労働人口の減少が続くなか、通販を含めたあらゆる業界で人材の獲得競争が激化している。自社の魅力や働きがいを発信することで、将来を担う優秀な人材を確保することは企業にとって重要なテーマだ。また、入社後の育成プランや経験の積ませ方など、個人の能力をうまく引き出すようなマネジメント設計についても、今まで以上に工夫が求められている。通販実施企業の各社が取り組む新卒採用の内容や人材育成、福利厚生、働き方の環境整備などについて2月末に実施したアンケートなどをもとにまとめた。
通販企業が重きを置く採用ポイントとは?
まず、企業側として、新卒採用者に求める資質や資格、あるいは特定の技能職採用について強化しているかについて聞いた。
ファンケルほか:グローバル人材、コミュニケーション力重視
ファンケルでは、必須の資格はないが、海外事業に注力しているため、語学関連の資格所有者等グローバルに活躍できる人材の採用を強化していくという。
DINOS CORPORATIONは、コミュニケーション力(交渉・調整力)、情報収集・活用力、発想力、行動力、粘り強さなどを求めている。
QVCジャパンでは、ほとんどの職種において資格は求めていないが、Finance部門のみTOEICや簿記を歓迎している。ソフト面では「自発的に物事を考え、チームワークも重視しながら行動できる人」や「応募した部門について、自身の経験をどう活かしていきたいか具体的に話ができる人」を好ましいとしている。
ZOZOほか:成長ポテンシャルを探る
ZOZOでは、まず、ビジネス部門については、主体性、柔軟性、協調性など、総合的に判断。同社の企業文化・事業などを十分に理解し、それらを未来に継承してくれるであろう人間的魅力、会社や事業をけん引していく中心人材への成長ポテンシャルを求めている。そして、開発部門に関しては、技術力、カルチャーマッチ、論理的思考、素直さ、主体性などの観点から総合的に判断している。
アスクルでは、エンジニア組織の内製化を進めており、Webエンジニアの新卒採用を強化中。
ゴルフダイジェスト・オンラインでは、最低限のマナー・コミュニケーションスキルに加え、自社の求める人物像に適しているかどうかを求めている。厳密には、コミュニケーション能力、傾聴力、論理的思考力、協調性、チャレンジ精神、素直さなど。資格や学歴については問わないとしている。
新日本製薬ほか:「チャレンジ精神」「行動力」を見る
ジュピターショップチャンネルは、自ら考え行動し、成果を出せる人材を求めている。
スクロールでは、主体性、挑戦意欲、向上心、ロジカルシンキングなど。ベルーナは、ポジティブ思考、競争力、協調性、素直さ、成長意欲、挑戦、発想力などを求めている。
ランクアップは、会社の価値観である誠実、挑戦、明るく元気に加え、素直さと入社後の伸びしろはあるか、グリッド力などを見ている。
マガシークでは、ECやアパレル業界に対しての強い思い、能動的に周囲を巻き込んで行動できるかという資質を見ている。
新日本製薬は、挑戦したことによる成功や挫折を通し、長い目で見て自身の変化を楽しめる人を求めている。日本生活協同組合連合会では、求める資格は無いものの、人物像としてはチャレンジ精神や向上心を提示している。
賃金アップで自社の優位性確保
次に、新入社員の初任給(賃金)について、前年(あるいは前々年)よりもアップしたかについて、有効回答を得られた主な企業の回答を見ていく。
全社一律ベースアップに踏み切るケースも
ファンケルでは、2023卒において総合職、販売職正社員、生産技術職(学部卒以上のみ)、研究職(大卒修士了のみ)の初任給を改定。2025卒より総合職、生産技術・生産管理職、研究職(学部卒修士卒のみ)の初任給を再改定。具体的には2023卒より5000円アップ、2025卒からは1万円アップ。その理由としては、人材確保がより困難になることや、他社との優位性担保のためとしている。
アスクルでは、全社員一律のベースアップを実施。
スクロールは5%アップを実施。ベルーナは、大卒、専卒、高卒でそれぞれアップ。市況感に合わせて、他社との足並みをそろえるためとしている。
日本生活協同組合連合会では、前年度に約5%のアップを行っている。
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オリジナル記事:通販・EC業界も人材の獲得競争が激化、企業が重きを置く採用ポイントとは? 賃金アップは? | 通販新聞ダイジェスト
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