2022年11月11日の中国「独身の日(W11)」について、「天猫(Tmall)」の推定取扱高、日本商品の売上ランキング、ライブコマースなどの最新情報をお伝えします(2022年との比較をわかりやすくするため、数字は1元=17.5円で換算。データはエフカフェが試算、監修、予測)。
2022年の取扱高は前年比103%の9.8兆円
2022年から、アリババの公式発表がなくなりました。そのため、数字はエフカフェが「W11」全体の取扱高、物流データなどから予測したものになります。
2022年の取扱高は9.8兆円で、成長率は103%でした。2021年の成長率は108%でしたから、ほぼ横ばいです(中国元での比較)。2020年までの成長率は125%以上だったので、ここ2年間は成長が鈍化しています。
天猫(Tmall)における「独身の日」取扱高の推移(2016年~2022年)※1元=17.5円で換算。監修・作成:エフカフェ
- 2022年…9.8兆円(5604億元)
- 2021年…9.45兆円(5403億元)
- 2020年…7.72兆円(4982億元)
- 2019年…4.16兆円(2684億元)
- 2018年…3.62兆円(2135億元)
- 2017年…2.85兆円(1682億元)
- 2016年…2.05兆円(1207億元)
2020年、2021年と同様、2022年も11月11日だけの取扱高データは「Tmall」から公表されていませんが、エフカフェ調べでは3.7兆円となっています(2022年からイベント期間が変更され、11月10日20時~11月11日24時。2021年までの期間は、11月11日0時~11月11日24時)。
また、2021年と2022年はイベント日数が異なります。
2021年:2回のセール
- 1回目:予約期間 10月20日~10月31日、セール期間 11月1日~11月3日
- 2回目:予約期間 11月4日~11月10日、セール期間 11月11日
2022年:1回のセール
- 1回目のみ:予約期間 10月24日~10月31日、セール期間 11月10日20時~11月11日24時
取扱高の伸び悩みは、コロナやライブコマースによる影響あり
2022年の「W11」の取扱高がなぜ伸び悩んだのか。筆者が思う理由は以下の3つです。
- コロナの影響で物流の配送停止地域が多発。注文を受けられない状況になった
- ゼロコロナ政策のなか、マンションごとの共同購入が定着。これまでにない新しい購入方法が増えたことで、取扱高が分散した
- KOL(キーオピニオンリーダー)のを中心に毎日行われているライブコマースの影響、新興SNS(快手、TikTok)の売り上げが爆増。それにより取扱高が分散した
2021年からの大きな違いとして、物流が停止している問題がここ数か月続いており、売上低下の大きな要因となっています。共同購入は、中国におけるネットでの購入方法の文化を大きく変えたといえます。おそらく、コロナが収束しても、マンション単位での共同購入は続いていくと予想しています。ライブコマースについてはのちほど触れますが、2021年から大きく成長し続けています。
前年比147%UP! 越境ECで1.75億円以上の店舗は180店舗
越境ECプラットフォーム「Tmall Global(天猫国際)」では、取扱高が前年比147%UPしました(エフカフェ調べ)。日本は国別ランキングで6年連続人気1位を獲得しています。
日本企業の商品売上ランキング1位はヤーマン
日本企業の「W11」商品売上ランキング商品ベスト3を見ていきましょう(あくまでWeb検索から判断したエフカフェの予想です。同じ会社の商品は避けています)。
第1位:ヤーマン「Bloom 5(ブルーム ファイブ)」
ブランド名:ヤーマン
商品名:ヤーマン Bloom 5(ブルーム ファイブ)
売上:35.6億円
第2位:資生堂「バイタルパーフェクションセット」
ブランド名:SHISEIDO
商品名:資生堂 バイタルパーフェクションセット
売上:17.6億円
第3位:任天堂「Nintendo Switch」
ブランド名:任天堂
商品名:Nintendo Switch
売上:15.3億円
2022年度もユニクロは店舗としての売り上げは大きいですが、商品数が多く分散していたため、エフカフェ調査のベスト3にはランクインしていません。
ライブコマースの各プラットフォームが急成長! 売上ランキングは「TikToK」「diantao」「快手」
上の図は数年前から中国のネット通販に大きな影響を与えているインフルエンサーのライブコマースの表です。
2022度は活動休止から復活した李佳琦氏が5880億円(336.2億元)の売り上げを達成しました。視聴者数は4.56億人、1日で中国人口の約3分の1、日本人口の約4倍が視聴しています。
また、マーケットプレイスごとの売上ランキングでは1位「TikTok(douyin)」、2位「点淘(diantao)」、3位「快手(kuaishou)」でした(エフカフェ調べ)。
2022年は、これまで2強だった「Tmall」「JD」に続き、ライブコマースを中心とした新興SNSが大きく飛躍している一年となりました。
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コロナによる物流の停止や共同購入による新たな購入方法など、状況が変化し続けるなかで2023年1月8日には従来までの隔離がなくなり、物理的な人の移動もスタートしました。これにより、以前のインバウンド需要が間違いなく訪れるでしょう。
その結果、次の越境ECのブームがくると予測しています。2023年は、どのマーケットプレイスを選択し仕掛けていくのか、次の一手が今後に大きく影響する1年になりそうです。
※このコンテンツはWebサイト「ネットショップ担当者フォーラム - 通販・ECの業界最新ニュースと実務に役立つ実践的な解説」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:越境ECで1.75億円超えの日本企業は180店舗。ヤーマン、資生堂、任天堂が人気【2022年の中国「独身の日」まとめ】 | 上海で働く駐在員の中国EC市場リポート
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