「今年(2023年)のテーマはモバイル!! モバイル!! モバイル!! モバイル!!」。楽天グループが1月26日に実施した「新春カンファレンス」に登壇した三木谷浩史会長兼社長は、2023年はモバイルに注力すると宣言。「楽天市場」出店者に対して、楽天モバイルの成長が流通総額の拡大に貢献すると強調した。「次は10兆円」と目標に掲げる流通総額をどのように拡大させるのか。三木谷社長が語った楽天グループの方針をまとめた。
2022年の国内EC流通総額は5.6兆円、次の目標は10兆円超え
三木谷社長の講演によると、2022年における楽天グループの国内EC流通総額は約5兆6000億円で前期比11.2%増。
2021年度(2021年1~12月期)は前期比10.4%増の5兆118億円、2020年度(2020年1~12月期)は同19.9%増の4兆4510億円で、順調に流通総額は拡大している。
国内EC流通総額の推移
その要因にあげられるのが楽天モバイル。三木谷社長は「楽天モバイルが『楽天市場』の購買額増に大きく貢献している」と説明する。
2022年1月~2022年12月のMNO契約者(1年以上の利用者)を見てみると、MNO契約後における契約ユーザー1人あたりの「楽天市場」流通総額額は49%増えている。
楽天モバイルユーザーの「楽天市場」への貢献度
また、楽天モバイルユーザーのクロスユース成長率では、楽天モバイル契約時に使用している楽天グループのサービスは平均4.46個だが、契約後1年で平均2.58個の増加。2022年12月時点のMNOユーザーのサービス利用率は「楽天市場」が86%に達している。
楽天モバイルユーザーのクロスユース成長率
楽天モバイルに契約すると、平均4.5個だった使用サービスが1年後に7個になる。楽天モバイルの契約者数が1500万人、2000万人に増えれば流通総額は最低でも50%上がると考えている。モバイルユーザーが2000万人加入で累計流通総額は2兆5000億円アップの効果がある。(2022年度の流通総額)5.6兆円に、(モバイルユーザー拡大効果の)2.5兆円で8兆1000億円。(出店者の)皆さんの力であと1兆9000億円を伸ばせば流通総額は10兆円に達する。(三木谷社長)
モバイルユーザー拡大の効果
三木谷社長がモバイルに注力する理由
楽天モバイルは、ソフトバンクさん、auさん(KDDI)、NTTドコモさんのような携帯会社を始めようということではない。楽天エコシステムにもう1つ巨大なプラットフォームを作るというのが基本的な発想だ。このエコシステムによって、(出店者の)皆さんの流通総額を増やして行くことがベースになる。(三木谷社長)
三木谷社長は巨大なエコシステムを構築することによって、祖業である「楽天市場」のさらなる流通総額拡大、出店者の業績アップにつなげようと考えている。
楽天モバイルがミッションとして掲げるのが「携帯市場の民主化」。今後の5G・IoT時代に求められる「大容量」「低価格」「高品質」なサービスを提供することで、楽天モバイルユーザーを拡大。三木谷社長は、ユーザー数の増加が流通総額の増加につながり、「楽天市場」に好循環をもたらすと強く考えている。
成長サイクルについて
楽天モバイルが成功成功すれば、楽天モバイルのお客さまはもっともっと「楽天市場」で商品を購入する。楽天モバイルの加盟者が増えれば増えるほど流通総額は自動的に上がっていく。(三木谷社長)
こうした考えを踏まえて、三木谷社長は出店者にこう訴えた。
(出店者の)皆さんは、「楽天市場」の経営と楽天モバイルは切り離して考えているかもしれない。流通総額10兆円計画の大きな柱の1つが楽天モバイル。楽天モバイルユーザーのどのような人が、「アマゾンで買ってるのか」「Netflixをどのくらい見てるのか」「そのようなサービスとどんな相関関係があるのか」――といったデータをを分析することもできるようになる。こうしたデータ分析を通じて「楽天市場」のAI(人工知能)もどんどん進化させていく。これによって「楽天市場」の流通総額を上げていく。
楽天エコシステムについて
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オリジナル記事:楽天・三木谷社長が語った「モバイルに注力」「国内EC流通総額10兆円計画」【2023年新春カンファレンス講演要旨】 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ
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