ここ数年、EC市場では“カスが見える業界”としてマウスウォッシュ市場が拡大してきた。口をゆすぐと“汚れ”が見えるという実感が市場拡大を後押ししてきたが、昨年来、プレーヤーの減少からウェブの広告露出は減っている。
市場は緩やかに縮小傾向
販売1位はソーシャルテック
“汚れが目に見える”という商品設計が市場から支持された。けん引するのは、ソーシャルテック。マウスウォッシュ「ブレスマイル」の前期(2023年3月期)の商品単体の売り上げは、約33億円。歯磨き粉、口臭ケアのサプリメントなどシリーズでは、約40億円を売り上げる。
Webを中心に展開するオーラルケアの売上高
一方、今期(編注:2024年3月期)は、シリーズで約37億円前後になる見通し(通販新聞推計)。事業基盤でもう一つの主力商品である育毛剤への広告投資を強化した影響で減収を予想する。
同様の特徴を持つマウスウォッシュを展開する企業の広告露出も減っており、市場は緩やかな縮小傾向にある。
「ブレスマイル」ヒットの秘訣は供給量+医薬部外品効果
市場拡大に限界がある背景には、参入企業の大半が、同じOEM企業に製品の製造の受託していることがある。多くは、商品を利便性の高い「個包装タイプ」で展開しているが、生産量の限界などキャパシティの問題がある。
「ブレスマイル」は個包装タイプではなく、需要に合わせて供給量を増やせたことが事業拡大につながったとみられる。
ソーシャルテックのマウスウォッシュ「ブレスマイル」
“汚れが見える”という訴求ポイントも競合各社横並びで差別化が図りにくい。ホワイトニングなど、医薬部外品の効果で差別化を図れた面もある。
ただ、同様の特徴を持つ製品の発売から3~4年が経過。「汚れが見える」という目新しさは失われつつある。
EC市場の新規参入にはハードルあり
生産のキャパシティや同様の訴求に絞られるため、後発企業が参入しにくいなど、EC展開に好影響はある。ただ、店頭流通やECモールでも2000~3000円の安価な製品が流通し始めている。ECは、単品購入(定期を除く)で5000~6000円を超えるものが多い。
参入企業はフロムココロ(ブランド名・デイリーワン、以下同)、FUMENT(=フューメント、ノッシュ)、ハハハラボ(キラハクレンズ)などがあるが、代理店関係者によると「以前より広告露出が減っている企業が多い」という。
ハハハラボは今年1月、ダイエットケアを行う機能性表示食品で消費者庁の景品表示法違反も受け、広告出稿のハードルが上がっていることもあるとみられる。
ソーシャルテックはオフライン進出を視野
ソーシャルテックでは、処方の見直しなど機能の差別化で訴求力を高める。中心顧客層は30代以降の女性層。歯磨き粉とのセット提案などクロスセル強化、幅広い顧客層の獲得に向けたテスト検証も行う。包装も顧客の要望を受けて利便性を高めるため、リニューアルを予定している。将来的にオフラインでの展開も視野に入れる。
サン・クラルテは「ゴッソトリノ」の訴求を強化
サン・クラルテ製薬は、配合成分が口腔内のたんぱく質と反応して汚れが見えるマウスウォッシュをいち早く手掛けた。主力製品の「ゴッソトリノ」は、目に見える実感が支持され、市場を創出した。
サン・クラルテ製薬の主力製品「ゴッソトリノ」
ただ、2023年4月期の商品単体の売り上げは、12億円で前年比横ばい推移。2022年には、クロスセル商品として、口臭ケアを目的にしたタブレットタイプの商品を発売。
昨年は、アップル風味の「ゴッソトリノ」を発売している。「まだ商品を知らない層も多く、広告で商品価値を伝え認知を得ることで拡大の余地はある」として、今後もオフラインやECモールでの展開、シリーズ製品の拡販、広告投資を続けていく。
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オリジナル記事:【オーラルケアEC市場の分析まとめ】ソーシャルテックがけん引も市場は縮小傾向 | 通販新聞ダイジェスト
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