クチコミ国内事例(1):大手企業の直販サイトに連動買い物のプラットフォームSNS名:ビルコレ運営者:ビルコム株式会社
クチコミ国内事例(1):
大手企業の直販サイトに連動買い物のプラットフォーム
SNS名:ビルコレ
運営者:ビルコム株式会社
統合型マーケティング業務を展開するビルコム株式会社の立ち上げた「ビルコレ」は、さまざまな業種にわたる企業の直販サイトと連動し、クチコミによる誘導を行うのが特徴だ。たとえば、レンタルビデオ・DVDの「TUTAYA Online」、コンピュータの「Apple Store」や「Sony Style」のほか、食品系、ファッション系、美容健康に関連する企業の直販サイトやホテルの予約サイトなど、2006年7月末現在で75社が名を連ねる。
同社がターゲットとして考えているSNSの参加者像は、ある程度の可処分所得を持つ層。自由にお金を使え、たとえば「mixi」の参加者より年齢的に一段高い層を狙う。「ビルコレ」参加者数は2006年7月25日現在で約1万5000人、1年間で参加者数30万人を目指す。
社交の品質を維持する
SNSは趣味の合う仲間からの信頼できるクチコミのネットワークに立脚する。このクチコミを購買行動に結びつけるために活用されるのが、ソーシャルブックマークの仕組みだ。参加者のマイページにはプロフィールや友人たちのリストのほか、これから買いたい商品(ウィッシュリスト)や、すでに購入した商品(コレクションリスト)が並ぶ(図3)。
また、クチコミを有効に働かせるためには、SNS内の雰囲気や社交が高い品質のまま維持される必要がある。これが壊れると、ブランドの失墜などのリスクも考えられるからだ。まして「ビルコレ」の場合は、多数の企業が参加するSNSだから、運営が非常に重要になってくる。
このための「ビルコレ」の工夫の1つが、友達申請の仕組みにある。「ビルコレ」は無料登録制。しかし、共通の友人がいるか、お互いが足あと(訪問履歴)にコメントを付け合うなど何らかの社交がないと、友達として登録できない。
このように、運営者が条件を定め、参加者がその条件をクリアして初めて友達申請をさせるというのは、おもしろい発想だ。SNSには、入り口の狭い招待制を採用してクローズドなコミュニティにしておきながら、内部が無法地帯になってしまう例もあるが、「ビルコレ」は信頼性という面での差別化を図っていることになる。
ごひいき企業のファンコミュニティ
「ビルコレ」では参加者は好きな企業・ブランドを「ごひいき」として登録し、ファンコミュニティを立ち上げることができる。たとえばAmazon.co.jpのコミュニティでは、コミュニティに登録したメンバーがAmazon.co.jpで買った物の一覧がコメント付きで並ぶ。対象となる企業がこのコミュニティを公認すれば、ごひいき企業の公認コミュニティとなり、企業からイベントなどの先行情報が提供される。
参加者にとっては、より充実したコミュニティとすることができ、Eコマースサイト企業にとっては、SNS内の顧客クラブとして運営することができる。一方、ビルコムにとっては、個々としてはニーズの少ない商品を集合させるロングテール型マーケティングの応用として、大手企業のニッチ商品に狙いを定めていると考えられる。
すごいのは、「ビルコレ」出店企業に対して完全な売り上げベースでの手数料を提示している点。通常、楽天などインターネット上のショッピングモールでEコマース事業を始める企業は、出店時の一時金や月額の固定費を支払わなければならないが、「ビルコレ」の場合には、売り上げが発生したときに応じて売り上げ金額の一定割合を支払うという完全成果主義が取り入れられている。
また、参加者が商品を購入したときや参加者のお気に入りリストなどを経由して商品が買われた場合、その商品に応じた「ビルコレ」内のポイントが、購入者と紹介者双方に発行される。このポイントは1ポイント1円換算で換金でき、購入者と紹介者それぞれの側面からショッピングをうながす動機付けとして働く。
SNSに本格的なソーシャルブックマークの概念を持ち込んだ「ビルコレ」。はたして質のよい参加者を数多く集められるかが、これからの勝負だ。
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