失敗しない! マーケティングオートメーション活用の基礎

眠っていた見込み客リストにメールでアプローチ! MA導入に失敗したピクスタがたどり着いた最適解

MA導入に一度は失敗したPIXTA(ピクスタ)のカスタマーサクセス部。「本当に自分たちがやりたいことは何か」を考えてたどりついたメールマーケティング施策とは? メール開封率を倍増させた秘訣も語ります。
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「メルマガ配信をしているが、ただ一斉送信するだけになってしまっている」「MA(マーケティングオートメーション)に興味があるが、運用にリソースが割けそうにない」「MAを導入したものの、多機能過ぎて使いこなせない」――こんな悩みを抱えているマーケ担当者は多いのではないだろうか。

日本最大級の画像素材サイト「PIXTA」を運営するピクスタでは、メール配信ツールからMAツールへの架け橋となる「配配メール Bridge」を導入し、“眠っていた”見込み客に適切なメール配信を行うことで、メールの開封率を倍増させ、顧客化や売り上げにつなげている。

実際にどのような活用をしているのか、ピクスタ カスタマーサクセス部の福本氏に、導入の背景や活用方法、導入効果まで詳しく聞いてみた。

数千件の見込み客リストが眠ったままだったピクスタ

ピクスタグループは、写真、イラスト、動画などのデジタル素材販売マーケットプレイスの「PIXTA(ピクスタ)」、家族・子ども向け出張撮影プラットフォームの「fotowa(フォトワ)」、SNSになじむ写真投稿・販売・撮影サービスの「Snapmart(スナップマート)」の3事業を展開するクリエイティブ・プラットフォーム企業だ。

同社の主力事業であるPIXTAには、34万人以上のクリエイターが登録し、5,400万点以上の写真やイラスト、動画が販売されている。日本生まれ日本育ちのサービスであることから日本人クリエイターが多く登録しており、日本人モデルや日本の風景、文化や風習にあった素材が充実しているのが特長だ。

日本人モデルや日本の風景、文化や風習にあった素材が多い「PIXTA(ピクスタ)」

そんなPIXTAのカスタマーサクセス部は2チームに分かれている。一つは素材を購入しようとしている、あるいはすでに購入している顧客のサポートをするチーム、もう一つが、福本氏の所属する営業チームだ。

営業チームは、Webサイトからは購入できないカスタムプランや大量購入を検討中の企業に向けて、その企業のニーズに合わせた活用提案を行っている。

ピクスタでは以前から購入者に対しては定期的にメルマガを配信し、新しいプランの告知や活用のアイデアを提供していた。しかし一方で、「問い合わせを頂いたものの購入につながらなかった」「訪問営業やイベントなどで名刺交換したものの、その後のフォローができていなかった」などの見込み客に向けての情報提供ができていなかったという。

営業担当者が個別にセミナーや新プランをメールで知らせることはあったが、部署の施策として、定期的な案内や顧客ナーチャリングが行えていなかったのだ。

営業担当がそれぞれバラバラに持っていた“眠っている”見込み客リストを整理してみると、2,000~3,000人に登ることがわかりました。メールを活用した顧客育成の重要性は認識していたため、チーム内でも「結構あるね。これは活用しないともったいないね」という話になりました(福本氏)

福本 早也香氏
ピクスタ株式会社 PIXTA事業本部 カスタマーサクセス部 福本 早也香氏

テスト導入したMAツールは失敗に終わる

見込み客リストをどう活用するか検討を始めたのは2019年の夏頃。そのタイミングでちょうど、全社的に外資系のMAツールをテスト導入したため、福本氏ら営業チームは早速そのMAを活用しようと試みた。

――しかし、このMA活用はうまくいかなった。

試してみたものの、活用の前段階でMAと顧客データベースの連携がうまくできなかったんです。そもそも運用までたどり着けなかった(福本氏)

MA導入のよくある失敗のひとつにあげられる「最初のデータ連携」でつまずいてしまったわけだが、そのMAベンダーのサポートは有償だったため、テスト段階では導入の初期サポートすら受けられず、その問題を解決できなかったのだという。そこで福本氏は改めて「営業チームとしてやりたかったこと」を見つめ直すこととした。

やりたかったことは、「MAを導入すること」ではなく、「見込み客リストに適切なメールを配信してアプローチすること」です。

MAは、見込み客だけでなく既存顧客も含めてカスタマージャーニーマップを作成し、行動に応じて顧客をスコア化し、さらにスコアにあわせたアプローチをしていくことが基本になると思いますが、そこまで複雑化する必要はないと感じました。今の私たちにとってMAは対象が広すぎたのです(福本氏)

MAにこだわる必要はなく、まずは安定的に見込み客に対して適切なメール配信ができればよいという観点からツールを選定しなおし、選ばれたのが「配配メール Bridge」(以下、Bridge/ブリッジ)だった。

Bridge導入の決め手は「コスト」と「ユーザー行動の可視化」

ラクスが提供するBridgeは、「今以上の業務運用やシステム管理に対するリソース追加は難しくても、もう少しメールマーケティングを強化したい」という企業にオススメのメールマーケティングサービスだ。一般的なMAの中でもよく使われる機能を簡素化し、あまり使われない機能や設計が複雑な機能はそぎ落とした。

メール配信からMAへの架け橋となるツールにしたいという意図から「Bridge」の名前を冠しており、実際に、Bridgeによるメール配信を通して顧客アプローチの勝ちパターンを発見してから、改めてMAに移行した事例もあるという。

ピクスタのBridge導入の決め手は2つだ。

  • 魅力的な料金体系
  • ユーザー行動が可視化できる

他のメール配信ツールではメールの通数に応じた料金体系のため、費用の見込みが立てづらいという問題があったが、Bridgeは顧客リスト数での課金のため、発生コストがわかりやすかった。

機能的には、メールの配信はもちろん、ユーザー行動の可視化ができることも評価した。福本氏には「誰がどのメールを開封したか」「誰が開封後にサイトを訪問したか」などの行動をリアルタイムに可視化し、ユーザー行動をもとにインサイドセールスにリストを渡したいという狙いがあり、Bridgeはそれを叶えることができたのだ。

見込み客が動いたらインサイドセールスがフォロー

Bridgeの導入後、ピクスタでは月に2回見込み客にメールを配信しはじめた。内容は営業的なものではなく、購入者向けオウンドメディア「ピクスタアンテナ」から記事を一部抜粋するなどして、素材活用のお役立ち情報を配信している。

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購入者向けオウンドメディア「ピクスタアンテナ」から抜粋したお役立ち情報をメールで配信

メール配信後は、「メールを開封した顧客」や「サイトを訪問した顧客」をBridgeで把握し、素材活用に興味のある見込み客としてリスト化。そのリストをインサイドセールスが確認し、顧客の反応に応じて、電話やメールなどのフォローを行なっている。

メール開封やサイト訪問などの行動がない人にも、継続的にメール配信を続けていると、ある時、急に開封、サイト訪問と動くことがあります。検討の段階になるまで、嫌がられない頻度でお役立ち情報を送りながら、サービスをリマインドすることが重要だと改めて感じます(福本氏)

また、サイト内にはBridgeの来訪を通知するためのタグを設定しており、見込み客がサイトを訪問したらリアルタイムに営業に通知が飛び、営業がすぐにフォローできるようにもなっている。Bridgeではサイト訪問をトリガーとして顧客にメールも発信できるが、「現在は、行動に応じてインサイドセールスが個別対応し、勝ちパターンを探っている最中。勝ちパターンがつかめたら、いずれはサイト訪問をトリガーにメールも自動配信していきたい」と福本氏は話す。

さらに今後は、セミナーを実施して新規リードを獲得し、そこに向けて、会員登録から素材購入につながるまでBridgeのステップメール機能を活用して段階的にメールを配信し、ナーチャリングしていくことも計画しているという。

手厚いアフターフォローとアドバイスでメール開封率も倍増

国産ツールであるBridgeはその使い勝手やアフターフォローの良さも強みのひとつにあげられる。

Bridgeは使い勝手もわかりやすく、最初から迷うことなく利用できています。わからないときは問い合わせをすれば、すぐにカスタマーサクセス担当者から連絡をいただけて解決できるので助かっています。システムのアップデート頻度も高く、細かい改修をよく行っていると感じています(福本氏)

また、ピクスタがこれまで顧客に送っていたメールの開封率は15%ほどだったが、Bridgeを利用して見込み客に一斉メールを送信するようになってから、メールの開封率は約30%と倍増した。その裏側にもカスタマーサクセスの力があるのだという。

Bridgeのカスタマーサクセス担当からのアドバイスに加え、ラクスでは顧客向けのメールマーケティングセミナーも頻繁に行っている。福本氏は導入時にセミナーに参加して「メールの開封率を上げる文言のコツ」など、メールマーケティングのプロであるラクスのノウハウを学んだ。その技をフル活用することが開封率の向上につながったのだ。

目に見えた成果はメールの開封率だけではない。インサイドセールスがアポを獲得しての訪問営業につながったり、メール経由での定額プラン入会、休眠会員の利用再開、既存顧客のプランアップグレードが増加したりするなどで、売り上げにも確実な成果が出ているという。

顧客の行動に即したメール配信を手軽に行えるBridge

ピクスタは、MAの導入でつまずき、自分たちがやりたいことを見つめ直した結果、Bridgeにたどり着いたが、そういう事例は他にもあるのだろうか。ラクスの配配メールBrigde プロダクトオーナーの石川氏は、「他にも、MAからBridgeへのリプレース案件はありますね」とうなずく。

石川 太郎氏
株式会社ラクスMC事業部 配配メールBridgeプロダクトオーナー 石川 太郎氏

ピクスタのようにデータ連携でつまずくケースもあるが、「スコアリングの初期設計が思うようにできていない」という例もあった。本来スコアリングは、受注から逆算して行動に点数をつけて緻密に設計し、運用しながら改善しないとうまく機能しない。

なんとなくスコア化して、スコアがあがったからと営業に回しても、実際にはホットリードになっていないから案件化せず、成果が上がらないということも多いのです(石川氏)

当初のスコア設計が間違っていても、仮説検証のPDCAを回し続ければ改善できるが、マーケティング担当にそこまでリソースがない場合も多い。ラクスの調査によると、中小企業のマーケティング担当の76%は他の職務とマーケ担当を兼任しているという。やらなければならないことは多く、MAだけに注力はできない。

こうした状況の中で、「MAを認知しているものの、自社ではリソースが足りない」と感じつつも、一方で、メールの自動化やステップメールなどに興味を惹かれているというマーケ担当者にオススメしたいのが「配配メール Bridge」というわけだ。

手軽に使えるBridgeのイチオシポイントを3つ紹介しよう。

ポイント ① 手軽にホットリード抽出

Bridgeでは、「この人は、3ヵ月以内に5回以上メールを開封している」「特定期間内にメール内のURLを3回クリックした」など、メールへの反応をもとにユーザーを抽出する「ホットリード抽出機能」を備えている。

これって意外とメール配信サービスやMAにはついていない機能なんです。メール一通ごとの開封履歴は見られても、「3ヵ月以内に5回以上開封」といった条件で抽出できる機能は他のツールにない、Bridgeの強みです(石川氏)

メールに複数回反応する人は、無反応の人よりもホットリードの可能性が高いので、リスト化してインサイドセールスにフォローしてもらうなど、個別対応につなげることができる。Webサイトに来訪タグを設定することで、「月に3回以上サイトにアクセスした人」というような抽出も可能だ。

ポイント ② 自動でリアルタイム来訪通知

WebサイトにBridgeのタグを設定しておけば、リード情報を獲得済みのユーザーがサイトに来訪したときに、リアルタイムで営業担当にメールで通知を飛ばすことができる。顧客が商品を検討しているタイミングで、営業がすぐに連絡をすれば、商談につながりやすい。

タグ設定は他のツールと同様に、特に難しい作業は不要だ。直接コードを書くこともできるし、タグマネージャーからも設定できる。サイトにタグを貼って設定するだけで、あとは自動でメールが飛ぶため、マーケ担当者も楽だろう。

ポイント ③ 充実のアフターフォローとアップデート

福本氏も話したように、ラクスはカスタマーサクセスに注力している。カスタマーサクセス担当だけでなく、営業も、見込み客に配信しているメールを見て改善提案をしたり、運用のアドバイスをしたりしているという。

ラクスは「ツールではなくサービスを売る」をモットーに、人によるコンサルを強みにしています。セミナー、営業、カスタマーサクセスが一気通貫して、ギブの精神でフォローします(石川氏)

その一環として、開発にも力を入れており、四半期に1回は大型のアップデートを行っている。追加する機能はマーケットインで考え、昨年度実績によると導入企業165社にヒアリングした困りごとや要望から優先的に開発するようにしているという。

コロナ時代に重要度が増すメールマーケティング

新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、リモートワークとなった会社も多い。出社する人がいないので「電話がつながらない」「訪問営業ができない」という営業の苦悩の声を聞く一方で、新たな打ち手としてメールマーケティングがその強みを増している。

HubSpot社のデータによると、これまで平均数%台だったメール開封率が、コロナウイルスが感染拡大した2020年3月以降は十数%まで上昇した。ラクスでもその時期から、見込み客にメールを配信した際の開封率やアポなどの反応が増加したという。

石川氏は、「Bridgeはメールマーケティングを楽にします」と胸を張り、「まずは今あるリード情報を、Excelでもいいので一つのリストにしてみてください。それさえあれば、Bridgeに取り込んですぐにメールマーケティングが始められますから!」と強くアピールした。

◇◇◇

MAツールは高機能だが、導入したものの使いこなせず、“高価なメール配信システム”になってしまっているケースは多い。一方、よく使われる機能をシンプルな形で搭載した「配配メール Bridge」は、料金設定もリーズナブルで、使い方も簡単だ。

  • リードにメールでアプローチしたい
  • マーケ担当のリソースが足りないので手軽に運用したい
  • 予算が限られているのでなるべく安価に導入したい
  • まだ自社のメールマーケティングの“勝ちパターン”を把握できていない
  • MAの導入はハードルが高い、MAを導入したが失敗した

こんな方は、「配配メール Bridge」を検討してみてはいかがだろうか。

※ インタビューは、感染症の拡大防止を鑑み、リモートで行われた。写真は別日に撮影。
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