[マーケターコラム] Half Empty? Half Full?

キャリアアップにも効く第3の場所「コミュニティ」の活かし方

マーケターコラム、今回はヤプリの島袋孝一さん。本業やそれ以外にも役立つコミュニティの活かし方、関わり方について。

2019年7月にスタートした本コラムの連載も気がついたら1年を超えていました。当初はキャリアや仕事感をテーマにした寄稿でしたが、この半年(2020年3月から)は、コロナ禍に突入したこともあり、自然と、環境変化に対応するための視点などを書き記すことが多くなりました。

今回は、コロナ禍以前から、「本業」ではないけども、実は自身の仕事や生活に大きく寄与している「コミュニティ」について書こうと思います。後半では私が一緒に運営を行っているコミュニティ主宰者、浜内久乃さんとの対話も盛り込みながら、コミュニティの具体的な活かし方もお伝えします。

「ただのサラリーマン」でも交友関係は拡張できる

「コミュニティ」という語感から想起するものは、人それぞれ異なるかもしれません。今回は、「町内会」的な意味合いを持つ「地域軸」「クローズド」なコミュニティではなく、「関心軸」「オープン」なインターネット・SNS的コミュニティについてフォーカスします。

読者の皆さんは、所属する会社の同僚・先輩・後輩でもなく、学生の頃からの友人知人でもない方々、世代や年齢を超えた方々と「集う機会」は持っているでしょうか。ここで言う「集う」には「リアルな会合を開催する」という意味も当然ありますが、それだけでなく、インターネット・SNS(メッセンジャー)などを通じて、「常時」「双方向」のコミュニケーションをとれる機会を有しているか、という問いでもあります。

私は、社会人になってから2010年頃までは、仕事・企業の中の関係性だけで生きてきました(そもそも当時SNSはmixiくらいしか存在しなかった)。

TwitterやFacebookを利用し、積極的に交友関係を広げていく機会を作り始めたのは、2015年に合宿型カンファレンス「ブランドサミット」に初めて参加したのがきっかけでした。このカンファレンスで一気に世界が広がったのと同時に、自分の小ささを思い知りました。

以降、Facebookの友人が爆発的に増えていくにつれて、Eメールでやりとりする機会は劇的に減り、コミュニケーションのメインは、リアルタイムに対話できるメッセンジャー(チャット)へシフトしました。当時、30歳半ばを超えた「ただのサラリーマン」であっても、交友関係は拡張できるものだと感じました。

業種業界・年齢・キャリアを問わないコミュニティ

旧来から人見知りな性格で(本当です)、かつ、お酒を飲まない・飲めないので、それまで「異業種交流会」的な会には、ほとんど参加してきませんでした。しかし、この2016年くらいから、気の置けない友人と自身の人脈を拡張できるような会を開催してきました。

昨今は、当時このような場で出会った方と、いまでも公私にわたりコミュニケーションをとることが多いです。その中で出会った一人、浜内久乃さんは、業種も年齢もキャリアも異なりましたが、2018年年初にお会いしてから、現在は同じコミュニティを運営する同志となっています。最近、浜内久乃さんと近況報告をする機会があったので、以降のパートはそのやりとりを引用しつつ、「コミュニティ」活用の一例をご紹介したいと思います。

情報発信していたら自然とコミュニティができた

島袋:当初、僕らが知り合ったのは、僕が友人と開催した交流会ですよね。

浜内:そうですね。当時、私はC Channelの広報を担当していました。マーケターから転身して広報の職務につくことになり、いろんなトライをしていた時期です。「マーケと広報」の仕事について、自分で学びつつSNSで情報発信していたら、自然と仲間が集まってコミュニティができた感じですね。

島袋:それが「戦略広報を目指す会」ですね。僕も過去に広報を職務にしていたキャリアもあり、運営メンバーとして参画しました。

浜内:それまで仕事の問題解決は主にパートナーさんなどと行っていたのですが、ビジネス上で利害関係のない社外の方々が多数賛同し、集まっていただけるとは、思ってもいませんでした。現在ではメンバーは800名を超えます。中心運営メンバーには業種業界、さまざまな方々が集っています。

島袋:普通に仕事をしているだけでは出会わないし、かなり不思議なメンバーだけど(笑)、「コア」の部分で通じ合えるメンバーですよね。

浜内:コロナ禍前までは、終業後の時間、定期的に「ミートアップ」というリアルイベントを開催していました。大きなビジネスイベントで登壇されるような諸先輩方をお招きして、広報やマーケティングにまつわる講話を聞いたり、コミュニティメンバーと近い距離感でディスカッションの機会を設けたりしてきました。

「コミュニティ」は、自ら能動的に動ける/動こうとしている方々が集まる場。「何かを得たい」というよりは、自らも発信し、いろいろな人と対話ができる。そんな有機的な場を提供できていたと思っています。

マーケターから広報、そして起業

島袋:このコミュニティを運営した経験は、浜内さんのキャリアにも大きな変化を及ぼしました。

浜内:はい。C Channelを退職し、2020年4月、RooMooNという会社を起業しました。

島袋:とても驚きました。マーケターから広報を経て社長に。

浜内:はい、私自身も想像していなかった変化です。起業するときも、本業の仕事以外で出会った方々に、たくさん相談に乗っていただき、自らの道を描きました。島袋さんも相談相手の一人でした(笑)。

島袋:すでに懐かしいですね(笑)。

浜内:所属している企業だけで生まれる「関係性」だけでは、今の選択はできていなかったかもしれません。「コミュニティ」や社外での活動、発信があったからこそ、今の自分があります。

マーケティングにも活かせるコミュニティ運営

浜内:RooMooNでは、コミュニティ運営の知見を事業に活かしています。「女子大生・女子高生マーケティング集団「Trend Catch Project(トレキャ)」という事業です。「若者のインサイトを知りたい」という企業と、「自らの知見や思いを企業に伝えたい」という女子大生・女子高生との共創関係を支援しています。「トレキャ」のメンバーの動きや成果には目を見張るものがあります。前述の「戦略広報を目指す会」同様、メンバーの自発的な動きが盛んです。

島袋:浜内さんの最近の本業は、どんな感じですか?

浜内:広報PR、若年層マーケ、メディア運営、SNS運用、ベンチャーキャピタルのコミュニティマネージャー、美容インフルエンサーのマネージャー兼PR、オンラインBAプロジェクト、会社経営など、さまざまです(苦笑)

島袋:想像以上に幅広いですね!

浜内:でも「コア」はあります。「RooMooN」という社名は「Room」と「Moon」の造語ですが、「部屋」のような暖かさ・心地よさ、そして「月明かり」のように他者を照らす……そんな思いを一つひとつの事業に当てはめています。

島袋:企業のミッション・バリューがそのまま社名になっているんですね。

浜内:この半年、本当にバタバタしていましたが、そんな「よりどころ」を忘れないようにしてきました。これからも、私自身が「コミュニティ」で得たことを、より社会に還元していけるようにしたいですね。

そして、最近アウトプットをする機会が少なったので、この島袋さんとの対話は、いい機会になりました(笑)。

島袋:こちらこそ。浜内さんのような存在は稀有なので、ぼくらのウェビナーにも出演いただきましたが、大変好評でした。また出演してくださいね(笑)。

「第3の場所」としてのコミュニティ

浜内さんは、コミュニティに関わることで、自身の仕事や人生に大きな変化がありました。今回ご紹介した以外にも、コミュニティの活かし方にはさまざまな可能性があります。たとえばコミュニティをマーケティングに活かそうとする活動もあちこちで行われており、そうした試みは「コミュニティマーケティング」と呼ばれています。くわしく知りたい方は小島英揮さんの著書『ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング』を参照してください。

コロナ禍で創出できなかったセレンディピティや、より強固な結びつきを醸成するために、みなさまも「コミュニティ」の世界に足を踏み入れてはいかがでしょうか? 「副業」とも異なる自分の‪タグの発見や、家庭・職場以外の「第3の場所」の可視化に、きっと役立つはずです。‬‬「いきなり自分で立ち上げるのは難しい……」という方には、‬私が関わっているコミュニティを挙げておきます。ぜひお気軽にご参加ください。

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