前回はメディアECの「意味」や「メリット」を解説しました。今回は、特に「どんなコンテンツを作ればいいのか」と悩んでいる事業者に役立つ、メディアECで作るべきコンテンツの例と参考になるショップを紹介します。ぜひ参考にして、お客さまにとって魅力的で役立つコンテンツ作りに取り組んでください。
メディアECではどんなコンテンツを作ればいいの?
自社・ショップ紹介の制作
まずは、自社やショップを紹介する「自社・ショップ紹介」を制作することお薦めします。
ECサイトはお客さまと直接対面しないので販売者の人となりが見えにくいという課題があります。また、セレクトショップの場合、同じ商品を販売する他店との差別化をすることはもちろん、「ここのお店だから、この販売者だから買いたい」と思ってもらうことが重要です。
ECメディアで、サイト運営者や店長、スタッフの人柄、ショップ・商品への思いを発信することで、お客さまに親近感や安心感を持ってもらうことができます。
単なる販売サイトではなく、ECサイトを訪れた人に「このショップで買いたい」と思ってもらえるような人気(ひとけ)のあるコンテンツ、サイト作りを心がけることで、販売促進、ファン作り、リピーター獲得につながります。
商品ページ
商品ページもメディアECにおいて重要なコンテンツです。
商品の特徴や素材・機能を丁寧に説明するだけでなく、想定される使用シーン、お客さまの声、ストーリー性のある制作秘話などを内容に盛り込むことで、リッチな読み物コンテンツとしてお客さまに楽しんでもらえるだけでなく、購買意欲を高めることにもつながります。
また、近年は商品ページに動画を置くケースも増えています。動画を用いることで「視覚的要素」と「聴覚的情報」を組み合わせて伝えることができ、さらに豊富な情報を伝えることができます。
商材に関連した専門的なノウハウ記事
ショップで取り扱う商品に関連した、カテゴリー別の専門的なノウハウ記事も重要です。
たとえば、アパレルECであればアイテムごとのお手入れ方法、スタイリストによるプロ目線の着こなし方のコツ、トレンド分析に基づく最新のファッションスタイルなどがあげられます。
こうしたノウハウ記事は、お客さまが商品を効果的に活用する手助けをするだけでなく、ショップの専門性、信頼性を高める効果もあります。
商材・ジャンルに深い知識を持つプロフェッショナルや専門家がコンテンツ作成や監修した説得力のあるコンテンツは、お客さまにとって価値があり、ショップの魅力を一層引き立てることにつながります。
また、ユーザーニーズに合わせたキーワードを意識しつつ記事コンテンツを作成することで、検索エンジンからの流入を見込めることも、ノウハウ記事を作るメリットと言えるでしょう。
スタッフのブログ記事
サイト運営スタッフが書くブログ記事も効果的です。スタッフが自分の実体験やユーザーの視点に立って記事を書くことで、親しみやすく人間味あふれるコンテンツとなり、読者の共感を得られます。
たとえば、商品の使用体験を正直にまとめた体験記を、ブログならではの自由度の高い表現で伝えることでユーザーとの距離を縮め、より親近感を持ってもらうことができるでしょう。
Q&A/ガイド
商品やサービスについて、お客さまからよくある質問と回答をまとめた「Q&A/ガイド」を用意するのも有効です。
回答と一緒に前述したノウハウ記事などを紹介することで、より満足度の高い、厚みを持ったコンテンツになります。
「どのコンテンツから作った方がよい?」と迷ったときは
お薦めのコンテンツテーマをいくつか紹介しましたが、リソース不足で全部を作ることが難しい場合には「商品ページのコンテンツ化」と「Q&A/ガイド」から優先的に着手するのがお薦めです。
「売り上げにつながりやすいかどうか」を優先度の基準として、作るコンテンツを選ぶことが重要です。
メディアECの参考事例「SAVON de SIESTA」
今回紹介するのは、札幌のスキンケアメーカー「SAVON de SIESTA(サボンデシエスタ)」さんです。
スキンケアメーカー「SAVON de SIESTA(サボンデシエスタ)」さん(画像は「サボンデシエスタ」さんのサイトからキャプチャ)
「毎日の暮らしに、ココロがホッとするひとときを贈る」をコンセプトに、天然素材だけを原料にした化粧せっけんなどのスキンケアアイテムを製造・販売しているショップです。「SAVON de SIESTA」さんでは、お客さまが楽しめるさまざまなコンテンツを多数用意しており、「メディアECをがんばろう」と思っている人の参考になるでしょう。
「SAVON de SIESTA」さんのECサイトで参考になるポイントを3つ紹介します。
① 初めて購入する人向けのコンテンツの充実
自社について紹介する「ABOUT」コンテンツはもちろん、「初めての方へ」というコンテンツも用意しており、ページ内では「初めてセット」の提案、商品の消費期限や安全性、上手な洗顔のヒント・せっけんを長持ちさせる方法などを紹介しています。
「ABOUT」コンテンツ(「サボンデシエスタ」さんのサイトからキャプチャした画像を編集)
初めて来訪したユーザー向けページや、上手な洗顔のヒントなどを解説しています(「サボンデシエスタ」さんのサイトからキャプチャした画像を編集)
さらに「初めてセット」の商品ページもわかりやすく作られており、テキストや写真、表で説明しているだけでなく、せっけんがどのように作られているかを紹介している動画コンテンツを載せているところなど、初めて利用するお客さまの不安や疑問点を解消する工夫がとても参考になります。
せっけんの種類の紹介や、お薦めのせっけんを表でわかりやすくまとめています(「サボンデシエスタ」さんのサイトからキャプチャした画像を編集)
② ブログ「シエスタ通信」で多彩なコンテンツを展開
2005年から続くブログ「シエスタ通信」では、長年にわたって多彩な情報を発信しています。商品紹介だけでなく、スタッフコラム、お客さまの声、製品の制作風景、イベント開催レポートなど、さまざまな切り口での記事を掲載しています。
2005年から続けているブログ「シエスタ通信」(「サボンデシエスタ」さんのサイトからキャプチャした画像を編集)
スタッフの皆さんが写真付きで登場し、自然体で率直な思いをつづるコンテンツは「シエスタ通信」の魅力の1つ。ブログを通して読者と距離を縮めることは、コンテンツを上手く活用しファン作りをしていきたいショップさんにとって参考になるでしょう。
また、メディアECにおいてコンテンツ発信を「継続する」ことはとても大変です。長年に渡りブログで丁寧にコンテンツ発信をし続けている「SAVON de SIESTA」さんの運営姿勢は、メディアECを運営する上で学びになります。
③ コンテンツデリバリーの上手さ
「SAVON de SIESTA」さんは、SNS(Facebook、X、Instagram、LINE)やYouTubeなど、さまざまなチャネルで情報を発信。さらに、電子ブック「月刊シエスタ通信」でも発信しています。
InstagramやFacebookなどのSNSを活用して情報を発信しています(「サボンデシエスタ」さんのInstagram、Facebookからキャプチャした画像を編集)
このようにマルチチャネルで展開することで、幅広い層のお客さまにリーチできます。また、各チャネルの特性に合わせてコンテンツを作り分けることで、お客さまのニーズに合った最適な発信方法で情報を届けられます。多様なスタイルでのコンテンツ展開によってお客さまを楽しませる・飽きさせない工夫は大いに参考になります。
まとめ
今回はメディアECで作るべきコンテンツの種類や事例を紹介しました。
リソースが限られるECサイト運営において、すべてのコンテンツを作ることは難しいかもしれません。繰り返しになりますが、まずは“売り上げにつながりやすい”コンテンツを、できる範囲で取り組んでいきましょう。
次回も引き続きメディアECの事例を紹介します!
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
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