60~90歳のネット利用は年代で大きな違い。EC利用は60代前半でも1回未満/月【JMAR調べ】
日本能率協会総合研究所(JMAR)は、60歳から90歳までの高齢者2,500人を対象に「高齢者ライフスタイル構造基本調査2018」を実施した。
高齢者を対象とした既存の調査の多くがインターネット調査であり、回答データに偏りがあるとみられること、また調査対象に70代や80代が少ないことなどを課題ととらえ、インターネットの非利用者も含めた60歳から90歳までを対象として郵送で調査を行ったもの。この結果を紹介する。
インターネット利用: 年齢層による違いが顕著。60代前半男性は9割が利用
パソコンや携帯電話等からのメール送受信、ホームページ閲覧等の「インターネット利用状況」を聞いた結果がこちら。
男性60~64歳では9割程度がインターネットを利用しているが、高齢になるほど利用率は低下する。「自分ひとりで、ある程度利用」できる割合は、70代後半で6割程度、80代前半で3割程度となっている。
女性の60代は男性と同程度にインターネットを利用しているが、70歳より高齢の層では利用率の落ち込みが男性より大きい。
ネット通販の利用頻度: 60代前半でも1か月あたり1回未満
「インターネット通信販売の利用頻度」を聞いたところ、60代前半であっても、1か月あたり1回未満となり、高齢になるほど利用頻度は低下した。
商品選び: 「買い物を楽しむ高齢者」は少数派
「テレビCMやチラシなどの広告で、新商品の情報をチェックしている」かを尋ねたところ、「あてはまる」「ややあてはまる」の合計値は男性は70代前半で27.0%となり、高齢になるほどその割合は低下した。女性は70代前半で29.8%、70代後半で30%を超えたが、80代になると大きく割合が低下した。
「いくつかある商品の中から、どれが最もよいかを検討するのがおっくうだ」に対して「あてはまる」「ややあてはまる」と回答した合計値をみると、男性は80代で大きく割合が高まり、4割を超える。女性は高齢になるにつれ一貫して割合が高まり、80代で5割を超える。
日本能率協会総合研究所では、「買い物を楽しむ高齢者」のイメージがあてはまるのは少数派であり、多くの高齢者は加齢とともに買い物に対して消極的になり、楽に買い物を済ませたい志向が高まると結論づけている。
健康への意識: 男性は70代後半、女性は70代前半がピーク。その後は加齢とともに消極化
「あなたは、ふだん健康に気をつかっていますか?」との質問に対して「積極的に気づかっている」「まあ気づかっている」と回答した比率は、男女ともに60代から70代にかけて上昇。しかし男性は70代後半、女性は70代前半がピークとなり、その後は加齢とともに消極化し、低下する傾向がみられた。
食への意識: 加齢とともに健康優先からおいしさ優先へと変化
食事に対する意識は「好みよりも健康や体にいいものを優先する」「好きなもの・おいしいものを優先する」のいずれに近いかを聞いたのがこちら。
女性は60歳後半で健康を優先する割合が高くなったのち、次第においしさ優先の割合が高まる。80歳前半でおいしさ優先の割合が過半数を超え、85~90歳では67%に達した。
外出: 女性のほうが頻度低下のタイミングが早い
外出頻度や高齢者向けシューズの利用状況/利用意向を聞いたものがこちら。
1週間あたりの外出日数(棒グラフ、右軸)は、男女ともに高齢になるほど低下し、85~90歳の外出頻度は60~64歳の約半分となっている。また性別による違いをみると、総じて男性より女性のほうが外出頻度が低く、70代後半以降でその傾向が顕著となる。
高齢者向けシューズの利用率(折れ線グラフ、左軸)をみると、女性は外出頻度が大きく低下する80代前半に利用率が大きく増加している。
調査概要
- 【調査名称】高齢者ライフスタイル構造基本調査
- 【調査対象】日本能率協会総合研究所が保有する「高齢者6090リサーチモニター」(全国に居住する60歳から90歳までの男女)
- 【調査方法】郵送調査
- 【調査時期】2017年12月6日 ~ 12月18日
- 【回答者数】2,500名(配布数4,000名、回収率62.5%) 性別・年齢・エリアに基づき母集団人口構成比に準拠して回収
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