の実現に向けてクリエイティビティとテクノロジーの両面から様々な企業をサポートしています。

船井 宏樹 Hiroki Funai
ビジネスディベロップメント部 エグゼクティブソリューションディレクター
通販企業での10年間の業務経験を経た後、マーケティングソフトウェア企業にてビジネスコンサルタントとして7年従事。コマース企業を中心に分析/接客改善のコンサルティング実績多数。2019年7月より現職。

 

口脇 啓司 Keishi Kuchiwaki
プラットフォームコンサルティング部 エグゼクティブ プランニング ディレクター
アパレル企業で、ECビジネス、オムニチャネル戦略やデジタルトランスフォーメーションプロジェクトなどデジタルに関する全社プロジェクトを責任者として推進。2019年7月より現職。

 

門別 諭 Satoru Monbetsu
ビジネスディベロップメント部 プランニングディレクター
大手制作会社にてビジネス設計、UX/UI、アーキテクチャなどさまざまな分野を経験。コンサルティングからインフラに至るまで、大手から中小までの幅広い経験から状況に応じた知見があり、長いパートナシップをクライアントと築くプロセスを構築する。コマースにおける幅広い知識を活かし、受注受付までではなくその先の業務フロー設計および出荷までの全体設計、フルフィルメント設計を得意とする。
 
CX UPDATES

フリマアプリユーザーの56.2%が「売上金はキャッシュレスのまま使う」

4 years 6ヶ月 ago

楽天が運営するフリマアプリ「ラクマ」の調査によると、フリマアプリユーザーの56.2%がフリマアプリの売上金を現金化せず、キャッシュレスで利用していることがわかった。調査期間は2021年3月18日~3月23日、対象者はフリマアプリ利用経験のある20代~40代の女性600人。

「ラクマ」では約7割が売上金をキャッシュレス決済で活用

調査対象者にフリマアプリの売上金の利用方法を聞いたところ、56.2%が「キャッシュレスのまま、フリマアプリや他の買い物で使う」と回答した。「振込申請をして現金化して使う」と回答した人は43.7%だった。

ラクマ フリマアプリ キャッシュレス フリマアプリの売上金をどう使っているか
フリマアプリの売上金をどう使っているか(n=600)(出典:ラクマラボ)

「ラクマ」における2021年4月の売上金の利用方法を利用者数ベースでみると、振込申請をして現金化する人は32.5%だった。楽天のオンライン電子マネー「楽天キャッシュ」にチャージして利用している人は67.5%で、現金化する人と比べて2倍以上がキャッシュレスで利用していることがわかった。

ラクマ フリマアプリ キャッシュレス 売上金の利用方法
売上金の利用方法(利用者ベース)(出典:ラクマラボ)

売上金をキャッシュレスサービスで利用する理由としては、「振込手数料がかからないこと」「取引完了後すぐに売上金が使える即時性」などがあるという。

売上金の使い道トップは「フリマアプリの購入で使う」

売上金の使い道について聞いたところ、最多は「フリマアプリでの購入に使う」(36.2%)で、次いで「街の店舗での買い物に使う」(29.7%)「ネットショッピングで使う」(16.2%)だった。

ラクマ フリマアプリ キャッシュレス 売上金の具体的な使い道
フリマアプリの売上金(現金化したもの、電子マネー含む)の具体的な使い道で、最も金額の割合が大きいもの(出典:ラクマラボ)
藤田遥
藤田遥

「コアウェブバイタル」対策で自社ECの表示スピードやUXを改善! ヤフーの喜楽氏が登壇【6/16開催の無料ウェビナー】

4 years 6ヶ月 ago

ドーモは、「Yahoo!ニュースのコアウェブバイタル対策を公開」と題したセミナーを2021年6月16日(水)17時からオンライン形式で開催する。

ECサイト運営・事業者やSEO施策・UX改善に取り組んでいる人向けのセミナー。2021年6月からスタートするGoogleによる「コアウェブバイタル」について、各指標の意味や対策内容などについて解説する。

セミナーでは、既に対策を進めている企業の事例を元に座談会を実施。ヤフーの喜楽智規氏をゲストに迎え、ヤフーの対策状況や効果についても解説する。

喜楽氏は2016年にヤフーに入社。フロントエンドエンジニアとして、Yahoo!ニュースの大規模なシステムリプレイスやパフォーマンス・チューニングなどに従事している。

こんな人にオススメ

対象者

  • ECサイトの運営・事業者
  • 自社サイトの表示スピードに課題を抱えている
  • SEO施策に取り組んでいる
  • UX改善に取り組んでいる

解説内容

  • 「コアウェブバイタル」とは何か
  • 各指標の意味や、どのようなランク付けが行われているか
  • 対策方法や改善ステップについて
  • 達成すべき目標はどこか
  • 「コアウェブバイタル」対策予算をどのように確保するか

セミナー開催概要

藤田遥
藤田遥

顧客を「ファン」に育成する方法は? 事例とデータに学ぶEC事業者向け「ファンコミュニケーション術」【資料を無料提供】

4 years 6ヶ月 ago
コメ兵のLINE接客事例、トラコス発表の調査データに学ぶ「ファンコミュニケーション術」+企業のファンマーケ支援サービス解説をまとめたホワイトペーパーを無料提供
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コロナ禍によるEC参入企業の増加、人口減少などにより、多くの企業にとって「いかに1人の顧客とつながり続けるか」が課題となっている。

本書は、顧客のファン化を促進するための「ファンコミュニケーション術」を紹介。LINE接客で100万円の高級バッグを即売するコメ兵の事例、「顧客理解」に欠かせない各種データ(トランスコスモス発表)に基づいた考察を掲載している。

PDFのダウンロードはこちら 「Impress Business Library」(インプレス・ビジネスライブラリー)に移動します

事例紹介ページでは、コメ兵が実践する「LINE」などのデジタルツールを活用したオンライン接客を掘り下げ、売上1.3倍、客単価2倍を実現した裏側に迫る。また、「リピーターを生む顧客体験とは?」と題し、「手間・負担感の改善」がファン化育成に欠かせない理由を、トランスコスモスによる調査結果から解説。

併せて、企業のファンマーケティングを支援する2社のサービス内容についてもわかりやすく紹介している。

本書は3章立ての全9ページ構成。このホワイトペーパー1冊で、競争激化の時代を勝ち抜くための「ファンコミュニケーション術」、企業のファン化促進をサポートする有力サービスの特徴などを学ぶことができる。

CONTENTS

第1章:リピーターを生む顧客体験とは? 〜手間・負担感の改善がファン化につながる理由〜

顧客をファンに育成するには、コミュニケーションが欠かせない。トランスコスモスが実施した調査「消費者と企業のコミュニケーション実態調査」から、企業が顧客のファン化を促すヒントを探る。

第2章:LINE接客で100万円の高級バッグを即売〜売上1.3倍、客単価2倍。コメ兵の「LINE接客」活用事例〜

コメ兵が実践するオンライン接客事例を解説。導入前と比較し、売上1.3倍、客単価は2倍以上、100万円の高級バッグを即売する事例も出始めている「LINE接客」など、消費者とのOne to Oneコミュニケーションをどのように実現しているのか。具体的な事例を交えて紹介。

第3章:ファンマーケティング支援事業者のサービス概要

企業のファンマーケティングを支援する2社のサービスとは? 紹介しているのは、ノーコードで手軽にアプリを開発できる「Yappli」、EC特化のMAツール「HIRAMEKI XD」。

  • ヤプリ……ノーコードで手軽にアプリ開発可能な「Yappli」。ブランドのファンを育成しリピート購入の促進へ
  • トライベック……EC特化のMAツール「HIRAMEKI XD」。カート落ちメールでCV率が4.5倍向上!

無料でダウンロードできる資料(PDF)のご案内

 
「ファン」を生み出すコミュニケーション術
〜競争激化、人口減少時代を勝ち抜く顧客対応〜

事例には、コメ兵の甲斐真司氏(OMOプロジェクトリーダー WEB事業部長 )、佐野竜太氏(One to Oneタスクリーダー KOMEHYO新宿店 店長)、小上馬舞氏(One to Oneタスクメンバー KOMEHYO銀座店 アシスタントチーフ)が登場している。

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ネットショップ担当者フォーラム編集部

「雇用調整助成金」の特例措置を7月まで延長、厚生労働省が方針を発表

4 years 6ヶ月 ago

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが減少した事業者が休業手当を支給して従業員を休ませた場合、解雇などを行っていない中小企業の従業員の休業および教育訓練に対する助成率9/10、大企業は3/4、1日1人あたりの上限助成額は1万3500円とする現行の「雇用調整助成金」特例措置について、厚生労働省は7月末まで延長する方針を発表した。

厚労省は5-6月の「雇用調整助成金」特例措置について、特に業況が厳しい事業者などに対して特例を設け、原則的な措置の水準は一定程度抑えて運用。7月以降の助成内容は、通常制度に向けて見直しを進めていくとしていた。

緊急事態宣言の延長などを踏まえ、7月も5-6月の助成内容を継続。8月以降の助成内容は、雇用情勢を踏まえながら検討、6月中に公表するとしている。

#7月までの延長が決まった「雇用調整助成金」特例措置の内容

雇用調整助成金の助成内容(厚労省が発表した資料からキャプチャ)

原則的な措置

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが減少した事業者が休業手当を支給して従業員を休ませた場合、解雇などを行っていない中小企業の従業員の休業および教育訓練に対する助成率9/10、大企業は3/4、1日1人あたりの上限助成額は1万3500円。

解雇などを行っている中小企業の従業員の休業および教育訓練に対する助成率は4/5、大企業は2/3。1日1人あたりの上限助成額は1万3500円。

地域特例、業況特例

地域特例は、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」の対象地域で、知事による基本的対処方針に沿った要請に基づき、営業時間の短縮といったことに協力する企業などが対象。

業況特例の対象は、生産指標(売り上げなど)が直近3か月の月平均と前年または前々年の同期と比べ3割以上減少した全国の企業。

対象となる企業などには、大企業への助成率は4/5で解雇せず雇用を維持した場合は10/10、中小企業の助成率は4/5で解雇せず雇用を維持した場合は10/10。1人1日あたりの助成額の上限は1万5000円。

瀧川 正実
瀧川 正実

「置き配」の個人情報漏えいリスク低減を目的にヤマト運輸が「EAZY」に二次元コード伝票、EC事業者ではZOZOが導入

4 years 6ヶ月 ago

ヤマト運輸は6月1日から、配送サービス「EAZY」における「置き配」時の個人情報漏えいリスク低減に向け、配送伝票の届け先情報を二次元コード化して配達する取り組みを始める。

まずは、ZOZOが運営するファッション通販サイト「ZOZOTOWN」が導入。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県エリアで展開し、8月2日から対象を全国へ拡大する。

ヤマト運輸は、配送サービス「EAZY」における「置き配」時の個人情報漏えいリスク低減に向け、配送伝票の届け先情報を二次元コード化して配達する取り組みをスタート
二次元コード化された配送伝票イメージ(配達票あり)

EC事業者が届け先の個人情報を二次元コード化して配送伝票を発行し、荷物に貼付して発送。リアルタイムで更新される利用者からの受け取り要望の情報を、「EASY」の荷物を配送する「EAZY CREW」(「EAZY」の荷物を配送する配送パートナー)などと連携し、利用者が希望する受け取り方法で配達する。

二次元コードを使用すると、配送伝票上の個人情報は判別できなくなるため、個人情報漏えいのリスクを低減できる。利用者は安心して「置き配」などを指定することが可能。梱包資材を廃棄する際も、伝票を自身で剥がす手間を解消できる。

ヤマト運輸は、配送サービス「EAZY」における「置き配」時の個人情報漏えいリスク低減に向け、配送伝票の届け先情報を二次元コード化して配達する取り組みをスタート
サービスのイメージ

「EAZY」は2020年6月24日にスタート。対面に加えて「玄関ドア前」や「宅配ボックス」など、EC利用者の多様なニーズに徹底的に応え、配達の直前まで何度でも受け取り方法を変更できる機能、「置き配」時に配達完了通知と撮像データをリアルタイムにメール配信するなどの機能がある。

一方で、「置き配」は「個人情報の漏洩リスクが不安」といったユーザーの声があがっており、EC事業者とリスク低減の取り組みを検討してきた。ユーザーがより安心して荷物を受け取れるよう、EC事業者が発行する二次元コード伝票に対応した配達を開始する。

ヤマト運輸は、配送サービス「EAZY」における「置き配」時の個人情報漏えいリスク低減に向け、配送伝票の届け先情報を二次元コード化して配達する取り組みをスタート
「置き配」時の二次元コード化された配送伝票イメージ

ZOZ0は「EAZY」ローンチ当初から、ファッションECモール「ZOZOTOWN」に導入。新型コロナウイルス感染症の影響を背景とした安心・安全な配達へのニーズの高まりを受け、現在は「ZOZOTOWN」の多くのユーザーが「EAZY」を通じた「置き配」で商品を受け取っているという。

「置き配」が浸透する一方、配送伝票に届け先の個人情報が記載された状態のまま荷物が置かれることによる「個人情報の漏洩リスク」に不安を感じる顧客も存在。顧客の不安を解消し、より便利で安全に「置き配」を提供するために、配送伝票の二次元コード化を導入することにした。

石居 岳
石居 岳

父の日もお中元も「産直」で。コロナから始まった変化の連鎖をデータから読みとる【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

4 years 6ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年5月24日〜30日のニュース
ネッ担まとめ

新型コロナウイルス感染症を発端としたEC業界の変化はまだまだ続いています。変化に気付くにはデータの観測から……ということで、今週はデータ多めでお送りします。

ECの流れは変化し続けています

カンブリア宮殿の放送を終えて。食べチョクのこれまでとこれからをまとめます | 秋元里奈@食べチョク代表 | note
https://note.com/akirina/n/n115090cd9c6a#S4PSM

まずは産直ECが伸びてきた流れを振り返ります。

2020年2月末、突然複数の生産者さんから「急に販売先がなくなってしまった」と連絡がありました。新型コロナウィルスの影響によるイベントの中止、学校の休校による給食への出荷停止などが主な理由でした。

これまでも、台風などの悪天候によるSOSがくることはしばしばありましたが、全国からここまで多くのSOSが寄せられたのは初めての経験でした。

「一次産業に想像以上に大きな影響が出るかもしれない」

1年以上の前のことで、この時は何がどうなるのか誰もわからなかったですよね。悪天候の場合は地域が限定されていても、今回は日本全国からのSOSですから。そのあとの食べチョクさんの対応は早かったです。

すぐにチームで対策の検討を開始。3月2日より「コロナでお困りの生産者さん」の特集をオープンし、全商品の送料500円分を食べチョクが負担する支援プログラムを開始しました。

誰よりも早く動いた姿を見て、多くの生産者さんから問い合わせが殺到しました。生産者さんの声に応えるべく、次から次へとできる限りの施策を実施。

1週間もかからずに対応策を打ち出して、それ以降も動きは活発でした。こちらの記事でもお伝えしたようにClubhouseを活用するなど、とにかく生産者さんたちのために動いていましたよね。

2019年→2020年で流通額は42倍、ユーザー数は50万人を突破、生産者数は2021年4月末時点で4,300軒に。利用率や認知度、アクセス数など6つの項目で国内の産地直送サイトNo.1を獲得し、生産者1軒あたりの月間最高売上は1,479万円となりました。

流通額が42倍というのもすごいですが、それ以上にすごいのが生産者1軒あたりの月額売上が1,500万ほどになったということ。完全に産直ECが生産者にもユーザーにも定着した感じです。

【父の日の商品販売動向】産直EC内の昨年の「父の日」検索数は33.9倍増、今年の「母の日」は1.4倍増 コロナ下で親に産直食材の贈り物をする傾向が顕著に|株式会社ポケットマルシェのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000046526.html

グラフポケットマルシェ内の「父の日」検索回数比較(2019年〜2020年)
ポケットマルシェ内の「父の日」検索回数比較(2019年〜2020年)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000046526.htmlより編集部でキャプチャ

ポケットマルシェ内における「父の日」のキーワード検索回数は、2020年が過去最高となり、前年比33.9倍となりました。

2020年の父の日は、マグロ・サーモンなどが入ったおつまみ6種セットや、五島列島の岩牡蠣、紅ズワイガニといった魚介類の売れ行きが好調でした。

こちらは同じく産直EC「ポケットマルシェ」さんのデータです。コロナで産直ニーズが高まってユーザーも増える→家飲みが増えている→もちろんお父さんも家で飲む→おつまみがいる→父の日は産直だ!という流れですね。

父の日の贈り物には誰もが困った経験があると思いますが、産直のおつまみであればお父さんは喜びますし、家族も食べられるので一石二鳥ですよね。コロナ前には考えられなかった動きです。

今ひとつ盛り上がりに欠けるというか、仕方なく送っている感もあった父の日ギフトに変化があったように、お中元の状況も変化しているようです。

お中元EC 5月から早くもスタート 帰省の代わりやイエナカ充実用に | BCN+R
https://www.bcnretail.com/market/detail/20210526_227031.html

そごう・西武は、今年のお中元ギフトの売り上げについて、既存店前年105%、うちインターネット前年比110%と、強気の目標を立てる。同社によると、20年のお中元・お歳暮の売り上げは、お中元が前年の約9割にとどまったが、お歳暮が前年を上回ったという。

こちらの記事でも取り上げたように「帰歳暮」というワードが出てきて、帰省ができない状況で、お歳暮ECが伸びています。その流れでお中元も伸びるという流れ。

グラフ 「少し価格が高くても買ってもよいと思う食品・飲料」(マイボイスコム「プレミアム食品・飲料に関するアンケート調査(第2回)」)
「少し価格が高くても買ってもよいと思う食品・飲料」(マイボイスコム「プレミアム食品・飲料に関するアンケート調査(第2回)」)
https://www.bcnretail.com/market/detail/20210526_227031.htmlより編集部でキャプチャ

ちょっと高くても買ってよいと思う食品・飲料は「国産」「地域ブランド、地域の特産品」となっています。どう考えても産直との相性がいいですよね。贈り物には産直。そんな流れが生まれています。

さらにこの次の流れを考えると、生産者さんのECサイト構築&運用支援のニーズは高まりそうですし、食べチョクなどのいわゆるモールとの多店舗産直の管理も必要になってくるでしょう。一方で生産者さんから仕入れてギフト商品を扱っていた人たちは打ち出し方を変えていかないといけないので、既存商品をどう組み合わせていくのかなどを考えるために、ECコンサルのニーズも高まりそうです。

ちょっと前のまとめ記事で紹介したECコンサルの坂本さんはこう話しています。

運営しながら、その変化を素早くキャッチすることが何より大事だなと感じます。生まれる新しい価値を見逃さないために必要なのは、観察を続けることです。
変わらない原理と、変わりゆく市場環境。Eコマースという船を乗りこなそう。コマースデザイン株式会社代表 坂本悟史さんに聞く、今だからこそのEコマースの無限の可能性 | COMMERCe+

「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですが、どこかに変化が出ればそこから順番に変化が起きます。その変化を見逃さないようにEC全体の流れを把握して、ユーザーの動きの変化を観察しておかないといけないですね。

EC全般

ライブコマースに関する利用実態調査 | MMD研究所
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1960.htm

広がりそうで広がらないライブコマースですが、どこかで広がる可能性も頭に入れておきましょう。

ネットスーパーの認知率は91%、利用意向のある女性は2人に1人にのぼり、1年後には今の2.8倍利用が進む | eコマースコンバージョンラボ
https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/70732

こちらは広がることがほぼ確実なネットスーパー。

インターネットの利用、ここ数年でいよいよ老年層にも浸透。60代も8割間近【インテージ調べ】 | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/n/2021/05/21/40216

2020年に全世代でスマホとSNSの利用が急増。

【ドンキ】コロナ禍で20倍も売れた商品とは? 意外すぎる爆伸びアイテムを中の人に聞いた | ジモコロ
https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/hinishi08

大型テレビ、電源タップ、除草剤などが伸びています。

大切なのは「お店からの信頼」と「ユーザー体験」。宅麺.com 創業者・井上琢磨さんに聞く「ラーメン屋さんの未来」と、コロナ禍で過去最高の売上を達成するまでの軌跡 | commerce+
https://commerceplus.jp/takumen-inoue/

産直と同じくコロナの影響で伸びた宅配ラーメン。

ECシステムが「柔軟」であることは顧客体験向上につながるのか ヘッドレスコマースの現在と未来 | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/9171

こちらは何かと話題の「ヘッドレスコマース」の説明。今まで読んだ中で最もわかりやすかった記事。

商品レビューの誹謗中傷対策を考える。暴言はどこまで許されるのか? 弁護士に聞いてみた | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8716

本を書くということはメンタル的にタフでなければならないようです……。

今週の名言

「2割は自分たちのファン。6割は僕たちのことを何とも思っていない人たち、そして残りの2割が僕たちを叩くために身構えている奴らだ」と加藤は言いました。「なるほど!」と思いましたよ。

多くの人たちは僕たちに興味が無い。叩く人も2割しかいない。だったら、僕たちは2割のファンをちゃんと大切にすればいいんじゃないかって。

極楽とんぼ・山本圭壱が語る鈍感力の重要さ「切り取り報道の裏には声援だってある」 | break-time
https://new.akind.center/202105/yamamoto-keiichi-gokuraku/

これは芸能界に限らずどんな業界にもあてはまること。2割のファンがどんな人たちかを把握しましょう。

森野 誠之
森野 誠之

不動産事業から化粧品事業へ。チャレンジを続けるクレソワン化粧品 | EC業界で活躍する女性の働き方に迫る“e-女”~Presented by売れるネット広告社~

4 years 6ヶ月 ago
売れるネット広告社の代表取締役社長 加藤公一レオ氏と、クレ・コーポレーション クレソワン化粧品 大石南美さんとの対談(連載第12回)

売れるネット広告社の代表取締役社長CEOの加藤公一レオがEC業界で活躍する女性にフォーカスし、ネット通販(EC)に携わる経営者や担当者とさまざまなテーマについて対談する企画。12回目はクレ・コーポレーション クレソワン化粧品の大石南美(おおいし みなみ)さんの登場です。

今回の“e-女”

株式会社クレ・コーポレーション クレソワン化粧品 大石南美(おおいし みなみ)さん(左)と徳原智美さん
クレ・コーポレーション クレソワン化粧品 大石南美さん(左)と徳原智美さん
大石さんのプロフィール:
福岡県出身。2014年株式会社クレ・コーポレーション入社後、クレソワン化粧品事業部配属に。2021年1月よりクレソワン化粧品のマネージャーである髙橋奈々さんが産休に入ったことで、現在は後任として業務にあたっている。「たくさんの方にクレソワン化粧品を知っていただき、クレソワン化粧品を使っていただきたい」という思いで働いている。

不動産事業から化粧品事業へのチャレンジ

加藤公一レオ(以下 加藤):まずは自己紹介をお願いします。

大石南美(以下 大石):もともとはエステサロンで働いていました。クレソワン化粧品は不動産事業が母体で、当初は不動産事業を営むクレ・コーポレーションに受付事務として入社しました。その後、クレソワン化粧品に移って6年半ほどになります。

加藤:不動産から化粧品というのは、転職に近いくらいの変化ですよね。どのようなきっかけで、不動産会社が化粧品事業を始められたんですか?

大石:クレ・コーポレーション代表の榑林は、不動産事業の傍らで行える事業をいろいろと模索していたようです。そのなかで化粧品事業に可能性を見出しました。「肌により良い化粧品を自分たちで作ろう」と考え、現クレソワン化粧品マネージャーの髙橋とクレソワン化粧品事業を2011年に立ち上げたんです。プロジェクト立ち上げから「もっと良い商品を、もっと多くの女性にお届けしたい」という気持ちで、8年の歳月をかけて酵素洗顔の「スノーパウダーウォッシュ」の販売をスタートしました。

加藤:ネット通販はどのような形で始められたんですか?

大石:最初は「楽天市場」への出店です。ネット広告は出さずに販売。今はモールへの出店は行っていません。

加藤:モール出店よりも、自社ドメインでランディングページを制作して売っていく方が良いです。モールは競合が多く、常に比較検討されるので値下げ競争になってしまいます。大変なわりに利益はあまり上がりません。

一方、自社ランディングページの場合、お客さまがそのランディングページを見ている瞬間は同じ画面で他社商品と比較検討されることはないので、独占の世界。だから、自社ランディングページの場合は、情報価値によってモールよりも高い値段で売ることができるんです。

徳原智美(以下 徳原):私たちも今後が楽しみです。

株式会社クレ・コーポレーション クレソワン化粧品 大石南美さんと徳原智美さん

全国の農家を訪ね歩いて出会った希少原料を使用

加藤:御社の理念やビジョンについて教えてください。

大石:化粧品事業は、「エコを意識した環境に優しい商品作り」をモットーに、他には真似できないオンリーワンの商品作りをめざしています。「クレソワン」とは、フランス語で「お手入れの鍵」という意味で、“素肌力を引き出すこと”を大切にしています。「ベーシックなお手入れをシンプルに続けることで、キレイな肌を目指したい」という女性に向けて、“肌実感”にこだわった化粧品をお届けすることが私たちの役割だと考えています。

株式会社クレ・コーポレーション 理念

加藤:商品開発において、クレソワン化粧品ならではのこだわりや特徴はありますか?

大石:天然由来の成分や無添加にこだわった、肌と環境に優しい化粧品作りにこだわっています。たとえば、クレンジングジェルには「バラの女王」と呼ばれるダマスクローズの花油を配合。荒れやすい、ニキビができやすい、アトピーがあるなど、肌が弱い人にも使っていただける肌にやさしいクレンジングです。

クレンジングジェル

加藤:クレンジングは単品通販の商材としては良いですよね。売れるネット広告社のクライアントの中で一番売れている商品はクレンジング。美容液は女性の3分の1しか使っていませんが、クレンジングは大人の女性はほとんど使っているので、市場が大きいです。

大石:ほかの商品も、植物成分はできる限りオーガニック原料を使用し、美容液やクリームにはオーガニックレインボーキウイから抽出した果実水とエキスを使っています。開発者が全国の農家を訪ね歩き、日本で1農家しか栽培していない希少なオーガニックレインボーキウイに出会えました。オーガニックレインボーキウイにはビタミンCやビタミンE、カロテノイドなど、美容成分がたっぷり含まれているんです。

オーガニックレインボーキウイ

加藤:「レインボーキウイ」なんて初めて聞きました。一番売れているのは何の商品ですか?

大石:一番売れているのは酵素洗顔の「スノーパウダーウォッシュ」です。クレンジングを使うのはほとんどが女性ですが、酵素洗顔は男女関係なく使っていただけます。インフォマーシャルも配信していて、反響は大きいです。インフォマーシャル経由のお客さまは年配の方が多いですね。

スノーパウダーウォッシュ

加藤:年配のお客さまの良さは、一度使うと長く使ってくれる方が多いことです。若い人はさまざまな情報に触れるので浮気します(笑)。年配でオフラインのお客さまはCPOは高めですが、LTVが高いのが特徴です。

コールセンターのトークをランディングページにも反映

加藤:通販の仕事をやってみてどう感じていますか。面白さや難しさなど。

大石:インフォマーシャルを放映しているので、まだまだ電話受注が多いです。顔が見えないので、お客さまの声色から「怒ってらっしゃるのかな?」「何を考えてらっしゃるんだろう?」と感じることも多く、お客さまの考えを察知するのが難しいと感じています。

反対に、お客さまもこちらの声色でいろいろと判断するので、声のトーンや話し方にすごく気を遣っています。ネット注文ですとお客さまもコールスタッフも気を張らずに受注できるので良いなと感じています。

加藤:受注の電話は社内で受けているんですか?

大石:はい。一時期、外注していたこともありましたが、自社の方が引上率が高かったので、今はすべて社内で受電しています。

加藤:引上率アップのコツはありますか?

大石:同席している徳原さんは、電話での引上率が90%です。

徳原:話し方がゆっくりしているので、年配のお客さまにも聞き取りやすいのではないかと思います。また、私自身が自社の商品を良いと思って薦めているので、お客さまも「定期にしてみようかな」と言っていただけます

加藤:一度、徳原さんのトークを録音して、徳原さんがセールストークで使っている言葉をランディングページにも盛り込むと良いですよ。本来ランディングページというのは、コールセンターのスタッフがお客さまに話しているトークを反映させるべきなんです。

大石:引上率が高い人は何か違いがあるはずですよね。やってみます。

加藤:EC業界ならではの面白さはありますか?

大石:ネット業界が初めてなので、リアルタイムで反応があるのが面白いです。最近、クレンジングジェルの新しいランディングページで広告出稿しているのですが、すぐ注文があるととても嬉しくてやりがいがあります。「今日はどのくらい注文が入ったかな?」と毎日が楽しいです。

売れるネット広告社の代表取締役社長CEO 加藤公一レオ氏

定期の解約理由トップは「余っている」

加藤:化粧品ECをやっていて、何か課題に感じていることはありますか?

大石:定期コースの継続回数が3回ほどで伸び悩んでいることです。一度解約しても、「いろいろ使ってみたけど、やっぱりこれが良かった」と戻ってきてくださるお客さまも多いのですが、もっとLTVを上げていきたいです。

加藤:化粧品の場合、5回〜6回程度は継続が見込めるので3回は少ないです。アップセル率は下がってしまいますが、定期縛りを付けることを検討しても良いかもしれません。3回縛りにすれば5回は回転します。

それ以外にもLTVを上げる方法はたくさんあります。まず、定期コースの解約は電話オンリーにしたほうが良いです。ネットユーザーは電話が嫌いなので、心理的に解約しにくくなりますし、コールセンタースタッフが解約を阻止できる場合もあります。

また、一番解約が多いタイミングの一歩手前でサプライズプレゼントを贈るというのも効果的です。恋愛と同じです。倦怠期のカップルがいたとして、男性が女性に花束を贈ったら、2、3か月は別れを引き延ばせるじゃないですか(笑)

徳原:わかりやすいですね!

加藤:申込確認画面や申込完了画面、サンクスメールなどあらゆるところで「6か月は続けてください」と伝えるのも効果的です。同梱物でも「6か月継続」を徹底的に伝えてください。

結局、定期の解約理由は「商品が余っている」が一番多いです。お客さまが解約を申し出てきてもすぐに解約を受けずに余っている個数を聞き、余っている期間分だけ休止し、使い終わるタイミングで再開のお約束を取り付けると良いです。御社も利用している売れるネット広告社の「売れるネット広告つくーる」はLTVアップフォローメールも設定できるので、活用してください。

大石:なるほど。LTVアップのために当社でもできることがいろいろあるとわかりました。実践します。

クレ・コーポレーション クレソワン化粧品 大石南美さんと徳原智美さん

ECビジネスから感じる“流れ”の変化

加藤:化粧品事業に携わって6年ほどとのことですが、その間に感じた変化はありますか?

大石:当社の場合、インフォマーシャルからの電話注文が多かったのですが、最近どんどんネットに移行しています。InstagramなどのSNS活用にも力を入れようとしていて、流れが変わってきているのを肌で感じます。新しいフィールドで結果を出したいですね。

加藤:EC業界について、どのように感じていますか?

大石:「競合がものすごく多い」というのが一番の実感です。その中で差別化を図り、どうやって自社商品をアピールしていけば良いのか、常に思案しています。

当社の「スノーパウダーウォッシュ」は、1回分ずつ個包装になっていること、オーガニックシアバターを使用しているところに特徴があります。酵素は湿気に弱く、水分に触れると働きが弱くなってしまうので、個包装にして酵素の働きを最大限生かせるようにしているところが「スノーパウダーウォッシュ」の強みです。

ですが、酵素洗顔自体は他社からもたくさん出ていて、手頃な価格の商品も多いため、お客さまに違いを理解してもらうのは簡単ではないと感じています。

加藤:今後チャレンジしたいことはありますか?

大石:個人的にはInstagramの活用に力を入れていきたいと考えています。若い世代の方にも当社の商品を知ってもらうきっかけにしたいです。

加藤:SNSは一度成功すれば爆発力がありますからね。

大石:コロナ禍もあって、外出しなくても買い物ができるというのがネットの強みだと思うので、新しい成功事例を作りたいです。

加藤:ECビジネスは今の時代すごく良いと思います。定期コースが主体の単品通販はストックビジネスなので、コロナショックのような状況下でもいきなり売り上げがなくなることはありません。当社のクライアントも8割はコロナ禍の影響を受けておらず、1割はむしろ広告出稿がしやすくなり、売り上げがアップしているそうです。

大石:私もコロナ禍で改めて通販の強さを感じています。まだまだこれからのビジネスなので、今後が楽しみです。

対談を終えて

不動産会社から生まれた化粧品会社という、ユニークな成り立ちをもつクレソワン化粧品様。「どんな商品を出されているのだろう?」と興味がありました。原材料探しからこだわって開発されているという商品は、お客さまから「違いを実感した」との声がたくさん寄せられる実力派。今後、ECのノウハウを積み上げていくことで、さらなる飛躍が待っていることでしょう。

売れるネット広告社の代表取締役社長CEO 加藤公一レオ氏とクレ・コーポレーション クレソワン化粧品 大石南美さんと徳原智美さん

加藤公一レオからのお知らせ

日本で唯一のネット広告/ランディングページ特化型のクラウドサービス「売れるネット広告つくーる」は、登場した“e-女”が所属する企業さんも利用しています。

【無料セミナーのご案内】

売れるネット広告社は、「仮説ベース」ではなく「事実ベース」で、いかにクライアントの広告の費用対効果を上げていくか、いかに売り上げを上げていくかに特化し、“100%確実性”のある広告を追求してきました。無料セミナーでは、“最強の売れるノウハウ”、つまりは10社以上で広告の費用対効果が上がった成功の仕組みを大公開します。

加藤 公一 レオ
加藤 公一 レオ

約10日で日本からロシアへの配送。越境ECの代理購入サービス「Buyee(バイイー)」がロシアへの新配送サービス

4 years 6ヶ月 ago

BEENOSが運営する越境ECの代理購入サービス「Buyee(バイイー)」は2021年5月から、航空便によるロシア向けの新配送サービスを独自に導入した。約10日で日本からロシアへの配送が可能となる。

コロナ禍でも配送日数を短縮

新型コロナの影響を受け、2020年から日本郵便のEMS(国際スピード郵便)や航空便が一時停止し、「Buyee」における日本からロシアへの輸送手段は船便しかない状況に陥った。

こうした状況を打開するため、「Buyee」は独自の航空便による物流経路を開拓、新配送サービスをスタートした。新配送サービスにより、船便だと到着まで2か月~3か月以上要していたロシアへの配送が、約10日まで短縮できるという。

BEENOS Buyee 越境EC ロシア向け新配送サービス
「Buyee」が導入したロシア向け新配送サービス

ロシアにおける越境EC市場はEC売上高の約3割を占める

日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、2019年時点のロシアのEC市場は310億ドル、世界で9番目の規模。また、EC市場の伸長率は世界3位となっており、2020年のロシア国内のEC取引額は、コロナ禍による需要増加で前年比1.9倍の約3兆8934億円に達したという。

ロシアEC市場の特長として、EC売上高全体に占める越境ECの割合が高いことがあげられる。物流の混乱を受け、越境ECにおける取引額は前年比24.9%減少したが、2018年時点で、ロシアの越境EC市場はEC売上高全体の約3割を占めている。

BEENOS Buyee 越境EC ロシア向け新配送サービス 世界各国のEC市場規模
世界各国のEC市場規模(2019年)(画像は日本貿易振興機構サイトからキャプチャ)

こうした状況を受け、BEENOSは次のようにコメントした。

ロシアは越境ECにおいて極めて潜在力の高い市場だといえ、今回の新配送サービスによってロシア市場における「Buyee」のシェア拡大とともに、「Buyee」においてロシアユーザーから人気のルアーや釣竿といった釣り具などホビー関連アイテムや美容、健康関連アイテムのさらなる伸長や、購入カテゴリの拡大が期待できます。

「Buyee」とは

「Yahoo!ショッピング」「楽天」「ZOZOTOWN」「ヤフオク!」など、日本の通販商品・オークションの代理購入・代理入札を行うサービス。主に日本国外に居住するユーザーを対象としており、ユーザーの代わりに日本の商品を購入し、配送を行う。

BEENOS Buyee バイイー 越境ECサービス
「Buyee」の特徴と利用の流れ(画像は「Buyee」サイトからキャプチャ)
藤田遥
藤田遥

「Pinterest」がテレビCM、日本初のブランド広告キャンペーンに女優の中条あやみさんを起用

4 years 6ヶ月 ago

ピンタレスト・ジャパンは5月29日から、ビジュアル探索ツール「Pinterest」のテレビCMを始めた。国内初となるブランド広告キャンペーンで、キャンペーンキャラクターには女優の中条あやみさんを起用した。

ピンタレスト・ジャパンはビジュアル探索ツール「Pinterest」のテレビCMを開始。キャンペーンキャラクターには女優の中条あやみさんを起用
日本初のブランド広告キャンペーン

同時にHPのコンテンツをキャンペーンに合わせて刷新。国内の初回訪問者を対象とした「Pinterest」の利用に役立つハウツー、活用方法といったユーザーガイドを公開した。

「Pinterest」は2020年、グローバルで1億人を超えるユーザーを獲得し、過去最大の成長を記録。月間アクティブユーザーは4億7500万人を突破した。日本国内では2019年比で検索数は2.5倍、「ボード」の作成数は2倍に増えたという。

ピンタレスト・ジャパンはビジュアル探索ツール「Pinterest」のテレビCMを開始。キャンペーンキャラクターには女優の中条あやみさんを起用
テレビCMのイメージ

新型コロナウィルス感染症拡大により、「Pinterest」では実用的で前向きになれるインスピレーションの検索が大幅に上昇。2020年の国内インテリアに関する検索で比較したところ、「ひとり暮らし部屋レイアウト」に関する検索は24倍増、「小さな部屋の整理」は9倍増えたとしている。

「Pinterest」はWeb上やサービス内 で見つけた動画や画像を保存、整理、そして共有できるサービス。自ら画像をアップするよりも、サービス内で見つけた好きな動画や画像をPin(ピン、保存)して収集、「ボード」(写真や動画をコレクションする機能)に整理して保存するのが主な利用方法となる。

「Pinterest」はEC関連の機能強化も進めており、無料ビジネスアカウントに登録した事業者の自社ECサイトで掲載している商品画像などがピンされた際、商品価格や在庫有無などを表示する「プロダクトピン」などの機能を搭載している。

装建材・DIYパーツなどをBtoC、BtoBで販売しているECサイト「toolbox」(運営はTOOLBOX)では、2019年春から「Pinterest」の「プロダクトピン」を積極的に作成。潜在顧客へリーチし、SNS関連からの流入のうち「Pinterest」が占める割合は8割、「Pinterest」経由の売り上げは1年で3倍となっている。

テレビCM「Pinterest インテリア篇」
瀧川 正実
瀧川 正実

ニトリがVR活用のバーチャルショールームで実店舗のような買い物体験を実現

4 years 6ヶ月 ago

ニトリはVR(仮想現実)による最新3D技術を使用し、実店舗での買い物の楽しさとネットでの買い物の便利さを兼ね備えた「バーチャルショールーム」を開始した。

「ニトリバーチャルショールーム」は、実際のニトリの店内にあるコーディネートルームを3D撮影しバーチャルルーム化。店内を360度見渡しながらショールーム内を移動し、好みのコーディネートを探すことができる。

ニトリはVR(仮想現実)による最新3D技術を使用し、実店舗での買い物の楽しさとネットでの買い物の便利さを兼ね備えた「バーチャルショールーム」を開始
「バーチャルショールーム」のイメージ

ネットでの購入を希望する顧客、フルラインナップの閲覧を希望する顧客に、実際の店内を歩いているかのような臨場感で買い物の楽しさを体験できるようにした。

コーディネートされているインテリア商品にはピンがついており、一緒にコーディネートされている商品の詳細を一覧で確認して、そのまま気に入った商品をECサイトで購入することが可能。

ニトリの店内では、来店した顧客に自宅で家具やインテリアを設置した際の様子を、リアルに想起できるようなコーディネートルームを数多く用意している。

インテリア雑貨の「デコホーム」のバーチャルルームでは、モデルハウスをデコホームオリジナルの雑貨でまるごとコーディネートした様子を閲覧できる。

ニトリはVR(仮想現実)による最新3D技術を使用し、実店舗での買い物の楽しさとネットでの買い物の便利さを兼ね備えた「バーチャルショールーム」を開始
デコホームの「バーチャルルーム」イメージ

ビジネスシーン向けの「ニトリビジネス」では、法人顧客向けに、オフィス、商業施設、医療福祉施設、宿泊施設などの空間のコーディネートから納品までを手がけている。「ニトリビジネス」最大級のショールームをバーチャルルーム化。オンラインでの接客を希望する顧客や、近くにショールームがない全国の顧客にも、ニトリのオフィス家具や関連商材をバーチャル上で閲覧できる。

ニトリホールディングスの2021年2月期におけるEC事業の売上高は、前期比59.2%増の705億円。連結売上高に占めるEC売上高の比率は9.8%で、前期から2.9ポイント増加した。今後、EC事業の基盤強化を進め、2025年度までにEC事業の売上高を1500億円まで拡大させる計画。

ニトリホールディングスの2021年2月期におけるEC事業の売上高は、前期比59.2%増の705億円。EC化率は9.8%
通販事業について(画像はニトリHDのIR資料からキャプチャ)
石居 岳
石居 岳

ユーザーの「興味」を引き出すことが購入モチベーションになる!「TikTok」のオンライン運用型広告配信プラットフォームを解説

4 years 6ヶ月 ago
ニューノーマルの時代、「購入」を引き起こす要因はこれまでのデジタルマーケティングで重視されてきた「比較・検討」より「興味」が重要となってきている。TikTokでユーザーの「興味」を集める動画と広告のポイントについて、TikTok For Business Japanの廣谷亮氏と畠山雄氏が解説

デジタルマーケティングの分野では、これまで「比較・検討」が「購入」を最も引き起こす要因になると考えられてきた。しかし、コロナ禍のニューノーマルによって消費者の行動は激変。直線的に“回答”を求める情報接触ではなく、“回遊”しながら情報接触することで新たな「興味」が芽生え、「購入」を誘発するようになってきている。この新たなユーザー行動を捉えているのが「TikTok」だ。

広告プラットフォーム「TikTok For Business」を担当するTikTok For Business Japanの廣谷亮氏と畠山雄氏が、「TikTok」が新たな「興味」に出会う場となる理由、「興味」を集める動画・広告を制作するポイントについて解説する。

「TikTok」はブランドやサービスを「見つけてもらえる場所」

「TikTok」は、世界におけるアプリダウンロード数20億回を突破(センサータワー調べ。2020年4月時点)し、グローバルダウンロード数も1位を獲得(センサータワー調べ。2020年12月時点)しているプラットフォームだ。

また、2019年9月からの約1年間で、再生数は約2.6倍、エンゲージメント数は3.8倍に達したほか、平均視聴時間は42分から56分に増加するなど、ユーザー数、利用頻度ともに拡大している。

サービス開始から間もない2018年からこれまでの間に、投稿されるコンテンツは年々変化。ユーザー層においても、当初はZ世代(1990年代半ば〜2000年代初めに生まれた若年層)が中心だったが、徐々に他の世代にも広がりを見せている。

時代に合ったユーザーファーストな視聴体験

TikTok For Business Japanの廣谷亮氏(Global Business Marketing Brand Strategy Director)は、「TikTok」ユーザー行動の変化に関して、次のように予測する。

2021年末にかけて、半数以上のユーザーが1分以上の動画は長すぎると感じるようになるのではないだろうか。パワーバランスがユーザーの方に寄ってきている。(廣谷氏)

TikTok For Business Japanの廣谷亮氏(Global Business Marketing Brand Strategy Director)

ユーザー行動の変化に対応するため、「TikTok」は時代や環境に応じた視聴体験が提供できる3つの特徴を兼ね備えているという。

1.サクサク短尺

15~60秒までの短尺動画の投稿が可能。「動画の長さがちょうど良い」と思うユーザー数が増加している。

2.広告の強制視聴なし

(一般的な投稿同様)広告もいつでもスキップできる仕組みとなっているが、「『TikTok』で流れる広告はつい見てしまう」と回答するユーザーが多い傾向にある。

3.おすすめを見る

ユーザー自身がフォローしている知人やインフルエンサーの投稿ばかりを見るのではなく、「TikTok」では、「おすすめ」フィードに流れてくる投稿を見る傾向が強い。

これらの特徴から、「TikTok」には、「新しいコンテンツ(投稿)に出会える」「新しい発見があって興味が広がる」と感じるユーザーが多い。

回答から回遊へ。興味突破時代の再来

独自調査により、「知らない分野にも触れたい」「もっと自分に必要な・合った情報があるのではないかと思う」と回答した人が約6割もいることがわかったという。

出典: TikTokユーザー白書(2020.11)
出典: TikTokユーザー白書(2020.11)

“回遊”しながらの情報接触がユーザーニーズを満たす

これまでの情報取得方法は、「これが知りたい⇒検索する⇒答えが出てくる」という、検索に特化したQ&A方式が主流だった。そのため、QからAに至るまでが一直線で、周りの情報がそぎ落とされてしまっていた。

しかし、直線的に“回答”を求める情報接触ではなく、さまざまな分野を“回遊”しながら情報接触することで発見や興味につながり、ユーザーニーズを満たす傾向になってきている。こうした「“回遊”する情報接触が今後は主流になってくる」とする。

出典: TikTokユーザー白書(2020.11)
出典: TikTokユーザー白書(2020.11)

「興味」が「購入」を引き起こす

昨今のデジタルマーケティングは、「比較・検討」からの「購入」に焦点が当てられてきた。しかし、「紹介された商品やサービスを購入したくなるのはどんな動画ですか?」という質問に対する回答から、「興味」が「購入」につながる関係性が明らかとなった。

従来は最下層のボトムファネルである「購買」には、その直上のファネル「検索する」の相関関係が強く、検索数が上がれば購買につながるという考えだった。そのため、いかにボトムファネルの中で刈り取りに行くかが意識されていた。しかし「TikTok」によると、回遊型の情報接触で「興味」を芽生えさせ、瞬発的な購買意欲と消費を引き起こすことが重要だという。

そのため、ユーザーに興味を持たせる広告やコミュニケーションを展開したい時に、「TikTok」の活用余地があると廣谷氏はいう。

出典: TikTokユーザー白書(2020.11)
出典: TikTokユーザー白書(2020.11)

昔ながらの「テレビCMで一気に興味を持たせる」というような時代が、デジタルだからこそ再来しているのではないだろうか。(廣谷氏)

TikTokの運用型広告

 「運用型広告」と聞くと、手間がかかり効果を出すのも大変という印象が持たれやすいが、「TikTok」は、「簡単さ」を追求したことで成長を遂げているという。

運用型広告の簡単ポイント① ~配信開始まで~

配信開始までは、「オンラインアカウント」というサービスを利用すれば1日で設定が完了する。

アカウント登録には、メールアドレス、サイトのURL、決済カード情報など、すでに手元にある情報のみを必要としている。また、広告の設定のステップも、管理画面の手順に沿って選択肢から選んだり、予算を入力するといった作業で完結する。

運用型広告の簡単ポイント② ~動画の制作~

静止画のみ、かつ音楽を保有していなくても動画制作ができることが特徴だ。

動画のテンプレートを約80種類用意しており、この中から好みのテンプレートを選んで静止画を入れ込み、必要な情報をテキストで打ち込むだけでオリジナル動画が生成できる。音楽も4800曲以上を無償で提供しているため、音楽を載せて配信することも可能だ。

また、「スマートマイクロムービー」という機能を用いれば、いくつかの素材を入れて作りたい動画の秒数やスタイルを選ぶだけで動画が生成できるようになっている。

データが増えているため、コンバージョンの高いユーザーの予測精度は向上している。下手にターゲットを絞り込まずに配信し、学習させることでパフォーマンスは上がる。(畠山氏)

TikTok For Business Japanの畠山雄氏(Product Strategy & Operation)
TikTok For Business Japanの畠山雄氏(Product Strategy & Operation)

「TikTok」において“良いクリエイティブ”とは?

広告とユーザーのマッチングの精度は向上していても、やはりクリエイティブの工夫も必要となる。

広告動画を制作する上での工夫とは、キレイな動画や映像を制作することではなく、ユーザーに見てもらうために行うことだ。(畠山氏)

キヨハラサトル
キヨハラサトル

700サイト以上が導入したクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」とは? 取締役CMOが語るクラウドのメリットと支持される理由

4 years 6ヶ月 ago
BtoCに加え、BtoBにも対応できるクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」。クライアント企業から支持を得る3つの理由、強みなどをインターファクトリーの取締役CMO・三石祐輔氏が語る
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インターファクトリーが提供するクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」は、商材や業種を問わず、BtoCとBtoBビジネスの両ビジネスモデルにも対応、企業の要望へ柔軟に対応できる拡張性を特長としている。中規模~大規模ECを中心に導入企業数が拡大、コロナ禍以降のEC需要の高まり、クライアントニーズの多様化によってさまざまな企業からの引き合いが増えているという。

2020年8月にはECプラットフォーム専門企業として東証マザーズに株式を上場。システムのさらなる“ハイエンド化”に向けた開発体制を整えるため、人材採用施策を中心に投資を強化している。「ebisumart」の強みと今後の展望について、取締役CMOの三石祐輔氏に伺った。(文:朝比美帆、写真:吉田浩章)

最新性、拡張性、安心性を兼ね備えたクラウドコマースプラットフォーム

インターファクトリーは2003年に創業し、翌年からECサイト構築パッケージ「EC VALUE MARKET」の提供を開始。2007年にパッケージのバージョンアップと同時に名称を「えびすマート」に変更し、2010年にはパッケージ型からクラウド型に一新した。

2014年から現在の名称である「ebisumart」としてサービスを展開。2020年8月に東証マザーズへ新規上場した。

インターファクトリー ebisumart クラウドコマースプラットフォーム 取締役CMO 三石祐輔氏
取締役CMOの三石祐輔氏

「ebisumart」の特性、つまりクライアント企業から支持を集めているのは、①最新性 ②拡張性 ③安心性――の大きく3つがあげられる。

クラウド型のサービスのため、システムのアップデートが定期的に行われ、導入企業は常に最新の状態でシステムを利用できる。

インターファクトリー ebisumart クラウドコマースプラットフォーム ebisumartで実現できること
クラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」で実現できること

一般的に、クラウド型は開発ベンダー側の環境に依存しやすいため、カスタマイズ性が低くなりがち。だが、「ebisumart」はクラウド型でありながらも自由度の高い拡張性を持っているため、導入後も市場環境の変化に合わせた機能の拡張を「ebisumart」側で随時行う。最新性を備えながら、個社ごとに必要な機能の追加も可能で、事業の成長に合わせた柔軟な対応ができるシステムとなっているのだ。

インターファクトリー ebisumart クラウドコマースプラットフォーム クラウド型の特長の1つ「最新性」
クラウド型の特長の1つ「最新性」。マーケットのニーズ、顧客ニーズなどに対し、常にシステムを最新化できる

BtoC、BtoBのほか、モール型ECサイトなど高度で複雑なサイト構築にも対応。拡張性の高さから、カスタマイズニーズが高まりやすい中規模~大規模EC事業者を中心に導入企業数を広げている。

安心性の面においても、高いセキュリティー基準の中で継続的に更新しており、1分あたりの最大アクセス数は5万アクセス、年間稼働率は99.95%の安定稼働を実現している。

インターファクトリー ebisumart クラウドコマースプラットフォーム 大量データや急なトラフィック増加にもスムーズに対応できる
大量データや急なトラフィック増加にもスムーズに対応できる
インターファクトリー ebisumart クラウドコマースプラットフォーム ebisumartの特長
「ebisumart」の特長(2021年2月末時点)

コロナ禍で多様化するクライアントニーズにも柔軟に対応

株式上場で大手企業からも引き合い増加

「ebisumart」はBtoCとBtoBの双方に対応するほか、商材や業種を問わず利用できるECプラットフォームのため、全方位から導入の相談が寄せられている。現在の導入企業を見ても、ラルフローレン、エレコム、ゼンリン、スクウェア・エニックスなど、物販からデジタルコンテンツ、法人向けまで幅広い分野の企業が導入している

特にこのコロナ禍では、あらゆる業種でEC事業の強化が経営課題となり新規の問い合わせ件数が増加。インターファクトリーが上場したことも加わり、大手企業からの問い合わせを含め、以前に比べて約1.6倍増しているという。

「ECベンダーを比較検討する際には、ベンダー側の企業規模や信頼性の高さが条件に加わるケースが多い。上場するとそれらが明確になるため、大手企業からも引き合いが増えたのではないか」と三石氏は分析する。

インターファクトリー ebisumart クラウドコマースプラットフォーム 取締役CMO 三石祐輔氏
2020年の大きなトピックは株式上場だったと語る三石氏

昨今、消費者のニーズや行動の多様化などにより、導入企業の要望が多様化しており、単純にEC事業の開始やEC事業単体の売り上げを意識したものに限らなくなっているという。たとえば、「ebisumart」と基幹システムやポイントの仕組みと連携させたり、オムニチャネルを推進するために「ebisumart」を活用したいといった要望だ。

ECを1つのドライバーと捉え、ECサイトと他のシステムやチャネルとの親和性を高めて事業全体を伸ばしていく施策にシフトする企業が増えている中で、「ebisumart」の柔軟な拡張性によって独自の機能をカスタマイズできる点が強みを発揮している。

この柔軟な拡張性から、単なるECサイトの構築だけでなく、取引先やクライアント企業を巻き込んだモール型のEC事業を展開したいというニーズも、BtoC、BtoBともに高まっている。モール型ECの引き合いに対しても、どういった形のモールにしたいのか、各社で異なるニーズを形にして最適な形態が構築できているという。

インターファクトリー ebisumart クラウドコマースプラットフォーム サービスポジション
「ebisumart」のサービスポジション

コロナ禍でBtoB企業からデジタル化対応の引き合い

BtoB事業者に着目すると、コロナ禍以降に企業間取引のEC化を推進する手段として「ebisumart」が活用される事例が増加。企業間取引の多くは従来、社員が出社することを前提に組み立てられた受発注の業務フローだったため、テレワークでは業務の進めにくさが顕著となった。

企業間取引でもオンラインを活用する変革が多くの企業で進められている中、インターファクトリーは2020年、BtoB専門部署を新設してサポート体制を強化したほか、BtoB事業者から寄せられるニーズに応えた新機能の追加を次々と実施し、BtoB事業者による「ebisumart」の利用価値をますます高めている。

インターファクトリー ebisumart クラウドコマースプラットフォーム 成長戦略の1つに標準機能の拡充を掲げる
成長戦略の1つに標準機能の拡充を掲げる

なぜクラウド型のニーズが高まっている? 中長期的なコストメリット

新規導入企業のうち、6~7割はリプレイスが占めているという。ASPなどでECを運用していた事業者が、成長に合わせて「ebisumart」にリプレイスする事例だけでなく、パッケージを導入して自社用にカスタマイズ対応をしていた中規模~大規模EC事業者からのリプレイスも増えている。

コロナ禍のニューノーマルや多様化するキャッシュレス決済など、消費行動の変化や技術の進化が目まぐるしい現在、パッケージはシステムの陳腐化リスクが生じやすい点が懸念される。一方、クラウド型の「ebisumart」は定期的に機能の追加やアップデートをしており、全ての導入企業が常に最新の状態で利用できる

インターファクトリー ebisumart クラウドコマースプラットフォーム ECサイト構築方式別対象顧客規模
ECサイト構築方式別対象顧客の規模

増え続ける決済手段に対応する機能拡充、基幹システムなどさまざまなシステムなどとの連携を行えるようにするAPIの新規開発を含め、外部のシステムベンダーとの連携をしやすくするアップデートも常時実施している。

「改修コストも考慮すると、3~5年後を見据えた中長期的にはクラウドの方がよりコストメリットが高い」(三石氏)。特に中規模~大手企業は長期的な視野から逆算して最適な手段を選択する傾向にあるため、クラウド型のプラットフォームを導入するニーズの高まりにつながっているという。

インターファクトリー ebisumart クラウドコマースプラットフォーム 「ebisumart」の幅広い機能連携
「ebisumart」の幅広い機能連携

拠点の全国展開を構想、優秀な開発人材の採用を進める

導入企業のおおよその規模はECの年間売上高10億~50億円規模が「ebisumart」のボリュームゾーン。一定の規模まで成長した事業者は“卒業”するケースが多かった。

今後はより高度な機能やカスタマイズが必要となる事業者でも「ebisumart」で十分に満足な運営ができるようにシステムを強化していきたいとし、そのために優秀なエンジニア人材の採用を推し進めている。

また、採用活動だけでなく、採用した優秀な人材が安心して働き続けられる環境を作るための施策も強化中だ。その1つが拠点の全国展開。すでに開設している福岡市と宮崎市のオフィス(開発ラボ)に加え、今期から来期にかけて那覇市、札幌市、仙台市に順次オフィスを新設する計画だ。

インターファクトリー ebisumart クラウドコマースプラットフォーム 宮崎オフィスのようす
宮崎オフィスのようす

拠点を全国のさまざまな地域に展開する構想に至った経緯は、UターンやIターンが必要になった社員も、これまでの給与水準や仕事が担保されたまま、この会社で働き続けられる環境を叶えたいという考えから。

都市部に拠点が集中していると、実家が遠方にある社員など、何らかの事情で遠隔地に移り住まなければならない場合のように、働く場所が原因となる人材流出を防ぐことはできない。また、各地に拠点があれば、その地域に住む優秀な人材の採用にもつながることが期待される。

テレワークが当たり前になっても、家に自分専用の仕事部屋がないなどの理由で、自宅で仕事をすることが必ずしも最善ではない状況があり得る。だからこそ、会社としては事務所を用意して、社員が働く場所を選べるようにしなければならないと考えている。(三石氏)

インターファクトリー ebisumart クラウドコマースプラットフォーム 取締役CMOの三石祐輔氏
カスタマイズ性に優れたクラウドコマースプラットフォームには「優秀なエンジニアが欠かせない」と三石氏

社員それぞれが自身にとって最も生産性の高い働き方を考え、それをチームで共有し、マネジメントすることで、業務が円滑に進捗しているという。実際に、九州の実家に戻ったエンジニアが、福岡拠点への出社とテレワークを混ぜ合わせた働き方で仕事を続けている事例がすでにあがっている。現在は各地域の拠点を活用できる職種をエンジニアに限定しているが、ゆくゆくはその他の職種にも適用を検討したいとしている。

ぶれないゴールを決め、逆算思考でECプラットフォームを選ぶべき

EC化の推進やECをいかに会社の成長に寄与させるかがさまざまな企業の経営課題となっているが、数多くのECプラットフォームの中から自社に最適なものを選択することは難しい。ECプラットフォームを選ぶポイントとして、三石氏は「まず、ぶれないゴールを決めること」だと話す。

ECをやること自体がゴールではないはず。各社がそれぞれに抱える事業の課題を解決するためのツールや、事業のゴールを達成するための一手段としてECが持ち上がっているだろう。3年後、5年後の中長期で何をめざすのか。「そこをめざすために最適なECプラットフォームはこれだ」という、ゴール地点からの逆算思考でECプラットフォームを選んでほしい。(三石氏)

インターファクトリー ebisumart クラウドコマースプラットフォーム
中長期的な視点でのECプラットフォームが重要だと三石氏は話す

企業ごとにゴールとニーズはそれぞれに異なる。市場には導入費用が手頃なECプラットフォームや、高価格帯でリッチな機能を兼ね備えたECプラットフォームなどさまざまあるが、「安いから」「使うかわからないが機能がたくさんあるから」といった理由で選ぶと、後々余計な手間やコストがかかったり、ゴールも揺らぎかねないと指摘する。

だからこそ、インターファクトリーでは全ての事業者に対して「ebisumart」をむやみに勧めるのではなく、導入の相談があった時点からゴールとニーズをしっかり聞き取るようにしていることも特長だ。事業者の中長期的な展望のほか、個社ごとの特有な商習慣などをECで実現するためのカスタマイズを設計するため、「ebisumart」の導入企業からは使いやすさも評価されている。

システムというのは「こういう仕様・ルールだからこれができない」という事象が起きがちだ。しかし、各社の実現したいことは明確で、インターファクトリーはそれを支えるパートナーの立場なので、システムが各社の事業を推し進める邪魔をしてはならないと考えている。柔軟な拡張性とつながる話だが、「できません率」を限りなくゼロにしていくことを念頭に置いて開発に取り組んでいる。(三石氏)

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朝比美帆
朝比美帆

【スターバックスのDX事例】混んでいても問題なし、美味しいコーヒーをいつでも飲めるテイクアウトが作り出した「自由」 | DX経営図鑑(全8回)

4 years 6ヶ月 ago
喫茶店でカップを使って飲むものだった従来のコーヒー文化。Starbucksはテイクアウトモデルで、飲食体験に新たな「自由」を持ち込みました。
DX経営図鑑

この記事は、書籍『DX経営図鑑』の一部を特別にオンラインで公開しているものです。

Part 1「世界のDX事例と価値交換の仕組み
 》 DX Case 9「Starbucks 『ひとときのコーヒー体験』のための徹底的なペイン除去
 》 9「テイクアウトというコーヒービジネスの大転換」より

今でこそ、紙コップでコーヒーを飲むことは当たり前で、現代の日本ではコンビニエンスストアでもおいしいコーヒーが飲めます。しかし、以前のコーヒーは喫茶店でコーヒーカップを使って飲むものでした。これはすなわち、店の席数と回転数以上の売上を生み出すことができないということでもありました。

そうなれば、コーヒー1杯の価格は自然と高くなります。安価に提供し、かつ利益率を上げるにはコーヒーを薄くすることになり、さらに1度ドリップしたものを廃棄せずにしばらく使えば味も劣化します。つまり、おいしいコーヒーは高くなり、安いコーヒーはまずくなります。

Starbucksは、深煎で1杯1杯を丁寧に抽出したおいしいコーヒーを安価で提供するために、産直確保と自家焙煎で豆の原価を下げる努力をしました。

しかし、もう1つの課題である「回転率」は難題でした。店舗顧客の回転率を上げる常套手段は、落ち着かない場所をつくることです。例えば、内装を白系にして照明の光量を上げると人間は長時間くつろげないといわれ、この心理を利用すれば、顧客の回転率は上がります。しかし、落ち着かない店舗をつくるということは、Starbucksの「第3の場所」を提供するという経営哲学に逆行してしまいます。

Starbucksはこのジレンマを克服すべく、テイクアウトというサービスを積極的に提供することにします。多くのカフェオーナーが「紙コップでコーヒーを飲むなんて……」と眉をひそめたこのモデルは、若者には熱狂的に受け入れられ、大成功を収めることになりました。その後、店舗の席数とは関係なく「おいしいコーヒーだから飲む」消費者が、気持ちのよい接客と居心地のよいおしゃれな店舗(空間)での購買体験そのものを愛するようになっていきます。

サードウェーブと残り続けるテイクアウトモデル

現在、Blue Bottle Coffeeなどサードウェーブと呼ばれるコーヒーショップが世界中に広がっています。彼らの基本姿勢は多様な豆と焙煎、抽出によって豆の個性を引き出すこと、豆の仕入れがフェアトレードであることですが、これはアンチStarbucksともいえます。「深煎こそおいしいコーヒー」という潮流を作ったStarbucksに対して、「豆はそれぞれに個性があり、おいしい飲み方は多様にある」という挑戦と、Starbucksが大量買付によってコーヒー農家から搾取しているという疑惑へのアンチテーゼといえるのです。それでも彼らは、Starbucksが残した紙コップによるテイクアウトというモデルだけは踏襲しています。現代のコーヒービジネスにおいて、テイクアウトと売上の関係は切っても切れない強固なものなのです。

Starbucksが取り去るペイン
──レジ待ち時間の徹底排除

テイクアウトモデルによってコーヒービジネスに革命を起こしたStarbucksは、急速に店舗数を拡大していきます。2020年時点で店舗数は世界に32000あり、世界最大のコーヒーチェーンとなりました。その強みはあらゆる形態の店舗を出せることです。Starbucks Roasteryのようにまるで博物館のような大型旗艦店から、ドライブスルー専門店や街角のコーヒースタンドまで、Starbucksはさまざまな店舗形態を作り出しました。アメリカのBarnes & Nobleや日本の蔦屋書店といった大型書店とのコラボレーションも積極的に行っています。この柔軟な形態を保てるのは、まさにテイクアウトモデルのおかげです。そして何より、テイクアウトモデルによって「コーヒーを飲みたいのにお店に入れない」というカフェビジネスのペインの除去に成功しているのです。

万能型に思えるテイクアウトモデルですが、避けて通れないのが「レジ待ち」です。決済という行為が発生する以上、小売業にはレジ待ちが付きものです。回転率を重視する量販店においては、レジ待ちこそが売上の伸びを阻む最大の障害といえるでしょう。このため、多くの小売業はレジ待ちを短縮するためにさまざまな方策を講じてきました。

Starbucksは、「第3の場所」としての快適な顧客体験のために、ただ並んで待つという非生産的な時間を可能な限りゼロに近づける必要がありました。そこでStarbucksは、レジ待ちの時間短縮と購買体験の向上のために、ホスピタリティや技術の導入に力を入れます。今ではほとんどのカフェで使えるプリペイドカードやWi-Fi(無線LAN)、キャッシュレス化は、Starbucksが先駆けて導入してきたもので、StarbucksのDXは何段階もの積み重ねを経て、現在に至っているのです。

プリペイドカードからアプリへ

Starbucksの施策の1つであるギフトカードは、1990年頃に展開された「プリペイドカード」サービスが始まりでした。アメリカではクレジットカード決済が主流ですが、プリペイド型のギフトカードも広く使われています(図書券のような紙の金券はほとんど使われない)。プリペイド型はポイントをチャージすることも可能で、お祝いやお礼などのちょっとしたプレゼントに喜ばれます。現金決済よりもスムーズで便利なこともあり、Starbucksのギフトカードは非常にポピュラーになりました。

また、2008年にはMy Starbucksと呼ばれるオンラインコミュニティがスタートし、同時にポイントプログラムも開始されました。ギフトカードはStarbucksカードと名称を変え、ポイントプログラムと紐付いた会員証のような存在になりました。貯まったポイントを消費するためにStarbucksカードの利用率は増え、結果としてレジでの接客時間もさらに短縮できるようになりました。同年にはWi-Fiの無料提供も開始していますが、前年にiPhoneの第一世代がリリースされていたことは見逃せないでしょう。その後、Starbucksはスマートフォン時代の到来を睨んで、サービス環境の構築を始めます。

2009年、Starbucksはアプリに表示されるバーコードを利用したモバイル決済のテストを始め、2011年には全米の全店舗にモバイル決済を導入します。そして、このタイミングで会員機能をスマートフォンアプリに移行できるようにしました。

さらに2015年には、Order Ahead(事前オーダー)の試験運用をニューヨークなどで開始し、同年中に全国展開へ至りました。この段階でStarbucksは、店舗レジでの決済行為そのものを省略し、モバイルで事前オーダーをして受け取り、決済はモバイルで、という消費パターンを確立しました。

例えば、2016年頃のニューヨーク市内のStarbucksはいつも混雑していました。しかし、Starbucksの公式アプリをスマートフォンに入れておけば、購入者はあっという間に決済を完了させることができます。頻繁に訪れる店舗をお気に入りに登録しておけば、その店舗に近づくと、スマートフォン画面に「ようこそ〇〇店へ」と表示されます。それを指でスライドするだけで決済バーコードも表示されます。こうして、たとえスマートフォンのパスワードを解除しなくても、ワンタッチで決済できる状態が作り出されるようになりました。また、全ての店舗には無料Wi-Fiがあるので、回線が悪くて表示できないという心配もありません。事前オーダーを使えば自分の名前を告げるだけで商品の受け取りができるという、とても便利なスタイルがアメリカで主流になっていったのです。

Starbucksの施策の連鎖

Starbucksはあらゆる施策を、次の施策の土台にしていきました。ギフトカードはやがて会員カードやポイントプログラム制になり、その後、アプリ化されました。全店舗無料Wi-Fiという施策によって、ギフトカードもeギフトカードに変わりました。eギフトカードはアプリ内で送受信が可能なので、消費者は何枚もギフトカードを持ち運ぶ必要がなくなり、中途半端な残金も常にアプリにチャージすることができるようになりました。

こうしてStarbucksのDXは、「レジ待ち」というペインとの戦いによって進行してきたのです。

Starbucksがもたらすゲイン
──根源価値としての「味・場所・顧客体験」

Starbucksがもたらすゲインは「第3の場所」の提供です。レジ待ちというペインの除去は、テイクアウトの売上を伸ばすためだけでなく、Starbucksという快適空間で得られる体験にも最大限に生かされることになりました。

どんなにおいしいコーヒーや最高のホスピタリティを提供しても、レジ待ち行列という無意味な時間を過ごすことで、体験価値は半減してしまいます。たとえ、あまりおいしくないコーヒーでも待たずに買えるならと、近隣の競合店に行く顧客もいるでしょう。顧客にとっての価値とは、手に入れたいゲインと、手に入れるためのペインの差分であり、Starbucksはそのことをよく理解していました。

Starbucksの「第3の場所」は、時代とともに形を変えています。忙しいビジネスの合間なら素早くテイクアウトできることが重要ですし、買い物の合間のひとときなら、ゆったりした店内スペースや、屋外の広場に腰掛けて飲める場所があることも求められます。郊外での移動途中ならドライブスルーがよく、学生街なら大きなテーブルに電源も欲しくなります。こうしてStarbucksは、ゲインが何であるかを常に見誤らず、おいしいコーヒーと第3の場所という最終価値を提供するために、DXを進めてきたのです。

コロナ禍を乗り越えた強運と必然

奇しくも、Starbucksが積み上げてきたDXは、コロナ禍による小売業や飲食業への危機に大きなアドバンテージをもたらしています。

2020年のStarbucksの売上高は235億ドル、前年比11%のマイナスでした。アメリカの飲食業や小売業が軒並み30%〜50%減ともいわれるなかでは、大健闘といえるでしょう。純利益は74%マイナスと大幅に落ちましたが、それでも9.28億ドルの黒字です。そして、この禍中においても、世界で1000店舗以上を新たにオープンさせました。テイクアウト型に軸を置き、柔軟な店舗運営形態を維持できたこと、事前オーダーによってレジでの接触を最小限に抑えられたこと、そして2015年から始めていたデリバリーサービス(現在はUber Eatsと提携)が功を奏していると考えられます。

積極的にデジタルを取り入れ、価値提供プロセスの変革を柔軟に実行し続けるDXの積み上げが、Starbucksを救ったといえるのではないでしょうか。

  • 著者: 金澤 一央、DX Navigator 編集部
  • 発行: 株式会社アルク
  • ISBN: 978-4757436787
  • 価格: 2,310円(税込)

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金澤一央+DX Navigator 編集部
金澤一央+DX Navigator 編集部

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    2021/5/26
  6. 三越伊勢丹の販売員がECサイトでコーディネート提案、通常販売と比べて売上単価は約1.4倍、CVRは約1.8倍

    三越伊勢丹ホールディングスはバニッシュ・スタンダードのDXアプリケーションサービス「STAFF START(スタッフスタート)」を採用し、スナップ機能サービスの提供を始めた

    2021/5/27
  7. エイベックスのEC売上は37%減の89億円(2021年3月期)、コロナ禍の影響が響く

    新型コロナウィルス感染症拡大で、観客を動員するライヴやイベントの中止、延期、規模縮小による開催が相次ぎ、ライヴ・イベントの積極的な開催が困難となったことが影響した

    2021/5/24
  8. ライブコマースを「視聴したことがある」は12.7%、視聴後に商品を購入した人は5.8%

    MMD研究所が発表した「ライブコマースに関する利用実態調査」。18歳~59歳の男女5000人を対象にライブコマースの利用状況を聞いたところ、「まったく知らない」が最多で56.8%

    2021/5/27
  9. 商品レビューの誹謗中傷対策を考える。暴言はどこまで許されるのか? 弁護士に聞いてみた

    「名誉権侵害の不法行為責任」とは? 刑事、民事における定義とは?(連載第19回)

    2021/5/27
  10. Visaが提言する3つの消費トレンド&ECビジネスの不正利用対策

    Visaによると、不正利用は従来の取引からデジタルコマースに移行。それらに対処するため、決済業界が積極的な措置を講じるよう呼び掛けている

    2021/5/25

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子
    確認済み
    5 分 57 秒 ago
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