人と人の間をつなぐプラットフォームでは、その間にハッピーが生まれるかどうかが鍵になる。 | mediologic.com - reboot

mediologic.com - reboot - 2010年2月8日(月) 13:49
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この数日、UCCのtwitterでの件でいろいろソーシャルメディア界隈がにぎやかですが。

さて、むかし viral marketing というコトバが輸入されたころに、「いいバイラルマーケティング」「わるいバイラルマーケティング」というコトバがありました。

それを思い出すと、アメリカで某薬品メーカーが風邪関係のキーワードをつぶやいた人に”無差別”にクーポン付きつぶやきを送ったのと、今回のとが”同じでない”ということが理解できます。

ようは、ハッピーを生み出すかどうか、ということ。

過去、僕が「バイラルマーケティング」について講演したときの資料が掘り起こしできたので、それを以下に再掲載しておきます。

※Google内キャッシュはココ

たしか2002年にソフト化経済センターが主催した「バズマーケティングを考える研究会」での内容だったかと。

トライバルメディアハウスの池田氏とあったのはこのあとだったかな?

以下、長いですが、せっかくなので。

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『成功するバイラル・マーケティング/失敗するバイラル・マーケティング』=

㈱博報堂インタラクティブ局 高広伯彦(当時)

ペタろうの上にも 3 年

オフィスで大普及している「ペタろう」というソフトウエア(http://www.peta.gr.jp/)に関し、私たちが行ったバイラル・マーケティングの事例を紹介しましょう。「ペタろう」は PC 対 PC の間でやりとりができる、今でいう AOL メッセンジャーとかヤフーメッセンジャーとかの走りで、98 年にネットワーク対応の付箋紙ソフトとしてリリースされました。これは、メモとして使えるだけでなく、メッセージをやりとりできるのが特徴です。 このペタろうを開発する以前,1997年頃に、「オフィスのネット環境が普及すれば、オフィス内コミュニケーションはどうなるか」を調査したことがありました。結果、電子メールは遠くの人よりも半径10m以内の人とのやりとりのほうが多いことがわかりました。そこで、「その半径 10 m以内の人とのやりとりをもっと簡単にできるツールを考えれば、みんながもっと使うのではないか。それに広告を掛け合わせて、新しい広告のビジネスモデルが構築できるだろう」ということで、「ペタろう」を開発しました。 こうしたオフィス内でのコミュニケーションの担い手は女性たちだろうと考え、「ペタろう」は思い切り女性向けにしたのです。ですから、「ペタろう」はうさぎやパンダ、埴輪など毎月リリースされる色々なキャラクターがあり、しかも表情を変えて相手にメッセージを送ることができるようになってます。 さらに、台紙がチェンジできるなど、「セット・バズ(=話題を仕掛ける)」といわれる様々な仕掛けを行っています。「ペタろうの上にも 3 年」とか、「あ、背後霊だ」とか、どうでもいいことをタスクトレイ上の「ペタろう」が話す機能も仕込みました。今でも、ユーザー数は毎日600人から800人の割合で増えています。当然、人間は使ってくると飽きてきます。しかし周りの環境のなかで使っている人が 1 人でもいれば、「新しい台紙がでた」。つぶやきに関しても「何か変なことをいっている」と話題になります。セット・バズを継続的にやっていくことは、Viralを起こすためにも非常に大事だと考えています。

HAPPY なキモチになれること

 もうひとつ重要なことは、「ペタろう」自身がバイラル・マーケティングの素質を持っていることです。「ペタろう」は基本的には自分一人では使えない。メッセンジャーとして使おうと思えば、「何々さんも使ったら」と横の人を勧誘していくのです。過去の経済学では希少性こそ価値が高いといわれましたが、昨今よく耳にするネットワーク経済のなかには、増えれば増えるほど価値が出るものがたくさんあります。これもバイラル・マーケテイングで非常に重要な考え方だと思います。たくさんの人が使うから自分も色々な人とメッセージをやりとりができる。そして自分自身も相手も HAPPY になれる。バイラル・マーケティングを成功させるキモは、「なによりもそれに参加する人がHAPPYなキモチになること」で、このために何をするかを考える必要があります。

アイディアが入ったウイルスを解放せよ

 Seth Godin 氏は、バイラル・マーケティングとは、「アイディアが入ったウイルスを解放する」ことだと言います。Viralとはウイルスの形容詞で、情報・モノがウイルス的に広がる様を表現したものです。彼は「モノが溢れかえっている現在、パーミッションを得る商品とは顧客同士のコミュニケーションの輪の中にうまく情報を伝えられるものだ」といい、マスマーケティングを人の領域に勝手に入ってくる土足マーケティングと彼は言い放ちます。まぁ一面的だとは思いますが。

Hotmail がヒットした秘密

 Hotmailのヒットは、ネットがバイラル・マーケティングに有効だと認知された初めての事例です。Hotmailのユーザーは最初の2ケ月は10万人でした。3ケ月後には50万人に、さらに18ケ月で1,200万人になりました。しかも、驚くことに彼らはマーケティングコストをほとんど使わなかったのです。今のマスマーケティングを揺るがす素晴らしい出来事でした。それは "To get your FREEemail account go to www.hotmail.com"(Hotmail に行って無料の電子メールを手に入れよう!)。この一文がホットメイルのユーザーからユーザーではない人に送られたメールの一番下に書いてあっただけなのです。無意識に広がっていくものほどバイラル・マーケティングで成功するのです。「ペタろう」もそれを使う人は意識していないけれども、色々な広告情報やツールを広めてくれます。無意識に広めてくれる方法をどうやってつくるのかを考える必要があるのです。 前述した Seth Godin の言葉を言い換えれば、顧客、生活者に受け入れられる商品というのは、消費者コミュニケーションの輪の中でうまく動く。そうした商品・サービスほどバイラル的にうまく広がっていくのです。Hotmail のアカウントを取得するのは、だれかにメッセージを送りたいから、あるいはだれかからメッセージを受け取りたいからです。こうしたコミュニケーション・ツールの場合、バイラル・マーケティングは非常に広がりやすいものです。

コミュニケーションの輪を読み取る

 もうひとつ、注目すべきことは、バイラル・マーケティングは日常のコミュニケーションによって広がるのです。例えば、「ペタろう」や Hotmail は知らない人には送りません。実際、最初に知ったきっかけというのは、人と人とのコミュニケーションにあったのです。成功するバイラル・マーケティングは、生活者同士の日々コミュニケーションの中で広がっていきます。これこそ、クチコミなのです。だから、バイラル・マーケティングでは、日々のコミュニケーションの輪、そのネットワーク自体をどういうものかを読み取る作業を行います。 ネットワークには色々な階層があります。例えば、ウインタースポーツの好きな人は、その会話を会社の人とはしません。会話はウインタースポーツをする人々の集まりやメーリングリストの中で行うのです。従来のデモグラフィックのようなマーケティングのやり方は、20代、30 代の男性とか女性とかという考えをするのですが、バイラル・マーケティングでは、1 人の人がどれだけのネットワークの輪を持っているとか、どれだけのライフステージを持っているかということに着目するのです。

生活者の文脈を読み込んでいく

 コミュニケーションの輪を拾っていくときは、Context、つまり、生活者の文脈を読み込んでいくというやり方をしなければならないのです。「ペタろう」は、オフィスの nine to five で使われるというところに注目しました。実際、「ペタろう」はオフィスで午前9時から午後5時までしか使われません。ただし、オフィスの nine to five には絶対的なユーザーがいるのです。20 代、30代という見方だけではカテゴライズできないターゲットです。オフィス内のコミュニケーションの輪を発見して、その輪に乗せたのが「ペタろう」でした。 なぜ、ネット時代にバイラル・マーケティングが有効な手段になるのでしょうか。生活者同士のコミュニケーションが10年前の比ではないほど密にかつ多様化しています。特に多様化しているところがポイントです。会社のメールアドレス、家のメールアドレス、携帯のアドレスというように、様々なカタチで色々な人とつながっているコミュニケーションが存在します。だからこそ、その多様化をつかまえなければならないのです。今までのクチコミは faceto face というカタチで、伝わる人の数はすごく限られていました。しかし、電子メールは、伝える人の数を一挙に増やすことができるので、大きな広がりをつくっていくチャンスがあるのです。ここに注目することでリアルのクチコミにもフィードバックできるのではないかと常々思っています。私が注目しているポイントは、インターネットの普及による強力な C 2 C(Consumer to Consumer)で、「Context を発見せよ!」ということです。

シンプルなこと

 成功するバイラル・マーケティングの条件のひとつは「シンプル」なことです。100文字も使って説明しなければならない商品は伝わらないのです。Hotmailであれば「無料のメールアドレスが手に入るのだ」と、シンプルにPRしました。自社の商品・サービス、プロモーションを説明するために、20 字以内にぎゅっとまとめることが大切な作業です。映画の評判は非常にシンプルに伝わります。「あの映画、おもしろかったよ」。これだけなのです。映画のストーリーをわざわざ聞いておもしろいかどうか判断する人はいません。

"Wow!!" があるかどうか

 次に、コンパクトにまとまった情報に、Seth Godinがいう"Wow!!" があるかどうかです。驚きです。商品・サービス・プロモーションを見たときの「驚き」が「人に勧める」エンジンとなるのです。どのような驚きをユーザーに持ってもらうか。"Wow!!" の設計もバイラル・マーケティングにおける重要な要素です。そして、感動を受けた人たちが、他の人に勧めやすいチャネルをいかにつくってあげるのか。この設計も大事になります。

商品を裏返す、ひっくり返す

 3つ目は、自社の商品・サービス・プロモーションにどのような"Wow!!"、人が人に勧めるためのコア・エンジンがあるかを精査する必要があります。送り手側としての立場からしか商品を見てないことがよくあります。私は「自分の商品とかサービスを裏返しにして見てください」といいます。反対側から見ると別の価値が見えることがあります。ポケベルはなぜ女子高校生の間で流行ったのでしょうか。それは、ポケベルの価値が新たに発見されたから広がったのです。通常行っていた数字の語呂合わせの遊びがポケベルに乗ったわけです。自分たちが思い込んでいることがユーザーにとっては価値でない場合が多いのです。裏返す、ひっくり返すという作業をすれば意外と見つかります。

失敗するバイラル・マーケティング

 昨年、某飲料メーカーが「お友達キャンペーン」を行いました。それは、新商品の Web サイトで旅行券 100 万円分があたるキャンペーンでした。このサイトには、「友達紹介機能」がついていて、友人にこのサイトを紹介すると当選確率が2倍になるものでした。なぜ、失敗したのか。それは友達を売ったからです。ユーザーに友人を売る行為と思わせるものだけは避けるべきです。インセンティブをつける場合の注意点です。 バイラル・マーケティングは、「人に伝えたいキモチ」をベースにしたマーケティングです。商品・サービス・プロモーションそのものが、人に伝えたいキモチを起こさせるのか。ここが大きなポイントです。自社の商品・サービス・プロモーションの情報を伝える単なる手段や方法論ではなく、コンシューマの立場に立って価値をあげるためのマーケティングなのです。重要なことは、コンシューマに「人に伝えたくなるような Wow!!」を起こさせるか否かなのです。これが感染すると Viral 的に広がっていきます。某飲料メーカーが考えた"Wow!!"は、旅行券100万円のプレゼントで、人に伝えたくなるのは当選確率があがるということでした。これだけを見ると成功しそうに見えます。しかし、"Wow!!"が引き起こす「人に伝えたい」というのは、全てその情報を伝えたい「相手」に対する好意で、HAPPYなキモチからなのです。このキャンペーンがうまくいかなかったのは、「当選確率があがる」という自分の利益のために「伝える」という行為が、相手の不利益になる可能性があったからです。つまり、相手のメールアドレスを売ったことにもなりかねない。相手が不利益=嫌だと思ってしまうとそこで止まってしまうので情報の広がりは発生しません。このように個人の倫理に抵触する場合、バイラル・マーケティングは失敗する可能性が高いのです。

セット・バズがキモ

 バイラル・マーケティングの情報は、全て「気まぐれな生活者」によって伝えられます。では、バイラル・マーケティングはコントロールできないのか?。いや、できます。ただし、企業やマーケッターができるのは、最初の瞬間だけです。走ってしまったクチコミはコントロールできません。最初に何を埋め込むかというセット・バズがキモなのです。バイラル・マーケティングは商品をつくる段階から始まっているのです。

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