国境と言語を超越した強力なビジネスツール「グローバルサイト」

グローバルサイトの役割を整理し、「構造設計」「コンテンツ」「デザイン・UI」「Webガバナンス」の4つの角度から、抑えておくべきポイントをご提示します。
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近年、各業界においてグローバルの潮流は確実に加速しています。国内市場の飽和による成長停滞を打破すべく、海外市場の拡大に注力する企業もあれば、自社製品・サービスとの親和性の高い国・地域に目を向けて、新たな市場を開拓する企業もあります。理由はそれぞれですが、もはやグローバル視点を無くしてはビジネスの将来性を語れないぐらい、グローバルの波が押し寄せています。しかし、文化も言語も違う市場に一席を占めるのは決して容易ではありません。そこで、グローバル戦略展開にあたり、ぜひ活用していただきたいのは、グローバルサイトです。

本コラムでは、グローバルサイトの考え方と構築ポイントを整理していきます。一般のWebサイト運営にも通用できるところがありますので、現時点ではグローバルサイトを所持していない、もしくは検討していない方も、ご参考にしていただければ幸いです。

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グローバルサイトの役割

グローバルサイトに明確な定義はありませんが、単なる「英語サイト」「多言語サイト」とは意味合いが違います。本コラムでは、高い汎用性を持ちながら、対象となるユーザーの地域特性、言語、文化を考慮した個別及びその統括サイト、と定義しておきます。企業のグローバル戦略によってグローバルサイトに求める役割が変わってきますが、主に以下の6つが挙げられます。

  • マーケティング: 海外市場における営業・販促活動の手段
  • ブランディング: 企業認知の拡大、ブランド力の強化
  • IR:国内外の投資家に向けて情報発信
  • 採用: 国内外にいる優秀人材へアプローチ
  • 社内コミュニケーション:世界規模での社内コミュニケーションの促進
  • 危機管理:緊急時の発信と対応の窓口機能

一般のコーポレートサイトにも当てはまるものですが、グローバルサイトの場合、日本国内で蓄積してきた経験とノウハウが通用できなくなることが多いため、同じ役割を実現させるにも新たな視点が必要です。

グローバルサイト構築のポイント

では、グローバルサイトを構築する際に、どうすればいいのでしょうか。もちろん、企業のグローバル戦略や置かれている状況に従って柔軟に対応しなければいけませんが、抑えておくべきポイントを4つの角度からご提示します。

〈構造設計〉

  • 切り口:「言語」にするか「国・地域」にするか

    「言語」を切り口にするのに適しているのは、国・地域によって提供する商品・サービスの差別が少ない、あるいは日本国内から外国人向けに商品・サービスを提供する場合です。例えば、同じ規格で部品を生産するメーカーのような、BtoB企業が多く採用しています。提供する情報(コンテンツ)の違いが少なく、できるだけ多くの対象に発信したい企業にとって効率的な設計です。

    一方、「国・地域」を切り口にするのに適しているのは、国・地域によって商品・サービスが異なりローカライズ性の高い企業の場合です。例を言うと、現地で実店舗を構えてオリジナルのメニューを提供する外食チェーン店のような、BtoC企業が多く採用しています。一つの言語で複数の国と地域をカバーする場合もあれば、一つの国・地域なのに複数の言語で対応しなければいけない場合もあります。ターゲットの属性、費用対効果、運用・管理の視点から、最初から対応言語と対象地域を絞ったり、段階的に対応範囲を広げていったりする調整が必要です。

  • 構造: 統括サイトを設けるか設けないか

    こちらも上記の切り口と同じ、商品・サービスが国・地域で異なるかどうかで検討すればいいと思います。国・地域で商品・サービスの同一性が高い場合、統括サイトを設けなくても、本社の日本語サイトの英語版サイトで対応可能です。提供する情報(コンテンツ)の共通性が高いため、本社サイトでもある程度来訪者に適切な情報提供ができます。そこに各国・地域への導線を設置し、更に細かいニーズに応えます。一方、国・地域によって商品・サービスが異なる場合、統括サイトから個別サイトに振り分ける形にするのがユーザーエクスペリエンス(UX)の向上に繋がります。統括サイトで共通性のある情報で認知効果を図り、詳細の商品・サービス情報は振り分け先で個別に提供するという構成になります。

〈コンテンツ〉

  • 内容: 共通コンテンツとローカライズコンテンツ

    例えば会社情報、経営理念、事業紹介といったどの言語どの国・地域でも共通するコンテンツなら、日本語サイトに掲載されるものをベースとして翻訳します。しかし、地域性のある情報、例えば商品・サービス内容、料金体系、または購買意欲を促進するマーケティング要素やキャンペーン情報、採用情報など、独自性のあるコンテンツでしたら、対象者の属性や地域性を考慮しながらローカライズする必要があります。

  • 表現:価値観への理解、コミュニケーション習慣の違い

    価値観の違いによって、メッセージの読取り方や魅力を感じるポイントが違ったりします。例えば日本では美徳とされる“謙遜”ですが、西洋文化では時に自信のなさと受け取られてしまう場合があります。的確に自社の強みやイメージを伝えるには、ターゲット地域の価値観を理解しなければいけません。

    また、コミュニケーション習慣においても、「ハイコンテクスト文化」と「ローコントラスト文化」の違いがあります。ハイコンテクスト文化の地域では、直接な表現より曖昧な表現を好む傾向があり、特有の言い回しの使用が受け入れられます。日本や韓国、中国はその例です。一方、ローコントラスト地域では、直感的で分かりやすい表現と、シンプルな理論を好む傾向があるため、簡潔かつ直接な言い方のほうが伝わるのです。アメリカやドイツなどが例として挙げられます。最適なコミュニケーションを図るためには、対象地域の文化を熟知するネイティブの方の協力が不可欠です。

  • その他の配慮:地図の取り扱い、宗教問題

    グローバルサイトではよく掲載される地図にも注意しなければいけません。日本国内では、日本を中心に配置する世界地図が一般的ですが、海外ではヨーロッパを中心に置く地図が主流です。また、異論のある地域の国土・国境線表示についても注意が必要です。もちろん、宗教に対する配慮も忘れてはいけません。反感や批判を招いてしまう事態を回避するために、事前調査や現地法人の協力など、チェック体制をきちんと構築すべきです。

〈デザイン・UI設計〉

企業の全体像とブランドイメージをばらつきなく的確に伝えるため、デザイン・UI設計の面では、共通するデザインガイドラインを導入し、統一感を出す必要があります。ヘッダー・フッターやナビゲーションの位置、トーン&マナーなどの一貫性を維持する程度で良いと考えられます。同時に、必ず対象地域の独自性と対象者の嗜好性を踏まえてアレンジできる余地を設けなければいけません。グローバルサイトにおいては、統一感を保ちながらいかにローカル色を出せるか、そのバランスがポイントになります。

また、グローバルに展開するサイトに日本国内におけるWebサイトの常識やノウハウをそのまま当てはめるのは危険です。「日本の常識は世界の非常識」とまで言われているように、日本では好まれるデザインや使いやすいとされるUIでも、海外では不評となってしまい、ブランドイメージに傷つく恐れすらあります。特に直接来訪者の印象に影響を与えるデザイン・UIにおいては、常にグローバル視点に立ち、対象者の嗜好や利用習慣を調査・分析する必要があります。

〈Webガバナンス〉

Webサイトのグローバル化を推進する企業が、ブランディング構築、マーケティング展開、クオリティ維持、運営・管理体制といった様々な課題に直面します。グローバルサイトの構築・運用上に起こりがちな問題を解決するには、Webサイトを統括して安定した運営が実現できる指針、すなわち「Webガバナンス」が力を発揮します。Webガバナンスは、会社全体の戦略・方針に基づき、「モノ」「組織・人」「仕組み」という3つの要素で形成させることができます。

  • モノ: 各種ガイドラインの策定、運用資料・データの整備

    デザイン、マナー&トーン、コーディング、セキュリティといった各種のガイドラインを策定や、RFP資料の整理と共有などにより、各現場で個別にコンテンツを制作する、もしくは外部発注する際でも一定の品質水準が維持できます。また、ロゴや画像、製品情報といった共通する素材とデータを用意して全体展開すれば、品質のばらつき抑止と利便性の向上にも貢献できます。

  • 組織・人:運用フローの策定、PMO設立

    社内における承認の流れを明確にし、各担当者のスキルレベルに応じて運用フローの最適化を図ります。また、各国・地域の事情に詳しい担当者をプロジェクトの早期段階から巻き込み、意見を汲み上げる必要があるため、PMO(project management officeプロジェクトマネジメントオフィス)の設立をおすすめします。PMOは、組織全体のプロジェクトマネジメントの能力と品質の向上を支援するだけでなく、ガバナンス構築プロセスに携わることにより、各国担当者での合意形成と意思疎通がしやすくなり、運用がスムーズになる効果が見込めます。

  • 仕組み:CMS導入、検証改善サイクルの確立

    全社統制が効いた統一運用とそれぞれの事情とトレンドを踏まえたローカライズ運用を両立させるには、CMSの導入をおすすめします。コンテンツ管理の仕組みを整えることで、運用の効率化と発信力の強化、更にリスク回避といった効果が期待できます。また、ガバナンスのレベルを向上させ、グローバルサイトの力を最大限に発揮させていくためには、各サイトのKPI/KGIを設定するとともに、広告のROI測定やログ解析などの手法を活用し、継続的に検証と改善のサイクルを回していく体制は重要です。

スタートを「小さく」、視野を「大きく」

Webサイトのグローバル化の必要性は多くの企業に認識されるようになり、成功事例も増えています。しかし一方、多方面との調整や連携、人的・財的リソースの確保といった難題の前で、躊躇してしまう企業も少なくないはずです。確かにグローバルサイトの構築はスケールの大きい話ですが、“小さく”スタートすることも可能です。比重の大きい市場から優先的に対応し、徐々に地域・言語を追加していく段階的な進み方があります。あるいは、今まで現地に拠点がなかったが、Webサイトを先に設置してニーズが確認できてから拠点を設立するというWebの利用法もあります。

重要なのは、俯瞰的な“大きい”視野を持つことです。グローバル観点から見れば、日本もあくまで一つの市場に過ぎません。真のグローバル企業へ成長するには、国・地域や言語の壁を越えて、常に顧客のニーズに耳を傾け、同じ目線でコミュニケーションする姿勢が大切です。グローバルサイトはまさにその姿勢を具現化したものではないでしょうか。ぜひ貴社のグローバル戦略の実現にご活用いただければと思います。

 

■本コラムの元記事はこちら(※別ウインドウで開きます)
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HP: http://www.micro-wave.net/

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