生成AIをカスタマーサポートに導入で顧客対応時間を5%削減する米家電量販店最大手のBest BuyのAI活用 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ | ネットショップ担当者フォーラム

ネットショップ担当者フォーラム - 2024年4月25日(木) 08:00
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生成AIの活用によってカスタマーサポートの効率化、社内スタッフの負担軽減に取り組むBest Buyの戦略とは

米家電量販店最大手のBest Buyが、生成AIの活用によってカスタマーサポートの効率化、社内スタッフの負担軽減に取り組んでいます。Best Buyによる生成AIを活用した取り組みの展望と、近年の業績不振による社内体制の転換、今後の見通しについてまとめます。

生成AIアシスタントがカスタマーサポートをサポート

米国家電量販店最大手のBest Buy(ベスト・バイ)は4月9日、カスタマーサポートに生成人工知能(AI)を導入すると発表しました。Google Cloud、Accenture(アクセンチュア)と協業し、「よりパーソナライズされた、最高の技術サポート体験」と呼ぶ生成AIを活用したカスタマーサポートを提供します。リリースは2024年夏頃の予定です。

展開するのは自社ECサイト「BestBuy.com」、アプリ、コールセンター。顧客からの問い合わせに生成AIアシスタントが対応します。

AIアシスタントの導入で、配送スケジュールの変更、定期購入や会員アカウントの管理など顧客が自らが問題を解決できるようになるとBest Buyは説明しています。

生成AI活用のイメージ(画像はBest Buyのコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)生成AI活用のイメージ(画像はBest Buyのコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)

また、Best Buyはカスタマーサービス担当者の負担を減らす目的でも生成AIを活用します。生成AIアシスタントは、顧客からの問い合わせにどのように対応すべきかを、担当者にリアルタイムで推奨。顧客との会話内容を要約し、将来的により良い提案を行うために通話データを利用することもできるそうです。

Best BuyのCEOであるコリー・バリー氏は2024年2月、投資家に対して次のように説明しました。

AIの活用によりデータ収集の精度が向上し、また、カスタマーサポート担当者が顧客に対応する平均時間は約5%短縮します。(バリー氏)

店舗の従業員も生成AIの恩恵を受けられるようです。Best Buyは、店舗従業員がより効率的に店頭の顧客をサポートするため、会社が保有するデータベースや商品の取り扱いガイドに簡単にアクセスできる生成型AIアシスタントの開発に取り組んでいます。また、バリー氏によると、Best Buyはより効率的な商品の配送・設置スケジュールの作成にも生成AIを活用しています。

Best Buyの自社ECサイト「BestBuy.com」(画像はサイトから編集部がキャプチャ)Best Buyの自社ECサイト「BestBuy.com」(画像はサイトから編集部がキャプチャ)
テクノロジーハブの新設を計画

これに加え、Best Buyはインドのバンガロールにテクノロジーハブを新設する予定で、生成AIの能力開発にさらに投資します。テクノロジーハブは2024年後半にオープンする見通しです。

この拠点により、Best Buyは、より効率的に、優秀な人材とスキルへのアクセスを拡大することができます。(バリー氏)

Best Buyの近年の業績+人材解雇の狙いとは レイオフを実施

Best Buyが自社の技術サポートや修理を担うチーム「Geek Squad(ギーク・スクワッド)」スタッフを解雇すると報じられた数日後、Best BuyはカスタマーサポートのAI導入に関する今回の新戦略を発表した。

オンライン取材のなかでバリーCEOは、2024年のレイオフ(人材の一時解雇)の計画について言及。「Geek Squad」の修理部門において「さらなる効率化」に注力する方針です。Webメディア『404 Media』の報道によると、Best Buyは4月に「Geek Squad」のスタッフの一部を解雇しました。Best Buyは解雇した従業員の具体的な人数は明らかにしていません。

この人員削減について、バリー氏は次のように述べています。

企業のリソースを再配分し、必要な資産をAIやその他の要素に充てんできるようにする目的です。現場の労働リソースのバランスを調整する取り組みの一環とも言えます。数年前の想定よりも販売量が減少する見込みのため、企業運営の一部を適正化する必要があるのです。(バリー氏)

2024年度の業績見通しは“良くても前年横ばい”

2023年度第4四半期(2023年11月期-2024年1月期)におけるBest Buyの米国国内の売上高は、前年同期比0.9%減の134億1000万ドルでした。これは、米国国内の売上高が前年比で5.1%減少したことが一因です。商品カテゴリーで見ると、ゲーム関連の売り上げは前年よりも増加したものの、ホームシアター、家電製品、携帯電話、タブレットの引き合いが減少しました。第4四半期による純利益は4億6500万ドルで、前年同期は4億9500万ドルでした。

2023年度通期(2023年2月-2024年1月期)の米国国内の売上高は、前期比6.3%減の401億ドル。既存店舗の売上高は同7.1%減少しました。営業利益も前期の16億3000万ドルから、2023年度は14億7000万ドルの減益となりました。

Best Buyは同様の業績見通しが2024年度も続くと予測しています。売上高は413億~426億ドルとなる見通しです。最も売れ行きが落ち込んだ場合、米国国内の売上高は前期比で3.0%減となる見込みです。そうはならなくても、横ばいなら良い方だと予測しています。

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オリジナル記事:生成AIをカスタマーサポートに導入で顧客対応時間を5%削減する米家電量販店最大手のBest BuyのAI活用 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ
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この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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