第4回 Google AnalyticsとAdobe Analyticsの機能比較
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第4回 Google AnalyticsとAdobe Analyticsの機能比較
Adobe社が提供するAdobe Analytics(以下AA)は、その多機能性と分析ツールの豊富さが際立つWeb分析ツールです。
過去のエントリーではデータ取得の仕組み、取得データの定め方、効率よくデータ取得~分析を行う為の拡張ツールと活用例をご紹介致しました。
今回のエントリーでは、分析ツールの内、最も高いシェアを占めるGoogle Analytics(無料版)(以下GA)との機能比較を行います。
■AAは結局GAと何が違うのか?
今回このエントリーをご覧頂く方は、恐らく上記の疑問を持って訪れたのかと思います。
「そもそも無料でかつ市場シェアも高いGAがあるのに、AAを使うメリットとは何か」こういった質問は筆者もよく耳にします。
結論から述べますと、AAはGAよりも高機能なツールであり、ここが両者の大きな違いです。
しかし、全てのケースでAA導入を推奨すべきではなく、
- 対象となるサイトの規模や運用環境
- どの様な分析をしたいか
により、GA・AA・もしくは他の分析ツールを推奨するかが決まります。
現に筆者が担当しているクライアントでは、AAを使用しているサイトとGAを使用しているサイトが存在し、筆者自身が、AAではなくGA導入を推奨したサイトさえあります。
今回のエントリーはGAとAAの比較ではあるものの、単純にどちらのツールが優れているか優劣を決めるのではなく、どういった観点で解析ツールを選定するかのヒントとしてご活用頂けば幸いです。
*尚、本エントリー執筆時点(2014/11/27)での比較であり、今後のアップデート次第ではツール仕様が変更となる可能性があります。
■GA、AAそれぞれの3つの大きな特徴
GAとAAでは、細かい機能面での違いは多々あるのですが、どちらを採用するかを判断する際に、まずは3つの大きな特徴を考慮する必要があります。
Google Analytics
- 無料で利用可能(要Googleアカウント、データ量に制限有)
- Googleが提供するサービスとの連携が容易
- データの詳細なセグメントに制限有
Adobe Analytics
- 有料
- Adobe Marketing Cloud内の別ツールとの連携・拡張機能が豊富
- データセグメント機能が豊富
最も大きな違いとして、GAは無料で利用できるメリットがあります。しかし、無料版では月1,000万ヒットの制限があると公式サイトでもアナウンスされています(ヒットには、PVだけでなく、クリック計測等ユーザ操作に因る通信も含まれます)。サイト規模によっては、GAの無料で利用できるメリットを享受できません。
一方AAも契約形態によってサーバコール上限数があります。その為、大規模サイトの場合はサーバコール数を考慮する必要があります。
また、あくまで上記は利用料に関する比較で、実際に導入する際は導入時の作業コスト面も考慮する必要があります。GAではGoogleの別ツール、AAではAdobeの別ツールに関して高い親和性を有しています。もしAdobe Marketing Cloudの別ツールを導入しているのに、分析ツールだけをGAに切り替えたとしても、結局導入に当たり、ソース書き換え等で工数と費用が増えトータルでの費用が変わらない場合や、現在取得しているデータが一切取れなくなるケースもあり得ます。
また、基本的な指標として、PVや訪問者等は、どちらのツールでも問題なく取得分析出来ますが、例えば「過去3ヶ月の間に初めてサイトに訪れ、かつ期間内に複数回の再訪問が発生したユーザのCV時点での通算訪問回数分布」等、取得データを細分化しグループ付けする機能については、AAに軍配が上がります。
GAでは原則、訪問・訪問者に対してのセグメントは可能ですが、単一ヒットに関するセグメント機能を有していません。
上記より、まずはサイト規模、サイト運用ツール、分析対象によってどちらを導入するか検討が必要となります。
■GA、AA機能別の比較
ここまでまず大枠での比較と検討時の着眼点を述べましたが、実際に規模、運用ルール、対象を伺ったとして、その時点ではまだどちらを推奨かお伝えするのは難しいケースが多いです。
導入ツールを決定する際は、今後どういった方向性でサイト改善を進め、その為にどのようなデータが必要か書き出すことを推奨いたします(その際は、第2回エントリーのKBOツリーの手法をご活用ください)。
必要なデータの取得可否を確認することで、GA(無料版)で対応可能かご検討頂くのが宜しいかと思います。
以下に代表的なAAで取得可、GAで取得不可な機能を書きました。
データセグメンテーション
AAではヒット単位での分類が可能ですので、例えば特定の流入元経由のアクセスを容易に分析でき、またさらに別のセグメンテーション、例えば性別、年齢等を掛け合わせが可能です。
- ヒット単位でのセグメント不可
- セグメント内にセグメントをネスト不可
- セグメントの分類不可
指標
AAでは例えば1UU辺りの平均訪問回数等を計算指標として、ツール内に簡単に組み込み可能です。
前述のセグメントと掛け合わせることで、デフォルトでは個別計算が必要なデータを簡単に可視化できます。
レポート
AAでは、次ページフロー等でwildカードを使用することで、ページA→any→ページB等、より詳細な導線分析等が可能です。
またデータ自体に正規表現で一括集計や仕分けを行う機能も有しています。
■GA、AA運用での大きな特徴
上記の通り、AAでは取得したデータに対して詳細な仕訳、正規表現やワイルドカードによる曖昧な定義、ツール上での自動計算等で優れた機能を有しています。
上記機能と第3回エントリーで触れたAdhoc等を組み合わせることで、複数の条件にまたがる大量データを一括で取得することで、高速での分析が実現可能となります。
GAでもExcellent Analytics等のデータ一括取得ツールはあるのですが、現在の仕様では、単一のレポートをエクセル上に吐き出す形ですので、例えばGAで100レポート分を抽出するとなると、100回のクリックが必要となります。
上記のAA独自の集計機能を活用することで、分析の工数を削減することによるコスト抑制と、改善案をより早く、多く、深く策定可能となり、サイト改善によるビジネス効果最大化が期待できます。
■まとめ
ここまで、GA・AAの3大特徴、機能比較、運用面での違いを述べました。
GAの最大のメリットはやはり無料で利用できる点です。
ビジネスを進める上で、コスト抑制は非常に重要な指標です。
しかし、あくまでツール利用が無料であり、導入コストは別途発生し、また導入時の一時投資ではなく、運用コストも必要となります。
これら実装、運用コストを考慮に入れ、本来のコストを抑える目的から逸脱しない場合であれば、GAを使用するメリットが大きいと言えるでしょう。
逆にAAを使用している場合で上記の機能を活用していない場合、有料だからこそ使用できる優れた機能を活用しきれていない可能性があります。ただPVやUU等の基本情報を追うのではなく、より詳細な要因を定点観測し、サイト改善に活かすことでAAのメリットを享受できるとも言えます。
次回について
これまでのエントリーを踏まえ、AAを活用したPDCA確立手法をご紹介いたします。
インテリジェンス ビジネスソリューションズ(IBS)では、上記のようなWeb解析/改善、PDCAサイクルについてお悩みの企業様向けに、Webアナリティクスサービスをご提供しております。ツールの選定や比較、ツール毎の有効な活用方法等、何かWeb解析に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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