ネットショップ担当者フォーラム

ただの決済ツールじゃない! ECの課題を解決するマーケティングツール「Amazon Pay」とは

4 years 5ヶ月 ago
導入企業数は1万6000社、導入サイト数は10万サイトを突破したID決済サービス「Amazon Pay」についてmazon Pay事業本部 本部長を務める井野川拓也氏が語る。
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「カート離脱率を改善したい」「CVRを高めたい」「新規顧客を増やしたい」――。EC事業者が抱えるこんな課題を解決する手法として支持を集めているのが、Amazonが提供するID決済サービス「Amazon Pay」。

導入企業からは、「ただのID決済ツールではない、今やECサイトのさまざまな課題を解決に導くマーケティングツールだ」という声もあがる。「Amazon Pay」はどのようなEC事業者の課題を解決するのか。Amazon Pay事業本部 本部長を務める井野川拓也氏に取材した。写真:吉田浩章

1.6万社、10万サイト以上が「Amazon Pay」を導入

ECビジネスの新規立ち上げ、ECサイトの利便性向上や強化などに取り組む事業者が急増した2020年。こうした傾向を受け、「Amazon Pay」の導入企業数は1万6000社を突破、導入サイト数は10万サイトを超えた

導入サイトが10万サイトを超えた要因の1つに、ECサイト構築サービス「BASE(ベイス)」が、決済サービス「BASEかんたん決済」の新たな決済手段の1つとして「Amazon Pay」を追加したことがあげられる。

そして、多くのEC事業者に支持されている理由の1つに、「マーケティングツールとしての側面」(井野川氏)がある。

アマゾンジャパン Amazon Pay事業本部 本部長 井野川拓也氏
アマゾンジャパン Amazon Pay事業本部 本部長 井野川拓也氏

「Amazon Pay」は、Amazonアカウントでの決済と同時に、顧客の許諾を得た上で自社ECサイトへの会員登録を完了することができる。クレジットカード以外の顧客情報を、自社ECサイトのマーケティングに活用できるのだ。現在では、「Amazon Pay」を使った会員ログインの環境を用意するEC事業者も増えている。

また、導入サイトは一般的な物販サイトに加え、ふるさと納税サイトへも広がっている。2018年に「Amazon Pay」を導入した、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」(運営は株式会社トラストバンク)に加え、この度、新たに株式会社アイモバイルが運営する「ふるなび」が「Amazon Pay」の実装を開始した。

こうした状況を振り返り、井野川氏は「7年目を迎え、『Amazon Pay』はお客さまからの認知が高まりつつある。毎年、業事業者さまとお客さまを対象に認知度調査を行っているが、双方で認知度が向上している」と言う。

「Amazon Pay」のサービス紹介動画

【ゲスト購入のカート離脱を低減】Web接客でログイン&支払いを提案する機能

サービス名称は「Web接客型Amazon Pay」。ゲスト購入者がECサイトの購入方法選択画面などで一定時間滞留している場合、「Amazon Pay」の利用を促すメッセージをポップアップウインドウやチャット形式で表示する。

ゲスト購入者に表示される「Web接客型Amazon Pay」のイメージ
ゲスト購入者に表示される「Web接客型Amazon Pay」のイメージ

会員登録を行わずに決済できる「Amazon Pay」の利用をゲスト購入者に提案することで、入力フォーム画面からの離脱を防ぐ効果が期待される。

井野川氏によると、「ある事業者さまのECサイトでは、ゲスト購入画面の離脱率が27%減ったという事例も出てきている」と言う。

お客さまは移動時間など隙間時間にスマートフォンでネットショッピングをするケースが増えている。その時にネックとなるのが決済。たとえば、ゲスト購入の場合、電車の中でクレジットカード番号を入力するのは難しい。

「Amazon Pay」であれば簡単に決済することが可能。ゲスト購入画面での離脱率の低下にもつながる。(井野川氏)

【利便性の拡充】Amazonギフト券に対応

昨年6月に新たな支払い方法として、「Amazon ギフト券」を追加した。Amazonアカウントに登録されたAmazonギフト券の残高を使い、「Amazon Pay」で支払いすることができる。「Amazon Pay」を実装したECサイトであれば、「Amazon Pay」での支払いにAmazonギフト券を選択できるようになる。

ユナイテッドアローズさまには、クレジットカードの利用を控えているお客さまの自社ECサイト利用の促進、新規のお客さまの効率的な獲得をご期待いただいている。(井野川氏)

「Amazon ギフト券」に対応した「Amazon Pay」利用画面イメージ
「Amazon ギフト券」に対応した「Amazon Pay」利用画面イメージ

【販路をグローバルに拡大】海外のAmazonを利用する顧客が日本の自社ECサイトで簡単に買い物できる機能

越境EC・Webインバウンド対応サービス「WorldShopping BIZ」を提供する株式会社ジグザグと協業。「WorldShopping BIZ」を導入した日本のECサイトで、米国・欧州のAmazonを利用する顧客が「Amazon Pay」を活用して買い物できるようになった。

国内EC事業者は、開発や運営オペレーションを変更せず、「World Shopping BIZ」のタグを1行設定するだけで、自社ECサイトにアクセスする米国・欧州のAmazonアカウントを持つ顧客に越境ECによる買い物環境を提供できるようになる

越境ECにおいても、ビジネス形態、事業規模に応じて、外部リソースを使う方が効率的なケースがある。

越境ECニーズに対応したいが、新たなリソースや工数をかけられないといったEC事業者さまには、「WorldShopp-ing BIZ」と「Amazon Pay」のご利用をお薦めしたい。新たな工数をかけずにビジネスのさらなる成長を目指すことができるからだ。(井野川氏)

アマゾンジャパン Amazon Pay事業本部 本部長 井野川拓也氏
「World Shopping BIZ」「Amazon Pay」の協業で、「開発や運営オペレーションを変更せずに越境ECに対応できる」と話す井野川氏

【最新テクノロジーへの対応&利便性向上】音声ショッピング、音声による配送確認に対応する

ECのインターフェースは、最初はパソコン、いまはスマートフォン。この先、5年、10年後はどうだろうか? 会話を通じて商品を注文できる環境などが整っているのではないか。スマートフォンでのタイプミス、視認性の課題などを解決する注文手段として、音声ショッピングという可能性に注目したい。(井野川氏)

「Amazon Pay」は現在、「Amazon Alexa」が搭載されたスマートスピーカー「Amazon Echoシリーズ」に話しかけて会話を通じて商品を選択しながら決済までできる仕組みと、「Amazon Pay」を使って自社ECサイトで購入された商品の配送状況を音声で通知する機能を提供している。

また、自社ECサイトを運営している事業者は「Amazon Pay」に対応した「Alexaスキル」を開発すれば、音声ショッピング環境を提供することが可能。株式会社イーシーキューブが提供するオープンソースのECパッケージ「EC-CUBE」を利用している事業者には、「Amazon Pay」が組み込まれた「Alexaスキル」を “手軽に”“開発知識なし”“無料”で構築できるプラグインを、アイピーロジック株式会社が用意している。

【スムーズな買い物体験の提供】「Amazon Pay」は新バージョンに移行へ

Amazon Pay」では現在、新バージョン「Amazon Pay V2」の開発・導入準備を進めている。

「Amazon Pay V2」では「Amazon Pay」のページ上に配送先住所や支払い方法などを集約して表示し、顧客が選択できるようにすることで、統一された案内表示を実現。この新バージョンはブラウザの制約や利用環境などに左右されないため、スムーズな買い物体験を提供できるようになる。

株式会社ecbeingが提供するECパッケージなどが対応。メガスポーツ、Zoff、ニューバランスが先行導入している。

ネット通販に力を入れる中小企業の例

① 新規訪問者に買いやすい環境を用意した「和飲風土」

お酒の店舗小売り、卸事業などを行う株式会社和飲風土は2020年、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、お酒の販売イベントが軒並み中止に追い込まれ、販売する予定だった賞味期限のある商品の在庫が積み上がった。

「早く売り切らなければならない。どうしよう」。窮状をTwitterなどで発信、ECサイトへの新規訪問者が急増した。こうした新規訪問者の購入をサポートするうえで役立ったのが「Amazon Pay」。店舗を利用したことがない多くの新規訪問者がECサイトで買い物をし、さらに「Amazon Pay」を利用したという。

「Amazon Pay」のマーケットプレイス保証などによる安心感、Amazonアカウントで購入できる利便性が新規顧客の商品購入を後押ししたといえる。

「和飲風土」の事例動画

② ID決済導入で業務を効率化&ファン作りに費やす時間を増やした「猪飼弓具店」

大阪で弓道具の専門店を営む有限会社猪飼弓具店。ECサイトでは従前、代引き決済注文による受取拒否が発生しており、その対応のための業務にリソースや時間、手間を取られていた。

その課題解決に一役買っているのが「Amazon Pay」。導入後、代引き決済の比率は下がり、「Amazon Pay」の利用率が向上。業務の効率化につながり、リソースや時間を弓道の普及に向けたファン作りのためのSNS活用などに充てている。その結果、リピーターはもちろん、新規顧客の増加にもつながっているという。

猪飼弓具店の事例動画
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瀧川 正実
瀧川 正実

越境ECはアメリカに注目! 巨大マーケットに成長中の米国ユーザー攻略法。カギは「KOL×YouTube」? | 越境EC 3.0

4 years 5ヶ月 ago
越境ECの代理購入サービス「Buyee」の流通総額の国別シェアでアメリカが初めて首位に! 気になる米国ユーザーとは?(連載第4回)

「越境EC」と聞くと中国向けの越境ECをイメージされる方が多いと思いますが、実は巨大マーケットであるアメリカ向けが伸びています。今回は急成長中のアメリカ向け越境ECで売れる商材や、海外ユーザーへのアプローチ法を解説します。競合が多い中国向け越境ECに難しさを感じている方に、ぜひ知っていただきたい情報です。

アメリカへの越境ECが拡大中

コロナ禍も相まって現在、越境EC市場全体が大幅に拡大しています。ZION Market Researchの調査によると、2020年の世界の越境EC市場規模は推計9,123億USドル。2027年には4兆8,561億USドルにまで拡大すると予測されています。年間平均成長率は約27%。世界のBtoC-EC市場規模を上回るペースで、越境EC市場が拡大すると見られています。

2027年(予測値) 9,123億USドル
2020年(推計値) 4兆8,561億USドル
世界の越境EC市場規模予測
※「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」(経済産業省/発表:2020年7月22日)を元に編集部で作成(出所はZION Market Research)

経済産業省が2020年7月に発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、2019年にアメリカの消費者が日本から購入した額は9,034億円。中国の1兆6,558億円には届かないとはいえ、伸長率を見ると中国が7.9%だったのに対し、アメリカは9.7%と中国を上回っています

消費国 購入額 購入額合計
中国から 米国から 日本から
中国 2兆94億円
(+16.3%)
1兆6,558億円
(+7.9%)
3兆6,652億円
(+12.3%)
米国 6,535億円
(+11.8%)
9,034億円
(+9.7%)
1兆5,570億円
(+11.8%)
日本 312億円
(+19.3%)
2,863億円
(+14.3%)
3,175億円
(+14.8%)
日本、アメリカ、中国3か国間の越境EC市場規模
※「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」(経済産業省/発表:2020年7月22日)を元に編集部で作成

アメリカへの越境EC流通額が初めて中国を超えて首位に

BEENOSグループが運営する越境ECの代理購入サービス「Buyee」でもアメリカの流通が拡大しています。「Buyee」の2021年第2四半期(2021年1月1日~3月31日)の流通総額は前年同期比+45.6%で過去最高を継続更新し、特にアメリカでの流通は前年同期比+119%と大幅に拡大。流通総額の国別シェアで初めて首位になりました。

理由としては、ステイホームによりアメリカでも日本のコンテンツに接する時間が増え、ホビー関連の需要が伸長したこと、2021年2月より「Buyee」で北米向けの新配送サービスを独自に導入し、従来比で平均約59%、最大で76%安い国際配送料金を実現できたことがあげられます。

越境ECとホビー関連商品は相性が良く、「海外発送で時間やお金がかかってもいいから、好きなアニメのレアなフィギュアが欲しい」「日本でしか流通していないアニメの限定グッズが欲しい」という海外ファンの熱い想いが流通に結び付きやすいジャンルです。

同じ海外向けでも越境ECとインバウンドでは傾向が異なり、越境EC市場では趣味性が強い商材の需要が高くなります。アメリカではその傾向が顕著です。

図 アメリカの消費傾向
アメリカの消費傾向

日本のカルチャーやファッションを好む20代の若者が消費を牽引

アメリカの主な購買層は、日本のカルチャーやファッションを好む20代の若者が中心です。特に、コミックやアニメグッズ、特撮系グッズが売れており、日本のストリートファッションやスニーカーのニーズも高いです。越境ECで買い物する際に参考にするのは、動画サイトや各種SNSで、コミュニティ内で情報交換をするという新しい購買傾向が特徴となっています。

ホビー系ではアニメのフィギュアが売れており、新作だけでなく名作といわれるレジェンド級のアニメや特撮ヒーローものも人気です。理由としては海外で日本のコンテンツのファンが生まれるまでまだ少し時差があること、越境ECの特徴としてリユース品の流通が多いことがあげられます。ハリウッド大作『ゴジラvsコング』もアメリカでは公開されており、こういったジャンルは今後も期待できそうですね。

その他、トレーディングカード、ゲーム機なども人気で、Facebookなどのファンコミュニティで情報交換し購入を決めるユーザーもいます。

また、ファッションではスニーカー、「A BATHING APE」や「UNDERCOVER」など日本のストリートブランドの商品がよく売れています。日本限定の特典が付いたK-POPグッズも若者を中心に人気を集めています。意外なところでは、釣り具のハードルアーも人気です。

図 アメリカのユーザーのペルソナ
アメリカのユーザーのペルソナ

越境ECと国内ECを使い分けることなくボーダーレスな買い物を楽しむ

「Buyee」を活用しているアメリカの20代女性にインタビューしたところ、「日本からの越境ECを使う理由は、日本限定の商品を購入するため」「越境ECで買い物する際に重視するのは金額。商品自体の金額だけでなく手数料や配送料など総額を見ている」といったことがわかりました。特徴的なのが「越境ECと国内ECの使い分けをしていない」という点です。国境を気にせずボーダレスに買い物するという新しい購買傾向が見て取れます。

インタビューの詳細は以下にまとめました。

 
Q. 越境ECを利用する理由

「日本ならではのトレーディングカードを購入するため」

Q. 越境ECの利用頻度と予算

「月に1回購入するかしかないか。特に予算は決めていない」

Q. 越境ECと国内ECの使い分け

「特に使い分けをしない」

Q. 越境ECのメリットとデメリット

「メリットは簡単に欲しい物を購入できること。デメリットはもしも問題が発生した場合、時差があるため問い合わせやコミュニケーションなどが難しいこと」

Q. 越境ECで購入する際に重視していること

「商品の料金やサービス料や国内送料や関税費用など」

Q. 他国ではなく、日本の越境ECを利用する理由

「日本限定の商品を手に入れるため」

英語圏のKOL×YouTubeで「空気づくり」を

BEENOSでは「Buyee」の認知向上のためにKOL(Key Opinion Leader)マーケティングを実施しています。特に英語圏のKOLを起用したYouTube施策に力を入れています。コンテンツがストックされていくYouTubeは検索行動と相性が良く、長期的なマーケティングにつながります。そういった観点で、フロー型のSNSではなくYouTubeをコミュニケーションツールとして選んでいます。

ジャンルとしては、Buyeeの強みであるアニメ・ゲーム系、アメリカでも人気が高いK-POPのKOLを中心に依頼しています。KOLマーケティングの結果、新規顧客獲得におけるコストが約4分の1に下がり、コンバージョン率は倍以上になり、新規ユーザーも増加しました。

一例として、チャンネル登録者数200万人以上のゲーム系KOLの動画を紹介します。世界的に有名な日本のゲーム会社のテーマパークがアメリカに開園するはずだったのですが、新型コロナウィルスの影響でオープンが延期されてしまい、日本からそのテーマパークのオフィシャルグッズを「Buyee」で取り寄せるという動画です。

ゲーム好きのお客様が「アメリカでは入手できない商品でも越境ECを通して購入できる」という象徴的な内容になっています。27万回以上再生され、日本のカルチャー好きの方々を中心に、コメントも約1,500件寄せられています。

いきなりチャンネル登録者数100万人規模のKOLと取り組むのは予算的にも大きなハードルがあると思います。そういった場合は、複数の「マイクロKOL」にアプローチして「空気づくり」をするのがおすすめです。

BEENOSでは、K-POPコミュニティにアプローチするべく、数千から1万人単位のチャンネル登録者数を保持する複数のYouTuberにアプローチしました。複数のKOLに協力してもらうことで、コミュニティ全体にじわじわと広がり、今では「K-POPグッズを買うならBuyee」という空気を作り出すことができました。

海外向けKOLマーケティングの注意点

YouTubeを活用したKOLマーケティングのポイントは、コンテンツについてKOLとよく相談することです。コンテンツを作るのはあくまでYouTuber自身であり、彼らが作りたいコンテンツ制作をサポートする側に回ることです。当たり前だと思われるかもしれませんが、実際に制作が進むとサービスを訴求したい気持ちが強くなり、あれもこれもと言ってしまいがちです。

ただし、必ず入れてほしい内容やハッシュタグなど、最低限の約束事は決めておくとトラブルが防げます。KOLはクリエイターなので、少ない制約の中で楽しんでコンテンツを作ってもらえると、クオリティや成果も上がります。

その他の注意点は、ジャンルやチャンネル登録者数によってインセンティブの額が変わってくることです。数万円程度の予算から相談可能ですが、競合企業が多いコスメ系のKOLなどは金額が高くなります。

また、有名なYouTuberは代理店と契約していることが多く、いざオファーしようとすると言語の壁が立ちはだかりますが、ターゲット国の言語を話せる人材が社内にいるなら、海外の代理店の利用をおすすめします。日本の代理店は海外とのやり取りを代行してくれる代わりに予算が高くなる傾向があり、中には数倍の違いが出てくることもあります。

◇◇◇

新型コロナウィルスはボーダーレス化やDXにおいては「時計の針を早めた」ような前向きな進化をもたらしました。国境を超えて物を売り買いすることが広がり、「EC=グローバル」が当たり前な世の中になってきていると感じます。これはコロナ禍の今だけの変化ではなく、デジタルシフトが前倒しで進み、今後もEC化は加速していくでしょう。一度進んだ時計の針は戻りません。この変化を前向きに捉え、成長中のアメリカ向け越境ECに挑戦してみませんか。

直井 聖太
直井 聖太

中小企業20万円/月・個人事業主10万円/月を給付する「月次支援金」の申請受付は6/16(水)から

4 years 5ヶ月 ago

「緊急事態措置」「まん延防止等重点措置」による「飲食店の休業・時短営業」「外出自粛等」の影響で、売り上げが50%以上減少した中小法人などに月額上限20万円、個人事業主などに月額上限10万円を給付する「月次支援金」について、6月16日(水)から申請の受け付けを始める。

4月分、5月分の申請期間は6月16日から8月15日。6月分の申請期間は7月1日から8月31日とする。

手続きはオンラインで行う予定で、「月次支援金」のホームページは6月16日に公開する。オンライン申請が難しい場合は、事務局で申請サポート会場を設置するとしている。

「月次支援金」とは

「緊急事態措置」「まん延防止等重点措置」に伴う「飲食店の休業・時短営業」「外出自粛等」の影響で、2021年の対象月の売り上げが2019年または2020年の基準月(2021年の対象月)の売り上げと比較して、50%以上減少した中小法人、個人事業者などに、事業の継続・立て直しのための支援金を給付する制度。

「月次支援金」の給付は2021年1月に発令された緊急事態宣言の影響緩和のための給付金制度「一時支援金」の仕組みを採用。事前確認や提出資料を簡略化し、申請者の利便性を高めるとしている。

給付要件について

  • 2021年の対象月の「緊急事態措置」「まん延防止等重点措置」に伴う飲食店の休業・時短営業、外出自粛などの影響を受けていること(同措置が実施されている地域で休業または時短営業の要請を受け、休業または時短営業を実施している飲食店と直接・間接の取引がある、または、同措置が実施される地域における不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けていること)
  • 2021年の月間売上が、2019年または2020年の同月比で50%以上減少していること

飲食店の休業・時短営業の影響関係について

  1. 対象飲食店に対して商品・サービスを反復継続して販売・提供してきたが、対象飲食店が2021年の対象月に緊急事態措置などで休業・営業時間短縮。これにより、対象月に飲食店との直接取引からの事業収入が減少したことによる影響
  2. 対象飲食店に対して、商品・サービスを自らの販売・提供先を経由して反復継続して販売・提供してきたが、1の影響で対象月における自らの販売・提供先との取引からの事業収入が減少したことによる影響
月次支援金 飲食店の休業・時短営業の影響
飲食店の休業・時短営業の影響

外出自粛などの影響関係について

  1. 緊急事態措置などを実施する都道府県の個人顧客に対して、商品・サービスを継続的に販売・提供してきた。しかし、対象月の対象措置によってその個人顧客が外出自粛などで、対象月に同個人顧客との取引からの事業収入が減少したことによる影響
  2. 1の影響を受けた事業者(以下「関連事業者」)に対して、商品・サービスを反復継続して販売・提供してきたが、1の影響で対象月に関連事業者との直接の取引からの事業収入が減少したことによる影響
  3. 関連事業者に対して、商品・サービスを販売・提供先を経由して反復継続した販売・提供してきたが、1の影響で対象月に自らの販売・提供先との取引からの事業収入が減少したことによる影響
月次支援金 外出自粛等の影響
外出自粛等の影響

給付対象

次の1または2の要件を満たす事業者は、業種や所在地を問わず給付対象となり得るという。

  1. 対象措置を実施する都道府県に所在する飲食店と直接・間接の取引があることによる影響を受け、2021年の月間売上が2019年または2020年の同月比で50%以上減少していること
  2. 対象措置を実施する都道府県に所在する個人顧客と直接的な取引があることによる影響を受け、2021年の月間売上が2019年または2020年の同月比で50%以上減少していること
月次支援金 給付対象となり得る事業者の具体例
給付対象となり得る事業者の具体例
月次支援金 給付対象となり得る事業者の具体例
給付対象となり得る事業者の具体例
月次支援金 給付対象となり得ないケース
給付対象となり得ないケース
瀧川 正実
瀧川 正実

ECサイトで「2足購入してフィッティング、1足は返品」。ニューバランスが会員限定の競技用シューズ返品無料サービス

4 years 5ヶ月 ago

ニューバランス ジャパンは、競技用シューズを自宅でフィッティングして無料で返品できる「競技用シューズ返品無料サービス」を公式ECサイトでスタートした。

サイズに対する不安を解消するための試みで、公式ECの会員ロイヤリティプログラム「myNB」会員限定のサービスとして展開する。

店舗まで足を運ぶ時間がない、競技用シューズの機能選びに迷ったときなどに、最適なシューズを自宅でゆっくり試着できる環境を提供する。

ニューバランスは、サイズ・ウイズ選びに迷った際、2足購入してフィッティングし、最適なな1足を選べるとしている。代金を一度、全額請求し、返品後に差額を消費者へ返金する。

ニューバランス ジャパンは、競技用シューズを自宅でフィッティングして無料で返品できる「競技用シューズ返品無料サービス」を公式ECサイトでスタート
「競技用シューズ返品無料サービス」の概要

返品は、商品の出荷日から14日以内にニューバランスへ返品に関する連絡することが条件になる。室内での試着、未使用品に限り返品できる。対象商品は、ランニング、フットボール、サッカー、野球、テニスカテゴリのシューズ。

ニューバランスは2019年、実店舗と公式EC、アウトレット店でそれぞれわかれていた会員情報を公式ECの会員ロイヤリティプログラム「myNB」に統合した。

石居 岳
石居 岳

アダストリアなどが導入、“偶然の出会い”を創出するストーリー型オンライン接客ツール「ザッピング」とは?

4 years 5ヶ月 ago
2021年3月にローンチしたストーリー型オンライン接客ツール「ザッピング」。アダストリアも導入するサービスの概要とは?

アダストリア、メガネブランドの「OWNDAYS」(運営はオンデーズ)などが自社ECサイトに導入するストーリー型オンライン接客ツール「ザッピング」。InstagramやLINEなどで一般的になっているショートムービー「ストーリー」を販売員が撮影し、商品情報をひも付けて自社ECサイトやInstagramに掲載できるサービスだ。数多くのオンライン接客ツールが登場しているが、「ザッピング」は主力EC関係者からも注目を集めている。開発者であるFANATICの野田大介代表に話を聞いた。

連続再生で「偶然の出会い」を創出

「ザッピング」は、htmlタグを埋め込むだけで、ECサイト上へのストーリー掲載を可能にするツール。2021年3月にローンチ後、アダストリアや「OWNDAYS」、化粧品ブランドの「ネイチャーズウェイ」が導入。今後も、商業施設やアパレルブランド数社が導入を予定しているという。

動画のほかに静止画も掲載でき、それぞれ特集ページや商品ページへのリンクを設置することが可能。ECサイトを来訪した顧客は、「ザッピング」を通じて掲載されたストーリーを見て気になった商品があれば、そのまま画像や動画上の商品情報をタップし商品ページへ遷移できる。

アダストリアによるザッピング導入例。商品情報に付随するテキストの色や配置箇所は自由に設定できる。ブランドロゴの掲載も可能
アダストリアによる導入例。商品情報に付随するテキストの色や配置箇所は自由に設定できる。ブランドロゴの掲載も可能(画像:FANATIC提供)

「ザッピング」は店頭販売員による撮影、掲載を想定して開発(上長などの権限者が承認して掲載が完了する)。動画や画像経由での売上高や視聴数などを可視化するため、導入企業はその成果を各販売員の評価に活用できるという。

現在、店頭販売員の利用を想定したオンライン接客ツールは複数出てきているが、「ザッピング」の特徴は、「ストーリー」を採用しているため、動画が連続再生される点にある。

TikTokで連続再生を続けている間にお気に入りの動画が見つかることもあるように、「ザッピング」もまた、連続再生している間の「偶然の出会い(セレンディピティ)」を創出する。これは店頭での買い物体験に近い感覚といえそうだ。

店頭の接客体験をオンラインで再現

ストーリーの掲載場所は、トップページ、商品ページ、購入完了ページとあらゆる場面が想定される。開発者の野田大介代表は、「各ページに役割を持たせることで、店頭に近い接客体験をオンラインで再現できる」と説明する。

たとえば、トップページに表示するストーリーは店頭接客でいうところの「いらっしゃいませ」、つまり「誘導」にあたり、商品ページのストーリーは「接客」。購入完了ページのストーリーは「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしています」に近い、「リピート促進」の役割を持たせることができる。オンラインであれば、購入完了ページのストーリーにアプリ登録やLINEの公式アカウントを紹介するためのQRコード掲出もできるだろう。

物撮りによる活用イメージ。商品の上に、商品名や価格などを載せれば一目で商品情報が分かる
物撮りによる活用イメージ。商品の上に、商品名や価格などを載せれば一目で商品情報が分かる(画像:FANATIC提供)

今後商業施設などでの導入も進んでいくため、たとえば施設内の飲食店が「本日の日替わりメニュー」「今パンが焼けました」など、動画ならではの「シズル感」の演出も可能になりそうだ。

企業へのサービス提供が始まって間もないが、早くも視聴時間、CVRとも「導入前に想定していた以上に伸びている」と野田氏は説明する。

公文 紫都
公文 紫都

代引きの受取拒否リスクの解消と顧客体験の改善を同時に実現。キングレコードが導入した後払い決済「atone」とは

4 years 5ヶ月 ago
公式オンラインショップ「KING e-SHOP」と、アニメや声優の商品をメインに扱う「キンクリ堂」の2サイトを運営するキングレコードが、「atone」を導入した背景と効果を語る。
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時代の変化に合わせて、音楽・映像のパッケージ販売に加え、IP(知的財産権)ビジネスにも注力しているキングレコード。ECサイトは公式オンラインショップ「KING e-SHOP」と、アニメや声優の商品をメインに扱う「キンクリ堂」の2サイトを運営している。

そんなキングレコードでは、昨今の消費行動の多様化により顧客体験の向上が課題となっていた。決済手段の多様化を通じて買い物体験の向上、業務効率化を実現したキングレコードの改善策を取材した。

オリジナル商品の展開でコアなファンが集まるECサイト

キングレコードが手がけるECビジネスの特徴は、自社が保有するアーティストやアニメといった各作品のIPに、コアなファンが付いていることだ。

アーティストやアニメのオリジナル商品、特典といったマーチャンダイジング(MD)をECサイトで展開。他社では取り扱っていない、つまり“キングレコードのECサイトでしか売っていない”商品をそろえることで、ECサイトにはその商品購入を目的としたファンが集まっている

たとえば、キングレコードで取り扱っているアーティストのCD。「KING e-SHOP」オリジナル仕様の写真集やTシャツなどのグッズをバンドル販売するなど、レコード会社独自のECを展開するようにしている。 (開発営業部 ダイレクトマーケティンググループ 永田陽子氏)

スクリーンショット 「KING e-SHOP」限定で扱う商品の例
「KING e-SHOP」限定で扱う商品の例。さまざまな商品で「ストア限定」「オリジナル特典付き」などを用意している

ただ、レコード会社による自社サイトゆえの悩みもある。レコード会社の場合、他のレコード会社の商品は基本的に取り扱わない。さらに、CDなどは「再販売価格維持制度」に該当し、商流との関係もあり値引き販売が難しい

レコード会社の自社ECサイトは、保有するIPに関する商品しか基本、扱っていない。そのため、大手ECモールや小売店のECサイトのように、いろいろなアーティストやキャラクターの商材のまとめ買いニーズには対応できない

こうしたデメリットがある一方で、自社ECサイトの強みを打ち出す必要がある。それがレコード会社のIPを活用したオリジナル商品、特典の提供などでファンのEC利用につなげている。(永田氏)

直販は利益率の向上、コアユーザーの囲い込みなどを狙い、キングレコードが全社としてECに注力する方針を打ち出したのは2019年頃。商売において「コアファン=リピート購入」と一般的に考えられるが、レコード会社の直販は若干異なるようだ。

ファンはECサイトではなく、アーティスト作品ごとに付いていることが多いため、商品力が次回購入にも大きく影響するという。

当社のECサイトを利用するお客さまは、何かしらの直販ならではのメリットを求めている。その期待を裏切らない商品や特典を用意することにより、“ここでしか買えない”といった要素を提供すれば購入していただける

いわゆる一般的なECサイトが行っているリピート施策や販促はあまり行っていない。基本的なリピート要素は商品力。商品に魅力があればコアユーザーは支持してくださるので、商品企画に最も注力している。(永田氏)

「代引き決済」の受取拒否、返品率の高さや対応業務などのコストが課題に

顧客の期待を裏切らない商品力で顧客の支持を集めるものの、消費行動の多様化などで課題も出てきた。その1つが決済面で、「代引き決済」がネックにあがった。

キングレコードを利用する消費者の中には、クレジットカードを持たない消費者も多い一方で、ECではクレカ以外の選択肢は少なく、またクレカ同等の利便性を持つ決済も少なかった。「代引き決済」を選んだ場合、商品受け取り時に家に居合わせ、現金を用意しておかなければならない。それに煩わしさを感じる消費者も少なくなかったという。

顧客体験という側面に加え、運営側のコストも課題だった。「代引き決済」では一定程度、受け取り拒否が発生。それによる返品率の高さ、返品対応、機会損失などさまざまなコストが問題となっていたので、その解消が必要不可欠であった。

「代引き決済」から銀行振込などの「前払い」への移行による課題解消という選択肢もあるが、入金待ちと未入金キャンセルによる販売機会の損失といったリスクに加え、入金確認などの手間が増えてしまう。

消費者の購買体験を良化し、事業者側で抱えるリスクや手間などのコストが増え過ぎない――。「代引き決済」に変わる新たな決済手段としてたどり着いたのが、ネットプロテクションズが提供する後払い決済サービス「atone(アトネ)」の導入だった。

ユーザー体験が良くコストが低い「atone」導入、「代引き決済」停止で課題解決へ

「atone」は、後払い決済サービスのひとつ。消費者は会員登録をすればすぐに利用できる。利用代金はまとめて翌月払いでき、利用代金200円ごとに1NPポイント(「atone」と「NP後払い」の共通ポイントサービス)を受け取れる

利用の際にクレジットカードや銀行口座の登録、事前チャージは不要で、事業者(EC・実店舗)側の手数料は、決済額の1.9%+30円~導入できる

携帯電話番号とパスワードのみで利用できる簡便さが特徴の1つ
携帯電話番号とパスワードのみで利用できる簡便さが特徴の1つ

後払い決済のなかでも「atone」が特徴的な点は、そのUX設計だ。決済に必要なのは電話番号とパスワードのみで、スマホファーストを意識。1か月分の利用代金は翌月にまとめて支払え、利用のたびにポイントも付与される――。

「atone」と他の決済方法の比較
「atone」と他の決済方法の比較

繰り返し使う上で簡単、便利でお得に利用できるため、消費者の利便性の向上に直結するサービスなのだ。結果的に、若年層から中年層を中心に利用客が多い

ネットプロテクションズの会員数の推移と年齢分布
ネットプロテクションズの会員数の推移と年齢分布

クレジットカードを持たない消費者でも簡単に利用でき、宅配配送員との金銭のやり取りがなくなる。キングレコードにとっても「代引き決済」で発生する手間や販売機会のロスを解消できるといったメリットがあった。

こうした説明をネットプロテクションズから聞いたのは2020年のこと。「通常であれば他社サービスも含めていろいろなお話を伺うが、『atone』の説明で納得。導入を即決した」(永田氏)

「atone」を「キンクリ堂」と「KING e-SHOP」に導入したのは2020年9月。「atone」は大きな開発は必要とせず、数行のJavaScriptコードの埋め込みと数本のAPI開発のみでスタートすることが可能。

キングレコードのECシステムと「atone」を連携するための開発・改修には全面的にネットプロテクションズのスタッフが協力。各種ベンダーとの交渉などはネットプロテクションズのスタッフが関わり、実装のフォローも充実していたという。「想定よりもスムーズに改修、実装を完了できた」(永田氏)

若年層購入者の10%が「atone」を利用

「atone」導入後、抱えていた課題はすぐに、解決へとつながった。「atone」導入と同時期に「代引き決済」を停止。商品の受取拒否による返品がなくなり、それに伴う雑務からスタッフは解放された。利用者の大半は「atone」による決済に移行した

決済比率を見ると、若年層購入者の比率が高い商品の購入においては、購入者全体の7~8%が「atone」を利用。10代から20代に限った決済比率では、導入から6か月で約10%を占めるに至っている。「atone」は、クレジットカードを持たない層が求めるニーズにピタリとハマった。

「atone」導入で一番大きかったのは、課題だった受取拒否による返品がなくなったこと。荷物を引き取ってもらえない場合、返品に関する連絡や対応などの雑務が大きな負荷になっていた。

「後払い決済」導入のメリットには、貸倒率が減少するという安心感もあげられる。若い消費者は「後払い決済」をオンラインショッピングの決済で普通に使っており、「atone」利用によるポイント付与も加えると大きなユーザーメリットにつながっている。(永田氏)

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石居 岳
石居 岳

GAFA + ShopifyのEC陣取り合戦が激化! ITPの影響でプラットフォーマーが有利な世の中に!?【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

4 years 5ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年6月7日〜13日のニュース
ネッ担まとめ

コロナの影響でECが伸びているとなると、ECを持っていないGoogle、Facebook(Instagram)が入り込んでくるのは自然ですよね。その一方、「ITP」の影響でAmazonが広告を伸ばそうとしています。

隙あらば入り込みたいGAFA

前提
  • 新型コロナウイルス感染症の影響でEC需要が一気に伸びた
  • AppleのITP(Intelligent Tracking Prevention)がきっかけとなりサードパーティパーティcookieが使えなくなってきた

日本にいるとあまり感じませんが、世界ではECをめぐるGAFA+Shopifyの動きが激しくなっています。いずれ日本にも影響してくるでしょうから、今のうちに動きを押さえておきましょう。

コロナの影響は皆さんご存知だと思いますので、以下の記事からITPの影響だけちょっと説明します。

ITP対応やCookie規制の対策は? クッキーや広告規制の仕組み | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2020/10/16/37598

そもそもITPとはAppleのプライバシー対策のことで、サードパーティcookieが使えなくなってしまうというもの。サードパーティパーティcookieが使えなくなると以下のようになります。

リマーケティング広告や、広告を見たがクリックしなかったターゲットが別ルートでコンバージョンしたことを計測する、ビュースルーコンバージョン計測もできなくなる。今まで当たり前のように使っていたプラットフォームや機能が使えなくなってしまうのだ。

影響を受けるのはGoogleやFacebookの広告をメインに活用していている企業で、アフィリエイトの成果計測や、MAツールにも影響が出ます。すでにリターゲティング広告の効果が薄くなっていると感じているEC事業者さんもいるかもしれません。

ファーストパーティcookieは影響を受けませんので、簡単に言ってしまえば自分のドメイン内であれば今まで通り広告などを出せますし、アフィリエイトの計測も問題ないです。問題は自分のドメイン内でそんなことができるのか? ということで、できるのは結局GAFA企業になってしまうわけです。膨大なユーザーとページ数を保有しているので、あらゆるところに手が届くんですよね。

近所の公園では遊べるものが限られていてすぐに飽きちゃいますが、ディズニーランドなどであればいろいろな引き止め施策がされているのでずっと遊べて、リピーターになってしまうのと似ています。

Instagramがインフルエンサーの収益強化に本腰 ?ポストクッキー時代の新たなアフィリエイト像 | REWIRED
https://rewired.cloud/2021/06/10/instagram-as-new-affiliate-provider/

Instagramであればユーザーが多いので購買機会も増えるでしょうし、アフィリエイターさんの成果も計測できるのでどんどんユーザーが集まってくると考えられます。ECサイトで何かを買うきっかけはSNSやYouTubeというデータを見たことがありますよね? ということは、そこで購入できれば……と考えたInstagramがアフィリエイトを始めたわけです。

今回の Instagram の発表で感じるのは、アフィリエイトやショップ、バッジの活性化による決済収益の増加はもちろんのこと、それらの発生を自社のプロパティですべて把握できるようにするぞという強い意思です。

Cookieにトラッキングを依存できない以上、広告ビジネスには常に外部からの抵抗がかかりますが、売上の貢献度を紐付ける仕組みさえ作ってしまえば、軸となるアカウントの数はまだまだ圧倒的なシェアを持っていますし、その活用はソーシャルネットワークだからこそさまざまな横展開が可能です。今回の発表は、Google以上に「広告しかない」と揶揄されてきた Facebook/Instagram が次のステージに向かうための第一歩なのかもしれません。

今までもECには何とか入り込もうとしていますが、うまくいっていないのでアフィリエイトに限らずEC関連の機能はどんどん出てくることでしょう。

Amid post-cookie confusion, Amazon plans to launch an identifier of its own | DIGIDAY
https://digiday.com/marketing/amid-post-cookie-confusion-amazon-explores-launching-an-identifier-of-its-own/

GAFAってことはAmazonも同じでは? と思った人はその通りです。まさにAmazonも動き出しています。英語の記事なのでDeepLで翻訳して引用します。

アマゾンの識別子は、アマゾンのエコシステムの中だけで使用されます。バイサイドにはアマゾンのDSPを介して提供され、パブリッシャーにはパブリッシャーサービス部門のAPSを介して提供される、と関係者は述べています。

Amazon’s identifier will live solely inside of Amazon’s ecosystem: Available to the buy side via Amazon’s DSP, and available to publishers through its publisher services division APS, those sources said.

Amazon内での動の追跡と測定ができるような識別子を考えているようです。Amazonを自動販売機のように使っている人、プライムビデオ、ミュージックなどAmazonのサービス使っている人は多いので、これが実現すればECに関してはAmazonという流れがますます強まりますよね。

ECでのAmazonとGoogleの競争が激化。中心にいるのはShopify?【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/873

Googleに関しては先日お伝えしたようにShopifyと組んでECを強化しようとしています。今までGoogleはECに関しては本腰を入れてきませんでしたが、ITPが広告の売上に影響して、ECの利用者が急増しているのにそれを見逃している状況ですから、さすがに今回はやる気のようです。

NetflixがECサイト「Netflix.shop」を米国でオープン 新進アーティストとアニメやドラマのコラボ商品を展開 | ITmedia NEWS
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2106/11/news119.html

米Netflixは6月10日(現地時間)、独自のECサイト「Netflix.shop」を米国でオープンした。同社が配信するアニメやドラマと、アーティストやアパレルブランドがコラボした限定グッズを販売。数カ月以内に米国以外でも利用できるようにするとしている。

ECを狙っているのはInstagramやGoogleだけではありません。Amazonが動画サービスを始めたのとは反対に、動画サービスのNetflixがECに参入してきました。アニメやドラマが好きになると関連グッズが欲しくなるのは自然な流れ。いわゆる「推し」の消費です。日本で言えば週刊少年ジャンプがECサイトに本腰を入れたら……と思っていますが、難しいのでしょうね。

コマースに波が来た!リワイア岡田さんに聞く、運用型広告のプロがShopifyに参入したワケ | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/9206

Amazonプライムは、配送無料から始まり、映画や音楽なども無料で見られるようになり、それがAlexaともつながり……と、ショッピング以外の価値を自社アカウントに吹き込んでいます。最終的なレベニューポイントは、Amazonの場合はAWSやコマースでありGoogleの場合は広告である。そこで出た利益を他の製品に注ぎ込み、最終的にはアカウントに紐づく情報量を武器に、自分たちのビジネスで一番お金が儲かるところに活用していく勝負になる。Cookieが使いにくくなる中で、自社が保有するアカウントはますます重要性を帯びていきます。2020年代はプラットフォーマーによるアカウント争奪戦が激化する時代になると思います。

まとめるとこちらの記事の岡田さんのコメントになると思います。大企業は自社アカウント争奪戦を繰り広げるようになるということですね。

日本国内に関しては楽天市場やPayPayモールがあるとはいえ、少子高齢化の影響が出てくるのは間違いないです。そうなると越境ECという選択肢が出てきて、Amazon、Google、Shopify、Instagramとならざるを得ません。目先の売上を考えながらも、10%ぐらいのリソースは世界の動向把握や越境ECに割いておきたいですね。

EC全般

Amazon内広告「利用していない」4分の1、利用最多は「スポンサープロダクト」/いつもが53社調査 | ECzine
https://eczine.jp/news/detail/9265

現状では使っていないユーザーが多いものの、使わざるを得ない状況になってくるはずです。

第1回 アフィリエイト広告等に関する検討会(2021年6月10日) | 消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/review_meeting_003/024308.html

アフィリエイト広告の適正化に向けた考え方(PDF) | 消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/assets/representation_cms219_210609_06.pdf

日本国内のアフィリエイトはトラブルが多いので規制が強化されます。追い出されたアフィリエイターがInstagramなどに流れることが考えられます。

改正特商法が成立、悪質な定期購入商法に「直罰」導入:【公式】データ・マックス | NETIB-NEWS
https://www.data-max.co.jp/article/42115

こちらも規制の強化。国内ECがごたごたしているうちにGAFAにやられてしまうことだけは避けたいですが。

【重要】Amazon「FBA手数料および販売手数料改定」まとめ(2021年6月16日改定) | 日本ネット経済新
https://netkeizai.com/articles/detail/3903/1/1/1

高くなるのは困るけど、Amazonは売れるし売るには……。という人も多いはず。

【初心者むけ】SEO(自然検索)経由集客を実店舗に例えるとどうなるか? | ラウンドナップ・Webコンサルティング
https://www.roundup-consulting.jp/post-13872/

GAFAとか関係なく、こじんまりやりたい人はこの記事を。

今週の名言

要するに、「正しいことをやりなさい」じゃ人は動かないんです。だって人間は「正しいからやる」んじゃなくて「うれしいからやる、楽しいからやる」ものだから。ここに「うれしさ」「楽しい」を入れてあげるっていうのが、行動変容のためのコミュニケーションのコツなんですね。
─東京大学教授、慶應義塾大学教授、社会創発塾塾長 鈴木寛氏

「5%変われば、社会は変わる。人は微力だが無力ではない」社会変革のプロが語る | Gyoppy!
https://gyoppy.yahoo.co.jp/originals/86.html

「良い商品だから買ってください」じゃ人は動かないですよね。使っている状況がイメージできれば買ってくれます。

森野 誠之
森野 誠之

アフィエイト広告規制はどうなる? 執行例などにみる表示責任の議論と解釈&消費者庁に聞く検討会立ち上げの目的 | 通販新聞ダイジェスト

4 years 6ヶ月 ago
消費者庁がアフィリエイト広告規制を検討しています。広告表示の責任を負うべき「表示主体者」定義の整理や検討会の議論結果によっては、法改正につながる可能性も排除していません

消費者庁がアフィリエイト広告の規制を検討する。アフィリエイト広告は、その構造の複雑さ、ステークホルダーの責任回避の連鎖から不当表示の温床になっている。消費者庁は、景品表示法上、責任を負うべき「表示主体者」の定義の整理、広告健全化の方策を議論する。議論の行方によっては、法改正につながる可能性も排除していない。

表示主体者の解釈、健全化に向けた議論を実施

「景表法の適用に関する考え方」「不当表示の未然防止のための取り組み」を検討する。前者は、「表示主体者」の解釈に踏み込む議論、後者は、業界の自主規制を含めた健全化に向けた議論になる。消費者庁は、検討会と並行して今夏、アフィリエイト広告の実態調査をまとめる。調査結果も検討に活かす。

検討会は6月から月1回ほどのペースで開催。関係者のヒアリングなどを行い、年内をめどに一定の結論を得る。

表示責任の見極めが難しいアフィリエイト広告

最大の論点は、「表示主体者」の定義の整理になる。現行法の解釈は、08年の高裁判決がベース。①自ら、もしくは他者と共同で積極的に表示内容を決定した者、②他の者の表示内容に関する説明に基づき、その内容を定めた者、③他の事業者にその決定を委ねた者のいずれかの該当で判断する

通販新聞 アフィリエイト広告 消費者庁 景品表示法 表示主体者 ベイクルーズ
2008年に東京高裁判決で示された「表示主体者」に関する解釈

アフィリエイト広告で、なぜこの解釈が問題になるのか。景表法は、その規制対象を「商品・サービスの供給者」に限定する。一般的な純広告は、「広告主=商品供給者」で、表示責任を負う。

一方、アフィリエイト広告は、広告主だけでなく、アフィリエイター、ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)など、複数の関係者が絡み構造が複雑だ。広告の制作者はアフィリエイターで、「商品供給者」と一致しないケースもある

表示責任の見極めも難しい。広告は、ASPを介して企業が禁止事項などレギュレーションを提示。アフィリエイターが作成した広告を、広告主が成果発生の事前・事後に承認する。内容は基本的にチェックできる。

ただ、運用に際しては、管理が行き届かないケース、「薬機法、景表法遵守」など通り一遍のレギュレーションを提示するものの、管理をASPやアフィリエイターに丸投げする事業者もいる。広告素材の提供を通じて、深く関与する事業者もおり、広告主の関与の度合いを推し量るのは難しい

通販新聞 アフィリエイト広告 消費者庁 景品表示法 表示主体者 景品表示法と薬機法の規制対象の違い
景品表示法と薬機法の規制対象の違い

アフィリエイターも制作した広告への誘導を目的に自ら広告出稿する者、有力アフィリエイターを囲い込み法人化する者など業界の成熟が進む。企業によるチェックが行き届かない夜中に表示を改変して成果発生を狙う者もいる。成果報酬型であることから、虚偽・誇大広告を行うインセンティブも働きやすい

表示責任に対する専門家の見解も「禁止事項を細かくするほど関与が深い、不当表示でも一切ノータッチなら関与が薄い、とみられるかもしれない」(景表法に詳しい弁護士)、「全くの白紙委任で景表法上の責任を問えるかというと厳しいのでは」(公取OB)といった見方がある。

執行例にみる、消費者庁の「表示責任」への解釈とは

消費者庁は、これまでの執行で表示責任の解釈を示している。

今年3月、アフィリエイト広告を対象に初めて違反認定したT.Sコーポレーションの事案では、広告素材の提供や内容の合意から「他者に委ねたというより、積極的に関与した」(消費者庁)と判断した。判断は、表示主体者の①に該当。一方で③の「白紙委任」を対象にした処分は例がない。

同時期に公表した消費者安全法に基づく「アフィリエイト広告の注意喚起」では、白紙委任に対する法解釈の一端がうかがえる。担当課は、表示責任の所在を広告主に求めた景表法上の観点について、「ASPへの委託、再委託を承知し、広告内容を把握していた。内容が虚偽・誇大なら修正できる権限を有していたが放置した」と、「修正できる立場」をもって、広告の表示主体者と認めた。

通販新聞 アフィリエイト広告 消費者庁 景品表示法 表示主体者 アフィリエイト広告規制を巡る動向
近年のアフィリエイト広告規制をめぐる動向について

アフィリエイト広告ではないが、昨年末にはアマゾンジャパンによる行政処分取消訴訟(17年提訴。東京高裁で敗訴確定)でも、「白紙委任」の責任を問う判決が下されている。

裁判は、サイト内で行われた不当な二重価格表示の表示主体者が争点。アマゾンは、比較対照となる価格の登録が納入業者であり、自らは「価格を機械的に表示する仕組みを構築したに過ぎない」「表示内容の説明を受けず、決定に介在する余地はなく、委ねた事業者にも当たらない」と主張した。判決は、アマゾンが「どう表示するか自由に決定できる立場」をもって「表示主体者」と認めた。

「表示主体者」の定義変更で、法改正に発展するか

検討会を通じ、消費者庁は表示主体者の定義を整理するとみられる。公取OBは「白紙委任の責任をどこまで問うか、解釈を示すのでは」と話す。

ただ、景表法は規制対象が「商品供給者」に限られる制約がある。現行法では、ASP、アフィリエイターは規制対象になり得ない。「アフィリエイターを広告主とともに供給者とみなし、規制する方策があるか考えているのかもしれない」(前出OB)とする。

通販新聞 アフィリエイト広告 消費者庁 景品表示法 表示主体者 アフィリエイターの定義
アフィリエイターについての定義

「表示主体者」の定義変更を含む法改正議論に発展するかもポイントになる。前出OBは「『何人規制』のように解釈を広げると、有象無象のアフィリエイターを取り締まる必要がある。景表法はあらゆる商品が対象で、行政コストも重くなる。これまで運用の積み重ねで解釈を示してきた」と否定的な見方を示すが、定義変更に発展すれば、検討の影響は広告全般に及ぶ。

消費者庁・西川康一表示対策課長に聞く、検討会立ち上げの目的

消費者庁表示対策課の西川康一課長に、検討会の狙いを聞いた。

――アフィリエイト広告の問題意識は。

広告主ではない者が表示し、広告主自身が内容を管理しにくい特徴がある。もう1つは、商品が売れた場合に報酬を支払う成果報酬型。媒体への出稿費用などもアフィリエイターが負担する。商品が売れなければ、赤字にもなりかねない。内容を盛ってでも売ろうとするインセンティブが働く傾向がある。

消費者からすれば、「あなたが商品を購入したら私にお金が入ります」と正直に書いてあるわけでもない。広告と思わず見ている場合もある。不当表示を生みやすい背景がある中で消費者への影響も看過できず、検討会を立ち上げた。

――景表法の規制対象は、あくまで商品・サービスの供給者。アフィリエイターの問題点に触れているが、規制対象にはならない。

現行法が前提ならそうなる。「ASPやアフィリエイターも規制対象に」という意見もあるかもしれない。改正の可能性を排除するものではなく、幅広く議論してもらう。

――ASP、アフィリエイターなどの責任は明確になるのか。

現行法でもはっきりしている。基本は、商品の供給者(広告主)。アフィリエイターに広告内容の決定を委ねている場合も広告主が責任をとる

通販新聞 アフィリエイト広告 消費者庁 景品表示法 表示主体者 検討会委員
検討会委員の一覧

――不当表示の未然防止の取り組みは何を想定しているのか。

行政の取り組みだけで健全化するとは限らない。広告主、ASP、代理店、アフィリエイター、媒体社など関係者に果たせる役割もある。どのようなべストプラクティスがあるか、それをどう広げるか議論してもらう。

――「アフィリエイト広告等」を検討するとあるが、広告全体の議論に発展する可能性もあるか。

それ以外の表示広告に議論が及ぶ可能性があるため。深い意味はない。

――消費者がわからないなら、広告であることを明らかにすることも考えられる。

あたかも第三者のレビュアーが書いたように見えれば、騙されるリスクは増える。消費者問題を少なくするには、そうした取り組みをすべきという意見も出る可能性はある。

――白紙委任はどう判断されるのか。

T.Sコーポレーションは広告内容にコミットしていた。ただ、白紙委任であれば捕まらないとは誰も言っていない。事件化していないが、今後出てくるかもわからない。健食留意事項に「アフィリエイターに広告内容の決定を委ねている場合も含む」と触れている。白紙委任を聖域と思っていたら、それは都市伝説だと思う

――専門家でも判断が分かれる。

必ずしも正しい意見ではないと思う。

――オブザーバーとして警察庁が参加する。

昨今アフィリエイト広告を対象にした取り組みをされて薬機法の摘発もある。こちらから声をかけ、関心を持たれて参加された。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

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通販新聞

Amazon店運営の課題は「集客」。3割が売上向上施策「なにもしていない」、広告運用で5割が「適切な運用方法がわからない」

4 years 6ヶ月 ago

いつも.が運営する「デジタルシェルフ総研」が行ったEC事業者のAmazon運営に関する実態調査によると、Amazon店舗の売り上げ向上施策にかける1日あたりの時間は「なにもしていない」が3割、1時間以内と合わせて8割以上を占めた。調査対象はAmazonに出品・卸販売をしている企業53社、期間は2021年4月26日~5月6日。

運営の課題は「集客が伸びない」

Amazon店舗運営における課題について聞いたところ、最多は「集客が伸びない」(47%)で、次いで「リソース不足」(34%)「どこに課題があるかわからない」(32%)だった。

いつも. 調査 デジタルシェルフ総研 Amazon 運営の課題
Amazon店舗運営における課題(複数回答可)(出典:いつも.)

Amazon運営にかける時間「なにもしていない」が3割

調査対象者にAmazon店舗運営において、売り上げ向上施策に費やしている1日あたりの時間を聞いたところ、「30分~1時間」(36%)が最多だった。3割の起業が「なにもしていない」ことがわかった。

いつも. 調査 デジタルシェルフ総研 Amazon Amazon店舗運用にて、売り上げUPの為に費やしている施策実行の1日あたりの時間
Amazon店舗運用にて、売り上げUPの為に費やしている1日あたりの施策実行時間(出典:いつも.)

広告費用は10万円以下が最多

Amazon店舗の月間広告予算について聞いたところ、「10万円以下」が38%で、「広告を利用していない」(26%)と合わせると広告利用金額10万円以下は6割以上だった。この結果から、まだ広告を活用し切れていない企業が多いことがわかった。一方、101万円以上の予算を割く企業も1割以上いた。

いつも. 調査 デジタルシェルフ総研 Amazon 月の広告予算
Amazon店舗の月間の広告予算(出典:いつも.)

また、利用する広告は「スポンサープロダクト」が90%で圧倒的に多く、「スポンサーブランド広告」は29%、「スポンサーディスプレイ」は25%だった。

いつも. 調査 デジタルシェルフ総研 Amazon 利用している広告
利用しているAmazon広告(複数回答可)(出典:いつも.)

広告運用の課題について聞いたところ、「適切な運用方法がわからない」(50%)が最多、次いで「運用業務にリソースがさけない」(48%)「広告の分析方法がわからない」(44%)だった。

いつも. 調査 デジタルシェルフ総研 Amazon 広告運用の課題
Amazon広告運用の課題(複数回答可)(出典:いつも.)

Amazon広告活用は「売り上げ向上」が目的

Amazon広告活用の目的は、「売り上げ向上」(67%)がトップで、次いで「新規顧客獲得」(56%)「認知向上」(54%)だった。

いつも. 調査 デジタルシェルフ総研 Amazon 広告活用の目的
Amazon広告活用の目的(複数回答可)(出典:いつも.)
調査実施概要
  • 調査タイトル「EC事業者のAmazon運営に関する実態調査」
  • 調査方法:いつも.のメルマガ登録者に対して、メールによるアンケート調査
  • 調査期間:2021年4月26日~2021年5月6日
  • 調査対象:Amazonに出品・卸販売をしている企業53社
藤田遥
藤田遥

「体験価値の最大化」を図るファンケルのOMO戦略。通販・店舗を使う顧客の継続率は1.5倍、年間購入金額は3倍

4 years 6ヶ月 ago

ファンケルは2021年度を初年度とする3か年の「第3期中期経営計画」で7つのチャレンジを掲げ、そのなかで「ファンケルらしいOMOの推進」をあげている。

ファンケルは2021年度を初年度とする3か年の「第3期中期経営計画」で7つのチャレンジを掲げている
7つのチャレンジ(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

「ファンケルらしいOMOの推進」は、店販・通販の両チャネルを使う顧客は、シングルチャネルのみの顧客に比べて、継続率は1.5倍、年間購入金額は3倍に達していることが背景にある。つまり、顧客の「体験価値」が高いことが理由となっているのだ。

ファンケルはこれまで、ITを活用して通販と店舗の相互利用を促進。ライブコマースやオンラインイベント・セミナー、店舗・電話窓口スタッフが対応するオンラインカウンセリングなどを実施し、ITの活用による顧客の「体験価値」を高めてきた。

2021年度は、通販・店舗アプリの統合、スマホアプリによるAI(人工知能)を使った肌診断、来店前事前予約サービスなどの実現を予定している。

ファンケルらしいOMOの推進
顧客の「体験価値」を最大化する取り組み(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

今後は、ITを活用して顧客を深く知り、顧客1人ひとりに対して最適なアプローチを行っていく。現状のIT基幹システム「FIT2」で通販と店舗の顧客データといった購買関連情報を一元化し、通販と店舗間の相互送客を容易にしてマルチチャネル化を推進する。

2022年春にはIT基幹システム「FIT3」を導入。「FIT2」で構築した購買データ・属性データに加えて、購買に至るまでの行動情報、ファンケルからのアプローチに対する反応など「顧客を理解するためのデータ」を収集・分析し、新たな顧客データベースを構築していく。

ファンケルらしいOMOの推進
今後の取り組み(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)
石居 岳
石居 岳

名だたるグローバル企業が10年以上も信頼を寄せる「やりたいこと」を実現するECプラットフォームとは?

4 years 6ヶ月 ago
「拡張性」「柔軟性」「スピード開発」「サポート力」が強み。ECプラットフォーム「QOR+コマース」を開発・提供するザ・プラントとは
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独自開発のECシステムをベースに、企業ニーズやビジネスモデルに合わせたECプラットフォーム「QOR+コマース」を開発・提供するザ・プラント。「独自性を打ち出したい」「やりたいことをスピーディーに実現したい」といった昨今の企業ニーズを的確に捉え、クライアント企業を増やしている。

導入企業はラコステのようなグローバル企業から、街の隠れ家ショップのような小規模事業者まで幅広い。ECプラットフォームをザ・プラントに依頼する理由は何か? 支持されるワケをアナトール・ヴァリン代表取締役に聞いた。写真:吉田浩章

ラコステ、アシックスが10年以上も支持

ザ・プラントの特徴は、クライアントと“二人三脚”でECサイトの基盤となるプラットフォームを作る点にある。アナトール・ヴァリン代表取締役はこう話す。

ECの担当者から業務フローやニーズなど必要なことを包括的にヒヤリングし、クライアントのビジネスモデルや業務担当者のオペレーションに適した開発を行う。プロトタイプを作ってフィードバックをもらい、早期のリリースをめざす。

リリース後も担当者などと継続的にコミュニケーションを続ける。企業ごとにニーズや担当者のスキルが変わるので、継続的な課題の洗い出しは重要になる。

ザ・プラント 代表取締役 アナトール・ヴァリン氏
ザ・プラント 代表取締役 アナトール・ヴァリン氏

日本のほか、中国、オーストラリアにオフィスを構え、技術者を中心にスタッフ数は約50人。グローバルで高い技術力を持つ人材をそろえ、その彼らがクライアントとコミュニケーションを行う、いわば伴走型の開発・運用支援と言える。

伴走型の開発・運用支援に対するクライアントの信頼は厚い。CMSを提供しているアシックス、ECプラットフォームを使うラコステとの付き合いは10年以上。こうした企業からの紹介で新規クライアントが増える、というサイクルが生まれている。

ザ・プラントの強み「拡張性」「柔軟性」「スピード開発」「サポート力」

EC業界は激変期真っただ中。消費者のニーズ、消費行動へ対応するためのオムニチャネル、多チャネル化対応、テクノロジー対応など、“やるべきこと”が日に日に増えていく。こうした変化に対応するために、ECの基盤となるECプラットフォーム選びは重要度が増している。

ザ・プラントのECプラットフォーム「QOR+コマース」は、こうした変化に対応するための技術、スタッフなどを備え、クライアントと向き合う。

たとえば重要度が増しているスピードローンチ。アナトール社長は「プロジェクトの成功はスピードがカギになる。時間がかかるとテクノロジーの進化から一歩出遅れ、周囲のモチベーションが低下、結果的にプロジェクトが失敗に終わるケースもある」と言う。

一般的なSaaS系やECパッケージと比較した際の優位性

拡張性
  • 独自開発したECプラットフォームをベースに、ユーザーのニーズ、実現したいことをカスタマイズできる
  • 独自開発したECプラットフォームのため、LINE連携やコンビニ受け取りなど、日本のマーケット特有のテクノロジー技術を柔軟に導入できる
柔軟性
  • クライアントとは、代理店などは挟まず直接やり取りを行う方式。ECプラットフォームを熟知したスタッフが、クライアント企業の基幹や周辺サービスとの連携なども開発サポートする
スピード開発
  • 直接やり取りを行うため、開発からローンチまでの期間を短くすることができる
  • たとえば、福袋やブラックフライデーといった急激な販売ピークに合わせたトラフィックへスピーディーに対応する(処理能力)
サポート力
  • ECプラットフォーム開発などの知見・経験を持つスタッフが、クライアント企業のコンサルティング、サポートなどを伴走支援する

戦略パートナーとしてクライアントと伴走

EC事業者が今後取り組むテーマとして上位にあがるのがパーソナライゼーション。One to Oneマーケティングの実現に向けて、パーソナライズ機能の導入を検討する企業も増えている。ザ・プラントでもパーソナライズ機能を自社で開発。ECプラットフォームに搭載することができる

ECプラットフォームとパーソナライズシステムを提供している企業は少ない。それぞれ開発ベンダー企業は異なるため、システム連携などに時間を要したりするケースが多い。ザ・プラントは包括的にシステムを提供しているため、コストを抑えてスピーディーな導入を実現できる

直近の開発では、グローバルでビジネスを展開している飲食店のアプリでオーダーできるシステムを開発。戦略パートナーとして招かれ、デジタル技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進もサポートしている。

ザ・プラント 代表取締役 アナトール・ヴァリン氏
アナトール・ヴァリン氏は「クライアントと伴走するのが強み」と話す
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吉野 巨人
吉野 巨人

【b8taのDX事例】やっぱり触って確かめたい! 買い物エンターテインメントの核心とは | DX経営図鑑(全8回)

4 years 6ヶ月 ago
b8taはシリコンバレー発のハイテクショールーム。秀逸な効果測定技術と、サブスクリプションモデルの出店料金システム、そして他に見ないユニークな品揃えが特徴です。
DX経営図鑑

この記事は、書籍『DX経営図鑑』の一部を特別にオンラインで公開しているものです。

Part 2「業界別に見るDX事例
 》 Category 1「小売
 》 「b8ta 次世代ショールームは『買えるミュージアム』」より

b8ta(ベータ)はシリコンバレー発の、いわばハイテクショールームです。現CEOのヴィブ・ノービー、フィリップ・ラウブら4人によって2015年に設立され、1号店をシリコンバレーの代名詞的エリアであるパロアルトに構えました。店舗ではデジタル機器を中心としたさまざまなメーカーの商品が手に取れる状態で展示され、それぞれに説明用のタブレットPCが配置されています。b8taテスターと呼ばれるスタッフが接客やデモを行い、購買方法を説明してくれます。2020年9月時点でアメリカ国内に18店舗、ドバイに1店舗、2020年8月には日本にも2店舗(有楽町と新宿)が上陸しました。

b8taはショールーム

b8taは原則ショールームなので、販売在庫を持ちません。購入したいと感じた消費者は、説明用のタブレットなどに表示されているQRコードを使って、展示メーカーのECサイトか、b8taサイトのオンラインショッピング(日本は2020年時点で未実装)から購入します。

ここまでの内容では、EC誘導機能を持っているショールームビジネスに過ぎないと思われるでしょう。しかし、b8taの最大の特徴は、イメージセンサーなどを駆使した効果測定技術と、サブスクリプションモデルをベースとした出店料金システム、そしてこれらの仕組みに支えられたユニークな出店ブランドによる品揃えです。

小売業受難の時代の始まり

b8taが創業した2015年当時のアメリカは、小売業受難の時代の始まりともいえる状況でした。Amazonが売上を伸ばし、リアル店舗を含む全米小売業の売上ランキングで上位に浮上します。量販店は軒並みAmazonラッシュの影響を受け、次々に経営が悪化していったのです。

2016年にはスポーツ用品最大手Sports Authority、2017年にはおもちゃ小売大手のToys“R”Us、2018年には小売大手のSearsなど、名だたる企業が倒産の憂き目にあい、アメリカの百貨店ブランドの代名詞Macy'sも次々に店舗をたたんで規模を縮小していきました。

入れ替わりに台頭してきたのがDtoC勢で、CasperやBonobos、Glossierなど、デジタルのみを販路とする新進気鋭のメーカーが現れます。もはや量販店に店舗を陳列するメリットはなく、Amazonに出店したほうが売れる、という考えが広まりました。そして、Amazonに出店料やマージンを支払うくらいなら、製造から販売までの全てを自前で行う、店舗出店は高くて非効率なのでデジタルで完結するという方法が選ばれるようになり、DtoCの隆盛へ繋がっていきました。

EC、DtoC隆盛のアメリカ

一方で、デジタル認知だけでは消費者は買わないのも事実です。Amazonで売れるのはスマートフォンやパソコンで簡単に購入でき、自宅まで商品が配送される利便性が理由ですが、その多くの商材は、以前に買ったことがあるか、どこかの店舗に陳列されていたものを既に確認していたというケースが多いでしょう。すなわち、商品を手に取って試す場所があるからeコマースで売れる、という実態も見逃せません。量販小売店はAmazonのためのショールームになっていたとさえいえるのです。

DtoCは全く新しいブランドのため、ブランドの認知から始めなくてはなりません。また、手に取って試してもらう場所が必要です。そのため、認知拡大とデモンストレーションのために店舗を出す流れが起きました。これを「ショールーミング」と呼びます。多くの著名DtoCは莫大な資金調達に成功後、続々と直営ショールームを展開していきましたが、パワフルな調達ができないブランドは自前でのショールーミングができません。百貨店や量販店は売れる商品を置きたいので、名もなきブランドはなかなか扱いません。このような背景から、ショールーミングに特化した小売店舗としてb8taが生まれたのです。

アクセス解析でわかること

b8taは大きな注目を集め、巨額の資金調達に成功しましたが、その理由はショールームの効果測定技術です。b8taのショールームには多数のビデオカメラやセンサーが設置されており、来店した顧客が商品に興味を持って立ち止まったり、商品を手に取って試したり、スタッフによるデモンストレーションが行われた数がトラッキングされ、出店企業はその効果を専用のダッシュボードで確認できます。いわば、アクセス解析の仕組みをリアルのショールームに取り入れたのです。

一般的なリアル店舗は定量的な効果測定ができません。出店効果を推し量る数字は売上や販売数くらいで、これ以上の情報を得るには売場担当者へのインタビューしかありませんでした。まして、売上が発生しないショールームとなれば、その出店効果は来店者数とアンケートの回答程度でしか推し量れません。b8taは定量データをリアル店舗で取得することで、DtoCなどのスタートアップブランドが欲してやまない認知効果や商品接触の機会を提供しつつ、分析可能な定量データも提供しているのです。

従来の小売ビジネスモデルと新たな形

ハイテクショールームモデルは、最近ではRaaS(Retail as a Service:リテール・アズ・ア・サービス)と呼ばれ始めています。RaaSは、直訳すれば「サービスとしての小売業」です。小売というビジネスモデルは物品をメーカーから仕入れ、マージンを乗せて販売することで収益を上げます。小売業は自前の販売スタッフを雇い、接客し、仕入れた商品を売ります。販売促進のためにエンドと呼ばれる特別展示コーナーを作って特定商品のデモンストレーションを行う場合は、メーカーが販売協力金やリベート(仕入れ価格の割引なども含む)を支払いますが、基本的には展示したものが売れることで小売業は収益を得ます。

しかしb8taは、在庫管理、物流支援、陳列、接客スタッフ、POS、そして効果測定まで、全てを固定額で提供します。つまり、小売接客に必要な機能やリソースを全てサービスとしてメーカーに提供するのがRaaSであり、b8taが標榜するビジネスモデルです。

b8taのRaaSモデル

b8taは基本的にショールーミング提供を主眼としているので、出店メーカーから販売マージンを取らず、店舗売上をビジネス指標として持っていません。つまりb8taは、「売りづらい商品」でも「売りやすい商品」でも、小売店舗として平等に扱うのです。例えば、筆者が東京のb8taを訪れたとき、秀逸なデザインのスマートフォンアクセサリが展示されていました。また、デザインカスタムができるオーダーメイドの革靴も展示されていました。注目を引くように展示すれば、5,000円程度のスマートフォンアクセサリのほうが確実に売上に繋がるでしょう。70,000円の型取りから始まる靴をショールームで即断して購入する人は少ないと思われます。しかし、b8taのショールームではどちらも同様に展示されていました。

小売業のビジネスモデルは収益のために短期的な売れ筋を多く扱うのが必然で、品揃えは売れ筋に偏ることになり、販売スタッフはその在庫を売り切るために努力します。しかし、b8taの使命はまだ知られていない逸品を世に出すことであり、「ロングテール商材を売る店舗」というチャレンジをしています。そのため、フェアな固定額で効果測定ができ、人員リソースの足りない企業でも小売やデモ展示ができるように、専門スタッフの提供までをセットにしたRaaSモデルが必要なのです。

b8taが取り去るペイン
──セールスプレッシャーのハードルを取り除く

b8taの特徴はBtoB、すなわちメーカーとの価値交換にあります。しかしb8taは小売業なので、消費者への価値提供があって成立するビジネスでもあります。では、b8taはどのような価値を消費者に届けているのでしょうか。家電やアパレルなど高単価商品の買い物で消費者が避けて通れないのが店員の接客で、強い売り込みを受けたり、プレッシャーを感じたりすると閉口してしまいます。まして、eコマースに慣れてしまった消費者たちは、さらに店舗接客のプレッシャーを避けるようになったともいわれています。

b8taは先述のように店舗が売上目標を持っていません。説明機会を増やし、商品に好感を持たせ、手に取って試してもらう接触濃度(機会)を上げることを目標としているので、強い売り込みはしません。また、メーカースタッフでもないので、商品説明に偏りがない(と感じられる)のも顧客側にとっては利点でしょう。こうしてb8taを訪れる消費者は、純粋に「お試し」のためのウインドウショッピングを楽しむことができます。

先進的な効果測定の魅力

b8taのペイン除去に一役買っているのが、先進的な効果測定の仕組みです。出店企業は接触濃度をデータとして入手できるので、自社商品がどれほど来店客から興味を持ってもらえたかを明確に把握できます。b8taでは売り込みプレッシャーがなく、来店客は快適にショールーム体験を楽しむことができるので、効果測定によって来店客のインサイトにより迫った情報を得ることができるのです。

b8taが創出するゲイン
──買えるミュージアム

b8taがもたらすゲインは、ペイン除去による快適で自由な消費体験です。もう1つ特筆すべきゲインは、「珍しくて、先進的で、魅力的なアイテムを知り、触れるという、買い物のエンターテインメント体験」です。b8taはロングテール商材を意識して扱うようにしています。これらは大型店舗で取り扱われることが少なく、ニッチな需要に向けた小ロット生産であることが多いでしょう。このような商品こそeコマース市場で日の目を浴び、「バズる」ことで認知を拡大するのですが、多くの一般人はその存在に気づきません。そのため、ソーシャルメディアでバズを作るインフルエンサーマーケティングが隆盛するわけですが、これは事実上、謝礼をベースに成立する販促であり、資金力のある企業が強くなります。何より、消費者が「ステマ」(ステルスマーケティング)と認識してしまうと、むしろ評判を落とすこともあります。

このようなソーシャルメディアかられる生み出される不確かな評判を避けるには、自分で手に取って確かめるのが一番です。b8taには、マスプロダクションの市場やソーシャルメディアのノイズに埋もれてしまいがちな「ニッチで、マニアックで、面白い」挑戦的な商品が常に展示され、定期的にローテーションされています。また、「モノ」だけではなくジーンズの自動採寸やカスタムメイドの電動自転車など、ショールームでは手に入れようがないサービスも展示されています。消費者はまるで展覧会や博物館に訪れた気分で商品体験を楽しみ、全ての商品が購買可能という、「買えるミュージアム」体験を得ることができるのです。

  • 著者: 金澤 一央、DX Navigator 編集部
  • 発行: 株式会社アルク
  • ISBN: 978-4757436787
  • 価格: 2,310円(税込)

勝てるDXの本質
~次に生き残るのは、誰か?~

世界の伝統的企業やスタートアップがいち早く取り組んできたDXの数々。各事例をつぶさにレポートしてきた「DX Navigator」編集部の知見をまとめ、事例分析と価値提供のプロセスを可視化した一冊です。

本書は世界全32社のDX事例を収録。いずれも、顧客/ユーザー視点での「ペイン(苦痛)」と「ゲイン(利得)」を切り口に、顧客/ユーザーが最終的に得た「価値」について解き明かします。

Part 1では、従来の商習慣や価値提供の概念を新しい基準に転換させた「ゲームチェンジャー」である9社―Netflix、Walmart、Sephora、Macy’s、Freshippo、NIKE、Tesla、Uber、Starbucks―を取り上げます。

Part 2では、海外のスタートアップを中心に日本企業も加えた23社の事例を、業界別に紹介。多くの顧客/ユーザーから支持を得た、各社のエッジが効いた斬新なアイデアとその背景に鋭く迫ります。

日本の「DXブーム」には問題も潜んでいます。DXとは単なる技術導入やカイゼンを言い換えた言葉ではなく、「ユーザーが最終的に得る価値」を見つめ、新しい価値提供の仕組みを創り出すということ。これからも続く企業の変革、世の中の変革のなかで、次に生き残るのは誰か?

金澤一央+DX Navigator 編集部
金澤一央+DX Navigator 編集部

ヤマダHDが大塚家具を完全子会社化、ヤマダデンキとの連携やEC・DX投資を強化へ

4 years 6ヶ月 ago

ヤマダホールディングスは6月9日、連結子会社の大塚家具を株式交換で完全子会社化すると発表した。

ヤマダHDは大塚家具の発行済株式の51.8%を保有する大株主。株主交換は、大塚家具の1株に対し、ヤマダHD株0.58株を割り当てる。大塚家具は、7月29日に実施する予定の株主総会での承認を経て、8月30日付でJASDAQスタンダード市場の上場は廃止となる。

ヤマダHDは家具販売業界について、「消費者の節約志向に加え、新築需要の減少やECの台頭など、取り巻く環境が激しく変化している」と指摘。柔軟で機動的な改革を達成するには、大塚家具の上場維持を前提とした連結親子関係では不十分であると認識したという。

完全子会社とすることで、両社のさらなる協業関係の強化を図り、ヤマダホールディングスグループ内の迅速かつ柔軟な意思決定や方針徹底を実現することが、大塚家具のみならず、ヤマダホールディングスグループの企業価値向上に資するとの判断に至った。(ヤマダHD)

ヤマダHDは完全子会社化で、大塚家具のヤマダデンキ既存店舗での取扱増加、販売網などの相互利用、財務基盤の安定化による新規店舗の出店加速、既存店舗の改装、広告宣伝強化、EC・DXへの投資などを進める。

大塚家具が6月9日に発表した2021年4月期決算は、最終損益は23億7100万円の赤字。売上高は277億9900万円、営業損失は20億7300万円、経常損失は22億5600万円だった。

大塚家具は「店舗」「Eコマース」「外商」の販売チャネルを融合・連携。インターネットでの情報収集を起点とした購買行動が一般化するなか、ユーザビリティ向上を目的としたホームページ、ECサイトの継続的な改修を実施し、EC事業の強化に注力している。

瀧川 正実
瀧川 正実

ファンケルが横浜本社でコロナワクチンの職域接種実施、対象は従業員や家族、関係者などの希望者

4 years 6ヶ月 ago

ファンケルは6月22日から、新型コロナウイルス感染症ワクチンの職域接種を神奈川県横浜市中区の本社で実施する。

接種対象はファンケルグループの従業員と関係者、同居家族で、ワクチンの接種希望者。6月22日から8月1日(日)までの期間のうち14日間で行う。接種時や経過観察時は、就業時間とみなす。

現時点で2400人の接種、1日の接種人数は約340人を想定している。従業員の家族などが接種しやすいように土曜日と日曜日にも接種を実施する。

本社の接種会場には医師2人、看護師5人、保健師5人、運営スタッフ20人が対応予定。

ファンケルはサステナビリティ方針で掲げた「従業員の健康と安心安全」を踏まえ、国が推進している職域接種の実施を決めた。

職域接種の申請は6月8日に行っている。

瀧川 正実
瀧川 正実

消費者庁がアフィリエイト広告の規制強化/「休業支援金」の申請期限延長【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

4 years 6ヶ月 ago
2021年6月4日~10日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. 消費者庁がアフィリエイト広告の規制強化へ、「景表法の適用」など一定の結論を年内に公表

    消費者庁はアフィリエイトについて、2021年内に「景表法の適用等に関する考え方」「不当表示の未然防止等のための取り組み」について一定の結論を出すという

    2021/6/4
  2. 休業者が直接申請できる「休業支援金」の中小企業向け申請期限を7月末まで延長

    「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(休業支援金)の申請期限を7月末まで延長するのは、中小企業向けで申請期限延長の対象は2020年4月~12月の休業分

    2021/6/8
  3. 【ワークマンのDX事例】巨大な仮想倉庫で欠品知らず、自社ECで店舗も顧客も大満足!

    耐久性、機能性、デザイン性で人気のワークマン。大手ECモールから卒業し、自社EC機能で顧客満足度をさらに追求します。

    2021/6/7
  4. 【父の日】「Yahoo!ショッピング」で「ゴルフ練習用品」が前年比7.9倍の売れ行き

    「Yahoo!ショッピング」では父の日ギフトにおける「ゴルフ練習用品」の取扱高が前年比7.9倍と伸長。まくらの調査では、父の日に贈りたいギフトは、1位が「お酒・ビール」で、2位は「食品・スイーツ」。自宅で消費するためのギフト需要が伸びている

    2021/6/8
  5. 配送費2.3億円減、ロボット導入で作業人員4割減などを実現するファンケルの新たな関西物流拠点とは

    「ファンケル 関西物流センター」は、「関東物流センター」から通信販売、直営店舗に出荷する「ファンケル」の荷物量約35%と、グループ会社「アテニア」の全製品を出荷する

    2021/6/7
  6. ショップチャンネルが現在5か所の物流センターを集約する新物流拠点を2022年4月に稼働

    ショップチャンネルの2019年度(2019年4月~2020年3月)売上高は前期比2.6%増の1634億円で、過去最高を更新。新物流センターの開設は、将来の事業成長に伴う取扱商品数や出荷数の増加へ対応するため

    2021/6/9
  7. しまむらや大手小売のEC事業に見る実店舗とネット通販のシナジー、店舗受け取りの効果

    しまむらのECサイトを通じた店頭受け取りの顧客は、買上点数、客単価は大幅向上。ユニクロ、TSI、ベイクルーズなど店舗とECを併用する顧客の客単価は、シングルチャネルを大きく上回る

    2021/6/8
  8. 画像を変えたら売上3倍! クリックされやすい画像の法則とは【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年5月31日〜6月6日のニュース

    2021/6/8
  9. テレビ通販大手の新たな施策。ショップチャンネルは「コト」「体験」の販売、ジャパネットはふるさと納税

    ジュピターショップチャンネルは「コト」「体験」などのサービス・コンテンツ商材の販売を拡充。ジャパネットホールディングスは子会社を通じてふるさと納税の展開を始めた

    2021/6/9
  10. デジタル空間上の公園&店舗をバーチャル空間に構築、「新たな顧客体験の創造」をめざすNTT Comと三井不動産の取り組み

    全長約900メートルの「Hisaya-odori Park」を、CG(コンピュータグラフィックス)のVR(仮想現実)によりバーチャル空間に再現。「周辺エリアの回遊性の向上」「新たな顧客体験の創造」をめざす

    2021/6/4

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    Instagramがクリエイターのショップ機能、アフィリエイト機能などを拡充

    4 years 6ヶ月 ago

    Instagramは6月8日(米国時間)、クリエイターが収益を上げるための手段を拡充すると発表した。

    バッジ機能のアップデート

    バッジ機能は、利用者がInstagramライブを視聴中にバッジを購入し、お気に入りのクリエイターやビジネスを応援することができる機能。2020年10月に日本でもテストを開始した。今回のアップデートで、1回のライブ配信中にファンが複数のバッジを購入できるようにした。

    Instagramはクリエイターが収益を上げるための手段を拡充 バッジ機能のアップデート
    ファンが複数のバッジを購入できるようにする

    多くのクリエイターがライブ配信を通じてファンと直接交流し、コミュニティに貢献していることを踏まえ、バッジ機能を使って所定の条件を満たすと、一定の金額をクリエイターに支給する。

    7日間のうちに15分以上ライブ配信をした際には100ドル、30日間のうちに他のアカウントと一緒に30分以上ライブ配信をした場合は150ドル、4週間にわたって毎週15分以上ライブ配信した場合は250ドルを支払う。。

    アフィリエイト機能のテスト

    クリエイターは以前から、自身が気に入っている商品を紹介するためにInstagramを活用。同時に、利用者もインスピレーションや情報源としてクリエイターを信頼し、コンテンツを通じて新しい商品やサービスを発見している。

    このようなトレンドを受け、今後数か月のうちに、クリエイターがチェックアウト機能に対応している商品のショッピングタグ(商品名や価格を表示し、商品詳細ページに遷移させることができるタグ)を自身の投稿に追加することができるアフィリエイト機能のテストを開始する。投稿を通じてタグ付けした商品が購入されると、クリエイターはコミッションを受け取ることができる。

    Instagramはクリエイターが収益を上げるための手段を拡充 アフィリエイト機能
    クリエイターが成果報酬を受けることができるようになる

    アフィリエイト機能の導入で、利用者はお気に入りのクリエイターの投稿からシームレスに商品を購入できるようになる。Instagramを活用する企業はクリエイターと協業し、対価を払うための新たな選択肢を得ることができる。

    この機能のテストは、米国の一部クリエイターとビジネスを対象に行い、将来的により多くのパートナーに拡大する予定だ。

    クリエイターもショップ機能を利用

    クリエイターもショップ機能を活用し、自身のブランドをよりInstagram上で訴求、ECサイトへのリンク設置などを通じて売り上げを得ることができるようにする。

    Instagramはクリエイターが収益を上げるための手段を拡充 クリエイターもショップ機能を利用
    クリエイターもショップ機能を利用できるようにする

    「ショップ機能」は、InstagramやFacebookなどでオンラインショップを無料で公開できる機能。FacebookやInstagramなどのファミリーアプリ上で単一のショップを開設し、ブランドイメージに適した雰囲気などへのカスタマイズができる。

    ショップ機能を利用するためにはブランドのInstagramアカウントである必要があった。クリエイターは今後、ファンに自身の商品を紹介することがより簡単になる。

    Instagramはクリエイターが収益を上げるための手段を拡充 クリエイターもショップ機能を利用
    この機能はグローバルで導入する
    ◇◇◇

    なお、クリエイターアカウントは、著名人・有名人、コンテンツプロデューサー、アーティスト、インフルエンサーなどが対象とされている。

    石居 岳
    石居 岳

    【読者プレゼント】『DX経営図鑑』を4名様にプレゼント!

    4 years 6ヶ月 ago

    こちらのコーナーでご紹介している『DX経営図鑑』を、4名様にプレゼントします。ご希望の方は下記のフォームにご記入の上、お申し込みください。締め切りは6月25日(金)です!

    『DX経営図鑑』のご紹介

    表紙
    この本をAmazonで購入

    「DX」(デジタルトランスフォーメーション)とは単なる技術導入ではなく、顧客やユーザーへの価値提供の仕組みを変え、ビジネス構造を変えるということ。

    本書では、世界の伝統的企業やスタートアップ企業、合計32社のDX事例について、図解やその背景を掲載しています。小売、飲食、物流、金融など、各業界でどんな取り組みがあったのかを一望できる書籍です。

    • 事例として登場する企業・団体
      • Part 1 世界のDX事例と価値交換の仕組み
        • DX Case 1│Netflix
        • DX Case 2│Walmart
        • DX Case 3│Sephora
        • DX Case 4│Macy's
        • DX Case 5│Freshippo
        • DX Case 6│NIKE
        • DX Case 7│Tesla
        • DX Case 8│Uber
        • DX Case 9│Starbucks
      • Part 2 業界別に見るDX事例
        • Category 1│小売
          • ワークマン
          • GOAT
          • b8ta
          • Casper
          • Bonobos
          • Glossier
          • Alton Lane
        • Category 2│飲食
          • HEYTEA(喜茶)
          • Darden Restaurants
        • Category 3│輸送・物流
          • Grab
          • Gojek
          • Optoro
        • Category 4│金融
          • GoBank
          • Monzo
          • Venmo
          • Zelle
        • Category 5│医療・教育
          • WeDoctor(微医)
          • Tyto Care
          • Catalia Health
          • Yuanfudao(猿輔導)
        • Category 6│BtoB
          • クボタ
          • ブリヂストン
          • PlanGrid

    筆者プロフィール

    金澤 一央氏

    金澤 一央氏
    アジアクエスト株式会社 執行役員CMO/DX戦略室長 兼 DX Navigator編集長
    大手GMS、インテグレータを経て、ネットイヤーグループ株式会社参画。同社戦略プランナー、プロデューサーを経てアナリシス&オプティマイゼーション事業部長 に就任。通算1,000件以上 のデジタル・マーケティング・プロジェクト(コンサルティング、制作開発、データ分析など)を牽引。2016年留学渡米に伴い同社フェローに就任。2019年よりアジアクエスト株式会社DXフェロー兼DX Navigator編集長。2012年よりデータ分析国際カンファレンスi-comのData Creative Awards審査員。

    DX経営図鑑

    DX経営図鑑

    金澤一央、DX Navigator編集部 著
    アルク 刊
    価格 2,310円+税

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    内山 美枝子

    ダイドードリンコがECサイトを刷新、単品通販・リピート機能など強化の3ポイント

    4 years 6ヶ月 ago

    ダイドードリンコがECサイトをリニューアルした。

    ECシステムの老朽化、単品通販・リピート機能不足などの課題があったため、新しいECシステムとしてecbeingのECサイト構築パッケージ「ecbeing」を導入。外部CRMツールと連携した定期顧客の分析、幅広い顧客接点を通じ、各顧客に合わせた適切なコンテンツ施策ができる環境を整えた。

    主なリニューアルポイントは次の通り。

    マイページに機能追加

    会員ポイントや定期注文情報をマイページで確認できるようにした。

    支払い情報の変更、購入履歴、定期注文情報の確認・変更・再開、単品注文の再注文、会員ランク・会員ポイントの確認、会員ポイント交換等がマイページ上で会員が自由に操作できる。マイページ機能の拡張で顧客の任意のタイミングで変更でき、利便性の向上を図った。

    ダイドードリンコがECサイトをリニューアル
    マイページのイメージ

    1ステップで注文最終画面に遷移などUI・UXデザイン改善とフロント機能強化

    UI・UXデザインの改善とフロント機能も強化した。ログインしている状態でカートに商品を投下した場合、1ステップで注文最終画面に遷移できる設計にした。

    新規で商品を購入する人に向け、入力フォームにEFO(入力フォーム最適化)機能を追加。ソーシャルログイン機能で外部アカウントと会員情報をひも付け、ログイン簡略化を図るなど、会員登録のハードルを下げるようにした。

    機能面だけでなく、動線設計や商品訴求の見せ方も工夫している。定期購入への引き上げ対策として、お試しコースを注文した後の定期への動線設置、単品商品をカートに入れ購入手続きを行うと注文フロー内で「単品より定期が安くてお得と」いった訴求を動線と伴に表示、アップセルへの効果も期待できるという。

    ダイドードリンコがECサイトをリニューアル
    カート内でのアップセル施策のイメージ

    オフライン顧客の利便性向上

    電話やFAXで注文するオフライン顧客に対して、オンライン会員化の誘導強化を行っている。オフライン顧客をオンライン会員化するには通常、メールアドレスが必要になるが、オフライン顧客のなかにはメールアドレスを持っていない顧客もいる。

    こうした場合、メールアドレスを必要とせず、携帯電話番号の入力でオンライン会員にできるようにした。また、携帯電話番号でオンライン会員になった場合のセキュリティ面を考慮し、確認コードがショートメッセージで送信されるようにした。

    ダイドードリンコがECサイトをリニューアル
    携帯電話番号での承認画面イメージ
    ◇◇◇

    ダイドードリンコがEC基盤として導入した「ecbeing」は、富士キメラ総研が発行する『富士マーケティング・レポート 2019年 ECソリューション市場占有率』において、ECサイト構築ソリューション市場占有率で12年連続1位を獲得しているECパッケージ。

    石居 岳
    石居 岳

    越境ECの代理購入サービス「Buyee」が主要越境ECサイトにおける日本から海外への年間流通総金額で1位を獲得

    4 years 6ヶ月 ago

    越境ECサポートの代理購入サービス「Buyee(バイイー)」を運営するtensoの親会社BEENOSは、東東京商工リサーチが実施した調査で、主要越境ECサイトにおける海外個人を対象とした日本から海外への年間販売金額(流通総額)で1位を獲得したと発表した。

    流通総額が前年同期比45.6%増

    「Buyee」の2021年第2四半期(2021年1月1日~3月31日)の流通総額は、前年同期比45.6%増。中国やASEAN諸国など多くの国からの受注が伸びる中、特にアメリカでは前年同期比119%増と大幅に伸びた。

    ステイホームにより日本のコンテンツに接する時間が増え、ホビー関連の需要が世界的に増加したことや、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりDX(デジタルトランスフォーメーション)やボーダーレス化が急速に進んだことが理由だという。

    特に伸長したカテゴリーはアニメやホビー関連アイテム。日本のアニメやカルチャーは以前から海外での関心度が高く注目を集めていたが、需要が高まっており、特にアメリカでその傾向が強いという。

    Buyee BEENOS 越境EC 国内越境EC年間流通総額No.1
    主要越境ECサイトにおける海外個人を対象とした日本から海外への年間流通総金額で1位を獲得したと発表

    日本企業の海外販売を支援

    「Buyee」は日本企業の越境ECをサポートする代理購入サービス。導入することで世界118か国/地域に自社の商品を販売できる。タグ設置のみで自社ECサイト上に海外専用カートを開設できるサービス「Buyee Connnect」を2020年から提供開始、「LOCONDO.jp」「北欧、暮らしの道具店」「URBAN RESEACH ONLINE STORE」などが導入している。

    海外利用者からは、配送手段や決済手段が多様であること、アメリカ・ロシア・中国・台湾エリア向けの独自物流構築による国際配送料の安さ、複数サイトで購入した商品を同梱できるなど高いサービスレベルが好評だという。「Buyee」と越境EC関連サービス「転送コム」を合わせた会員数は250万以上にのぼる。

    越境EC市場は4兆8561億USドルまで拡大する予想

    ZION Market Reseachによると、2020年の世界の越境EC市場規模は9123億USドルと推計され、2027年には4兆8561億ドルにまで拡大すると予想されている。

    調査概要
    • 調査機関:東京商工リサーチ
    • 調査対象:日本国内の主要な越境EC対応サービス
    • 調査期間:各調査対象企業の直近年度1年(直近年度の決算期ベース)、2021年5月時点
    • 調査手法:調査員によるヒアリングをベースとした調査
    • 調査内容:「Buyee」を含む国内の主要な越境ECサイトにおける海外個人を対象とした日本から海外への年間流通総金額(年間流通総金額はECサイトでの購入金額および、当該サービスの手数料を対象とし、送料や保険費用などは対象外)
    藤田遥
    藤田遥

    Amazonに学ぶ返品対応でCX向上を実現する方法。もっとも重要な3つの「C」 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    4 years 6ヶ月 ago
    Amazonは返品件数でもトップ企業。返品のオペレーションでもリーダー的存在なのは、「コスト」「コミュニケーション」「コンビニエンス」という3つの「C」を理解しているから

    AmazonはEC売上高トップの企業ですが、返品件数でもトップであることは、あまり知られていません。返品件数で群を抜いているAmazonが、返品のオペレーションでも常にリーダー的存在なのは、返品におけるカスタマーエクスペリエンスで、最も重要な3つの「C」を理解しているからです。

    3つのC:「コスト」「コミュニケーション」「コンビニエンス」

    1つ目の要素は、無料返品(コスト)です。「Doddle Parcel Services」(編注:返品システムを提供する英国の会社)の依頼を受け、2021年2月に「YouGov」(編注:英国のデータ分析会社)が実施した調査では、66%の消費者が「無料での返品を希望する」と答えています。加えて、返品時にEC事業者から提供してほしいサービスのなかで、「無料の返品サービス」がトップになりました。

    また、消費者は無料返品を望んでいるだけではなく、返品手数料を請求されることを非常に不快に感じています。回答者の57%は、「商品を返送した際に返金額から手数料を差し引くような小売事業者での買い物は、今後考え直す」と答えています。

    返品コストの次に多くあがった要素は、コミュニケーション(53%)と利便性(50%)。半数以上の人が「返品手続きの際の連絡や確認がしっかりしている(小包の追跡、受領確認、返金情報など)」ことと、「返品するのに便利な場所がある(近所の店、郵便局など)」を高く評価しています。

    ここで、Amazonの返品手続きについて考えてみましょう。Amazonでの買い物は、理由に応じて無料で返品できます。便利な返却場所も用意されています。基本的に、返品のためにラベルを印刷する必要もありません。また、返品商品を送った後、オンラインで返品や返金の状況を簡単に確認できます。

    Amazon.co.jpの場合の返品プロセス例
    Amazon.co.jp専用アプリを利用した返品プロセス例(画像:アプリから編集部がキャプチャ)

    さらに、今回の調査では33%の消費者が「今後の利用を考え直すほど煩わしい」と回答したカスタマーサービスへの連絡について、Amazonでは一切必要ありません。そして、返品プロセスはほとんどデジタル化されています。

    「C」から「D」へ

    消費者からの評価やレビューが可視化されることを考えると、あまり積極的になれないかもしれませんが、「コスト」「コミュニケーション」「コンビニエンス」という3つの「C」を活用するには、デジタルの「D」をめざす必要があります。

    Amazonが成功した返品のオペレーションを、他の小売事業者はどのように再現できるでしょうか? ゼロから始める必要はありません。デジタルの返品プラットフォームを使えば、消費者が望む自動化されたコミュニケーションと可視性を提供することができます。

    また、全米の輸送業者と提携しているデジタルプラットフォームを利用すれば、小売企業とその顧客は、何千もの便利な返品場所を活用できるでしょう。

    その場合、返品は必ずしも無料である必要はありません。返品を無料にするかどうかは、商品ごと、あるいは顧客ごとに判断する必要があるでしょう。そして、デジタルプラットフォームのデータがあれば、無料返品の実際の価値とコストをよりよく理解することができます。

    たとえば、無料返品を実施した場合、返品をした顧客は、返品費用を支払った顧客よりも再購入する可能性が高いのか、また、その差は小売事業者が追加費用を支払う価値があるほど大きいのか、といったことがわかります。このようなインサイトは、小売事業者が憶測で対策を練るのではなく、具体的なデータを用いて返品ポリシーを改善するのに役立ちます。

    Amazonは素晴らしい返品オペレーションを提供していますが、もっと良い方法はないでしょうか? 今のところAmazonは、マーケティング、アップセル、顧客維持のために、返品時のコミュニケーションという重要なタッチポイントを活用していません。これは機会損失と言えるでしょう。

    デジタルプラットフォームを活用すれば、あなたのビジネスもAmazonと同様の返品サービスを提供することができます。さらに一歩進んで、この種のプラットフォームが提供するインサイトとデータを利用して、返品を通じたさらなるコンバージョンと顧客のロイヤルティを促進することをおススメします。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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