化粧品通販を行うメディプラスは、グループ会社開発の独自成分をシリーズ共通で配合した製品を新たにラインアップに加える。独自の美容理論も提唱。摩擦による物理的な刺激を軽減する「ゲル美容」で敏感肌層に訴え、商品のライン使いを提案する。
敏感肌層に訴求強める
メディプラスは、6月1日にクレンジング、洗顔料、UVケアを新たに発売する。
グループのメディプラス製薬は、グリセリンとの反応でオゾンを安定化する「オゾネーション」という技術を持つ。オゾンの研究では50年の知見を持ち、抗菌・抗炎症などの作用が期待される「グリセナジー(オゾン化グリセリン)」などの化粧品原料を開発してきた。
メディプラスの新製品発売に合わせて、「グリセナジー」の名称を「オゾン化グリセリン」に統一する。オゾンは殺菌、消臭などさまざまな機能がイメージされ、顧客の認知に課題があった。一方で近年、国際学会でオゾンに関する研究論文が多く発表され、機能が注目されているという。
自社の知見を背景に、名称の変更で浸透を図る。同社は、米国の皮膚科学会で、「オゾン化グリセリン」について、アトピー肌に対する成分の安全性や機能性の研究発表を行っている。紫外線による肌の炎症や乾燥を引き起こす因子の抑制が期待される成分として敏感肌層に提案していく。
ステップケアを提案
新たに「ゲル美容」という独自の美容理論も提唱し、「オゾン化グリセリン」を共通成分として配合。肌に優しい処方設計による「ゲル美容」の浸透と独自成分を共通配合することで効果実感を高め、ステップケアを提案する。
UVケアは、日焼け止めだけでなく、「オゾン化グリセリン」による肌トラブルへの対応などスキンケア機能を持たせた。配合する紫外線散乱剤は、独自にコーティングを行い、ダマになりにくいなどゲルとの相性を高めた。
クレンジング、洗顔料は、メイクの濃淡により複数製品を使い分ける顧客もいる。クレンジングはミルクタイプがベースだが、メイクに応じてオイル状に変化する性質を持たせた。
洗顔料は、泡洗顔で肌負担を軽減しつつ、保湿と洗浄機能の両立を図り、使い分ける必要のない処方にした。
メディプラスは昨年9月、化粧品業界で30年以上の経験を持つ内田恭平氏が社長に就任した。訪販を除く販路で豊富な経験を持つ内田氏は、今年4月に行われた商品発表会で、「独自成分の配合がブランドの進化。創業者の思いを具現化し、ブランド価値の実現に努める」と話した。
内田新社長が語る成長戦略
メディプラスの内田恭平社長に今後の成長戦略を聞いた。
メディプラス 内田恭平社長
2024年8月期の目標は2ケタ増収
――前期(2023年8月)は2桁増収で底を打った印象だ。理由は。
グループ会社開発の独自成分である「オゾン化グリセリン」の配合にあたり、広告投資を増やすなどして露出を増やし、商品への信頼感が高まった。既存顧客の定着が進み、新規獲得も進んだ。
――今期の売り上げ見通しは。
2ケタ増収いくかどうか。10%前後の増収をめざしたい。
――現状の進捗はどうか。
8~9%増くらいのところまできている。通販は定期顧客など既存顧客による顧客基盤の安定化を図る必要があり、急に顧客を増やせばよいというわけでもない。既存顧客を受け入れるCRMを充実させつつ、新規顧客の獲得と合わせて事業基盤を再構築している。
――増収に向けた取り組みは。
新聞・テレビ・オンラインなど各媒体のコミュケーションの統一を図ることが重要だ。一方で、既存顧客との関係強化を図る。
リアルと通販の相乗効果に伸びしろ
――継続率が課題か。
「メディプラスゲル」を使う顧客の多くは継続率が高く、その点は大きな課題と捉えていない。熱狂的なファンもいる。ただ、これまでコミュニケーションを取る場面は少なかった。実際に会い、顧客が捉えている商品の長所を理解することが、次の熱狂的ファンの獲得につながると感じる。
――顧客とのリアルな接点を今後増やしていくのか。
バラエティショップなど全国約400店に卸販売も行っているが、まだまだ通販との相乗効果が弱いのが課題だ。店頭では情報発信を目的に露出を強化し、一方で通販広告を見たお客さまが店頭で購入するなど店舗と通販のウィンウィンの関係を構築したい。
――どのように関係強化を図る。
通販は広告で顧客と接点を得るものであり、効果を店舗にも波及させるなど相乗効果を生みたい。
――外部ECの活用は。
楽天とアマゾンに出店している。流通補完など顧客接点の利便性を高めることを目的としたものだが、とくにアマゾンは情報機能としても欠かせない。
売上目標は100億円
――中長期の売り上げ規模の目標は。
2030年までに100億円の売り上げをめざしたい。売り上げだけでなく、ブランド価値の構築・浸透も推進していく。
――「オゾン化グリセリン」の認知は進んでいるか。
まだ広がっていない。グループ会社保有独自成分であり、成分訴求のマーケティングは鍵になる。プロモーション手法は今後検討していく。
――客単価を上げるためには。
「ゲル美容」の浸透でライン使いを提案していきたい。主力の「メディプラスゲル」の価格は4400円。ほかの商品と購入する顧客の客単価はこれを超える。将来的には6000円以上をめざしたい。物流問題への対応も必要であり、1出荷あたりの客単価を上げていくのが理想だ。
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オリジナル記事:売上高100億円をめざす化粧品通販のメディプラス社長が語る今後の成長戦略 | 通販新聞ダイジェスト
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