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SEOmozランディングページコンテストの優勝者が語るコピーライティングの考え方

※Web担編注

前回の記事「SEOmozランディングページコンテストの優勝者が語るランディングページの考え方」は長くて冗長で、お世辞にも良い文章だとはいえなかったため、読むのを途中であきらめた人も多いかもしれない(コメントでも指摘があったように)。

でも、今回の記事は、前半が多少冗長だが、特に後半はコンテンツとしては非常に優秀だ。検索エンジン業界のみならず、マーケティング全般に携わっている人に読んでほしい。

この記事はもともとSEOmozのYOUmozセクションに掲載したものですが、非常に優れているのでこちらのブログに格上げしました。
SEOmoz landing page contest
SEOmozランディングページコンテスト
7月に開催されたコンテストイベント。参加者がそれぞれ投稿したSEOmozの有料メンバーコース申し込みページが、7月25日~8月14日の間SEOmozでローテーション表示され、最もコンバージョン率が高かったページが優勝となるもの。

Randから一言:この記事は、SEOmozでやったランディングページコンテストの優勝者Paul Robb氏が書いてくれたもの。前回の投稿では、彼のスタイルを語ってくれた。この記事は後半だ。

このブログ記事は、ごく単純な形式で進めることにしよう。まずは僕のランディングページを、Gerry Spence氏の著作を引用しつつ、「善意の交渉人」として紹介する。次に、今度はRobert Cialdini博士の著作を引用しながら、逆に「悪徳セールスマン」のイメージを提示していこう。ほかにも伝えたいことはあるし、この記事で何か大それたことをしてみようとも思っていたけど、今回はこれが限界だね。

注意:正直なところ、Spence氏とCialdini氏は、オンラインコンバージョンに関する真の専門家で「Call to Action」の著者であるBryan Eisenberg氏の型に合わないし、実際両氏とも「ランディングページ」なんて言葉を聞いたことは一度もないだろうね……とはいえ、僕だって最近までそうだった……まあ、とにかく行ってみよう!

ここで取り上げる2冊はこれだ。

僕のこの記事を読むよりも、この2冊を読むほうが、販売、心理、影響力について多くのことを学べるよ。でも、SEOmozの全開示の精神に則り、ここのスレッドに寄せられた質問の1つひとつに、十分に、誠意を持って答えたい。また、答えるときには、数億ドル相当の科学的検証済みのダイレクトレスポンスの効果(オフラインでの効果)を学んで習得したことも踏まえていきたい。タブーはないと思ってほしい。終わった後は、この取るに足らない理論とアイデアとともに、僕は夜の闇に消えよう思う。それでいかが?

最近、僕がどんなクダを巻いているかチェックしたければ、僕のブログに来てほしい。ここSEOmozでも、こそこそ歩き回っているけどね。

第1部:Gerry Spence著『How to Argue and Win Every Time』の紹介

議論の力強さの源泉は、他人のスタイルや価値観に合わせ、自分の神聖なる固有性を否定することではなく、自分の人間性という驚くべき井戸を活用することにあると言いたい。説得力のある議論ができないのは、天才的なひらめきや機転がないからではなく、ボキャブラリが十分でないからでもなく、自ら足枷をかけてしまい、自分の議論を閉じ込め、成功するスタンスや勝つやり方から自ら遠ざかってしまうからである。――Gerry Spence

では、SEOmozの「神聖なる固有性」とは何だろう? それは、SEOmozブログのアーカイブで見つけた「リンケラティ」の話であるというのが僕の意見だ。

「リンケラティ」についてRandが書いた記事を一通り読んで、小さなサイレンが頭の中で鳴り始めた……この記事は、ターゲット市場の狭い一部分の中で、「さあ行こう!」という気持ちとでも言うべきものを呼び起こすことに気付いたんだ。この「リンケラティ」に関する記事を見出すまで、僕の鋭敏な感情のアンテナはちゃんとテスト済みじゃなかったと認めるほかない。だって長きにわたり、これらの記事はSEOmozブログの中で最も高い人気(「良い記事だ」投票の数で数えて)を誇っていたのだからね。逆にいうと、たとえその記事に「良い記事だ」投票がなかったとしても「その説得力を感じて」いただろう。

「リンケラティ」にまつわる文章は本心から書かれたもので、僕が考える組織としてのSEOmozの核心に基づくのは明らかだ。ここで言いたいのは、リンケラティの話が道徳的かつ倫理的かつ誠実な形で、人々を「納得」させているということ。言い替えれば、「リンケラティ」の話を僕のランディングページの中心に据えることで、Gerry Spencer氏が「自分自身の足枷」と呼んだものから、SEOmozを解き放つのを手助けしたんだ。僕は単に、SEOmozが言わなければならないことを言葉にするのに手を貸しただけなんだよ。

確かに、皆さん「古くからのプロ」にとって、「リンケラティ」の話は少々退屈で「聞いたことがある」ものだということはわかる。でも、前回の記事で書いたように、僕のランディングページは、SEOmozコミュニティ的には「新人」に分類される人をターゲットにしていた。そういう人達にとって、この話はおもしろいんだ。

最後に、僕のランディングページの中核にあるメッセージ(すなわち「意図」)は、僕がSEOmozの中心にある信念と考えているものに、ぴったりと調和している。これは、僕の売り口上を通じてプレミアムメンバーに登録した人たちの知性に対し、その水準を疑問視する声がほとんど出なかったことに貢献したと思う。売り口上をきっかけとして購買活動を行うことを普段はしない人(ちなみに僕もそのひとり)に「ウヘー」という反応をさせない方法についてもっと話したいのだけど、今回は紙面が足りない。

このいたちごっこは、100年以上前から続いている――1世紀も前にRobert Collier氏が「滅びゆく売り口上」について簡潔に書いている。売り口上は次から次へと消えては移り変わり続けているが、人間心理の性質は昔からあまり変わっていないし、これからもそんなに変わらないことは心にとめておこう。OK、良い人を演じるのに疲れてきたよ。すみやかにCialdini氏の話に移ろうか。

第2部:Robert Cialdini著「Influence: The Psychology of Persuasion」の紹介

承諾を得ようとする開業弁護士が「イエス」と言わせるために使う作戦は数千種類もあるが、その大半は次の6原則に分類できる。「一貫性」「返礼」「社会的信用」「権威」「嗜好」「希少性」だ(物質的な自己利益という単純な原則は、この6原則に入らない)。――Cialdini

Cialdini氏は、考えさせずに「イエス」と言わせる、思慮を伴わない自動的な応諾を得るための道具について、その効果のほどを1つずつ検証している。

人間には、日々出会う新たな状況、人物、選択をすべて正確に分析する時間がないと考えてみよう。僕らが意思決定する際には、「自動的」に決断し、数少ない比較的信頼できる「全体的な」性質に集中せざるを得ない。ちょっとした例をあげれば、警官がドアをノックしてバッジをちらっと見せ、通りで起きた「事件」について訊ねるため、ちょっと中に入れてもらえないか? と求めてきた場合、嫌がる人はほとんどいないだろう。警官を待たせておいて、交番に問い合わせたりバッジの番号を確認したりする人はそう多くない。犯罪者はよくこれを利用して、一般人に害を与える。ほかに思慮を伴わない判断といえるのは、高額な製品は品質も高い、というのがあるね。

僕らがなぜ、こういう即断をこれほどまでに自ら信用するかといえば、非常に正確で、信頼できて、役に立つからだ。実際それがなければ、僕らはどうにも身動きできなくなってしまう。言うなれば「分析による機能停止」状態だ。決定的なのは次の点だ。

反撃の標的として相応しいのは、我々の即断のきっかけとなる証拠をねじ曲げたり、偽ったり、ゆがめて伝える人だけだ。――Cialdini

返礼

この原則は、誰かから何かを受け取ったら、同じものを返すよう心がけよということだ。贈り物や親切などには、将来ちゃんとお返しをしなければならない。この原則に同意しない人間社会はない。我々が人間であるのも、祖先が立派な恩義のネットワークで糧を分け合うことを学んだからに他ならない。――Cialdini

僕のランディングページは、リンケラティの話を提示している。この話はベテランのSEOには何の目新しさもない。でも、SEOmozコミュニティの外側の人にとっては目新しく、非常におもしろく、興味の尽きないためになる読みものなんだ。僕のランディングページで肝心なところは、リンケラティの話を新鮮に受け止めた読者に、何かお返しをしなければと思わせたことだ。

社会的信用

原則として、社会的信用に従って行動すれば、それに反して行動したときよりも間違いは少なくなる。――Cialdini

顧客の声を伝えるのは、販売において社会的信用を利用する古典的な手だ。僕は広告コピーの中で顧客の声を使わなかったけれど、それは文字の上だけの顧客の声は、あまり賛同を得られないと感じていたから。僕の好みに対して、「抽象度合いがはるかに高過ぎる」ような気がしたんだ。とはいえ、適切な顧客の声をコピーに織り込まなかったのは僕の落ち度だね。顧客の声以外に社会的信用を「生み出す」方法はあるだろうか? 答えはある。それはつまり「猿真似」が基本的な考え方になる。

嗜好

誰しも自分に似た人を好きになる。この法則は、類似点が意見でも、性格でも、生い立ちでも、ライフスタイルでも当てはまるようだ。したがって、好かれることで承諾を増やしたいなら、いろいろな方法で自分を相手に似せてみせることで、その目的を達成できる。――Cialdini

これで、僕がランディングページで「2人で話しているような」口調を取り入れている理由がわかったと思う。このことを雄弁に語ったSEOmozメンバーMike Tekula氏の言葉を借りれば、「文体は製品やサービスを説明するのではなく、Paul(Rand)と同席して何か説明してもらうかのようだ」。この「嗜好」のセクションには、RandとSEOmozチームの写真も付け加えたいところだね。そうすれば販売活動に人間味が増す。営業担当(それにそのチーム)が顔を見せるようにすれば、ぼられたり酷い目に遭わされたりする気はしなくなるものだ。

権威

権威の命ずるところならば、成人は強い意欲を持ってどんなことでもしようとする。これがこの研究における成果の核心だ。――Cialdini

The Washington Post、USA Today、Newsweekなどのロゴは、いずれも権威を誇示もしくは暗示する。Randをコンサルタントとして、Fortune 500企業に最低顧問料月1万ドルで売り込む? これも権威付けの1つだ。ところで、Randを最低顧問料1万ドルのコンサルタントに仕立てることは、「対照の法則」として知られる原則の一例にもなる。こうした権威があれば、同じ(あるいは同様の)情報を入手するのに、他人が支払っている金額と比べて、399ドルの必要投資額が安く思えてくる。

約束と一貫性

小さなお願いから始めて、最後に大きな要望に応諾させるようにする戦略には名前がある。「布石を打つ」テクニックだ。些細な要求に無心で応えた相手は、その数週間後にはもっと大きな要求でも、驚くほど進んで聞き入れるようになる。――Cialdini

このテーマを扱った本を集めれば、図書館一杯ほどにもなるだろう。約束と一貫性筋は、心に強く訴えかけるからだ。誰か(たとえばRobbins氏が)が、約束こそ営業の基本だと言っていたけれど、僕も大筋でそう思う。

ここで説明したいのは、ランディングページの結果における外見上の矛盾なんだ。Carlos氏のランディングページの選択率は12.5%で、これは僕のページよりずっと高いが、最終的なコンバージョン率は僕のほうが高い。つまり、数ページの文章(僕のページね)を読んだ人は、表(Carlos氏のページ)を見ただけの人よりも購買に向かいやすいということ。個人的にもっと興味深いのは、SEOmozにログインしなかった「生の」トラフィックに関する事実……僕のランディングページは、それらを「エラー」ページにリダイレクトしてしまっていたということ(これは僕の過ち)。ここから、心の中の欲求をかき立てられると、その欲望を満たすために、誰しも驚くほど寛容で抜け目なくなることがわかる。どう考えても、エラーページはコンバージョン率を粉砕してしまうはずなのに、そうならなかった(少なくとも見かけ上はそう見えない)。それは、購買者が「Enroll(登録)」をクリックするときに、購買の心構えがすでにできていたためなんだ。

ただし、返金保証を当てにしている場合、サービス登録に対する意欲は小さくなることに注意しよう。こういう条件を見ると、誰もが「お金を出して試してみよう。後で気が変わったらお金を返してもらえるしね」と考える。これは、大きな約束より小さな約束の方がやりやすいけれども、まず間違いなく小さな約束の後には、大きなものが控えているからだ(Cialdini氏の書いたとおり)。

希少性

数少ない機会は貴重なものに見える。――Cialdini

世界を見渡しても、無限の資源などほとんどない(多分まったくないんじゃないかな?)。同じことが、SEOmozのプレミアムメンバーになることにも当てはまると言いたい。SEOmozは少人数のチームからなり、高い水準のサービス(Q&Aとか)を受けられるメンバーの数には限りがあるからだ。僕はランディングページの中で7000人という数字を示したけれど、これはかなり当てずっぽうな数字だ……強いプレッシャーを与えたかったんだ。希少性はある種の非常に強力な「呪術」といえる。

◇◇◇

先に喜んですべてを開示すると書いたとおり、質問は遠慮なくしてほしい。この記事ですべてを網羅できたと言うつもりはないよ。でも、ちょっと待てよ……全部見せるとは言ったけど、その際、自分が本音で感じたことは正しいことだと明言していただろうか(皆さんに対して誠実だっただろうか)? 僕は見返りを誘導してはいないだろうか? この記事を読ませることで、僕に対する「傾倒」の度合いを高めようとしてはいないか? 自分を好きになってもらおうとしていないか? 権威を気取ろうとしてはいないか? 自分は「夜の闇に消える」だろうと言ったけど、そのとき自分を希少なものに見せようとはしていなかっただろうか?

僕は善意の交渉人か、それとも悪徳セールスマンだろうか? 僕は初めからずっと、あなたを説得しようとしていたのだろうか? いやはや答は簡単ではない……人生は往々にして、このように「あいまい」なんだ。判断はすべて皆さんにお任せ。最後に、自分のランディングページについて少しばかり解説できてとても嬉しく思っているよ。この投稿から、皆さんの取り組みに役立つ何かを掴んでもらえれば何よりだね。

それではこれで。
Paul Robbでした。

用語集
Call to Action / SEO / コピーライティング / コンバージョン / コンバージョン率 / ランディングページ / リンケラティ / 検索エンジン
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