ヤフー、インターネット広告の闇にメス。「広告品質ダイヤモンド」策定

ヤフーは、5/27に都内で記者説明会を開き、インターネット広告の抱える課題とYahoo! JAPANの広告品質向上への取り組みについて説明をした。

ヤフーは、5月27日に都内で記者説明会を開き、インターネット広告の抱える課題とYahoo! JAPANの広告品質向上への取り組みについて説明をした。

広告品質のダイヤモンドとは?

近年、インターネット広告では、アドネットワークを使った広告配信の進化に伴って、「アドフラウド」「ブランドセーフティ」といった広告詐欺やブランド毀損といった事象が注目を集めている。

海外ではすでに、米国のインタラクティブ広告協議会(IAB)を中心に、広告品質を保証する「認証制度」が普及している。一方、日本では、業界のガイドラインは整備されてきているが、日本独自の広告品質を担保する「認証制度」は現時点では存在していない。

ヤフーでは、広告品質におけるグローバルスタンダードを参考に、国内で先行して同社独自のスタンダードを策定した。それが、先日発表された、広告品質のダイヤモンド(3つの価値と6つの対策項目)である。

広告品質のダイヤモンド

広告品質ダイヤモンドの3つの価値と6つの対策とは?

広告品質ダイヤモンドとは、インターネット広告を活用する際の「安心安全の基準」である。3つの価値と6つの対策が掲げられており、それぞれの対策について磨き上げられた、形を総合的な評価度の高さとして「ダイヤモンド」と名付けられたという。

具体的な広告における価値としては、次の3つを挙げている。

  • 適正な広告効果の可視化
  • ブランド価値とメディアの信頼性の担保(不正の排除)
  • (ユーザーにとって)ストレスのない広告体験の提供

また、具体的な対策項目として次の6つを挙げて、不正排除に取り組んでいくとしている。

1. ビューアビリティ(視認性の有無を計測可能にする)

 

ビューアビリティとは、視認可能性とも呼ばれており、ユーザーから広告が見られているか否かということ。

実際にはユーザーに見られていない広告でも、ページが読み込まれたら、広告が表示された(1インプレッション)としてカウントされるため、日本の広告業界でもビューアビリティ(ビューアブルインプレッション)を測定する需要が高まっている。

ヤフーでは、「本当にユーザーが広告を見られる状態にあるかどうか」という広告の視認可能性を計測できる環境を整えていくという。

※記事初出の「ビューアビリティ」の解説に不備があり、適切な表現へ修正しました。(2019-06-11 編集部)

2. アドフラウド対策

 

アドフラウドとは、人ではなくボットと呼ばれる機械が、広告を表示しているように見せかけたり、クリックしたように偽装したりして、不正に広告費を搾取する行為のことを指す。

ヤフーでは、こういった不正行為を排除するために、広告トラフィッククオリティガイドラインというものを定めて、そのような行為を発見し次第、対策をとっているという。

3. ブランドセーフティ(適切な配信面を確保する)

 

昨今アドネットワークを使った広告配信で、さまざまなサイトへ広告を配信可能となっている。一方で、配信先に違法なサイトや不当なサイトが含まれる可能性があり、広告主のブランドが毀損される恐れがある。

ヤフーでは、アドネットワーク配信をスタートした時点から、広告配信ガイドラインで、そういったサイトへの広告配信を禁止しているが、広告主のブランド価値を毀損する可能性がある広告掲載面への広告配信の禁止をより厳格化していくという。

4. プライバシーへの配慮

 

ターゲティング可能な広告では、広告データの利用基準を設けており、「プライバシー情報を使ったターゲティング広告の配信を禁止」している。プライバシー情報とは、医療情報などがそれにあたる。

たとえば上図のような、ガンリハビリ中のユーザーが、検索時にお墓の広告、保険の広告、葬儀社の広告が表示されることで、ネガティブな体験をすることになる。このような不快な広告体験へ配慮するため、プライバシー情報を使ったターゲティングは不可で、行動データに基づいたターゲティング広告の配信のみ許可している。

5. 適切な広告フォーマット

 

スマホページの大半を覆っているような広告フォーマットや誤タップ、誤クリックを誘発するような広告収益増を狙った広告フォーマットがある。このような広告フォーマットの実装をヤフーでは禁止している。

また、ユーザーのコンテンツ閲覧を邪魔するような広告フォーマット、たとえば「音声付き自動再生動画広告」や「ポップアップ広告(インタースティシャル)」を実装する場合も基準を設けている。

音声付きの自動再生広告を実装する場合は、ユーザーの意図に反して自動で音声が再生される実装は不可とされている。ただし、動画サイト内で広告表示する場合は除く。

ポップアップ広告を実装する場合は、「ユーザーの行動を阻害しないタイミングで表示すること」「広告から離脱選択肢が適切に設けられており、離脱選択肢は広告に被らない箇所に44px四方以上でわかりやすく表示し、誤クリックを誘発しないこと」「一画面に複数の広告を表示させず、広告表示されている状態でもコンテンツ操作可能にすること」といった条件を定めている。

6. アドクラッター対策

 

サイトの1ページ内に複数の広告枠が掲載されているもの。このサイトについては、ユーザーがネガティブな印象を受けて、それにより広告効果が低下する恐れもある。海外ではアドクラッターを避けるべきであるという動きが、海外ではすでにあるという。

ヤフーではすでに5,900件の広告配信を停止

ヤフーでは、すでに2018年10月25日に広告配信ガイドラインを改定し、2019年3月31日までの全広告配信ドメイン数17,000件のうち、ガイドラインに抵触する約5,900件の広告配信を停止。広告品質向上の取り組みを実施している。

また、同社では、日本インタラクティブ広告協会(JIAA)などの外部団体と連携し、ガイドライン策定、調査研究、普及啓発などを行うことで、インターネット広告業界全体の不正対策の強化に取り組んでいくという。

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