メタバース、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)などデジタル技術とバーチャル空間の融合サービスに注目が集まっています。進化するバーチャルテクノロジーは、没入感のある消費者体験を通じてデジタルイノベーションをもたらすことができるのでしょうか。
中国で進む、バーチャルテクノロジーを活用した商品開発や買い物体験の提供
没入体験を心理学的に説明すると、人がある活動に完全に没頭し、無関係な情報を遮断する時に「没入体験(Flow Experience)のなかに入った」と言われています。
「消費」というキーワードと組み合わせると、完全に“没入”して製品を使ったり、サービスを楽しんだりする行為は、「没入型消費者体験」と呼ばれます。
デジタル技術+バーチャル空間の活用および融合によって、消費者はより没入的な消費体験を得ることができ、その体験が消費者にプラスの影響を与えることができれば、製品の評価はかなり向上するでしょう。
現在、中国EC業界では、バーチャルテクノロジーを活用した商品開発や買い物体験の提供へ積極的にアプローチしています。
2022年の「ダブル11」プロモーションにおいて、トランスコスモスチャイナは家電ブランドの新商品発表会をメタバース空間で実施。京東商城(JD.com)とTmallプラットフォームでライブ配信し、「バーチャルヒューマン」が商品説明を行いました。これにより、ブランドの商品認知度を高めることに成功しました。
トランスコスモスチャイナが行った配信の様子
VRの特徴は「没入感」「インタラクティブ性」「情報強度」
作家のGrigore C. Burdea氏とPhilippe Coiffet氏が1994年に出版した「Virtual Reality Technology(バーチャルリアリティ技術)」では、VRの基本的な特徴は、「immersion(没入感)」「interactive(インタラクティブ性)」「Information Intensity(情報強度)」の3つをあげています。
流行しているライブコマースやARによるショッピング体験は、この3つの「i」を見事に表現しているのです。
中国の大手EC企業は、没入型の買い物体験を提供するためのツール開発に力を入れています。
アリババは、RGBDカメラによる撮影を自動化し、NeRF(視点を自由自在に動かせる画像の生成技術)アルゴリズムを活用したEC用の3D商品化ツールを開発しました。
バーチャルを活用したライブルーム、ランウェイショー、商品閲覧などのシーンを短時間で構築。出店者がバーチャル空間とテクノロジーを活用した商品販売を簡単に始めることができるようにしました。
現在、完全なバーチャル空間を通じたショッピング体験の提供は、多くのコスト投資と事前準備が必要です。アリババのバーチャルショッピング関連の責任者はこう言います。
多くの消費者はコストパフォーマンスに関心があるかもしれませんが、消費者によって好みは異なります。一部の消費者は、新しいテクノロジーをより多く受け入れます。没入感のある買い物体験は、これからの時代、ますます重要になると思われます。
90後(1990年代生まれの世代)やZ世代は、デジタルネイティブで新しい世代の消費者として、ニューテクノロジーを取り入れる傾向が強いのが特徴です。企業は率先してバーチャルテクノロジーを受け入れ、新しいショッピング体験の提供にチャレンジしていくことが求められます。
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オリジナル記事:中国で進むバーチャル空間+テクノロジー+ECを活用した買い物体験の今とこれから | 中国の最新買い物事情~トランスコスモスチャイナからの現地レポート~
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