ネットショップ担当者フォーラム

マガシークがLINE+次世代動画技術「TIG」を使い直感的なショッピング体験を実現

4 years 8ヶ月 ago

ファッションECのマガシークは、動画をスマホで再生して気になったアイテムを指で触るだけで商品情報を保存、購入前の比較や検討ができる取り組みを始めた。

「MAGASEEK公式LINEアカウント」に導入。触って購入できる新感覚のショッピング体験を提供するとしている。

ファッションECのマガシークは、動画をスマホで再生し、気になるアイテムを指で触るだけで商品情報を保存して購入前の比較や検討ができる取り組みを、Tigを導入して実現
新感覚のショッピング体験のイメージ

マガシークがLINE公式アカウントに導入したのは、パロニムが開発・提供する次世代型動画テクノロジー「TIG」。動画視聴中に商品や音楽、料理、人物、場所など、気になったものに触るだけで、瞬間的に情報をストック、動画再生終了後に保存した商品アイコンをタップすると通販サイトなどで購入できる技術だ。

ファッションECのマガシークは、動画をスマホで再生し、気になるアイテムを指で触るだけで商品情報を保存して購入前の比較や検討ができる取り組みを、Tigを導入して実現
「TIG」を活用したショッピングの流れ

「MAGASEEK公式LINEアカウント」内リッチメニューの「MY TIG LIST」にアイテムをストックできる。興味を持っているアイテムを一目で確認でき、動画による買い物の向上につながると考え導入を決めた。

また、「TIG」の導入で、ユーザーがどのようなアイテムに興味関心を持っているのか、詳細に分析することが可能。ユーザーニーズに合わせたコンテンツを配信できるようになるため、顧客の要望に適したアイテムを案内することができるようになるとしている。

「TIG」は直感的なコマース体験を実現できる最新テクノロジーとして注目を集めており、ニトリなどが導入している。

瀧川 正実
瀧川 正実

1000万人以上が使うニトリのアプリ、コーディネート提案の新機能を実装

4 years 8ヶ月 ago

ニトリは「ニトリアプリ」に「コーディネートページ」を導入した。ライフスタイルに合わせて、部屋のコーディネートを楽しめるようにした。

「コーディネートページ」は、ニトリが提案する暮らしのコーディネートを、実際の部屋のコーディネート画像で閲覧できる機能。好みの画像を選択すると、コーディネートのコンセプト、実際に使用されている商品の一覧を表示する。

ニトリは「ニトリアプリ」に「コーディネートページ」を導入
「コーディネートページ」のイメージ

好みのスタイルや商品の組み合わせ方がわかり、理想の部屋のイメージをつかむことが可能。気になった商品はワンタッチでお気に入り登録でき、そのままアプリでまとめて購入できる。

「コーディネートページ」の使い方は、「おうちでニトリ」のタブをタッチした後、「コーディネート」をタップし、気になる画像を選択する。ハートマークをタップすると気になる商品を、お気に入りに登録可能。商品の詳細を確認したり、まとめて購入できる。

ニトリは「ニトリアプリ」に「コーディネートページ」を導入
「コーディネートページ」の使い方

「トピックス(お役立ち記事)」では、お得な買い物情報や暮らしのアイデアを配信。「サイズwithメモ」は、スマホのAR(拡張現実)機能を使って、写真を撮りながら気になる場所のサイズを計測できる。

ニトリは「ニトリアプリ」 「サイズwithメモ」は、スマホのAR(拡張現実)機能を使って、写真を撮りながら気になる場所のサイズを計測できる
「サイズwithメモ」のイメージ

大きさなどが記載された画像が生成され、画像は編集・保存ができメモとして利用可能。「カメラdeサーチ(画像検索)」によって、気になるインテリアの写真から、似ているニトリの商品を検索することもできる。

ニトリのアプリ会員数は2021年2月期で908万人。今期(2022年2月期)の目標は1300万人まで拡大する方針を掲げている。

ニトリアプリの利用者について
アプリ会員について(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

ニトリホールディングスの2021年2月期におけるEC事業の売上高は、前期比59.2%増の705億円。連結売上高に占めるEC売上高の比率は9.8%で、前期から2.9ポイント増加した。今後、EC事業の基盤強化を進め、2025年度までにEC事業の売上高を1500億円まで拡大させる。

石居 岳
石居 岳

iPhoneの「マップ」vs「Googleマップ」の比較&iPhoneのマップ向けローカルSEO対策を徹底解説 | 店舗ビジネスに役立つ『口コミラボ』特選コラム

4 years 8ヶ月 ago
iPhoneの「マップ」と「Google マップ」という2つの地図サービスの違いを知っておくことは、地図サービスを活用したローカルマーケティングを実施する際に役立ちます

iPhoneの「マップ」(Apple Maps)Google マップは、どちらも多数のユーザーを抱える地図サービスです。

Statistaが2018年4月に発表した資料によると、米国におけるiPhoneの「マップ」のユーザー数は2,330万人、Google マップのユーザー数は1億5,440万人となっています。

iPhoneの「マップ」とGoogle マップはどちらも地図検索やルート案内などの機能を搭載していますが、iPhoneの「マップ」ではストリートビューに類似した機能として「Look Around」、Google Earthに類似した機能として「Flyover」などが提供されています。

2つの地図サービスの違いを知っておくことは、地図サービスを活用したローカルマーケティングを実施する際に役立ちます。

今回の記事では、iPhoneの「マップ」とGoogle マップの違いを徹底比較します。

関連記事

iPhoneの「マップ」とは

Apple Mapsは、Appleが提供している地図サービスです。iPhoneでは「マップ」という名称で、端末に標準搭載されています。

2012年から提供されており、iPhone以外にもiPad, iPod touch, Apple Watch, MacなどのApple製デバイスで利用できます。

StatCounterが2021年4月に発表した資料によると、日本のスマートフォン市場におけるiOSデバイスが占める割合は66.03%となっています。

また、TesTee Labが2018年9月に発表した調査によると、地図アプリを利用している回答者のうちGoogle マップを利用している回答者は77.5%、iPhoneの「マップ」を利用している回答者は40.3%でした。

iPhoneの「マップ」とGoogle マップの使用者数の割合
▲iPhoneの「マップ」とGoogle マップの使用者数の割合:TesTee Labより、編集部作成

中でも10代の利用率が最も高く、地図アプリを利用している回答者のうち男性では50.7%、女性では48.6%の回答者がiPhoneの「マップ」を利用していることがわかりました。

この数字は2018年時点のものであるため参考程度に留めておく必要がありますが、iPhoneユーザーの一部はGoogle マップではなく、iPhoneの「マップ」を利用していることがわかります。

<参考>

過去には不具合が話題となるも、2020年には大型アップデートがリリース

初代iPhoneが発売されたのは2007年ですが、当時のiOS(当時の名称はiPhone OS)が搭載していた「マップ」はGoogle マップの地図情報を用いていました。

その後、2012年にiOS 6が公開され、この時に「マップ」が独自の地図情報を用いるものに更新されました。

しかし、公開当初は店舗や施設、道路などの位置情報や名称に間違いが多く、更には実在しない施設が地図上に出現するなどの不具合があり物議を醸しました。

特に「パチンコガンダム駅」や「餃子の王将駅」などが地図上に表示されたことは多くの日本人ユーザーの間で話題となりました。

このような不具合は世界中で発生したため、AppleのCEOを努めるティム・クック氏はApple公式サイトに謝罪文を掲載し、不具合が改善するまでの間はGoogle マップなどほかの地図サービスを使うようユーザーに案内するなど、Appleとしては異例となる措置が採られました。

翌年公開されたiOS 7よりiPhoneの「マップ」は徐々に改善を重ね、現在ではGoogle マップと地図サービス市場を奪い合うほどの実用性を備えています。

交通情報の報告機能が追加、評価の投稿も可能に

iPhoneの「マップ」はアップデートを重ねており、さまざまな新機能が追加されています。

2021年4月に公開されたiOS 14.5では、交通情報の報告、評価の投稿などの機能が追加されました。

  1. 交通情報の報告機能:事故情報、危険情報、スピード違反取り締まり情報、道路工事情報などが報告できます。
  2. 評価の投稿機能:「全体」「料理・ドリンク」「カスタマーサービス」「雰囲気」などの項目に高評価、低評価のいずれかを選び、投稿できます。評価に写真を添付することも可能です。
    現時点では投稿した本人しか評価・写真を閲覧できないようになっていますが、今後はGoogle マップのように一般公開されるものと考えられます。

また、iOS 14.5のベータ版では、ある場所の混雑具合をほかのユーザーに知らせるためにiPhoneが位置情報を匿名化、暗号化された状態でAppleに送信する機能が追加されています。

この変更は、Google マップの「混雑する時間帯」に対応する機能をiPhoneの「マップ」に搭載する前触れとも噂されており、今後もiPhoneの「マップ」には定期的に新たな機能が追加される見込みです。

iPhoneの「マップ」とGoogleマップ、4つの違い

iPhoneの「マップ」とGoogle マップには、類似した機能が数多く存在します。

ここでは、その中からLook Aroundとストリートビュー、FlyoverとGoogle Earth、評価と口コミ、Apple Maps ConnectとGoogle マイビジネスについて紹介します。

1. Look Aroundとストリートビュー

iPhoneの「マップ」の「Look Around」と、Google マップの「ストリートビュー」は、どちらも道路沿いの風景を見渡せる機能です。

Look Aroundとストリートビュー
▲Look Aroundとストリートビュー:編集部作成

まるでその場所にいるかのような臨場感が味わえるほか、行き先の店舗や施設の外観を事前に知りたいときにも有効活用できます。

Look Aroundは2019年に公開されましたが、ストリートビューは12年早い2007年に公開されています。

Look Aroundは2021年5月時点では東京、名古屋、大阪、広島、福岡、高松のみの対応となっています。一方、ストリートビューは国内ほぼ全ての公道に対応しています。

操作性の面では、Look Aroundは地図との同時表示と全画面表示のどちらにも対応していますが、ストリートビューは全画面表示のみとなっています。

また、Look Aroundでは移動したい地点をタップして移動しますが、ストリートビューでは移動したい地点をダブルタップするか画面に表示される線をなぞって移動します。

ほかにも、Look Aroundには画面上に方位磁針が表示され、タップすると北を向く機能が搭載されており、ストリートビューには方位磁針アイコンをタップするとスマートフォンの角速度センサーを用いてスマートフォンを向けた方向を見渡せる機能が搭載されています。

関連記事

2. FlyoverとGoogle Earth

iPhoneの「マップ」の「Flyover」と、Google マップの「Google Earth」は、どちらも3D化された地図を上空から眺められる機能です。

FlyoverとGoogle Earth
▲FlyoverとGoogle Earth:編集部作成

Flyoverは2012年の新「マップ」アプリと同時に公開されましたが、Google Earthは11年早い2001年に公開されています。

Flyoverは2021年5月時点では東京、名古屋、大阪などをはじめとする38都市のみに対応しています。一方、Google Earthは日本全国に対応しています。

Flyoverには都市の観光名所を上空から見て回る「Flyoverツアー」という機能が搭載されており、Google Earthには自然や文化、教育などのテーマごとに世界中の名所を上空から見て回る「Voyager」という機能が搭載されています。

なお、FlyoverはiPhoneの「マップ」から利用できますが、Google Earthを利用するには別途アプリのダウンロードが必要です。

3. 評価とクチコミ

iPhoneの「マップ」の「評価」と、Google マップの「クチコミ」は、どちらも店舗や施設への口コミを閲覧、書き込みできる機能です。

iPhoneの「マップ」とGoogle マップの口コミ一覧
▲iPhoneの「マップ」とGoogle マップの口コミ一覧:編集部作成

iPhoneの「マップ」における「評価」では、FoursquareやYelp、じゃらんnet、食べログなどから口コミを取得して地図上に表示しています(※)。

一方、Google マップにおける「クチコミ」では、Google マップのユーザーが投稿した口コミを掲載しています。ユーザーは地図上の店舗や施設を5段階で評価し、文章や写真と共に投稿できます。

Google マップには口コミを要素ごとに絞り込んだり、投稿日順や高、低評価順で並べ替える機能などが備わっています。

また、Google マップでは口コミなどを積極的に投稿するユーザーを「ローカルガイド」として認定し特典を付与するなど、さまざまな手段を用いて口コミの活性化に努めています。

※先述の通り、2021年4月にはiPhoneの「マップ」にユーザーが評価・写真を投稿できる機能が発表されています。現時点では投稿した本人しか閲覧できないようになっていますが、今後は一般に公開されるものと考えられます。

関連記事

4. Apple Maps ConnectとGoogleマイビジネス

Apple Maps ConnectGoogle マイビジネスは、どちらも事業者が店舗や施設の情報を地図上に登録できるサービスです。

iPhoneの「マップ」とGoogle マップの事業者情報
▲iPhoneの「マップ」とGoogle マップの事業者情報:編集部作成

Apple Maps ConnectはiPhoneの「マップ」に、Google マイビジネスはGoogle マップに、それぞれ情報を登録できます。

Apple Maps ConnectとGoogle マイビジネスの機能の違いについては、以下の表をご覧ください。

▲Apple Maps ConnectとGoogleマイビジネスの機能比較:編集部作成
▲Apple Maps ConnectとGoogleマイビジネスの機能比較:編集部作成

 

 

 

このように、Apple Maps Connectでは基本的な情報のみが登録できますが、Google マイビジネスではSNSのように投稿を作成したり、ビジネスプロフィールのアクセス数などを分析する機能が備わっています。

関連記事

iPhoneの「マップ」向けローカルSEO対策で知っておきたいこと

iPhoneの「マップ」やGoogle マップなどの地図サービスにおいて、自らの店舗や施設が検索結果の上位に表示されるような対策をローカルSEO(またはMEO)」と呼びます。

ローカルSEO対策は主にGoogle マップに向けて実施されていますが、国内にはiPhoneの「マップ」を利用するユーザーも数多く存在するため、iPhoneの「マップ」に向けたローカルSEOも無視できないものとなっています。

ここからは、iPhoneの「マップ」においてローカルSEO対策を実施する上で気をつけておきたいポイントを紹介します。

関連記事

1. iPhoneの「マップ」には各口コミサービスの口コミが表示される

iPhoneの「マップ」には、Booking.com, Foursquare, Yelp, じゃらん食べログトリップアドバイザーなどの口コミが表示されます。

そのため、各口コミサービスに店舗や施設が登録されていないと口コミが表示されず、ユーザーに店舗や施設の様子が伝わりづらくなってしまいます。

iPhoneの「マップ」の機能をフル活用するには、自社の業種に合わせた口コミサービスにあらかじめ登録しておくことがおすすめです。

※先述の通り、2021年4月にはiPhoneの「マップ」にユーザーが評価・写真を投稿できる機能が発表されており、今後はiPhoneの「マップ」でも口コミ返信などの対応が必要となる可能性があります。

関連記事

2. Google マイビジネスとの併用を

先述した通り、iPhoneの「マップ」に情報を登録するにはApple Maps Connectが利用できます。

しかし、Apple Maps Connectから登録できる情報の種類は現時点ではGoogle マイビジネスと比べて少なく、基本的な情報だけを登録できる形となっています。

Google マップは地図サービスの中では最大となるユーザー数を持っており、国内でも相当数のユーザーがGoogle マップを日常的に利用しています。

そのため、Apple Maps Connectと同時にGoogle マイビジネスにも登録すれば、より多くのスユーザーに自社の店舗や施設を見てもらえる可能性が高まります。

ローカルSEOを実施する際にはiPhoneの「マップ」とGoogle マップの両方を意識し、Apple MapsとGoogle マイビジネスの双方を活用するとよいでしょう。

関連記事

iPhoneユーザー向けのローカルSEOにはApple Maps Connectも活用しよう

iPhoneの「マップ」には定期的に新機能が追加されており、今日では日常利用に差し支えのないほどの地図サービスとなりました。

4月からはユーザーが店舗や施設の評価を投稿できるようになるなど、口コミ周りの機能も向上を図っていることがわかります。

ローカルSEOではGoogle マップやGoogle マイビジネスが重視されがちですが、iPhoneの「マップ」やApple Maps Connectに向けたローカルSEOも同時に実施することで、より多くのユーザーに自社の店舗や施設を見てもらえることにつながります。

iPhoneユーザー向けのローカルSEOにはApple Maps Connectも活用し、ローカルSEOを盤石のものとしましょう。

この記事を書いた「口コミラボ」さんについて

「口コミラボ」は、様々な地図アプリ・口コミサイトの監視、運用、分析を一括管理できる店舗向けDXソリューション「口コミコム」が運営する店舗ビジネス向け総合メディアです。近年、企業の評判管理が重要視されるなか、特に注視すべきGoogleマイビジネスを活用したローカルSEO(MEO)や口コミマーケティング、それらを活用した集客事例から、マーケティング全般、店舗経営のハウツー、業界動向データにいたるまで幅広い情報を紹介します。

口コミラボ
口コミラボ

【GlossierのDX事例】「愛するブランドは私が支える!」ファンの貢献心理が大きな武器に | DX経営図鑑(全8回)

4 years 8ヶ月 ago
Glossierは自ら製造した商品をショールームで公開し、オンラインで販売するD2C企業。熱心なファンが集うデジタルコミュニティからいくつもの新商品が生まれてきました。
DX経営図鑑

この記事は、書籍『DX経営図鑑』の一部を特別にオンラインで公開しているものです。

Part 2「業界別に見るDX事例
 》 Category 1「小売
 》 「Glossier コミュニティのハピネスの上に成り立つコスメの新星」より

Glossier(グロシエ)はミレニアル世代をターゲットとしたコスメブランドとして2010年にニューヨークで設立されました。DtoCに関するマーケティングや事例紹介の記事では常連となり、今やアメリカでは爆発的な人気を誇るコスメブランドです。2018年には売上1億ドル、評価額が12億ドルを突破してユニコーン企業の仲間入りを果たしました。創業者のエミリー・ワイスは2019年に雑誌『TIME』が発表する次世代を支える100人、“TIME 100 Next”に選ばれています。

はじめはブログから

Glossierは最初からDtoCブランドだったわけではありません。創業年の2010年というのは、創業者ワイスが運営する「Into The Gloss」というブログ開始の年です。彼女はニューヨーク大学を卒業後、世界的ファッション誌『VOGUE』のアシスタントスタイリストとして働いていました。Into The Glossは彼女自身がファッション業界についての発信を通じて情報交流を行い、スタイリストとしてのキャリアに生かすために始められました。そして、ブログの「バスルーム・インタビュー」と呼ばれるシリーズが一躍有名になり、急速にファンを増やしていったのです。

「バスルーム・インタビュー」はワイスが『VOGUE』の仕事を通じて知り合った女優やモデルなどのバスルーム(洗面所)を訪問してインタビューし、セレブリティがどのようにコスメやスキンケア商品を整理して日常的に美容ケアをしているのかを紹介したものです。セレブを身近に感じられるこのコンテンツはすぐに人気に火がつき、SNSで拡散され、それによってさらにブログファンが増えていきました。

2013年、ワイスは退社してブログ制作に専念するようになります。その翌年、Into The Glossで得たセレブからのアイデアやユーザーの要望を反映する形で、オリジナル商品のGlossierシリーズをリリースしました。

コミュニティの上に立脚したユーザーのためのコスメ

Glossierは自ら製造した商品をショールームで公開し、オンラインで販売する典型的DtoC企業です。彼らの最大の特徴は、デジタルコミュニティに立脚している点です。つまり、ブログInto The Glossのファンが顧客であり、商品開発の発案者であり、宣伝担当でもあるのです。

コミュニティのユーザー(ファン)が欲しいと思うものを実際に作り、批評してもらい、認知拡散や商流開拓もファンによって行われます。このため、ブランド認知と共感のためのマーケティングはしても、販促目的のプロモーションは行いません。ドラッグストアや百貨店の化粧品フロアはもちろん、Amazonにですら販売せず、全て自前のデジタルメディアで販売します。一部の新商品や定番商品はショールームでも買えますが、基本的にはオンラインで購入し、店舗で受け取る形式です。

Glossierは大量生産することで原価を下げ、量販店で大量に販売する、という従来のビジネススタイルに意識的に対立しています。必要とされるアイテムを開発し、必要なだけ生産する。原価を下げるために店舗や販促などのマーケティングコストを下げる。サステナビリティの実践を重視し、大量生産・大量消費について強い問題意識を持つミレニアル世代の意思を具現化したブランドであり、だからこそ、ファンはGlossierがより良くなるための商品開発や販売促進に貢献するのです。GlossierのビジネススタイルはBonobosと同様に、長期的な顧客価値体験の向上を主眼とするDNVBの一角として、単純な直販型のDtoCブランドとは一線を画すポジションを取っています。

Glossierが取り除くペイン
──品質確信までの時間を最小化する

Glossierは小売店舗での販売を行わず、デジタルで決済し、配送によって商品を届けるので、店舗訪問やレジ待ちがないという点では他のeコマースやDtoCと同じペインを除去しています。

ただ、Glossierのペイン除去の本質は、化粧品の消費者がブランドへの安心や信頼を確信するために費やす「時間と労力」を最小化しているところにあります。「品質への確信」を提供しているのです。

これまでの化粧品業界は、セレブリティを起用したブランドイメージの構築と大量の広告投下によって「確からしさ」を演出してきました。また、科学的根拠やユーザーの声とされる情報を用いて、さまざまな角度からその「確からしさ」を説明することで消費者の信頼を得てきました。

一方で、常に類似した商品がしのぎを削り、画像加工による誇大広告も多く、時には成分偽装による被害もあったりするので、現代の消費者は化粧品ブランドのプロモーションを斜めに見るようになっています。何より、デジタルメディアの隆盛によって、埋もれていた良い商品を見つけ出すこともできる時代です。特にミレニアル世代の消費者は、ブランドのプロモーションを真に受けず、ソーシャルメディアで商品レビューを確認したり、購入する前に比較吟味したりします。本当に良いものを探し出すというモチベーションそのものが、「探求負荷という新たなペイン」を作り出しているともいえるのです。

Glossierの前身であるInto The Glossはそのような商品レビューも含めて人気を博し、メイクアップのプロの視点から「あるべき化粧品の姿」をコミュニティと一緒に作ってきたという歴史がブランドの核心になっています。伝統的ブランドのマーケティング情報を疑うようになった消費者にとって、Glossierの商品は最初から「確からしい」商品であることが担保されており、安心して熱狂できる土台があるのです。

Glossierが作り出すゲイン
──愛するブランドに貢献するハピネス

Glossierが新たに作り出す価値は、ファンによる「自分たちがこのブランドを支えている」という自負でしょう。

これまでの化粧品業界は、ユーザーインタビューを注意深く行い、その意見を生かして商品を開発してきました。しかし、そこに参加できるのは商品を所持しているわずかな人たちだけでした。

GlossierはInto The Glossというブログが形成したコミュニティが全ての基盤です。Glossierの良さを伝えたい純粋なファン心理と、紹介した相手がGlossierを気に入ってくれる喜びを原動力に、コミュニティメンバーがGlossierの当事者として活動しているのです。

事実、Glossierは新規顧客の約8割がコミュニティからの紹介であると発表していて、コミュニティメンバーが自発的に開設したGlossier応援のためのInstagramアカウントは大きな流入元になっています。

コミュニティはGlossierという誠実なブランドを人に伝え、それによって得られる幸せ──ハピネスをゲインとして受け取っています。

  • 著者: 金澤 一央、DX Navigator 編集部
  • 発行: 株式会社アルク
  • ISBN: 978-4757436787
  • 価格: 2,310円(税込)

勝てるDXの本質
~次に生き残るのは、誰か?~

世界の伝統的企業やスタートアップがいち早く取り組んできたDXの数々。各事例をつぶさにレポートしてきた「DX Navigator」編集部の知見をまとめ、事例分析と価値提供のプロセスを可視化した一冊です。

本書は世界全32社のDX事例を収録。いずれも、顧客/ユーザー視点での「ペイン(苦痛)」と「ゲイン(利得)」を切り口に、顧客/ユーザーが最終的に得た「価値」について解き明かします。

Part 1では、従来の商習慣や価値提供の概念を新しい基準に転換させた「ゲームチェンジャー」である9社―Netflix、Walmart、Sephora、Macy’s、Freshippo、NIKE、Tesla、Uber、Starbucks―を取り上げます。

Part 2では、海外のスタートアップを中心に日本企業も加えた23社の事例を、業界別に紹介。多くの顧客/ユーザーから支持を得た、各社のエッジが効いた斬新なアイデアとその背景に鋭く迫ります。

日本の「DXブーム」には問題も潜んでいます。DXとは単なる技術導入やカイゼンを言い換えた言葉ではなく、「ユーザーが最終的に得る価値」を見つめ、新しい価値提供の仕組みを創り出すということ。これからも続く企業の変革、世の中の変革のなかで、次に生き残るのは誰か?

金澤一央+DX Navigator 編集部
金澤一央+DX Navigator 編集部

Amazonプライムデーの流通総額は111億ドルと米専門誌が推定、日本では出品者による商品販売は約1100万個

4 years 8ヶ月 ago

アマゾンジャパンが6月21-22日の2日間に実施したAmazonプライム会員向けセール「プライムデー」は、出品者による商品販売が約1100万個に達した。プライム会員に加入した消費者の数、販売事業者の売上高は過去最多だったという。

「プライムデー」で使用できる1000円分のクーポン提供といった中小企業応援キャンペーンを「プライムデー」開催前2週間にわたって実施。数百万人のプライム会員が中小規模販売事業者の商品を購入した。

プライム会員が購入した商品のトップカテゴリーは、日用品、飲料、ベビー用品、Amazonデバイス。「Fire TV Stick 4K」「Echo Show 5(第1世代)」「Echo Dot(第4世代)」「やかんの麦茶650mlPET ×24本」、「ICY SPARK from カナダドライ430mlPET ×24本」「除菌ジョイ コンパクト 食器用洗剤 詰め替え ジャンボ 1330mL」などが売れた。

Amazonによると、グローバルではプライム会員が2億5000万以上の商品を購入。米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』の分析では、2日間の流通総額は111億9000万ドルで前年実績比7.6%増だったと推定している。

なお、グローバルで「プライムデー」開催2週間前からキャンペーンを実施。販売パートナーの成功に数十億ドルを投資したという。

瀧川 正実
瀧川 正実

Facebookがパーソナライズしたショッピング体験を実現するショップ広告とAI・AR分野のテクノロジーへ投資

4 years 8ヶ月 ago

Facebookは6月22日(米国時間)、コマース領域の取り組みとして、ショップ機能や広告ソリューションの拡充、充実したショッピング体験を将来的に実現するためのテクノロジーへの投資について発表した。

利用者のショッピングの好みに応じてパーソナライズされた広告体験を提供するショップ広告を導入する。

たとえば、FacebookやInstagramのショップもしくは自社サイトでの商品購入など、利用者のショッピング行動に基づいて、最も商品を購入しそうな場所に送客できる広告を米国でテストしている。

将来的には、特定顧客に特別なオファーやプロモーションを提供するなど、EC事業者などがショップ広告をさらにパーソナライズできる方法を検討している。

Facebookは、AR(拡張現実)やAI(人工知能)などのイマーシブテクノロジー(没入型技術)が今後のオンラインでのショッピング体験の基盤になると予測。こうした技術への投資も進めている。

Facebookは6月22日(米国時間)、コマース領域の取り組みとして、ショップ機能や広告ソリューションの拡充、充実したショッピング体験を将来的に実現するためのテクノロジーへの投資について発表
イマーシブテクノロジー(没入型技術)に投資していく

InstagramにAIを活用した新たなビジュアル検索ツールを導入、利用者が簡単に新しい商品を発見できるようにするほか、AR体験を通じて購入前に商品を体験し、イメージしやすくなるようにする。

Instagramでは2021年、AIを活用した新たなビジュアル検索機能のテストを米国で開始。たとえば、花柄のワンピースの画像をタップすると、類似商品を見つけることができるようになるといった機能だ。

将来的には、利用者がカメラで撮影した画像からもビジュアル検索を利用できるようにする。初期段階だが、ビジュアル検索を導入することでInstagram上の多くの画像や動画からショッピングを楽しむことができるようになり、モバイルでのショッピング体験がさらに充実すると見ている。

Facebookは6月22日(米国時間)、コマース領域の取り組みとして、ショップ機能や広告ソリューションの拡充、充実したショッピング体験を将来的に実現するためのテクノロジーへの投資について発表
ビジュアル検索を利用できるようにする

Facebookによると、オンラインショッピング利用者の3分の2は、自宅で商品をバーチャル試着したいと回答しているという。顧客が商品を購入する前に使用感を試すことができるよう、API連携を通じてARを活用した試着体験をショップ機能内で提供できるようにする。

なお、2022年6月までの1年間、FacebookとInstagramのチェックアウト(決済)機能を利用している出品者への手数料を免除する。

2020年に提供が始まったショップ機能は、現在の月間アクティブショップ数は120万、毎月ショップを訪れる利用者の数は3億を超えているという。

石居 岳
石居 岳

雇用調整助成金 特例措置、8月まで延長/コロナ禍で最も利用されているECモールは?【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

4 years 8ヶ月 ago
2021年6月18日~24日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 「雇用調整助成金」特例措置を8月まで延長する方針、厚生労働省が発表

    「雇用調整助成金」特例措置について厚生労働省は、8月まで延長する方針を発表。9月以降の助成内容は、雇用情勢を踏まえながら検討、7月中に公表するとしている

    2021/6/21
  2. コロナ禍で最も利用されているECモールは楽天市場。アマゾン、楽天、ヤフーの利用者属性はどうなった?【ニールセン調査】

    利用者数が多い大手ECモールの世帯を対象にした延べ視聴率を性年代別で見ると、「楽天市場」がどの性年代別でも他のモールを上回った

    2021/6/21
  3. ECの課題は「売上拡大」「新規獲得」。効果が高いと感じるSNSは「YouTube」

    シナブルがEC担当者460人に対して自社ECサイトの課題を調査。「売上拡大」「新規顧客獲得」「商品・サービスの企画/開発」「コスト削減」などがあがった

    2021/6/23
  4. 大規模ECサイトでやるべきSEO施策①「カテゴリ」と「商品データベース」を精査しよう

    業態別SEO施策解説第1回「DB型大規模ECサイト編」(前編)【連載第4回】

    2021/6/23
  5. 今さら聞けないCRM(顧客関係管理)入門。ツール導入までのステップは? オフラインとのID統合はどう実現する?

    消費者の共感を呼ぶ商品やサービスを生み出し選び続けてもらうためには、顧客との接点において関係性を維持させていくCRM施策が不可欠(連載4回)

    2021/6/21
  6. 京王百貨店がLINEミニアプリ活用で“ファンづくり”。会員160万人へのOne to Oneマーケティング

    デジタルでの顧客接点拡大と顧客1人ひとりに合わせたサービス提供が必要と判断、会員情報とひも付けた施策が行えるLINEミニアプリの活用を決めた

    2021/6/18
  7. トヨタ自動車公式サイトがインスタ投稿活用したUGCマーケ、試乗予約や見積依頼などにも誘導

    トヨタ自動車公式サイトでトヨタユーザーがInstagramに投稿したコンテンツをピックアップし、掲載するコンテンツ「みんなのトヨタグラム」をスタート

    2021/6/22
  8. 【CasperのDX事例】重いマットレスはもう卒業! いくつもの「手軽さ」が生み出す新習慣

    アメリカのCasperはミレニアル世代をターゲットにしたマットレスの通販企業。重い、不便といった顧客のペイン(苦痛)を新手法で解消しました。

    2021/6/21
  9. CRMツールを入れたけど「効果がない」はナゼ?失敗するCRM施策と3つの大きな問題点

    CRMでLTVとリピート率を改善するには? CRMツール「アクションリンク」開発者が解説

    2021/6/23
  10. 「Magento」から「Adobe Commerce」へ。アドビが取り組むコマース事業の最新情報&Cookieレス対応&事業者事例

    アドビはライセンス版「Magento Commerce」を「Adobe Commerce」に統合した。「Adobe Commerce」などが属するサービス群「Adobe Experience Cloud」のアップデートなどの最新情報をまとめた

    2021/6/22

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    「Yahoo!ショッピング」2021年上半期「10大ヒット」。ホームプロジェクターなど「おうち時間」関連商品が上位に

    4 years 8ヶ月 ago

    ヤフーは「Yahoo!ショッピング」の2021年上半期「10大ヒット」商品を発表した。1位は「ホームプロジェクター」で2位はアニメ「エヴァンゲリオン」のフィギュア、3位は「シャワーヘッド」。自宅で過ごす時間を充実させる物や、リラックスする時間に使いたい物など「巣ごもり消費」の傾向が顕著という。ランキングの集計期間は2021年1月1日~6月15日。

    「おうち時間」を充実させる商品がランクイン

    ヤフー Yahoo! Yahoo!ショッピング 2021年上半期大ヒット10 ランキング
    Yahoo!ショッピング 2021年上半期「10大ヒット」商品(画像は「Yahoo!」サイトからキャプチャ)

    1位は「ホームプロジェクター」で、取扱高は前年比150%。「おうち時間」増加に伴い、売り上げが伸びた商品の1つだという。ホームプロジェクターの中でも、工事なしで簡単に取り付けられる商品が人気。

    ヤフー Yahoo! Yahoo!ショッピング 2021年上半期大ヒット10 ランキング ホームプロジェクター
    「ホームプロジェクター」で売れた商品トップ3(画像は「Yahoo!」サイトからキャプチャ)

    2位はアニメ「エヴァンゲリオン」のフィギュアで、取扱高は前年比310%。2021年3月に映画が公開されたことにより、ブームが再燃した。

    3位は「シャワーヘッド」で、取扱高は前年比350%。マスク生活による肌荒れやオンライン会議で自分の顔を見る機会が増えたなどの理由で、スキンケアに関する関心が高まっているという。

    ヤフー Yahoo! Yahoo!ショッピング 2021年上半期大ヒット10 ランキング シャワーヘッド
    「シャワーヘッド」で売れた商品トップ3(画像は「Yahoo!」サイトからキャプチャ)

    2021年上半期に特に売り上げが増加した物は、ラベルレスのペットボトル飲料で、前年比1220%。コロナ禍で在宅時間が増加した2020年から売り上げが伸びていたという。

    ヤフー Yahoo! Yahoo!ショッピング 2021年上半期大ヒット10 ランキング ラベルレスのペットボトル飲料
    ラベルレスのペットボトル飲料で売れた商品トップ3(画像は「Yahoo!」サイトからキャプチャ)

    2021年は東日本大震災から10年という節目で防災意識の高まりから防災グッズが人気で、取扱高は前年比160%。家族などへのギフトとしても売れているという。

    また、日持ちするレトルト食品の利用が直近1年で増加。レトルト食品は賞味期限が長いため、防災を意識した「ローリングストック(普段から少し多めに購入し、使った分だけ新しく補充することで、一定量を家に備蓄する方法)」として購入したユーザーも増えたという。

    ヤフー Yahoo! Yahoo!ショッピング 2021年上半期大ヒット10 ランキング 防災グッズ
    防災グッズで売れた商品トップ3(画像は「Yahoo!」サイトからキャプチャ)
    藤田遥
    藤田遥

    「世界の小売業ランキング2021」トップはウォルマート、2位はAmazon。日本企業トップはイオンで14位

    4 years 8ヶ月 ago

    デロイト トーマツ グループは6月23日、「世界の小売業ランキング2021」を発表した。

    「世界の小売業ランキング2021」は、全世界の小売企業から2019年度(2020年6月30日までを期末とする事業年度)の売上高上位250社をランキングにまとめたもの。調査開始から24回目を迎えるGlobal Powers of Retailingの最新版を日本語訳した。

    トップはWalmart(ウォルマート)で、2位にはAmazon.comがランクイン。Amazon.comは前回まで6年連続で2位にランクインしていたCostcoを抜き世界第2位に躍進した。2015年度に初めて10位にランクインして以降、毎年順位を上げている。

    「世界の小売業ランキング2021」のトップ10社 デロイト トーマツ グループ発表
    「世界の小売業ランキング2021」のトップ10社

    上位250社の総小売売上高は4兆8500億米ドル(前年度は4兆7400億米ドル)、平均小売売上高は194億米ドル(前年度は190億米ドル)、2014年から2019年度における小売売上高の年平均成長率は5.0%。

    日本企業でトップ250入りした企業数は前回調査から1社減の28社。最上位は14位にランクインしたイオン。18位にセブン&アイ・ホールディングス、51位にファーストリテイリングが入った。

    「世界の小売業ランキング2021」 デロイト トーマツ グループ発表 日本企業
    上位250社に入った日本企業

    250社のランキング詳細や急成長小売企業50社の一覧、地域別の動向、商品セクター別の動向などについて、以下のサイトからダウンロードできる。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    休業した労働者が生活資金を直接申請できる「休業支援金」の申請対象期間を8月末まで延長、厚労省が発表

    4 years 8ヶ月 ago

    新型コロナウイルス感染症の影響で勤務先から休業させられたものの、勤め先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、生活資金を申請できるようにする労働者向けの給付制度「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(休業支援金)に関して厚生労働省は、申請対象期間を8月末まで延長すると発表した。

    これまでの申請対象期間は7月末だった。沖縄県での「緊急事態措置」の期間延長、東京都・愛知県・大阪府などの都道府県は「まん延防止等重点措置」へ移行されたことを踏まえ、延長を決めた。

    新型コロナウイルス感染症の影響で勤務先から休業させられたものの、勤め先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、生活資金を申請できるようにする労働者向けの給付制度「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」
    「休業支援金」」の申請対象期間の延長について

    「休業支援金」は、企業の選択によって雇用調整助成金を活用しない勤務先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接現金を申請できる制度。中小企業・大企業の被保険者(労働者)に対し休業前賃金の80%を、国が休業実績に応じて支給している。

    大企業については、シフト労働者など(労働契約上、労働日が明確ではない労働者)が対象。中小企業での日々雇用やシフト制で、実態として更新が常態化しているケースにおいて、事業主が休業させたことについて労使の認識が一致した上で支給要件確認書を作成すれば支給対象としている。

    原則的な措置の助成額上限は9900円。緊急事態宣言、感染が拡大している地域(まん延防止等重点措置対象地域の知事による基本的対処方針に沿った要請)について、都道府県知事による要請を受けて時短協力などに応じた企業による休業で、事業主に休業させられる労働者が休業手当を受け取れないときは、助成額の上限額は1万1000円。

    新型コロナウイルス感染症の影響で勤務先から休業させられたものの、勤め先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、生活資金を申請できるようにする労働者向けの給付制度「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」
    「休業支援金」の申請期限など
    瀧川 正実
    瀧川 正実

    コロナ禍の家具・インテリア市場規模は過去最高の1.5兆円、巣ごもり需要や在宅勤務が追い風

    4 years 8ヶ月 ago

    帝国データバンクによると、2020年度の国内における家具・インテリア販売市場(事業者売上高ベース)は前年度比6.1%増の約1兆5000億円となった。ニトリやIKEAなど大手各社が業界全体をけん引し、過去最高を更新する見通しだ。

    家具・インテリア販売市場(事業者売上高ベース)
    家具・インテリア販売市場(事業者売上高ベース)

    総務省の調査によると、家具や寝具、ホームインテリアなどへの支出額(12か月移動平均値)は総じて前年を上回る水準で推移。一般家具はリアル店舗・ネットでの購入を含め、2019年の消費税増税による駆け込み需要から反動減となった9月を除くすべての月で前年から支出額が増加した。

    家具や寝具、ホームインテリアなどへの支出額推移
    家具や寝具、ホームインテリアなどへの支出額推移

    コロナ禍での在宅勤務など、自宅で長時間を過ごす新しい生活様式が定着。自宅の仕事環境の整備や、普段の生活の中における「快適性」を重視する傾向が強まった。こうした外部環境を背景に、家具販売各社では低価格帯に強みを持つ大型量販店、EC販売分野に特化した家具店で、前年度から大幅な増収となる企業が相次いだ。

    ニトリの2021年2月期の連結売上高が前期比11.6%増の7169億円。イケア・ジャパンの2020年8月期は前年比2.7%増の867億円。ホームセンターのナフコにおける家具販売事業も同6.7%増の475億円と伸長した。

    EC販売も大幅に伸びた。「LOWYA」ブランドを展開するベガコーポレーションの2021年3月期は前年を大幅に上回る業績を確保している。

    一方、好調な大手とは対照的に高級家具店や町の家具店は苦戦。規模別では、年商10億円以上の大・中型店舗の約半数が前年比で増収だったが、高級家具店やセレクトショップなどアッパーミドルの価格帯を得意とする家具店は業績が伸び悩んでいる。

    大規模ショールームや自前のネット販売チャネルを持たない小型店舗も増収の割合が低いほか、零細店舗では売り上げ伸び率の平均が1割超のマイナスに。コロナ禍で家具・インテリアの買い替え需要は増加したものの、客足の多くが低価格帯に流れ込んでおり、こうしたラインナップに勝る大手やEC専門店と小規模店で業績の二極化がより鮮明となっている。

    企業規模別の販売状況
    企業規模別の販売状況

    2021年度の家具販売はニッチな高級家具市場と低価格家具の二極化が進行する予想。特に低価格市場が占めるシェアは高ると帝国データバンクは予想する。低価格帯では引き続き大手の出店攻勢が続くほか、異業態からの参入も相次ぐなど、国内家具・インテリア市場は拡大する低価格家具市場のパイを取り合う厳しい競争が続く。

    飛躍的な成長を見せる家具のD2C業態は世界的にも浸透が進む。欧州市場では豊富な品ぞろえや配送料無料を武器に急成長を遂げる「ホーム24」(独)、スタイリッシュで高品質な家具で人気を集めるメイド・ドット・コム(英)など、新興のD2C家具企業が台頭。こうしたEC販売のシェア拡大は国内でも同様に進むと見られ、競争はより熾烈化していくとしている。

    石居 岳
    石居 岳

    クッキーレス時代のマーケティングに重要な「ファーストパーティデータ」。個人情報を喜んで提供する顧客を増やすためのヒント | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    4 years 8ヶ月 ago
    ファーストパーティデータを駆使したパーソナライゼーションは、Cookieに代わるマーケティング手法になり得るか? 先行事例から探ります

    消費者から直接収集したデータ(ファーストパーティデータ)を分析すると、ライフステージ、所属する団体や組織、職業など、消費者の特性をより深く理解することができます。クッキーレス時代の新たなマーケティング手法として注目を集める、消費者が自発的に開示した個人情報を基に、企業が顧客1人ひとりに高度なサービス還元するパーソナライゼーション事例とメリットを見ていきます。

    クッキーレス時代、企業はファーストパーティデータの収集が必須に

    「今後は、ChromeでCookieを使ったトラッキングを許可しない」。Googleが公表した最近の声明は、消費者のプライバシーに対する懸念を大手企業が認めたことになります。この声明以降、Cookieを使わずに広告を行う方法に関する議論が盛り上がっています。

    しかし、潜在的顧客の特徴を理解するためには、推測による行動追跡だけでは不十分です。よりパーソナライズされたマーケティングを望む消費者が、喜んで個人情報を提供してくれるよう、ファーストパーティデータ(自社で蓄積するデータ)のクリエイティブな収集方法を見つける必要があります。

    業界ではこの顧客の同意を得たデータを、ファーストパーティデータと区別するために「ゼロパーティデータ」という新しい言葉で呼び始めていますが、ここではわかりやすくするためにファーストパーティデータという言葉で統一します。

    消費者から直接収集したデータがあれば、消費者のライフステージ、所属するソーシャルグループや職業など、より深いレベルで消費者を理解することができます。また、消費者のクリックや購買行動を密かに追跡するようなストーカー行為を行わなければ、最初から透明性と信頼性に基づいた関係を築くことが可能です。

    ファーストパーティデータを収集・利用する方法はいくつかありますが、これらはすべて、「自発的情報開示型パーソナライゼーション」と呼ばれる大まかなカテゴリーに分類されます。見込み客に自分に関する情報を進んで提供してもらい、その見返りとして、高度にパーソナライズされた商品やサービスを提供するというものです。

    「ThirdLove」の活用事例

    興味深い例として、「ThirdLove(サードラブ)」というアパレルDtoCブランドがあげられます。共同設立者のハイディ・ザック氏は、「ショッピングモールでブラジャーを購入した時に、会社設立を思い立った」とCNNに語っています。

    彼女は、ショッピングモールでブラジャーを購入する際、サイズが合わないことに気付いたものの、とりあえず商品を購入してしまい、家に帰ってから後悔したそうです。女性が自分に合ったブラジャーを見つけるためには、より良いカスタマーエクスペリエンスが必要だと、ザック氏は考えました。

    「Third Love」のECサイトトップページ
    「Third Love」のECサイトトップページ(画像:サイトから編集部がキャプチャ)

    彼女と彼女のチームは、消費者にクイズに答えてもらうことで個人情報を入手し、そのデータに基づいて最適なブラジャーをおススメするという解決法を打ち出しました。

    たとえば、過去の回答に応じて「体重が増えたか減ったか」を尋ねる質問をします。そのような個人的な情報でも、「ThirdLove」にぴったりの商品を提供してもらうために、消費者は迷わず答えてくれるでしょう。

    「ThirdLove」が実施しているクイズ例
    「ThirdLove」が実施しているクイズ例(画像:サイトから編集部がキャプチャ)

    また「ThirdLove」は、同じファーストパーティデータを、組織の重要な意思決定に役立てています。インタビューでザック氏は、「私たちは(クイズから集めた)すべてのデータポイントを使って、より賢くなり続ける内部アルゴリズムを構築しています」と説明しています。

    たとえば、特定のサイズの在庫を管理するなど、サプライチェーンに関する意思決定にも役立てています。また、サイズの傾向が時系列でどのように変化するかを理解するのにも役立ちます。(ザック氏)

    顧客への情報提供依頼はためらわずに行おう

    商品やサービスの割引を提供するために、消費者のキャリアや所属団体に関する情報を求めるブランドもあります。

    たとえば、旅行会社の「Cheap Caribbean(チープ カリビアン)」では、医療関係者を対象に旅行パッケージを特別価格で提供しています。消費者は、医師や看護師などの医療従事者であることを証明する書類を進んで提出し、特典を受けることができます

    これまで多くの小売企業は、不必要な「摩擦」が生じることを恐れて、見込み客にあまり多くの、あるいはあまりにも個人的な質問をすることを躊躇してきました。しかし、これらの個人的な質問が、消費者が欲しいものを手に入れる手助けになると考えてみてください。「押しつけがましい摩擦」から、「素晴らしい購買体験」へと脚本を変えることができます。

    さらに、「自発的情報開示型パーソナライゼーション」の取り組みから集められたデータは、将来のブランドロイヤルティの原動力となります。オープンで誠実なデータを得ることで、お互いの信頼関係が構築され、双方が満足し、そこから利益を得ることができるのです。これが、長期的な関係性とロイヤルティの出発点となります。

    ◇   ◇   ◇

    消費者のプライバシー保護が強化される中、業界が変化していることは間違いありませんが、それは実は良いことなのです。新しい世界では、「自発的」をキーワードに、プライバシーとパーソナライゼーションの共存が可能になります。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360
    Digital Commerce 360

    「LOHACO」本店サイトをリニューアル。PayPayモール店との連携強化、同一ポイント倍率の適用、購入履歴の閲覧機能

    4 years 8ヶ月 ago

    アスクルが運営する一般消費者向けECサイト「LOHACO(ロハコ)」は、6月22日(火)に本店サイトをリニューアルオープンした。リニューアル後は、オリジナル商品のラインナップ強化や「LOHACO」 PayPayモール店での購入履歴が本店でも閲覧可能になる。

    従来より「おトクで便利な買い物」を可能に

    LOHACO ロハコ アスクル 本店リニューアルオープン
    6月22日(火)にリニューアルオープンした「LOHACO」の本店サイト

    新サイトでは、サステナビリティや暮らしの悩み解決など、「LOHACO」ならではの視点で企画開発したオリジナル商品のラインナップを強化するという。

    また、「LOHACO」 PayPayモール店と同一のポイント倍率を適用するほか、「LOHACO」 PayPayモール店の購入履歴を本店でも閲覧できるようになる。

    「LOHACO」は4月20日から、ユーザーに向けてリニューアルに関する事前告知を行っていた。リニューアルに伴う主な変更点などは次の通り。

    • 本店ECサイトのURL変更
    • 「LOHACOアプリ」が6月14日(月)から新しいアプリに変更
    • 注文締め切り時間が14時に変更(リニューアル前は15時)
    • 購入履歴は新サイトから閲覧可能
    LOHACO ロハコ アスクル 本店リニューアルオープン ロハコアプリ
    6月14日に新しくなった「LOHACO」アプリ(画像は「LOHACO」サイトからキャプチャ)

    リニューアルキャンペーンを実施

    本店リニューアルを記念して、7月1日(木)12時00分~7月26日(月)11時59分まで「リニューアルキャンペーン」を実施する。対象店舗は「LOHACO」本店、PayPayモール店(一部企画はいずれかの店舗のみ)。主なキャンペーン内容は次の通り。

    LOHACO ロハコ アスクル 本店リニューアルオープン リニューアルキャンペーン
    本店リニューアルを記念した「リニューアルキャンペーン」を実施

    ① PayPayボーナスがもらえる「HAPPY DAY」

    期間中にエントリーすると最大39%のPayPayボーナスが付与される。「LOHACO」新サイトの全商品が対象で、7月3日~5日、7月22日~25日はさらにPayPayボーナスが付与される「もっともっとHAPPY DAY」を実施予定。

    • 実施期間:7月1日(木)12時00分~7月26日(月)11時59分
    • 対象店舗:「LOHACO」本店

    ② リニューアル記念セットの販売

    「LOHACO」でのみ購入できるオリジナル商品や「暮らしになじむデザイン」をテーマにしたメーカーとのコラボ商品を対象に、ノベルティ付きなどの限定セットを販売する。日用品や食品、ビューティアイテムなどを予定。

    • 実施期間:7月1日(木)12時00分~7月30日(金)23時59分
    • 対象店舗:「LOHACO」本店

    ③ 3グループ以上購入で10%割引

    3グループ以上の商品を購入すると10%割引になるまとめ割企画を実施する。

    • 実施期間:7月1日(木)12時00分~7月30日(金)12時00分
    • 対象店舗:「LOHACO」本店
    • 対象グループ:暮らしになじむデザイン、 環境にやさしい生活用品、 日用品・文具・雑貨、 洗剤・洗濯・清掃用品、薬・健康食品・サプリメントなど10グループを予定

    ④ アウトレットセール

    旧パッケージや旧仕様品、通常よりも賞味期限までの期間が短い商品をアウトレット価格で紹介している「LOHACOアウトレット」でセールを実施。

    • 実施期間:7月1日(木)12時00分~7月26日(月)11時59分
    • 対象店舗:「LOHACO」本店、PayPayモール店

    ⑤ PayPayモール店で使えるクーポンを発行

    「LOHACO」PayPayモール店でのみ利用できるクーポンを発行する。クーポンは5%、10%、15%オフの3種類で、対象となる商品は1万点以上。

    • 実施期間:7月1日(木)12時00分~7月20日(火)12時00分
    • 対象店舗:「LOHACO」PayPayモール店
      ※クーポンによって割引率・対象商品が異なる。一部対象外商品あり

    ⑥ PayPayモール店でセールを実施

    「LOHACO」PayPayモール店において、特設ページを設けて日用品や食品を中心としたセールを実施。前半・後半に分けて行い、対象商品が異なる。

    • 実施期間:(前半)7月1日(木)12時00分~7月13日(火)11時59分ごろ
      (後半)7月13日(火)12時00分ごろ~7月30日(金)11時59分
    • 対象店舗:「LOHACO」PayPayモール店

    ⑦ 6850人限定、オリジナルBOXティッシュプレゼント

    1回の注文で対象商品を合計4000円以上(税込)購入すると、抽選で6850人に「LOHACO」のロゴをモチーフにしたコンパクトサイズのBOXティッシュ1点が商品と一緒に届く。

    • 実施期間:7月1日(木)12時00分~7月26日(月)11時59分
      ※上限に達し次第、早期終了の場合あり
    • 対象店舗:「LOHACO」本店
    LOHACO ロハコ アスクル 本店リニューアルオープン オリジナルBOXティッシュ
    抽選で6850人に届くオリジナルBOXティッシュ
    藤田遥
    藤田遥

    大規模ECサイトでやるべきSEO施策①「カテゴリ」と「商品データベース」を精査しよう | EC事業者のための「SEO」と「広告」の話

    4 years 8ヶ月 ago
    業態別SEO施策解説第1回「DB型大規模ECサイト編」(前編)【連載第4回】

    ECサイトのタイプ別にSEO施策を解説していきます。1回目は大規模ECサイトについて、2回にわけて解説します。

    「ECサイト」と言っていますが、商品やサービスデータが数千件〜数万件あり、カテゴリで分類しているような大規模サイトを指すため、求人、不動産、美容系のポータルサイトなども含みます。データベースを使っていても、商材が限られたり規模が小さめのサイトは「単品系通販」として次回以降、取り上げます。

    DB型の大規模ECサイトとは

    データベース型の大規模ECサイトの特徴は、SEOと広告の協業がかなり効率的に行えることです。SEOではサイト構造やカテゴリ、商品データ周りまで手を入れることがあり、マーケティングの環境整備ができます。そして広告ではその整った環境下で自動化を見据えた効率的な広告配信、つまりアセット活用ができるのです。

    SEOの最初のステップは、サイトの構造と検索ニーズを俯瞰してみることです。そこはスマホ時代になっても変わらないので、一度サイト構成図を作ってみることをおすすめします。

    それなりの商品数がありメーカーやブランド商品も扱っていて、実店舗もあるようなサイトの構造を作ってみました。

    サイト構成図の例

    DB型の大規模ECサイトに共通しているのは、

    • カテゴリがある
    • 場合によってはカテゴリを複数クロスしたクロスカテゴリがある
    • 特集やコラムがある
    • 末端に商品やサービスがある
    • リアルビジネスがある場合、店舗ページがある

    といったことです。ここに「know(知りたい瞬間)」「go(行きたい瞬間)」「do(やりたい瞬間)」「buy(買いたい瞬間)という4つのモーメントを当てはめます(モーメントに関してはこちらの記事を参照)。

    サイト構成図の例にモーメントをプラスした状態

    このタイプのサイトは、カテゴリや商品ページで「buy」を、特集やコラムで「know」や「do」を、そして店舗があれば「go」、それぞれのモーメントを刈り取っていくことができるはずです。

    ここに注力! いま注目すべきSEO施策5つ

    SEO施策には内部施策、外部施策、コンテンツ施策、ローカル施策などいろいろな種類があります。さらに、たとえば内部施策にはtitleのチューニング、内部リンクの設置、カテゴリ設計などの作業があります。Googleの順位を決めるアルゴリズムが数百あるわけですから、やるべき作業もたくさんあるのです。

    そのなかから、今回は大規模ECサイトが今注力した方が良いポイントを5つに絞って解説します。

    前編(今回
    後編(次回)
    • ポイント③ 一覧ページのスマホ最適化
    • ポイント④ パフォーマンス改善で速く使いやすく
    • ポイント⑤ ECは指名検索を増やす

    ポイント① カテゴリの最適化と“一覧”ページの精査

    このタイプのサイトでは、カテゴリは非常に重要です。「buy」モーメントとなるアイテムクエリではここがヒットし、SEOの入り口となるページ群になるからです。

    カテゴリはユーザーの検索ニーズに合わせて階層化、細分化すると良いです。ECサイトのスカートのカテゴリを例にあげてみましょう。

    cat1:スカート 
cat2:  └ フレアースカート
cat3:    └ フレアースカート ロング
クロス1:      └ フレアースカート ロング 麻
クロス2:       └ フレアースカート ロング 麻 黒
クロス2:       └ フレアースカート ロング 麻 ピンク
クロス1:      └フレアースカート ロング ニット
クロス1:      └ フレアースカート ロング 綿
cat3:    └ フレアースカート ミニ
cat3:    └ フレアースカート マキシ
cat2:  └ プリーツスカート
cat2:  └ タイトスカート
    カテゴリの例

    上記のように、スカートの形状や長さで分け、さらに素材や色とクロスしたカテゴリも作るとします。URLも「/skirt/flared/」「/skirt/flared/long/」というように、きちんと階層化して作成するとベストです。

    このようにさまざまなカテゴリページ群ができることで、SEO的には流入機会が広がることになりますが、実は動的検索広告でも「フレアースカート ロング 麻 黒」と検索された際、自動的に適切なランディングページが表示されるのでパフォーマンスが上がります

    何でもかんでもカテゴリ化しない

    ただSEO面では1つ重要なポイントがあります。今のSEOでは「質」を重視しますので、人気だからといって何でもかんでもカテゴリ化するのは良くないという点です。必ず紐づく商品やサービスの数をカウントし、1点〜2点しかないカテゴリが大量に生成されないように注意してください。

    「フレアースカート ロング 麻 黒」のようなあまりに細かいページはSEO的には意味がないので、noindexを入れてインデックスさせない、もしくはパラメータを利用したURLであればSearch Consoleのパラメータツールで「クロールしない」制御をすると良いでしょう。

    検索ニーズと商品数を加味した適切な粒度のカテゴリを整備することは、SEO的にも広告的にも重要です。

    「質の悪い」一覧ページに注意

    もう1つ、カテゴリと一緒に考えたいのは“一覧ページ”です。一覧ページとは商品が一覧で並んでいるページで、主にカテゴリを指しますが、なかにはタグやサイト内検索結果なども存在します。大規模になればなるほど、ここのコントロールができておらず、1つのキーワードをカテゴリとタグ、カテゴリとサイト内検索で食い合っているケースをよく見かけます。

    カテゴリは階層化され、管理されていることが多いですが、タグやサイト内検索は自動で生成されたり、無限に生成されたりするような仕組みも多いため、意味のないワードのページや商品が0件のページが大量にできているケースもよくあります。つまり、質の悪い一覧ページがカテゴリと食い合っているのです。

    Search Consoleのインデックスカバレッジの除外「クロール済み - インデックス未登録」にそのようなURLが大量に出てきていませんか?

    「クロール済み - インデックス未登録」のレポート画面
    「クロール済み - インデックス未登録」のレポート画面

    SEOは基本的にカテゴリで行います。構造化して管理もでき、パンくずなどのナビゲーションも「スカート>ロング>麻」というように、しっかり階層化して出すことができるからです。タグやサイト内検索を使うなら、カテゴリを横断するようなワード、季節やトレンドワードのみに限定すると良いでしょう。

    カテゴリ名はツールで確認

    カテゴリの名称はGoogleの日本語の認識力も向上し、ほとんど気にする必要がなくなっています。ただ、明らかに検索数が違う場合は、人気の言葉を使う方が良いでしょう。たとえば「フラットシューズ」(検索数18,100)と「フラット靴」(検索数170)はどちらを使っても、一応ヒットはしますが、圧倒的に人気度が高い「フラットシューズ」を使う方が良いです。

    ちなみにカテゴリ名称は想像でなく、キーワードツールを使って検索ボリュームを調べることをおすすめします。無料であれば「Ubersuggest」がおすすめです。最近Chromeの拡張機能もリリースされ、かなり高機能になりました。

    「クロール済み - インデックス未登録」のレポート画面
    Ubersuggest」の拡張機能

    拡張機能を入れるといちいちツールにアクセスしなくても検索した言葉の検索数や派生語、トラフィック予測が一目でわかり便利です(「Ubersuggest」はGoogleアカウントでのログインが必要なツールです。企業内ポリシーを確認してからご利用ください)。

    ポイント② 商品データベースの整備

    「buy」モーメントとなるアイテムクエリは、時に商品ページも対象になります。特に型番商品でなく、ユニークでオリジナルな商品であれば、流入獲得できることが多いです。その際に商品ページで重要なSEO要件は以下のとおりです。

    • 高画質な画像
    • 検索結果のサマリーに出るtitle(=わかりやすい商品名)
    • 検索結果のサマリーに出るmeta descriptionの最適化
    • 詳細な商品説明とスペック
    • ユーザーレビュー
    • 所属カテゴリへ戻れること
    • SKUをまとめる

    SKUは集約しよう

    SKUについて補足します。SKUはSEO的には1商品ページに揃えた方が良いです。

    たとえば4色展開でサイズが4種類ある場合、SKUは16ですが、これらをすべて別々の商品ページとして生成してしまうとユーザーも選びにくいですし、SEO的にも大量の類似ページができてしまいます。サイズはともかく、色は1つに集約することをおすすめします。

    SKUの集約イメージ
    SKUが集約されていない例

    商品データベースとフィードデータ

    次に商品ページの元となる商品データベースについて考えてみます。titleタグや見出しに出力される商品名、商品説明、所属カテゴリ、価格、送料など、すべての情報は通常、商品データベースに格納されていると思います。前述したSEO要件を最適化する際もこの商品データベースが関係してきます。

    そして、商品データベースはGoogleショッピングのフィードデータとも関係します。すでに多くの大規模ECサイトがGoogleショッピングを活用しているのではないでしょうか。特に2020年10月からは無料リスティングも始まったため、新規利用も増えているのではないでしょうか。

    このGoogleショッピングで必要となるのがGoogle Merchant Centerに送信するフィードデータです。フィードデータはフィード作成ツールなどで別途設定しているケースを除き、多くの場合、商品データベースを元に作成されているでしょう。

    この元となる商品データがどのくらい充実しているか、どのくらい整備されているかは、SEOだけでなく、フィードデータを使うGoogleショッピングや広告活用においても重要なポイントになります。

    「クロール済み - インデックス未登録」のレポート画面
    商品フィードデータのサンプル例

    商品フィードデータには「標準リスティング」と「拡張リスティング」の2種類がありますが、流入を見込むには商品説明、在庫、ブランド、GTIN、色やサイズ、送料など、「拡張リスティング」の細かい属性が必要です。

    また、わかりやすく整備されたデータであることも重要です。たとえばフィードデータのタイトルとなる商品名の良くない例と良い例を比べてみてください。

    良くない例
    本日まで送料無料!ワコール 肌着 女性 夏用、冷感、速乾、さらっと快適 2,980円
    良い例
    ワコール レディース 肌着(夏用/冷感)

    良くない例は長く、キャッチコピー的な内容が入っているため、SEO的には何が重要なキーワードなのかわからず、検索結果でも長すぎて切れてしまう可能性があります。

    広告的にも「ブランド+性別(アパレル)+商品カテゴリ+属性」のようなわかりやすい名づけが推奨されており、タイトルはわかりやすい商品名のみとし、送料無料はフラグで判別できるように、価格は価格のフィールドに入れるなど、商品名の命名規則は重要です。

    概要(meta description)も同様にわかりやすい一文にすることがポイントで、タイトルも概要も重要な文言をなるべく先頭に配置することがSEOにも広告にもおすすめです。

    商品が属する商品カテゴリはユーザーの細かい検索に応えらえるよう、検索需要のある商品カテゴリへの登録がフィードデータ的に推奨されています。3階層以上が目安とも言われており、前述したスカートの例のように、細分化したカテゴリの作成と商品登録はSEOにも広告にも有効です。

    ちなみに更新が課題となるフィードデータですが、商品ページを構造化マークアップしておくことで、Google Merchant Centerのデータの自動更新ができるようになり、価格や在庫状況の不一致が原因で広告が停止してしまうリスクが減るようです。

    構造化マークアップはSEO面でも内容の理解、検索結果のリッチ化などメリットがあります。ぜひやっておくといいでしょう。

    商品の属性を充実させて整備することは非常に手間のかかる作業です。特に大規模サイトでは最低限の情報しかない、DB化されていない、正規化されていないといった課題を目にします。

    • わかりやすい商品名
    • 適切な商品descriptionの作成
    • 商品説明文やサイズ
    • 色、素材など細かいスペック情報
    • 必要な情報のフラグ化

    など、商品データベースの整備は、SEOと広告の両面に効果があります。大変ですが、やる価値は大いにあるのではないでしょうか。

    補足:SEOと広告の相乗効果

    SEO同様、昨今さまざまな進化を遂げているリスティング広告では、アセット活用が重要なポイントとなってきています。「アセット」(asset)は、一般的には「資産」「経営資源」という意味ですが、Webの世界では「企業がビジネスを行う上で保持する情報やデータベース」を指しています。

    アセットと広告の打ち手の関係
    アセットと広告の打ち手の関係

    この図の左側にあるのがアセット、右側にあるのが主にECサイトにおけるオンライン広告の打ち手の例です。広告に関しては次の回で河野が解説しますが、ここで理解いただきたいのは「アセット」の重要性です。

    Googleの広告と言えば「設定した検索キーワードに連動して表示される広告」と認識しがちですが、2021年時点ではキーワードより自社ビジネスの情報がまとまっている「アセット」が重要になってきていると言われています。つまり、今回解説したサイト構造やカテゴリ、商品データをきちんと整備すること、それが効果的な広告にもつながるのではないかと思います。

    整備できるのはSEOをやるタイミングです。私も大規模なDB型サイトのSEOをやる際には必ずサイト構造を定義し、カテゴリを最適化し、時には商品データにもリクエストを出します。SEOで「アセット」を整えて広告にも生かす。これが大規模ECサイトの重要なポイントだと考えます

    ◇◇◇

    長くなりましたので、次回は後編として残りの3つのポイントを解説します。

    江沢 真紀
    江沢 真紀

    ECの課題は「売上拡大」「新規獲得」。効果が高いと感じるSNSは「YouTube」

    4 years 8ヶ月 ago

    ECサイト専用のマーケティングオートメーション・CRMツール「EC Intelligence」の開発・提供を行うシナブルは、EC担当者460人に対して自社ECサイトの課題を調査した結果を公開した。

    EC担当者に「自社ECサイトにおける課題」を聞いたところ、トップは「売上拡大」で47.0%。次いで「新規顧客獲得」が43.5%、3位は「商品・サービスの企画/開発」で40.2%だった。「コスト削減」は37.4%。

    シナブルの調査「⾃社ECサイトの課題」 自社ECサイトにおける課題
    自社ECサイトにおける課題

    SNSへ広告を出稿している担当者を対象に、広告効果が高いと感じるSNSを選んでもらった結果、「You Tube」が58.9%で最多。「LINE」「Twitter」「Instagram」が各52.8%で続いている。

    「You Tube」が最多だったのは、動画視聴者の興味関心に対してリーチができるといった特長が、広告効果に貢献しているようだ。

    シナブルの調査「⾃社ECサイトの課題」 広告効果が高いと感じるSNSについて
    広告効果が高いと感じるSNSについて

    自社ECの公式SNSアカウントを保有する担当者に、運用による効果が高いSNSを聞いた。トップは「Instagram」で47.4%、2位は「You Tube」で42.2%、3位は「LINE」「Twitter」でそれぞれ41.4%だった。

    シナブルの調査「⾃社ECサイトの課題」 運用による効果が高いSNSについて
    運用による効果が高いSNSについて

    新型コロナウイルス感染症拡大によって、より重要度が増した自社ECサイトの取り組みについて聞いたところ、「ECサイトの機能強化や改善」が37.5%でトップ。「新規客の増加」が35.0%、「業務の効率化、標準化」が32.8%、「リピートの増加」が32.2%と続いている。

    新型コロナウイルスの感染防止に伴う外出制限などで、ECを利用する人は増加。こうした背景から、機会損失を防ぐためにサイトのUI/UXを見直す機運が高まっている。

    シナブルの調査「⾃社ECサイトの課題」 重要度が増した自社ECサイトの取り組みについて
    重要度が増した自社ECサイトの取り組みについて

    調査概要

    • 調査期間:2021年3月23日~27日
    • 調査方法:インターネットリサーチ
    • 調査対象:自社ECサイトを所有する企業のEC担当者(主にBtoC事業に携わる)
    • 回答者数:460人
    石居 岳
    石居 岳

    CRMツールを入れたけど「効果がない」はナゼ?失敗するCRM施策と3つの大きな問題点

    4 years 8ヶ月 ago
    CRMでLTVとリピート率を改善するには? CRMツール「アクションリンク」開発者が解説

    ECビジネスで継続的に事業を拡大していくために、CRMによるLTV(顧客生涯価値)とリピート率改善の取り組みは欠かせません。ところが、CRMツールを導入しても、しっかりと活用できている企業は、1割未満(※2019年アドブレイブ社によるCRM導入企業100社へのモニタリング調査)とまだ少ないようです。CRMツール「アクションリンク」開発者が、EC企業によるCRMの利活用が進まない理由、CRM導入に失敗する原因、LTV向上につながる「最新CRM事例」を解説します。

    ECで再購入のきっかけはEメールがダントツ1位

    LTV向上はどうすればいいかを考える前に、お客さまがリピート購入に至る「理由」や「きっかけ」を見ていきます。2019年にアドブレイブが行った調査によると、再購入のきっかけは「Eメールで得た情報」がダントツ1位でした。

    その理由で多くあげられたのが、「ちょうど(良いタイミングで)欲しい商品を知らせてくれた」「欲しい商品を気づかせてくれた」。この2つで半数以上を占めています。

    つまり、メールで1人ひとりのお客さまに合わせた情報提供を行うことが、最も効率的にLTV向上につながるというわけです。しかし、お客さまに適した情報を提供するためにCRMツールを導入しても、「うまくいかない」と感じている企業が多いようです。それはなぜでしょうか?

    アドブレイブが調査した再購入のきっかけとなった情報源など
    再購入のきっかけとなった情報源など

    9割のECがCRMツールを導入しても活用できない理由

    アドブレイブが2019年に実施したCRMツール導入企業100社へのアンケート調査によると、ECのCRMがうまくいかない理由として事業責任者や現場の担当者が考える主な原因は、下記の3つで8割を占めています。

    • 設定が難しく専門知識を要する
    • 忙しくて作業時間を確保できない
    • そもそも何をしたらよいか分からない
    企業がCRMツールを活用できない理由など

    つまり、大半の企業がCRM施策をスタートする以前につまずいていることになります。

    その結果、高額なCRMツールを導入したもののすべての会員に同じメールを一斉配信するなど、2000年前後のEC黎明(れいめい)期のような単純な施策に終始し、ツールの費用対効果が見合わない事態に陥ってしまうのです。

    こうした単純な施策が効果を上げにくいのは、「自分に興味がない商品を紹介するメールが来る」「もう購入している商品のメールが来る」「購入したばかりでまだ商品が届いていないのに宣伝メールが来る」など、顧客エンゲージメントを損なうメッセージ配信になってしまっているからです。リピート購入を促しLTVの改善をめざすのであれば、商品やサービスを提供する企業と顧客との間の信頼関係とも言える、「顧客エンゲージメント」の向上は必須です。

    一斉配信せざるを得ない、企業側の理由とは?

    このような施策を推進してしまうのには、企業側にも理由があります。たとえば、以下のような声があります。

    • 売上目標は落とせない、売り上げを最大化するには全配信が最も効果的な施策だ
    • 細かいセグメント配信をしても、手間の割にターゲット母数が絞られ売り上げが小さくなる
    • 一斉配信を増やすと一時的に売り上げは増えるが解除が増えたりと、長期で見るとレスポンスが低下する。そのため本来はもっと配信したいが、仕方なくメールの配信頻度を落としている

    顧客エンゲージメントが下がるとはわかりつつも、一時的な売り上げを作るために、仕方なく全配信の乱発を止められずにいるのです。

    ECでは業種にもよりますが、全配信メールの開封率は、5%~15%ほどと言われています。つまり、残りの9割近い顧客には、“見られもしないメール”をせっせと配信し続けているのです。これでは誰もハッピーになれません。

    ECを立ち上げたばかりでCRMノウハウがない企業ならまだしも、中小企業や大手企業において、なぜいまだに理想的なCRMを実現できていないのでしょうか?

    そもそも顧客にとって理想的なCRMとは?

    CRMがうまくいかいない原因の前に、そもそもECにとっての、“あるべきCRMの理想的な姿”を考えてみましょう。

    それは、「誰に(Right target)」「何を(Right message)」「いつ(Right timing)」「どうやって(Right channel)」伝えるか、この「4R」が最適化された状態です。必要なメッセージを必要なときに、必要な人に送る。実はとてもシンプルなことなのです。

    • 誰に:最適なターゲット(Right target)
    • 何を:最適なメッセージ(Right message)
    • いつ:最適なタイミング(Right timing)
    • どうやって:最適なチャネル(Right channel)

    この「4R」の実現によって、顧客1人ひとりの購入履歴や頻度など行動にあわせたメッセージを届けられれば、顧客エンゲージメントの向上と、その先にある顧客との長期的な関係構築、LTVの向上を実現できます。

    なぜCRMはうまくいかない?「自社ECのCRM問題」の本質とは?

    私はEC事業コンサルタントの立場として過去にさまざまなECの現場を見てきただけでなく、実際にCRMツールの選定・導入から運用体制の構築まで携わってきました。その経験を踏まえ、ECにおけるCRMの推進には大きくわけて「3つの問題」が存在すると感じています。

    CRMツールの導入に失敗する企業は、この「3つの問題」を知らずにシステムを導入するために、失敗してしまうのです。

    1. ノウハウの問題

    CRMツールは魔法の杖ではありません。ツールはただの箱であり、それをどう使うかはEC事業者次第です。課題を見つけ、仮設を立てて施策をプランニングし、それをシステムに実装したうえで結果をみて改善していく――。CRM施策におけるこの一連のPDCAを推進するノウハウがなければ、ツールを導入しても費用対効果に見合う活用はできません。コンサルタントとしてEC事業を見ていると、この失敗パターンが最も多い印象です。

    2. 工数(時間)の問題

    CRMのノウハウがあって実現できるシステム環境があっても、実行するための人員も時間も無い、では絵に描いた餅です。できるつもりで高機能なCRMツールを導入したものの、結局時間が無くて活用できていない、というケースも多いです。

    BtoC-ECの場合は単価が低いビジネスモデルになっていることが多く、CRMに取り組んだ時間に対して費用対効果が合わないという事態が発生しやすくなります。理想を追うだけではなく、限られた時間の中で効果的に取り組むことが重要です。

    3. 費用の問題

    ノウハウも時間もない場合は、費用をかけて外部のコンサルタントや運用代行業者の力を借りなくてはいけません。

    しかし、規模の小さなECではその費用をかけることが難しいケースもあります。そのため、費用対効果が合う範囲でベストな取り組みを実行することが重要になります。

    アドブレイブが調査したBtoC-EC事業者が高機能なCRMツールを導入しても、費用対効果が見合いにくくなる理由
    BtoC-EC事業者が高機能なCRMツールを導入しても、費用対効果が見合いにくくなる理由

    ◇   ◇   ◇

    次回は、ノウハウも時間も予算もない企業が、効率的にCRMで効果を上げるための「自動化ツール」活用例を紹介します。

    中村 隆嗣
    中村 隆嗣

    トヨタ自動車公式サイトがインスタ投稿活用したUGCマーケ、市場予約や見積依頼などにも誘導

    4 years 8ヶ月 ago

    トヨタ自動車と電通グループが出資するトヨタ・コニック・ホールディングスの子会社トヨタ・コニック・プロは、運営するトヨタ自動車公式サイトで、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用したファンマーケティングを始めた。

    トヨタユーザーがInstagramに投稿したコンテンツをピックアップし、掲載するコンテンツ「みんなのトヨタグラム」をスタート。コンテンツ拡充と、ファンマーケティングを推進する。

    トヨタの愛車、愛車との思い出、旅行、レジャーの写真など、Instagram上に投稿された写真をトヨタ・コニック・プロがピックアップする。車種ごとの絞り込み表示、インテリア(interior)、お気に入り(favorite)、思い出(memories)などのジャンルで絞り込み表示できる。

    トヨタ・コニック・プロは、運営するトヨタ自動車公式サイトで、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用したファンマーケティング「みんなのトヨタグラム」を開始
    「みんなのトヨタグラム」のイメージ

    投稿をタップ(クリック)すると、モーダル画面が立ち上がり、投稿の詳細を見ることが可能。車種の詳細ページ、試乗予約、見積依頼、販売店検索ページにジャンプできる。

    トヨタ・コニック・プロは、運営するトヨタ自動車公式サイトで、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用したファンマーケティング「みんなのトヨタグラム」を開始
    投稿コンテンツから車種詳細ページへジャンプできる

    Instagramのコンテンツを自社の公式サイトに活用し、さまざまな販促に活用する取り組みは、ecbeingの子会社であるvisumoが提供するInstagramの写真や動画をECサイトに活用するソリューション「visumo social curator」を導入して実現した。

    「visumo social curator」を導入すると、Instagram上に投稿されているフィード写真、フィード動画、IGTVを取り込み、ECサイト内にギャラリーコンテンツを作成することが可能になる。

    コンテンツ化した写真や動画には自社製品やサービスと紐づけることが可能で、Instagramのコンテンツを活用し、コンバージョンへと訪問者を誘導できるようになる。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    越境ECで売上560億円のビィ・フォアードがECサイト内にバナー広告掲載のサービス

    4 years 8ヶ月 ago

    中古車やオートパーツなどの越境ECを運営するビィ・フォアードは6月21日、月間6000万PV以上の自社越境ECサイト「beforward.jp」に、海外進出を検討している企業のサイトやサービス紹介のバナーを掲載できるバナー広告サービスを始めた。

    新しくローンチするサービスは「beforward.jp」内にある国別ランディングページ(LP)に、バナー広告が掲載できるサービス。

    国別・地域別のLPは合計78か国。そのうちアフリカ地域は24か国あり、バナー広告を掲載するページが細かく選べるので、対象国の消費者、ターゲット層に対して、効率的にリーチできる。

    中古車やオートパーツなどの越境ECを運営するビィ・フォアードは、月間6000万PV以上の自社越境ECサイト「beforward.jp」に、海外進出を検討している企業のサイトやサービス紹介のバナーを掲載できるバナー広告サービスを開始
    LPでの掲載イメージ(画像はビィ・フォワードのHPからキャプチャ)

    サイトやサービスの認知度向上、効率的にリードを獲得したい企業の要望やサービスの特徴をヒアリングした後、最適なバナー広告プランを提案する。

    国別LPの合計ユニークユーザー(UU)数は月間約6万人。今までリーチできなかった顧客にも、高確率で認知してもらうことができるとしている。

    海外の広告会社と契約することなく、アフリカ地域などのユーザーにリーチすることが可能。ビィ・フォアードが日本語での対応、問い合わせにも時差なく迅速に対応するという。

    ビィ・フォワードは中古車やオートパーツ、家電などを海外向けに販売するECサイト「BEFORWARD.JP」を運営。2020年6月期における売上高は前期比17%減の561億392万円。

    世界200以上の国・地域と取引があり、特にアフリカ地域に強い。アフリカ地域の顧客リストは200万件超。38の言語に対応し、「BEFORWARD.JP」の月間PV数は6000万を超える。

    中古車やオートパーツなどの越境ECを運営するビィ・フォアードは、月間6000万PV以上の自社越境ECサイト「beforward.jp」に、海外進出を検討している企業のサイトやサービス紹介のバナーを掲載できるバナー広告サービスを開始
    国別・地域別LPの対象(画像はビィ・フォワードのHPからキャプチャ)

     

    石居 岳
    石居 岳

    “きざみ昆布”が中国で爆売れ? 竹内まりやのレコードが台湾で売れる? 越境ECのいまを探る【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

    4 years 8ヶ月 ago
    ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年6月14日〜20日のニュース
    ネッ担まとめ

    越境ECは売ろうと思っても売れるとは限りませんが、売ろうとしないでいると売れてしまうこともあるようです。どこにニーズがあるのかわかりませんので、手軽に始めてみるのも良いかもしれません。

    とりあえず始めてみると意外な結果が出るかも!?

    ビジネス特集 意外なものが海外で大人気!“越境EC”のなぜ | NHKニュース
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210615/k10013085411000.html

    まとめると、

    • 越境サイトを運営している企業の四半期ごとの出荷額の推移では、2021年の1月から3月は2019年の同時期に比べて2倍近くに増え、総額は77億円にのぼっている。ある種の“日本ロス”によって新たな消費が生まれていると考えられる
    • 1970年代から80年代にかけて流行った日本のシティ・ポップのアルバムが売れている。韓国のDJがブームの火付け役
    • 鳥取県境港市は観光協会が中心となって越境ECを開始。「きざみ昆布」が爆売れしているが理由は謎。中国は日本酒ブームなのでスパークリング日本酒も売っていく考え

    ただ売るだけではなく、その国ではどのような通販サイトが使われているのか、どんなSNSが主流なのかなど、リサーチが必要です。簡単ではありませんが、チャンスはあると思います
    ─大和総研 コンサルタント 五十嵐陽一氏

    シティ・ポップが売れている、きざみ昆布が売れているなど、初めて知ることが多い記事です。引用文にあるようにリサーチは重要だと思いますが、よくわからないけど売れているから海外向けにECを始めるとか、やってみたら売れてしまったということもありそうです。翻訳などをしなくても越境ECを始めることができる時代なので、まずはチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

    関連記事
    • 大企業だけじゃない! コロナ禍の今、中小企業や地方企業こそ越境ECを活用すべき理由 | ネットショップ担当者フォーラム
      https://netshop.impress.co.jp/node/8453

    2021年下期は「Shop Pay」の動きを要チェック

    Shop Payの外部化がもたらす意味について 決済とプラットフォームビジネスの要諦 | REWIRED
    https://rewired.cloud/2021/06/17/shop-pay-as-checkout-platform/

    Shop PayがShopifyショップでなくても利用可能に Facebook・インスタ・Googleに対応へ まずはアメリカから|ECのミカタ
    https://ecnomikata.com/ecnews/30775/

    まとめると、

    • Shopifyは、自社のチェックアウトシステム「Shop Pay」をFacebook(Instagram)とGoogle を通じて販売するすべてのマーチャントに開放すると発表した
    • これまではShopifyマーチャントである必要があったが、今後は他のショッピングプラットフォームの利用者であっても、InstagramやGoogleを経由した取引でShop Payが利用可能
    • Shopifyプラットフォーム内のShop Payでのチェックアウト(決済)は、通常のチェックアウトより70%速く、コンバージョン率が1.72倍高くなるとのデータもある

    2021年の夏から秋にかけてFacebookとInstagramで、2021年末にはGoogleに対応するとしている。これが予定通り実現すれば、今年中に主だったSNSやWebプラットフォーム上で、Shop PayがShopifyのオンラインストアを使用していなくても販売者が利用可能になることになり、そのショップ数は100万に上るという。

    Facebook・InstagramとGoogleに対応するとなれば導入せざるを得ない状況のShop Pay。Shopifyを使っていなくても、Shop Payは使えるとのこと。アメリカでは今年の夏から秋に導入ということなのでもうすぐですよね。年内にはGoogleにも対応。

    日本では決済の陣取り合戦が落ち着いてきたものの、世界で見ればこれから激しく動き出すタイミングなので、動向を見極めていつでも導入できるだけ準備だけしておきましょう。

    ECサイトには文章を書ける人とSNS運用が得意な人が必要

    百貨店の果物店からEC店長へ オンラインで接客を行うフルーツギフトEC「蝶結び」杉下さんの想いとは | ECzine
    https://eczine.jp/article/detail/9195

    まとめると、

    • EC運営未経験でフルーツギフト専門EC「蝶結び」を立ち上げた杉下さんは、ECではテキスト表現が重要と考え、ライティングやブランディング、SNS活用ができるフリーランスを探した
    • ECサイトはShopifyで構築。モダンなデザインが多く、ビジュアルを活かした訴求がしやすい点も決め手の1つだった
    • 実店舗での販売経験もあったのでカタログ通販ではなく接客をして販売をしたかった。そのため、チャットでの手厚い接客を心がけている

    私ひとりで経営していて小回りが効くからこそ、そのメリットを活かして変えるべき点はすぐに変えていくことが重要だと感じています。お客様とチャット接客で直に触れ合う中でありがたいお言葉をいただくことも多く、日々の達成感は大きなものですがまだまだ手探りな状況であることも事実です。起業当初から意識している『オンラインだけどオフラインのような接客販売』は継続しつつ、蝶結びのサービスをよりよいものにするため今後もさまざまな挑戦を続けていきます

    「蝶結び」の接客画面
    「蝶結び」の接客画面

    ECサイトを立ち上げようとすると、まずデザインから考える人が多い中、杉下さんはテキスト表現にこだわっていました。私もここは同感でして、良い文章があれば良いコンテンツを作ることができるので、バナーにも動画にもいろいろと応用が利きます。また、SNSの運用者は育成しづらいので、できる人を見つけるというのも正解だと思います。

    画像にもあるようにチャットのバナーもひと工夫されていますので、こういったことが接客を重視しているということなんでしょうね。

    EC全般

    ネットフリックス通販参入が、「日本のコンテンツ産業衰退」を早めるワケ:スピン経済の歩き方 | ITmedia ビジネスオンライン
    https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2106/15/news045.html

    GAFAというかプラットフォーマーがECにどんどん入ってくると苦しくなる業界が増えてきそうです。

    高齢者のEC利用が増加、「ネットで情報収集&ショッピングをする」は31% | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8808

    60代のネット利用率は9割越え。もう誰もが使えるものになってきましたね。

    Shopify初!日本語で使える「定期購買」アプリで今すぐサブスクを始めよう! ? | コマースメディア
    https://commerce-media.info/blogs/ec/huckleberry-subscription

    これを待ち望んでいた人も多いのでは?

    無料ではじめられるPOSレジ | STORESレジ
    https://stores.jp/regi

    店舗を持ちつつECもやりたい人はこういった仕組みが標準になりそうな。

    複数のEC-CUBE 3.0系用プラグインにおけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性に関する注意喚起 | JPCERT
    https://www.jpcert.or.jp/at/2021/at210028.html

    3.0系を使っている人は少ないと思いますが、使っている場合は対応を。

    【速報】「楽天市場」、出店プラン変更時の「送料込みライン」原則導入を延期 周知期間設け、7月1日申請分から適用 | 日本ネット経済新聞
    https://netkeizai.com/articles/detail/3953

    買う側も3980円に慣れてきたので、導入せざるを得ないでしょうか。

    アフィリエイト広告規制はどうなる? 執行例などにみる表示責任の議論と解釈&消費者庁に聞く検討会立ち上げの目的 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8798

    架空の顔で「お客様の声」「大満足」…AIで生成、90サイトで宣伝に悪用[虚実のはざま]第3部 粉飾のカラクリ<1> | 読売新聞オンライン
    https://www.yomiuri.co.jp/national/20210613-OYT1T50073/

    「だましても売る」、ウソの体験談「アフィリエイト」で続々[虚実のはざま]第3部 粉飾のカラクリ<2> | 読売新聞オンライン
    https://www.yomiuri.co.jp/national/20210615-OYT1T50051/

    アフィリエイト関連はどんどん規制がきつくなることが想定されますね。

    今週の名言

    目立たないプロモーションで売上が上がると、競合が生まれないので永続的に成長できる。目指すべきはココだ
    ─北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下勝寿氏

    「東証一部上場企業社長」兼「現役WEBマーケッター」が「プロモーションは目立たないほうがいい」と断言する理由 | ダイヤモンド・オンライン
    https://diamond.jp/articles/-/273239

    規模とシェアの拡大を目指していない限りは目立たないことをおすすめします。目立ってしまうと売れてきたところで資本力のある企業が参入してきますので。

    森野 誠之
    森野 誠之

    「Magento」から「Adobe Commerce」へ。アドビが取り組むコマース事業の最新情報&Cookieレス対応&事業者事例

    4 years 8ヶ月 ago
    アドビはライセンス版「Magento Commerce」を「Adobe Commerce」に統合した。「Adobe Commerce」などが属するサービス群「Adobe Experience Cloud」のアップデートなどの最新情報をまとめた

    アドビが「Magento Commerce」を買収したのは2018年。それから3年後の2021年。アドビは「Adobe Commerce Cloud」とライセンス版「Magento Commerce」のコマースブランドを「Adobe Commerce」に統合した。アドビは今後、どのような戦略でコマース事業を展開するのか。2021年4月に行われた「Adobe Summit 2021」から、今後の取り組み、顧客事例を見ていく。

    デジタル基盤「Adobe Experience Platform」で稼働する「Adobe Commerce」

    オンラインイベント「Adobe Summit 2021」の基調講演で語られたのは、「Adobe Commerce」などが属するサービス群「Adobe Experience Cloud」のアップデート。

    「Adobe Commerce」などが語られた「Adobe Summit 2021」
    「Adobe Commerce」などが語られた「Adobe Summit 2021」

    「Adobe Experience Cloud」に属するアプリケーション製品を「Content & Commerce」「Data Insights & Audiences」「Customer Journey」「Marketing Workflow」の4カテゴリーとして再定義。各アプリケーション製品がデジタル基盤「Adobe Experience Platform」で稼働するものとして設計した。

    「Adobe Experience Cloud」について
    共通プラットフォームである「Adobe Experience Platform」上で、「Content & Commerce」「Data Insights & Audiences」「Customer Journey」「Marketing Workflow」といった各製品群が稼働する

    アドビといえば、クリエイティブやデザインツールから出発し、ここ数年はMarketoなどのBtoBマーケティング、データアナリティクスやAIにも注力し、エンタープライズ領域を拡大。アドビの強みである、ユーザーエクスペリエンスやクリエイティブは、BtoBのマーケティングやEC事業との親和性が高い。

    Experienceは文字通り「経験/体験」で、デジタル産業の中で語られる顧客中心とは、「顧客データ」を起点にすると捉えられる。そういった意味では、アドビが展開しているマーケティング、データアナリティクス、ECなどの領域は、「Customer Experience」という価値を増大させるという目的に集約される。今回のアプリケーション製品が「Adobe Experience Platform」という共通プラットフォームで稼働するものとしての再定義は大きな転換と言える。

    「Adobe Commerce」のアップデートとは

    存在感を増した事業領域が、アドビが「デジタルコマース」と位置づけている「Adobe Commerce」だ。「Adobe Summit 2021」ではB2B領域へのレコメンデーション機能の搭載、検索機能の強化など、Eコマース体験を拡充するアップデートを発表した。

    「Adobe Commerce」に搭載されている「Product Recommendation」についてアドビは、2021年中にB2Bの購買シナリオにも商品レコメンデーションを設定できるようにする。

    「Product Recommendation」はアドビが開発した人工知能(AI)「Adobe Sensei」を活用したレコメンデーション機能で、消費者データやインサイトを活用し関連性が高くパーソナライズされた顧客体験をリアルタイムに実現できるようにするもの。「Product Recommendation」を導入したECサイトでは、顧客はこれまでにない新しい方法で製品を発見できるようになったという。

    そして、新たに追加された検索機能の「Live Search」は、マーチャントのサイト上で非常に関連性が高い検索結果を迅速に表示する機能。検索ワードの入力中から検索結果を表示し始め、顧客ごとにパーソナライズした検索結果を素早く表示する。AIによる継続的な学習・分析によって、検索表示の精度は利用時間が経過するほど高くなる。

    AIを活用した顧客の行動分析に基づき、入力中の検索ワードから迅速に検索結果を表示する
    AIを活用した顧客の行動分析に基づき、入力中の検索ワードから迅速に検索結果を表示する

    さらに、米国ではFedExとの新たな取り組みにより、「Adobe Commerce」のマーチャントは、自社のストアフロントをFedExの「ShopRunner」(年会費を払うと参加店舗の商品を送料無料などで配送するサービス。FecExが2020年に買収した)と統合させることが可能になる。2日以内の無料配送、シームレスなチェックアウト、簡単な返品プロセス、FedExの購入後のロジスティクスインテリジェンスへのアクセスといった数々の顧客メリットを提供できるようになるという。

    Rajesh Subramaniam President, COO, FedEx
    Rajesh Subramaniam President, COO, FedEx

    Cookieレス次代に向けたアドビの対応

    今回の「Adobe Summit」で注目したいのが、EC業界も含むマーケターが直面している「Cookieレス」への対応だ。

    欧州のGDPR、米カリフォルニア州のCCPAといったプライバシー規制強化の流れの影響は大きい。Googleはトラッキング用サードパーティCookieのサポートを打ち切る計画を発表、Appleは端末識別のためのIDFAのポリシーを変更し、iOS14.5以降でユーザーの個人情報の取得とトラッキングへのユーザーの同意を義務付けた。

    アドビもこうしたサードパーティデータの制限の流れにいち早く対応し、ファーストパーティー指向を打ち出している。リアルタイム顧客データプラットフォーム「Adobe Real-Time Customer Data Platform」(Real-Time CDP)や、他社のファーストパーティーデータを用いて自社のファーストパーティーデータを拡充することがでる「セグメントマッチ」、既知の顧客と似た属性を持つ顧客を特定し、その顧客グループに追加することができる「類似(look-alike)セグメント」を追加。

    アドビは「Real-Time CDP」をハブとして企業のファーストパーティーデータ資産を一元的に管理することで、パーソナライズなど一貫した顧客体験提供していく戦略を掲げる。CDP製品は、今回の「Adobe Experience Platform」の中でも需要な位置付けになるという。

    オンワードUSAなどのEC事例

    「Adobe Summit 2021」では「Magento」時代からECプラットフォームを利用している企業の事例が紹介された。いくつかのセッションを取りあげる。

    日本発グローバル展開のオンワードUSAの「アパレルDX」

    「オンワード樫山」などのオンワードグループのオンワードUSA。2018年からアメリカ市場への展開を開始し、現在はニューヨーク、ボストン、フィラデルフィア、ワシントンDC、ダラスに拠点を置く。米国でCOVID-19による全国の店舗が閉鎖に伴いオンラインを強化。オンワードUSAのBJ McCahill副社長は、デジタルコマース戦略の成功要因を通じて以下のように整理した。

    • ブランド価値の拡大には、拡張性、柔軟性、堅牢性に優れたプラットフォームが鍵となる
    • 実店舗での体験をオンラインで再現するには、テクノロジーパートナーの活用が不可欠
    • 戦略的なエージェンシーパートナーを持つことで、ビジネスのコマース体験を確立し、最適化することができる

    パーソナルオーダースーツなどの受注販売を行うECサイトでは数百万通りの組み合わせのカスタマイズを可能にし、注文・在庫管理システム、カートから配送プラットフォームへの接続までを「Magento」で実現。現在は米国、日本、中国をつなぐグローバルなシステム・アーキテクチャとして機能しているという。

    それぞれの市場での文化の違いや国民性を配慮したローカライズを重視している。たとえば、中国でのWeChatのためのフロント構築、UI、言語への対応などだ。それぞれの市場に対応しながらもデータを共有するためにはデータ管理に強力なガバナンスが必要となる。(BJ McCahill氏)

    オンワードUSAのBJ McCahill副社長
    オンワードUSAのBJ McCahill副社長

    今後はカスタムジュエリーやカスタムフットウェア、カジュアルなど展開していき、ボディスキャンのサービスも視野に入れているという。そうした将来構想の中で、データ分析、AIなどのテクノロジーの相乗効果が戦略的に重要になると語った。

    薬局チェーン「ライト・エイド」のオムニチャネル戦略

    米国の薬局・小売チェーン会社「ライト・エイド」(Rite Aid )は、小売ドラッグストアチェーンを19の州で運営し約2500の小売薬局を展開。医薬品、ジェネリック処方薬、その他の多様な薬局サービスのほか、健康および美容補助器具、パーソナルケア製品など実店舗とオンラインの両面で販売している。

    ライト・エイドは「RxEvolution」と呼ばれる大規模な戦略改革を進めてきた。薬剤師を医療提供者や医療計画と一緒に活動させ、患者や会員の健康維持やケアチームとの連携を支援するというものだ。

    「RxEvolution」では、伝統的な健康法と先端医療の融合に重点をおき、薬剤師の持つ知識や経験をデジタルでも生かすためにアドビを活用している。(Joseph Tertel氏)

    Joseph Tertel, Director, Digital Marketing, Rite Aid
    Joseph Tertel, Director, Digital Marketing, Rite Aid

    ライト・エイドの取り組みの中での事例として、顧客セグメントの例が紹介された。以前は、65歳のインドア派といった中高年女性が薬品を購入するターゲット顧客だったが、新たに25歳から54歳までの若い女性層を中核的なセグメントとして設定した。

    両親の世話をはじめ、夫や子供、ペットなども含めた「ケアをする人」をセグメントターゲットに設定したのだ。Adobe IDとライト・エイドのロイヤルティプログラムの会員を結びつけるそうしたターゲットユーザーを発掘。オンライン上の行動を分析し、パーソナライズされたジャーニーとして設定したという。

    また新ブランドのキャンペーンではSNSなどを活用し、ファネルの認知段階を重点とし、行動分析、実店舗の売上高や来店者数への影響を測定。最近の取り組みでは、顧客のCOVID-19のワクチンの接種のスケジュール、予約状況、2回目以上の接種の状況なども把握し、コミュニケーション戦略に取り入れているという。

    パンデミックの中、美容スタッフの強化に取り組んだSalonCentric

    米国フロリダ州に本社を置き、48州で美容サロン事業を展開するサロンセントリック(SalonCentric)は、全米に広がる271店舗の地元密着型のネットワーク「State|RDA」を持ち、サロンやスパ業界のライセンスを持つプロフェッショナルにフルサービスの流通を提供している。

    フランスの化粧品メーカーであるロレアルなど米国の有力代理店であり、プロ向けの美容サロン製品のディストリビューターでもある。

    Covid-19のパンデミック期間中は、閉鎖に追い込まれた美容サロンの美容関係者やスタイリスト、セールスコンサルタントの知見をEコマースサイトに生かし成果をあげた。サロンに関係するプロフェッショナルのためのオンライン講習、資格取得のための教育研修、イベントをオンライン上で展開したのだ。

    スタッフはiPadで顧客のアカウントにアクセスし、顧客の注文状況を把握。顧客のジャーニーを知ることで、ショッピングカートからの脱落の原因を把握し、購入にいたるプロセスの改善を続けてきた。ロイヤリティ会員のポイントプログラムと実店舗の顧客を結びつけ、事業規模を成長させている。(Gabby Helms氏)

    Gabby Helms, Director, Digital Marketing & eCommerce, SalonCentric
    Gabby Helms, Director, Digital Marketing & eCommerce, SalonCentric
    八田 康浩
    八田 康浩
    確認済み
    10 分 52 秒 ago
    ネットショップ担当者フォーラム フィード を購読

    人気記事トップ10

    人気記事ランキングをもっと見る