ネットショップ担当者フォーラム

テレビ通販大手の新たな施策。ショップチャンネルは「コト」「体験」の販売、ジャパネットはふるさと納税

4 years 6ヶ月 ago

テレビ通販大手のジュピターショップチャンネル、ジャパネットたかたなどを傘下に持つジャパネットホールディングスが新たな販売施策を始めた。

「コト」「体験」販売で手数料収入、新たなビジネスモデルを構築

ショップチャンネルは6月以降、「コト」「体験」などのサービス・コンテンツ商材の販売を拡充する。

ショップチャンネルが「コト」「体験」の販売に乗り出すのは消費者のニーズの多様化に対応するため。旅行、健康、趣味、エンターテインメントなど、取り扱っていく。

取り組みの第1弾として、6月1日の18時~19時にショップチャンネルの番組内で、月額サービスへの加入でスポーツジムのレッスンを自宅で受けられるミラー型自宅トレーニング用フィットネスデバイス「フィットネスミラー」を販売した。

ジュピターショップチャンネルが「コト」「体験」の販売を拡充。「フィットネスミラー」の販売をスタート
「フィットネスミラー」の番組(画像は放映番組をキャプチャ)

番組内では「フィットネスミラー」を特別価格として14万9900円で販売(特別価格の期間以外は17万2700円)。購入者は「フィットネスミラー」が手元に届いた後、One Third Residenceが提供する月額サービス(月額5478円)へ契約することで、コンテンツの視聴、レッスンなどが受けられる。

ショップチャンネルの収益は、製品およびサービス紹介による手数料収入。番組経由でのミラー購入とサービス契約数が増えれば、毎月定期的な収益を計上できるようになる。ショップチャンネルはモノの仕入れ販売以外での新たなビジネスモデルの構築をめざす。

ジュピターショップチャンネルが「コト」「体験」の販売を拡充。「フィットネスミラー」の販売をスタート
「フィットネスミラー」の利用イメージ

今後、順次紹介するサービスを拡充するとしており、「コト」「体験」といったコンテンツ提供事業者からの募集も行っている。

商品提案ページ(クリックするとショップチャンネルの用意した専用ページへジャンプします)

ジュピターショップチャンネルの2019年度(2019年4月~2020年3月)売上高は前期比2.6%増の1634億円で、過去最高を更新している。

ふるさと納税をTV通販で。コンセプトは「電話一本」

ジャパネットホールディングスのグループ会社で、新規サービス事業などを手がけるジャパネットサービスイノベーションは、ふるさと納税の展開を5月にスタートした。

ふるさと納税に焦点をあてた番組「ジャパネットプレゼンツ 簡単・わかりやすい『ふるさと納税』」を自社制作。1回目は宮城県のふるさと納税。寄付金額は1口2万円で、返礼品は宮城県産のカキ。5月22日に放映した。ECサイトでも展開している。

ECサイトでも「ふるさと納税」を展開(画像はECサイトからキャプチャ)

番組コンセプトは、「電話一本」でできるふるさと納税。テレビ通販やラジオ通販などのコンタクトセンターを生かし、テレビ通販番組の視聴者へふるさと納税を案内する。

ジャパネットホールディングスは2019年から、通販事業に並ぶ2つ目の柱として、スポーツ・地域創生事業を掲げている。地域創生事業の取り組みの一環として、ジャパネットの強みである「見つけること」「磨くこと」「伝えること」を生かし、日本全国の魅力を届けたいとしてふるさと納税の事業展開を決めた。

番組では寄付を募る背景やその使途を丁寧に説明。制度本来の趣旨である「自治体が抱える課題と集めた寄付金の使われ方を理解・納得した上で、応援したい自治体へ寄付ができる制度」であることが伝わる内容をめざして制作したとしている。

ジャパネットたかたの持ち株会社であるジャパネットホールディングスの2020年12月期連結売上高は、前期比15.8%増の2405億円で過去最高を更新。コロナ禍で通販・EC需要が拡大。巣ごもり消費などで生活家電など通販事業が伸びた。

ジャパネットたかたなどを傘下に抱えるジャパネットホールディングスの売上高推移
ジャパネットホールディングスの売上高推移(画像はジャパネットHDのサイトからキャプチャ)
瀧川 正実
瀧川 正実

ショップチャンネルが現在5か所の物流センターを集約する新物流拠点を2020年4月に稼働

4 years 6ヶ月 ago

ジュピターショップチャンネル(ショップチャンネル)は、定点ピッキングシステムなど新たなシステムを導入した新物流センターを2022年4月に稼働する。

新物流センターは、千葉・船橋市内にある三井不動産ロジスティクスパーク船橋Ⅲ内に開設。商品の受入・検品・保管・出荷を一気通貫で行っている茜浜物流センターを中心に、国内5か所で稼働している物流拠点を今後、新センターに集約していく。

ジュピターショップチャンネルの新物流センター「ショップチャンネル南船橋物流センター」
新物流センターの外観イメージ

将来の事業成長に伴う取扱商品数や出荷数の増加への対応、分散している拠点を1か所に集約することでの業務効率化を図るため、新物流センターへの移転を決定した。

新物流センターには、物流システムの世界トップメーカーであるダイフクの機械やシステムを導入。作業員が倉庫内を歩き回ることなく定位置でピッキング作業が行える「定点ピッキングシステム」などの導入で自動化を推進、物流センターの効率的な運用をめざす。

ジュピターショップチャンネルの新物流センター「ショップチャンネル南船橋物流センター」
新物流センター内のイメージ

ショップチャンネルの2019年度(2019年4月~2020年3月)売上高は前期比2.6%増の1634億円で、過去最高を更新。創業来21期増収を続けてきたショップチャンネルは2018年度に売上高が初めて前年割れ(前の期比2.3%減の1593億円)したものの、1年でV字回復を果たした。

ショップチャンネル新物流センターの概要

  • 名称:ショップチャンネル南船橋物流センター
  • 所在地:千葉県船橋市浜町2-4-7 三井不動産ロジスティクスパーク船橋Ⅲ内 5~8階
  • アクセス:JR京葉線「南船橋」駅
  • 延床面積:9万5000平方メートル
  • 建物竣工:2021年6月30日(予定)
  • 稼働開始:2022年4月上旬(予定)
石居 岳
石居 岳

オルビスがIoT+パーソナライズ+定額制のスキンケアサービス「cocktail graphy」を開発した理由【サービス開発者に聞いてみた】

4 years 6ヶ月 ago
オルビスは、初の試みとなるパーソナライズスキンケアサービスを開始した。自宅で肌測定できるIoT「skin mirror(スキンミラー)」、3本のパーソナライズスキンケア、専用アプリを提供する

オルビス初のパーソナライズ領域参入となった、肌測定IoTを用いたパーソナライズスキンケアサービス「cocktail graphy(カクテルグラフィー)」。独自開発したIoT「skin mirror(スキンミラー)」で肌測定を行い、専用アプリから質問に回答するとパーソナライズスキンケア3本を提案する。事業責任者であるオルビスの田村陽平氏(新規事業開発グループ グループマネジャー)、諸町実希氏(新規事業開発グループ)に開発のきっかけ、サービス設計、今後の展開、パーソナライズ領域参入の狙いなどを聞いた。

IoT×パーソナライズスキンケア「カクテルグラフィー」とは

「カクテルグラフィー」はオルビスが初めて取り組むパースナライズスキンケアサービス。専用のブランドサイトから申し込みをすると、オルビスが独自に開発した肌測定のためのIoT「スキンミラー」が届く。

パーソナライズスキンケアと肌測定IoT「スキンミラー」
パーソナライズスキンケアと肌測定IoT「スキンミラー」

「カクテルグラフィー」の利用は自宅の洗面所を想定している。専用接着パッドで鏡に取り付けた「スキンミラー」を外すと、その動作が起点となり自動で起動する。

まず頬に「スキンミラー」を当てて水分量を測定し、皮脂量・キメ・毛穴の状態を撮影。このわずか数秒でAIを用いた画像解析が行われる。そして、自動連携する専用アプリから自身の肌画像を確認した後、用意されたアンケートにスマホで回答する。質問内容は、「理想の肌状態は」「乾燥は気になるか」といったスキンケアに直接関係しそうなものから、ストレスや栄養バランス、運動頻度など。「スキンミラー」と顧客のスマホはBluetoothで連携する。

「スキンミラー」は直径58mm、厚さ約18mmの円形のデバイスで、片手でも簡単に持てる
「スキンミラー」は直径58mm、厚さ約18mmの円形のデバイスで、片手でも簡単に持てる

「スキンミラー」によって取得する肌のセンシングデータに加え、アンケートから得る肌悩みや生活習慣データ、GPSを利用した天候データを総合的に解析した結果は、“肌の持つ力”を表す5つの項目(うるおい、なめらかさ、バリア機能、ハリ・弾力、透明度)として、バランススコアで確認できる。

オルビスはこの結果から、利用者1人ひとりの肌状態に合わせて、役割の違う2本の美容液と1本の保湿液、計3本のパーソナライズスキンケアアイテムを選定し、毎月届ける。その組み合わせは数百通りにも及ぶという。

今の肌状態におすすめのお手入れ情報が朝晩2回、専用アプリに届く
今の肌状態にオススメするお手入れ情報が朝晩2回、専用アプリに届く

なお「スキンミラー」はスキンケアアイテムの選定だけではなく、肌の変化を観察し、アプリを通じて最適なスキンケア方法を提案するため、日常的な利用も想定して作っている。

鏡に付けることができる「スキンミラー」
「スキンミラー」は洗面所の鏡に付けることができる。自分の肌が気になる朝晩のスキンケア時に鏡に向かって手を伸ばせばすぐに利用できることから、「スキンミラー」を通じた日常的なブランドとの接点を創出する

「カクテルグラフィー」は3か月単位(1シーズン)で利用でき、価格は月額7,920円。初回のみ「スキンミラー」のレンタル料3,300円がかかる(金額はすべて税込み)。化粧水や乳液など、手持ちのスキンケア商品にプラスした使い方を想定している。

一線を画すオルビスの「パーソナライズ」の解釈

「カクテルグラフィー」が提供する3本のパーソナライズスキンケアは、それぞれ適量を手に取り、混ぜた状態で顔に塗布することが基本の使い方。目元の乾燥が気になれば保湿液の量を多めにするなど、顧客の判断で調整しても構わない。

肌状態に基づき、アプリから毎日届く「今日のおすすめお手入れ情報」のなかで、量の調整を提案することもある。柔軟性を持たせているのは、ユーザーにとってスキンケアが楽しい時間になってほしいという思いがあるからだ。

従来のパーソナライズ商品の多くは、「スキンケアの重要性は理解しているが、そんなに関心がない」「ゆっくり選んでいる暇が惜しい」という消費者を想定して開発されていることが多かった。そのため、「これを使っていればOK」という“正解”を提案する体験が目立つ。

一方、オルビスはこうした体験の提供とは一線を画そうとしている。パーソナライズを基本としながらも、あえてユーザーに選択の余白を持たせた設計にしているのだ。

オルビスは、創業当初から1人ひとりの肌本来の力を引き出すという信念をもっており、パーソナライズされたアイテムにおいても、自分なりの楽しみ方や納得感を感じるスキンケア時間を過ごしていただきたいと思っています。それが、肌の持つ力の可能性を広げることにつながり、結果として「カクテルグラフィー」など、オルビス製品を継続してご使用いただけることになると考えているからです(田村氏)

東京・表参道にあるオルビスの体験特化型店舗「SKINCARE LOUNGE BY ORBIS」2階。ORBISアプリ会員は自由にオルビス商品を利用できる
東京・表参道にあるオルビスの体験特化型店舗「SKINCARE LOUNGE BY ORBIS」2階。ORBISアプリ会員は自由にオルビス商品を利用できる

構想から約1年半でサービススタート

「カクテルグラフィー」というネーミングには、バーでオリジナルのカクテルを楽しむように、3本のパーソナライズスキンケアから顧客にスキンケアを楽しんでほしいという思い、「スキンミラー」を通じて肌データを記録(グラフィー)するという2つの意味を込めた。

「カクテルグラフィー」の構想が動き出したのは2019年夏。約半年の審議期間を経て開発に着手し、そこから約1年を要した。そして、2021年4月にサービススタートを迎えた。

新規事業開発グループの田村陽平グループマネジャー(右)と、 諸町実希氏
新規事業開発グループの田村陽平グループマネジャー(右)と、
諸町実希氏

「カクテルグラフィー」の開発着手に際して、その構想を社内でプレゼンしました。自宅の洗面所にデバイスを貼り付け、どういう体験をしてほしいかといった話は、語る方も聞く方も初めて。イメージしてもらうのに苦労しました。「カクテルグラフィー」で実現したいのは、「自分の肌だけに向き合える空間」の提供を通じて、「自分のスキンケアが正しくありたい。好きでもありたい」というお客さまの想いを叶え、そこに向かってとオルビスが一番身近な場所から伴走すること。この構想を伝えてからは、スムーズに開発のステップに進むことができました(田村氏)

「カクテルグラフィー」の利用シーンは、当初から自宅の洗面所に着目。ハード・ソフト両面で構想し、肌測定デバイスが自宅の鏡に付いている絵を描いていたという。

自分の肌をもっと知りたい――。そう願う消費者は多いだろう。とはいえ、毎日スキンケア情報を記録するのは簡単ではない。そこで「スキンミラー」を使って、簡単に情報を取得・記録できるように「カクテルグラフィー」をデザインしているのだ。

「カクテルグラフィー」はオルビス初のIoT。ハードウェアとソフトウェア設計、ブランディングからサービス開発までを一気通貫で手がける富士通グループのRidgelinez社とタッグを組んで開発した。

測定・問診・天候データでパーソナライズ

以下の画像は、解析結果を数値やグラフで表現したもの。自身の肌測定の中央値であり、同年代と比較した偏差値といったデータではない。数値が上振れればスキンケアの効果が出ている、下がれば丁寧にスキンケアをするきっかけになるような、「シンプルに自分の肌だけに向き合える構造」(田村氏)になっているという。

肌の解析結果は“肌の持つ力”を表す5つの項目としてバランススコアで表示される
肌の解析結果は“肌の持つ力”を表す5つの項目としてバランススコアで表示される

現在肌の測定結果は約3万パターンで、パターンに応じてコメントを用意している。肌測定にはAIを使っているものの、コメントは現状、すべて手作業で作成しているそうだ。

肌のキメや油分量といった各スコアの測定にはAI技術を使っていますが、すべてのスコアを総合的に評価し、測定結果にひも付くコメントは、ビューティアドバイザーの協力の下、1つひとつ手作業で作成しました。「カクテルグラフィー」では、肌の状態に適切なコメントや提案をすることが最重要だと考えているので、今までオルビスが培ってきた知見や技術を生かしながら、お客さま1人ひとりをサポートするコメントを自分たちで作った方がいいと判断したからです。今後はお客さまからいただくフィードバックなどをもとに、より納得性の高いアドバイスができるように改善を進めていく方針です(田村氏)

アプリがユーザーとスキンケアの接点に

オルビスが定期販売モデルのパーソナライズスキンケアアイテムを発売した背景には、次のような課題感があったからだという。

これまでオルビスは、自分に合った色や商品を知ることができる診断サービス、ビューティアドバイザーなどがオンラインツールを活用したカウンセリングで“お買い物”シーンにおける体験価値向上に取り組んできました。しかし、お客さまが商品を購入された後の“使用”シーンにおける接点はありませんでした(田村氏)

商品を買ってもらい、肌の調子がよくなっても、次のステップへの提案は次回購入時になる。タイムリーに適切なアドバイスを届けることができなかったのだ。

しかしユーザーが定期的に利用することになる「カクテルグラフィー」は、「スキンミラー」や専用アプリを通していつでもユーザーとコミュニケーションを取れるようになる

専用アプリには「カクテルグラフィー」の使い方、肌の毎日のお手入れコンテンツを用意。肌解析結果に合わせたスキンケアメソッドを、朝・夜に配信している。これにより「スキンケア時間に寄り添い、お肌の変化を踏まえた提案を行えるようになる」(諸町氏)。

3か月契約のうち、最後のパーソナライズスキンケアの提供が終わると、専用アプリにシーズンレポートが届く。3か月間における調子が良い時と良くない時の肌の傾向を分析しており、中期的に自身の肌を振り返る契機となる。また季節により必要なスキンケアも変わってくるので、次の3か月に必要な手入れも提案される。

スキンケアは毎日同じルーティンになりがちですが、「スキンミラー」があることによっていろいろな楽しみ方を提案でき、肌のリアルな変化を踏まえて、お客さまに寄り添うことができます。また洗面所というのは、日々肌と向き合える場所でもあります。“自分の肌について知りたい“と思った瞬間に手を伸ばせば知ることができる体験を作りたいと考えました(田村氏)

ボトルの底面に施したカラーからも「カクテル」を想起させるこだわり
ボトルの底面に施したカラーからも「カクテル」を想起させるこだわり

リテンションのカギを握るスキンケアアドバイス

「カクテルグラフィー」の展開は、オルビスにとっては単なる美容アイテムの販売という意味を超えて、ビジネス的なメリットがある。

多くの化粧品ブランドがSNSを通じた宣伝、ECサイトでの販売を強化しているなか、広告や店頭でオルビスの商品を選択肢に入れてもらうのは年々難しくなっている。これはオルビスに限らず、どのブランドでも同じだ。

こうした状況下、オルビスは肌測定IoT「スキンミラー」を用いたパーソナライズスキンケアサービスを通じて、「洗面所」に、物理的なコミュニケーション接点を創出する。肌の状態を捉えた最適なスキンケア方法を、日々アプリを通してユーザーに提案することになるが、肌測定に対するスキンケアのアドバイスやコメントがユーザーに受け入れられれば、親和性が高いオルビスの化粧品購入も期待できる。

ユーザーが「肌のことを知りたい」と思ったときに、「スキンミラー」とアプリを通じて、どれだけ気持ちに添える内容をリコメンドできるかがリテンションの鍵となる。

商品の拡充など、今後の展開は?

「カクテルグラフィー」のパーソナライズアイテムは、美容液と保湿液からスタートしている。化粧水や乳液など他のスキンケア商品を用意していないので、「カクテルグラフィー」単体で手入れが完結するというよりは、手持ちのスキンケアに「カクテルグラフィー」を足して使うことになるだろう。

これは商品のメインターゲットとしている「美容感度の高い30代の女性」は、すでにある程度自分のスキンケアが定まっているため、まずは美容液が取り入れやすいだろうという考えに基づいている。そのため次は化粧水や乳液などを展開するのかと思いきや、必ずしもそういうわけでもなさそうだ。

美容液以外にも、カテゴリーの幅を広げる可能性はもちろんあります。ただ「スキンミラー」やアプリ上のアンケート回答を通じて得たデータは、スキンケアだけに活きるわけではありません。もしかしたら食やヘアケアの方がお客さまには役立つかもしれないので、いろいろな観点から、どのようにしたらお客さまをサポートできるかを考えていきたいです(田村氏)

スキンケアができるのだから、メークアップの提案もされるのではないかと期待するところだが、今のところ「スキンミラー」を通じたメークアップは計画していないとのこと(ただし田村氏らが所属する新規事業開発グループでは、「カクテルグラフィー」以外の新規事業構想もあるようだ)。

「スキンミラー」は水分量・皮脂量・キメ・毛穴の状態が測定できるため、顔だけでなくたとえば頭皮の状態も測定できる。それならばもしかしたらトリートメントの提案ができるかもしれないし、体の外側だけでなく内側に影響する食の提案ができるかもしれない。洗面所というリアルな空間を通じてなされる提案は、スキンケアに留まらず大きな可能性を秘めていそうだ。

納富 隼平
納富 隼平

「バーチャルメイク」の導入で、コスメのCVR2倍以上、売り上げ8倍!? 化粧品EC、小売店の活用事例 | パーフェクト ブログ 〜美容×DXの最新トレンドを紹介〜

4 years 6ヶ月 ago
CVR2倍以上、売り上げ8倍を実現する「バーチャルメイク」。化粧品EC、小売店の活用事例から高い効果につながる理由をひも解く

AI(人工知能)やAR(拡張現実)技術を利用して、ユーザーの顔面にまるで本物のメイクを施しているように見せる「バーチャルメイク」。サービスを搭載したタブレットを店頭に設置する小売店、ECサイトで自社商品のバーチャル体験機会を提供する化粧品ブランドなど、世界各国で導入が進んでいます。バーチャルメイクが急速に普及している背景には、導入後の売り上げが8倍に拡大など短期的な成果のほか、LTV向上も見込めるところにあります。今回は、国内外の事例からバーチャルメイク導入によるビジネス効果を見ていきましょう。

Amazon、資生堂も採用する「バーチャルメイク」。導入後のCVR2~6倍という事例も

「バーチャルメイク」は、スマートフォンやタブレット、PCなどに搭載されたカメラを通じて画面に映し出されたユーザーの顔面に、AIやARを利用して、本物のメイクを施したように見せる技術のことです。近頃は「バーチャルメイク」機能を使えるビデオ会議ツールも増えてきていることから、利用経験がある方も多いのではないでしょうか?

2020年8月には資生堂が、SnapchatのPC用カメラアプリ「Snap Camera」(スナップカメラ)を介して、メイクアップブランド「マキアージュ」の最新メイクを楽しめるARフィルターの提供を開始しました。「Microsoft Teams」「Zoom」「Skype」「Google Hangouts」など、主要なPCオンライン会議ツールで利用できます。

資生堂が提供している「Snap Camera」
資生堂が提供している「Snap Camera」(画像:サービス紹介ページより編集部がキャプチャ)

「バーチャルメイク」のメリットは、企業側、ユーザー側ともにあります。従来店頭でカラーもののコスメを試す場合には、「メイクを落とす→肌に色を乗せる」といったプロセスが必要でした。これら一連のプロセスを行うと、口紅の場合1色あたり数分はかかるので、店頭での体験は、多くても一度に4~5色が限界だったはずです。

一方、バーチャルメイクであれば、実際のメイクを必要としません。画面をタップし商品を選択するだけで、リアルの商品に近いテクスチャーや色味を体験できるので、「試す」ハードルが下がります。実際、30秒で30色を試すことも可能です。その結果、従来は接客のタッチポイントがなかったブランドや色味と出会うきっかけが生まれ、購入機会へとつながります

パーフェクト社のバーチャルメイク技術を導入している企業の実績
パーフェクト社のバーチャルメイク技術を導入している企業の実績

AmazonもECサイト上でバーチャルメイクを採用するなど、大手からスタートアップまで、多くの企業が導入を進めています。企業がバーチャルメイクに注目するのは、一度バーチャルで試してからの本商品購入率は、試していないケースと比べると、2~6倍(*パーフェクト社調べ)になるなど高い効果が期待できるからです。

また、中国のオンラインショッピングモール「Tmall」は、バーチャルメイクの導入により、売り上げが8倍になり、コスメ購入者のページ滞在時間が平均5倍に伸びたそうです。

事前にバーチャルで試すことで、化粧品ECのペインポイントである「イメージと違った」を回避でき、その結果、購入率アップにつながっています。

今はコロナ禍で、マスクの着用が欠かせません。カネボウ化粧品のコスメブランド「KANEBO」はニューノーマル時代の消費者行動にあわせ、2021年3月にバーチャルメイクとバーチャルマスクの同時体験を可能にしたサービスの提供を開始。先端のAR技術を搭載しています。

KANEBOは、バーチャルメイクとバーチャルマスクの同時体験を提供
KANEBOは、バーチャルメイクとバーチャルマスクの同時体験を提供(画像:KANEBOのサイトより編集部がキャプチャ)

サイト滞在時間、カート追加率アップ。米ブランド「tarte」の事例

実際の事例からバーチャルメイク導入の効果を見ていきましょう。

2014年にコーセーが買収した米国の自然派コスメブランド「tarte(タルト)」の事例を紹介します。店舗展開のほか、ECサイト「tarte.com」は世界50か国以上を対象に製品を発送しています。

「tarte」は、コロナ禍で自宅からでも買い物を楽しんでもらう方法を模索するなかで、自社ECサイトにバーチャルメイク技術を導入しました。早くも、「カート追加率30%増」「サイト内滞在時間3ケタ増」「売上200%増」などの成果が出ています。

「tarte(タルト)」のバーチャルメイク導入イメージ
「tarte(タルト)」のバーチャルメイク導入イメージ

自宅にいても、バーチャルメイクを利用することで、自分にピッタリのファンデーションの色味を確認できたり、欲しいカラーを吟味できたりと、店頭に近い感覚でオンラインショッピングを楽しむことができるため、これらの成果につながっています。

興味深いのが、バーチャルメイク導入後、サイト滞在時間の増加や売上向上につながっただけでなく、ファンデーションの色味に関してアドバイスを求めるカスタマーサービスへの問い合わせ件数が2ケタ減少になったことです。バーチャルメイクを利用することで、ユーザーが自身で肌に近いファンデーションの色味を探し、“試せる”ので、問い合わせ件数が大幅に減ったと考えられます。

PV数11.4倍、平均滞在時間が2.48倍増加した「コフレドール」のバーチャルメイク導入例

カネボウ化粧品のトータルメイクアップブランド「コフレドール」が、2020年9月17日にローンチした「COFFmi(コフミ)」の事例を紹介します。「COFFmi」は、水分・油分・シミ・キメ・顔の特徴をデジタル上で分析し、約7,000通りからユーザーの顔に似合うメイクを提案し、そのメイクをバーチャルでシミュレーションできるというサービスです。LINEを活用し、ユーザーはLINE上でカウンセリングを受けることができます。

このコンテンツは、開始から1週間で10万回以上利用され、LINEの公式アカウントとつながる「お友だち」数は、2週間で30万人を突破しました。

サービス提供後に、カネボウ化粧品がバーチャルメイク機能を搭載している「COFFmi」のページと、同時公開のバーチャルメイク機能を搭載していない別製品のスペシャルページを比較したところ、PV数が11.4倍、平均滞在時間は2.48倍という結果が出たそうです。

「COFFmi」が提供しているバーチャルメイクのイメージ
「COFFmi」が提供しているバーチャルメイクのイメージ

昨今は、衛生面への配慮からテスターを設置していなかったり、ビューティカウンセラーによるタッチアップを自粛したりするなど、ユーザーが実際の商品を試す機会が減っています。

カネボウ化粧品では、店頭でのサポート役としても「COFFmi」を利用しているため、「商品の疑似体験ができる」とお客さまから好評のようです。実際バーチャルトライのアクセス数は「COFFmi」ローンチ前と比較し、週間平均で4.9倍に増加。2020年3月に行なった特別キャンペーン時と比較しても、1.3倍に増えています。

バーチャルメイクの提供は、ブランドエンゲージメント向上にも

最後に、長期間実店舗の閉鎖が続くなど、小売業界全体に大きな影響が出ている海外の事例から、エンゲージメントの観点で、バーチャルメイクの可能性を探っていきます。

美容専門店の「Ulta Beauty」が提供するバーチャルメイクアップサービス「GLAMlab」は、コロナ禍以前と比べて5倍以上、1900万色がバーチャルトライされました。また2020年にはバーチャルでお試しできる対象を、髪の毛、眉毛、まつ毛に拡大。肌解析サービスの提供も行い、ユーザーが自宅からでも安全に買い物を楽しめるようにさまざまな施策を行ってきました。

Ulta Beautyが提供するバーチャルメイクアップサービス「GLAMlab」
Ulta Beautyが提供するバーチャルメイクアップサービス「GLAMlab」(画像:サイトより編集部がキャプチャ)

ロレアルは、コロナ禍においてバーチャルメイクアップツールの利用率が5倍に拡大。また、広告から購入への転換率は、バーチャルメイクを試したユーザーの方が、非体験ユーザーに比べ3倍高かったそうです。これらの結果からも、バーチャルメイクの導入がいかに、エンゲージメント向上に寄与しているかが分かるのではないでしょうか。

次回は、「AI肌診断」に関する考察をご紹介します。

※本稿は『パーフェクト ブログ』の記事をネットショップ担当者フォーラム用に編集した記事です
※所属・役職はオリジナル記事公開当時のものです
磯崎順信
磯崎順信

休業者が直接申請できる「休業支援金」の中小企業向け申請期限を7月末まで延長

4 years 6ヶ月 ago

新型コロナウイルス感染症の影響で勤務先から休業させられたものの、勤め先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、生活資金を申請できるようにする労働者向けの給付制度である「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(休業支援金)に関し厚生労働省は、中小企業向けの申請期限を7月末まで延長すると発表した。

申請期限延長の対象は2020年4月~12月の休業分。従来は5月末だったが、2か月延長する。2021年1~4月の休業分は現行通り7月末、5~6月分は9月末までとする。

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(休業支援金)
休業支援金の申請期限延長について

中小企業の選択によって雇用調整助成金を活用しない企業から休業手当を受け取れないといった労働者が直接現金を申請できる「休業支援金」は、中小企業・大企業の被保険者(労働者)に対し休業前賃金の80%を、国が休業実績に応じて支給する制度。

原則的な措置の1日あたりの上限金額は、2021年4月までは1万1000円、5月以降は9900円に減額した。なお、対象期間について厚労省は、7月末まで延長すると発表している

緊急事態宣言、感染が拡大している地域(まん延防止等重点措置対象地域の知事による基本的対処方針に沿った要請)については、都道府県知事による要請を受けて時短協力などに応じた企業による休業で、事業主に休業させられる労働者が休業手当を受け取れないときの助成額の上限額は1万1000円。

大企業については、シフト労働者など(労働契約上、労働日が明確ではない労働者)が対象。中小企業での日々雇用やシフト制で、実態として更新が常態化しているケースにおいて、事業主が休業させたことについて労使の認識が一致した上で支給要件確認書を作成すれば支給対象としている。

瀧川 正実
瀧川 正実

しまむらや大手小売のEC事業に見る実店舗とネット通販のシナジー、店舗受け取りの効果

4 years 6ヶ月 ago
しまむらのECサイトを通じた店頭受け取りの顧客は、買上点数、客単価は大幅向上。ユニクロ、TSI、ベイクルーズなど店舗とECを併用する顧客の客単価は、シングルチャネルを大きく上回る

ECサイトの商品購入後における重要な顧客体験と位置付けられる商品の受け取りに関し、実店舗を展開する企業が注力している「店舗受け取り」。優良顧客の醸成、買い回りによる顧客単価や購入店数の向上に直結するとされている。店舗受け取りを展開する小売企業ではどのような効果が出ているのか。しまむらの事例や効果を中心に、小売店各社の取り組みをまとめた。

EC注文の9割が「店舗受け取り」、客単価、買上点数は大幅上昇

2020年10月に自社ECサイト「しまむらオンラインストア」をオープンした、しまむらの2021年2月期におけるEC売上高は約17億円。商品の受取方法は店舗受け取りが約9割で、自宅配送が約1割。「当初の想定よりも高く、オンラインストアと実店舗との相互送客に大きな効果を発揮している」(しまむら)と言う。

「しまむらオンラインストア」の初年度について
「しまむらオンラインストア」の初年度について(2021年2月期の決算説明会資料からキャプチャ)

しまむらによると、2021年2月期における店舗での買い物について、買上点数は約3点、1点単価は約900円、客単価は約2700円。

一方、ECサイトを通じた店頭受け取りの顧客は、EC注文分は約1.5点、店舗での買い物は約3点で、合計買上点数は約4.5点。そして、客単価は約4800円に跳ね上がる

しまむらが展開している「しまむら事業」のECサイトでの注文商品は、実店舗の物流・配送網を使って商品を送る店舗受け取りは「送料無料」、個人宅配送は「ゆうパック」の場合は全国一律送料550円(税込、大物の場合は税込1100円)「ゆうパケット」は対象商品1点注文の場合のみ全国一律税込220円。送料を販売事業者が負担する送料無料バーは設定していない。

また、ショッピングカート内では、商品合計価格の下に「店舗受け取りなら送料0円!」と表示し、店舗受け取りの「お得さ」を強調。こうした取り組みが店舗受け取りの増加につながっている。

「しまむらオンラインストア」のショッピングカートの画像。赤枠内で「店舗受け取りなら送料0円!」と表記している
「しまむらオンラインストア」のショッピングカートの画像。赤枠内で「店舗受け取りなら送料0円!」と表記している(画像は「しまむらオンラインストア」からキャプチャ)

しまむらの中期経営計画では、EC売上について2022年2月期が50億円、3年後に120億円を目標に掲げる。2022年2月期のEC売上は、しまむら事業で40億円、バースデイ事業で6億円、その他事業で4億円。店舗受け取りは全国約2200か所の実店舗に広げ、「EC事業とのシナジー効果を最大限に発揮する」(しまむら)としている。

店舗受け取りのメリットは、商品受け取りの前や後での買い回り。そして、商品配送コストを大きく抑えることができる点。

しまむらのEC事業は、実店舗の物流・配送網を使って配送コストを抑制、「ローコストEC」を事業構造の根幹としている。店舗受け取りはしまむら事業の物流網で配送し、個人宅配送の場合は宅配業者に配送を委託。リードタイムは店舗受け取りで通常3~9日、個人宅配送は通常2~5日間。

配送コストを大きく抑えながら顧客接点を拡大できる店舗受け取りを活用した店舗についてビジュアルマーチャンダイジング(VMD)のてこ入れを検討。次のようにコメントしている。

ECから店舗への送客による買上点数向上が店舗売上の向上に寄与する可能性が高いため、店舗において、関連販売で何を売っていくか、レイアウトをどのようにするかなどを研究していく

ユニクロ、TSI、ベイクルーズ、ワークマンの効果

店舗受け取りを利用する顧客は、一般的に実店舗とECサイトを使う併用客。優良顧客とされる併用客の顧客単価、購買回数は、どちらか一方のチャネルのみ利用する顧客を大きく上回るとされる。

少し前のデータになるが、ユニクロの2019年8月期におけるEC受注商品の受け取り種別では、44%が店舗受け取り。

実店舗とECを併用する利用者は、3年間(2017年8月期~2019年8月期)で44%増(年平均成長率)。チャネル別の年間平均購入金額・平均年間購入回数では、ECのみが1万4109円で2.2回、実店舗のみが1万7198円で3.9回。併用者は、どちらかのチャネル利用者を大きく上回る4万4034円で9.8回となっている

ecbeing ECサイト構築 ファーストリテイリング 店舗とECの融合
ファーストリテイリングが2019年8月期に公表したデータによると、EC・店舗の併用者は、購入回数・購入単価ともに単独チャネルの利用者を大きく上回る(ファーストリテイリングの公表資料から編集部が作成)

TSIホールディングスグループのEC専門会社TSI ECストラテジー(現在はTSIに統合)の社長を務めていたトランスコスモスの柏木又浩常務執行役員によると、2019年2月期には「シングルチャネルの年間平均購入金額は2万5000円前後。店舗とECの併用顧客の年間平均購入単価は10万円を超えた」と言う。

ユニファイドコマース(オムニチャネルで実現した統合プラットフォームをベースにリアルタイムに顧客を理解し、顧客1人ひとりに価値あるショッピング体験を提供すること)戦略を進めるベイクルーズでは、店舗とECのクロスユース率と購入平均単価が向上。両チャネルを利用する消費者の購入金額は、店舗だけを利用するユーザーの約3倍になるなど、クロスユースの推進効果が出ているという。

これからお客さまの生活様式、購買行動が著しく変化していくであろう激動の時代において、自由度が高く、スピード感を持った対応が可能な自社ECサイトの役割は、ECでの売り上げだけでなく、店舗売上の獲得においてもさらに重要度を増していく。(ベイクルーズの上席取締役副社長の野田晋作氏)

「店舗在庫」による「店舗受け取り」を軸にしたClick&Collect(クリック&コレクト)を展開、全国900店以上の実店舗への送客を推進しているワークマンのEC事業では、2021年3月期における店舗受け取りの比率は57%で、EC売上高は24億4000万円だった。

ECサイトでは、購入金額が1万円以上で送料をワークマンが負担する送料無料バーを設定。一方の「店頭受け取り」は「店頭在庫」を軸にしているため、送料はかからない(「店舗受け取り」はワークマンオンライン会員限定のサービス)。

当面の店舗受け取りの目標数値は70%。ワークマンはEC大手の規模の経済による宅配コストの優位性には、宅配コストのかからない「店舗在庫の店舗受け取り」で対抗する

ワークマンの「店舗在庫」による「店舗受け取り」を軸にしたClick&Collect(クリック&コレクト)について
Click&Collect型ECの特徴(画像はワークマンのIR資料からキャプチャ)
瀧川 正実
瀧川 正実

【父の日】「Yahoo!ショッピング」で「ゴルフ練習用品」が前年比7.9倍の売れ行き

4 years 6ヶ月 ago

ヤフーの「Yahoo!ショッピング」では2021年、父の日ギフトにおける「ゴルフ練習用品」の取扱高が前年比7.9倍と大きく伸びている。なかでも、自宅でパターやドライバーなどのスイングが練習できるゴルフマットが人気という。

「Yahoo!ショッピング」内では、父の日ギフトとしての「ゴルフ練習用品」の取扱商品数が3.1倍に増加。父の日に「ゴルフ練習用品」をプレゼントするのは、コロナ禍のトレンドになっていると言えそう。

ヤフーの「Yahoo!ショッピング」では2021年、父の日ギフトにおける「ゴルフ練習用品」の取扱高が前年比7.9倍と大きく伸びている
父の日ギフトの「ゴルフ練習用品」取扱高前年同日比(5/10-5/27の商品名に「父の日」を含む「ゴルフ練習器具」カテゴリ内商品が対象)

2021年春、米国で行われたマスターズ・トーナメントで、プロゴルファーの松山英樹選手が日本人で初めて優勝。「Yahoo!ショッピング」で「ゴルフ」を含むキーワードの検索数は前年比で1.5倍に増えており、ゴルフカテゴリー全体の取扱高も2021年と比べて増加している。

松山選手のマスターズ優勝は、ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)のECサイト「GDOゴルフショップ」の売れ行きにも影響を与えた。各アイテムのPV(ページビュー)、実売数は優勝後、マスターズの前週を大幅に上回ったという。

PV数ではドライバー(651%)、ボール(329%)、ポロシャツ(304%)の順でマスターズの前週を大幅に上回った。実売数はドライバー(414%)、パンツ(406%)、ボール(366%)。

ゴルフのメジャー大会「マスターズ」で松山英樹選手が日本人選手として初めて優勝 マスターズ週とその前週の各アイテムPV数
マスターズ週とその前週の各アイテムPV数
ゴルフのメジャー大会「マスターズ」で松山英樹選手が日本人選手として初めて優勝 マスターズ週とその前週の各アイテム購買数
マスターズ週とその前週の各アイテム購買数

自宅で「ゴルフ練習」といったニーズのように、2021年は自宅消費の父の日ギフトの需要が伸びている。家具のネット通販などを手がける、まくらが6月4日に発表した情報メディアサイト「父の日.jp」の調査によると、父の日に贈りたいギフトは、1位が「お酒・ビール」で36.8%、2位は「食品・スイーツ」で24.4%、3位は「健康・生活雑貨」の11.4%だった。

石居 岳
石居 岳

画像を変えたら売上3倍! クリックされやすい画像の法則とは【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

4 years 6ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年5月31日〜6月6日のニュース
ネッ担まとめ

広告の写真を考えるとき「見られるものだし、せっかくだからキレイな写真を……」と思ってしまいますが、キレイ過ぎると商品を使う側の日常とギャップが生じてしまうかもしれません。「自然な画像」が好まれる世の中です。

バナーの写真はスマホで撮影したものでもOK

ついクリックしたくなる画像の特徴とは?スナップマート代表・岡洋介インタビュー | Marketing Native
https://marketingnative.jp/snapmart/

まとめると、

  • 広告などに使用する画像は、構図やライティングなどがしっかりとしていて、カタログに載っているような美しい画像よりも、作り込まれていない、日常のワンシーンのような画像の方がクリックされやすい
  • クリックされやすい画像の3つの特徴は「顔が写っていない人物写真」「風景だけよりも人物が入った写真」「生活の一部を切り取ったような自然な写真」
  • フリー素材は写真に写っている人の肖像権はクリアになっているか、それに関する記載など権利まわりの確認は行うこと
https://marketingnative.jp/snapmart/から編集部でキャプチャ

スタイルフォースさんが持っていたモデルの写真で作成したバナーと弊社が提供した画像で作成したバナーの2つで訴求したところ、弊社の画像経由の売上額が約3倍高い結果になったそうです。

文字などの違いもあると思いますが、モデル写真で作成したバナーは写真のクオリティが高い一方で、目線やポーズなどが作り込まれている感じがしてしまいます。それに対し、スナップマートの画像は実際の親子写真ということもありますが、作り込まれた感じが少なく、リアルな生活のワンシーンのように感じられる点が良かったのではないでしょうか。

画像1つで売上が3倍違うとなれば工夫しない手はないですよね。私も画像1つで大きくクリック率や売上が変わった事例を見てきましたので。

広告などに使う画像は「せっかくだから」という理由できれいなものを選びがちですが、実際に商品を使うときや旅行ではそんな光景には出合わないですよね。であれば、作りこまれたものよりも自然な感じの画像が良いので、バナーなどを作る際には気を付けたいですね。

「便利で早くて安い」だけがネット売れる理由じゃない

Amazonとは真逆の体験。一点モノだけ扱う再入荷未定ショップが問いかけること。 | Business Insider Japan
https://www.businessinsider.jp/post-235533

まとめると、

  • 「再入荷未定ショップ」には、一般企業での就労が困難な人が就労支援施設で製作した「一点物」のみが販売されており、全国16の施設から集まった200強の種類の商品が掲載されている
  • 販売の要件は、①売れてしまえば文字通り「再入荷未定」になること、②大量生産が困難な一点物であること、③障害者が主体的に企画や制作に関与していること、④市場において競争力のあるアイテムであること
  • 商品の撮影・ライティングから購入者への発送まで、すべて「再入荷未定ショップ」が行う。現場の負担を減らし、再入荷未定ショップの世界観を統一し、施設の方々に喜んでもらう意味もある

何でもそうですが、すぐにアマゾンで代替品を買えてしまうものって、あまり大切に扱われないと思うんです。でも一点物で再入荷未定だったら、大切に扱いますよね? 簡単に捨てないということは、ゴミになるまでの時間が長いということ。再入荷未定ショップは、SDGsの時代にマッチした取り組みになり得ると思いました

引用文だけを読むとAmazonに対抗したショップのように感じてしまうかもしれませんが、そんなことはなくて、コロナの影響で商品が納期通りに作れなくなった福祉施設のことを考えたショップです。何でもかんでも便利になっていく世の中でも、すべて便利でなくてもいいですしSDGsという取り組みもあります。SDGsをマーケに利用しようとするのではなくて、結果的にSDGsになっていれば自然と認知されていくはずです。

関連リンク

これだからGAFAは……という記事

アマゾンが掲げる「顧客第一」は“本物”なのか? 新たな反トラスト訴訟から見えた問題点 | WIRED.jp
https://wired.jp/2021/05/27/amazon-antitrust-lawsuit-cuts-to-core-of-identity/

まとめると、

  • アメリカでアマゾンに対して起こされた反トラスト訴訟は出品者との契約で使っている、いわゆる「最恵国待遇条項」が争点。「最恵国待遇条項」とは出品者が自社サイトを含むあらゆるサイトでアマゾンより低価格で商品を提供しないよう要求するもの
  • あるショップではアマゾン以外のモールで商品価格を下げたところ、「カートに入れる」ボタンや「今すぐ買う」ボタンが表示されなくなったが、価格を上げたら元通り表示されるようになった
  • アマゾンは報道機関に電子メールで送った声明で、他の場所で低価格で販売する出品者を罰していることを否定はしなかった。むしろ「これは最終的には消費者のためになることだ」とほのめかした

アマゾンは幅広く取り揃えた商品を低価格で提供していることを誇りにしており、ほかのあらゆる店舗と同様に、競争力のない価格の商品をお客さまに対して目立たせないようにする権利を有しています。司法長官が求める措置は、奇妙なことに反トラスト法の核となる目的に反して、高い価格の商品をお客さまに対して目立つように表示させることをアマゾンに強いることになるのです

そういう条件でAmazonに出品しているといわれてしまえばその通りなんですが、他のモールの価格までチェックされたらたまらないですよね。そして、アマゾンの主張もひねくれているというかなんというか……。関連記事にもあるようにGoogleも自社に有利になるようなことをしているので、どれだけ口で良いことを言っていても行動が伴わないと信頼してもらえないですよね。

関連記事

EC全般

shopify #053 出荷メールで安心を与える | 北山 浩 | メーカーEC担当責任者 | note
https://note.com/ec_zoe/n/n51161a76b404

決済方法によってShopifyの注文確認メールを出し分ける方法 | REWIRED
https://rewired.cloud/2021/06/03/shopify-customize-email-notification/

ちょっとした気遣いで良い印象を持ってもらえますよね。Shopifyの場合は日本人に合わせる意味もあります。

コロナ禍で海外からの売上4倍!タグ1行でウェブインバウンド対応「WorldShopping BIZ」 | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/9146

これは本当に便利! とりあえず入れてみるだけでもOK。

「置き配」の個人情報漏えいリスク低減を目的にヤマト運輸が「EAZY」に二次元コード伝票、EC事業者ではZOZOが導入 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8758

置き配が当たり前になったことの証左。うまくいけばどんどん広がりそうですね。

メルカリと日本郵便、売れた商品に貼るだけでポストから発送可能な「ゆうパケットポスト発送用シール」開始 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/9239

メルカリはどんどん便利になっていきますが梱包だけは……。

楽天「ラクマ」の出品・取引代行サービス「ラクまるっと」の取引件数が直近4カ月で約2.6倍に | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/9213

こちらも便利に。行政のリサイクル施設などと連携できれば良さそうなのですが。

フリマアプリユーザーの56.2%が「売上金はキャッシュレスのまま使う」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/8757

欲しいものがあるから売る。という動機もあるはず。

Shop Pay が Google へと拡大。その背景について | REWIRED
https://rewired.cloud/2021/06/01/shop-pay-on-google/

Googleから直接購入するにはShopifyが必要。このためだけにShopifyを使うのも面倒ですが……。

BASE、1年で新規に50万ショップ開設 急速なEC需要の高まり背景に累計150万ショップ突破 | MarkeZine
https://markezine.jp/article/detail/36459

「再入荷未定ショップ」さんもBASEで作られていますね。

今週の名言

企画がうまくいったら、ああ、よかったと思う。うまくいかなかったときは、トライしたことをよかったと認めて、結果を引きずらない。前へ前へと頑張るのみ

人口2万人の街で10万冊の書店が成り立つ理由―北海道の留萌ブックセンター(下) | nippon.com
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/c07113/

過度に期待しない。うまくいかなくても引きずらない。これが成功の秘訣。

森野 誠之
森野 誠之

資生堂ジャパンが「ワタシプラス」にサイト内検索「ZETA SEARCH」を導入

4 years 6ヶ月 ago

資生堂ジャパンは、運営する総合美容サイト「ワタシプラス by shiseido」のEC商品検索・サイト内検索エンジンに、EC商品検索・レビュー・OMOソリューションのZETAが提供する「ZETA SEARCH」を導入した。

Webサイトトップからの全体検索を中心にECの商品検索に加え、「お店ナビ」「美容の情報」の情報検索を強化する。

キーワード検索の表記ゆれ調整、サジェスト機能では期間限定商品の表示などに対応。商品名だけでなく、「しみ」「しわ」といった化粧品特有の悩みを軸としたキーワードでの結果表示にも対応した。

資生堂ジャパンは、運営する総合美容サイト「ワタシプラス by shiseido」のEC商品検索・サイト内検索エンジンに、EC商品検索・レビュー・OMOソリューションのZETAが提供する「ZETA SEARCH」を導入
「シミ」で検索した際の検索結果(画像は「ワタシプラス」からキャプチャ)

絞り込み検索では在庫の有無、キャンペーン商品、限定品など表示のほか、各パーツから悩み別に絞り込める仕様にしている。

また、新商品の上位表示、お気に入り登録しているブランドの優先表示のほか、0件ヒット(検索結果が0件となるもの)の改善などを通じ、ユーザーがいち早く目的の情報に辿り着ける商品検索を実現。その他コンテンツを横断する検索なども計画している。

「ワタシプラス by shiseido」は総合美容サイトとして2012年4月にスタート。ECサイトやお店ナビ、美容情報などを発信していおり、会員数は400万人を超える。

資生堂ジャパンは、運営する総合美容サイト「ワタシプラス by shiseido」のEC商品検索・サイト内検索エンジンに、EC商品検索・レビュー・OMOソリューションのZETAが提供する「ZETA SEARCH」を導入
「ZETA SEARCH」を導入した「ワタシプラス by shiseido」

「ZETA SEARCH」は、大手ECサイトが多数導入しているEC商品検索・サイト内検索エンジン。継続的な運用のなかで培ったノウハウ、AIによる自動最適化によって検索体験を最適化。導入サイトごとに機能、検索精度の最適化と定期的に運用改善を行い利益を最大化する。

瀧川 正実
瀧川 正実

レディースシューズ「RANDA」がLINEミニアプリ活用、実店舗で新規会員の9割がLINE経由で登録

4 years 6ヶ月 ago

レディースシューズや服飾雑貨の企画・小売のジェイ・ビーは、LINEミニアプリを活用した会員獲得などの取り組みを始めた。

レディースシューズ「RANDA」にて、「会員証」をLINEアプリ上からスムーズに表示できるようにしたところ、2021年3月に実店舗で商品購入した新規会員のうち、約90%がLINEミニアプリから登録した。

会員登録のために一度ログインすると、再度ログインする必要がなく、すぐに会員証を表示できるのがメリット。店舗側の運用では、混雑しやすい店頭レジでも時間をかけずに会員登録の案内ができるようになったという。

「RANDA」のLINEミニアプリをLINEアプリのホームタブに追加すると、ホームタブのトップに「RANDA」のアイコンが表示され、ワンタップで簡単に会員証を表示することが可能になる。

レディースシューズや服飾雑貨の企画・小売のジェイ・ビーは、LINEミニアプリを活用した会員獲得などの取り組みをスタート
「RANDA」のLINEミニアプリのイメージ

店頭レジに設置したチラシのQRコードの読み取り、「RANDA」LINE公式アカウントのトーク画面内のリッチメニューからも会員証(ミニアプリ)を表示できる。。

「RANDA」はLINEミニアプリの導入で、アプリダウンロードのハードルを下げると同時に、利用顧客の多くを占める「一般のユーザー」に向けてアプローチできる環境が整った。
LINEミニアプリ利用ユーザーは、スムーズに「RANDA」LINE公式アカウントの友だちになることが可能。苦お式アカウントを通じたキャンペーン情報といったメッセージ配信で、顧客へのアプローチを強化していく。

レディースシューズや服飾雑貨の企画・小売のジェイ・ビーは、LINEミニアプリを活用した会員獲得などの取り組みをスタート
会員証(ミニアプリ)の表示方法

LINEミニアプリは「ecbeing LINEミニアプリ オプション」の導入で実現

今回のLINEミニアプリ活用策は、ecbeingが提供する「ecbeing LINEミニアプリ オプション」の導入で実現した。

「ecbeing LINEミニアプリ オプション」は、LINEミニアプリを手軽に導入できるようにするEC事業者向けSaaS型のマイクロサービス。自動バージョンアップ機能を備えている。

LINE公式アカウントでの友だち登録や会員登録機能、ECサイト購入、ECキャンペーン、店舗クーポン配布機能などを搭載。クーポンの配布やイベントの招待などのメッセージをLINE経由で配信できるほか、メールを開封していないユーザーをセグメントしてLINEでメッセージを送る機能も備えている。

ecbeing(イーシービーイング)はLINEアプリ上で使えるEC事業者向けのWebアプリケーション「ecbeing LINEミニアプリ SaaS Edition」の開発・提供を開始
LINEミニアプリで実現できること
瀧川 正実
瀧川 正実

配送費2.3億円減、ロボット導入で作業人員4割減などを実現するファンケルの新たな関西物流拠点とは

4 years 6ヶ月 ago

ファンケルは大阪・門真市に新設した「ファンケル 関西物流センター」を6月8日に稼働する。出荷能力は現状の1.4倍に増加し、翌日配送エリアも拡大。ピッキングロボットなど最新鋭の機器を導入し省人化を実現、環境にも配慮した物流センターとなる。

ファンケル 関西物流センター
「ファンケル 関西物流センター」の外観

「ファンケル 関西物流センター」は、「関東物流センター」から通信販売、直営店舗に出荷する「ファンケル」の荷物量約35%と、グループ会社「アテニア」の全製品を出荷。新センターの稼働で、出荷量は現在の1日あたり3万4000件から5万件と約1.4倍に向上する。

九州や四国、中国エリアへの翌日配送を実現させるほか、配送費は年間約2億3000万円削減できる見込み。

新センターは「パレット自動倉庫」「ケース自動倉庫」などを導入し、入荷や保管、補充作業人員を関東物流センターと比べて約65%削減。製品の搬送ラインでは「ピッキングロボット」などを導入して自動化を実現、作業人員を同約40%削減できる。

パレットからケースを自動で荷下ろしするケースデパレロボット ファンケル 関西物流センター
パレットからケースを自動で荷下ろしするケースデパレロボット

屋上全面にファンケルグループで最大規模となる太陽光パネルも設置、関西物流センターで使用する電力の約16%を賄う。

また、障がい者の「自立」を雇用を通じて推進する特例子会社「ファンケルスマイル」の分室を設置。多様な人材が活躍する物流センターとする。

ファンケルは、中期経営計画の「広告先行成長戦略」(2015~2017年度)、「実行2020」(2018~2020年度)により、売り上げは大きく伸長。新型コロナウイルスの感染拡大により、通信販売の利用が増えており、2020年度の出荷量は2015年度と比べて約30%増となっている。

今後、日本国内では5Gの普及などにより通信販売への需要増が見込まれる。また、今年度から開始した中期経営計画「前進2023」(2021~2023年度)では、国内外で持続的な成長をめざしている。国内外での積極的な事業展開を支えるインフラ基盤を整備するために、物流センターを新設することにした。

  • 正式名称:ファンケル 関西物流センター
  • 所 在 地:大阪府門真市大字北島東町2-10 
  • 敷地面積:1万629平方メートル(約3215坪)
  • 延床面積:1万7051平方メートル(約5158坪、倉庫部分:4546坪/事務所:612坪) 
  • 建物階数:重量鉄骨造、地上4階
  • 投資規模:約40億円
  • 稼働開始日:2021年6月8日
石居 岳
石居 岳

【ワークマンのDX事例】巨大な仮想倉庫で欠品知らず、自社ECで店舗も顧客も大満足! | DX経営図鑑(全8回)

4 years 6ヶ月 ago
耐久性、機能性、デザイン性で人気のワークマン。大手ECモールから卒業し、自社EC機能で顧客満足度をさらに追求します。
DX経営図鑑

この記事は、書籍『DX経営図鑑』の一部を特別にオンラインで公開しているものです。

Part 2「業界別に見るDX事例
 》 Category 1「小売
 》 「ワークマン 作業服という実用性の復権と脱ECモールの旗手」より

ワークマンは1980年、作業服販売の専門店として群馬県伊勢崎市に1号店をオープンしました。直営とフランチャイズで順調に店舗網を拡大し、1997年にJASDAQに上場します。2018年には全国800店舗を突破、2019年には時価総額で日本マクドナルドを抜き、JASDAQ市場での時価総額は1位になりました。

吉幾三さんのCMを覚えている方もいらっしゃるでしょう。ワークマンは高機能な自社開発商品を多く取り揃え、「作業服業界のユニクロ」とも呼ばれています。

このワークマンが作業服業界を越えて注目を集めたのは、2013年頃に発売した「AEGIS」という防水ウェアがきっかけでした。AEGISシリーズは現在も毎年バージョンアップを続け、入手困難な商品として転売屋が出現するほどの人気です。しかし、このAEGISも、もともとは作業服の種類の1つとして売り出されました。一般消費者が注目する転機となったのは、SNS上での拡散です。

高機能性とデザイン性の高さ

あるライダーがツーリング用のレインウェアとしてAEGISを絶賛すると、その評判はSNS上で瞬く間に拡散します。これがフィッシング(釣り)の世界にも広まり、「コストパフォーマンスが最高に良いレインウェア」として急速に認知を得たのです。

アウトドア用のレインウェアは機能性とファッション性を両立させていますが値段は高額で、ライダーや釣り人など、高頻度でレインウェアを使う人にとってはそれなりの負担です。毎日のように使えば、数年で使い古してしまうでしょう。

一方で、ホームセンターなどに売っている格安の雨合羽は安いぶん、耐久性や機能性、またデザイン性があまり期待できず、使い捨てに近い存在になってしまいがちです。AEGISはアウトドアブランド商品の半額以下の価格でありながら、高い耐久性、機能性、デザイン性を実現し、その評判は急激に上がりました。

2018年にはこれまでの作業服チェーンのイメージを覆し、カジュアル向けにプロデュースした店舗WORKMAN Plusを展開します。そして、自社開発のワーキングウェアとアウトドアウェアを中心とした機能性アパレルブランドとして、本格的にSPA業態に進出しました。

大手ECモールからの卒業

その後、ワークマンが再度注目されたのは、楽天市場から撤退を発表したことでした。ワークマンは基本的に店舗売上が主体ですが、店舗展開ができていなかった地方への供給のため、早くからeコマースに取り組んできました。デジタル販路の中心的存在は楽天市場の公式ショップでしたが、ワークマンは2020年2月末に閉店します。しかし、その後も売上成長はとどまるところを知らず、コロナ禍で日本経済全体が落ち込んだ2020年6月時点でも、前年比144%の売上成長をマークします。

現在の日本の小売業では、Amazonや楽天市場に対抗するのは大きなチャレンジです。家電量販のヨドバシカメラなど互角に争う企業もありますが、主に消費財を扱うワークマンのような業種が楽天市場の集客力と戦うのは簡単なことではありません。その一方で、欧米では脱Amazonの流れが進み始めました。

煩雑な返品対応とBOPIS

Amazonや楽天市場のようなECモールの最大の弱点は、店舗を持たないことでした。そのため、大手ECモールはサイズマッチングの技術努力と返品オペレーションの効率化で、既製服や靴など購買後のミスマッチが起こりやすい商材の売上を伸ばし、巨大な伸びしろを獲得してきました。

一方、出店業者たちは課題を抱えていました。返品はプラットフォーム側が定める厳しい基準に準拠せねばならず、加えて返品処理コストは出店業者側が負担します。リアル店舗網を持っている小売業が返品を受け付ける場合、原則的には店頭でレシートを確認します。ECモールに出店した場合は返品受け付け用の倉庫へ直接配送となり、着払い負担がかかります。EC購買商品の返品をリアル店舗で受け付ける場合は信憑確認が難しく(転売業者から購入している可能性もあるため)、煩雑なオペレーションを強いられます。

こうした課題のため、アメリカの多くの店舗型小売業は、脱Amazonに踏み切り、自社ECと店舗網を組み合わせたBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)へ積極的に投資するようになります。それはAmazonという脅威への対抗はもちろんのこと、巨大ECモールで売上を立てるだけでは割に合わなくなってきているのです。

ワークマンは既に自社EC機能を持っていて、楽天市場を撤退した翌月には新コンセプトであるC&C(Click & Collect)を軸としたECサイトを開始します。このC&Cは、BOPISのワークマン版といえるものでした。

C&Cへの挑戦──リアルとデジタルの本質的な融合

ワークマンが掲げるC&Cは、ECで購入し(Click)、リアル店舗で受け取る(Collect)というコンセプトです。このためには、「ECでの受注情報」と「全店舗の仕入れ販売管理情報」を同期する必要があります。消費者がECで購買し、リアル店舗受け取りを選択した段階で、店舗在庫が引き当てられ、EC在庫をリアル店舗に送るか、店舗在庫をそのまま渡すかの判断と処理を瞬時にするのです。C&Cは、EC在庫と店舗在庫がほぼリアルタイムで連携することで実現できる手法です。

EC店舗は仲間よりライバル

多くの店舗型小売企業はECを「インターネット支店」という別店舗扱いで運営してきました。つまり、EC店舗はたった1店舗に過ぎず、在庫がなければ顧客は希望の商品を買うことができませんでした。もし近所にリアル店舗が数店あれば、顧客は店舗をまわって在庫を探すこともできるでしょう。しかし、近場の別の店舗でも欠品していれば落胆が大きくなるだけです。次に、100km離れた別店舗には在庫があったとします。これは店舗網全体にとってのチャンスロスだけでなく、顧客にとっては買えなかった不満が残ります。

さらに悪いことにチェーン店舗の場合、店舗同士は仲間でありライバルでもあり、各店舗は他店で売上が出ることをしばしば嫌います。EC店舗もライバルで、その売上は自店舗の成績にはなりません。顧客に欠品商品を尋ねられれば、店員は自店舗に在庫がある別商品を勧めることもあるでしょう。このため、EC販売商品のリアル店舗受け渡しや返品処理は現場から拒否されることも多く、結果として小売ブランド全体のサービス体験の低下に繋がっていきました。

高いLTV顧客を大切にするために

「あらゆる手段を使ってこの商品を手に入れたい」という熱狂的な顧客はいるものです。こうした顧客は、生涯顧客価値(LTV:Life Time Value)の高いロイヤルユーザーであり、評判を拡散するインフルエンサーにもなり得ます。AEGISのような大ヒット商品を持つワークマンは、なおのこと熱心な顧客を大切にすべきです。ワークマンは、ワークマン全体での顧客提供価値を最大化するために、C&Cの実践に踏み切り、自らが大切にすべき顧客層を見極めていこうとしています。デジタルとリアルを繋いだシームレスで良質な体験を提供するために、リアル店舗とECを並行させる構造的な問題解決に取り組んでいます。

ワークマンが取り去るペイン
──巨大な仮想倉庫による欠品の最小化

コロナ禍で明らかになったeコマース独特のペインがあります。「無限陳列できるeコマースでも在庫には限りがあること」「需要が集中すると、あっという間に欠品すること」「すぐに必要な商品調達はできない(配送を待たねばならない)こと」です。また、災害などの局地的な事情で爆発的に需要が高まった場合、EC在庫はすぐに枯渇します。そして、仮に九州で豪雨災害が発生し、現地のリアル店舗やEC店舗でブルーテントが欠品しても、東北や北海道の店舗では余っていることもあります。仮にECで在庫を見つけても、宅配便の流通網が寸断すれば、到着は1週間後かもしれません。

このような状況において自社流通網を持つことはチェーンストアの本領発揮ですが、ECが独立店舗として在庫情報を閉じていると、その優位性を発揮しきれません。ワークマンのように在庫が全店舗統合されれば、欠品リスクは最小化され、供給力は格段に跳ね上がります。ワークマンのリアルとデジタルの在庫統合(仮想倉庫形成)によって、緊急時の欠品や調達困難というペインを取り除くことができるのです。

ワークマンが生み出すゲイン
──欲しいときに、欲しい手段で

BOPISやC&Cの実現は、店舗受け取りによって小売業側が負担するラストワンマイル(最終拠点からエンドユーザーへの物流サービス)の流通コストをゼロにする利点があります。では、消費者視点で見れば、どのようなゲインが考えられるでしょうか。

第1に「決済と入手手段の自由」です。店舗での買い物はエンターテインメント性を体験できますが、その代償にレジ待ちがあります。一方のeコマースはいつでもどこでも決済できますが、商品の入手法は配送一択で、消費者が配送料を負担することもあります。しかし、C&Cであれば決済と受け取りのそれぞれを消費者が自由に選択できます。買いたい商品が確定していて急いで入手する必要がなければ、eコマースは非常に便利ですが、今すぐ欲しい場合や出先で受け取りたい場合にはC&Cが有用です。従来、消費者は急がない指定買いはAmazonなどのECモールを使い、それ以外では店舗小売と使い分けていました。しかし、店舗型小売がC&Cを提供することで、商品選択から決済、入手まで、全ての購買ステージにおいて消費者の選択肢が広がります。この消費スタイルの自由は、今後の消費のスタンダードになっていくと考えられます。

第2に、商品を安定的に手に入れること、すなわち欠品リスクが最小化されることで、特定商品の入手困難度が下がります。

C&Cによって店舗在庫もEC在庫も、店舗に配置される前の物流センターの在庫も、全て統合管理されていますので、特定の店舗在庫が欠品しても、余剰在庫のある店舗がこれをカバーできます。つまり、本来はチェーンストアが持っている巨大な供給力(根源的な価値)が、リアルタイムで連結する仮想倉庫とのEC決済によって、さらに強力な価値になるのです。

ワークマンは直接的なライバルは不在といわれますが、C&Cの実践によって「ワークマンなら、いつでもどこでも大丈夫」という消費者の安心と信頼を勝ち取り、さらなる高みに進み始めています。

  • 著者: 金澤 一央、DX Navigator 編集部
  • 発行: 株式会社アルク
  • ISBN: 978-4757436787
  • 価格: 2,310円(税込)

勝てるDXの本質
~次に生き残るのは、誰か?~

世界の伝統的企業やスタートアップがいち早く取り組んできたDXの数々。各事例をつぶさにレポートしてきた「DX Navigator」編集部の知見をまとめ、事例分析と価値提供のプロセスを可視化した一冊です。

本書は世界全32社のDX事例を収録。いずれも、顧客/ユーザー視点での「ペイン(苦痛)」と「ゲイン(利得)」を切り口に、顧客/ユーザーが最終的に得た「価値」について解き明かします。

Part 1では、従来の商習慣や価値提供の概念を新しい基準に転換させた「ゲームチェンジャー」である9社―Netflix、Walmart、Sephora、Macy’s、Freshippo、NIKE、Tesla、Uber、Starbucks―を取り上げます。

Part 2では、海外のスタートアップを中心に日本企業も加えた23社の事例を、業界別に紹介。多くの顧客/ユーザーから支持を得た、各社のエッジが効いた斬新なアイデアとその背景に鋭く迫ります。

日本の「DXブーム」には問題も潜んでいます。DXとは単なる技術導入やカイゼンを言い換えた言葉ではなく、「ユーザーが最終的に得る価値」を見つめ、新しい価値提供の仕組みを創り出すということ。これからも続く企業の変革、世の中の変革のなかで、次に生き残るのは誰か?

金澤一央+DX Navigator 編集部
金澤一央+DX Navigator 編集部

「MakeShop byGMO」が「Amazon出品サービス」と連携。自社ECの商品をAmazonマーケットプレイスへ出品可能に

4 years 6ヶ月 ago

GMOメイクショップが運営するネットショップ構築ASP「MakeShop byGMO」は、Amazonが提供する「Amazon出品サービス」との連携を6月3日から開始した。サービス連携で、「MakeShop byGMO」導入企業は「MakeShop byGMO」で構築した自社ECサイトの商品を、「Amazonマーケットプレイス」に出品できるようになる。

情報はMakeShop管理画面で一元管理

サービス連携で「Amazonマーケットプレイス」に出品できるだけでなく、「MakeShop byGMO」に登録している在庫数や商品価格など商品情報の一部、注文情報をAmazon出品用管理画面「Amazonセラーセントラル」に連携できる。連携した情報は「MakeShop byGMO」の管理画面で一元管理が可能。

GMOメイクショップ MakeShop byGMO Amazon出品サービス 連携
「Amazon出品サービス」との連携(画像は「MakeShop byGMO」サイトからキャプチャ)

サービス連携に関する費用は無料。「Amazon出品サービス」利用料金として、月間登録料5390円(税込)と、販売手数料8%~(商品カテゴリにより異なる)が発生する。また、「Amazon出品サービス」の「大口出品プラン」でアカウント登録が必要。

GMOメイクショップ MakeShop byGMO Amazon出品サービス サービス概要
サービスの概要

「Amazon出品サービス」との連携で「Amazon.co.jp」に出品できる機能の提供は、ネットショップ構築ASP業界において「MakeShop byGMO」が初。

サービス連携を記念して、GMOメイクショップとアマゾンジャパン共催による無料オンラインセミナーを6月17日(木)に実施する。

藤田遥
藤田遥

消費者庁がアフィリエイト広告の規制強化へ、「景表法の適用」など一定の結論を年内に公表

4 years 6ヶ月 ago

消費者庁がアフィリエイト広告の規制強化に向けて動き出している。

「景表法の適用等に関する考え方」「不当表示の未然防止等のための取り組み」などを議論する「アフィリエイト広告等に関する検討会」を6月10日にスタート。また、ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)に対するアンケート調査、関係者へのヒヤリングなどを含めたアフィリエイト広告に関する実態調査も行っている。

実態調査は、アフィリエイト広告の表示適正化に向け、ビジネスモデルの把握、消費者に向けての注意喚起、景品表示法や特定商取引法の解釈上の整理などの参考にするという。

2021年夏までに実態調査の調査結果を公表。消費者庁はその結果や検討会での議論などを踏まえて、2021年内に「景表法の適用等に関する考え方」「不当表示の未然防止等のための取り組み」について一定の結論を出すとしている。

消費者庁が問題視していること

(アフィリエイト広告について)広告の対象である商品などの販売者本人ではなく、アフィリエイターが広告を作成・掲載していることから、販売者による広告内容の審査が行き届かない可能性、また、商品の購入などがあった場合にのみ報酬が発生するという仕組みであることから、アフィリエイターが報酬目当てに虚偽・誇大な広告を作成するインセンティブが働きやすい可能性がある。

消費者庁の伊藤明子長官は3月の記者会見で、アフィリエイト広告についてこう言及。消費者に誤認を与えるような広告表示を抑止する観点から、「消費者庁としても関心を持っている」とコメントした。

景品表示法の規制対象は商品の供給者で、アフィリエイターは規制対象外となっている。景品表示法の規制対象を踏まえ、「(アフィリエイト広告は)表示について責任を持たれる方の責任においてやっていただくということがまず第一。個々にそういう記事を書いた人そのものについて何かをどうするとか、そういうことを今の段階で考えているわけではい」としている。

アフィリエイト広告に関して消費者庁は3月、消費者安全法に基づき消費者へ「虚偽・誇大なアフィリエイト広告に関する注意喚起」を実施。アフィリエイト広告について消費者が注意すべき点をまとめた資料も公表している。

消費者庁が公表したアフィリエイト広告に関する資料
消費者庁が公表したアフィリエイト広告に関する資料

また、育毛剤などのT.Sコーポレーションが販売する育毛剤「BUBUKA ZERO」、同商品を含むセット商品の販売について、アフィリエイト広告を通じて「悩んでいたのがウソのように、たった2か月で髪がフサフサ になった」などの宣伝は合理的な根拠がなく景品表示法違反(優良誤認)にあたるとして、措置命令を行っている。

瀧川 正実
瀧川 正実

雇用調整助成金の特例措置、7月まで延長/置き配の個人情報漏えいリスクを伝票で低減【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

4 years 6ヶ月 ago
2021年5月28日~6月3日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 「雇用調整助成金」の特例措置を7月まで延長、厚生労働省が方針を発表

    「雇用調整助成金」特例措置について厚生労働省は、8月以降の助成内容は、雇用情勢を踏まえながら検討、6月中に公表するとしている

    2021/6/1
  2. 「置き配」の個人情報漏えいリスク低減を目的にヤマト運輸が「EAZY」に二次元コード伝票、EC事業者ではZOZOが導入

    二次元コードを使用すると、配送伝票上の個人情報は判別できなくなるため、個人情報漏えいのリスクを低減できる

    2021/6/1
  3. 「Pinterest」がテレビCM、日本初のブランド広告キャンペーンに女優の中条あやみさんを起用

    ビジュアル探索ツール「Pinterest」は2020年、グローバルで1億人を超えるユーザーを獲得し、過去最大の成長を記録。月間アクティブユーザーは4億7500万人を突破した

    2021/5/31
  4. 【スターバックスのDX事例】混んでいても問題なし、美味しいコーヒーをいつでも飲めるテイクアウトが作り出した「自由」

    喫茶店でカップを使って飲むものだった従来のコーヒー文化。Starbucksはテイクアウトモデルで、飲食体験に新たな「自由」を持ち込みました。

    2021/5/31
  5. ニトリがVR活用のバーチャルショールームで実店舗のような買い物体験を実現

    「ニトリバーチャルショールーム」では、ネットでの購入を希望する顧客、フルラインナップの閲覧を希望する顧客に対し、実際の店内を歩いているかのような臨場感で買い物の楽しさを体験できる場を提供する

    2021/5/31
  6. 2021年、EC売上TOP200サイトの表示スピード状況とGoogleのUX重要指標「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」対策

    2021年6月中旬から表示スピード改善の新指標「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」がアップデートされます。UX・SEOの観点からも注目が集まっていますが、EC売り上げTOP200サイトの対策状況はどうなっているのでしょうか? 調査・分析を行いました

    2021/6/2
  7. EC利用時の重視点は「価格」「送料」「品ぞろえ」が6割。店舗ではなく通販利用の理由は「価格が安い」がトップ

    店頭ではなく、オンラインショッピングで購入する場面は、「価格が安い」が直近1年間利用者の6割強、「ポイントで商品が買える」が約45%、「クーポンやキャンペーン」が3割強

    2021/5/28
  8. 不動産事業から化粧品事業へ。チャレンジを続けるクレソワン化粧品

    売れるネット広告社の代表取締役社長 加藤公一レオ氏と、クレ・コーポレーション クレソワン化粧品 大石南美さんとの対談(連載第12回)

    2021/6/1
  9. 青山商事がデジタル化を加速。「デジタル・ラボ」を全国100店導入でOMO型店舗を拡大する中期経営計画

    青山商事が掲げた新中期経営計画では、①顧客接点拡大をめざしたDX戦略(OMO戦略・デジタル基盤整備)②成長分野(オーダー/レディス/フォーマル他)――といった拡大戦略を掲げている

    2021/6/2
  10. 「磯丸水産」がECビジネスに参入、コロナ禍の巣ごもり消費を「自宅居酒屋」で開拓

    「磯丸水産」を冠した公式ECサイト「磯丸水産 お届けグルメショップ」では、姉妹ブランド「おもてなしとりよし」「いち五郎」「玉丁本店」などの商品も販売する

    2021/6/3

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    デジタル空間上の公園&店舗をバーチャル空間に構築、「新たな顧客体験の創造」をめざすNTT Comと三井不動産の取り組み

    4 years 6ヶ月 ago

    NTT コミュニケーションズ(NTT Com)と三井不動産は6月3日、デジタル空間上に構築した公園や商業エリアとバーチャル店舗を活用した新たな顧客体験創出の共同実験を始めた。

    愛知・名古屋市の久屋大通公園(Hisaya-odori Park)の北エリア・テレビ塔エリア(全長約900m、敷地面積は約5万4500平方メートル)をデジタル上に構築(名称は「Hisaya Digital Park」)。

    NTT コミュニケーションズ(NTT Com)と三井不動産が、デジタル空間上に構築した公園や商業エリア(名称は「Hisaya Digital Park」)とバーチャル店舗を活用した新たな顧客体験創出の共同実験
    「Hisaya Digital Park」のイメージ

    バーチャル店舗の運営を通じて、リアルとバーチャルの垣根を越えて位置情報データや来店データなどを統合的に分析、「周辺エリアの回遊性の向上」「新たな顧客体験の創造」をめざす。

    全長約900メートルの「Hisaya-odori Park」を、CG(コンピュータグラフィックス)のVR(仮想現実)によりバーチャル空間に再現。バーチャル店舗は、実在する8店舗を高精度カメラで360度パノラマ撮影した映像でリアルに再現する。バーチャル空間上では店舗のサービス情報や動画コンテンツも視聴できる。

    実店舗とバーチャル店舗上の来店情報などを統合、ユーザーのライフスタイルを可視化することで、実店舗・バーチャル店舗間の相互送客によるユーザー接点の拡大をめざす。来園者層の違いや行動パターンを分析し、ユーザーへの細やかなサービスの提供をめざすほか、出店者の顧客接点の強化への有効性を検証する。

    NTT コミュニケーションズ(NTT Com)と三井不動産が、デジタル空間上に構築した公園や商業エリア(名称は「Hisaya Digital Park」)とバーチャル店舗を活用した新たな顧客体験創出の共同実験
    バーチャル化のイメージ

    たとえば、「Hisaya-odori Park」に設置されたデジタルサイネージ風の掲示物をクリックすると、名古屋名物みそかつ専門店を運営する矢場とんのWebサイトに移動。そこから店舗の情報やECサイトにアクセスすることもできる。

    NTT コミュニケーションズ(NTT Com)と三井不動産が、デジタル空間上に構築した公園や商業エリア(名称は「Hisaya Digital Park」)とバーチャル店舗を活用した新たな顧客体験創出の共同実験
    バーチャル空間内に設置されたデジタルサイネージ風の掲示物(画像は「Hisaya Digital Park」からキャプチャ)

    実証実験の期間は2021年6月3日~12月31日の予定。実験結果を生かし、NTT Comと三井不動産は、多くのユーザーが自らの嗜好に合った店舗で飲食・ショッピングなどを安心安全に楽しめる、にぎわいと魅力にあふれた空間形成をめざす。

    今後、バーチャル空間を活用したイベントなども検討。リアルイベントとの連携と併せて、将来的に公園周辺や栄エリアのにぎわいの波及もめざしていく。対象店舗や公園近隣施設への拡大も予定する。実験以外のエリアでもバーチャル公園やバーチャル店舗を構築し、リアルとバーチャルの融合による新しい顧客体験や価値の創出向上を検討する。

    今回、NTT Comと三井不動産は、公園や店舗というリアルの場とデジタル空間を活用し「新たな顧客体験の創造」をめざすとともに、DXによるユーザーとの接点を強化する「Smart Customer Experience」の観点で共同実験を行うことにした。

    石居 岳
    石居 岳

    楽天、コロナ禍の生産者・事業者を支援する「日本応援特集」ページを公開

    4 years 6ヶ月 ago

    楽天は、コロナ禍で「ものが売れない・出荷できない・ユーザーがこない」などの経済的影響を受ける地域の生産者や事業者の支援策として、特集ページ「日本応援特集」を6月1日に公開した。

    特集ページでは「楽天市場」で日本全国の特産品を紹介する「まち楽」参加自治体の参加や、「楽天ふるさと納税」における支援企画、街での楽天カード利用でお得になるキャンペーンなど、買い物や寄付を通じて全国の生産者や事業者を応援できる楽天グループのさまざまな企画を紹介している。

    特集ページの主な内容次の通り。

    オンラインで応援 地方のいいもの

    • 大分のいいものうまい市
    • 愛媛百貨店 おうち愛媛時間。
    • 愛媛百貨店 今治市特集
    楽天 楽天市場 日本応援 新型コロナウイルス支援策 オンラインで応援地方のいいもの
    日本各地の名産品購入を通じて店舗と生産者を直接応援できる(画像は「日本応援」サイトからキャプチャ)

    寄付で応援 ふるさと納税

    • 新型コロナウイルスの影響に対する支援
    • モノづくり応援! にっぽんの逸品特集
    • 地域の課題をふるさと納税で応援! クラウドファンディング
    • モダンなポーセリンから和食器まで! にっぽんのうつわ&カトラリー
    楽天 楽天市場 日本応援 新型コロナウイルス支援策 寄付で応援 ふるさと納税
    ふるさと納税では自治体・寄付の用途を選んで応援できる(画像は「日本応援」サイトからキャプチャ)

    毎日の買い物で応援 地域のお店

    • 「楽天市場」で楽天カードを利用したユーザーは、街での利用分がポイント2倍
    藤田遥
    藤田遥

    休業者が生活資金を直接申請できる「休業支援金」の申請対象期間を7月末まで延長

    4 years 6ヶ月 ago

    新型コロナウイルス感染症の影響で勤務先から休業させられたものの、勤め先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接、生活資金を申請できるようにする労働者向けの給付制度「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(休業支援金)に関して厚生労働省は、申請対象期間を7月末まで延長すると発表した。

    これまでの申請対象期間は6月末だった。

    「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(休業支援金)は7月末まで
    休業支援金の申請対象期間について

    「休業支援金」は、企業の選択によって雇用調整助成金を活用しない勤務先から休業手当を受け取れないといった労働者が直接現金を申請できる制度。中小企業・大企業の被保険者(労働者)に対し休業前賃金の80%を、国が休業実績に応じて支給している。

    大企業については、シフト労働者など(労働契約上、労働日が明確ではない労働者)が対象。中小企業での日々雇用やシフト制で、実態として更新が常態化しているケースにおいて、事業主が休業させたことについて労使の認識が一致した上で支給要件確認書を作成すれば支給対象としている。

    原則的な措置の助成額上限は9900円。緊急事態宣言、感染が拡大している地域(まん延防止等重点措置対象地域の知事による基本的対処方針に沿った要請)について、都道府県知事による要請を受けて時短協力などに応じた企業による休業で、事業主に休業させられる労働者が休業手当を受け取れないときは、助成額の上限額は1万1000円。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    GMOペパボと全国商工会連合が連携し、中小企業・小規模事業者のEC化を支援

    4 years 6ヶ月 ago

    GMOペパボが運営するネットショップ作成サービス「カラーミーショップ」は、全国商工会連合会(全国連)と連携し、2021年6月1日から企業のEC化を支援する取り組みをスタートした。支援の対象は、全国の商工会に所属する中小企業や小規模事業者が対象。

    ネットショップを開設したい企業を支援

    全国商工会連合会が実施する「令和3年度 地域力活用新事業創出支援事業」にカラーミーショップが協力。ECを活用した販路拡大支援セミナー、ネットショップ構築ワークショップ、個別相談会などに「カラーミーショップ」が講師として参加する。

    実施期間は2021年6月1日~2022年2月8日で、支援対象は各都道府県の商工会連合会や商工会職員、商工会に所属する中小企業や小規模事業者。

    GMOペパボ カラーミーショップ 全国商工会連合会 EC化支援
    GMOペパボと全国商工会連合会が連携し、EC支援を実施

    GMOペパボと全国連は2019年5月に、全国の商工会に所属する中小企業・小規模事業者のインターネットを活用した経営効率化や販売促進を目的に包括連携協定を結んでいる。

    全国の商工会会員事業者向けにホームページ作成サービス「グーペ byGMOペパボ」の特別プランの提供や、セミナー・ワークショップを通じたホームページ作成や運営支援を行っている。

    藤田遥
    藤田遥

    「磯丸水産」がECビジネスに参入、コロナ禍の巣ごもり消費を「自宅居酒屋」で開拓

    4 years 6ヶ月 ago

    「磯丸水産」「鳥良」などを展開するSFPホールディングスは5月、公式ECサイト「磯丸水産 お届けグルメショップ」をオープンした。

    主力の磯丸事業「磯丸水産」を冠した公式ECサイトでは、「磯丸水産」で一番人気の「蟹味噌甲羅焼」「蟹味噌焼おにぎり」などを展開。姉妹ブランド「おもてなしとりよし」の水炊き、「いち五郎」の餃子、「玉丁本店」の味噌煮込みうどん、「四代目隆盛」のもつ鍋なども販売する。

    SFPホールディングスが開設した公式ECサイト「磯丸水産 お届けグルメショップ」
    ECサイトのトップ画面(画像は「磯丸水産 お届けグルメショップ」からキャプチャ)

    長期化するコロナ禍で飲食産業は大きなダメージを受けている。「磯丸水産」の人気商品などをネットで販売し、巣ごもり消費における「自宅居酒屋」ニーズを開拓していく。

    SFPホールディングスの2021年2月期連結決算は売上高が前期比56.7%減の174億2800万円で、当期純損失は56億5000万円。本業となる居酒屋展開の磯丸事業部門では、「磯丸水産」を17店舗退店、2月末の店舗数は直営106店舗、フランチャイズは13店舗となった。磯丸事業部門の売上高は同55.3%減の103億2600万円。

    SFPホールディングスの売上高、原価の推移
    売上高と原価率の推移(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

    外食業界は緊急事態宣言の発出などで業界全体の業績が悪化。居酒屋業態は、自治体からの営業時間短縮要請、外出自粛や集団での会食に対する警戒感の高まりなどの影響で大きな打撃を受けている。

    SFPホールディングスは、一部店舗で家主に家賃を減免してもらったほか、雇用調整助成金などの活用で損失の最小化を図ってきた。また、メニューの見直しによるロスの削減、テイクアウトの拡充やデリバリーも開始している。

    丼物を中心としたテイクアウトメニューに加え、浜焼き・オードブル・弁当などを大幅に拡充。2020年7月にはデリバリー専業店もスタートし、「うなぎの岡島」「からあげ専門店 巨匠の食卓」といったブランドでもデリバリー展開を始めている。

    SFPホールディングスのコロナ禍の取り組み
    コロナ禍の一部の取り組み(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

     

    石居 岳
    石居 岳
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