映像制作に興味があるものの「映像制作の進め方が分からない」「外注するときは何から始めたらいいか、流れを知りたい」
という方は多いのではないでしょうか。
本記事では、映像制作の流れ、制作スケジュールについてくわしく解説します。
依頼時の注意点や事前準備について理解できるため、映像制作の依頼をスムーズに進めることができるでしょう。
ぜひ最後までご一読いただき、参考にしてください。
映像(動画)制作の流れと制作スケジュール
映像制作は、主に以下のような流れとスケジュールで行われます。
1. 打ち合わせ 1~3日
2. 企画提案 7~15日
3. ディレクション・台本制作 7~15日
4. 撮影 1~3日
5. 編集 12~15日
6. MA作業 1~2日
7. 納品 1~2日
まずは発注する企業と制作企業の打ち合わせからスタートします。その後、企画提案やディレクションを通じて、撮影や編集の作業にうつることが一般的です。
映像(動画)制作の納期は1〜3ヶ月程度
映像制作の平均的な納期は、おおよそ1〜3ヶ月であるケースが多いです。
もちろん制作する動画の内容によって前後しますが、最初のヒアリングから企画・撮影や編集・さらに納品前にはフィードバックなども必要です。
また制作の途中で、発注する企業側からの仕様変更が出てくるケースもあります。
さらに、制作会社のほうでアクシデントが発生する可能性もゼロではありません。
もしそういった想定外のケースがあれば、当然その分納期は伸びてしまいます。
必ずしも決められたスケジュール通りに進行するとは限りません。
そのため動画制作を依頼するなら、なるべくスケジュールに余裕を持たせることが重要です。
映像制作(動画制作)会社に依頼する前の事前準備
映像制作を制作会社に依頼する際は、あらかじめ準備が必要です。
「準備すべき項目」について、以下のとおりです。それぞれくわしく解説します。
- ターゲットや目的を明確に決める
- 事前に予算を決める
- 納期を決める
- 動画に使用する素材を集めておく
- 動画の表現方法を事前に決める
- 動画の活用シーン(媒体)を想定しておく
- 制作会社を選定する
ターゲットや目的を明確に決める
動画制作においては、「ターゲット・目的を明確にすること」がもっとも重要なポイントといえます。
ターゲットや目的によって、動画の表現方法や仕上がりが大きく異なります。
これらがあやふやで不明確では「誰に何を伝えたいかわからない動画」になりかねません。
具体的には動画を制作する際は、最低限、以下の項目を明確に言語化することが重要です。
- どの性別・年代の
- どこに住んでいる方で
- どんな仕事をしている人に
- 動画で何を感じてほしいのか
- どのように行動してほしいのか
明確にする際、重要な点として、「目的やターゲットはできる限り細かく決定すること」です。
「いかにターゲットに刺さる動画にするか」で動画の反響は変わります。
まずは「誰に何を言いたいのか」、目的とターゲットを明確に決めましょう。
事前に予算を決める
予算を前もって決めておくことも、動画制作において重要なポイントになります。
主な理由としては、以下のとおりです。
- 予算によってできること・できないことが大きく変わる
- 予算をあらかじめ決めておけば、制作会社は最適なプランを提案してくれる
予算によってできること・できないことが大きく変わる
予算をあらかじめ決めておけば、制作会社は最適なプランを提案してくれる
動画制作において、できることとできないことは、予算次第で以下のように大きく異なります。
- グレードの高い機材を使用できる
- 質の高いナレーション音声を入れることができる
- 高度な表現や映像技術を用いた制作ができる
しかし「あまり予算がかけられない」という場合でも、制作会社はその予算でできる限りのクオリティで制作するプランを提案してくれます。
まずは明確な予算を決め、相談してみることが大切です。
あらかじめ予算をはっきりさせておくことで、制作会社とのヒアリングもスムーズに進めることができます。
納期を決める
動画制作においては、「納期」をあらかじめ明確に決めておくことも大切です。
納期を明確にしておくことで、制作会社にとって「スケジュールを設定・管理がしやすくなる」というメリットがあります。
映像制作の期間としては、初めての依頼から納品に至るまで、おおよそ1〜3ヶ月であることが一般的です。もちろん動画の表現方法やクオリティ、キャスティングなどによっても大きく前後しますが、この程度の納期で考えておくのがいいでしょう。
動画に使用する素材を集めておく
動画制作を発注する企業は、あらかじめ動画に使用する素材を集めておくことも重要といえます。
あらかじめ素材を集め、用意しておくことで、以下のメリットがあるからです。
- 制作会社の仕事が減り、納期が早くなることにつながる
- 制作会社にとって、動画の仕上がりがイメージしやすくなる
制作会社は正式に動画制作を受注してから、動画に必要な素材をゼロから集めるフェーズに入ります。
ここで発注する企業が、あらかじめ素材を準備してくれることで、この素材集めのフェーズを端折ることができ、納期の短縮にもつながります。
また、ヒアリングの段階などであらかじめその素材を見せておくことで、制作会社は動画の仕上がりイメージが想像しやすくなるのもメリットといえます。
動画の表現方法を事前に決める
動画制作会社への依頼前に、「動画の表現方法をあらかじめ決めておく」ことも重要です。
表現方法をあらかじめ明確にしておくことで、ヒアリングで迷うことがなくなり、時間のロスを減らすことにつながります。
動画の表現方法は、大きく分けると以下の2種類です。
理想の表現イメージなどがある場合、参考事例を1〜3個ほど用意しておき、ヒアリング時に制作会社に伝えましょう。
また具体的な事例で伝えることで、制作会社のイメージも明確になり、より具体的な金額の見積もりを出しやすくなります。
具体的な事例が見つからなくても「この2つの動画の中間くらい」など、ざっくりしたイメージを共有することが大切です。
動画の活用シーン(媒体)を想定しておく
制作会社に依頼する前に、「出来上がった動画をどのように活用するか」を、明確に想定しておくことが大切になります。
動画をどのシーンでどう活用するかによって、表現方法など内容が異なってきます。
たとえばテレビとして配信するのが目的の場合、幅広い年齢層の方が視聴するため、大衆向けに仕上げることが必要です。
しかしホームページやSNSで配信するのが目的なら、ユーザーの年齢や趣味嗜好など細かなターゲティングが必要になります。
このように、あらかじめ「どの媒体で活用するか」がわかれば、媒体に合わせた動画制作が可能です。
出来上がった動画の使い道を明確にし、ヒアリングで伝えられるようにしましょう。
制作会社を選定する
動画制作の予算や納期、活用シーンが明確になったら、その条件にマッチした制作会社を選定しましょう。
制作会社を選定する際に注目すべきポイントとしては、以下の4点になります。
- 各社がどんな強み、どんな特徴をもっているのか
- これまでどんな制作事例があり、どんなジャンルを得意としているのか
- 各見積もりを依頼する際の対応の丁寧さ、スムーズさはどうか
- 積もりで出た費用は、自社の予算にマッチしているか
ひとえに制作会社といっても数は多く、それぞれがもつ強みもさまざまです。
まずは各社の特徴をとらえ、実際に問い合わせて見積もりを依頼を進めます。
その中で対応の丁寧さやスムーズさ、また金額を確認のうえ、自社のニーズを満たしてくれそうな会社を選ぶことが大切です。
映像(動画)制作の流れ
この章では、実際の動画制作の流れを、「実写映像制作」と「アニメーション動画制作」の2種類にわけて、それぞれご紹介します。
いずれの2種類も、大まかな流れとしては以下のとおりです。
- ヒアリング・打ち合わせ
- 企画提案
- ディレクション・台本制作
- 撮影(素材収集および制作)
- 編集
- MA作業
- 納品
両者それぞれの違いを、さらに具体的に見ていきましょう。
実写映像(動画)制作の流れ
実写映像制作の場合、制作の流れは大きく以下の7つのステップに分類されます。
作業日数
1.ヒアリング・打ち合わせ
1~3日
2.企画提案
7~15日
3.ディレクション・台本制作
7~15日
4.撮影
7~15日
5.編集
12~15日
6.MA作業
1~2日
7.納品
1~2日
実写映像で制作した場合、必要な期間は動画制作の内容によって大きく異なります。
上記の作業日数は目安になりますが、実写映像で制作を依頼する際は、余裕を持って2カ月くらいは納品までの期間を見ておくことが必要です。
1.ヒアリング・打ち合わせ
動画の制作に入る前に、まず最初にヒアリングが行われます。
ヒアリングで主に確認されることは、以下のとおりです。
- 動画で紹介したい製品やサービスはなにか
- 何を目的に映像を作りたいのか
- どのような層の方々をターゲットとするか
- 制作費用はどのくらいで考えているか
制作費用はどのくらいで考えているか
上記の項目は、制作の依頼前にあらかじめ社内で固めておくことが重要です。
事前に決めておくことで、打ち合わせ以降の工程がスムーズに進めることができます。
目的やターゲットを明確に決めないと、イメージと違った動画になってしまったり・ターゲットに合わない動画が完成してしまいます。
そのため認識や伝え方を間違えないよう、動画制作を依頼する目的や想定している動画イメージを明確にし、綿密に打ち合わせをすることが大切です。
2.企画提案
ヒアリングで得た情報をもとに、制作会社が企画・提案を行います。
ただ口頭で伝えられるのではなく「企画書」という書類にまとめられ、記載された流れに沿って説明を受ける形です。
「どのような動画を作るのか」打ち合わせをしながら、動画を作ろうと思った目的をできるだけ明確に伝えます。
企画・提案の工程では、制作会社との認識相違がない状態にすることが必須といえます。
また企画書には、以下のような情報がまとめられています。
- 動画によって達成したい目的
- 動画のコンセプトおよび方向性
- 動画のおおまかな流れ・ストーリー
- イメージ画像(ラフ画)
- 動画の時間(尺)
- 動画の制作の段取り・スケジュール
- 動画制作にかかる具体的な費用
この企画書は制作会社のみならず発注した企業にも共有されるため、しっかり目を通して理解しておくことが大切です。
3.ディレクション・台本制作
企画書の内容に同意したあとは、ディレクションおよび台本制作の工程に進みます。
企画書で決めたテーマやストーリーを具体化させるため、詳細な流れを台本に固めていきます。
絵コンテを作成して細かいカットなども決め、台本を少しずつ完成に近づけていきます。
絵コンテとは台本に大まかな絵を加えてより分かりやすい形にしたもので、制作会社のみならず発注した企業にも共有されることが一般的です。
ただ必ずしも「絵」ではなく、ビデオコンテという「仮の動画」が用いられるケースもあります。
台本制作は、動画における骨格作りのような工程です。
実際の撮影では、制作した台本で決定した流れにしたがって撮影が行われます。
制作会社と依頼者は、お互いの認識にズレがないよう綿密なコミュニケーションを重ねなければなりません。
ここでお互いの認識に相違があると、後になって出戻りが発生する可能性が高まるため注意が必要です。
そのためお互い気になる部分はしっかり質問・確認を行い、何度も修正を繰り返して台本を完成させることが重要です。
4.撮影
撮影までの準備ができたら、完成台本をもとに動画の撮影に移ります。
撮影に起用するキャストのアサインは、一般的に代理店や制作会社が行ったり、依頼者側が芸能事務所に直接、動画のイメージに合う有名タレントなどを依頼することもあります。
撮影が行われるのは主に「屋内スタジオ」か「屋外」どちらかが多く、利用シーンによってはオフィス内で撮影することもあります。
基本的に実写動画は動画完成後に修正をお願いできないため、撮影当日は必ず依頼者のスタッフが現場に立ち会う必要があります。
もし撮影に立ち会わなかった場合、たとえば
- キャストの顔の角度がちょっと気になる
- キャストの声のトーンにもっと勢いがほしい
- 背景に映っていてはいけないものが映りこんでいる
- 全体的なイメージがなんとなく違う
撮影の期間としては、基本的に1日であることが多いです。
しかし予算を削った制作の場合は半日程度で終わることもあり、凝った動画を撮影する場合は2〜3日にわたるケースもあります。
5.編集
編集作業では実際に撮影した動画に文字やイラスト・テロップなどを加え、完成台本のイメージどおりになるよう編集していきます。
この編集作業にかかる期間としては、一般的に以下のとおりです。
全体的な期間としては約3週間、長くて4週間程度と考えておくのがいいでしょう。
ちなみにこの編集のフェーズでは発注した企業が制作会社に対し、編集の微調整の指示出しが可能です。
テロップの色味やBGMのタイミングなど、気になる点は遠慮せずに伝えることで、最終チェック時の不安を取り除くことができます。
また試写とは、編集が済んだ動画を依頼者に送りチェックや修正をしてもらうフェーズのことです。
動画全体の流れやテロップのタイミングなど、依頼者からのフィードバックをもとに動画の修正作業を行います。
6.MA作業
依頼者からの修正が完了したら、動画のMA作業に入ります。
MAとは「Multi Audio(マルチオーディオ)」の略語で、「音を完成させる作業」のことです。
具体的には修正してもらった動画に対し、ナレーション収録やBGM・効果音などを加えていきます。作業期間としては一般的に1日、長くても1〜2日と考えていいでしょう。
動画の制作費用が300万円程度と高額な動画になると、MA作業専用のスタジオで録音するケースが大半です。
しかしそれ以下の予算では、通常のスタジオで簡易的な録音作業が行われます。
動画の制作費用によってMA作業専用のスタジオで録音するケースか、通常のスタジオでの簡易的な録音作業かが分かれます。
このMAにも、基本的には依頼者の立ち会いが必要です。
声のトーンやナレーションも後になってからやり直しが効かないため、その場で修正を行う流れとなります。
7.納品
制作会社側でMA作業が終了したら、仮の動画データが依頼者に送られてきます。
依頼者はそのデータをしっかり確認し、修正箇所がないか最終チェック(フィードバック)を行いましょう。
万が一修正してほしい箇所が見つかった場合は、制作会社に修正部分を伝え、再度修正依頼を行います。
修正箇所がすべて訂正され発注者が納得する動画になったら、正式な動画データが共有されます。
この動画データは主にファイル形式が「mp4」となっていますが、希望のファイル形式があれば、その形式で納品してもらうことも可能です。
ヒアリングの段階で、納品方法についても共有しておくと良いでしょう。
アニメーション映像(動画)制作の流れ
アニメーション動画を制作する場合、動画制作の流れは大きく以下の8つの工程に分かれます。
作業日数
1.ヒアリング・打ち合わせ
1~3日
2.企画提案
5~10日
3.ディレクション・台本制作
10~15日
4.素材制作
10~15日
5.ナレーションの録音・BGMの決定
2~5日
6.編集
10~15日
7.MA作業
1~2日
8.納品
1~2日
実写動画と同様にアニメーション動画制作でも、制作会社との綿密な打ち合わせや企画などの作業が必要不可欠です。
コミュニケーションを密に取ることで、出戻りを最小限にできスムーズな制作を進めていくことにつながります。
1.ヒアリング・打ち合わせ
アニメーション動画制作におけるヒアリングでは、主に以下のようなことを確認されます。
- 動画で紹介したい製品やサービスはなにか
- 動画を制作する具体的な目的はなにか
- どのようなユーザーをターゲットにするか
- 制作費用はどのくらいか
上記の項目は制作を依頼する側が、ヒアリング前にしっかり把握しておきましょう。
そうすることでヒアリングがスムーズに進み、時間短縮につながります。
ヒアリングでは、制作会社に完成イメージなどを具体的に伝えなければなりません。
具体性に欠けていたり認識がズレていると、イメージと違う動画ができてしまうため、満足のいく動画を完成させることができません。
あらかじめ完成イメージに近い動画を探し、参考事例として1〜3つほど用意しておくと、認識合わせがとてもスムーズになるのでおすすめです。
もしイメージどおりの参考事例がなくても、なるべくそれに近いものを複数用意して、ざっくり伝えることが大切です。
2.企画提案
ヒアリングで得た要望をもとに、制作会社が企画提案を行います。
この企画書には、以下のような情報がまとめられています。
- 動画によって達成したい目的
- 動画のコンセプトおよび方向性
- 動画のおおまかな流れ・ストーリー
- イメージ画像(ラフ画)
- 動画の時間(尺)
- アニメーション素材作成の段取りやスケジュール
- 動画制作にかかる具体的な費用
制作会社から企画書が提示されたら下記の項目を確認するようにしましょう。
- ヒアリングで話したこととズレている部分がないか
- あやふやで曖昧な部分などがないか
- 予算が上回っていた場合、どこか削れる部分はないか
また企画提案までの期間は5〜10日ほどで、おおよそ1週間と考えておくのがおすすめです。
3.ディレクション・台本制作
企画書の内容に同意したあとは、ディレクションおよび台本を制作する工程に進みます。
こちらは主に「動画のストーリーに合わせ、台本を固めていく作業」です。
最初に絵コンテを作成のうえ、細かいカットなども決めていきます。
たとえアニメーション動画でも実写動画と同様に、ビデオコンテ(仮の動画)が用いられるケースもゼロではありません。
台本制作は、「アニメーション動画制作における骨格の部分」といっても過言ではないでしょう。
実際のアニメーション制作は、完成した台本の流れに沿って忠実に行われます。
そのため制作会社と依頼者は、お互いの認識にズレがないようにしなければなりません。
発注した企業も絵コンテにはしっかりと目を通し、内容を理解する必要があります。
ここでお互いに認識の相違があると、後で大幅な出戻りが生じかねません。
気になる部分はしっかり質問・確認を行い、何度も修正を繰り返して台本を完成に近づけましょう。
また、アニメーション動画制作のディレクションおよび台本制作の期間は約10〜15日です。
アニメーション動画の骨格フェーズになるため、2週間程度は見ておく必要があります。
4.素材制作
動画をアニメーション動画で制作した場合、台本完成後は素材の制作に進みます。
このフェーズでは素材をゼロの状態から作り、完成台本に記載した流れやストーリーにそって制作していきます。
主に作成する素材は、以下の3つです。
実写での動画制作とは異なり、アニメーションには「撮影」のフェーズが必要がありません。
そのため金額も安くなると見られがちですが、必ずしもそうとはいえないのが現状です。
高品質なアニメーション動画にする際、3DやCG技術など高度な処理が必要になり、場合によっては実写以上の金額がかかるケースもあります。
素材制作の期間も、制作の予算やクオリティによって大きく異なり、おおよそ10〜15日が一般的です。
ただ映像美などクオリティにこだわった高額なアニメーション制作の場合、必要な時間も大幅に増えます。
一方で依頼者があらかじめ用意していた素材を編集するだけの簡易的なものの場合、数日で制作が完了することもあります。
5.ナレーションの録音・BGMの決定
ナレーションとは「語り手」や「解説」のことを指します。
予算をかけない動画の場合、イラスト制作作業の前にナレーションやBGM挿入が行われるのが一般的です。
BGMはすでに制作会社で用意しているテンプレートから、最適なものが選ばれることが一般的です。
もしオリジナルの楽曲などを利用する場合、後に紹介する「MA作業」のフェーズにて作曲が行われます。
もし有名アーティストの曲を利用する場合は、JASRAC(ジャスラック)からの事前同意と、楽曲の使用料の支払いが必要です。
これらの作業にかかる期間としては、一般的な予算の制作でおおよそ以下のとおりです。
- ナレーションの録音…1~2日
- BGM選定作業…2~5日
ナレーションは長くても2日程度、BGM選定は著名人の楽曲使用を考慮すると2〜5日程度となります。
6.編集
素材やナレーション、BGMが用意できたら、動画の編集作業(アニメーションの制作)にうつります。
この編集作業とは、いわゆる「アニメーションのイラストを動かす作業」のことです。
用意したイラストや画像をコンピューターを利用して何枚もつなぎ合わせ、なめらかな動きを制作します。
こちらの編集作業はアニメーション動画制作の流れの中でもっとも時間のかかる作業で、一般的に10〜15日、おおよそ1〜2週間は見ておくのがいいでしょう。
この編集作業は、動画の出来栄えを大きく左右する工程です。
そのため予算のかかっている制作の場合、TVアニメの経験をもつアニメーターが起用されることもあります。
また、文字デザインなどは専門のデザイナーが担当します。
7.MA作業
編集作業が終了したら、MA作業にうつります。
MAとは「Multi Audio(マルチオーディオ)」の略語で「音を完成させる作業」のことです。
具体的にはアニメーション編集が済んだ動画に対し、効果音やナレーションを加えていく流れとなります。
作業期間としては一般的に1日、長くても1〜2日を想定しておくのが妥当といえるでしょう。
ちなみに実写映像と同様に、動画の制作費用によって
- MA作業専用のスタジオで録音する場合
- 通常のスタジオで簡易的な録音作業が行われる場合
の2種類が存在します。
専用のスタジオで録音する場合は、音響や機材の専門スタッフを率いて行われることが多くなっています。
MA作業終了後には修正を行うことができないため、依頼者の立ち会いが必要となるケースが大半です。
8.納品
制作会社のほうでMA作業が終了したら、仮の納品データが依頼者に送られてきます。
依頼者はそのデータをしっかり確認し修正箇所など、最終チェックを行いましょう。
修正箇所がある場合は、制作会社に伝え再度修正を依頼します。
依頼者が納得できるまで修正をしてもらったら、ようやくCM動画の完成です。
納品の際は、ファイル形式は一般的に「mp4」が用いられます。
ただ希望のファイル形式を伝えておけば、その形式での納品に対応してくれる制作会社が大半です。
その際の納品方法についても、ヒアリングなどの段階で聞いておくといいでしょう。
動画制作を依頼する時のチェックポイント
動画制作を依頼する際は、いくつかのチェックポイントがあります。
そのチェックポイントとは、主に以下のとおりです。
- 動画制作にかかるスケジュールを理解しておく
- 制作期間に余裕を持たせる
- 事前準備をしっかり行う
この章では、上記をそれぞれ詳しくご紹介します。
動画制作を依頼する前の情報として、参考にして下さい。
動画制作にかかるスケジュールを理解しておく
制作を依頼する前に、動画制作にかかるスケジュールをあらかじめ理解し把握しておくことが重要なポイントになります。
おおまかなスケジュール感を理解しておくことで、動画制作の全体的な流れを把握できるようになります。
そうなることで動画が必要になる納期から逆算しつつ、制作会社に発注することが可能です。
たとえばスケジュール感がまったく把握できてない状態で依頼すると、制作会社にハードスケジュールを強いることになったり、ギリギリの納期で納品されてしまう可能性も否めません。
なるべく余裕をもって発注できるようにするためにも、動画制作における全体的なスケジュール感は把握しておくことが理想といえます。
制作期間に余裕を持たせる
動画制作を依頼する際は、製作期間に余裕をもたせることも重要なポイントです。
製作期間に余裕をもたせることで、以下のメリットがあります。
メリット
- 動画のクオリティが上がりやすい
- 修正対応があった場合でも、気持ちにゆとりのある状態で対応してもらえる
たとえばあまりにギリギリの納期で制作を依頼した場合、ハードなスケジュールでの制作となってしまうため、動画のクオリティが下がってしまう可能性があります。
また動画制作においては、納品完了後になって修正したい箇所などが見つかるケースも少なくありません。
そのため、発注する際はできるだけ制作期間に余裕を持って発注するように心がけましょう。
事前準備をしっかり行う
動画制作を依頼する時のチェックポイントのひとつに、「事前準備をしっかりと行う」ことがあげられます。
その事前準備とは、主に以下のようなものです。
- 動画制作の目的やゴールを明確にしておく
- 動画で訴求するターゲットを明確にしておく
- ある程度の予算を決めておく
- 余裕をもった納期を決めておく
- 完成イメージとして、参考事例を3つほど用意しておく
- 可能であれば、動画で使用する素材も用意しておく
いずれも制作会社とのヒアリングの前に、発注する企業内で固めておける内容です。
こういった事前準備を行っておくことで、ヒアリングから納品までの流れが段違いにスムーズになります。
映像(動画)制作の注意点
ここまでの内容を見て、動画制作を本格的に検討する方も少なくないでしょう。
ですが動画制作においては、いくつかの注意点があります。
その注意点はさまざまですが、代表的なものをあげると以下の4つです。
- 初回ヒアリングは具体的に伝える
- 伝えたいメッセージは1つに絞る
- 撮影後の修正は出来ない
- 1枚の絵にこだわりすぎない
それぞれの注意点について詳しく解説していきます。
初回ヒアリングは具体的に伝える
「初回ヒアリングでは内容を曖昧にしてはいけない」ことも、動画制作における注意点のひとつです。
発注する企業は、初回ヒアリングの前に
- どんな目的で
- どんな方をターゲットに
- どんな媒体で
- 何を伝えたいのか
- どのくらいの予算内で
- どのくらいの納期で制作してほしいか
を明確にし、制作会社に具体的に伝えましょう。
たとえば目的といっても、「売上げ向上」や「認知拡大」などざっくりしたものでなく、「Webサイトからの購入率の◯%増加」など、数字で具体的に示すのが理想です。
またターゲットに関しても、多くの人ではなく、年代や性別、仕事や趣味嗜好を具体化することが大切です。
初回ヒアリングではなるべく曖昧な要素は潰し、具体性にこだわる必要があります。
伝えたいメッセージは1つに絞る
「伝えたいメッセージはひとつに絞る」ことも、動画制作における注意点としてあげられます。せっかく高い費用をかけて動画を制作するので、あれこれ詰め込みたい気持ちもあるでしょう。
しかし雑誌やブログのような「読む媒体」とは異なり、動画の尺はある程度限られています。
その限られた時間の中で、人間が理解できる情報量には限界があります。
3つも4つも伝えたいメッセージを盛り込むと、視聴者は「何を言いたい動画なのか」が理解できません。結果として、「伝わらない動画」に仕上がってしまいます。
そのため、ひとつの動画にはひとつのメッセージを盛り込むのが理想です。
ひとつのメッセージを強く訴求することで、より視聴者の心に深く刺さる動画に仕上がります。
撮影後の修正は出来ない
撮影後の修正ができないことも、動画制作における注意点のひとつです。
基本的に撮影は大掛かりな作業で、機材からキャストなど前もって準備しなければいけない項目も多いためです。
撮影終了後になってから「こんなシーンを追加してほしい」「違う角度からの映像もほしい」といった依頼をしても、基本的に応えてもらえないケースが大半です。
仮に可能であっても、初回と同じくらいの撮影費用がかかってしまい、トータルの制作費が2倍近くにまで膨れ上がるリスクもあります。
原則として、撮影は1日限りの作業です。
後日になって撮り直しに応じてもらえることはないと認識しましょう。
そのため撮影当日は現場に必ず同席し、気になる点に対し都度指示出しすることが大切です。
1枚の絵にこだわりすぎない
動画制作における注意点として、「1枚の絵にこだわりすぎないこと」もあげられます。
イラストレーターが書いた1枚の絵に対し、「手足の位置が気になる」などのこだわりをもつ発注者も少なくありません。
しかしアニメーション動画は1枚のイラストではなく「全体の動きによって印象が左右される」ものです。
全体の動きを見て修正を出すほうが効率がいいので、「1枚の絵にこだわったり」「とらわれすぎない」ことが大切です。キャラクターの目の形や手の大きさなど「フォルム関連」については、イラストの段階で認識を合わせておくようにして下さい。
イラストがアニメーションになったあとでフォルム関連の修正を出すと、大掛かりな修正が必要になります。
アニメーションは膨大な数のイラストを組み合わせてパラパラ漫画のように制作するので、すべてのイラストに修正を加える必要が出てきてしまうためイラストの段階で、目や手の形などの「フォルム」は確定させておきましょう。
まとめ
本記事では、実写・アニメーション別の動画制作の流れや・依頼前のチェックポイント・注意点などをご紹介してきました。
動画制作の全体の流れや大まかなスケジュールなどを把握しておくことで、依頼から納品までの一連の流れがスムーズになります。
動画制作は制作会社に依頼することでクオリティや構成を担保できるため、動画制作を行う目的に合った施策をおすすめします。
外部に委託して動画制作を行う場合は、本記事で記載したとおり、発注する企業側で可能な限りの情報は固めておくことが大切です。
本記事が、企業の動画制作のきっかけになれば幸いです。
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