新しい文章力の教室 ~苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング

その文章、欲張りすぎているのでは?

「完読される文章」を書くために、ひとつの文に乗せる情報量をコントロールできるようになりましょう。実用文なら「一文一義」が基本です(第4回)

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この記事は、第2章「読み返して直す」から、Chapter 2-25「ひとつの文で欲張らない」の内容をお届けします。

ひとつの文章に乗せる情報量をコントロールできるようになりましょう。一文で朗々と語り継いでいくスタイルは美文調ともいわれ、雄弁なイメージを持たれがち。しかし読み手にとっては文意を追う負荷が増える一方であり、実用的な文章には不向きといえます。

× キュレーションとは要するに見かけのいいバケツであって、水をくむ場所がなければ成り立たないのだが、現在はその水をくむ場所を作ることが軽視される傾向があるようにも思われるため、ナタリーでは記事を生産し、内容を作り出す、つまり水の湧き出す井戸の役割を担うことをポリシーとしている。
○ キュレーションとは要するに見かけのいいバケツであって、水をくむ場所がなければ成り立たないものだ。しかし現在はその水をくむ場所を作ることが軽視される傾向があるようにも思われる。このためナタリーでは記事を生産し、内容を作り出す、つまり水の湧き出す井戸の役割を担うことをポリシーとしている。

基本のスタイルは一文一義の原則。情報を小分けに運ぶと、混乱も負荷も減らすことができます。改善文では、原文をトピックのかたまりごとに3つの文に分け、接続詞を補いました。

1文目は「キュレーション」について、2文目は現在の「傾向」、3文目はそれを踏まえた「ナタリーのポリシー」です。一連の文で言いたいことが、段階を踏んですっきりと伝わる文になったと思いませんか。

ちなみに1文目は「キュレーションとは要するに見かけのいいバケツである。」と単文に分割することもできますが、「水をくむ場所がなければ成り立たないものだ。」という内容とのつながりが強いため、複文のままで残しました。一文一義と言っても、すべてを単文にバラすということではないのに注意しましょう。

文芸の世界ならともかく、実用的な文章の世界では、わかりやすさが第一。ギリギリぶっきらぼうではないくらいの素朴さがいい湯加減です。

新しい文章力の教室 ~苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング
  • 新しい文章力の教室
    ~苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング
  • 唐木 元 著
  • 発行:インプレス
  • ISBN:978-4844338727
  • 価格:1,300円+税

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