ネットショップ担当者フォーラム

越境ECで売上560億円のビィ・フォアードがECサイト内にバナー広告掲載のサービス

4 years 5ヶ月 ago

中古車やオートパーツなどの越境ECを運営するビィ・フォアードは6月21日、月間6000万PV以上の自社越境ECサイト「beforward.jp」に、海外進出を検討している企業のサイトやサービス紹介のバナーを掲載できるバナー広告サービスを始めた。

新しくローンチするサービスは「beforward.jp」内にある国別ランディングページ(LP)に、バナー広告が掲載できるサービス。

国別・地域別のLPは合計78か国。そのうちアフリカ地域は24か国あり、バナー広告を掲載するページが細かく選べるので、対象国の消費者、ターゲット層に対して、効率的にリーチできる。

中古車やオートパーツなどの越境ECを運営するビィ・フォアードは、月間6000万PV以上の自社越境ECサイト「beforward.jp」に、海外進出を検討している企業のサイトやサービス紹介のバナーを掲載できるバナー広告サービスを開始
LPでの掲載イメージ(画像はビィ・フォワードのHPからキャプチャ)

サイトやサービスの認知度向上、効率的にリードを獲得したい企業の要望やサービスの特徴をヒアリングした後、最適なバナー広告プランを提案する。

国別LPの合計ユニークユーザー(UU)数は月間約6万人。今までリーチできなかった顧客にも、高確率で認知してもらうことができるとしている。

海外の広告会社と契約することなく、アフリカ地域などのユーザーにリーチすることが可能。ビィ・フォアードが日本語での対応、問い合わせにも時差なく迅速に対応するという。

ビィ・フォワードは中古車やオートパーツ、家電などを海外向けに販売するECサイト「BEFORWARD.JP」を運営。2020年6月期における売上高は前期比17%減の561億392万円。

世界200以上の国・地域と取引があり、特にアフリカ地域に強い。アフリカ地域の顧客リストは200万件超。38の言語に対応し、「BEFORWARD.JP」の月間PV数は6000万を超える。

中古車やオートパーツなどの越境ECを運営するビィ・フォアードは、月間6000万PV以上の自社越境ECサイト「beforward.jp」に、海外進出を検討している企業のサイトやサービス紹介のバナーを掲載できるバナー広告サービスを開始
国別・地域別LPの対象(画像はビィ・フォワードのHPからキャプチャ)

 

石居 岳
石居 岳

“きざみ昆布”が中国で爆売れ? 竹内まりやのレコードが台湾で売れる? 越境ECのいまを探る【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

4 years 5ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年6月14日〜20日のニュース
ネッ担まとめ

越境ECは売ろうと思っても売れるとは限りませんが、売ろうとしないでいると売れてしまうこともあるようです。どこにニーズがあるのかわかりませんので、手軽に始めてみるのも良いかもしれません。

とりあえず始めてみると意外な結果が出るかも!?

ビジネス特集 意外なものが海外で大人気!“越境EC”のなぜ | NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210615/k10013085411000.html

まとめると、

  • 越境サイトを運営している企業の四半期ごとの出荷額の推移では、2021年の1月から3月は2019年の同時期に比べて2倍近くに増え、総額は77億円にのぼっている。ある種の“日本ロス”によって新たな消費が生まれていると考えられる
  • 1970年代から80年代にかけて流行った日本のシティ・ポップのアルバムが売れている。韓国のDJがブームの火付け役
  • 鳥取県境港市は観光協会が中心となって越境ECを開始。「きざみ昆布」が爆売れしているが理由は謎。中国は日本酒ブームなのでスパークリング日本酒も売っていく考え

ただ売るだけではなく、その国ではどのような通販サイトが使われているのか、どんなSNSが主流なのかなど、リサーチが必要です。簡単ではありませんが、チャンスはあると思います
─大和総研 コンサルタント 五十嵐陽一氏

シティ・ポップが売れている、きざみ昆布が売れているなど、初めて知ることが多い記事です。引用文にあるようにリサーチは重要だと思いますが、よくわからないけど売れているから海外向けにECを始めるとか、やってみたら売れてしまったということもありそうです。翻訳などをしなくても越境ECを始めることができる時代なので、まずはチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

関連記事
  • 大企業だけじゃない! コロナ禍の今、中小企業や地方企業こそ越境ECを活用すべき理由 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/8453

2021年下期は「Shop Pay」の動きを要チェック

Shop Payの外部化がもたらす意味について 決済とプラットフォームビジネスの要諦 | REWIRED
https://rewired.cloud/2021/06/17/shop-pay-as-checkout-platform/

Shop PayがShopifyショップでなくても利用可能に Facebook・インスタ・Googleに対応へ まずはアメリカから|ECのミカタ
https://ecnomikata.com/ecnews/30775/

まとめると、

  • Shopifyは、自社のチェックアウトシステム「Shop Pay」をFacebook(Instagram)とGoogle を通じて販売するすべてのマーチャントに開放すると発表した
  • これまではShopifyマーチャントである必要があったが、今後は他のショッピングプラットフォームの利用者であっても、InstagramやGoogleを経由した取引でShop Payが利用可能
  • Shopifyプラットフォーム内のShop Payでのチェックアウト(決済)は、通常のチェックアウトより70%速く、コンバージョン率が1.72倍高くなるとのデータもある

2021年の夏から秋にかけてFacebookとInstagramで、2021年末にはGoogleに対応するとしている。これが予定通り実現すれば、今年中に主だったSNSやWebプラットフォーム上で、Shop PayがShopifyのオンラインストアを使用していなくても販売者が利用可能になることになり、そのショップ数は100万に上るという。

Facebook・InstagramとGoogleに対応するとなれば導入せざるを得ない状況のShop Pay。Shopifyを使っていなくても、Shop Payは使えるとのこと。アメリカでは今年の夏から秋に導入ということなのでもうすぐですよね。年内にはGoogleにも対応。

日本では決済の陣取り合戦が落ち着いてきたものの、世界で見ればこれから激しく動き出すタイミングなので、動向を見極めていつでも導入できるだけ準備だけしておきましょう。

ECサイトには文章を書ける人とSNS運用が得意な人が必要

百貨店の果物店からEC店長へ オンラインで接客を行うフルーツギフトEC「蝶結び」杉下さんの想いとは | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/9195

まとめると、

  • EC運営未経験でフルーツギフト専門EC「蝶結び」を立ち上げた杉下さんは、ECではテキスト表現が重要と考え、ライティングやブランディング、SNS活用ができるフリーランスを探した
  • ECサイトはShopifyで構築。モダンなデザインが多く、ビジュアルを活かした訴求がしやすい点も決め手の1つだった
  • 実店舗での販売経験もあったのでカタログ通販ではなく接客をして販売をしたかった。そのため、チャットでの手厚い接客を心がけている

私ひとりで経営していて小回りが効くからこそ、そのメリットを活かして変えるべき点はすぐに変えていくことが重要だと感じています。お客様とチャット接客で直に触れ合う中でありがたいお言葉をいただくことも多く、日々の達成感は大きなものですがまだまだ手探りな状況であることも事実です。起業当初から意識している『オンラインだけどオフラインのような接客販売』は継続しつつ、蝶結びのサービスをよりよいものにするため今後もさまざまな挑戦を続けていきます

「蝶結び」の接客画面
「蝶結び」の接客画面

ECサイトを立ち上げようとすると、まずデザインから考える人が多い中、杉下さんはテキスト表現にこだわっていました。私もここは同感でして、良い文章があれば良いコンテンツを作ることができるので、バナーにも動画にもいろいろと応用が利きます。また、SNSの運用者は育成しづらいので、できる人を見つけるというのも正解だと思います。

画像にもあるようにチャットのバナーもひと工夫されていますので、こういったことが接客を重視しているということなんでしょうね。

EC全般

ネットフリックス通販参入が、「日本のコンテンツ産業衰退」を早めるワケ:スピン経済の歩き方 | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2106/15/news045.html

GAFAというかプラットフォーマーがECにどんどん入ってくると苦しくなる業界が増えてきそうです。

高齢者のEC利用が増加、「ネットで情報収集&ショッピングをする」は31% | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8808

60代のネット利用率は9割越え。もう誰もが使えるものになってきましたね。

Shopify初!日本語で使える「定期購買」アプリで今すぐサブスクを始めよう! ? | コマースメディア
https://commerce-media.info/blogs/ec/huckleberry-subscription

これを待ち望んでいた人も多いのでは?

無料ではじめられるPOSレジ | STORESレジ
https://stores.jp/regi

店舗を持ちつつECもやりたい人はこういった仕組みが標準になりそうな。

複数のEC-CUBE 3.0系用プラグインにおけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性に関する注意喚起 | JPCERT
https://www.jpcert.or.jp/at/2021/at210028.html

3.0系を使っている人は少ないと思いますが、使っている場合は対応を。

【速報】「楽天市場」、出店プラン変更時の「送料込みライン」原則導入を延期 周知期間設け、7月1日申請分から適用 | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/3953

買う側も3980円に慣れてきたので、導入せざるを得ないでしょうか。

アフィリエイト広告規制はどうなる? 執行例などにみる表示責任の議論と解釈&消費者庁に聞く検討会立ち上げの目的 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8798

架空の顔で「お客様の声」「大満足」…AIで生成、90サイトで宣伝に悪用[虚実のはざま]第3部 粉飾のカラクリ<1> | 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210613-OYT1T50073/

「だましても売る」、ウソの体験談「アフィリエイト」で続々[虚実のはざま]第3部 粉飾のカラクリ<2> | 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210615-OYT1T50051/

アフィリエイト関連はどんどん規制がきつくなることが想定されますね。

今週の名言

目立たないプロモーションで売上が上がると、競合が生まれないので永続的に成長できる。目指すべきはココだ
─北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下勝寿氏

「東証一部上場企業社長」兼「現役WEBマーケッター」が「プロモーションは目立たないほうがいい」と断言する理由 | ダイヤモンド・オンライン
https://diamond.jp/articles/-/273239

規模とシェアの拡大を目指していない限りは目立たないことをおすすめします。目立ってしまうと売れてきたところで資本力のある企業が参入してきますので。

森野 誠之
森野 誠之

「Magento」から「Adobe Commerce」へ。アドビが取り組むコマース事業の最新情報&Cookieレス対応&事業者事例

4 years 5ヶ月 ago
アドビはライセンス版「Magento Commerce」を「Adobe Commerce」に統合した。「Adobe Commerce」などが属するサービス群「Adobe Experience Cloud」のアップデートなどの最新情報をまとめた

アドビが「Magento Commerce」を買収したのは2018年。それから3年後の2021年。アドビは「Adobe Commerce Cloud」とライセンス版「Magento Commerce」のコマースブランドを「Adobe Commerce」に統合した。アドビは今後、どのような戦略でコマース事業を展開するのか。2021年4月に行われた「Adobe Summit 2021」から、今後の取り組み、顧客事例を見ていく。

デジタル基盤「Adobe Experience Platform」で稼働する「Adobe Commerce」

オンラインイベント「Adobe Summit 2021」の基調講演で語られたのは、「Adobe Commerce」などが属するサービス群「Adobe Experience Cloud」のアップデート。

「Adobe Commerce」などが語られた「Adobe Summit 2021」
「Adobe Commerce」などが語られた「Adobe Summit 2021」

「Adobe Experience Cloud」に属するアプリケーション製品を「Content & Commerce」「Data Insights & Audiences」「Customer Journey」「Marketing Workflow」の4カテゴリーとして再定義。各アプリケーション製品がデジタル基盤「Adobe Experience Platform」で稼働するものとして設計した。

「Adobe Experience Cloud」について
共通プラットフォームである「Adobe Experience Platform」上で、「Content & Commerce」「Data Insights & Audiences」「Customer Journey」「Marketing Workflow」といった各製品群が稼働する

アドビといえば、クリエイティブやデザインツールから出発し、ここ数年はMarketoなどのBtoBマーケティング、データアナリティクスやAIにも注力し、エンタープライズ領域を拡大。アドビの強みである、ユーザーエクスペリエンスやクリエイティブは、BtoBのマーケティングやEC事業との親和性が高い。

Experienceは文字通り「経験/体験」で、デジタル産業の中で語られる顧客中心とは、「顧客データ」を起点にすると捉えられる。そういった意味では、アドビが展開しているマーケティング、データアナリティクス、ECなどの領域は、「Customer Experience」という価値を増大させるという目的に集約される。今回のアプリケーション製品が「Adobe Experience Platform」という共通プラットフォームで稼働するものとしての再定義は大きな転換と言える。

「Adobe Commerce」のアップデートとは

存在感を増した事業領域が、アドビが「デジタルコマース」と位置づけている「Adobe Commerce」だ。「Adobe Summit 2021」ではB2B領域へのレコメンデーション機能の搭載、検索機能の強化など、Eコマース体験を拡充するアップデートを発表した。

「Adobe Commerce」に搭載されている「Product Recommendation」についてアドビは、2021年中にB2Bの購買シナリオにも商品レコメンデーションを設定できるようにする。

「Product Recommendation」はアドビが開発した人工知能(AI)「Adobe Sensei」を活用したレコメンデーション機能で、消費者データやインサイトを活用し関連性が高くパーソナライズされた顧客体験をリアルタイムに実現できるようにするもの。「Product Recommendation」を導入したECサイトでは、顧客はこれまでにない新しい方法で製品を発見できるようになったという。

そして、新たに追加された検索機能の「Live Search」は、マーチャントのサイト上で非常に関連性が高い検索結果を迅速に表示する機能。検索ワードの入力中から検索結果を表示し始め、顧客ごとにパーソナライズした検索結果を素早く表示する。AIによる継続的な学習・分析によって、検索表示の精度は利用時間が経過するほど高くなる。

AIを活用した顧客の行動分析に基づき、入力中の検索ワードから迅速に検索結果を表示する
AIを活用した顧客の行動分析に基づき、入力中の検索ワードから迅速に検索結果を表示する

さらに、米国ではFedExとの新たな取り組みにより、「Adobe Commerce」のマーチャントは、自社のストアフロントをFedExの「ShopRunner」(年会費を払うと参加店舗の商品を送料無料などで配送するサービス。FecExが2020年に買収した)と統合させることが可能になる。2日以内の無料配送、シームレスなチェックアウト、簡単な返品プロセス、FedExの購入後のロジスティクスインテリジェンスへのアクセスといった数々の顧客メリットを提供できるようになるという。

Rajesh Subramaniam President, COO, FedEx
Rajesh Subramaniam President, COO, FedEx

Cookieレス次代に向けたアドビの対応

今回の「Adobe Summit」で注目したいのが、EC業界も含むマーケターが直面している「Cookieレス」への対応だ。

欧州のGDPR、米カリフォルニア州のCCPAといったプライバシー規制強化の流れの影響は大きい。Googleはトラッキング用サードパーティCookieのサポートを打ち切る計画を発表、Appleは端末識別のためのIDFAのポリシーを変更し、iOS14.5以降でユーザーの個人情報の取得とトラッキングへのユーザーの同意を義務付けた。

アドビもこうしたサードパーティデータの制限の流れにいち早く対応し、ファーストパーティー指向を打ち出している。リアルタイム顧客データプラットフォーム「Adobe Real-Time Customer Data Platform」(Real-Time CDP)や、他社のファーストパーティーデータを用いて自社のファーストパーティーデータを拡充することがでる「セグメントマッチ」、既知の顧客と似た属性を持つ顧客を特定し、その顧客グループに追加することができる「類似(look-alike)セグメント」を追加。

アドビは「Real-Time CDP」をハブとして企業のファーストパーティーデータ資産を一元的に管理することで、パーソナライズなど一貫した顧客体験提供していく戦略を掲げる。CDP製品は、今回の「Adobe Experience Platform」の中でも需要な位置付けになるという。

オンワードUSAなどのEC事例

「Adobe Summit 2021」では「Magento」時代からECプラットフォームを利用している企業の事例が紹介された。いくつかのセッションを取りあげる。

日本発グローバル展開のオンワードUSAの「アパレルDX」

「オンワード樫山」などのオンワードグループのオンワードUSA。2018年からアメリカ市場への展開を開始し、現在はニューヨーク、ボストン、フィラデルフィア、ワシントンDC、ダラスに拠点を置く。米国でCOVID-19による全国の店舗が閉鎖に伴いオンラインを強化。オンワードUSAのBJ McCahill副社長は、デジタルコマース戦略の成功要因を通じて以下のように整理した。

  • ブランド価値の拡大には、拡張性、柔軟性、堅牢性に優れたプラットフォームが鍵となる
  • 実店舗での体験をオンラインで再現するには、テクノロジーパートナーの活用が不可欠
  • 戦略的なエージェンシーパートナーを持つことで、ビジネスのコマース体験を確立し、最適化することができる

パーソナルオーダースーツなどの受注販売を行うECサイトでは数百万通りの組み合わせのカスタマイズを可能にし、注文・在庫管理システム、カートから配送プラットフォームへの接続までを「Magento」で実現。現在は米国、日本、中国をつなぐグローバルなシステム・アーキテクチャとして機能しているという。

それぞれの市場での文化の違いや国民性を配慮したローカライズを重視している。たとえば、中国でのWeChatのためのフロント構築、UI、言語への対応などだ。それぞれの市場に対応しながらもデータを共有するためにはデータ管理に強力なガバナンスが必要となる。(BJ McCahill氏)

オンワードUSAのBJ McCahill副社長
オンワードUSAのBJ McCahill副社長

今後はカスタムジュエリーやカスタムフットウェア、カジュアルなど展開していき、ボディスキャンのサービスも視野に入れているという。そうした将来構想の中で、データ分析、AIなどのテクノロジーの相乗効果が戦略的に重要になると語った。

薬局チェーン「ライト・エイド」のオムニチャネル戦略

米国の薬局・小売チェーン会社「ライト・エイド」(Rite Aid )は、小売ドラッグストアチェーンを19の州で運営し約2500の小売薬局を展開。医薬品、ジェネリック処方薬、その他の多様な薬局サービスのほか、健康および美容補助器具、パーソナルケア製品など実店舗とオンラインの両面で販売している。

ライト・エイドは「RxEvolution」と呼ばれる大規模な戦略改革を進めてきた。薬剤師を医療提供者や医療計画と一緒に活動させ、患者や会員の健康維持やケアチームとの連携を支援するというものだ。

「RxEvolution」では、伝統的な健康法と先端医療の融合に重点をおき、薬剤師の持つ知識や経験をデジタルでも生かすためにアドビを活用している。(Joseph Tertel氏)

Joseph Tertel, Director, Digital Marketing, Rite Aid
Joseph Tertel, Director, Digital Marketing, Rite Aid

ライト・エイドの取り組みの中での事例として、顧客セグメントの例が紹介された。以前は、65歳のインドア派といった中高年女性が薬品を購入するターゲット顧客だったが、新たに25歳から54歳までの若い女性層を中核的なセグメントとして設定した。

両親の世話をはじめ、夫や子供、ペットなども含めた「ケアをする人」をセグメントターゲットに設定したのだ。Adobe IDとライト・エイドのロイヤルティプログラムの会員を結びつけるそうしたターゲットユーザーを発掘。オンライン上の行動を分析し、パーソナライズされたジャーニーとして設定したという。

また新ブランドのキャンペーンではSNSなどを活用し、ファネルの認知段階を重点とし、行動分析、実店舗の売上高や来店者数への影響を測定。最近の取り組みでは、顧客のCOVID-19のワクチンの接種のスケジュール、予約状況、2回目以上の接種の状況なども把握し、コミュニケーション戦略に取り入れているという。

パンデミックの中、美容スタッフの強化に取り組んだSalonCentric

米国フロリダ州に本社を置き、48州で美容サロン事業を展開するサロンセントリック(SalonCentric)は、全米に広がる271店舗の地元密着型のネットワーク「State|RDA」を持ち、サロンやスパ業界のライセンスを持つプロフェッショナルにフルサービスの流通を提供している。

フランスの化粧品メーカーであるロレアルなど米国の有力代理店であり、プロ向けの美容サロン製品のディストリビューターでもある。

Covid-19のパンデミック期間中は、閉鎖に追い込まれた美容サロンの美容関係者やスタイリスト、セールスコンサルタントの知見をEコマースサイトに生かし成果をあげた。サロンに関係するプロフェッショナルのためのオンライン講習、資格取得のための教育研修、イベントをオンライン上で展開したのだ。

スタッフはiPadで顧客のアカウントにアクセスし、顧客の注文状況を把握。顧客のジャーニーを知ることで、ショッピングカートからの脱落の原因を把握し、購入にいたるプロセスの改善を続けてきた。ロイヤリティ会員のポイントプログラムと実店舗の顧客を結びつけ、事業規模を成長させている。(Gabby Helms氏)

Gabby Helms, Director, Digital Marketing & eCommerce, SalonCentric
Gabby Helms, Director, Digital Marketing & eCommerce, SalonCentric
八田 康浩
八田 康浩

「雇用調整助成金」特例措置を8月まで延長する方針、厚生労働省が発表

4 years 5ヶ月 ago

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが減少した事業者が休業手当を支給して従業員を休ませた場合、解雇などを行っていない中小企業の従業員の休業および教育訓練に対する助成率9/10、大企業は3/4、1日1人あたりの上限助成額は1万3500円とする現行の「雇用調整助成金」特例措置について、厚生労働省は8月末まで延長する方針を発表した。

沖縄県での「緊急事態措置」の期間延長、東京都・愛知県・大阪府などの都道府県は「まん延防止等重点措置」へ移行されたことを踏まえ、延長の方針を固めた。

「雇用調整助成金」特例措置 8月まで延長
「雇用調整助成金」特例措置について

厚労省は5-7月の「雇用調整助成金」特例措置について、特に業況が厳しい事業者などに対して特例を設け、原則的な措置の水準は一定程度抑えて運用している。

緊急事態宣言の延長などを踏まえ、8月も5-7月の助成内容を継続。9月以降の助成内容は、雇用情勢を踏まえながら検討、7月中に公表するとしている。

8月まで延長する方針の「雇用調整助成金」特例措置の内容

原則的な措置

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが減少した事業者が休業手当を支給して従業員を休ませた場合、解雇などを行っていない中小企業の従業員の休業および教育訓練に対する助成率9/10、大企業は3/4、1日1人あたりの上限助成額は1万3500円。

解雇などを行っている中小企業の従業員の休業および教育訓練に対する助成率は4/5、大企業は2/3。1日1人あたりの上限助成額は1万3500円。

地域特例、業況特例

地域特例は、「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」の対象地域で、知事による基本的対処方針に沿った要請に基づき、営業時間の短縮といったことに協力する企業などが対象。

業況特例の対象は、生産指標(売り上げなど)が直近3か月の月平均と前年または前々年の同期と比べ3割以上減少した全国の企業。

対象となる企業などには、大企業への助成率は4/5で解雇せず雇用を維持した場合は10/10、中小企業の助成率は4/5で解雇せず雇用を維持した場合は10/10。1人1日あたりの助成額の上限は1万5000円。

瀧川 正実
瀧川 正実

今さら聞けないCRM(顧客関係管理)入門。ツール導入までのステップは? オフラインとのID統合はどう実現する? | デジタルコマース注目TOPIX presented by 電通デジタル

4 years 5ヶ月 ago
消費者の共感を呼ぶ商品やサービスを生み出し選び続けてもらうためには、顧客との接点において関係性を維持させていくCRM施策が不可欠(連載4回)

「Cookie規制」などにより、個々のユーザー情報を取得しにくい状況になっています。ECサイトではPV(ページビュー)やUU(ユニークユーザー)といったアクセス情報だけに頼らず、いかに精度の高い顧客情報を取得し、マーケティングに活用できるかが重要な時代になってきています。そのために必要なのが「CRM」(顧客関係管理)です。

ECにおけるCRMについて、その重要性とツール導入までのステップ、CRMの成否を分けるオフラインとのID統合のポイントなどについてお伝えします。

CRMとは何か

「CRM」とは「Customer Relationship Management」の略で、顧客との関係性の構築を通して売り上げを向上させる手段を指します。顧客を適切に識別し、識別した顧客との「顧客リレーションの構築」を行うことで顧客生涯価値(LTV)を高めるために行われる、経営における選択と集中のマネジメントです(図1)。

図1 CRM戦略の概要図
図1 CRM戦略の概要図

CRMでは顧客が商品を認知し購入に至るまでの過程を把握した上で、顧客1人ひとりに最適な提案をすることで、顧客と店舗(ECまたは実店舗)の双方にとってストレスとなる無駄なアプローチを減らし、売り上げの向上につなげていきます。つまり、収集・分析した顧客データを基にアプローチを実施し、中長期的に顧客との関係を維持することで、企業全体のマーケティング活動に影響を与える仕組みと言えます。

なぜCRMが必要なのか

「トライアル購入のお客さまに本商品を購入してもらう」「定期的購入を申し込んでもらう」といった通販に必要なCRM以外にも、見込み客との継続的な接点構築やブランドやサービス、商品の啓蒙や深い理解、共感を醸成するための接点作りなど、CRMの役割は拡大しています

現在は「商品やサービスの価値観や世界観に共感できるかどうか」が購買行動の起点として浸透してきていますが、ECでは価格競争以外で他社との差別化が図りにくい現状があります。このような時代において、価値観や世界観に共感できる商品やサービスを生み出し、選び続けてもらうためには、SNSなどを含めた多様な顧客との接点において顧客を正確に理解し、関係性を維持させていくCRM施策が必要不可欠です。

企業は商品を販売するだけに留まらず、その後も顧客の心を捉え続け、継続的に利用してもらえるようなサービスとセットでマーケティングを考えなくてはならないのです。

CRMツール導入までのステップ

CRMを実行するにはCRMツールを利用します。ここではCRMツールを導入するまでの一般的なステップをご紹介します(図2)。

図2 CRMツール導入までのステップ
図2 CRMツール導入までのステップ

STEP 1

まず現状の分析が必要です。自分たちにはどのような顧客がいるのかを、購買データやカスタマージャーニーマップなどのフレームワークを通じて洗い出します。

STEP 2

次に目標を定めます。「理想とするユーザー行動はどのようなものか」「今回の施策で何を実現させたいか」など、目的を明確にします。

STEP 3

CRMに欠かせないのが「シナリオ」です。STEP 1の現状分析で抽出したターゲットに対し「いつ、どのタイミングで」「何を、どんなコンテンツを」「どのように」伝えるのか、といったアプローチ方法を設計します(図3)。シナリオは1つではなく、STEP 2で設定した目標ごとにそれぞれ作成します。

図3 データ分析を元にしたシナリオ設計
図3 データ分析を元にしたシナリオ設計

STEP 4

必要なシステムが搭載されているCRMツールを選定します。システムや顧客データの管理者だけでなく、今後CRMツールから得られるデータを活用・定着させるために現場の責任者とも認識を共有させていきます。

STEP 5

CRMツール導入後は、顧客行動の仮説と成果を定期的に分析し、次の施策に生かせるよう、PDCAを回していきます。

ID統合の重要性

CRM施策において成功の鍵となるのが、顧客IDを統合させること、そしてオンラインとオフラインを連携させることです。「顧客」と一言でいっても、新規顧客(見込み客)と既存顧客とではそれぞれアプローチが異なります。たとえば、見込み客には購入の後押しをするクーポンや検討している商品の情報を伝え、既存顧客には購入商品のアフターサービスを案内するといったことなどが考えられます。

顧客との接点であるECサイトと実店舗のデータが連携されていない状況では、優良顧客として扱うべき顧客に新規顧客向けの施策を実施してしまったり、過去の見込み客に対してすでに興味のない商品案内を送り続けてしまったりといったミスが生じる可能性があります。不要な情報をタイミング悪く提供することは、商品やサービスへの不信感や嫌悪感につながりかねません

こうした事態を避けるためにも、Webサイトであれば自社ECやモール型ECの顧客データ、実店舗であれば会員カードを利用したPOSデータや会員向けアプリのIDデータなどをもとに、どの接点においても顧客を同一人物だと認識できるように顧客IDを統合させる必要があります。

顧客IDを統一することにより、顧客が一番欲している商品やサービスの情報を、一番欲しいタイミングで、一番都合の良いチャネルで提供することができ、結果としてコンバージョン率の向上だけでなく、施策の無駄打ちを避けられるため、コスト削減も可能です。

オンラインとオフラインの統合のポイント

しかし、デジタル領域における顧客IDの統合が比較的容易な一方で、それをオフラインの店舗やイベントに来訪している顧客と同一人物と認識することは困難な場合があります。

そのため、たとえば「Webで会員登録をした上で実店舗への来店予約をしてもらう」「実店舗で使えるクーポンをECサイトの会員向けに案内する」「実店舗で会員登録の上、専用アプリでアンケート回答してもらい、ECサイトで使えるクーポンを案内する」というような、オンラインとオフラインのデータを統合させるための施策を盛り込んでおくことが重要です。

スマートフォンアプリの開発も有効です。スマートフォンを起点とした会員とのコミュニケーショを通じて、実店舗とのID統合はもちろん、プッシュ通知や位置情報を活用したレコメンドも実施可能になるため、例えば最近利用のないユーザーに新商品を案内したり、リピートユーザー向けによく利用する店舗限定のクーポンやタイムセール情報を配信したりと、閲覧履歴や購買傾向、クーポン取得情報を元にした施策も可能になります

Webサイトだけでは把握しきれないデータをスマートフォンアプリから取得し活用することによって、利用者にとって価値のあるデジタル上の“接客”を実現できるのです。

こうしたオンラインとオフラインのデータ統合は、実店舗における接客やコミュニケーションへの活用も期待できます。蓄積されたデータをもとに店舗スタッフが年代や属性別を把握できるほか、顧客を特定可能なため、顧客の好みや価値観を理解し、1人ひとりに寄り添った提案が可能になります。

◇◇◇

顧客をより理解し、商品やサービスを継続的に利用してもらうためには、顧客IDデータを統合し、1人ひとりに寄り添った顧客視点の戦略や施策を実行することが必要です。さらにはECサイトと実店舗、オンラインとオフラインの境界を越えた顧客体験設計も欠かせません。ユーザーとのより良い関係を構築することで、ブランドや商品、サービスが長く愛されるように育成していくこと、それこそがCRMの目的なのです。

髙木 真樹
髙木 真樹

コロナ禍で最も利用されているECモールは楽天市場。アマゾン、楽天、ヤフーの利用者属性はどうなった?【ニールセン調査】

4 years 5ヶ月 ago

ニールセン デジタルは6月15日、ニールセン デジタルコンテンツ視聴率の月次レポートをもとに、ECサービス利用状況を発表した。

月次レポートの対象は、「Amazon」「楽天市場」、ヤフーのショッピングといった3大ECモール。

2021年4月の月次レポートについて、利用者数が多い大手ECモールのターゲットGRP(TARP、世帯を対象にした延べ視聴率)を性年代別で見ると、「楽天市場」(Rakuten Ichiba Shopping)がどの性年代別でも他のモールを上回った。

女性35~49歳のTARPは最も高く6040%。男性でも他のモールを上回り、50歳以上ではのTARPは3527%、35-49歳は3387%だった。

ニールセン デジタルは6月15日、ニールセン デジタルコンテンツ視聴率の月次レポートをもとに、ECサービス利用状況を発表
性年代別のターゲットGRP

PCとモバイルの重複を除いたトータルデジタルで最も視聴者数(18歳以上)が多かったのは「楽天市場」。5370万人が月に平均66回利用(閲覧のみの利用も含む)し、(世帯を対象にした延べ視聴率)は3282%だった。

次いで、Amazonの視聴者数が5120万人で、平均利用回数が35回、GRPは1675%。

ニールセン デジタルは6月15日、ニールセン デジタルコンテンツ視聴率の月次レポートをもとに、ECサービス利用状況を発表
視聴者数(18歳以上)

視聴者数のリーチ(定期間内にどれだけの人が閲覧したかを示す割合)を性年代別に見ると、女性ではどの年代でも「楽天市場」が最も高い。男性の18~34歳では「Amazon」のリーチが高く、67%となっている。

ニールセン デジタルは6月15日、ニールセン デジタルコンテンツ視聴率の月次レポートをもとに、ECサービス利用状況を発表
視聴者数のリーチ

2020年以来、長期化する新型コロナウイルスの影響でECモールの流通総額は拡大している。消費者のマルチスクリーンの利用動向調査「ニールセン デジタル・コンシューマー・データベース2020 (Nielsen Digital Consumer Database 2020)」によると、オンラインショッピングのサービスは、商品を買う場所だけではなく、商品の認知獲得や購入にあたっての検討場所としての役割も増したと分析している。

今後、ECモールをメディアとして活用して広告を出稿、そこで消費者とコミュニケーションを取るブランドが増えていくことも考えられるとまとめている。

石居 岳
石居 岳

EC運営に本腰を入れる!と決めたら実践したい「6つのポイント」を学べる無料ウェビナー【7/9開催】

4 years 5ヶ月 ago

「事業の1つの柱にするため、EC運営に本腰を入れよう」と考えている中小企業必見。EC事業を軌道に乗せるための「6つのポイント」を学べる無料ウェビナーを、7月9日に開催します。

登壇者は、土屋鞄製造所グループ入り以前のドリームフィールズでEC責任者を務めたECマーケティング人財育成の石田麻琴社長と、ティーライフ子会社でLifeit(元桃源郷)の社長を務めたECマーケティング人財育成 シニアコンサルタントの武田和也氏。

【ウェビナー】中小企業必見! EC事業を軌道に乗せるための「6つの準備運動」を学ぶウェビナーはこちら

ECサイト運営を強化したいけれど、どこから手をつけたらいい? 担当者はどうする? KPIは? など、ECに本腰を入れようと決めたら、必ず直面するのがこれらの問題です。

ウェビナーでは、EC運営に本腰を入れると決めたらまずは知っておきたい「6つのポイント」を紹介。登壇者は、著名EC会社で責任者および代表を務めたECマーケティング人財育成(ECMJ)の代表取締役 石田麻琴氏と、シニアコンサルタントの武田和也氏。ECMJが日々行っているコンサル事例を含めて解説します。

<こんな事業者にオススメ>

  • ECに本腰を入れたいと考えている中小企業経営者・責任者・担当者
  • ECサイトを開設したけれど、事業の伸ばし方が分からず放置気味になっている中小企業経営者・責任者・担当者
  • 近いうちにECサイトを開設したいと考えている中小企業経営者・責任者・担当者

<こんなことが学べます>

  • EC運営を事業の中核にするために押さえておきたいポイント
  • EC事業に向いている担当者の選定方法や役割
  • EC事業のKPI設定
  • EC事業で売り上げを伸ばすための心得

詳細とお申込みは以下をご確認ください。

中小企業必見! EC事業を軌道に乗せるための「6つの準備運動」を学ぶウェビナー

  • 日時:2021年7月9日(金)16:00~17:30
  • 参加費:無料
  • 参加申込方法:以下のフォームよりご登録ください。当日の参加URLをメールでお送りいたします。(アンケートのご協力もお願いいたします)
  • YouTubeライブ配信:当日はYouTubeライブ配信も行う予定です。詳細はネットショップ担当者フォーラムのFacebookページよりご確認ください。https://www.facebook.com/netshoptantoushaforum

<登壇者プロフィール>

石田 麻琴氏(株式会社ECマーケティング人財育成 代表取締役)
石田 麻琴氏(株式会社ECマーケティング人財育成 代表取締役)
早稲田大学第一文学部卒業後、ネット通販ベンチャー企業に6年間勤務。マーケティング統括として「Yahoo!ショッピング」月間ベストストア8回受賞。全国第1位獲得。2011年株式会社ECマーケティング人財育成を設立。BPIA常務理事/DX研究会ナビゲータ。JDMCマーケティングシステム活用研究会リーダ。中小機構販路開拓支援アドバイザー。著書「ECMJ流!原理原則」シリーズ。
武田和也氏(株式会社ECマーケティング人財育成 シニアコンサルタント)
武田和也氏(株式会社ECマーケティング人財育成 シニアコンサルタント)
早稲田大学商学部卒業後、カフェ業界で働く。ふとしたきっかけでEC専業社である桃源郷株式会社にアルバイト入社。カスタマーサポート、システム構築、海外直輸入、人事統括、EC事業統括、M&A担当、代表取締役社長まであらゆる役職を経験。多数のEC事業をマネジメントしてきた経験をもとに、EC事業社向けコンサルタントに転身。組織マネジメント・組織改革・EC人材育成、ECワークフロー最適化が現在のメインフィールド。趣味はキャンプと料理。ニックネームは公私ともに「ますたー」。

ご登録いただだきましたメールアドレスに、当日のWebinar用URLをお送りいたします。

公文 紫都

【CasperのDX事例】重いマットレスはもう卒業! いくつもの「手軽さ」が生み出す新習慣 | DX経営図鑑(全8回)

4 years 5ヶ月 ago
アメリカのCasperはミレニアル世代をターゲットにしたマットレスの通販企業。重い、不便といった顧客のペイン(苦痛)を新手法で解消しました。
DX経営図鑑

この記事は、書籍『DX経営図鑑』の一部を特別にオンラインで公開しているものです。

Part 2「業界別に見るDX事例
 》 Category 1「小売
 》 「Casper 『箱に入るベッド』という新しい市場の開拓者」より

Casper(キャスパー)は2014年創業のマットレスをオンライン販売する企業で、いわゆるDtoC企業の先駆者の1つとされます。約3.4億ドルを調達したユニコーン企業(企業としての評価額が10億ドル以上のベンチャー企業)であり、コロナ禍中の2020年2月に、ニューヨーク証券取引所に上場しました。この企業がなぜこれほどに注目を集め、躍進に至ったのかは、アメリカにおけるマットレスの需要と消費形態を理解する必要があります。

消費率の高いアメリカのマットレス

アメリカや西欧諸国は寝具にベッドを使うベッド文化であり、それは言い換えればマットレス文化です。アメリカのマットレス業界は、Simmons、Tempur Sealy、Sertaの3大メーカーによる寡占状態が長く続いており、消費者はこれらを寝具専門の量販店で購入してきました。

アメリカで家を借りたり買ったりすると家具付きの場合が多いのですが、マットレスだけは異なります。知らない他人が使用していたマットレスを使う気にならないのはもちろん、ベッドバグ(南京虫)の心配もあります。また、マットレスは持ち運びにかさばるので、引っ越し時に処分されることも多いのです。つまり、アメリカは日本に比べてマットレスを消費する回数が非常に多く、大きな市場を構成していました。そして、この市場構図は長らく変わりませんでした。

Casperの特徴

Casperはミレニアル世代をターゲットとしたマットレスの通販企業で、スマートフォンで簡単に購入でき、ショールームで試せる利便性をウリにしています。基本的にショールームでは販売していないので、店員が強く売り込んでくることもなく、顧客は快適に商品を試すことができます。

また、Casperのマットレスはスプリング(ばね)がないタイプなので、折りたたみ梱包が可能です。この特徴が人気に火を付けました。というのも、折りたたみ梱包ができれば、配送料が無料または低価格で収まります。引っ越しのときに自家用車に詰め込むこともできます。ミレニアル世代が大学進学や就職などで頻繁に拠点を移すとき、Casperの便利さと商業的プレッシャーの低さは、非常に好感をもたれることになりました。Casperの新たなビジネスモデルは、100年近く変わらなかったマットレス業界を破壊(ディスラプト)したのです。

マットレスDtoCの乱発──本格的な市場のディスラプト

Casperがマットレス業界を変えた理由は、彼らの評価額や売上だけではありません。Casperがこのビジネスを始めた背景には、マットレス製造の市場構造が関連しています。

アメリカのマットレスの約4割は、Carpenter社という1企業によって作られています。先に述べた3大メーカーは基本的に自社開発ですが、生産ラインの一部をCarpenter社に委託しています。Casperも現在は独自生産を行っているものの、当初はCarpenter社やその他のマットレスOEM(Original Equipment Manufacturer)メーカーと組んで商品を製造しながらブランディングとデジタル商流を作り上げました。いわゆるファブレス型製造で、「デジタル決済+配送」で販売するこのモデルは、Bed In Box(箱に収まるベッド)業界と呼ばれるようになり、多くの競合を生み出しました。2020年時点で、アメリカ国内だけでも175社のBed In Box企業があるといわれており、リテールの巨人Walmartも独自のBed In Boxブランド「Allswell」を2018年に発表しています。またTempur Sealyも、オンラインで買えるラインナップの展開を始めました。2019年には約45%の消費者が直近のマットレス購買をオンラインで済ませたという報道もあり、Casper創業からわずか5年で、市場の約半分までがBed In Boxユーザーになったのです。こうして、マットレスにおけるアメリカの商習慣は大きく形を変えました。結果的には競争過多の状態となり、Casperも上場後は苦戦を強いられていますが、Bed In Boxという選択肢を今後も消費者が手放すことはないでしょう。

Casperが取り去るペイン
──手軽な入手と設置、セールスプレッシャーの除去

Bed In Boxの代表格であるCasperが消費者から取り去る最大のペインは、入手と設置の手間です。マットレスを頻繁に消費するアメリカ人は、新しく購入するたびに小売店へ出向き、注文し、配送を待ちます。注文してから配送されるまでに早くても1週間はかかり、配送日には予定を調整して自宅にいる必要があります。それでも、配送員が時間通りに届けてくれるとは限りません。このように、これまでのマットレス業界は寡占市場ゆえのサービスの悪さが目立ち、マットレスを入手することは非常に面倒でした。生活必需品のために、サービスの悪さに目をつむってきたというアメリカ人も多かったようです。

Casperの「手軽さ」

Casperは最速1営業日で、遅くとも1週間以内には配送を完了します。また圧縮梱包なので、1人暮らしでも受け取りや設置が簡単にできます。狭い階段でも担いで登ることができるため、ベッド専門店のスタッフが3人がかりで窓から搬入するといった大掛かりな作業も不要です。

さらなるペインの除去は、引越し先にも持ち運べることです。アメリカ人は平均して一生に10回の引っ越しをするといわれます。引っ越しの際に、家具類はバザーに出したり廃棄したりしますが、それは運送費が高額だったり、引っ越し業者が荷物を丁寧に取り扱わず破損がつきものだからです。こうして、アメリカ人はこれまで、引っ越しのたびに「やむなく」マットレスを捨ててきました。Casperが現れる以前のアメリカでは、マットレスは運ぶよりも買い直すほうがストレスなく、スピーディーに、場合によっては安価に解決できたのです。

自由な吟味と手軽な購入

Casperはスマートフォン1台で手軽に購入できる点も魅力です。アメリカでは、家電や自動車など高単価商材の販売店に赴くと、非常に激しいセールスプレッシャーを受けることがあります。店員の熱心な宣伝トークを聞き流し、購入しない場合には明確に意思を伝えるべく強い心が必要です。

その点Casperは、ショールームはあるものの購買決定はあくまでウェブサイト上で行うため、顧客はショールームでプレッシャーを感じることなく、リラックスして商品を吟味できます。帰途の地下鉄の中から気に入った商品をスマートフォンで購入することもできますし、翌日の仕事の合間にパソコンから注文することも可能です。

Casperがもたらすゲイン
──購買体験の自由とサステナブルな消費への参加

Casperが生み出した新しいマットレスの消費スタイルは、消費者に新しい価値を提供しました。それは、購買体験の自由です。

これまで、マットレスは専門小売店などで選択し、決済し、その店舗スタッフに配送してもらう方法しかありませんでした。しかし、CasperなどBed In Boxの登場によって、オンラインによる選択・決済と、一般配送による受け取りという選択肢が追加されました。今後の消費者は、各自の都合に応じて、マットレスの買い方を使い分けることができます。

選択肢の広がり

Casperの場合は、ショールームで確認した後にスマートフォンで注文し、引越し先に直接配送させることが可能です。引越し先の慣れない街でマットレスを買いに出かけ、配送を待つという時間が短縮できます。もちろん、新婚家庭のように2人で新しいマットレスを選ぶ体験を優先したければ、他社の直営店で店員とのやり取りを楽しみながら購入することもあるでしょう。

しかしCasperを選べば、少なくとも「マットレスを買うための不便さを避ける」という選択肢を手に入れることができます。聞きたい時に聞きたいことを店員に問い、買いたいタイミングで買い、送って欲しい日に送ってもらえるのです。

サステナブルな消費

Casperのモデルは、サステナブルな消費にも直結します。従来、消費者がマットレスを捨てていた理由の多くは、「運んだほうが高いから」でした。しかし、Casperの商品であれば、持ち運びが容易になるので、捨てなくてもいいのです。

大量消費や無意味な廃棄を嫌うミレニアル世代は多く、その商品を買うこと自体が環境保護に繋がっているかを重視します。ミレニアル世代の彼らにとって、Casperは便利なだけでなく、Casperを選ぶことでナンセンスな消費サイクルに参加しないという意思表示ができるのです。

購買体験の自由とサステナブル消費への参加は、Casperに限らず多くのDtoCブランドが立脚しているコンセプトであり、これからの世界の消費市場において一般的な価値観になっていくと考えられます。

  • 著者: 金澤 一央、DX Navigator 編集部
  • 発行: 株式会社アルク
  • ISBN: 978-4757436787
  • 価格: 2,310円(税込)

勝てるDXの本質
~次に生き残るのは、誰か?~

世界の伝統的企業やスタートアップがいち早く取り組んできたDXの数々。各事例をつぶさにレポートしてきた「DX Navigator」編集部の知見をまとめ、事例分析と価値提供のプロセスを可視化した一冊です。

本書は世界全32社のDX事例を収録。いずれも、顧客/ユーザー視点での「ペイン(苦痛)」と「ゲイン(利得)」を切り口に、顧客/ユーザーが最終的に得た「価値」について解き明かします。

Part 1では、従来の商習慣や価値提供の概念を新しい基準に転換させた「ゲームチェンジャー」である9社―Netflix、Walmart、Sephora、Macy’s、Freshippo、NIKE、Tesla、Uber、Starbucks―を取り上げます。

Part 2では、海外のスタートアップを中心に日本企業も加えた23社の事例を、業界別に紹介。多くの顧客/ユーザーから支持を得た、各社のエッジが効いた斬新なアイデアとその背景に鋭く迫ります。

日本の「DXブーム」には問題も潜んでいます。DXとは単なる技術導入やカイゼンを言い換えた言葉ではなく、「ユーザーが最終的に得る価値」を見つめ、新しい価値提供の仕組みを創り出すということ。これからも続く企業の変革、世の中の変革のなかで、次に生き残るのは誰か?

金澤一央+DX Navigator 編集部
金澤一央+DX Navigator 編集部

京王百貨店がLINEミニアプリ活用で“ファンづくり”。会員160万人へのOne to Oneマーケティング

4 years 5ヶ月 ago

京王百貨店はLINEミニアプリを活用し、顧客のエンゲージメント向上、コミュニケーションの強化など、“ファンづくり”を促進する取り組みを始めた。

京王パスポートカード会員の顧客向に向けて、3月に「Keio BEAUTY LINEミニアプリ」、6月には「京王百貨店 新宿店LINEミニアプリ」の提供を開始した。

「Keio BEAUTY LINEミニアプリ」と「京王百貨店 新宿店LINEミニアプリ」は、京王パスポートカード会員向けに、デジタル会員証の発行、アプリ会員限定のアップポイント優待、会員限定サンプルクーポンの発行、新商品発売情報や特集ページの閲覧などを提供するLINEミニアプリ。

会員証機能を通じたLINEアカウントと京王パスポートカード会員情報の紐付けにより、会員160万人とのOne to Oneコミュニケーションを実現、販売活動や顧客サービスのDXを支援する。

京王パスポートカードを保有している顧客は、京王百貨店店頭などに設置されたQRコードからそれぞれのミニアプリ登録画面にアクセスし、京王パスポートカード会員情報を入力することで、会員限定の特別優待や自分に合ったサービスが受けられるようになる。

「Keio BEAUTY LINEミニアプリ」は化粧品専用ミニアプリで、コスメ関連のニュースや店舗で利用できるクーポン、アプリ内で告知する商品が購入できるECサイトへのリンクなどを提供。

会員限定ポイントアップやサンプルクーポン発行、コスメカレンダーやビューティー情報発信などの施策により、提供開始から3か月弱で約1万人がデジタル会員証を発行。顧客との新たなタッチポイントを広げていく。

京王百貨店がLINEミニアプリを活用 「Keio BEAUTY LINEミニアプリ」
「Keio BEAUTY LINEミニアプリ」のイメージ

「京王百貨店 新宿店LINEミニアプリ」は京王百貨店新宿店専用ミニアプリ。催事情報やキャンペーン情報をはじめとした京王百貨店新宿店のニュースのほか、クーポン、ECサイトへのリンクなどを提供する。

京王百貨店がLINEミニアプリを活用 「京王百貨店 新宿店LINEミニアプリ」
「京王百貨店 新宿店LINEミニアプリ」のイメージ

京王百貨店では、ショッピングや電車・バスなどの利用で京王グループ共通ポイントをためたり使ったりできる会員サービス「京王パスポートカード」を展開。京王百貨店新宿店において、友だち登録者数5万人を超えるLINE公式アカウントも運営している。ただ、LINE公式アカウントでは自社会員情報とひも付けた施策は行えないため、これまで会員情報に基づく顧客へのサービスやアフターフォローは主にアナログ施策で行ってきた。

昨今のデジタル化の加速により多様化する顧客の購買行動、コロナ禍で高まるECの購買需要への対応として、デジタルでの顧客接点拡大と顧客1人ひとりに合わせたサービス提供が必要と判断。会員情報とひも付けた施策が行えるLINEミニアプリの活用を決めた。

LINEミニアプリの導入には、アイリッジの「FANSHIP for ミニアプリ」を活用している。

石居 岳
石居 岳

「月次支援金」申請受付スタート/楽天が福岡と大阪に物流センター新設【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

4 years 5ヶ月 ago
2021年6月11日~17日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 中小企業20万円/月・個人事業主10万円/月を給付する「月次支援金」の申請受付は6/16(水)から

    「月次支援金」は、「緊急事態措置」「まん延防止等重点措置」による「飲食店の休業・時短営業」「外出自粛等」の影響で売上減となった事業者などを支援する制度

    2021/6/15
  2. 中小企業20万円/月、個人事業主10万円/月を給付する「月次支援金」の申請受付スタート、原則Webサイトからの電子申請

    「月次支援金」の申請はWebサイトでの電子申請が原則。ただ、電子申請の手続きができない事業者などをサポートする「申請サポート会場」も、全国64か所で運営する

    2021/6/16
  3. 楽天が福岡県糟屋郡と大阪府八尾市に物流センターを新設

    楽天グループの物流センターの新設は、EC需要の高まりにより今後の稼働率上昇が想定されるため。神奈川県大和市、東京都八王子市にも物流センターを新設する方針を公表している

    2021/6/16
  4. アフィリエイト広告規制はどうなる? 執行例などにみる表示責任の議論と解釈&消費者庁に聞く検討会立ち上げの目的

    消費者庁がアフィリエイト広告規制を検討しています。広告表示の責任を負うべき「表示主体者」定義の整理や検討会の議論結果によっては、法改正につながる可能性も排除していません

    2021/6/14
  5. ECサイトで「2足購入してフィッティング、1足は返品」。ニューバランスが会員限定の競技用シューズ返品無料サービス

    ニューバランスの「競技用シューズ返品無料サービス」は、コロナ禍の状況下、自宅でショッピングを楽しみたい、競技用シューズも自宅で購入したいといったニーズに対応する

    2021/6/15
  6. ファンケルが横浜本社でコロナワクチンの職域接種実施、対象は従業員や家族、関係者などの希望者

    ファンケルはサステナビリティ方針で掲げた「従業員の健康と安心安全」を踏まえ、国が推進している職域接種の実施を決めた

    2021/6/11
  7. ヤマダHDが大塚家具を完全子会社化、ヤマダデンキとの連携やEC・DX投資を強化へ

    大塚家具のヤマダデンキ既存店舗での取扱増加、販売網などの相互利用、財務基盤の安定化による新規店舗の出店加速、既存店舗の改装、広告宣伝強化、EC・DXへの投資などを進める

    2021/6/11
  8. GAFA + ShopifyのEC陣取り合戦が激化! ITPの影響でプラットフォーマーが有利な世の中に!?【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年6月7日〜13日のニュース

    2021/6/15
  9. 「体験価値の最大化」を図るファンケルのOMO戦略。通販・店舗を使う顧客の継続率は1.5倍、年間購入金額は3倍

    「ファンケルらしいOMOの推進」は、店販・通販の両チャネルを使う顧客は、シングルチャネルのみの顧客に比べて、継続率は1.5倍、年間購入金額は3倍に達していることが背景にある

    2021/6/14
  10. アダストリアなどが導入、“偶然の出会い”を創出するストーリー型オンライン接客ツール「ザッピング」とは?

    2021年3月にローンチしたストーリー型オンライン接客ツール「ザッピング」。アダストリアも導入するサービスの概要とは?

    2021/6/15

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    利用者数が多いネット注文の食材宅配サービスの上位は「おうちCO-OP」「コープデリ」「イオンネットスーパー」

    4 years 5ヶ月 ago

    MMDLaboが運営するMMD研究所が発表した「食材宅配に関する利用実態調査」によると、ネット注文で食材宅配サービスで生鮮食品の購入経験者が最も多いのは60代、冷凍弁当や惣菜などは20代であることがわかった。

    予備調査は18歳~69歳の女性1万人、本調査はネット注文食材宅配を現在利用している327人、注文食材宅配を検討しているまたは興味がある231人が対象。期間は2021年5月17日~5月18日。

    食材宅配サービスは「おうちCO-OP」「コープデリ」「イオンネットスーパー」が上位

    直近1年以内に生鮮食品のネット注文・配送を利用したことがある人に、最も利用している食材宅配サービスを聞いたところ、「おうちCO-OP」(12.8%)が1位で、2位「コープデリ」(12.4%)、3位「イオンネットスーパー」(12.1%)だった。

    MMD研究所 調査 ネットスーパー 最も利用している食材宅配サービス
    最も利用している食材宅配サービス(n=1356)(出典:MMD研究所)

    「生鮮食品のネット注文・配送」の利用経験、60代が最多

    ネット注文・配送の利用経験について、生鮮食品と冷凍弁当・できあがった惣菜をそれぞれ年代別に見たところ、「ネット:野菜・果物や肉・魚など食材の注文・配送」で利用経験が最も多かったのは60代で22.4%。「ネット:冷凍弁当やすでにできあがった惣菜の注文・配送」では20代が最多で10.9%だった。

    MMD研究所 調査 ネットスーパー ネットで野菜・果物や肉・魚など食材の注文・配送の利用経験 年代別
    ネット:野菜・果物や肉・魚など食材の注文・配送(年代別、出典:MMD研究所)
    MMD研究所 調査 ネットスーパー ネットで冷凍弁当やすでにせきあがった惣菜の注文・配送の利用経験 年代別
    冷凍弁当やすでにできあがった惣菜の注文・配送(年代別、出典:MMD研究所)

    普段の食材・食品購入経験1位は「生鮮食品のネット注文・配送」

    「日常生活において食材・食品を購入する」と回答した人に、普段の食材・食品を購入する際に利用したことがあるサービスを聞いたところ、「現在利用している」「過去利用していた」を合わせた利用経験が最も多かったサービスは「ネット:野菜・果物や肉・魚など食材の注文・配送」(21.1%)。次いで、「カタログ(紙面):野菜・果物や肉・魚など食材の注文・配送」(19.0%)「ネット:冷凍弁当やすでにできあがった惣菜の注文・配送」(6.2%)。

    MMD研究所 調査 ネットスーパー 普段の食材・食品を購入する際に利用したことがあるサービス
    普段の食材・食品を購入する際に利用したことがあるサービス(n=8861、出典:MMD研究所)

    食材宅配サービスに求めることは「鮮度」や「国産であること」

    ネット注文の食材宅配サービス利用者を現在利用している人、サービス利用を検討または興味のある人に対して、食材宅配サービスに求めることを聞いたところ、両者ともに「食材の鮮度」(現在利用者:44.0%/検討・興味あり:59.7%)が最多だった。次いで「国産・地場産」(36.7%/45.0%)「季節感がある・旬の食材」(30.3%/43.7%)だった。

    MMD研究所 調査 ネットスーパー 食材宅配サービスに求めること
    食材宅配サービスに求めること(ネット注文食材宅配の現在利用者、検討している・興味がある人別、複数回答可、出典:MMD研究所)

    食材宅配サービスの利用理由は「重いものを届けてくれる」「時間を気にせず注文できる」

    ネット注文の食材宅配サービス利用者に利用理由を聞いたところ、「重たいものを届けてくれるから」(48.3%)がトップ。次いで「時間を気にせず注文できるから」(37.6%)「買い物に行く時間を節約できるから」(35.2%)だった。

    MMD研究所 調査 ネットスーパー 食材宅配サービスを利用する理由
    食材宅配サービスを利用する理由(n=327/複数回答可、出典:MMD研究所)

    店舗での買い物の悩みは「重い荷物を運ぶのが大変」「目新しさがない」

    日常生活において食材・食品を購入する人に店舗で買い物をする際の大変なこと・不安・悩みについて聞いたところ、「重い荷物を運ぶのが大変」(38.4%)が最多。「買い物のために外出するのが面倒」(23.6%)「いつ行っても特に変わりなく、目新しさがないのでつまらない」(21.3%)と続いた。

    MMD研究所 調査 ネットスーパー 店舗での買い物をする際の大変なこと・不安・悩み
    店舗で買い物をする際の大変なこと・不安・悩み(n=8861/複数回答可)(出典:MMD研究所)

    自宅で調理・食事をする機会、「夕食」が最多

    調査対象者に、日々の食事で最も割合が多い食事内容について聞いたところ、朝食では「家庭内食(自宅で素材から調理したもの)」74.6%、「食べない」が14.6%、「調理済み(惣菜や弁当など、テイクアウト・デリバリー含む)」が9.7%だった。昼食は「家庭内食」67.5%、「調理済み」18.8%、食べない「5.2%」。夕食は「家庭内食」が87.7%、「調理済み」が8.0%、「食べない」が2.6%だった。

    MMD研究所 調査 ネットスーパー 日々の食事で最も割合が多い食事内容
    日々の食事で最も割合が多い食事内容(n=10000)(出典:MMD研究所)
    調査実施概要
    • 調査タイトル「食材宅配に関する利用実態調査」
    • 調査方法:インターネット調査
    • 調査期間:2021年5月17日~5月18日
    • 調査対象:【予備調査】18歳~69歳の女性、【本調査】ネット注文食材宅配を現在利用している女性、ネット食材宅配利用を検討しているまたは興味がある女性
    • 有効回答:【予備調査】1万人、【本調査】558人
    • 設問数:【予備調査】14問、【本調査】8問
    藤田遥
    藤田遥

    heyが提供する実店舗とECの商品・在庫データを連携するレジアプリ「STORES レジ」とは

    4 years 5ヶ月 ago
    「STORES」プラットフォームを展開するheyは、ECサイトと実店舗の在庫情報などを連携・管理するレジアプリ「STORES レジ」をリリースした

    EC開設・運営、キャッシュレス決済、オンライン予約システムなど、「STORES」プラットフォームを通じて中小企業や個人事業主のデジタル化を支援するheyは、ECと実店舗の在庫や商品情報を連携して一元管理するレジアプリ「STORES レジ」の提供を始める。6月15日に発表した。

    中小企業が直面する“二重管理”の課題を解消

    新たに発表した「STORES レジ」は、次の機能を搭載している。

    • 実店舗とECの商品情報を一元管理
    • 実店舗とECの在庫をリアルタイムで連携・管理
    • レジとキャッシュレス決済ををスムーズに連携
    • 実店舗のレジに登録した商品情報で、新たにECサイトを開設
    POSレジとECの商品や在庫データを連携。クラウドに同期されるためリアルタイムにデータが反映される
    POSレジとECの商品や在庫データを連携。クラウドに同期されるためリアルタイムにデータが反映される

    heyは、0円からECサイトを構築できる「STORES」を中小企業や個人事業主向けに展開している。実店舗を主軸としてきた中小企業や個人商店の間でも、ECサイト開設のニーズが急増。heyの2021年6月時点の流通総額は2018年2月と比較し、4.9倍で着地する見込みだ。

    しかし、中小の小売事業者が新たにECを開設する場合、基幹システムやPOS連携できるシステムを資本力で導入しやす大企業と異なり、「スモールビジネスならではの課題に直面しやすい」と取締役CPOの塚原文奈氏は説明する。

    取締役CPOの塚原文奈氏
    hey取締役CPOの塚原文奈氏

    たとえば、ECと実店舗の在庫管理の統合および一元管理ができないといった“二重管理”の課題があげられる。

    実際、「STORES」を導入している事業者のなかには、「実店舗で先に売れてしまうことがあるため、ECの在庫はあえて少なめに登録している」といった声もあったという。

    こうした課題を解決するために、開発・提供したのが「STORES レジ」だ。

    「STORES レジ」は、お店のレジにネットショップを“そなえる”という提案。ECとPOSレジが完全に一体化している。(塚原氏)

    STORES レジで提供される機能
    「STORES レジ」で提供する機能

    スモールビジネスを対象に、利用料金は0円から

    料金はフリープラン(0円)と、スタンダードプラン(2,178円/月額)の2種類。基本的にはフリープランでほとんどの機能を網羅しているが、有償のスタンダードプランは、品番表示やバーコードスキャンにも対応。キャッシュレス決済サービス「STORES決済」と連携する場合は、決済手数料が別途発生する(クレジットカード:3.24%/3.74%、交通系電子マネー:3.24%)。

    類似サービスはすでに「Shopify」や「Square」などで提供されているが、「(既存サービスには)ハイスペックな機能が多く含まれている。また無料で使える範囲が限られており、スモールビジネス向きではない。STORES レジはマルチチャネル化のハードルを下げて、スモールビジネスが利用できるようにしていきたい」(塚原氏)。価格とサービスのバランスを武器に他社サービスと差別化を図っていく。

    初年度の導入目標店舗数は非公開。「市場感としては、70万店舗くらいある。まずは丁寧に1社1社使ってもらうことをめざしている」(塚原氏)と言う。今後は、売上分析機能の充実や、スマホ版の開発を進めていくとしている。

    公文 紫都
    公文 紫都

    フューチャーショップ「futureshop」と、これからの「AdSIST」が連携

    4 years 5ヶ月 ago

    フューチャーショップは、SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」と、EC支援のこれからが提供するSaaS型ネットショップ自動集客ツール「AdSIST(アドシスト)」との連携を開始したと発表した。

    「AdSIST」はECサイトと自動連携し、Facebook、Instagram、Yahoo!、Googleといった国内主要広告媒体へ手間なく広告を出稿できる広告運用ツール。5000サイト以上が導入している。

    フューチャーショップが提供する「futureshop」「futureshop omni-channel」を導入しているEC企業は、自社ECサイトに登録している商品を自動的に抽出し、商品カタログ広告を作成することが可能。アカウント登録から広告配信セット完了まで最短5分で行えるようになる。

    フューチャーショップは、SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」と、EC支援のこれからが提供するSaaS型ネットショップ自動集客ツール「AdSIST(アドシスト)」と連携
    「AdSIST」を通じた広告出稿イメージ

    「futureshop」は自社ECサイトの構築・運用のプラットフォームで、シリーズを利用している店舗数は2800店以上。2020年の流通総額は1550円。

    フューチャーショップはツール連携を記念し、対象(「AdSIST」へ「futureshop」店舗を登録し、広告配信したサイト)を満たした「futureshop」導入企業へ、「AdSIST」から1万円分の広告費プレゼントするキャンペーンを実施する。キャンペーン期間は7月31日)土)まで。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    企業からの情報を受け取る手段「メルマガ」が最適に47%、つながりたい方法は「メルマガ購読」が4割【エイジアの調査】

    4 years 5ヶ月 ago

    企業や団体のCRM運用支援を行うエイジアはが実施した「企業に求める情報発信とコミュニケーション方法」に関する調査結果によると、「企業から情報を受け取る最適な手段は何ですか」という質問(複数回答可)に対し、48%の人が「企業のWebサイト」、47%の人が「企業発行のメールマガジン」を選択した。

    エイジアが実施した「企業に求める情報発信とコミュニケーション方法」 企業から情報を受け取る最適な手段(方法)
    企業から情報を受け取る最適な手段について

    ソーシャルメディア(SNS)を最適な手段として選択した人は20%。回答結果を年齢別分布で比較したところ、20代は「企業の公式SNS」、次いで「企業のWebサイト」、「スマートフォン(スマホ)のアプリケーション(アプリ)からの通知」がほぼ同率で上位を占めている。

    エイジアが実施した「企業に求める情報発信とコミュニケーション方法」 企業から情報を受け取る最適な手段(方法)の年代別分布
    企業から情報を受け取る最適な手段について(年代別分布)

    「あなたは企業と何でつながりたいと思いますか?」という質問に対しては、39%の人が「企業が発行するメルマガを購読」を選択。企業が生活者との関係性を構築する上で、メルマガは依然として重要な存在と言える。

    次いで、33%の人が「特にない」、27%の人が「企業のWebサイトの確認」を選択した。SNSは17%にとどまっている。

    エイジアが実施した「企業に求める情報発信とコミュニケーション方法」 企業とつながる手段について
    企業とつながる手段について

    一方、年齢別の「特にない」以外の回答では、20代は「公式SNSのフォロー」が最も多く35%、30代も同様で31%。40代以降はメルマガが最も多い。

    エイジアが実施した「企業に求める情報発信とコミュニケーション方法」 企業とつながる手段について
    企業とつながる手段について(年代別分布)

    「あなたが自分の意思を企業に伝える最適な手段(方法)は何だと思いますか?」という質問に対して、55%の人が「企業のWebサイトの問い合わせフォーム/代表メールアドレスに連絡」を選択した。

    次いで、41%の人が「企業の問い合わせ窓口に電話」を選択、ダイレクトな対話を求めている方もいると考えられる。一方、「企業が主催するオリエンテーション・イベントへの参加」を選択した人は10%にとどまった。

    エイジアが実施した「企業に求める情報発信とコミュニケーション方法」 自分の意思を企業に伝える最適な手段
    自分の意思を企業に伝える最適な手段について

    「あなたが企業とのコミュニケーションに求めるもの」(複数回答)については、「自分が興味・関心を持っている情報の提供」が57%、次いで「最適なタイミングでの情報の提供」(43%)だった。消費者は、ターゲティングされた情報を最適なタイミングで発信するということを企業に求めている。

    エイジアが実施した「企業に求める情報発信とコミュニケーション方法」 企業とのコミュニケーションに求めることについて
    企業とのコミュニケーションに求めることについて

    エイジアはこうした結果から、企業と生活者間の「届ける」「受け取る」といった双方向コミュニケーションにおいては、SNSやアプリ、広告、イベントを抑え、Webサイトやメールを媒体としたコミュニケーションが有効であるとしている。

    調査概要

    • 調査会社:GMOリサーチ
    • 調査手法:アンケートシステム「WEBCAS formulator」を活用し、GMOリサーチのモニターでインターネット調査を実施
    • 有効回答数:1110人(性別×年齢の12割付で実施)
    • 調査期間:2021年4月20日~4月21日の2日間
    • エリア:全国47都道府県
    石居 岳
    石居 岳

    1人の主婦が始めたECが年商8億円の事業に。中国越境ECにも挑戦する防音専門ショップ「ピアリビング」の成長ストーリー | 『EC通販で勝つBPO活用術』ダイジェスト

    4 years 5ヶ月 ago
    EC通販における差別化成功事例③『EC通販で勝つBPO活用術』(高山隆司/佐藤俊幸 著 ダイヤモンド社 刊)ダイジェスト(第15回)

    ピアリビング」は防音専門のEC通販サイトだ。楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなどのモールに出店しているほか、電話での注文対応や楽器メーカー向けの卸も行っている。

    商品ラインは一時期に比べて絞っており、現在の商品アイテム数は2,000SKU。色違いを除くと1,000SKUに過ぎない。専門ロングテール型というには少ない印象だが、「防音」という独自のカテゴリー設定と、壁、床、窓の部材がひと通り揃っていることが特徴だ。

    1人の主婦が始めた事業が年商8億円の事業に成長するまでの道のりを紹介する。

    企業データ

    「防音専門ピアリビング」 https://www.pialiving.com/
    本社:福岡県宗像市三郎丸5丁目7−15 代表者:代表取締役 室水房子
    創業:1993年12月
    事業内容:インテリア用品販売/カーペット販売/防音工事/ファインヴェールシステム施工(吸音工事)/カーペット・フロア施工/住宅耐震補強工事/OAフロア・光天井工事/建築資材販売/インテリア用品の販売/オーダー防音商品の販売/ペット用品販売/飲食業

    代表取締役の室水房子氏は次のように語る。

    防音は窓だけでも、床だけでも、壁だけでもできません。ケースに応じて適切な組み合わせを提案したり、オーダー制作を引き受けたり、場合によっては施工まで対応したりするワンストップソリューションが当社の強みです。

    商品をオンラインで販売するとともに細かい相談とアドバイスにこだわり、福岡と東京にショールームも設けています。

    始まりは何気なく目にしたパンフレット

    室水氏がEC通販業に取り組み始めたのは2000年のこと。当時、室水氏は幼稚園と小学校低学年の2人の子どもを育てる専業主婦だった。ところが、夫の仕事(内装業)が不振に陥り倒産寸前に。「なんとかしたい」と内装業の施工で取引のあった大手建材メーカーの支店に飛び込み営業に出かけた。

    そこで防音カーペットのパンフレットを目にし、「こんな製品があるのか!」と驚いた。高性能だが価格が高いためホームセンターなどでは扱っておらず、ほとんど知られていない製品だった。

    室水氏の周りには子どもが走り回る足音などで近隣から苦情を受け、悩んでいる主婦が何人もいた。「これは売れるかも」と考えた室水氏は、見よう見まねでネットオークションに出品。配送はドロップシッピング方式でメーカーから直送した。すると、3か月もしないうちに月100万円を受注するまでになった。

    手作りホームページで「防音専門店」をスタート

    騒音についての相談や質問もたくさん来た。身近な騒音のトラブルで悩んでいる人がとても多いことを確信した室水氏は、市販のソフトを買ってきて自分でホームページを立ち上げた。壁の防音もできないかメーカーに相談すると、「ロックウールを取り付ければ防音効果があるだろう」という答え。ただ、ロックウールは建築会社や内装業者などBtoB向けしかなく、また個人が買って取り付けるのも難しい。

    顧客の要望が来るたびに、主婦感覚で建材をアレンジして独自の施工方法を考案したり、施工が得意な夫や親しいメーカーに商品を作ってもらったりして、商品開発を進めていった。

    こうして2001年、防音建材の販売をスタート。2003年には「ピアリビング」を正式にオープンし、EC通販業界では初めての「防音専門店」をうたい、床の防音カーペットと壁の防音建材(ロックウール)の紹介に力を入れた。

    当時は他にそういうサイトはなく、まさにブルーオーシャンでした。注文は北海道から沖縄まで、全国から来ました。建材メーカーからも、なぜ九州の主婦がやっているサイトでこんなに売れるのかと、役員が見学にやってきたりもしました。(室水氏)

    ユーザーの声に応えた商品開発で年商2億を突破……の後に相次いだトラブル

    ショップのオープンから2年で年商は1億2,000万円に達した。ただ、メーカー品を都度、仕入れての販売(ドロップシッピング)なので、利幅は少なかった。仕入れ値を安くするため建材メーカーからケース単位で仕入れて在庫を持つことにし、配送についても宅配便業者と交渉して格安にしてもらうなど、試行錯誤を続けた。

    ユーザーの声をもとに組み立て式の簡易防音室(1.5畳から6畳まで)を開発したところ、テレビ番組で取り上げられ、売上はさらに伸びていった。楽天市場に出店すると、自社サイトとともに月間売上1000万円を達成し、年商は2億円を突破。まさに破竹の勢いだった。

    しかし、その後は数年ごとに様々なトラブルや障害に見舞われた。

    まず2005年6月、アスベストの健康被害が社会的に大きな問題になった。ピアリビングで扱っているロックウールとはアスベストはまったく別物だが、同じ鉱物繊維という点で健康被害が起こるのではないかという風評から、壁材の売上があっという間に半減してしまった。

    そこで室水氏は防音カーテンに力を入れることにした。少しずつ売上が戻ってきたところ、今度は2008年にリーマンショックが発生。メインの仕入先の経営が悪化し、仕入れていた建材やカーペットがほとんど廃番になってしまった。そこで現在のメイン商品である防音カーテンをオリジナルで作ることにした。

    またこの頃、「ピアリビング」の好調ぶりに目を付けた他社が防音建材の販売を始め、嫌がらせも受けるようになった。これに対しては、いち早く動画やSNSを活用したプロモーションに活路を見出し、売上をV字回復させた。

    次は2013年、Googleの検索アルゴリズムの変更(パンダアップデート)でまったく検索結果に表示されなくなり、売上が激減した。一時は茫然となったが、すべてのサイトの設定を変更し、なんとかしのいだ。

    このように厳しい状況に何度も直面しながら、その都度、室水氏は持ち前の行動力とビジネスセンスで乗り切り、事業を一回り二回りも成長させてきた。

    都内の賃貸マンションからOMOを開始

    2014年、社員7人で売上3億円になった頃、EC通販事業は社員に任せ、自身は前年に手掛け始めた福岡・天神での飲食業やセミナールーム事業に専念することにした。

    借金や住宅ローンはすべて完済し、子どもたちも大学を卒業しました。以前は毎日、睡眠時間3時間で子育てや会社の再建、ネット販売の強化と無我夢中で走り続けてきたので、ちょっとのんびりしたかったのだと思います。(氷室氏)

    個人が立ち上げるEC通販事業では、年間売上が3億円〜5億円くらいになると、1つの壁を迎える。良い意味でも悪い意味でも、当初の事業モデルやオペレーションのやり方が成熟するからだ。室水氏もちょうど、そういう壁に突き当たっていたのかもしれない。

    次の段階に進むには何かしらのブレークスルーが必要だ。室水氏の場合、それは社員の声だった。社員から「社長、俺らの5年後はどうなっているんですか? 本社に戻ってください」という声が上がった。もう1つは顧客の声である。これまでとは違う新しい挑戦をしたいと思った室水氏は、「お客さまに直接会ってみよう」と、東京で単独イベントを行うことにした。

    イベント名は『防音商品を実際に見よう、触ろう、体感しようin東京』。恵比寿の賃貸マンションの一室を会場に開催した。告知は自社のホームページのみだったが、予定の2日間は大入り満員になった。

    以前から防音商品を実際に見てみたいという声をたくさんもらっていたので、さまざまな防音商品を一斉に展示し、その場で相談もできるようにしたのです。来てくださったみなさんはいずれも音のトラブルで悩んでいて、1組30分どころか1時間近く滞在される方もいらっしゃって、お客さまの熱い思いにスイッチが入りました。(氷室氏)

    2015年、この人気を聞きつけた東急ハンズ渋谷店から1か月間のイベントを依頼され(現在も不定期に実施)、2017年には東京・神田と福岡・博多にショールームをオープンした。規模こそ小さいがOMOの見本といえるような展開だ、ピアリビングは新たな成長段階に歩を進めることになったのである。

    中国市場への挑戦

    そして現在、室水氏はまた新たな挑戦を始めている。巨大な中国市場をターゲットとした越境ECである。手前味噌になるが、きっかけとなったのは2017年、筆者が企画した中国EC市場の視察ツアーだ。

    当社とピアリビングは2016年頃から取引がある。首都圏の注文については千葉県柏市にある360の物流センターに商品在庫を置き、そこから出荷しているのだ。ちなみに、九州からの配送では2日かかっていたが、これにより注文の翌日配送が可能になり、売上アップに結び付いている

    中国マーケット興味はあったものの、どのようにアプローチすれば良いかわからず、送料もかなり高そうなので諦めていたという氷室氏。しかし現地に行ってみて、スクロールグループの成都インハナのサポートを知り、現地でのビジネスをやってみることに決めた。

    初めの頃は「中国で防音グッズなんて売れるわけがない」と散々言われました。日本人と中国人とでは、音に対する感覚が全然違うというのがその理由です。それでも、少なくとも中国で暮らす日本人には売れるのではないだろうか、経済成長で豊かになれば、必ず音を気にするようになると確信していました。(室水氏)

    ショップ名は筆者のアドバイスで「快適空間工房」とし、まず取り組んだのは中国語のホームページ作成と中国のSNSであるWeibo(ミニブログサイト)のアカウント取得だった。日本語のサイトをインハナのスタッフが翻訳し、毎日、Weiboに投稿していった。

    中国向けの販売では現地のKOL(key opinion leader)をSNSで使うと良いとよく言われるが、筆者は疑問に感じている。彼らはいわばプロであり、毎日別の商品を取り上げる。中小のEC通販事業者の場合、KOLにまとまった広告費をかけるより、まず自社サイトを丁寧に作り、少々時間がかかってもコアファンを育てるほうが大事である。

    「快適空間工房」でも、自社サイトと並行してWeiboで音の問題や防音の大切さについて情報発信を続けた。すると、1年で1万人のフォロワーがつくようになった

    「快適空間工房」のWeiboの投稿画面
    「快適空間工房」のWeiboの投稿画面

    防音カーテンの意外な人気

    2019年から中国で防音カーテン、防音ライナー(後付け用のカーテン裏地)、防音カーペットなどの試験販売を行うことにした。配送は日本の物流センター(千葉・柏)から日本郵便のEMS(国際スピード郵便)を使っている。

    やってみると防音カーテンの人気が予想以上に高く、1回5万円〜10万円のオーダーが入ります。基本は標準タイプなのですが、中にはオーダーの希望もあり、これまでの最高は1回約60万円の注文でした。リピーターも2割ほどいます。窓の1つに付けてみて、効果を確認して追加の注文をしてくれるのです。(氷室氏)

    「助かりました」「これで安心して暮らせます」といった顧客の声が励みになるという。氷室氏の持ち前の行動力と旺盛な好奇心、そして人の役に立ちたいという想いこそがピアリビング成功の原動力といえる。中国向けの越境通販もいよいよ本格化。今後は新しい防音製品の開発にも取り組んでいく予定だ。

     
    サイドストーリー

    始まりは成都インハナツアー

    2017年2月、成田空港から中国四川省成都に向かう一行がいた。全員が日本のEC事業者で、目的は成都インハナの見学だった。17時に成田空港を出発し、5時間のフライトで夜22時に成都空港到着。翌日、成都インハナのオフィス見学会が行われた。

    日本語が堪能な中国人スタッフが、次々とBPO業務を説明していく。実際のオペレーションの現場も視察した。「今の処理テクニック、知らなかった!」とECのプロである参加者から声が上がった。「これだったら日本でやる必要はないね」といった声も聞かれた。

    ツアーの目玉は、中国越境EC進出におけるサポートサービスの確認だった。ピアリビングの室水社長もそれを一番望んでいた。日本のEC事業者の越境ECへのニーズは高い。誰もが将来、日本の市場が萎んでいくのを知っている。日本以外の市場に進むしかない。その最有力候補が人口13億人の中国市場である。しかし、そこには言語の壁、法律の壁、中国市場理解の壁、物流の壁という4つの壁がある。ピアリビングの室水社長が、この壁をどのように乗り越えていったのか。

    第1の「言語の壁」について、室水社長は成都インハナの越境サポートを使うことを決断した。防音グッズを紹介するページは日本に山ほどある。そのページを成都インハナのスタッフが中国語に翻訳して、毎日、Weiboに掲載してくれる。

    第2の「法律の壁」だが、難しいと思っていた中国での商標も成都インハナが代行申請してくれた(現在、当局の許可待ちの状況)。「快適空間工房」というブランド名はスタッフの投票で一番人気のあるものだった。

    第3の「中国市場理解の壁」は、現地に行ってみないとわからないことが多い。当初、成都インハナのスタッフも「防音グッズは中国では売れないです」と言っていた。理由は「他人に迷惑をかけてはいけない、といった教育を受けた中国人は1人もいないから」というショッキングなものだった。ところが現在、売れている。「他人に迷惑をかけないため」というより「他人の騒音を防御したい」というニーズが高いようだ。

    第4の「物流の壁」は、日本のスクロール360物流倉庫からEMSで発送することで解決した。また、送料については、販売価格に上乗せして吸収するようにした。価格はかなり高くなったが、それでも注文が来るのは、他社では売っていないということと、中国には富裕層が多いということだ。

    このように4つの壁を乗り越えて、ピアリビングの中国越境EC展開は第1ステップへ進むことができた。次のステップでは中国モールの「グローバル」に正式に販売申請することと、売れ筋商品については中国倉庫からの出荷にチャレンジすることだ。成都インハナという信頼できるパートナーがいることで、それが可能になってくる。

    EC通販で勝つBPO活用術 ─最強のバックヤードが最高の顧客体験を生み出す

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    活況のEC・通販業界において、アフターコロナを勝ち抜くために必要なことは何か。ネット通販の事業戦略設計やプロモーション、フルフィルメントなど、ネット通販の実践から得たノウハウを紹介し、物流、受注といったフルフィルメントのアウトソーシングの活用の仕方や成功事例を解説する。デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、「BPO」(Business Process Outsourcing)を最大限有効活用したシステム構築に必携の1冊。

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    佐藤 俊幸
    高山 隆司, 佐藤 俊幸

    「ワークマンプラス」の需要を生み出すアンバサダー・UGCマーケティングの秘訣&EC戦略

    4 years 5ヶ月 ago
    「ワークマンプラス」の新たな需要を創り出す戦略、UGCマーケティングについて、ワークマンの専務取締役 土屋哲雄氏へインタビューした
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    4000億円もの空白市場と言われるアスレジャーウェア市場の「高機能・低価格」領域を、一般客向けアウトドアウェアの新業態店「ワークマンプラス」で攻めるワークマン。「作業服」というかつてのワークマンのターゲット層から程遠かった女性客や若者までをも取り込み、国内のアスレジャーウェア市場をけん引する。

    ここに至るためのカギとなったのが、アンバサダーとの協業とUGCマーケティング。作られたアンバサダーではない“良質”なアンバサダーをいかに発掘し、商品開発や販促に生かしているのか。「ワークマンプラス」の仕掛け人でありマーケティングを率いる専務取締役の土屋哲雄氏に話を伺った。

    ワークマン 専務取締役 土屋哲雄氏
    ワークマン 専務取締役 土屋哲雄氏

    新業態店「ワークマンプラス」、一般客を取り込む空間戦略で集客力は2倍に

    機能性ウェアを普段着に取り入れるアスレジャー(アスレチックとレジャーを組み合わせた造語)市場は、2017年度時点で8500億円超(矢野経済研究所調べ)の巨大マーケット。その中でワークマンが2019年から開始した新業態店「ワークマンプラス」が注目を集め、国内のアスレジャー市場をけん引する企業として一目置かれている。

    これまでのアウトドアブランドやスポーツブランドといえば「高機能×高価格」が一般的であったのに対し、同社の製品は高い機能性を兼ね備えながら、圧倒的な低価格帯で販売。アスレジャー市場の中でも「高機能×低価格」の領域は4000億円市場と試算されながらも、競合がほぼいないブルーオーシャン状態と言える。

    「ワークマンプラス」のポジショニング
    「ワークマンプラス」のポジショニング(画像はワークマンのIR資料から)

    以前からも、従来型店「ワークマン」には作業服を求める顧客以外にバイクのライダーや園芸をする人などが来店していた。しかし、製品の質や価格に対して売り上げの伸びはわずかだったという。

    その理由は、もともと作業服販売をメインとしていたため、商品の展示や店内の内装、設備が一般客に適していなかったため。一般客向けの販売を強化するため、売り方と見せ方を変える「空間戦略」で市場を開拓していったのが「ワークマンプラス」の始まりだ。

    ワークマンプラス路面店の外観(川崎中野島)
    ワークマンプラス路面店の外観(川崎中野島)

    従来型店の「ワークマン」は全店舗が路面店。一方の「ワークマンプラス」1号店はショッピングセンター内に出店した。作業服は取り扱わず、「ワークマン」でもともと販売していたアウトドアウェアの製品のうち3割ほどの一般客向け製品のみを陳列。事業定義も「作業服」から「高機能ウェア」へと変更した。

    取り扱う製品は従来店「ワークマン」と同様でも、「ワークマンプラス」の集客力は2倍以上に向上したという。「ワークマンプラス」は1号店の出店から2年半で約270店舗に拡大。このうち170店舗は「ワークマン」から「ワークマンプラス」に改装した店舗だ。

    朝と夕方は作業服を求める顧客が来店し、昼間は一般客が来店する。限られた駐車場スペースでも回転率と来店客数が増加し、改装後の店舗は売り上げが約1.5倍まで伸長している。2022年3月期中には「ワークマンプラス」を400店舗近くまで増やしたいという。

    「ワークマンプラス」では、従来の無機質な蛍光灯から暖色の照明に変え、スポットライトも導入。作業服は伸縮性や防寒性といった機能を重視するため、全身のコーディネートを見る必要がほとんどないが、一般客が服を合わせやすいよう全身鏡を設置したほか、マネキンを用いて上下セットアップで製品を見せる工夫もした。商品はそのまま、店舗の見せ方を変えたこの戦略を、土屋専務は「空間戦略」と呼んでいる

    ワークマンプラス路面店内観(川崎中野島)
    ワークマンプラス路面店内観(川崎中野島)

    店舗網を生かしたネット通販、将来的に宅配は「廃止」

    ECサイトでは現在、顧客が宅配とクリック&コレクト(店舗受け取り)のどちらかを選択できるようになっているが、今後2~3年をかけて宅配を廃止し、クリック&コレクトに一本化する計画を掲げる。

    宅配を廃止するため、クリック&コレクトの受け取り拠点としての役割を重視した「ワークマンプラス」「#ワークマン女子」の店舗を都心部に次々と出店。店舗を受け取り拠点としても活用、来店客の店舗での商品購入、そして、配送コストおよびそれに関する物流コストを抑えながら、利益率の高いECビジネスの構築をめざす戦略である。

    ワークマンのクリック&コレクト型ECの概要
    ワークマンのクリック&コレクト型ECの概要

    100坪の店舗に置ける製品は限られるが、現在900店舗超の「ワークマンプラス」の売り場面積を1割増加させるためにECを使うという基本戦略だ。たとえば、マイナス10℃の極寒にも対応する防寒製品も「高機能×低価格」で販売しているが、店舗に置くと夏服10着分のスペースを要してしまう。

    競合がいない製品をわざわざ店舗に常時陳列するより、ECで選んで店舗で受け取るようにすれば、これまでの店舗の限界が超えられる。(土屋氏)

    加盟店が多数を占めるワークマンでは、ECの受注は店舗に還元される仕組みを採用。宅配は1万円(税込)以上の購入で送料無料だが、すでにEC利用者の65%がクリック&コレクトを選択している。クリック&コレクトを実施する前の店舗の年間売り上げは2億~3億円が限界だったが、受け取り場所として来客数が増えた店舗の中には5億円に達するケースもある

    また、一度店舗に来店した顧客の8割が固定化し、LTVは年間30万~40万円にのぼるため、ネット注文でも店に足を運んでもらう仕組みが持続的な成長を支えているのだ。

    日本では500店舗以上を展開していれば、ネットからの直送ビジネスはクリック&コレクトにとって脅威ではないと考えている。現在、ワークマン全店で900店舗超を展開しているが、今後もさらに都心部や空白のエリアへの出店を強化し、将来的には2000店舗をめざしていきたい。(土屋氏)

    アンバサダーの意見を取り入れるなど価値を高める商品開発

    価値を高める商品開発の原則「フリマアプリの転売で3倍以上の値段」

    商品戦略も「高機能×低価格」をベースに置きながら進化を続ける。たとえば商品開発の原則について、土屋氏は次のように話す。

    一般的にアパレルの原価率は2割程度だが、ワークマンは約65%を占める。商品開発の原則は「フリマアプリで転売して3倍以上の値が付かない商品は作らない」。高機能かつ丈夫でありながら、価格も圧倒的な差を付けなければブルーオーシャンではなくなってしまうからだ。(土屋氏)

    作業服のカテゴリーで取り扱う空調服など1万円を超える特殊なウェアは作業現場から強い支持を得ているが、一般客向けに「Every Day Low Price(毎日がこの価格)」の高機能ウェアとしてイメージをしっかり植え付けるため、テレビをはじめとするマス広告ではあえて2000円程度の安価なアスレジャーウェアを前面に打ち出している

    4000億円規模の「高機能×低価格」のアスレジャー市場でも、実際にアウトドアやスポーツ、バイクなどの用途に使っている人は2~3割で、7~8割は家庭着や近所の買い物などのいわゆる「2マイルウエア」として着用していると見ている。

    アンバサダーとの良好な関係作りを商品開発につなげる

    空白市場の開拓には、潜在顧客の顕在顧客への転換が欠かせない。その手法として、2019年から本格的に開始したアンバサダーマーケティングが大きな成果をあげている

    アウトドア関連では登山家のアンバサダーとハイキングシューズを開発するといった取り組みはもちろん、既存製品に対する気付きがアンバサダーから得られることもメリットとなっている。

    ワークマンアンバサダーの山下幸一さんと共同開発したプロコアシリーズ

    最近では、トリマーのアンバサダーから「ワークマンの撥水パンツは犬や猫の毛がつきにくい」という意見が寄せられ、トリマー専用ウェアの試作に至ったケースもある。トリマー業界はもとより、犬や猫を飼う世帯数を考慮すると可能性が大きく広がる価値の高い意見だった。

    開発に携わったアンバサダーには独占的に先行してネットで製品発表をし、後日配信するワークマンのリリースにはアンバサダーが製品発表したページのQRコードを付けるようにしている。そうすることでアンバサダーのアクセス数やフォロワー数が伸び、アンバサダーへの還元となっている

    アンバサダーマーケティングのテーマは「声のする方に、進化する」
    アンバサダーマーケティングのテーマは「声のする方に、進化する」(画像はワークマンのIR資料から)

    特定の分野に精通したインフルエンサーらが商品開発や情報発信に参画する取り組みで、「ワークマンプラス」のターゲット層にマッチした商品開発の実現を支える

    アンバサダーはその道のプロで、サブスクライバーやフォロワーを数万単位で抱えているので影響力が強い。1000人から意見を聞くよりも、1人、2人のアンバサダーから聞く方がよほど正確なアイデアが出る。実際にA/Bテストをしてみても、社員が出したアイデアより売れることがわかった。(土屋専務)

    ワークマン公式アンバサダー
    ワークマン公式アンバサダー

    潜在顧客を顕在化させるマーケティング

    TGC参加はF1層に訴求?目的は周囲へ認知を広げること

    ツーマイルウェアの男女の購入比率は、男性1:女性3と言われる。4000億円の「高機能×低価格」アスレジャー市場の中でツーマイルウェアの用途が約8割、アウトドア・スポーツ用途が約2割、かつ男女比が1:1だと仮説を立てると、男性市場は1200億円、女性市場は2800億円という試算になる。

    ワークマンはすでに男性向けで600億円ほどの市場が取れているので、女性市場を開拓しなければいけないことを意味している。(土屋専務)

    ワークマンにとって、女性客の中でもF1世代は最も遠い顧客層。「ワークマンプラス」に次いで注目を集めている「#ワークマン女子」は、「東京ガールズコレクション2021SPRING/SUMMER」に参加。目的は、すでに競合のアパレルが乱立するF1世代をターゲットにするわけではない

    こうしたFI層が集まる場へ露出することで、その親世代がワークマン製品を着ていても、F1層がアパレルとしての違和感を覚えないようにするのが大きな目的

    F1層を軸に周囲への認知を広げることを最大の目的としつつも、結果的にはモデル着用ウェアなどのF1女性客による購入、ワークウェアの新しい需要創出につながっている。

    東京ガールズコレクション(TGC)参加の背景と目的
    東京ガールズコレクション(TGC)参加の背景と目的(ワークマンが公表したIR資料から)

    UGC経由のCVRは2倍、ワークマンのインスタ活用

    女性客や若年層の本格的な開拓にとってSNSを活用した施策は欠かせない。特に、気に入った画がきっかけとなって情報収集や購入につながる発見型コマースのInstagramには重点的に施策を講じている。

    既存顧客から一番遠い層から評価されると全体的に売り上げが向上する」と仮説を立て、Instagramの利用者が多いF1世代から発見してもらうことに期待を寄せてUGCマーケティングに乗り出した。

    EC上でユーザーからコメントをもらうための手段をいろいろと考えてきたが、文章の評価が10個あるより、1枚の画の方がよほど真実味を帯びていて高い価値があると気付いた。だだ、モデルを使うとワークマンの公式Instagramと同じようになってしまう。身近に感じられつつ、参考になる着こなしのユーザーを見せることが大事だ。(土屋専務)

    Instagram上に掲載された投稿を活用したECサイトのコンテンツ

    UGCマーケティングの運用では、アンバサダーとなるユーザーの発掘に注力。影響力のあるユーザーを効率的に発掘するために、ビジュアルマーケティングツール「visumo social curator(ビジュモソーシャルキュレーター)」を導入した。

    ①ワークマン製品のファンであること、②参考になる魅力的な着こなしをしていること、③5万~10万人程度のフォロワーを持つマイクロインフルエンサーであること――。「visumo social curator」はこの条件を満たすユーザーの発掘と連携に寄与し、キャンプ、登山、釣りなどさまざまな分野で計30人近いアンバサダーのリクルートに奏功している。

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    潜在顧客の顕在化後はECサイトに

    Instagramの投稿を掲載するための二次利用の許可が必要だが、「visumo social curator」の許可申請機能によって作業の手間を大幅に軽減。InstagramのコンテンツをECサイトに掲載するといった関連付けも行えるため、売り上げに直結しやすい仕組みを構築した。

    「visumo social curator」でECサイトに掲載したInstagramコンテンツは、他の場合に比べてCVRは約2倍に達しているという。

    「東京ガールズコレクション」への参加やUGCマーケティングの取り組みがF1世代からの評価につながり、テレビの露出も格段に増加。2020年1月~11月中旬までの期間集計では、関東キー局だけの露出回数を見ても2位の企業に3倍以上の差をつける129回でトップに立った。

    アンバサダーの中には年間で10回以上テレビに露出した人も現れている。「マスメディアに取り上げられる上でも、Instagramをはじめネットを駆使した施策は重要だ」と土屋氏は話す。

    店舗イベント、ネット、紙媒体、テレビCMなど、あらゆる販促媒体の影響力と効果を数値化した分析においてもInstagramの動画が高い効果を出しているため、今後もさらに力を入れていきたいとしている。

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    朝比美帆
    朝比美帆

    EC事業者を狙うAPI攻撃。知っておくべき危険性と対処法 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    4 years 5ヶ月 ago
    Webサイトやモバイルアプリのユーザーインターフェースに対する従来のサイバー攻撃よりも、さらに危険なAPIへの攻撃。API攻撃に注意するべき理由はたくさんあります。

    EC事業者はWebサイトのフロント部分が攻撃されることを心配しているかもしれませんが、ハッカーたちの関心はサイドドア、つまりアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)に向けることが多くなっています。

    API攻撃拡大へ。ECサイトが狙われる理由は?

    調査会社「Gartner」によると、Webアプリケーションへの攻撃は2021年までに、サイトやモバイルアプリのユーザーインターフェースではなく、90%がAPIへ拡大すると予想されています。残念ながら、多くのWebアプリケーションに携わる運営者は、この考え方にまだ追いついていません。

    最近のAPIの脆弱(ぜいじゃく)性や攻撃では、エクササイズバイクを開発・提供する「Peloton」、信用調査会社の「Experian」、人気急上昇中の音声SNS「Clubhouse」などのアプリケーションで報告されています。

    「Peloton」のサイトトップページ
    「Peloton」のサイトトップページ(画像:サイトから編集部がキャプチャ)

    APIを攻撃するハッカーたちは、オンラインショッピングのトレンドを追っています。今のECサイトは、ショッピングカートなどの必須機能を複数のプラットフォーム上で公開するため、APIに依存しています。ハッカーたちは、ボットを使ったAPIへの攻撃の方が、アカウント・テイクオーバー(ATO、第三者のアカウントを活用してあるサイトに不正侵入すること)などの攻撃よりも簡単であることを理解しているのです。

    APIを攻撃する場合、他の攻撃よりも少ないインフラで行うことができます。また、APIは機械同士の接続のため、攻撃パターンを特定するための情報がAPIの通信にはほとんど含まれておらず、犯罪者が身元を隠すことも容易です。顧客、評判、ブランドを守りたいと考えている小売事業者にとって、APIを適切に保護することは、全てがつながっている今の時代にビジネスを行う上で非常に重要なのです。

    API攻撃とは?

    APIとは、プラットフォームや技術に依存しない方法で、アプリケーション間の直接的な接続や通信、データ共有を可能にする仕様です。APIを利用することで、あらゆる機器やパートナー・提携サービスが、安全かつ確実にアプリケーションを呼び出したり、情報を送信したりすることができます。

    現代のアプリケーションを構成する、迷路のように入り組んだ内部および外部のサービスで作られた数々のアプリケーションが、自動化された方法で相互に会話するための重要な橋渡し役となっているのがAPIです。

    API攻撃では、APIが標的となって悪用されます。APIはプログラム的な性質を持っているため、ハッカーたちはAPIへの自動化された攻撃を好んで使用します。API攻撃には、分散型サービス拒否(DDoS)、インジェクション攻撃、認証ハイジャック、アプリケーション不正利用など、さまざまな種類があります。これらの攻撃タイプのなかで、EC事業者が最も懸念しているのがアプリケーションの不正利用です。

    たとえば、アカウント・テイクオーバー(ATO)攻撃は、アプリケーションを不正利用する攻撃手法の1つです。ほとんどのATOは、アプリケーションのロジックを破壊せず、ユーザー名や電子メール、パスワードの多くの組み合わせを駆使して、アプリケーションのロジックに完全準拠した形でアカウントを認証しようとします。

    また、APIを定期的に標的とするもう1つの形態は、在庫の不正操作です。この攻撃では、悪質な第三者がAPIを使用し、購入するつもりのない商品をショッピングカートへ継続的に投入し、一般的に消費者が欲しい商品を購入できなくします。

    なぜAPI攻撃は危険なのか?

    API攻撃は、さまざまな要因でWebサイトやモバイルアプリなどのユーザーインターフェースに対する従来の攻撃よりも、さらに危険なものになっています。

    APIへの接続では、ユーザーやデバイスの識別情報が少ないのも特徴です。そのため、自動的に攻撃をブロックする技術を搭載していても、悪意のあるボットが送信した悪質なAPIコールを識別するための手がかりが少ないのです。

    たとえば、APIコールには、ユーザーがページ内をどのように移動したか、あるページから別のページに移動するのにかかった時間などの情報はありません。これらのデータは、人間のナビゲーションを自動化するJavaScriptを使用したボットの検出に役立つのですが、APIはアプリケーションに直接クエリを実行するため、アプリやWebページを操作する必要がないのです。

    さらに、APIは多くの場合、Webアプリケーションほど厳重に保護されていません。うまく偽装されたAPIコールは、本物の消費者からの正当なAPIコールとほぼ同じように設計されていれば、ファイアウォールやAPIゲートウェイなどの従来のセキュリティを回避することができます。

    さらに問題なのは、公開されたAPIによって、ハッカーがアプリケーションのクライアント側を完全に回避し、データベースやアプリケーションに直接アクセスできることです。これらに直接アクセスできるようになると、機密情報を入手したり、アプリケーションの動作を故意に変更できたりする可能性があるため、はるかに大きなリスクを生み出します

    多くのEC小売事業者はセキュリティを最適化していない

    APIのリスクが高まっているにもかかわらず、多くのECアプリケーション開発チームは、APIのセキュリティ強化のためにコードやアーキテクチャを正しく最適化できていません。

    たとえば、多くのECアプリケーションは、Webサイト、モバイルアプリ、アフィリエイト、またはパートナーから送られてくるクエリの受信と応答に同じAPIを使用しています。単一のAPIを使用すると、ハッカーたちが身元を隠して検知を避けることが容易になってしまいます。複数の用途ではなく単一の用途であるAPIのほうが、不正検知手段の調整がやりやすくなります。

    この問題は、GraphQLと呼ばれるクエリ言語を搭載した新世代の統一APIではさらに大きくなります。GraphQLを使うとAPIをより効率的に利用できますが、GraphQL APIの呼び出しや外部との通信をどのように構成するかによって、ロックダウンすることが難しくなります。

    また、内部と外部のAPIを同じセキュリティ対策で扱っていない例も頻繁に見られます。理論的には、内部APIは外部からのトラフィックを受け取らないことになっていますが、実際には、巧妙なハッカーたちは、内部APIを見つけて危険にさらす方法を熟知しているのです。

    たとえば、「Amazon Web Services」のS3ストレージサービスを狙った攻撃が増えています。ECアプリケーションは、外部から遮断された内部APIとしてS3にアクセスすることが多いためです。

    アプリケーション開発の際、決済情報や個人情報を保護するためにデータを暗号化するTLS(Transport Layer Security)など、標準的なセキュリティを内部APIに導入していないケースが多いのも問題です。さらに言えば、いまだにWebアプリケーションへの直接攻撃を最大の脅威と考えているため、APIの制御やセキュリティ対策にそれほど時間や労力を割いていません。

    また、アプリケーション開発チームが、API攻撃の詳細についてはあまり知らない傾向にあります。このような理由から、APIのクエリの動作を調べることが少なく、異常なパターンに気づくことも少ないのです。

    自動化された攻撃を防ぐためにAPIセキュリティを強化する方法

    APIのセキュリティを強化したいと考えているEC事業者は、すでに効果が立証されている事例を真似するところから始めましょう

    まず、統合されたAPIを使っている場合、Webアプリ、モバイルアプリ、サードパーティパートナー、サプライヤー、関連会社それぞれを、外部トラフィック用の個別のAPIに分離することを検討すべきです。また、内部APIが不用意に公共のインターネットに公開される可能性があるため、内部トラフィックを含むすべてのAPIトラフィックをTLSで暗号化する必要があります。

    別の賢いセキュリティ対策は、APIコールのレートを制限することです。これにより、大量ボットによる自動ブルートフォース攻撃(※編注:ユーザーのアカウントやパスワードを解読し、考えられるすべてのパターン・組み合わせを試す総当たり攻撃手法)の影響を軽減することができます。

    また、攻撃をより明確に特定するのにも役立ちます。レートの制限は、APIにアクセスする外部の当事者の信頼度や、コールに付随する識別要素に応じて変更とすることも可能です。

    3つ目の対策方法は、ログファイルにAPIコール用のバケットを作成、APIダッシュボードや定期的なレポートを作り、セキュリティチームが異常や異常値を発見できるようにすることです。具体的なセキュリティチームの対応としては、API経由の不正行為の割合と他のチャネルの割合を定期的に監視する必要があります。

    セキュリティチームやアプリケーション開発チームが採用できる最も高度で強力な手法は、機械学習を活用して悪質なAPIコールのパターンや行動を特定することです。機械学習は、人間よりもはるかに多くのデータポイントを、はるかに迅速に分析できるため、どのAPIコールが攻撃用ボットから来ている可能性が高いかを判断することができます。

    機械学習は、ネットワークやクラウドホストの発信元、コールの構造やタイプ、小売事業者のサイトの対象となるページやアイテムなど、何百もの異なるデータポイントを分析します。これを実現するサードパーティのサービスもありますが、セキュリティチームが既存の機械学習ツールを利用して、社内で能力を確保、構築、維持することも可能です。

    ◇   ◇   ◇

    API戦略の構築とAPI保護の改善の緊急性は、いくら強調してもし過ぎることはありません。API攻撃の頻度と深刻さが増し続けるなかで、APIは顧客への詐欺を狙う犯罪者が好む攻撃対象になる可能性が高いです。

    しかしながら幸いなことに、APIのセキュリティを向上させるための道筋は確立されています。現在もこれからも、API攻撃からECサイトを守ることは可能です。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360
    Digital Commerce 360

    中小企業20万円/月、個人事業主10万円/月を給付する「月次支援金」の申請受付スタート、原則Webサイトからの電子申請

    4 years 5ヶ月 ago

    「緊急事態措置」「まん延防止等重点措置」による「飲食店の休業・時短営業」「外出自粛等」の影響で、売り上げが50%以上減少した中小法人などに月額上限20万円、個人事業主などに月額上限10万円を給付する「月次支援金」の申請受付が、6月16日(水)に始まった。

    申請はWebサイトの電子申請が原則。ただ、電子申請の手続きができない事業者などをサポートする「申請サポート会場」も、全国64か所で運営する。

    4月分、5月分の申請期間は6月16日から8月15日。6月分の申請期間は7月1日から8月31日。

    「月次支援金」とは

    「緊急事態措置」「まん延防止等重点措置」に伴う「飲食店の休業・時短営業」「外出自粛等」の影響で、2021年の対象月の売り上げが2019年または2020年の基準月(2021年の対象月)の売り上げと比較して、50%以上減少した中小法人、個人事業者などに、事業の継続・立て直しのための支援金を給付する制度。

    「月次支援金」の給付は2021年1月に発令された緊急事態宣言の影響緩和のための給付金制度「一時支援金」の仕組みを採用。事前確認や提出資料を簡略化し、申請者の利便性を高めるとしている。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    楽天が福岡県糟屋郡と大阪府八尾市に物流センターを新設

    4 years 5ヶ月 ago

    楽天グループ(楽天)は、福岡県糟屋郡と大阪府八尾市に物流センターを新設する。

    日本GLPが開発する大型物流施設「GLP福岡粕屋」「GLP八尾Ⅰ」の全フロアを賃借。2023年までに「Rakuten Fulfillment Center Fukuoka(仮)」「Rakuten Fulfillment Center Yao(仮)」として稼働する予定。

    福岡県糟屋郡の新施設は、延べ床面積約1万2500坪(約4万1000平方メートル)、大阪府八尾市の新施設は延べ床面積約1万6400坪(約5万4000平方メートル)。両施設ともに、高速道路から近く、アクセスに優れた物流拠点。

    楽天グループ 福岡県糟屋郡の新施設のイメージ
    福岡県糟屋郡の新施設のイメージ
    楽天グループ 大阪府八尾市の新施設
    大阪府八尾市の新施設のイメージ

    楽天は現在、千葉県の流山市、習志野市、大阪府の枚方市で、「楽天市場」の出店店舗の商品の保管から出荷までを担う総合物流サービス「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」の物流センターを運営している。

    また、千葉・市川市、兵庫・川西市、神奈川・横浜市と相模原市には、「楽天ブックス」「Rakuten Fashion」「楽天24」「楽天西友ネットスーパー」などの直販サービスの物流センターがある。

    物流センターの新設は、EC需要の高まりにより今後の稼働率上昇が想定されるため。神奈川県大和市、東京都八王子市にも物流センターを新設する方針を公表している。

    楽天グループ 物流拠点を拡充する
    物流拠点を拡充する(画像は楽天グループのIR資料からキャプチャ)

    楽天は、EC物流の健全化を目的に「楽天市場」における包括的な物流・配送サービスを構築する「ワンデリバリー」構想を掲げており、今回の物流センターの新設もその一環となる。

    楽天の2021年1-3月期(第1四半期)では、総合物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」を利用する店舗、出荷量は前年同月比で大きく拡大。利用店舗における流通総額も高成長を遂げている。

    楽天グループ の利用店舗数と出荷量の増加について
    「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」利用店舗数と出荷量の増加率(画像は楽天グループのIR資料からキャプチャ)
    楽天グループ 「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」利用店舗の流通総額の伸び
    「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」利用店舗の流通総額の伸び(画像は楽天グループのIR資料からキャプチャ)

    楽天は今後、日本郵便と物流拠点や配送システム、受取サービスの構築、楽天フルフィルメントセンター、ゆうパックなどの利用拡大に向けた取り組みを共同で進める予定。楽天が新設する完全子会社「JP楽天ロジスティクス合同会社」に、物流事業に関する権利義務を簡易吸収分割の形式で承継。7月1日に楽天、日本郵便が「JP楽天ロジスティクス合同会社」に出資し、翌日に「JP楽天ロジスティクス株式会社」へ商号変更する。

    石居 岳
    石居 岳

    高齢者のEC利用が増加、「ネットで情報収集&ショッピングをする」は31%

    4 years 5ヶ月 ago

    内閣府が6月11日に公表した「令和3年版 高齢社会白書」によると、「インターネットで情報を集めたり、ショッピングをする」高齢者が増加している。

    60歳以上の人に、情報通信機器の利用内容を聞いたところ(複数回答)、「インターネットで情報を集めたり、ショッピングをする」は2015年調査と比べて15.2ポイント増の31.7%だった。

    SNS(Facebook、Twitter、Line、Instagramなど)を利用する割合は12.6%。

    内閣府が6月11日に公表した「令和3年版 高齢社会白書」 情報通信機器の利用内容
    情報通信機器の利用内容(複数回答、画像は「令和3年版 高齢社会白書」より)

    利用している情報通信機器について(複数回答)、スマートフォンは44.5%。パソコンは31.1%だった。

    内閣府が6月11日に公表した「令和3年版 高齢社会白書」 普段利用している情報通信機器
    普段利用している情報通信機器(複数回答、画像は「令和3年版 高齢社会白書」より)

    過去1年間にインターネットを利用したことがあるかを、年齢階級別に2019年と2010年を比較すると、80歳以上が37.2ポイント増と最も大きい。次いで70~79歳が35ポイント増、60~69歳が26.1ポイント増。インターネットを利用する60代以上の者が増加傾向にある。

    内閣府が6月11日に公表した「令和3年版 高齢社会白書」 利用者の年齢階級別インターネット利用率
    利用者の年齢階級別インターネット利用率(画像は「令和3年版 高齢社会白書」より)

     

    瀧川 正実
    瀧川 正実
    確認済み
    8 分 30 秒 ago
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