ネットショップ担当者フォーラム

【Z世代のファッション意識】Instagramは情報収集&検索で1位、通販サイトは検索ツールとしても活用する

4 years 3ヶ月 ago

SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.(シブヤイチマルキューラボ)」は、「SHIBUYA109 lab」独自ネットワークに所属するaround20(15~24歳)のZ世代を対象に、「Z世代のファッションに関する調査」を行った。

Z世代にファッションに関する普段の情報収集とファッションアイテム購入時の検索方法について聞いたところ、情報収集の1位は「Instagram」(83.4%)、2位は同率で「動画配信サービス」(40.5%)」と「友達・家族」(40.5%)、3位は「TikTok」(33.7%)。

購入時の検索方法では、1位が「Instagram」(47.8%)、2位は「通販サイト」(45.9%)、3位が「ブランド公式HP・SNS」(41.5%)だった。

購入検討における検索では通販サイトやブランド公式HP・SNSなど、より商品の詳細情報を取得できる媒体があがった。普段の情報収集と購入時の検索でフェーズに合わせてツールを使いわけている。

購入時の検索方法と購入検討における検索方法
購入時の検索方法と購入検討における検索方法

店舗とネット通販の利用目的についてそれぞれ聞いたところ、店舗の1位は「友達と買い物」(75.1%)、2位「1人で買い物」(63.4%)、3位「試着をする」(41.0%)」。友達との買い物や試着で店舗を利用する人が多い。

店舗とネット通販の利用目的
店舗の利用目的

ネット通販については、1位が「1人で買い物」(65.4%)、2位「1人でネット通販サイトを見る」(40.5%)、3位が「新しい商品の発見」(33.7%)。1人で買い物をするだけではなく、商品を検索したり口コミを確認するなど情報収集ツールとしても使用されている。

店舗とネット通販の利用目的
ネット通販の利用目的

店舗は「商品を実際に確認する」「試す」といったことだけではなく、「友達と遊びに行く」といった買い物体験を楽しむエンタメとしての利用が見られる。通販は価格の安さや買いに行く手間を軽減できるといった購入のしやすさのほか、情報量の多さ、検索のしやすさといった検索ツールとしての役割でも利用されている。

Z世代は事前の情報収集や検索を念入りに行い、店舗と通販を使いわけながら、失敗しないように買い物を楽しんでいるようだ。

コーディネートやファッションテイストの決め方を聞いたところ、「遊びに行く場所に合わせる」(67.3%)、「遊ぶことに合わせる」(53.7%)、「遊ぶ人のファッションテイストに合わせる」(30.7%)など、遊ぶ場所やこと、人に合わせてコーディネートをしている。

コーディネートやファッションテイストの決め方
コーディネートやファッションテイストの決め方

服を購入するときに重視する点を聞いた結果、1位は「デザインの良さ」(63.9%)、2位「サイズ感」(55.1%)、3位「着回しがしやすい」(44.9%)。一方、「トレンドである」(18.0%)は全体の11位で、トレンドよりも「自分に似合うか」を重視している。

服を購入するときに重視する点
服を購入するときに重視する点

グループインタビューでは「Instagramや動画配信サービスで見た骨格診断を参考に自己診断をした」「パーソナルカラーと骨格診断を参考にしている」といった声があった。

Z世代の消費価値観の特徴として「間違えたくない消費」があるが、ファッションにおいても買い物の精度を高めるために、自身の骨格やパーソナルカラーなどの診断を活用することが増えている。そのモチベーションとして、写真や動画で全身を撮影する際、自分のベストのスタイルが実現できることを重視する人が多いと考えられる。

アンケート調査概要

  • 調査方法:WEB調査
  • 調査期間:2021年8月
  • 対象:「SHIBUYA109 lab.」独自ネットワーク所属者
  • 年齢:15~24歳
  • 回答者数:205人(男性85人/女性120人)
石居 岳
石居 岳

【今週開催】 「MOON-X」と「エクスプライス(旧MOA)」の社長が語る成長の秘訣

4 years 3ヶ月 ago
2021年9月17日(金)午前11時からスタート! ネッ担主催イベント「eコマースコミュニケーションDay 2021夏 ~ECビジネスの業績を伸ばすポイントが学べる1日~」のご案内

「eコマースコミュニケーションDay 2021夏 ~ECビジネスの業績を伸ばすポイントが学べる1日~」の開催が、いよいよ今週金曜日に迫ってまいりました。

このイベントでは、北の達人コーポレーション、Facebook Japanの元代表取締役が立ち上げたMOON-X、石井食品、チュチュアンナ、エクスプライス(旧MOA)といった有名企業が、「売上アップに直結するブランド作り」「生産者と消費者をダイレクトにつなげるメーカーEC」「実店舗ファーストからECファーストへのデジタルシフト」といったテーマで講演します。zoomを利用したオンラインイベントで、14の講演をすべて《無料》で視聴できます。まだお申し込みをしていない方のために、イベントの見どころをご紹介します。

見どころ① Facebook Japanの元代表取締役が手がける「共創型ブランド」って?

Facebook Japanの元代表取締役が創業のスタートアップ「MOON-X」が急成長しているワケ
〜化粧品・クラフトビールのネット通販で仕掛ける「共創型ブランド作り」と今後の新事業〜
11:00〜11:45 SA-1 オープニング基調講演

「CRAFTX」公式サイト
「CRAFTX」公式サイト https://www.craft-x-beer.com/より

ITスタートアップやテック企業のプロダクト進化のアプローチを参考にし、「ブランディングをDXする」を体現するMOON-X株式会社は、P&Gや楽天などを経て、Facebook Japanの代表を務めた長谷川晋氏が立ち上げたスタートアップ。

ゼロイチで立ち上げた総合アルコールブランド「CRAFTX」やスキンケアブランド「SKIN X」「BITOKA」は、大手ECモールで幾度もランキング上位を獲得。急成長を遂げているMOON-XのEC戦略を、他社ブランドの支援事例も交えて解説します。

また、9月から新たに開始するD2C・ECブランドとの共創を軸とする新事業についても、本セッションにてご紹介します。

MOON-X株式会社 CEO, Co-Founder 長谷川 晋 氏
MOON-X株式会社 CEO, Co-Founder 長谷川 晋 氏
2歳から9歳までアメリカ、シアトルで育つ。京都大学経済学部卒、体育会ハンドボール部主将。2000年に東京海上火災入社、法人営業担当。P&Gで10年間、Pampers・Gillette・Braun・SK-IIなどのマーケティングおよびマネジメントを統括。その後、楽天の上級執行役員としてグローバル17ヵ国および国内全体のマーケティングを管掌。2015年Facebook Japanの代表取締役に就任、在任中にInstagramは月間ユーザー数810万から3,300万に。2019年8月にMOON-Xを創業

見どころ② 「エクスプライス(旧MOA)」が6年連続で2ケタ成長している理由

EC売上1000億円めざすエクスプライスのファン創り・戦略
~楽天SOY3位など急成長の家電EC企業の代表取締役社長が語る成長戦略~
11:00〜11:45 SB-1 オープニング基調講演

「XPRICE」公式サイト
「XPRICE」公式サイト https://www.premoa.co.jp/より

家電のECサイト「XPRICE」「PREMOA」を運営するエクスプライス(旧MOA)は、2016年からEC売上2ケタ成長を遂げ、「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2020」では総合賞3位を受賞しました。

「競争力のある価格と、家電通販として究極のサービスを目指す」という思いを実現するために、これまで取り組んできたこと、そしてEC売上1000億円を達成するための成長戦略、ファン作りなどについて、6月に新社長に就任した稲積憲氏が語り、本紙編集長がナビゲーターを務めます。

稲積憲氏の最新インタビューはこちらをご覧ください。

エクスプライス株式会社 代表取締役社長 稲積 憲 氏
エクスプライス株式会社 代表取締役社長 稲積 憲 氏
1996年に新卒で入社したリコーで営業・海外販社の経営アセスメントに携わり、転じたソニーでは経営企画・管理業務に従事。その後、経営コンサルタントとして戦略策定や経営再建に携わる中で、支援先のライブドアにて執行役員として再建に貢献。新株主のNHN Japan(現LINE)に転じ執行役員 経営企画室長等として成長に寄与。同社の会社分割後、2014年からNHN PlayArt(現NHN Japan)の代表取締役社長としてディズニーツムツム、comico等を含む立ち上げ・成長を実現。2017年にトランスコスモスに入社後、取締役専務執行役員としてデジタルマーケティング・EC・コンタクトセンター事業の統括責任者となり顧客企業の「Digital Transformationの黒子」となる事業展開をリード。再建・大幅な利益成長を実現。2021年6月1日付でエクスプライス株式会社の代表取締役社長に就任。
株式会社インプレス ネットショップ担当者フォーラム 編集長 瀧川 正実
株式会社インプレス ネットショップ担当者フォーラム 編集長 瀧川 正実
元プロボクサー。戦績は5戦3勝(1KO)2敗。その後の暴飲暴食がたたり現在はその面影なし。 流通・通販・インターネット通販の専門新聞の編集記者を経て、EC支援の事業会社で新規事業の立ち上げ、マーケティングを担当。その後、インプレスに入社、ネットショップ担当者フォーラムの立ち上げに参画。デスク → 現在は編集長。趣味は飲酒、地域活性化活動。

この他にも、午前中には下記の講演があります。

  • 12:00〜12:40(A-2)
    ECにおけるサイト内商品検索という伸びしろと、レビューとの関係性(ZETA株式会社)
  • 12:00〜12:40(B-2)
    ファン作り & リピーター創出につながるアプリ活用 〜アンダーアーマー、ダルトンなどに学ぶアプリ活用3つのヒント〜(株式会社ヤプリ)
ネットショップ担当者フォーラム編集部

コールセンター合計売上高は5.4%増加、35社中23社が増収。1位はトランスコスモス、2位はベルシステム24HD【2020年度】 | 通販新聞ダイジェスト

4 years 3ヶ月 ago
通販新聞社はコールセンター事業を手がける企業の2020年度売上高を調査。通販利用の増加やコロナ関連業務の対応により、多くの企業が業績を伸ばしました

通販新聞社はこのほど、コールセンター事業を手がける企業の2020年度売上高を調査した。上位35社の合計売上高は前年調査に比べ5.4%増加の1兆2689億9900万円で、増収企業は23社となった。コロナ禍にあってセンター席数の抑制などを余儀なくされた中、通販利用の増加やコロナ関連(助成金・ワクチン接種)の業務の発生などに対応し多くの企業が業績を伸ばしている。

コールセンター売上高ランキングの35社のうち売上階層別の状況や注目企業について見ていく。

1位はトランスコスモス、過去最高売上高を更新

通販新聞 2020年度コールセンター売上高ランキング
2020年度コールセンター売上高ランキング

1位はトランスコスモスで、7.9%の増収。前期も引き続き過去最高売上高を更新した。既存の大型案件の拡大やコロナに関連した公共案件の受託もあり伸びにつながった。新型コロナウイルス感染拡大による売り上げへの影響は、プラス面がマイナス面を上回り増収に寄与したとしている。

2位のベルシステム24ホールディングスは、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響があったものの、社会インフラとしてのスポット需要の取り込みや、既存継続案件の売り上げが拡大し増収に。また株主企業などとの協業強化によるシナジー案件も堅調に推移した。

3位はりらいあコミュニケーションズ。大幅に伸びた前々期の反動もあり、前期は微減となった。

4~10位の企業では、4位のNTTマーケティングアクトはコロナ関連(ワクチン接種や給付金の業務)の受託や既存のコンタクトセンタービジネスの受託業務の拡大で7.2%の増収になった。6位のTMJもコロナ関連に加え、既存クライアントの一部に業務縮小があったものの全般的に堅調に推移し、大手の新規案件も獲得するなどで2桁の増収を果たしている。

通販新聞 2020年度コールセンター売上高ランキング TMJ
TMJ大阪センター

8位のNTTネクシアは減収となったが、コロナ関連業務のほか、金融や通販が堅調に推移。10位の日立システムズは微増で、ヘルプデスク業務の拡大が前期に目立ったという。

中堅企業は通販事業が好調。2桁増収も

200億円台の中堅企業では、11位のビーウィズは引き続き2桁の増収を果たした。同社はコロナ特需として、助成金やワクチン接種に関する業務の受託のほか、通販企業の業務も拡大しており、通販向け業務の伸びは全体の伸びを上回る状況だったという

14位の富士通コミュニケーションサービスの前期は生産性(収益性)を重視した事業遂行を進め、計画通りに推移。新型コロナウイルス感染症の拡大による影響で、業務量を削減したクライアントがあった一方で、逆に拡充したところもあり、相殺した格好ともなった。

15位のキューアンドエーは、前期にキューアンドエーワークス(現ワークスアイディ)が連結対象から外れた。このため前々期に比べるとマイナスとなるが、同社を含めた売上高では10%以上の伸びとなる。

キューアンドエーはオンサイト事業(宅訪問)がコロナの影響で減収となったが、その他はコロナが要因となって伸長したという。また、グループ会社で通販系コールセンターを運営するディー・キュービックは巣ごもり需要で伸長し、さらにコロナ関連業務特需も取り込み好調な業績となった

16位のギグワークスも2桁増収。働き方改革の推進や新型コロナウイルス感染症拡大に伴うテレワークへの移行などを背景に、ヘルプデスク・サービスデスク関連に対する急速な需要の高まりがあり、複数の新規大型案件にも対応できる体制を構築したことが奏功した

17位の日本トータルテレマーケティングは58.2%増となり、約60億円を上乗せた。コロナ関連業務の受託に加え、巣ごもり需要の拡大に伴い既存の健康食品や化粧品、アパレルなどの通販企業からの業務が拡大した。なお、同社の前期における通販向け業務の比率は58.4%だった。

21位以下では71%増の企業もあり

一方、売上高100億円未満の21位以下の企業では、大幅な増収を達成したところが散見できる。21位のJPツーウェイコンタクトは25%増。同社は通販向け業務が多いが、巣ごもり需要に伴う通販利用の増加が業績に好影響を与えたと見られる

29位のエン・コンシェルは今回が初めてのランキングとなるが、71.2%増の29億2800万円だった。同社は健康食品や医薬品を得意とする企業で、昨年6月から順次新拠点を開設し業容拡大に乗り出した。それに伴い新規クライアントへのアプローチを強化して業績アップにつなげた。また、後半には通販以外の分野にも範囲を広げ、公共事業案件の業務にも取り組んだという

31位のREGAINは非対面化の要請から、有人チャットやチャットボットに追い風があり、46.8%増を達成。今回初のランキングとなる34位のアイ・エヌ・ジー・ドットコムも通販系をメインとし、新規クライアントの獲得、既存クライアントの案件拡大などにより2桁増収となった。

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

「通販新聞」について

「通販新聞」は、通信販売・ネット通販業界に関連する宅配(オフィス配)をメインとしたニュース情報紙です。物品からサービス商品全般にわたる通販実施企業の最新動向をもとに、各社のマーチャンダイジング、媒体戦略、フルフィルメント動向など、成長を続ける通販・EC業界の情報をわかりやすく伝え、ビジネスのヒントを提供しています。

このコーナーでは、通販新聞編集部の協力により、毎週発行している「通販新聞」からピックアップした通販・ECのニュースや記事などをお届けしていきます。

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通販新聞

アルコールブランド「CRAFTX」のMOON-XとCAMPFIREが業務提携へ。「CAMPFIRE」を通じてECやブランディングなどを支援

4 years 3ヶ月 ago

総合アルコールブランド「CRAFTX」、男性用スキンケア「SKIN X」、女性用スキンケア「BITOKA」のネット販売を手がけるMOON-Xは、クラウドファンディング「CAMPFIRE」を運営するCAMPFIREと業務提携契約の締結に基本合意した。2021年度中に正式契約、付随する契約の締結を完了予定。

「CAMPFIRE」上でクラウドファンディングを展開するビジネスに、製造からマーケティング・物流・EC・ブランディングの一気通貫した専門的な知見を提供する。

主に日本全国や海外のブランド・製品を持つ日用品・食品ブランドのクラウドファンディングの立ち上げから運営、拡販、ブランディングまでを一気通貫で共創するとしている。

「CRAFTX」「SKIN X」「BITOKA」のECを手がけるMOON-Xは、生産パートナーなどとの共創を通じ、ゼロからのブランド立ち上げ、企画・生産、ECモールでのビジネス構築、顧客対応までを進化させてきた。

6月にはレモンサワー「PULEMO」のクラウドファンディングを「CAMPFIRE」で実施、支援金額400万円強を獲得し商品開発・販売にこぎ着けた。

「PULEMO」のクラウドファンディングの成果
「PULEMO」のクラウドファンディングの成果

MOON-Xは「CAMPFIRE」の活用について、

  • マーケットニーズの把握やブランドへの受容度合がわかり新たな挑戦につながる
  • ブランド・製品のコンセプト段階で、消費者ニーズや反応がダイレクトにわかる
  • ブランド・製品立ち上げ当初にすでに顧客がいる

といったプラットフォームの利点を実感。クラウドファンディングプロジェクトを単発で終わらせず、継続性のあるブランド作りをサポートできる体制を整えるとしている。

編集部からのお知らせ

インプレスが9月17日(金)に開催するオンラインイベント「eコマースコミュニケーションDay 2021夏~ECビジネスの業績を伸ばすポイントが学べる1日~」に、MOON-Xの長谷川晋社長が登壇。「Facebook Japanの元代表取締役が創業のスタートアップ『MOON-X』が急成長しているワケ~化粧品・クラフトビールのネット通販で仕掛ける「共創型ブランド作り」と今後の新事業~」をテーマに成長戦略などを語ります。視聴は無料です。ぜひお申し込みください。

コマースコミュニケーションDay 2021夏~ECビジネスの業績を伸ばすポイントが学べる1日~
※画像をクリックするとイベントページにジャンプします
瀧川 正実
瀧川 正実

ダイエーが鮮魚を最短で注文翌日に届けるEC限定事業、「商品」「アプリ等の会員基盤」「店舗網」を活用

4 years 3ヶ月 ago

ダイエーは9月11日、水揚げされた鮮魚をECサイトで注文を受けた当日に配送、最短で買い付け翌日に商品を届ける取り組みを開始した。「EC事業」の新たな取り組みとして位置付けている。

ダイエーは2021年3月から、自社が保有している「商品」「アプリ等の会員基盤」「店舗網」を生かし、鮮度や物量の問題で店舗では販売することが難しい価値ある商品をオンラインショッピングサイト限定で販売する「EC事業」の確立に取り組んでいる。

島根大田市場に駐在しているダイエーのバイヤーが、市場で買い付けた新鮮な魚を、その日の午後に出荷する。名称は「島根大田市場直送 鮮度が自慢!バイヤー厳選おま かせセット」。

ダイエーは水揚げされた鮮魚をECサイトで注文を受けた当日に配送、最短で買い付け翌日に商品を届ける取り組みを開始した
「島根大田市場直送 鮮度が自慢!バイヤー厳選おま かせセット」のイメージ

旬の鮮魚をさばくことなく丸のまま、最短で買い付け翌日に顧客に届ける。日本海の鮮度抜群の魚を自宅で食べることが可能となるという。ダイエーは、価値ある商品を値ごろ価格で顧客の食卓に届けていく。

ダイエーは魚を使用した惣菜や寿司などの中食に加え、味付け済みのミールキット、骨取り済みの切身などの簡単・時短メニューの品ぞろえ拡大を推進。2013年から島根大田市場に自社のバイヤーを駐在、2019年からはバイヤーが厳選して仕入れた新鮮な魚を近畿の店舗で販売する「島根のお魚市」を毎月行っている。

石居 岳
石居 岳

フューチャーショップがWebプッシュ通知機能「AIQUA LITE」と連携開始

4 years 3ヶ月 ago

フューチャーショップは、SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」と、AIテクノロジー企業Appier(エイピア)が提供するWebプッシュ通知機能「AIQUA LITE」との連携を開始した。

「AIQUA LITE」の特徴

「AIQUA LITE」は、サイトから離脱したユーザーに対し、パーソナライズしたWebプッシュ通知をパソコンまたはスマートフォンに配信し、コンバージョンを促進するサービス。配信結果のデータをAIが分析し、開封率が最も高いタイミングに調整する機能を備えている。

1.Webチャネルでの効果的な顧客エンゲージメント

Webプッシュ通知機能を使ったターゲティング施策で、ユーザーとさまざまなコミュニケーションを最適化できる。

2.ユーザーのセグメンテーション

ユーザーの閲覧・購入履歴、会員登録状況など複数の条件を用いて、ターゲットオーディエンスを定義する。

3.ユーザー1人ひとりに合わせた配信時間をAIが最適化

Webプッシュ通知の配信時間をユーザー1人ひとりのタイミングに合わせ、AIが最適化することでCV率向上が期待できる。

カート落ちユーザーに対するリマインド、キャンペーン・セール情報の配信、購入完了時のサンクスメッセージの送信などに活用できるという。

フューチャーショップ futureshop Webプッシュ通知機能 AIQUA LITEの特徴
「AIQUA LITE」の特徴(画像はフューチャーショップのサイトからキャプチャ)

「AIQUA LITE」活用例として、カゴ落ちユーザーに対するリマインド、キャンペーン・レール情報の配信、購入完了時のサンクスメール送信などがあげられる。

連携により、「futureshop」利用企業は、初期費用0円、月額1万5000円(税抜き)で「AIQUA LITE」を利用できる(最低契約期間は180日間)。

藤田遥
藤田遥

過去最速! 35%速くなったShopifyの新テーマ「Dawn」の魅力【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

4 years 3ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年9月6日〜12日のニュース
ネッ担まとめ

Shopifyの新テーマ「Dwan」が使えるようになっています。デモサイトでユーザーとしての使い勝手を体感できますがこれは速い。しかも、商品を選びやすくて買いやすいです。

Shopifyユーザーなら使ってみることをおすすめします

モバイルファーストで柔軟性が高いShopifyテーマ「Dawn」の機能について | Shopifyブログ
https://www.shopify.jp/blog/partner-dawn-shopify-theme

まとめると、

  • Shopifyの最新の無料テーマ「Dawn」は柔軟性があり、商品ページに関連商品をまとめるセクション、ホームにイメージギャラリーなどを追加できる
  • 「Dawn」はこれまでのデフォルトのテーマ「Debut」より35%速く過去最速
  • カラー設定を簡素化しているのでショップ全体のカラーの一貫性が保証される。カスタマイズも容易

目的が明確なお客さまはウェブサイトに来てすぐ特定の物を探すので、コレクションに素早くアクセスできるセクションを設計し、使うのが簡単な商品フィルタリングのオプションをわたしたちは導入しています。次に、発見を目的としているお客さまがいます。この人たちは、商品を閲覧して、購入を決めるためにインスパイアされたいと思っているので、ビジュアルに強く訴えかけるセクションを階層化して、すべてのページに追加できるようにしています。

こちらの記事にあるように「Shopify UNITE 2021」で新テーマ「Dawn」が発表されました。読み込み速度はかなり速くなっています。ネットショップはどうしても画像が多くなるので読み込み速度が遅くなりますが、テーマ側でそれを解決してくれるのは便利ですよね。

速さ以外にも多くのメリットがあり、引用文にあるようにユーザーが買いやすい作りにもなっています。いわゆる売れるデザインが最初から適用されているのはものすごくありがたいです。実際のDawnの使い勝手はこちらのデモストアから体験してみください。また、関連記事にあるように読み込み速度はSEOにも影響しますので、速いに越したことはありません。

関連記事
  • 激戦区! 健康食品・化粧品ジャンルのECサイト100の表示スピードと「コアウェブバイタル」対応調査 | ネットショップ担当者フォーラム
    https://netshop.impress.co.jp/node/9003

うちは大丈夫だと思ったら危険! 不正注文は誰にでも起こりえます

「なりすまし注文」「取り込み詐欺」「転売目的の注文」などECサイトを襲う不正注文の手口や対応方法を解説! | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/9030

まとめると、

  • 不正注文とは、第三者が他者の個人情報を使用して商品やサービスを購入すること。転売目的の大量注文やいたずら目的での注文、料金を支払わずに商品を手に入れるケースもあてはまる
  • 多いのはクレジットカードの不正利用による「なりすまし注文」、後払い決済を利用した「取り込み詐欺」、代金引換を使った「転売目的の注文」や「いたずら注文」
  • 防ぐには3Dセキュアなどでの本人認証、セキュリティコードでの本人確認などの方法がある

不正注文の手口
・ウィークリーマンションやアパートの空室・レンタルオフィスで商品を受け取る
・海外への転送サービスを悪用する
・荷受代行のアルバイトが受け取る
・購入情報を変えて複数回に分けて注文する
・ネットショップ・ECサイトの繁忙期を狙って注文する
・高額商品・転売しやすい商品を注文している

私のクライアントでも引用文にあるような不正注文の被害にあったことがあります。不正注文は金額的な損失、時間的な損失もありますが、担当者の精神的なダメージもあります。そのため、通常業務にも長期間影響してしまうことがあります。記事に書いてあるような対策をするのは当然として、新規の大口の注文時には住所をストリートビューで確認するなど、ショップ独自の対応も必要です。誰にでも起こりうることなので、今のうちに対策をしておきましょう。

関連記事

EC全般

「『BASE』での購入体験」が導入の決め手に?<NIFREL(ニフレル)>流ネットショップの選び方 | BASE U
https://baseu.jp/22525

初めて使う人が使いやすい。これがBASEのメリットです。使いやすくないと継続できないですからね。

ネットショップ、開業してからわかったこと | オカたむらアキコ | note
https://note.com/ukahtam/n/ne8259e6a5666

ネットショップの立ち上げ方の本などにも書いてあることもありますが、実際に体感するまでわからないことが書かれています。

【比較】宅急便コンパクトとゆうパケットプラスの送料やサイズ、発送方法とは? | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/9615

主に個人や小規模で小さなものを扱っている人向けの記事です。これに合わせて商品を開発すると良いですね。

配送トラブルはどう防ぐ?住所入力ミスの防止策は「目視チェック」が57%、自動化ツール導入企業は約8%のみ | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/9062

郵便番号からの住所自動入力があってもマンション名などは入力ミスがありますよね。最後はアナログになりがちです。

小さなECサイトの上位表示は難しい? それでもやるべき商品詳細ページのSEO | 海外SEO情報ブログ
https://www.suzukikenichi.com/blog/two-practices-to-rank-product-pages/

「Merchant Center 登録」「明確な内部リンク」は必須ですがこれ以外にも広告などを。

ゆで卵は簡単につくれるのに、なぜ「エッグマイスター」は3万5000台も売れたのか:あの会社のこの商品 | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2109/08/news016.html

簡単に作れてもうまくできるかどうかは別。ちょっとしたところにヒントがあります。

ヤフオク!、満足度の低い商品を受け取ってしまった際の見舞い制度「商品満足サポート」を拡充 | ASCII.jp
https://ascii.jp/elem/000/004/068/4068491/

ヤフオクの偽土偶に引っかからないために。 | 縄文ZINE_note | note
https://note.com/22jomon/n/n0216c43cbabe

どんな人のためのサポートかな? と思ったら土偶の記事を発見。いろいろあるんですね……。

集客力から自然な引力へ。競争を避けて選ばれる存在になるための中小EC生存戦略 | futureshop
https://www.future-shop.jp/magazine/ec-seminar-sakamoto

悲観的に考えても行き詰ってしまうので、中小の良いところだけ見るようにしましょう。

今週の名言

店に入ったときに、この店、合いそうだなっていう感覚。そういうの、絶対大事なことでね

店を閉めてる間、わざわざ様子を見に来てくれる人もいる。そういうお客さんに守られているし、ウチも守りたい──立石「宇ち多゛」 | dancyu
https://dancyu.jp/read/2021_00004899.html

ネットショップも同じですよね。だからこそ読み込み速度は速くしたいし、世界観が伝わるようなデザインにしたい。

森野 誠之
森野 誠之

Eコマース先生・川添氏流ECの学びは「とにかく自分でやって肌身で感じる。それが自身の血肉になる」 | Eコマース先生・川添隆が先人に聞く「私のeコマースキャリア」

4 years 3ヶ月 ago
EC業界の第一線で活躍する人々がどのようにノウハウや実績を積んできたかを解き明かす連載第2回は、今後の連載インタビューアーとなるEコマース先生「川添隆」氏の後編記事

「Eコマース先生」として個人の活動を行い、ビジョナリーホールディングス(メガネスーパーのグループを運営する親会社)取締役CDO兼CIOを務める川添隆氏Twitter:@tkzoeに、ECの知見をどのように積んでいったのかを聞いたインタビュー後編前編はこちら))。大きな影響を受けることになる人物との出会い、人と人とのつながり、チャレンジ精神などを川添氏が振り返る。

「Eコマース先生」として個人の活動を行い、ビジョナリーホールディングス(メガネスーパーのグループを運営する親会社)取締役CDO兼CIOを務める川添隆氏

星﨑社長が来て、「ECを2倍にしろ」と

クレッジ時代の川添さんに大きな影響を与えた人物が現ビジョナリーホールディングス社長の星﨑尚彦氏。企業再生にむけて、クレッジの社長として川添さんの前に現れた星﨑社長は、大きな目標を課します。その目標達成に向けて、川添氏はさらにギアを上げてEC業務に邁進していきます。

――クレッジにいた2011年10月に、星﨑さんがクレッジの社長に就かれたのも大きな転機だったんじゃないでしょうか。

川添隆氏(以下川添):大きいですね。間違いなく私のキャリアのターニングポイントです。星﨑社長が来て、私がECの責任者に抜擢されるのですが、その際に「やり方は任せるから、今期中にECの売上を2倍にせよ!権限も必要な武器も全て渡す!」という指示がセットでした……。

その目標をどうやって達成するかを考えた時に、もちろん自社ECとモールECに分けて考えましたが、当時自社ECに足りないのは集客だと捉えていたんですよ。それで親和性のあるメディアから集客すると良いのではと考え、「デコログ」というブログサービスとタイアップして2つの企画をやりました。単純な広告という手もありましたが、広告だけでは親和性が高まらないので、1つはLIP SERVICEとインフルエンサーとのコラボ企画(商品開発とプロモーション)と、もう1つはLIP SERVICEの100人のスタッフランキングを企画から実施しました

――それは成功したんですか。

川添:いや、思っていたほどではなかったです。コラボ企画はインフルエンサー側の意向を強くしすぎて、ブランドそのもののお客さまに刺さるには至らなかったなと。スタッフランキングは社内ではある程度盛り上がったものの、売り上げに対するインパクトまでには至りませんでした。責任者になった出足での失敗であり、今でこそ笑い話ですが、当時は会社自体が崖っぷちだったので笑えなかったです(苦笑)

もちろん、これは1つのアプローチであり、常に売上・利益が上がり、UXを高めるための取り組みをどんどん考えては実行に移していました。チーム強化やモールECの強化を先行していたので売上自体は伸びていたのでよかったですが、自社ECに関してはより内部を見直して次の改善を進めました。具体的には、店舗とECで販売開始のタイミングに差があって、ECは1週間から2週間ぐらいタイムラグがあったんです。それで、販売時期を一緒にしたいと考えました。言うは易く行うは難しの取り組みでした

2011年12月-2012年1月頃でしたが、当時はまだフルアウトソースの状況。本来は、ささげ業務は業務委託の範囲内で販売手数料に含まれていたので、まずは運用代行先で撮影~画像加工~商品アップのスピードを早められないかを試行錯誤していました。売り上げの大半を占めるLIP SERVICEに絞ってです。ただし、一向に撮影スピードが上がらないため、販売手数料はそのまま負担しながら、社内のプレスルームに撮影ブースを作り、店舗スタッフをモデルとして、社内撮影を開始しました。さらに、「LIP SERVICEに限って、全品番の納前商品(店舗に納品される1週間ほど前にチェックするための商品)を手配してもらい、精算でチェックし終わったらEC部門に渡すようにできませんか」と生産部門の責任者に相談して、手配を進めてもらいました。そして、この時はなんとしても商品アップのスピードを担保するために、採寸情報や商品コメントは必ずしも間に合わなくてよいという意思決定をして、ブランドの了承を得ました。

結果、2012年2月の中旬くらいの新作商品からは、店舗と自社ECでの販売日は同じになったんです。その時点ぐらいからLIP SERVICEの自社EC売り上げが前年比100%前後から150%台になりだして、「マジやべー」みたいな(笑)。ECチーム全体で成功の手ごたえを感じました。それで、「この戦法をより研ぎ澄まそう」と。

当時は商品アップはエクセルやホワイトボードで管理していたので、煩雑な状況も理解していました。ある日、次の出来事が起きました。

担当:「川添さん報告です。商品画像のカラバリ(カラーバリエーションの略で、同じ商品の色違い)をアップし忘れました」

川添:「ミスした工程を特定して再発しないようにしてね」

担当:「わかりました。ちなみに、アップし忘れたカラバリの商品も複数受注がつきました」

川添:「画像なくて売れるってどういうこと?!」

「Eコマース先生」として個人の活動を行い、ビジョナリーホールディングス(メガネスーパーのグループを運営する親会社)取締役CDO兼CIOを務める川添隆氏
川添隆(かわぞえ・たかし)氏 1982年生まれ、佐賀県唐津市出身。全国のEコマース担当者を応援し、Eコマースビジネスの可能性を伝えるEコマース業界の先生。企業再生を2社経験し、独自のメソッドと実践を通じてEコマース売上2倍以上に携わったのは6社。販売、営業アシスタントとしてサンエー・インターナショナルに就職。その後、当時サイバーエージェントグループだったクラウンジュエル(現サービス名はZOZOUSED)へ転職。ささげ業務から企画、PR、営業などに従事。2010年にクレッジに転職。EC事業の責任者として自社サイトの売り上げを2倍以上、EC全体を2年で2倍に拡大。LINE@を活用した事例でも成功をおさめる。2013年7月よりメガネスーパーに入社。8年でEコマース関与売上は8倍、自社Eコマースの月間受注は13倍に拡大。現在は親会社のビジョナリーホールディングス 取締役 CDO 兼 CIO(現任)として、Eコマース事業・オムニチャネル推進などの領域、IT・情報システム、新規事業を統括。2017年より代表を務めるエバンでは小売企業、大手メディア、B2Bスタートアップ、D2CブランドへEC・DXのアドバイザーに従事。

――それは衝撃ですね。

川添:その理由の見立ては、お客さまの頭の中にサイズやシルエットも含めた商品のイメージがあるのだろうと捉えています。LIP SERVICEではメルマガを送らないとクレームがきたり、上位顧客の年間購買金額の多さやリピート率の高さから、お客さまのロイヤルティが高いというか粘着度が高いと感じていました。恐らく、そもそもブランドとしても定番のシルエットなどもありましたし、お客さまも店頭で商品を見ているとか、過去の商品を参考にしているんだろうと。

「カラバリ画像無しでも売れた」事件以降は、よりスピードを優先しなきゃいけないという感じで、採寸や商品コメントを躊躇なく後回しでいいから、とにかくサイトに商品をアップしようと決めました。最終的には、全て情報が整った状態で店舗と販売日を合わせることができましたし、さらに次の一手として店頭よりも早く商品を掲載してメールでの入荷連絡希望を取ることになりました。

これは一例ですが、そんな調子でやっていった結果、自社ECは2億円ほどだったのが、1年半から2年後には5.5億円と、2倍以上になっていました

――試行錯誤の末、星﨑社長に言われた「EC2倍」を実現できたわけですね。

川添:はい。厳密に言えば、「2倍にして」と言われた下半期は部門の売り上げは2倍以上にできて、1年半でEC事業全体の売上は7億強から15億円にすることができました。

その当時は自社ECだけでなく、モールでもいろいろやっていました。たとえば「SHIBUYA109」だと、責任者就任直後はブランドランキングで5~6位くらいでしたが、「1位になるにはどうしたらいいですか?」とモール側に尋ねて、「セールは店頭や自社ECのタイミングと併せて欲しい、再入荷リクエストが多いからもっと在庫を入れて欲しい」と言われたので、即答で「やりましょう!ただし、価格と在庫は担保するので、メルマガやバナーの露出は用意してください。必ず期待に答えます」と答えました。それ以外にも予約販売を1番最初に行ったり、商品撮影も店舗に協力してもらったり、こちらから企画を提案したり先方の要望に答えることで、約半年以内にブランドランキング1位を獲得できました

――クレッジにはだいたい3年在籍していたわけですが、その間に得たことは多かったんですね。

川添:恐らく、この記事を見ている人は「川添隆はメガネスーパーの人 or Eコマースの詳しい人」と思われているかもしれません(笑)。でも実際のところは、クレッジ時代に肌身で感じたことが今の私の根幹となっています。その後に抽象化してメソッド(型)にして、メガネスーパーやその他のアドバイザーでは応用して生かしながら、また新しいことを経験したら血肉にするという感じですね。しかも星崎社長が来られてからのスピード感はそれ以前の数倍の感覚です。だからその1年半にすべてが凝縮されていると思います。

「Eコマース先生」として個人の活動を行い、ビジョナリーホールディングス(メガネスーパーのグループを運営する親会社)取締役CDO兼CIOを務める川添隆氏

自分が知りたいことは人とつながっているとわかる

クレッジ時代に目標だったEC売上2倍を達成し、EC担当者として手ごたえをつかんでいった川添氏ですが、その頃に心がけていたことの1つが外に出て情報を収集すること。その取り組みが、自社ECのリプレイスの場面で生かされる場面もあったようです。

――川添さんはいろいろな人脈をお持ちですが、それもこれまでのキャリアで徐々に培われたのでしょうか。

川添:そうですね。人と交流することが大事だというのは、クレッジ時代に星崎社長が来る前から、漠然と感じていました。たまたまその時にFacebookにチェックイン機能ができて、それが競合会社には導入されていて、なぜクレッジではできないのか調べるように言われたんです。日本では数社のみに開放された機能だったのですが、Google先生も知らない情報でした。そこで、たまたまその機能を導入している企業のマーケティング担当者と知り合っていてその人に尋ねたら、「その案件はあの代理店が仕切っていますよ」と教えてもらいました。

その時は電気が走った感覚でした(その後に感じる「カラバリ画僧無しで受注する時と同じくらい」)。自分が知りたいことは「それがわかる人とつながっているとわかるんだ」と初めて肌身で感じたんです。それで覚醒したんじゃないかな。結局、検索すれば情報が出てくる時代でも大事な部分は隠されていたりするじゃないですか大事な部分は人から聞かないとダメなんだなって知りました。当時はムダな動きも多かったですが、極力外に出て、いろいろな人とつながるようになったキッカケですつながる際は相手が興味ありそうな情報を出すこともなるべく怠らないようにしてきました

他にもクレッジ時代に自社ECのシステムをecbeing社にしたのも、外に出たことによる成果の1つです。コマースリンク社のセミナーに出席したのがきっかけですよね。商品フィード管理ツールの話を聞きに行って、そこで自社ECサイトで規模が拡大している企業としてABCマートの名前が出ていて。ABCマートはecbeingを使っていると書いてあったんです。それを半年か1年後に、自社ECを内製化するためのEC構築システムの選定している最後の時点で(セミナーから半年~1年後)思い出したんですよね。

コマースリンクのセミナーに行かなかったら、つながらなかったです。たまたま資料整理していたら出てきた感じですが、「あっ!」という瞬間は今も覚えているんですよね、あの人がこう言ったイメージと一緒に。当時、雲の上のような存在のた奥谷孝司さんのセミナーを聞きに行って「スマホアプリが来る!」とかを勝手に学んでいましたね。

――川添さんは講演やセミナーなどでアウトプットされてるイメージが強いですが、インプットというか学びもやっぱり重要ですね。

川添:私、実は本が苦手なんですよ。自分で本を書いていてこんなこと言うのも変ですが、読むのが遅いんです。全部読みたくなってしまうタイプで。たまに体系的に学びつつ、多くは経験によって学ぶことのほうが多いですね。たとえばメルマガのタイトルも、ファーストビューで読めないと意味がないよね、だから10文字以内ですべてを完結させないとダメだ、みたいなことも業務をやりながら学んでいったんです。一方で、良いと聞いたものは取り入れて実践してみることもやってきました。隅付き括弧を使うといいとか、どんな言葉がいいとか。そういう他者からの学びと、自身の学びをを積み重ねていくことで、成功のポイントであったり、うまくいくための共通のルールだったりを導き出していくタイプですね。本や人から聞いたフレームワークも、自身の経験とハマった時には浸透率が高いんですよね

「Eコマース先生」として個人の活動を行い、ビジョナリーホールディングス(メガネスーパーのグループを運営する親会社)取締役CDO兼CIOを務める川添隆氏

とにかくやってみたほうがいい

学生時代にネットオークションでスニーカーを売買していた青年も、複数の会社で経験を積み、今では「Eコマース先生」を名乗るまでになりました。しかし、本人によると、キャリアアップを目的に仕事をしてきたわけではないようです。ECの仕事にどのような姿勢で臨むべきか、そして続けていくためのマインドセットなどについて、川添氏からのメッセージです。

――最後にこれからECの知見・ノウハウなどを習得しようと思っている人にメッセージをお願いします。

川添:私が今着ているTシャツは、自分メッセージを考えて友人にデザインしてもらったんです。「Do it right away」は訳すと「さっさとやれよ」っていう意味です

「Eコマース先生」として個人の活動を行い、ビジョナリーホールディングス(メガネスーパーのグループを運営する親会社)取締役CDO兼CIOを務める川添隆氏
「Do it right away」は、「さっさとやれよ」っていう意味

あれこれ人に聞いたり、Webを見て情報収集しても構わない。それはもちろん大事ですが、そこから得られる学びって実は本当に少ないやはり自分でやってみて肌身で感じる方が自分の血肉になると思っています。これ自体も先人が言っていることではありますが、だからこそ自身でやってみた方がいい、とにかく。「会社でSNSうまく使えてないんですよ」っていうんだったら、個人でやればいいじゃんって思うわけです。もちろん、企業と個人とでは振る舞いを変えることが大前提ですが、仕組みやその中でのルールは個人でやってもある程度理解できます。

会社って、どうしても承認プロセスを経る必要があるんですけど、自分たちで決められる領域や周辺だけ巻き込めば決められる領域もあるんですよね。もっと言うと、勝手にやるんですよ。勝手にやって結果が出てから「ほら結果出ましたよ」って言ったほうが、説得力もあるし話も早いんです。そのためには、社内のルール内で誰にでもわかる結果を先に出す。そしてお客さまにも仕事にも真剣に向き合いながら、頭の中で高速で様々なシミュレーションをしておくと良いと思います、妄想と紙一重ですが。

――事前に上司に対して「これをやろうと思っているんですが?」と相談しても、「どれだけ結果が出るんですか」などと言われちゃいますもんね。

川添:鶏と卵の関係っぽいですが、ビジネスは先に何かしらの結果が必要ではないでしょうか。施策としての信頼、個人としての信頼どちらでも良いですが、ある程度の確率がないと、新たなチャレンジに賭けられないですよね。だから小さくても失敗が許容できる範囲で実験しておくんですよ小さく実験したら大きくする方法を少しずつ試す(承認をもらうこともちろんベター)。あるいは、やっちゃダメなことを先に聞いておくのもポイントですかね。

私も最初からECに興味があったわけじゃなく、むしろファッションビジネスのほうに興味があったわけで。ただ、自分がお客さまを想定して送ったメルマガがどれだけ売り上げに貢献しているか、反応があるか、やっぱり気になるわけですよ。「そっか、さっきのこの1個のリンクが、何十万円の売り上げになるんだ。すげえな!だったらもっと工夫できないかな」みたいな発見と興味の連続が面白かった。そうやって面白がっていくことが結果的に自分のキャリアやノウハウの蓄積になっていったんですね

――興味を持って、面白がった結果、今のキャリアがたまたま付いてきたと?

川添:キャリアを積み上げていくためにこうしようというのは、あんまり考えてないんです。というか、まったく考えてないに近いですね。それよりも「どうすればこれは面白くなるかな」「結果出るかな」みたいなアプローチですね。もちろん、振り返るとしんどい時期やきつい出来事はたくさんありましたが、それでもビジネスは結果が出ないと面白くないですから。

「ECは楽しい仕事だ」って言いますけど、それは変える要素がたくさんあるから楽しいんだと捉えています。どこでサイトを構えるか、チームやサイトのデザイン・サービス、販売施策や商品価格、集客のやり方や文言、ささげ業務のやり方や画像加工、梱包のやり方などとにかくいろいろな工程がある。それら全てに変化を加えることができるんです。より良くするための組み合わせがたくさんあるって考えれば、いろいろな発見や学びもあるし仕事も面白くなるんじゃないかなと思います

たとえば私は発送業務をやっていても、どうすれば早く終わらせられるかとか、「なんでこの人めっちゃ買っているんだろう?」とか考えちゃうんですよ。発送に限らずどの業務であっても、売り上げや利益を最大化したい、お客様の期待に応えたいと考えて行動した中に失敗も成功も出てきます。

そうやってコツコツ取り組んでいけば、少しずつ結果も出て、ますます楽しくなっていくと思います。

「Eコマース先生」として個人の活動を行い、ビジョナリーホールディングス(メガネスーパーのグループを運営する親会社)取締役CDO兼CIOを務める川添隆氏
キヨハラサトル
キヨハラサトル

家電EC大手のエクスプライス(旧MOA)稲積社長に聞く成長戦略と差別化策 | 通販新聞ダイジェスト

4 years 3ヶ月 ago
社名を4月に「MOA」へと変更した家電ネット販売のエクスプライス。6月に新社長へと就任した稲積憲氏に、成長戦略、新規上場などを通販新聞社がインタビュー

家電ネット販売のエクスプライスでは6月、新社長に稲積憲氏が就任した。同氏はNHN Japan(現LINE)の執行役員やNHN PlayArt(現NHN Japan)の社長、トランスコスモスの取締役専務執行役員を歴任。エクスプライスの2021年6月期売上高は、前期比約20%増となるなど業績は好調に推移している。新規上場を見据える同社の舵取りを任された稲積社長に今後の戦略を聞いた。

編集部からのお知らせ

インプレスが9月17日(金)に開催するオンラインイベント「eコマースコミュニケーションDay 2021夏~ECビジネスの業績を伸ばすポイントが学べる1日~」に、エクスプライス稲積憲社長が登壇。「EC売上1000億円めざすエクスプライスのファン創り・戦略~楽天SOY3位など急成長の家電EC企業の代表取締役社長が語る成長戦略~」をテーマに成長戦略などを語ります。視聴は無料です。ぜひお申し込みください。

コマースコミュニケーションDay 2021夏~ECビジネスの業績を伸ばすポイントが学べる1日~
※画像をクリックするとイベントページにジャンプします

差別化ポイントは、ネット専業でライフスタイルに合わせたトータル提案

――社長就任の経緯は。

「エクスプライスの株主は100%投資ファンドだが、ファンドの別の投資先の社長が知人だったことから、当社を紹介され、社長に就任することになった。物販は初めてだが、EC支援事業にはこれまでも関わってきた。当社の強みは、優秀なバイヤーによる仕入れ力と、それときちんと値付けして売る販売力だ。彼らをサポートしてくとともに、私の得意分野である『顧客接点』と『経営管理』分野に取り組む。これまで当社が培ってきた強みと私の強みを組み合わせていく」

――現状の家電EC市場をどうみるか。

「コロナ禍以前からEC化が着実に進んできた分野だ。家電量販店の成長率と当社のこれまでの成長率を比べると、当社の成長率の方がはるかに大きい。それは、当社の強みもさることながら、顧客の購買ニーズがECに移りつつあり、家電のECが伸びていることが大きい。そこに新型コロナの感染拡大があり、EC化がさらに進んだ」

――競合も非常に多い分野だ。

「ヨドバシカメラやビックカメラといった大手家電量販店がECを強化しており、売り上げも非常に大きい。知名度という点で当社よりもはるかに上の存在だが、当社は店舗を有していないのでコスト構造が全く違う。固定費が少ないということもあり、それを価格という形で還元できるのが有利な点であり、今後も強みとしていけるのではないか。アマゾンに関しては、競合というよりも、当社も活用するプラットフォームという要素が強いが、もちろん家電も多く販売している。ただ、家電の設置や工事など、付帯事象に関しては当社に強みがあると思う。家電を購入し、使っていくという点では、当社の方が体験価値という点で高いのではないか。家電量販店やアマゾンとは違った形で顧客に価値を提供しているし、これからも進化していくのではないか」

家電ネット販売のエクスプライスでは6月、新社長に稲積憲氏が就任
エクスプライスが運営するECサイト(画像は編集部がキャプチャして追加)

――家電量販店もECにおいて価格面で攻めてきており、競争は激しい。

「4月に『MOA』から『エクスプライス』に社名を変更した。『プライス』は価格を意味しており、『エクス』はエクストリーム、つまり究極。『競争力のある価格と、家電通販として究極のサービスを目指す』という思いを込めている。価格だけではなく、安心して購入し、快適・便利な体験をしてもらうことが大事だ品揃えだけではなく、事前の購入相談やレコメンド、購入後の設置・工事のスムーズさ、ライフスタイルに合わせたトータルでの提案などを、ネットのプレイヤーとして届けていくことが大きな差別化ポイントになってくると思う。シンプルに、ネットに特化した形でサービスを提供するというのは、家電量販店にはできないことだし、強みになるはずだ」

――エクスプライスの強みとは。

顧客満足度が高いということだ。もちろん『エクス』の部分は大きく進化させていかなければいけないが、現状でも他社と比較した際の満足度は相対的に高い。ブランドの知名度がまだ高くない部分をカバーできている。もう一つがバイヤーによる仕入れ力だ。彼らが良い売り方をしてくれる点も大きい」

――現在、主要な家電メーカーとは取引はあるのか。

「メーカー、メーカー系商社、メーカー指定商社を含めると、ほぼすべてのメーカーと取引口座を開いている」

――以前はメーカー以外からの仕入れが多く、そのために安売りできていた部分が大きい。メーカーとの取り引きが増えると、ボリュームが大きい家電量販店よりも仕入れ価格の面で不利になるのでは。

「そこをコスト削減でカバーするのが当社の勝ちパターンだと思っている」

――具体的には。

「最近の取り組みでいえば、基幹の物流センターを移転した。これまで複数階にまたがっていたものをワンフロアに集約したほか、同じ敷地には佐川急便の営業所もあるので、時間やコストを削減できる。設備投資をしながら生産性を上げていきたい」

家電ネット販売のエクスプライスでは6月、新社長に稲積憲氏が就任
稲積憲社長

24年6月期、年商1千億円へ、顧客満足度向上でファン増やす

――4月に社名を変更し、ショップ名も「エクスプライス」に変えた。

「これまではショップ名が『A-PRICE』と『プレモア』で、社名が『MOA』とブランドが3つ存在し、名前に意味づけもできていなかった。今回、意味を込めた社名に変更し、ショップ名も基本的にはエクスプライスに統合した」

ショップ名も「エクスプライス」に変更した(画像は編集部が追加)

――消費者に浸透していたショップ名を変更することにはリスクもある。

「大きな認知度の下落はなかったようだ。ただ、それはあまり知名度が高くなかったということでもある。これまでは仮想モールや価格比較サイトに集客してもらってきた面が強かったということを改めて感じた。そのため、エクスプライスの認知度を上げていくことが必要になってくる。4月には、サッカーJ1の『ヴィッセル神戸』と今年12月末までのスポンサー契約を締結したが、コミュニティーに訴えかけていくのも1つの手段。ただ、一番大事なのは、一人ひとりの顧客に満足してもらい、ファンになってもらうことだ。リピート購入はもちろん、くちコミで周囲の人たちに広めてもらえるという波及効果もある。まだマス媒体を使ってアピールしていくフェーズではないので、地道にやっていきたい」

――2021年6月期の業績は。

売上高は前期比約20%増の640億円程度で着地したようだ。もちろんコロナ禍による追い風はあったが、それが全てではない。コロナ禍がなくても2桁増収は達成できたのではないか。足元でいえば、家電市場はあまり活況とはいえないが、こうした中でも当社は伸びている。ネット専業の中でも、価格のみならず、大型家電を中心とした品揃えの面でも顧客にアピールできているのではないか。追い風だけにはとどまらず、エクスプライスの認知を拡大するとともに、顧客満足度を高め、ファンを作るという取り組みを続けることで成長を続けていきたい

――家電以外の商材の売り上げ比率は。

「20%程度で、比率は徐々に伸びている。スポーツ用品やアウトドア用品、家具、ベビー用品などが人気だ」

――プライベートブランド「マクスゼン」について。

「前期の売上高は50億円を超えた。アイテム数は64となっている。理美容家電や、まだ扱っていない生活家電、さらには非家電商品にもトライしていきたい」

――現状の課題は。

「やはりファンづくりだろう。1つは『顧客から見てどうなのか』ということ。長年商売していると凝り固まってしまう部分がるので、顧客視点が重要だ。もう1つは、システムが全体的に古く、足かせになっている部分がある。基幹システムとECシステムの刷新が終わればレベルアップできると思っている。この両面を変えていくことで、より顧客に満足してもらえるようになるのではないか」

「システム刷新は今期中には終える予定だ。顧客が買いやすいサイトになる。細かい設定やセット販売など、今のシステムだと表現できない部分が多いので、分かりやすいサイトになるのではないか。サポートという点でも、これまで以上に顧客の情報理解した上で対応できるようになる。また、ショッピングアプリも開発する予定だ」

――今期の業績見通しは。

「少なくとも2桁増収は達成したい。24年6月期には売上高1000億円を目指しており、そのためには成長を加速しなければいけない新しい商品ジャンルの取り扱いや、リピート率の向上も目指したい。精度の高いレコメンデーションと、クーポンを含めた販促が重要になってくる」

――どんなジャンルを扱うのか。

「家電量販店を見ても、さまざまなジャンルの商材を扱っている。どのジャンルと決めているわけではないが、良い仕入れ先を開拓するのが重要になってくる」

――配送関連の取り組みは。

「5月には大阪に拠点を設けた。各地にサテライトの拠点を作ることで、スピード配送に対応したい。8月には基幹物流センターとして千葉県船橋市に『船橋物流センター』をオープンしており、拠点づくりは来年度以降取り組んでいきたい」

エクスプライス CO2排出量削減など環境配慮型の船橋物流センター
CO2排出量削減など環境配慮型の船橋物流センター(画像は編集部が追加)

――上場の時期は。

「審査の状況にもよるが、今期は上場直前期と位置づけている」

※記事内容は紙面掲載時の情報です。
※画像、サイトURLなどをネットショップ担当者フォーラム編集部が追加している場合もあります。
※見出しはネットショップ担当者フォーラム編集部が編集している場合もあります。

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通販新聞

Googleマイビジネスを活用するメリット・デメリットとは?【業種別Googleマイビジネス対策講座】 | 店舗ビジネスに役立つ『口コミラボ』特選コラム

4 years 3ヶ月 ago
Googleマイビジネスの概要や有用性、一般的な店舗のオーナーがGoogleマイビジネスを活用するメリット・デメリットについて解説

各業種におけるGoogleマイビジネスの活用方法について、Googleマイビジネス プラチナプロダクトエキスパートの永山卓也氏に取材する連載企画「業種別Googleマイビジネス対策講座」第1弾。

今回はその前段階として、全業種に共通して必要な知識である「Googleマイビジネスのメリット、デメリット」に関する内容をお届けします。

はじめに:Googleマイビジネスとは

ーーでは改めて、「Googleマイビジネスとはなんなのか」というところから解説いただけますでしょうか。

Googleマイビジネス プラチナプロダクトエキスパート 永山卓也氏(以下 永山):

わかりました!

「Googleマイビジネスというものがあって、すごく効果が高いらしい」

というような漠然としたイメージを持っているけれど、

「そもそもどういうものかわからない」
「何で効果が高いのかわからない」
「何をしたらいいのかわからない」

などの理由で、導入するかどうか悩まれている方も多いと思います。

たとえばですが、Google検索で地域名とお店のジャンルやメニュー名などを検索した際に表示される、こちらの情報枠↓

Google検索で地域とお店のジャンルを検索した結果
▲Google検索で地域とお店のジャンルを検索した結果:編集部作成

Googleマップで検索をしたときに表示される、店舗や施設などの情報↓

スマートフォン版Googleマップで地域とお店のジャンルを検索した結果
▲スマートフォン版Googleマップで地域とお店のジャンルを検索した結果:編集部作成

これらは勝手に登録(!)された情報であったり、ユーザー、いわゆる利用者が情報を提案し、それをGoogleが採用し生成、掲載された情報であったりします。

Google検索では、地域施設を探すような検索語句の場合はホームページの候補より上枠で表示されたりしますね。

Google検索では、地域施設を探すような検索語句の場合はホームページの候補より上枠で表示される
▲Google検索では、地域施設を探すような検索語句の場合はホームページの候補より上枠で表示されることも多い:編集部作成

そして既にたくさん利用されているGoogleマップの地点情報にも使われているので、非常に多くの人が参考にしている情報です。

見ている人が多く、重要な情報であるにもかかわらず「Googleとお客様だけの情報で勝手に作られ、それが閲覧されている」という、非常に危うく、もったいない状態になっている場合が非常に多いです。

この施設・店舗情報を「オーナーや管理者が優先的に加筆編集できるサービス」が、Googleマイビジネスなのです。

施設・店舗情報を「オーナーや管理者が優先的に加筆編集できるサービス」が、Googleマイビジネス
▲施設・店舗情報を「オーナーや管理者が優先的に加筆編集できるサービス」が、Googleマイビジネス:編集部作成

ーーGoogleマイビジネスは「Googleマップなどに掲載された店舗情報を、オーナーとして編集するサービス」ということですね。このGoogleマイビジネスは、無料で提供されていますよね。

永山:

そうなんです。めちゃくちゃ目立つ所に表示されるのに、無料で使えるんですよ!

またGoogleマイビジネスは新機能なども頻繁に更新されていますが、これらの機能の追加はGoogle側で行うため、たとえば「ホームページのリニューアル」のような大きな改修費などもかかりません。

ホームページの場合、お店側がある程度カンタンに記事などを更新するためには更新システム(CMS)の導入などが必要となりますが、これに関しても更新システムがGoogle側に存在するので気にする必要がありません。

ホームページは製作費・手間がかかり、更新システムの作成も必要。Googleマイビジネスではそれが不要
▲ホームページは製作の費用や手間がかかるほか、更新システムの作成も必要。Googleマイビジネスではそれが不要:編集部作成

さらに!

先述したようにGoogleマイビジネスで扱う情報は、すでにGoogle検索またはGoogleマップを利用して多くの人に見られています。

そのため、Googleマイビジネスを使って情報を整備すると、効果が非常に早く期待できるのです。

例を挙げると、SNSであればフォロワーをイチから集めたりしなければなりませんが、そういう手間も要らないわけです。

(更に多く集客したい場合は閲覧者を集める手間を掛ければ、もっと色々できます)

SNS Googleマイビジネス 違い
▲SNSはフォロワーをイチから集めたりしないと情報を伝えられないが、Googleマップの情報はすでにたくさんの人に閲覧されている:編集部作成

ーーなるほど!SNSとの違いというのは考えたことがなかったです。確かにすでに検索もされていて、引っかかる可能性の高いプラットフォームで発信する方が、フォロワーを集めるよりも手っ取り早いですね。

永山:

そうですね。これらが、「効果が高い」とよく言われている理由だと思います。

さらに関連のあるキーワードを投稿機能などを用いて発信し、うまく紐付けることで、そこから先の集客展開も期待できます。

しかもGoogleマイビジネスにはインサイト機能(アクセス解析機能)があり、これが非常にわかりやすく、初心者にも参考にしやすく、使いやすくなっています。

「どれくらいお店が検索されているか」
「どれくらいルート検索されているか」
「どれくらい電話がかけられているか」

などを知ることができます。

さまざまな店舗運営に役に立つ情報や、更なる集客の戦略を考える基礎情報になり、さらにその施策効果の実証もできるという、非常に使える機能を備えているんです。

<ポイント>

  1. Googleマップの情報はすでに多くの人が閲覧していて影響が大きい。登録、管理しないのは危険!&もったいない!
  2. 無料で使えるし、参考になる情報も得られる。

Googleマイビジネスのメリット・デメリットを把握しよう

ここまで、Googleマイビジネスの概要と効果について永山氏にお聞きしました。

ここから本題として、Googleマイビジネスを「店舗のオーナー」「チェーンビジネス」「自治体・DMO担当者」それぞれの立場で活用する場合、どのようなメリット・デメリットがあるのかについて解説いただきます!

一般的な店舗のオーナーがGoogleマイビジネスを活用するメリット・デメリット

ーーまず単独もしくは数店舗規模の店舗オーナーの場合、Googleマイビジネスを活用するメリット・デメリットはどういったものがあるのでしょうか?

永山:

大前提として、店舗のオーナーさんであればインターネットにおける現状を鑑みるに、「Googleマイビジネスをやらない手はない」といえます。

メリットは先述の通りたくさんあり、無料で使えてシステムの導入費や改修費がかからない、多くの人に見られているため影響力が大きい、そして効果が早い段階で期待できるといった点が挙げられます。

一方デメリットは、基本的にありません。

ーーデメリットがないというのは意外です。インターネット上では

「Googleマイビジネスに登録するとユーザーが口コミを投稿できるようになるため、評価の低い口コミや誹謗中傷が入ってきてしまう」

という点がデメリットとして挙げられることがあるのですが、これはデメリットではないのでしょうか?

永山:

強いて言うなら、まだ情報がGoogle上に登録されていない、特に表に看板も設置していない会社などの場合、登録することで口コミが投稿できる場所を作ることになります。悪評が入る可能性があるため、この要因を作ってしまうというデメリット的な見方はできます。

ただ、飲食店や小売店なども含めた、ほとんどの店舗や施設は、このデメリットは気にしなくてかまいません。

何故なら、多分営業を続けていると、いつかはオーナーの意図とは関係なく、店舗や施設の情報が作られてしまうからです。

Googleやユーザーの情報を基に地点情報が作られてしまうので、営業しているのに情報が存在しない状況はほぼありません。それこそ看板も何もないような店構えでネットにも情報が無いようなお店で無い限り。

店舗情報が存在していれば、オーナーがGoogleマイビジネスに登録している有無とは関係なくお客さまからの口コミは投稿することができてしまいますから、先ほど挙げられていたデメリットというのは現実的にはなくなります。むしろ、Googleマイビジネスを使って口コミを監視・管理していく方が健全ですね。

ーーなるほど。たいていのビジネスではすでに情報が掲載されていて、口コミも投稿できてしまうから、新たに悪評が入りやすくなるというデメリット自体がほとんどの場合、存在しないということですね。

永山:

そうですね。

あとはデメリットとして、これも強いて言えばGoogleマイビジネスを知らない人にとっては「使い方を覚えないといけない」、アルバイトを雇っておらずオーナー1人で回している店舗にとっては「時間が足りない」といった問題はあります。

元々の予備知識がどれくらいあるかにもよりますね。たとえばスマートフォンを全く触ったことがない人は、Googleマイビジネスの操作がさすがにカンタンとはいえ、最初は難しく感じるかもしれません。

ーーそれだとマイビジネスのために携帯の使い方から覚えることになりますもんね…。

永山:

ただ、これらはデメリットというより「ハードル」といった方が正しいかもしれませんね。

スマートフォンも、定期的に使っていれば少しずつ使えるようになっていくものです。

ぜひこれを機会にチャレンジしてみてください。

いちばん最初に取り組むとするなら、ホームページとかを作って管理!みたいな事より、よっぽどカンタンに取り組み始められます。

<ポイント>

  1. 店舗オーナーがGoogleマイビジネスをやらない手はない!
  2. Googleマイビジネスに登録することで、新たに悪評が入りやすくなるというデメリットもほとんどの場合は当てはまらない
  3. 予備知識によってはある程度のハードルはあるものの、他のサービスと比べても導入しやすい。

まとめ

今回は「業種別Googleマイビジネス対策講座vol.1」前編として、Googleマイビジネスの概要や有用性、一般的な店舗のオーナーがGoogleマイビジネスを活用するメリット・デメリットについて、永山氏に語っていただきました。

<業種別Googleマイビジネス対策講座vol.1 前編のまとめ>

  1. Googleマイビジネスは無料で使えてシステムの導入費や改修費がかからない。
  2. Google検索やGoogleマップで表示される施設情報は閲覧機会も多く影響力が大きいため、効果が早い段階で期待できる。
  3. 一般の店舗オーナーは1, 2のメリットを享受でき、デメリットは特に無いが、最低限、PCやスマホ操作の知識と編集や情報発信作業を行う時間が必要。

プロフィール

永山卓也(ながやまたくや)- Googleマイビジネス プラチナプロダクトエキスパート

永山卓也
▲Googleマイビジネス プラチナプロダクトエキスパート 永山卓也氏

ローカルビジネスコンサルティング、店舗マネジメント業を行い、 デジタル、アナログ両面で小売・飲食・宿泊業、観光業に豊富な経験。

各都道府県の地方自治体、地域団体などを中心にセミナー、講演実績多数。観光庁 インバウンドの地方誘客促進のための専門家。

Googleマイビジネス プラチナプロダクトエキスパート。Google Maps, Google広告プロダクトエキスパート。東京観光財団 観光おもてなしアドバイザー。

株式会社movが運営するお客様の声のDXサービス「口コミコム」テクニカルアドバイザー&インバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」アドバイザー。

この記事を書いた「口コミラボ」さんについて

「口コミラボ」は、様々な地図アプリ・口コミサイトの監視、運用、分析を一括管理できる店舗向けDXソリューション「口コミコム」が運営する店舗ビジネス向け総合メディアです。近年、企業の評判管理が重要視されるなか、特に注視すべきGoogleマイビジネスを活用したローカルSEO(MEO)や口コミマーケティング、それらを活用した集客事例から、マーケティング全般、店舗経営のハウツー、業界動向データにいたるまで幅広い情報を紹介します。

口コミラボ
口コミラボ

佐川急便と日本郵便が協業。物流サービス、輸送・集配ネットワーク、システム、ノウハウを共同活用

4 years 3ヶ月 ago

佐川急便と日本郵便は9月10日、物流サービスの共創に向けた両社の事業成長を目的とした協業に関して基本合意を締結したと発表した。

具体的な協業領域は次の通り。

  • 相互の物流サービス、輸送・集配ネットワーク、システムおよびノウハウの共同活用
  • 両社が保有するシステム基盤の連携をもとに、テクノロジーを活用した新たな価値を創造
  • 両社によるイノベーションを推進し、健全で持続可能な脱炭素社会の実現に貢献

協業内容はまず、小型宅配便荷物の輸送(2021年11月以降、準備ができ次第)を実施する。日本郵便が扱っているポスト投函型の小型宅配便「ゆうパケット」を活用したサービスを、佐川急便で取り扱う。佐川急便が顧客から預かった荷物を日本郵便の配送網で届ける。

国際荷物輸送(2021年10月以降準備ができ次第)の協業も進める。日本郵便が扱う世界120以上の国・地域へ届ける国際郵便サービス「EMS」を活用したサービスを佐川急便で取り扱う。佐川急便が顧客から預かった荷物を「EMS」の配送網で届ける。

クール宅配便(2022年1月以降準備ができ次第)でも協業する。日本郵便が提供する「ゆうパック」の保冷品配送サービスの一部を佐川急便で取り扱う。佐川急便は1999年の「飛脚クール便」開始以降、高品質の冷蔵・冷凍輸送サービスを展開しており、日本郵便の「ゆうパック」を利用している顧客にも同品質のサービスを提供する。

今後は、佐川急便と日本郵便のシナジーを最大限に発揮するためワーキングチームを組成。顧客の利便性を高めるサービスを開発し、インフラの構築に向けての協議を開始する。

さらに、両社のリソースを活用し、宅配便の共同配送や拠点間輸送で荷物を積み合わせる幹線輸送の共同運行といった効率的な協業方法を検討する。

佐川急便と日本郵便は今後も持続可能な社会の実現に向け、オープンな環境でさまざまな社会課題を解決できるよう、幅広い企業との協業も視野に入れる。新たなソリューション開発に積極的に取り組むとしている。

石居 岳
石居 岳

アマゾンとオラクルの中国市場撤退の事例に学ぶ、グローバル企業が中国で勝ち抜く方法 | 中国の最新買い物事情~トランスコスモスチャイナからの現地レポート~

4 years 3ヶ月 ago
アマゾンやオラクルが中国市場に参入するも、2019年に一部事業の撤退や人員削減などが起こりました。当時何が起こったのかを振り返ります。

中国IT業界に激震が走った2つの大きな出来事が起きたのは2019年。1つ目はアマゾンが中国国内でのネット通販事業(マーケットプレイス)を7月18日に停止したこと。2つ目は、オラクル中国が約900人のリストラ計画を発表したことです。

Amazon(アマゾン)とオラクルは、中国市場での長年の苦戦を経て最終的に中国現地企業のBAT(「百度(バイドゥ)」「阿里巴巴(アリババ)」「騰訊(テンセント)」)に敗れ、撤退しました。世界の大手IT企業に当時何が起こったのかを振り返ります。

アマゾンが中国市場でのマーケットプレイス事業を停止

アマゾンは2019年7月18日に中国国内でのネット通販事業を終了しました。ただ、越境ECサイト「Amazon海外購」、海外販売サービス「Amazon global selling」、「Kindle」「Amazon Web Services」は現在も継続しています。

アマゾンは、書籍や音楽、おもちゃなどを販売する中国企業「卓越網(Joyo.com)」を7500万ドル(約84億円)で買収し、2004年に中国市場へ正式参入。2008年に中国EC市場におけるシェアは15%にまで到達しました。

しかし、阿里巴巴や京東(JD.COM)を筆頭とした中国EC市場の成長と競争激化に伴い、アマゾンの市場シェアは年々減少傾向にありました。「中国ネット小売市場データモニタリング報告」によると、B2Cネット通販市場におけるアマゾンの市場シェア率は2012年第1四半期の2.3%から、2019年第1四半期には0.5%まで低下しました。

中国EC トランスコスモス 中国ネット通販市場規模およびAmazonのB2Cネット通販市場の占有率
中国ネット通販市場規模およびAmazonのB2Cネット通販市場の占有率
(「中国ネット年間トラフィック報告」、「中国インターネット年度トラフィック報告」のデータを基にトランスコスモスチャイナ作成)
中国EC トランスコスモス 2019年Q1中国ネット通販B2C市場シェア
2019年第1四半期における中国ネット通販市場シェア
(出典:Analysys「中国ネット通販B2C市場四半期のモニタリング報告2019年第1四半期」)

「消費者ニーズを捉えられない」「低価格競争未参入」が敗因に

アマゾンが中国市場で敗北した要因の1つは、中国市場や文化の認識不足により中国人消費者のニーズを的確に捉えられなかったことです。

京東(JD.COM)の劉強東CEOは、「アマゾンとの競合時に最も感じたことは、アマゾンが中国チームに信頼を置いていないということ」だと述べました。中国の意思決定権はアメリカ本社に委ねられていたため、中国市場の急激な変化についていけなかったと指摘しました。

2012年以降、中国EC市場では低価格競争が激化。京東(JD.COM)、蘇寧(Suning)、国美(Gome)、当当網(Dangdang)などのECプラットフォームは次々と価格競争を繰り広げました。

それに対し、アマゾン中国は高品質な商品やサービス、つまり、商品購入から購入後の体験までの総合的価値で顧客から信頼を得ることを追求し、中国市場の低価格競争には参入しませんでした。

また、2014年から中国越境EC市場は急成長を遂げ、Tmall国際、網易コアラ、聚美優品(jumei.com)は次々と膨大な資金で越境ECを展開。一方、アマゾン中国は低価格競争には参入せず、最終的に中国EC市場における状況がますます厳しくなったのです。

IT大手オラクル(Oracle)の撤退

データベース管理システムで有名なオラクルは1989年、中国市場に進出。中国での市場シェアは最大で56%に達し、長期にわたって中国市場をほぼ独占していました。

ところが現在、オラクルは中国各地のR&Dセンターを閉鎖、クラウドコンピューティングの発展チャンスを見逃し、急成長を続ける中国市場に追いつけない状態になりました。

オラクルの創業者であるラリー・エリソンは、2008年にクラウドコンピューティングを批判しました。一方、アリババグループは2009年にクラウドコンピューティングサービス「Alibaba Cloud(アリババクラウド)」を立ち上げ、「脱IOE(IBM、オラクル、EMC)」を構想したのです。

「脱IOE」とは、アリババのITフレーム構造からIBM小型機、オラクルデータベース、EMCメモリー装置を除去し、オープンソースソフトウエアを基に独自開発したシステムを活用することです。

中国の主要ECキャンペーン需要に対応できず

オラクルはデータベース事業を維持するため、2013年にビッグデータ専用マシン「Oracle Big Data Appliance」を発表しました。しかし、Tmallの「W11(ダブルイレブン)」や京東の「618商戦」といったECキャンペーンの需要に柔軟に対応できなかったり、トランザクションを処理できなかったりしました。

また、オラクルは2016年に企業向けクラウドサービスであるOCI(Oracle Cloud Infrastructure)の2世代目をリリースするも、あまり良い効果を得られませんでした。

2018年から「脱IOE」は中国IT業界の潮流となり、10年間で企業のクラウド使用意欲は3%から84%までに上がりました。「テンセントクラウド(Tencent Cloud)」、「アリババクラウド」「バイドゥクラウド(Baidu Cloud)」といった、クラウドコンピューティングやクラウドストレージなどのテクノロジーが急成長を遂げるなか、オラクルの市場シェアは年々縮小し、大幅な人員削減を余儀なくされました。

2018年には世界クラウドサービスプロバイダーのトップ3はアマゾン、マイクロソフト、アリババとなったのです。

中国EC トランスコスモス 2016年~2018年のクラウドサービスの売上ランキング
2016年~2018年のクラウドサービスプロバイダー売上ランキング
(出典:2019 Gartner,The Future of the DBMS Market is Cloud)

2019年までの「アリババクラウド」の売り上げは247億元(1元15.3円換算で、約3,779億1000万円)で、アジア太平洋市場で1位、世界市場で3位にランクインしました。一方、オラクルはすでにデータベース管理システム市場の上位3位から脱落しています。

中国EC トランスコスモス アリババクラウドの年間売上推移
「アリババクラウド」の売り上げ年間推移
(出典:データアリババ決算報告書、画像:China Webmaster)

「アリババクラウド」は2020年4月に、今後3年間でクラウド事業に2000億元(約3兆円)を投資する計画を明らかにしました。サーバー、チップ、ネットワーク、OSなどインフラ開発と次世代データセンターの構築に注力する、これは「アリババクラウド」のデータセンターとサーバーの規模が3倍に拡大することを意味しています。

2023年までに、世界のデータベースの4分の3がクラウド上で稼働し、アマゾン、マイクロソフト、アリババクラウドの市場シェアは合計で69.7%に到達。クラウドコンピューティング市場は寡占市場となっていくことが予測されています

アマゾンとオラクルの事例が示す、中国市場での敗北要因

アマゾンやオラクルなどの外資系企業が中国市場で敗北した事例から、外資系企業が中国市場で勝つためには次の3点に注意すべきだと考えられます。

1つ目は、外資系企業のグローバル経営管理モデルと他国の成功事例を中国市場に直接応用できないこと。アマゾン本社から幹部層派遣という管理モデルは会社の現地化を妨げる要素となりました。外資系企業は、中国市場において現地の状況に応じた柔軟な経営モデルと権限委譲を適用し、中国消費者のニーズを的確に把握して、ローカル市場とともに成長することが必要です。

2つ目は、グローバル企業は中国市場における自社の位置付けを的確に行い、リソースの活用と製品の差別化で競争優位性を獲得する必要があること。ユーザーが注目したパーソナライズド製品、サービス、ソリューションを提供し、継続してアップグレードを行い、競合他社の模倣を防ぎます。

たとえば、BMWは中国人幹部層が87%を占め、中国独自開発の製品を世界で販売しています。3Mは「in country、for country」という信条に従い、地元企業を超えた柔軟性と革新性を備えています。

3つ目は、グローバル企業は先見力とイノベーション力を持ち、市場環境の変化および自社商品・サービスが置き換えられる危険を敏感に察知し、市場動向に合わせてリアルタイムに戦略を調整する能力が不可欠であること。オラクルを撤退に追い込んだのは、従来の競合ではなくオラクルの顧客企業だったアリババです。

アマゾンとオラクルは中国市場で敗北しましたが、中国IT業界との競争が終わったわけではありません。ここ数年、アリババをはじめとした中国大手IT企業はグローバル市場に進出し続け、アマゾンやオラクルとグローバル市場で再度競争しあうでしょう。

現地化戦略が好調なスターバックス

中国内で成功している外資系企業として、スターバックスがあげられます。何千年にもわたる深い茶文化を持つ中国において、シアトル発のスターバックスは新興市場の開拓やコーヒー需要の増加に成功しました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年の中国飲食業は収入が前年比16.6%減となりました。しかし、2020年末時点でスターバックスは中国国内に581店舗(うち第4四半期は259店舗)をオープンし、業績は好調に推移しています。

中国EC トランスコスモス 中国におけるスターバックス店舗数
中国におけるスターバックスの店舗数推移
(「前瞻産業研究院」のデータを元にトランスコスチャイナが制作)

スターバックスが中国で成功している理由は、現地化戦略が優れていることです。中国市場に進出した当初、スターバックスは飲食大手の「香港美心(マキシム)」や食品会社「統一」などの現地パートナー企業と業務提携することで中国現地の文化を深く知り、参入障壁を克服したのです。

2017年にパートナー企業とのフランチャイズを解約して、直営店をスタート。また、産業チェーンについては、サプライヤーのNestle社を蒙牛乳業(もうぎゅうにゅうぎょう)社に変更したり、雲南省にコーヒーの栽培基地を設立したりして、現地化戦略を行いました。中国文化を尊重した上で、商品の研究・開発を行い、中国人消費者の好みに合わせた運営に取り組んでいます

スターバックスが提供する心地良い「第三の場所(サードプレイス)」や親切なスタッフにより、新しい顧客体験が生み出され、顧客ロイヤリティはさらに強化されました。2020年末時点で、スターバックス公式サイトのアクティブメンバーは1350万人に達しました。

中国市場のネット通販やデリバリーの発展状況に合わせるために、スターバックスはアリババと協力し「ニューリテール」事業を推進しており、2020年度第4四半期には、デジタル事業による売上高が総売上の26%超を占めました。オフラインではパン工房の開設で他社との差別化を図っています。

20年以上にわたる努力の結果、スターバックス中国は市場への深い理解と消費者インサイトに基づき、製品とサービスの高級化を続けて、より良い顧客体験を提供しています。一方で、市場環境の変化に応じて戦略を見直し、常にイノベーションを創出しています。

こうしたスターバックスの取り組みは、中国市場への進出を検討している外資系企業の参考になるのではないでしょうか。

海外向けECビジネスを実施・検討中企業は必見! 30か国のECデータをまとめた『海外ECハンドブック2020』

インプレスでは海外EC市場への進出を検討、進出済み企業などに向けて、世界30の国・地域のECデータを1冊の書籍にまとめた『海外ECハンドブック2020』(著者はトランスコスモス)を発刊。「世界のEC市場規模予測」「地域別EC市場データ」「越境EC市場規模およびEC利用者の推移」「EC市場データランキング」などを詳しくまとめています。

『海外ECハンドブック』は、グローバルECにおいて豊富な経験を持つトランスコスモスが、世界30の国と地域におけるECの現状と将来展望について、最新データを集約・整理した一冊
『海外ECハンドブック』は、グローバルECにおいて豊富な経験を持つトランスコスモスが、世界30の国と地域におけるECの現状と将来展望について、最新データを集約・整理した一冊

[主要30の国・地域のEC市場概況]

  • 世界のEC市場規模予測
  • 地域別EC市場データ
  • 30の国・地域のEC市場ポテンシャル
  • 越境EC市場規模およびEC利用者の推移
  • 越境ECの地域別利用状況
  • アジア10都市EC利用動向調査
  • EC市場データランキング(TOP10)
  • 各国のEC市場環境比較表2019年
    などを掲載。アジア太平洋、北米、中南米、欧州、中東・アフリカなど、主要30の国・地域について、各国のEC市場環境比較表などを掲載しています。
    https://www.amazon.co.jp/dp/4295010766/
トランスコスモスチャイナ(transcosmos China)
顧黛(Jo Gu)
トランスコスモスチャイナ(transcosmos China), 顧黛(Jo Gu)

配送トラブルはどう防ぐ?住所入力ミスの防止策は「目視チェック」が57%、自動化ツール導入企業は約8%のみ

4 years 3ヶ月 ago

地図情報配信サービスのインクリメントPが、EC・通販・D2C事業の従事者を対象に実施した住所の入力ミスによる誤配や遅配などの配送トラブルに関する調査によると、73.6%の事業者が住所の入力ミスを原因とする誤配・遅配の経験があり、63.8%の事業者で定期的に発生している。

インクリメントPが、EC・通販・D2C事業の従事者を対象に実施した住所の入力ミスによる誤配や遅配などの配送トラブルに関する調査 EC・通販・D2C事業の配送トラブル調査
EC・通販・D2C事業の配送トラブル調査

住所入力ミスの確認方法トップ3は「人為的な確認作業」(60.0%)「目視チェック」(58.8%)「手作業による確認ツールの活用」(37.5%)と、手作業の確認が大半を占めている。

インクリメントPが、EC・通販・D2C事業の従事者を対象に実施した住所の入力ミスによる誤配や遅配などの配送トラブルに関する調査 住所の入力ミスによる誤配や遅配などの防止策
住所の入力ミスによる誤配や遅配などの防止策

住所入力ミスによる誤配や遅配がないとした回答者のうち、57.1%は「目視チェック」、24.7%が「人為的な確認作業」といった人頼みの確認作業を行っている。自動化されたツールを使っているのは1割にも満たない7.8%。

インクリメントPが、EC・通販・D2C事業の従事者を対象に実施した住所の入力ミスによる誤配や遅配などの配送トラブルに関する調査 住所入力ミスによる誤配や遅配がないとした回答者の防止策
住所入力ミスによる誤配や遅配がないとした回答者の防止策

住所入力ミスによる事業への影響に関して、発生する原因のトップは「ユーザーの入力ミス」が59.6%。2位は「ユーザー入力時の表記揺れ」で51.2%。「EC事業者の住所確認、または注文処理時のミス」が47.9%など、確認時によるミスが目立っている。

インクリメントPが、EC・通販・D2C事業の従事者を対象に実施した住所の入力ミスによる誤配や遅配などの配送トラブルに関する調査 住所入力ミスが発生する原因
住所入力ミスが発生する原因

住所入力ミスによる最も大きかった影響は「再送などによる配送コスト増加」で55.8%。「残業増加など、人件費の内部コスト増」の51.7%、「カスタマーサポートへの問い合わせ対応増」が53.3%と続いている。

インクリメントPが、EC・通販・D2C事業の従事者を対象に実施した住所の入力ミスによる誤配や遅配などの配送トラブルに関する調査 住所入力ミスによる事業への影響
住所入力ミスによる事業への影響

住所入力ミスによるコストへの影響と改善の意識に関しては、事業者の17.0%が「入力ミスによるコスト増が経営を圧迫している」と回答。38.4%が「入力ミスによるコスト負担が大きいため見直しの優先順位が高い」と答えている。

インクリメントPが、EC・通販・D2C事業の従事者を対象に実施した住所の入力ミスによる誤配や遅配などの配送トラブルに関する調査 住所入力ミスによるコストへの影響と改善への意識
住所入力ミスによるコストへの影響と改善への意識

調査概要

  • 調査対象:インターネットリサーチモニター、年齢は20歳~65歳、性別は男女、居住地は全国
  • 調査期間:2021年8月3日~5日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 有効回答数:事前調査は1万5403件、本調査は330件
石居 岳
石居 岳

しまむらがベビー・子ども用品ブランド開始/「楽天EXPO 2021」三木谷社長講演要旨【ネッ担アクセスランキング】 | 週間人気記事ランキング

4 years 3ヶ月 ago
2021年9月3日~9日にアクセス数の多かった記事のランキングを発表! 見逃している人気記事はありませんか?
  1. しまむらがベビー・子供用品ブランド「バースデイ」のECサイトをオープン

    しまむらの2021年2月期のEC売上高は約17億円。2022年2月期は50億円を目標に掲げる

    2021/9/7
  2. 「10兆円の国内EC流通総額を2030年までに」。楽天・三木谷社長が語ったコロナ禍の振り返り2021年「楽天EXPO」【講演要旨】

    三木谷浩史会長兼社長が国内EC流通総額の成長要因にあげたのは、モバイルとのシナジー、送料込みライン、配送の効率化、ポイント利用の一層拡大

    2021/9/3
  3. 激戦区! 健康食品・化粧品ジャンルのECサイト100の表示スピードと「コアウェブバイタル」対応調査

    『通販新聞』が発表した「19年度健康食品通販売上高ランキング」「19年度化粧品通販売上高ランキング」それぞれに掲載されている上位50サイト、合計100サイトのUXと「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」対応を調査

    2021/9/8
  4. コロナ禍で通販事業の売上3.45倍の435億円に拡大したファーマフーズが急成長のワケ

    通信販売事業の売上高は同245.7%増の435億2400万円、セグメント利益は同872.3%増の55億7500万円。テレビとインターネットを中心に想定よりも高い率で新規顧客を獲得し、年間の広告宣伝費を増額した

    2021/9/7
  5. DX人材はどう育てる? アスクルが始めた人材育成の独自研修プログラム「ASKUL DX ACADEMY」とは

    「アスクルDXアカデミー」は、データやテクノロジーを使いこなせる人材を育成するカリキュラム

    2021/9/8
  6. EC未経験での転職が出発点。Eコマース先生・川添氏が振り返る通販キャリア【私はこうしてECを学んだ】

    EC業界の第一線で活躍する人々がどのようにノウハウや実績を積んできたかを解き明かす連載第1回は、今後の連載インタビューアーとなるEコマース先生「川添隆」氏です【前編】

    2021/9/6
  7. 売上高150億円、経常利益率9.5%、ウェルネス&ライフサポート企業をめざすティーライフの中期経営計画とは

    ティーライフの2021年3月期連結業績は、売上高が前期比10.8%増の117億1900万円、営業利益は同81.7%増の9億100万円、経常利益は同75.8%増の9億2400万円、当期純利益は同67.4%増となる7億400万円

    2021/9/6
  8. Googleが始めた越境EC支援の「マーケットファインダー」とは?準備状況の数値化&ビジネスチャンスのある国をランキング表示

    Googleの「マーケットファインダー」日本版サービスでは、「海外販売の準備状況のスコアを算出する機能」「新しく進出するべき海外市場の発見をサポートする機能」を搭載

    2021/9/7
  9. “継続”がキーワードの牧場D2C事例。転機は「食べられる名刺」【ネッ担まとめ】

    ネットショップ担当者が読んでおくべき2021年8月30日〜9月5日のニュース

    2021/9/7
  10. ストライプインターナショナルのECサイト「STRIPE CLUB」、「STAFF START」を通じブログ記事が作成・投稿できる機能を導入

    バニッシュ・スタンダードが運営する「STAFF START」の一機能である「まとめ機能」を、ストライプインターナショナルの公式ECサイト「STRIPE CLUB」に導入した

    2021/9/3

    ※期間内のPV数によるランキングです。一部のまとめ記事や殿堂入り記事はランキング集計から除外されています。

    内山 美枝子

    【EC構築ソリューション市場2020年度】市場規模は199億円、占有率でecbeingが13年連続シェア1位

    4 years 3ヶ月 ago

    ECサイト構築システム「ecbeing」のecbeingは、2020年度に国内ECサイト構築実績が1400サイトを突破し、富士キメラ総研が発行する『富士マーケティング・レポートECサイト構築パッケージソリューション市場占有率調査』で13年連続シェア1位を獲得したと発表した。

    『富士マーケティング・レポートECサイト構築パッケージソリューション市場占有率調査』では、ECサイト構築ソリューションの市場規模なども公表している。

    2020年度のECサイト構築ソリューション市場規模は199億円

    富士キメラ総研の調査によると、2020年度のECサイト構築ソリューション市場規模は199億円。5年後の2025年には291億円に拡大すると予測している。

    ecbeing 2020年度のECサイト構築ソリューション市場規模 富士キメラ総研
    2020年度のECサイト構築ソリューション市場規模

    コロナ禍の影響が長期化し、収束の目処が立っていないため、ステイホームによる巣ごもり需要が継続すると予想される。このような状況下、EC事業を強化する企業は多いと見られ、新規企業による導入、既存企業によるアップセル需要が見込まれることから、今後も市場は拡大するとしている。

    ECサイト構築ソリューション市場で13年連続シェア1位に

    ecbeingは2020年度に国内ECサイト構築実績1400サイトを突破し、シェアは40.7%。ECサイト構築着工件数は2019年度比で162.7%で、1999年のecbeing販売開始以来、過去最高件数を記録した。

    ecbeing 2020年度のECサイト構築パッケージソリューション市場占有率
    2020年度のECサイト構築パッケージソリューション市場占有率

    2020年度にecbeingが構築着工したなかで大きく伸びた業界は「医療品・化粧品」「日用品」「食品」。2019年度比で、「医療品・化粧品」は3倍以上、「日用品」は2倍以上となった。

    ecbeing EC構築着工件数の業界別比率
    ecbeingでのEC構築着工件数の業界別比率

    BtoBにおけるECサイト構築件数も過去最高件数を記録

    ECでの取扱商材にBtoB(企業間取引)商材を含めると、BtoBは「医療品・化粧品」「日用品」に次いで伸び率が高く、過去最高の着工件数となった。

    ecbeing BtoB含む全体のEC構築着工件数の業界別比率
    ecbeingでのEC構築着工件数の業界別比率(BtoB含む全体)

    企業間取引ではテレワーク推進に伴う営業担当者間の訪問による販売が減少。オンライン商談が増加したことをきっかけに、注文手続きをオンライン化(EC化)を推進する企業が増えたことが影響しているという。

    藤田遥
    藤田遥

    PayPalが3000億円で買収した日本発の後払い決済「Paidy」とは

    4 years 3ヶ月 ago

    PayPal(ペイパル)は9月7日、後払い決済「Paidy(ペイディー)」を提供するPaidyの全株式を取得すると発表した。買収価格は3000億円(約27億米ドル)。

    Paidy買収後も、「ペイディ」ブランドは現在のビジネスを継続。ペイパルの専門知識、リソースを活用し、国内決済市場でPaidyの機能やサービスを拡充し存在感をさらに高めていくとしている。

    ペイパルの日本事業統括責任者ピーター・ケネバンは買収について次のように説明する。

    「Paidy」は日本市場に合わせた後払いサービスをいち早く開発し、消費者と加盟店双方に規模の大きな決済プラットフォームを提供することで業界をリードし、急速に成長してきた。「Paidy」のブランド力、機能、優秀な人材とペイパルがオンライン決済の分野でこれまで培ってきた専門知識、リソース、グローバル展開を組み合わせることで、私どもにとって戦略的に重要な市場である日本でのビジネス展開をさらに加速させるために強力な基盤を構築することができる。

    ペイパルによると、買収は規制当局の承認の取得など通常の取引完了条件に伴い、2021年第4四半期(2021年10-12月)に完了する予定

    Amazonも利用する「Paidy」

    「Paidy」は2014年10月にサービスをスタート。「Amazon」「Qoo10」といったECモール、大手EC事業者から中小店舗まで70万店以上の加盟店が利用する。現在のアカウント数は600万以上。

    複数店舗でのオンラインショッピングの1か月分の代金を、翌月にまとめてコンビニなどで一括払い、もしくは3回に分けて分割払いできる仕組みを提供している。

    ECサイトで買い物をする際、カートに商品を入れてから決済手段として「Paidy翌月払い」を選択し、メールアドレスと電話番号でログイン。即座に利用審査が行われ、SMSでユーザーに認証コードを発行し、ユーザーはそのコードを入力すると決済が完了する。決済時の画面移動が少ないため、カゴ落ち防止、クレジットカードを持っていないユーザーを顧客として取り込めるといった効果があるとされている。

    2021年4月、デジタルウォレットの支払い方法として「Paidy」を選べる「Paidy プラス」(本人確認と予算設定を実装した「Paidy」の新たな機能)の新機能「どこでもペイディ」の提供を開始。PayPalと連携し、ペイパル決済が可能な世界3100万の加盟店で「Paidy」による支払いが可能になった。

    7月にはアプリ「ペイディアプリ」をリニューアル。Visaオンライン加盟店から欲しいアイテムを検索・発見、支払いに「ペイディ」の「翌月あと払い」「3回あと払い」を利用できるようにした。

    リニューアルは、決済サービスを超え消費者に不可欠な「お買い物のプラットフォーム」になるための取り組みとしている。

    「ペイディアプリ」について
    「ペイディアプリ」について(PaidyのWebサイトから編集部がキャプチャ)

    決算公告によると、Paidyの2020年12月期における当期純損失は54億8200万円。利益剰余金は60億9900万円のマイナス。

    Paidyの2020年12月期の決算公告
    2020年12月期の決算公告(IR資料から編集部がキャプチャ)

     

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    しまむらのECサイトの決済に「PayPay」導入、グループ約2140店舗での商品受け取りに対応

    4 years 3ヶ月 ago

    しまむらは9月8日、「しまむらオンラインストア」「バースデイオンラインストア」の決済手段としてコード決済「PayPay」を導入した。

    また、各ECサイトで販売している商品をグループ各店舗で受け取れるようにした。

    ECサイトの事前決済はこれまで、クレジットカード払い(1回払いのみ)のみでだった。「PayPay」の利用はPayPay残高での支払いとなる。

    グループ各店舗での商品受け取りは「ディバロ」を除いて対応する。2021年2月末でしまむらは1430店舗、アベイルは315店舗、バースデイは298店舗、シャンブルは95店舗を展開している。

    「しまむらオンラインストア」「バースデイオンラインストア」で購入した商品は、全国約2140店舗のしまむらグループ各店舗で受け取りができるようになる。

    しまむらの2021年2月期のEC売上高は約17億円。「しまむらオンラインストア」の商品受取方法は店舗受け取りが約9割、自宅配送が約1割。「当初の想定よりも高く、オンラインストアと実店舗との相互送客に大きな効果を発揮している」(しまむら)と言う。

    瀧川 正実
    瀧川 正実

    コロナ禍後のECビジネス拡大のカギとなるのが「商品マスタ管理」の理由 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

    4 years 3ヶ月 ago
    商品マスタ管理を改善することで、業務の短縮、レスポンスの向上、顧客満足度の向上など、eコマースビジネスの価値を最大限に高めることができ、ビジネスの必要に応じて迅速にスケールアップすることができるでしょう

    eコマースの商品マスタ管理には、バックエンドとフロントエンドの両方の技術的な対応が含まれるため、短期的に考えるべきではありません。

    革新が進む小売業界、変化対応のカギを握るのが「商品マスタ管理」

    コロナウイルスが産業界のストレステスト(編注:ストレス事象を想定し、シナリオに基づいてあらかじめ影響や損失を評価するリスク評価手法)だとしたら、最も大きな打撃を受けたのは小売業界と言えるでしょう。

    しかし、店舗の閉鎖や従業員の一時解雇の瀬戸際まで追い込まれたにもかかわらず、小売業界はなんとか持ちこたえました。オンライン販売が急増したことは、小売企業がビジネスモデルを変革し、新しいエンゲージメントチャネルを活用したことを証明しています。近い将来、また新たなトレンドを生み出すことになるでしょう。

    コロナ禍で、eコマースの成長は4~6年加速しました。オンライン通販を進める小売企業は今、驚異的な成長に向かっています。

    コロナ禍が収束した後、急成長を遂げたEC事業者は、取引方法や顧客とのエンゲージメント方法の再構築を迫られることになるでしょう。商品の販売、配送、返品、そして全体的なカスタマー・エクスペリエンス(特に非接触の場合)において、さらなる革新が急伸。従来通りの戦略は通用しなくなっていくでしょう

    消費者の行動は、以前よりも、社会で起きる出来事やコンテクストによって変化しています。

    ニューノーマルに備える

    ある調査によると、全消費者の42%のショッピング方法が、コロナウイルスによって根本的に変わると答えています。消費者の変化が大きいため、過去のデータに基づく従来の市場セグメンテーション、顧客プロファイリングの手法はすでに時代遅れになっています

    たとえば、コロナ禍では、消費者の買い物回数は減ったものの、よりお金を使うようになりました。また、オンラインで注文した商品を返品しなくて済むよう、商品確認を念入りにする消費者が増えました。さらに、一部の人が“ニューアブノーマル”と呼ぶ、BOPIS(オンラインで購入後、店頭でピックアップ)の利用が195%増加しています。

    消費者の今のニーズを追跡し、予測、対応することで、この変化の波に乗り遅れない小売事業者が勝者となるでしょう。

    このような変化のなかで、商品マスタの管理はこれまで以上に重要な役割を果たしています。商品マスタ管理は、ライフサイクルをエンドツーエンドで把握できるだけでなく、消費者の要求に即座に応えるための微調整も可能にします。

    正確で最新の商品説明があれば、消費者が最初から正しい商品を購入することができ、商品の交換や返品を減らすことができます。さらに、Amazon、Walmart、Alibabaなどのマーケットプレイスで商品を販売している小売事業者は、マーケットプレイスで義務付けられている商品説明や仕様のデータ化、データの標準化にも気を配る必要があります

    この作業には、タグ付けのやり直しやメタデータの再考が必要になるかもしれません。これらのプロセスを自動化できれば、市場投入までの時間を短縮し、より多くの販売機会を得ることができます。商品マスタ管理は、小売事業者のコロナ禍後のeコマース戦略において、ビジネスに不可欠な要素として考慮されるべきです。

    コロナ禍後のeコマースに合わせた商品マスタ管理

    コロナ禍後の世界で成功するためには、商品マスタ管理を最優先し、効率化することが鍵となる理由を解説します。

    透明性を確保し、消費者との信頼を築く

    コロナ禍の影響で、オンライン通販に否定的だった人も、オンラインショッピングをするようになりました。オンライン通販利用者の5人に1人が、コロナ禍以前はオンラインショッピングを検討していなかったと答えています。

    この傾向は、Amazon、Walmart、Alibabaなどのeコマースプラットフォームの信頼性と透明性が影響しているとも言えます。

    小売企業は、正確な商品説明を提供し、オンライン購入を検討する際に消費者が抱く可能性のある疑問に対応する必要があります。確固とした商品マスタ管理戦略で、掲載商品情報の正確性の担保以外への対応も可能になります。たとえば、商品の迅速な配送。そのためには、ラストワンマイルの配送パートナーや倉庫部門との連携が必須になります

    返品・交換の削減

    正確で最新の商品マスタを提供する最も明白な利点の1つは、返品と交換が減ることです。正しい商品マスタがあれば、消費者が期待に反した商品を購入し、返品や交換を要求する可能性を軽減することができます。

    商品マスタ管理には、さまざま関係者と調整しながら、それぞれの商品に関する必要な情報を集める必要がありますが、正しい商品マスタができれば、ほとんどすべての消費者の問い合わせに答えることができるようになるでしょう。そうなれば、消費者は最初から正しい商品を購入することができます。

    また、消費者の要望に常に耳を傾けることで、購入課程におけるすべてのステップで充実したカスタマー・エクスペリエンスを提供することができるでしょう。

    シームレスなカスタマージャーニー

    たとえば、「blow dryer(ドライヤー)」と「hairdryer(ヘアドライヤー)」のように、消費者が異なるキーワードで商品を検索することはよくあります。商品マスタ管理は、小売事業者がメタデータのタグ付けを合理化し、特定の商品について考えられるすべての検索キーワードの組み合わせを束ねることで、消費者が欲しいものに辿り着く手助けをします

    また、商品マスタを活用して、検索キーワードの履歴に基づいたオススメ商品を案内することで、購入予定がなかったサイト訪問者を新規顧客にコンバージョンさせることもできるのです。

    より良いマーチャンダイジング

    商品マスタ管理は、在庫や棚にあるすべての商品マスタの維持にも役立ちます。マスタ情報は、最も信頼できる情報源として機能し、特定の商品に対する需要を追跡し、商品のライフサイクルにおけるさまざまな要素を管理して、需要に応じた在庫を確保するのに役立ちます

    この情報を消費者動向に見られるインサイトと組み合わせることで、品ぞろえを決定し、在庫調整をして需要のピークに対応することもできます。商品マスタ管理で、現在の購買動向に基づいて消費者のニーズに応えることができると同時に、新たなビジネスチャンスにつながることも多いのです。

    提供商品の多様化

    商品マスタ管理ができれば、小売事業者は消費者が好む商品を追跡し、トレンドに合わせて在庫を調整することができます。しかし、コロナ禍後においては、過去の購買データが消費行動を測る正確なバロメーターとはならないため、不確定要素が多くなります。そんな中、商品マスタを活用して、リアルタイムで発注や在庫を把握することができれば、関連商品を含めた商品マスタを有意義に多様化することができ、トップラインの成長に直接貢献することができるでしょう。

    ◇◇◇

    コロナ禍は、すぐには終わりません。ブランドは、長期的な目的のためにeコマース戦略を再調整しています。バックエンドとフロントエンド両方の技術的な対応を伴うeコマースの商品マスタの作成は、短期的な目的と考えるべきではありません

    時間、お金、労力を投入する一方で、eコマースのプロセス全体を通して商品マスタを定義、保存、検索、整理、統合するという、より広範な戦略的視点を持って実行しなければなりません

    商品マスタ管理を改善することで、業務の短縮、レスポンスの向上、顧客満足度の向上など、eコマースビジネスの価値を最大限に高めることができ、ビジネスの必要に応じて迅速にスケールアップすることができるでしょう。

    この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

    Digital Commerce 360
    Digital Commerce 360

    三井不動産がD2Cブランドをデジタル×リアルで支援する新たな取り組み「NEW POINT」とは

    4 years 3ヶ月 ago

    三井不動産は、生活者に新しい価値と豊かな暮らしを提供するD2Cブランドに対し、ブランディングやマーケティング戦略の策定、店舗出店や購買体験の設計までを総合的に支援する共同パイロットプロジェクト「NEW POINT(ニューポイント)」を開始する。

    「NEW POINT」は、三井不動産が多方面のプロデューサーとともに“秘めた魅力をもつブランド“を全国から発掘し、キュレーションメディアなどでその魅力を発信。デジタル技術と人々が行き交う場を掛け合わせ、買い物客やワーカー、宿泊者などシーンごとのテーマに合わせたブランドと深く知ることができる場を提供する。

    三井不動産が始める「NEW POINT」
    「NEW POINT」について

    「NEW POINT」は、デジタルとリアルで個性的なブランドと出会える場所を作りたいという思いで事業化した。自分の好みや興味に基づいた過去の閲覧・購入履歴からレコメンドされた情報が届くデジタルでは接する情報が限定的になり、ウインドウショッピングをしているときのような「偶然の出会い」による新たな価値観の発見や、買い物そのものの楽しみが少なくなっているのではないかと考察。こうした課題を解決する場として、「NEW POINT」を展開する。

    「プロデュース」:ブランドの魅力を伝えるコンテンツの発信

    生活者の声を取り入れながら商品・サービスをアップデートしていく共創コミュニティを創出。ブランドのニーズに合わせ、専門チームがSNSを中心としたデジタルマーケティングや空間デザイン、クリエイティブ制作を支援し、ブランドの想いやこだわりを発信していく。

    「最適な顧客接点」:顧客と直接繋がるリアルな場の提供

    ブランドのコンセプトやターゲットに合わせ、SNSやWebサイト、リアルの場で展開。ポップアップや店舗では、デジタル上で発信するコンテンツとの親和性の高い空間デザインを提供するほか、サイネージやデジタル什器、ワークショップを通して、ブランドのストーリーを深く伝えていく。テストマーケティングの場としても活用できる。

    「リソース支援」

    リアルイベントの販売スタッフや商品在庫管理までを三井不動産が担い、ブランドの出店負担を軽減する。また、デジタルからリアルまでの顧客データをもとにした商品開発や常設店舗への出店サポートなど、中長期的な支援メニューを拡充していく。

    ◇◇◇

    パイロットプロジェクト第1弾の対象ブランドによるポップアップイベントを10月8~10日、東京・神宮前の三井不動産グループが管理・運営する商業施設「RAYARD MIYASHITA PARK」で行う。

    石居 岳
    石居 岳

    TSIホールディングスが「MIX.Tokyo」にレビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」を導入

    4 years 3ヶ月 ago

    TSIホールディングスは、ファッションECサイト「MIX.Tokyo」にレビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」を導入し、レビューの並べ替えや絞り込み機能などを実装した。

    サイズ感などをレビューに表示し、ECでの購入を後押し

    サービス導入で、「MIX.Tokyo」では商品の総合評価やコメントだけでなく、購入した商品のサイズ感、レビュアーの身長、普段着用しているサイズ、年代をレビュー内に表示できるようになった。こうした内容を表示することで、実際に商品を見て確認できないECでの購入の後押しにつながるという。

    レビューは「トップ評価」「新着順」で並び替えることができ、評価や身長、普段のサイズ、年代などで絞り込めるため、ユーザーが欲しい情報にアクセスしやすくなった。

    TSIホールディングス MIX.Tokyo ZETA VOICE
    ファッションECサイト「MIX.Tokyo」(画像は「MIX.Tokyo」からキャプチャ)

    「Laline」でも「ZETA VOICE」を導入

    Laline JAPANが運営する、イスラエル発のボディケアコスメや雑貨を販売するECサイト「Laline JAPAN Online Shop」も「ZETA VOICE」を導入した。

    Laline JAPAN Online Shop ZETA VOICE
    ボディケアコスメなどを販売する「Laline JAPAN Online Shop」
    (画像は「Laline JAPAN Online Shop」からキャプチャ)

    「Laline JAPAN Online Shop」では、誕生日祝いなどさまざまなシーンに合わせたギフトセットを多数取り扱っており、レビュー項目に「利用シーン」を設定している。そのため、自分用かギフト用どちらの目的で商品を購入したかを表示できる。

    サービス導入により、購入者のみがレビュー投稿できるようになっている。また、レビュアー自身が新規またはリピートの表示を選択できるため、サイトに訪れたユーザーは複数レビュアーの購買履歴に基づく情報を比較して商品を検討できるという。

    ZETA VOICE MIX.Tokyo Laline JAPAN Online Shop レビュー画面
    「MIX.Tokyo」と「Laline JAPAN Online Shop」のレビュー画面
    藤田遥
    藤田遥
    確認済み
    14 分 15 秒 ago
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