[マーケターコラム] Half Empty? Half Full?

生成AI時代、マーケターのキャリアに「最短ルート」はあるのか

マーケターによるリレーコラム、今回は瀬川義人氏。マーケターのキャリアを「ピボット」で広げる考え方について紹介します。

瀬川義人

7:05

 

みなさん、こんにちは。瀬川(@motoy0shi)です。

3年近く続けたこの連載も今回が最終回です。そこで今回は、マーケターのキャリアについて考えてみたいと思います。

駆け出しの若手マーケターと話していると、よくこんな質問を受けます。

「最短で、成果を出せるマーケターになるにはどうしたらよいですか?」

「マーケターになるためには、どんな勉強をしたらよいですか?」

確かに、マーケティングは専門性が高いと言われる仕事だからこそ、「最短ルート」で成長したいと思う気持ちはよくわかります。

実際、私が駆け出しのマーケターだった頃は、同じように思っていました。

しかし、実務でマーケティングに携わる中で気づいたのは、「マーケターのキャリアは、決して一直線である必要はない。むしろ遠回りに見える経験こそが、自身の価値を高めてくれる」ということでした。

そこで今回の記事では、自身の経験を踏まえて、AIが当たり前となりつつあるこの時代にマーケターが持つべき視点と、キャリアを「ピボット」で広げる考え方について紹介したいと思います。

AI時代、マーケターの価値はどう変わるのか

マーケターにとって、今一番ホットなトピックは生成AIでしょう。

2022年11月30日にOpenAIがChatGPTをリリースして以降、生成AIは急速に発達し、今や生活にも仕事にも欠かせない存在になりつつあります。実際、私もほぼ毎日生成AIを使って仕事を進めており、もはや生成AIなしに仕事をしていた頃は思い出せないレベルです。

一方で、世間では「AIに仕事を取られる」といった話があるように、マーケターの役割も大きく変化しています。これまでは、マーケティングの施策を実行するだけでもそれなりの価値がありました。Googleアナリティクスでデータを分析する、Web広告を運用する、SEOのために記事を書くといった業務です。

しかし今後は、単一スキルで完結するようなタスクは生成AIのほうが圧倒的に早く、一定のクオリティを出してくるため、差別化が難しくなっていくでしょう。

では今後、どういったマーケターがより価値を持つのでしょうか。

私は、施策を横断して設計し、実行まで担える人ではないかと思います。

なぜなら、AIは個別のタスクを高速に実行することは得意ですが、複数の施策を組み合わせて成果を設計することは、まだ人間の思考に大きく依存しているからです。

たとえば、ペルソナを踏まえたコンテンツを作成し、広告で集客し、イベントで体験を提供し、その後営業やCRMでフォローする。

こうしたさまざまな施策を組み合わせて成果を最大化する設計こそが、これからのマーケターの価値になっていくはずです。

つまり、これからのマーケターに求められるのは「スキルの深さ」だけでなく、「経験の広さ」ではないでしょうか。

遠回りの経験がマーケターを強くする

では、どのように横断して施策を考えられるようになるのでしょうか。

その鍵は、一見するとマーケティングと関係のないように見える経験なのではないかと思います。

施策を横断して考える力は、多角的な視点と経験から生まれます。だからこそ、1つの領域だけではどうしても育ちづらいのです。むしろ、一見関係のない経験こそが役に立つのです。

実際、私がマーケティングの仕事に関わるまでには、こんな経験をしてきました。

  • コーヒーチェーンでのマネージャー経験
  • コールセンターでのカスタマーサポート業務
  • カフェ&バーでのイベント運営経験
  • 趣味で始めたブログ運営経験

どれも一見すると、マーケティングとは関係のなさそうな経験でした。当時は「何で自分はこんなことをしているんだろう」と、漠然と将来に不安を感じ、もやもやした日々を過ごしていました。

しかし、それぞれの経験はこんな形で活きています。

  • コーヒーチェーンでのマネージャー経験
    →展示会でのシフト作成や、メンバーへのフィードバックの仕方など
  • コールセンターでのカスタマーサポート業務
    →インサイドセールスのトークスクリプト考案など
  • カフェ&バーでのイベント運営経験
    →オフラインイベントの企画および運営など
  • 趣味で始めたブログ運営経験
    →SEOの考え方、セールスライティングの技術、収益化の難しさなど

当時は価値がないと思っていた経験が、今の仕事にとても役立っており、むしろ自身の仕事の幅を広げてくれています。

キャリアを「ピボット」で広げていく

こうした経験を振り返る中で、私がキャリアを考えるうえで大事にしてきたのが「ピボット」という考え方です。

ピボットとは、方向転換や路線変更を意味するビジネス用語です。既存の資産や強みを活かしつつ、より価値を高めるためにビジネスを変容させることを指します。

キャリアの文脈に置き換えると、自身の強みを活かしながら方向転換し、より領域を広げていくことです。

実際、私もピボットを繰り返しながら、今に至っています。

かつての私は一介のブロガーでした。しかし、ブログ運営を通して学んだSEOやライティングスキルをもとに、Webマーケターとして転職しました。

そして、SEOやライティングのスキルを活かしつつ、アクセス解析やCRM/SFAなどを独学で学び、デジタルマーケターとしての経験とスキルを培ってきました。

現職に転職してからは、デジタルマーケティングの分野で貢献しつつ、未経験だった展示会やオフラインイベントといった施策にも挑戦し、BtoBマーケターとしてのキャリアを歩んでいます。

また、少し前からはチームマネジメントを任され、マーケティング戦略や組織づくりの経験も積んでいます。

振り返ってみると、最短距離どころかかなり遠回りしてきた気がします。しかし、さまざまな経験をしながら、その時々で自分がより価値を出すためにはどうすればよいかを考え、ピボットしてきました。

結果として、一見バラバラに見えた経験が、1本の線として今につながっているのです。

おわりに

この記事では、マーケターのキャリアにおける「遠回り」の重要性と、「ピボット」という思考について紹介しました。

もしあなたが、なりたい自分と現場の姿のギャップに苦しんでいるとしたら、ぜひこの言葉を思い出してください。

逃げたいと思うようなつらい経験こそが自分を成長させ、その経験がいつか自分のキャリアを広げてくれる

マーケターのキャリアに正解はなく、最短距離もありません。遠回りしてでもさまざまな経験を積み、視野を広げてみてください。

その経験は、きっと未来のあなたの武器になるはずです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

またいつか、どこかでお会いしましょう。

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