RFPの内容が反映されているか
コラム見積書の詳細
見積もり書のチェックポイント
CMSを導入してウェブサイトをリニューアルする場合に発生するであろう作業内容に合わせた、見積書の一例をサンプルとして作成してみた。CMS導入の見積もりは、大きく次の3段階、CMSの仕様やサイトの設計を決める「基本設計」、ページデザインやテンプレート制作などの「開発」、CMSにコンテンツを投入する「コンテンツ移行」に分けられる。サンプルは開発のものだ。
以下、提出された見積書の内容をチェックする際のポイントを挙げてみよう。
RFPの内容が反映されているか
見積もりというと金額に目が向きがちだが、まずは前提条件がクリアされているか、成果物(納品物)の形式は依頼内容に即しているかなど、RFPで示した要件が満たされているかを確認する。必ずクリアすべき前提条件や作業項目に漏れがあるなら、追加する必要があり、それによって見積額も変動する。また、納品物の詳細も確認しておくこと。見積書とは別に、納品物一覧の提出を依頼するのもいいだろう。
一式ではなく詳細項目が書かれているか
「一式」という表記になっている見積もりは、必要な項目が含まれているか判断できないだけでなく、必要のない項目が上乗せされている可能性もあるので注意が必要である。タスクが細かく分けられ、それに対応する金額が1つひとつ書いてある見積書が望ましい。
大幅な予算超過は調整できることもある
提出された見積書が想定していた予算を大幅に超過しているケースもある。その場合、制作会社がリスクを大きめに見積もっているためにコスト高になっている可能性もあるので、超過の理由を聞いたうえで、金額調整してもいいだろう。なお、RFPの内容に問題があってコストがかさんでいるというケースも少なくない。
また、ウェブサイトのリニューアルで必ず発生するのが、コンテンツ移行だ。コンテンツ移行は、ボリュームと単価の単純な掛け算になるケースが多く、その分費用もかさみやすい。本当に移行すべきコンテンツは何かを精査することが必要である。
制作会社によっては、見積書と一緒に「作業範囲記述書」(SOW)と呼ばれる書類を提出する場合もある。SOWは文字通り、制作会社の作業責任がどこからどこまでかを明らかにするもので、「これしかやりません」という宣言のようにも見えるが、SOWを作成することで「コンテンツの移行はやってもらえると思っていたのに……」といった食い違いが後々発生しにくくなる。見積書とともに、SOWの提出を依頼することをぜひお勧めしたい。
スケジュール、コスト、品質のバランスは適切か
RFPと同様、見積書でも、コスト、品質、スケジュールはそれぞれ相関している。コストが他社に比べて極端に低い場合は、その分、品質や作業進行に問題があると考えるべきである。
見積書は、パートナーを選定するための重要なデータであって、額面だけを見るべきものではない。見積額が低い会社には低い理由が、高い会社には高い理由がある。それを見極めることで、その会社がパートナーにふさわしいかどうかが明らかになる。
なお、CMS導入のコストは、CMSベンダーに支払うライセンス料を除けば、ほぼ人件費である。一般に、ウェブサイト制作のコストのほとんどは「人」に関する費用で占められる。
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