WordPressの「カスタム投稿タイプ」を使えば企業サイトらしいページを作りやすい仕組みを実現
WordPressの「カスタム投稿タイプ」を使えば
企業サイトらしいページを作りやすい仕組みを実現
直子 WordPressで作ったサイトがアメブロなどのブログサービスと違うところは、ホームページとして企業サイトらしい体裁にできるという点と、自分のドメイン名でサイトを持てるという点です。やはり企業の顔となるホームページですから、独自の場所(ドメイン名)で企業らしい見栄えのほうが、信頼感がありますよね。
ページのデザイン(見栄え)やサイトの構造と、コンテンツの中身が分離しているのはどのブログサービスでも同じですが、WordPressでは、書きためたブログ記事をサイト内で生かしたホームページの設計を後から行うこともできます。1年かけてブログを100記事ほど書いたあとでも、それを含めたサイト全体のデザインを一気に変えることも可能です。エクスポート・インポート機能もあり、新たなサイトを立ち上げても過去のコンテンツが無駄になることはありません。
小賀 企業も生き物なので、売りたいものが変わったら見せたいものも変わりますし、ニュースが1本しかないときと500本や1000本あるときでは、きちんと見せる方法も変わりますからね。
直子 WordPressが単なるブログツールではなく「コンテンツ管理システム(CMS)」でもある理由の1つとして、「カスタム投稿タイプ」という機能があります。標準ではWordPressのダッシュボードにあるのは「ブログ投稿」と「固定ページ」の2つの投稿タイプだけですが、ここに独自の投稿タイプを加えることができるのが「カスタム投稿タイプ」機能なんです。
小賀 たとえば企業サイトに「商品情報」というページがあるとしましょう。商品ページに出したい情報としては、
- 商品名
- 商品の写真
- ブランド名
- 発売日
- メーカー名
- 価格
- 説明文
といった項目がある。これを「ブログ投稿」で毎回作るのはとても面倒です。たくさんある項目をどれか入れ忘れたり、画像の回り込みの指定がうまくいかなかったり、しばらく運用しているとレイアウトがぐちゃぐちゃになって困る人という人がとても多い。
そこで、「商品情報」というカスタム投稿タイプを作って、「どんな情報を入力するか」「入力された情報をどうページで表示するか」を決めておくのです。
そうすると、WordPressのダッシュボードから「商品情報」を投稿するときには、あらかじめ決めておいた「商品名」「メーカー名」など入力項目のフィールドが表示されるので、その通りに埋めていけば入力漏れもないし、誰がやってもいつも決まった見た目のページができあがる。
ほかにも、「プレスリリース」という投稿タイプを作っておくとか、こういった仕組みにすると、実際に入力する企業のWeb担当者さんは効率よく更新できるようになりますし、「あそこの表示が崩れてるから直して」というのが減ります。僕らのような開発側にとっても、データ設計がシンプルになってわかりやすくなるので、両方ハッピー。
全部「ブログ投稿」でやっていたら、更新内容一覧に全部ごちゃまぜに並んでしまいますが、カスタム投稿タイプで分けてコンテンツを入力しておけば、投稿タイプごとにコンテンツを表示したり、入力項目を絞り込んで検索したりできるようになるんです。
――いわゆる「カスタムフィールド」の類ですね。CMSとしては必須の機能だといえます。
小賀 この機能を理解してうまく使うことが、管理しやすいサイトを作るキーポイントだったりします。ただ、僕らのような業者はこれを使いますが、初心者には難しいんですよ。「カスタム投稿タイプを追加」みたいなボタンはなくて、コードを書かなきゃいけないので。
だから、プログラミングが苦手な人は、自分が必要としているカスタム投稿タイプが設定されている「テーマ」を探して何十個もいちいち開いてみることになる。
そんなカスタム投稿タイプをだれでもうまく使って企業ホームページを更新できるように、「カスタム投稿タイプを扱う機能をホームページ・ビルダーに付けたら」と提案したら、すでに対応する開発中とのことだった(笑)。
……ここでジャストシステムのホームページ・ビルダー担当者(國府田氏/中江氏)もインタビューに参加。
ジャストシステム 今回のホームページ・ビルダーには、「ニュース」「FAQ」「商品情報」など企業ホームページでよく使われる9種類のカスタム投稿タイプが、あらかじめ用意されています。
それだけでなく、ホームページ・ビルダーで設定した投稿タイプはWordPressのダッシュボードをシンプルにした「hpbダッシュボード」で手軽に新規投稿や編集できるようになっています。だから、ホームページ初心者の方でもWordPressサイトに簡単にカスタム投稿タイプを追加できて、企業サイトや店舗サイトに最も重要な日々の更新を効率よく運営できるようになります。
公式ドキュメントやコミュニティではフォローしきれない
「初心者向け」ヘルプも提供
――WordPressはオープンソースなのでサポートが心配だという不安もあるようですが。
小賀 実際には、WordPressはコミュニティが充実しているので、日本語で書かれている情報はたくさんあるんですよ。ただ、検索するとたくさん出てくる情報には古いものも含まれているので、どれが自分に必要な最新の情報か選ぶのが大変なのも事実です。
初心者ならなおさらですよね。WordPressの書籍もありますが、開発者向けやデザイナー向けで、初心者のエンドユーザー向けのものは多くありません。フォーラム(掲示板)があるといっても、初心者は知らないでしょうね。マニュアルもありませんし。
直子 オープンソース版WordPressの公式ドキュメントは、エンドユーザー向けマニュアルよりも開発者向けの技術情報が充実している傾向があります。というのも、オープンソースコミュニティではマニュアルを作るよりもWordPressを良くすることや、カスタマイズに手間をかけていきたいと思う層の方が厚いので。
そもそも「マニュアルがないと使えないようではだめ」だと思っているので、スマホのアプリのように、誰でもすぐに使えるものにするためのインターフェイスの改善に毎バージョンとても力を入れています。
小賀 とはいえ、やはりうまくいかなくて困ってしまう人はいますよね。うちも会社として「WordPressを専門にやっています」として連絡先を出しているので、駆け込み寺みたいに相談の電話がかかってきちゃうんですよ(笑)。昔はある程度フォローしていたんですが、もう最近は多すぎて対応できないので、そういう電話が来たら、まず「お見積ですか」って聞くことにしてます(笑)。
その代わりにというわけではないのですが、仕事としてサイト制作する場合はWordPressの操作マニュアルみたいなものを作って渡していましたので、基本的な共通のマニュアルをまとめて「め組マニュアル」として公開しています。でも僕らがこれを最新の情報に合わせて更新し続けるのは、実際のところ厳しいですね。カスタム投稿タイプのことまでは入っていませんし。
それに、企業ホームページを作りたい人は、一般的な操作方法の説明書が欲しいのではなくて、企業向けホームページを作るという特定の作業の手順が知りたいわけですよ。
――そうした部分のフォローをホームページ・ビルダーが担うと。
ジャストシステム 最新のバージョンには専用のWordPress編マニュアルが付いてきます。
小賀 ホームページ・ビルダーを使ってWordPressで更新できる企業ホームページを作る一連の操作のガイドがあるので、その通りに作れば絶対に完成する。
「自分で作りたい」というモチベーションがあって、でもスキルは不安だという人が、僕らのような業者に頼んだら数十万円からことによったら数百万円かかってしまうようなサイトを、ホームページ・ビルダーでサクサク作れる。それで、いくらでしたっけ。
ジャストシステム 1万4,800円です。これで5インシデントの電話サポート込みです。
小賀 ユーザー向けのマニュアルや電話サポート込みで提供するのは、僕らのようなWeb制作会社単体ではなかなかカバーできないことですからね。この値段なら、まずは自分でやってみて、しばらく運用してから「もっと活用したいけど、これ以上は自分だけじゃ無理」となったら、僕らのようなプロに相談してもらえばいいんですよ。そうやってWordPressのユーザーやサイトが増えれば、結果的には、僕らと同業の制作会社やクリエーターにビジネスチャンスも広がることになると思っています(笑)。
直子 WordPressの裾野が広がるという意味では大歓迎です。ホームページ・ビルダーの影響でさらに幅広い層の人に使われることによって、WordPress自体も成熟していくのではないでしょうか。楽しみです。
小賀 そもそもWordPressはオープンソースですから、人に頼んでやってもらうのではなく、自分で好きにやりましょうというのが基本ルールです。自分で解決する方法をチョイスするのが基本。グーグルで調べるとか本を買ってくるとか。そこに初心者でも学びやすい「ホームページ・ビルダーで作る」というチョイスが加わる形ですね。
ホームページ・ビルダーでWordPressサイトを作れば
あなたもコミュニティの一員
――WordPressの特長を一言で表すと何でしょう。
直子 使い方は人それぞれなのですが、WordPressの最大の特長の1つが「良いコミュニティがある」ことでしょう。開発者はもちろんユーザーさんでもオープンソースの文化を尊重し、「WordPressを育てて良いものにしていこう」と思っている人は多いと思います。
小賀 そう、人ですよ。WordPressの強さは「人」。
直子 今こうやって注目してもらっているのはWordPressで作ったサイトの数が増えてきたからですし、そもそも使ってくれる人がいるからこそ、WordPressというソフトウェアを作る意味があるんです。そういう意味では、ユーザーさんを含めたWordPressコミュニティは非常に大切です。
小賀 WordPressをダウンロードした瞬間から、もう仲間だと思ってますよ。
直子 そうですね。ホームページ・ビルダーの機能でサイトを作っても、自分で本家からダウンロードしてインストールしても、WordPressを使い始めた時点から、世界中みんなで一緒に育てているWordPressコミュニティに加われるんです。助けてもらいながらフィードバックすることで、誰でも少しずつ貢献できるつながりの広さは、他のツールにはないものです。
小賀 WordPressコミュニティは、新しいメンバーを歓迎しますよ! ジャストシステムさんとも仲間になり、誰でも簡単に今すぐ参加できるようになります!
ジャストシステム 実は、発売日は10月5日なので……もう少しお待ちいただけると……。
小賀 そうでした。待ち遠しいですね(笑)。これは、おべんちゃらではなく、本当の気持ちですよ。WordPressコミュニティの一員として、本当に良いと思えるから協力して良い製品、そして良い関係を作れたと思っています。僕、本気でそう思ってなかったらすぐ顔に出ちゃうから、このインタビューも引き受けませんもんねぇ。
直子 確かに(笑)。
ソーシャルもやってます!