JAL、離脱率90%改善のためツアー予約サイトの検索システムを一新
日本航空インターナショナル(JAL)は2月18日、旅行予約サイト「JAl eトラベルプラザ」の国内・海外ツアー予約に新たな検索システムを導入し、「JALかんたん検索」としてリニューアルした。
リニューアル後の2月24日、都内会場でJALが導入したフォルシアの検索システム「Spook」とともに、JAl eトラベルプラザのリニューアルに関する説明が行われた。
コンシェルジュサービスをECサイトで実現し“感覚的”な要望に対応
今回、JALかんたん検索を導入してリニューアルしたのは、国内ツアーと海外ツアーのECサイト。jal.co.jpのECサイトは月間2億PV、月間ユニークユーザー数300~400万人、年間売上2,000億円以上の大規模サイトに成長している。一方で、ECサイトの使い勝手が悪いといった利用者の声も届いており、利用者の感覚的な検索の要望にどうやって応えるか、プロのコンシェルジュサービスをECサイトでどのように実現するかが課題にあった。また、「旅行サイトとして発展するには、検索の充実が必要」だという、旅行専門紙の調査結果もあったことから、検索の改善を行っていったという。
従来のツアー検索では、「目的地」「国(地域)」「都市」「出発地」「出発日」という5つの条件が必須だった。人気のハワイ旅行を例に取れば、検索結果が1000件以上表示され、1件ずつクリックしなければ希望の商品が見つからない場合もあり、条件を絞り込むには、その都度条件を指定して検索しなければいけなかった。実際に、ユーザーの意見でも、「検索結果が多すぎる」「検索条件が厳しい」といった声があり、検索機能を利用した人の90%がサイトを離脱していたため、売り上げ的にも大きな損失となっていた。
そこでJALでは、フォルシアの検索システム、Spookを導入してサイトをリニューアル。一新した検索システムでは、目的地や出発日といった条件をすべて指定しなくても検索結果へと進めるようになったほか、条件に応じてリアルタイムで表示される検索結果から、日付や予算を指定して再検索できるようになった。また、検索結果と同時にその次に選択可能な選択肢の件数を表示するので、検索結果が0件になることもなくなり、利用者はあらかじめ探そうとしているツアー条件がどのくらいあるのか、条件と照らし合わせながら探せるようになった。
「ツアーを探す人は、だいたい誰と行くかは決まっているが、いつ、どこへというのは、“はっきり”していたり“ぼんやり”していたりする。ツアーの中身を見て、どれぐらいのものがあって、どれくらいの予算を追加するか考える。この、“はっきり”と“ぼんやり”とを行き来できる検索が必要でした
」(JAL WEB販売質マネジャー 丸山氏)
ツアーチケットは、日付を1日ずらすだけで今までになかったプランが見つかったり、費用が安くなったりするが、従来の決め撃ちの検索ではこうした柔軟な検索には対応できなかったが、こうした要望に応える。リニューアルから一週間と経たない2月24日の次点で、すでに離脱率改善などの結果がでているという。
リニューアルのポイント
- ツアー検索で平均5回必要だった画面遷移が1回に減少
検索条件入力と結果表示を1画面で可能に - データベースの高速処理を実現
ツアー数×在庫日数、料金の約3000万件以上のパターンを検索 - どの条件からも検索可能
日付や目的地の絞り込みは別に、詳細条件からも複数検索が可能に - 0件にならない検索結果
希望条件の次を先回りで表示するので0件にならない - ランキング上位ツアー表示
検索条件マッチした人気上位ツアーを表示
企業ごとに最適な検索DBを構築
JALが導入したフォルシアのSpookは、オープンソースを活用して開発された検索システムで、その特徴は、検索専用の最適化DBを構築する点。「クライアントの基幹システムはさまざまな制約で作られて、必ずしも検索を想定しているわけではない。フォルシアでは最適化DBのプラットフォームを作ることで、ネットや携帯ユーザーからの膨大なアクセスを一手に引き受けます
」(フォルシア 代表取締役社長 屋代浩子氏)というように、企業の基幹システムに依存しない、検索に最適なDBを構築する。高速な検索を実現するのに加え、検索結果はSpookの最適化DBから呼び出されるので、導入企業側の負荷も軽減できる。
大量の商品扱うECや旅行サイトなど、巨大なDBを有するサイトでパフォーマンスを発揮し、旅行業界ではJALのほか、JTBやANAなどにも導入されており、JTBの旅館・ホテル検索ではコンバージョン率が1.5倍に伸ばしている。
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