note事件から考える。IPアドレスで何が分かるのか?
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毎週木曜日に配信している「データサイン・ランチタイムトーク」の模様をレポートします。当記事で取り上げるのは以下の配信です。
- 配信日:2020年9月3日
- タイトル: note事件から考える。IPアドレスで何が分かるのか?
- 発表者:株式会社データサイン Sales & Support Engineer 室園拓也
HTMLソースコードに投稿者のIPアドレス
文章、写真、イラストなどの作品を、配信できるメディアプラットフォームとして知られている「note」。記事投稿者のIPアドレスが記事詳細ページのHTMLソースコードから確認できてしまう不具合が存在していたことで、noteの運営会社が2020年8月にIPアドレスを削除した上で謝罪文をnote上に掲載する、という事案が生じました。作品を発表したクリエイターのIPアドレスが、HTMLのソースコードから確認できる状態になっていたことで、当該クリエイターのネット上での行動がIPアドレスを手がかりに暴かれる危険性が相次いで指摘されました。ただ、IPアドレスで個人に関する情報がどこまで特定できるのでしょうか。この件について、データサインの室園拓也が解説しました。
「IPアドレスは、インターネットに接続された電子機器に割り当てられる識別番号です。通信先を間違いなく特定するための住所のようなものです」と室園は説明します。
IPアドレスにはグローバルIPアドレスと、プライベート(ローカル)IPアドレスがあります。グローバルIPアドレスはICANNという組織の下、アジア太平洋地域ではAPNIC、日本ではJPNICという組織が管轄しています。日本国内のISP(Internet Service Provider、以下プロバイダー)にはJPNICから割り当てられます。日本国内に割り当てられたグローバルIPアドレスは2億超ともいわれます。
Webサイトのドメイン名は、サイト閲覧者のパソコンやスマートフォン端末と通信パケットをやりとりするため、Webサーバーなどに割り当てられたグローバルIPアドレスと紐づけられています。また、サイト閲覧者のパソコンやスマートフォンがインターネットに接続する際には、ゲートウェイとなる自宅や会社のブロードバンドルーターや、プロバイダーの通信設備を経由する際に、グローバルIPアドレスが割り当てられます。
企業や団体では、自社ドメインを得る際に不変のグローバルIPアドレス(固定IPアドレス)が割り当てられますが、個人がインターネットに接続する際は一般に、契約するプロバイダーが管理する空きIPアドレスの中からインターネット接続のたびに動的に割り当てられます(動的IPアドレス)。
「ただ昨今は常時接続が当たり前ですから、再起動をしないでインターネットにつなぎっぱなしのパソコンは1カ月以上、同じIPアドレスのままという状態はめずらしくありません」(室園)
なお、自宅ルーターやスマートフォンのNICに割り当てられた動的IPアドレスは、「確認くん」など無償の検索サイトで確かめられます。
このIPアドレスをヒントに、発信者宅に設置されたルーターの位置情報など、個人を特定できるような情報を得ることは可能なのでしょうか。
IPアドレス単体を手がかりにした個人の特定はほぼ無理
固定IPアドレスやドメイン名の場合は、Whois検索サービスを用いるとドメインを管理する企業名や担当者の連絡先などがわかります。仮に個人が固定IPアドレスを契約している場合も同様に、登録されたドメイン情報が開示されます。
一方、動的IPアドレスの場合はWhoisで検索しても、当該IPアドレスを割り当てたプロバイダーの情報が表示されるにとどまり、個人を特定する情報までは得られません。
では、ターミナルなどから利用できるtracerouteコマンドからはどのような情報が得られるでしょうか。tracerouteは、パケットが通過したルーターの経路をたどるコマンドです…
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