「地方のショッピングセンターに若者を呼びこむ」”地域に根ざした新聞社”と“中小事業者支援機関”、そしてShirofuneが連携し、地方企業のデジタル化を推進!
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千葉県佐倉市に店舗を構えるショッピングセンター「レイクピアウスイ」は、2020年12月、同施設初となるデジタル広告を配信しました。
レイクピアウスイを運営する「臼井ショッピングセンター協同組合」の鳥羽理事長、広告主と地域に根ざした新聞社の橋渡し役を担った「千葉県中小企業団体中央会」の菅井氏、Shirofuneを活用し広告運用業務を手がけた「株式会社千葉日報社」の中島氏が一堂に会し、レイクピアウスイのデジタル広告プロジェクトを振り返ります。
地方のショッピングセンターに新たな顧客を呼びこむ。このミッションに対して、各社はどのように連携し、同施設のデジタル推進に貢献したのでしょうか。今回のインタビューを通じて、地方企業のマーケティング支援・DX支援の新たなカタチが見えてきました。
【課題】
・従来の集客・販促手法だった新聞の折り込みチラシでは、地域の約半数の世帯にしか届けられない
・若者を含め、これまでレイクピアウスイを訪れていない新たな顧客層の来店を促したい
【解決策】
「千葉県中小企業団体中央会」「千葉日報社」「Shirofune」が連携し、同施設初となるデジタル広告を配信
【成果】
・抽選キャンペーンに20代・30代の若者が応募。若年層の反響獲得に成功し、新たな顧客層の集客に繋がった
・4者が連携し、強みや弱みを補完し合うことで、地方企業のデジタル推進における新たなモデルを構築できた
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従来の販促手法だった新聞折り込みチラシだけでは「若者などの新たな顧客を呼びこめない」という課題
―ショッピングセンター「レイクピアウスイ」を運営する臼井ショッピングセンター協同組合の鳥羽理事長にお話をうかがいます。まずは、今回のデジタル広告プロジェクトの舞台となる「レイクピアウスイ」について教えていただけますか。
鳥羽 敏彦 理事長(以下、敬称略):
レイクピアウスイは千葉県佐倉市の京成臼井駅前にある、地域に根ざしたショッピングセンターです。開業は昭和59年。当時、このあたりは新興住宅街として注目され、全国からたくさんのファミリーが移り住んでこられました。
それから37年経ち、当時新婚さんだったご夫婦も、今ではお子さんやお孫さんと一緒に来店されるように。まさに地元の方々と一緒に年齢を重ねてきました。
昔から住んでいる地元の方々、そして新しく引っ越してこられた方々にも、「愛着のある場所」だとおっしゃっていただいています。これからも佐倉市の人々の生活を支えるショッピングセンターとして、地域に貢献していきたいと考えています。
―「レイクピアウスイ」の集客・販促活動は、どのような方法で行われていたのですか。
鳥羽:
これまでは新聞の折り込みチラシが主流でした。セール時に折り込みチラシを配布すれば相応の効果が見込めましたが、将来を見据えたときに、折り込みチラシだけでは心許ないと考えるようになりました。
なぜなら、新聞を購読している世帯自体が減っているからです。佐倉市の白井地区を見ても、購読世帯は全体の6割以下。いくら積極的に宣伝しても、全体の半分にしか届けられません。
新聞をとっていない方々、とくに20~30代の若い人たちに、どう情報を届けていけばいいか。そんな課題を抱えていたのです。そこで「デジタル広告を始めてみよう」という話になりました。スマホから広告を見てもらえるようになれば、より幅広い層に情報を届けられますから。
ただ、私たちにとってデジタル広告は初めての経験。何をどう進めていけばいいのかといった知見はありませんから、長年お付き合いのある「千葉県中小企業団体中央会」の菅井さんにご相談したというわけです。
地方でも「デジタル技術を活用して売上をのばしたい」ニーズは増えている
―続いて、「千葉県中小企業団体中央会(以下、千葉県中央会)」の菅井さんにお聞きします。まずは千葉県中央会について教えていただけますでしょうか。
菅井 啓勝 氏(以下、敬称略):
中小企業団体中央会というのは、中小企業等協同組合法および中小企業団体の組織に関する法律に基づいて設置された特別認可法人です。各都道府県に一つずつ中央会が設置されています。
千葉県中央会は今年で創立65周年。千葉県内の協同組合や中小企業の組織化、経営支援が主な事業です。近年では、協同組合や企業に伴走する形で、地方創生やデジタル化の支援も行っています。
私が担当していた臼井ショッピングセンター協同組合の鳥羽理事長から「デジタル広告を含め、新たな販促方法を模索している」との相談があり、それなら「千葉日報社さんをご紹介しよう」と引き合わせたのが、今回のプロジェクト発足のきっかけです。
―数ある企業のなかでも「千葉日報社さんをご紹介したい」と思われたのはなぜですか。
菅井:
千葉日報社さんは、千葉に根づいた新聞社として、県内の事業者への取材力や豊富な情報力、発信力をお持ちの会社です。また、近年ではデジタル推進にも力を入れていらっしゃいます。
千葉県中央会と千葉日報社さんが持つネットワークと知見をあわせることで、千葉経済の発展に貢献できるのではないかと常々考えていました。
千葉日報社さんには、当会が主催する、デジタル推進をテーマにした中小企業向けのセミナーでも講師役をお願いしています。そのような信頼関係があり、今回のプロジェクトでもぜひご協力いただきたいと。また、千葉県中央会と千葉日報社は、2021年3月に県内事業者のデジタル化サポートや情報発信力強化を目的とした包括提携協定も締結しています。
―千葉県内の事業者から「デジタル化を推し進めていきたい」というご相談は多いのでしょうか。
菅井:
そうですね。デジタル推進や、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)対応のご相談は増えています。
デジタルとの親和性は事業者によって異なりますが、千葉県全体を俯瞰してみると、「デジタル対応が得意ではない」「デジタル化が遅れている」事業者が多い印象です。
ただ、コロナ禍になり、「オンラインに対応していかなければならない」「デジタル技術を活用して売上をのばしたい」というご相談やニーズが徐々に増えています。
千葉は、観光がメイン産業でもありますから、「デジタル広告を使って、千葉県外の方々にも積極的に情報を発信していきたい」といった声もよく聞きますね。
Shirofuneを活用したことで「新しいチャレンジに伴走してもらえる安心感」を得られた
―続いて、千葉日報社の中島さんにお話をうかがいます。千葉日報社さんの事業内容についても、改めて教えていただけますでしょうか。
中島 悠平 氏(以下、敬称略):
千葉日報社は1958年に設立された新聞社です。日刊新聞「千葉日報」の発行やニュースサイト「千葉日報オンライン」の運営がメイン事業となります。
先ほど、千葉県中央会の菅井さんからのお話にもありましたが、当社では近年、企業のデジタル推進支援に注力しています。2018年に、地域事業者のデジタル推進をサポートするサービス「モンジュノチエ」を立ち上げました。
なぜ新聞社の私たちが、デジタル推進の支援を行うのか。そもそもは、新聞社自身がDXしなければ生き残れないという社会背景があります。
私たち自身がデジタル化していくなかで蓄積された経験や知識を広めていく。そして私たちの強みでもある地域のネットワークを活かしてビジネスマッチングを含めた販路開拓の支援を行ないたいという思いがあります。
「モンジュノチエ」を始めて、デジタル対応がうまくできずに悩んでいる事業者は多いとわかりました。「デジタル化しなければならないことはわかっているけれども、できない」「DX化といっても何から手をつければいいか……」とみなさん悩んでいらっしゃいます。
企業や組合はもちろん、事業者を支援する会議所や町会、社労士や税理士のような士業の方々も、同様の課題を抱えていると感じます。
―千葉日報社さんでは、地域事業者のデジタル推進支援の一環としてデジタル広告の運用も行われています。今回のレイクピアウスイでのプロジェクトにおいても「Shirofune」を活用いただいています。
中島:
Shirofuneは、担当の岩井さんが、広告運用サービスの立ち上げから関わってくださいました。Shirofuneの使い方はもちろん、広告運用の枠組みや基礎知識から教えてもらえたことはとてもありがたかったですし、心強かったです。わからないことは気軽に相談できました。なにより新しいチャレンジに伴走してもらえる安心感がありました。
―Shirofuneの機能で、とくに役立っている点やご評価いただいている点はありますか。
中島:
予算配分を自動でやってもらえる点、広告効果のレポートが充実していて顧客に説明しやすい点、広告運用に詳しくない私でも簡単に運用改善できる点。この3つがとくに役立っています。
Shirofuneを活用したことで、広告設計や配信結果の振り返りといった面で、顧客に対する説得力が増しました。
4者が連携して「レイクピアウスイ」のデジタル化を推進した意義
―「レイクピアウスイ」デジタル広告プロジェクトの成果について教えてください。
鳥羽:
今回のプロジェクトでは、国の施策である「GoTo商店街」にあわせて抽選キャンペーンを企画し、そのプロモーションにFacebookなどのデジタル広告を活用しました。
SNS広告は初めての経験でしたが、効果には非常に満足しています。また、千葉日報社さんのアカウントでも、LINEやFacebookで告知をしていただき、その相乗効果も感じられました。
菅井:
「GoTo商店街」の抽選キャンペーンには20代・30代の若者が応募してくれました。この点は定性的な成果として、とても大きかったと捉えています。
個人的にも佐倉市に住んでいる友人が「Facebook広告を見たよ」と声をかけてくれました。普段、レイクピアウスイを利用していない人たちにも、しっかりとリーチできていると感じられて、嬉しかったです。
中島:
定量的な効果としても、広告のCTRは比較的高い数値で推移していました。広告閲覧のデータが毎日数値でわかり、またアンケート回収を通じて顧客の声を収集できるのは、デジタル広告ならでは。加えて、今回は数値的な成果以上に、これまで課題に感じていた若年層の来店に繋げられ、非常に良かったと思います。
鳥羽:
今回のデジタル広告プロジェクトは、どうやってレイクピアウスイをより多くの方々に知っていただくか、これから模索を続けていくうえで、大きな一歩となりました。私たちにとって良い成功体験になったと感じています。
―今回のプロジェクトでは、「臼井ショッピングセンター協同組合」「千葉県中央会」「千葉日報社」、そして「Shirofune」の4者連携して、レイクピアウスイのデジタル化を推し進めました。この動きについては、どんな感想をお持ちですか。
菅井:
地域事業者へのDX支援における連携の新たなモデルができたと感じています。
それぞれの会社や機関が強みを発揮し、持っていないものを補完し合うことで、広がりや奥ゆきが生まれました。臼井ショッピングセンター協同組合さんや千葉日報社さん、Shirofuneさんと打ち合わせを重ねるなかで、私自身もさまざまな刺激を受け、成長できた。この事例を千葉県中央会や支援事業者に共有することで、好影響の輪が広がっていると感じます。
中島:
私も、とても良い形で、連携することができたと思っています。おそらく、どのパーツが欠けても、このような成果には繋がらなかったのではないでしょうか。それぞれのやりたいことや得意分野がうまく合致したプロジェクトでした。
新しい時代の繋がり方、成果を生むネットワークの組み方を、私自身も学べたと思います。千葉日報社としても、本当の意味でお客様の成果に繋がる支援を、伴走型でこれからもやっていきたいと考えています。
鳥羽:
千葉県中央会の菅井さん、千葉日報社の中島さん、Shirofuneの岩井さん…お三方は私にとっては息子みたいな世代の方々です。そんなみなさんと一緒に、新しい時代のデジタル推進について熱い議論を交わすのは、とても楽しかったですし、勇気づけられるような思いがありました。
また、新しいチャレンジをしたことで見えてきた課題もありました。
私がデジタル化の旗振り役を担っても、ショッピングセンター内の各個店では、どうしてもその取り組みに温度差が生じます。ITが得意ではない人や、そもそもキーボードで文字を打つことでさえハードルが高いと感じる人もいます。ITに苦手意識を持つ人をどう巻き込んでいくかは、今後の課題です。
ただ、いい変化の兆しもあります。先日、組合内で「デジタル化対応の勉強会をしよう」と声がけをしたときには、賛同してくれる方がたくさんいました。
今後は、今回のプロジェクト経験を活かして、キャンペーン施策はもちろん、地域の魅力発信や個店ごとのSNS広告なども手がけていきたいですね。みなさんのお力を借りながら、デジタルスキルとマーケティング意識の向上に繋げていければと考えています。
ーありがとうございました。
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