経済産業省の大臣官房審議官(商務・サービス担当)の澤井俊氏は、公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)が開いた賀詞交歓会で、物流業界の「2024年問題」を踏まえ、現在の物流量の36%が運搬できなくなる可能性があると警鐘を鳴らした。
懸念広がるドライバー不足、運賃値上げ、物流の滞り
働き方改革関連法の施行に伴う「時間外労働時間の上限規制」などが、2024年4月から「自動車運転の業務」にも適用される。「2024年問題」は、これによりドライバーの離職や売上減、荷主企業は運賃値上げの可能性などが懸念されている物流業界のさまざまな問題だ。
たとえば、時間外労働時間の上限規制が適用されることで、長距離ドライバーは従来通りの運搬ができなくなる可能性がある。1人のドライバーによる長距離の運搬が規制されることにより、運送会社はドライバー不足、賃金減少によるドライバーの離職といった問題に直面することになる。
ドライバーは今後、さらに減少すると予測されている(画像は
経済産業省の公表資料から編集部がキャプチャ)
こうした背景から従来通りの配送料では運搬が難しくなることが予想され、荷主企業は運賃の値上げに悩まされるといった予測されている。
EC市場と物流量は右肩上がりで拡大している一方で、通販業界の発展は昨今のドライバー不足や「2024年問題」の深刻化の一因となっている。
荷物の「乗り合わせ」で物流効率化へ
政府はこの「2024年問題」に対応するため、物流の将来像として「フィジカルインターネット」の構築を掲げている。「フィジカルインターネット」は、限られた通信回線を効率よく使うインターネットのように、回線をトラックなどの輸送網に、荷物をデータに置き換え、大幅な効率化をめざす物流の新たな仕組みを指す。
たとえば、荷主同士が物流企業を共有し、1つのトラックに複数の企業の荷物を乗せて積載率を上げるといった考え方がある。このように物流全体を効率化して、運搬できない可能性がある30%超の積載量をなんとか稼ぎたいと考えている。自社の物流をいま一度見直してほしい(澤井氏)。
経産省は2022年9月から「持続可能な物流の実現に向けた検討会」を実施しており、「いかに輸送効率を上げるか」を継続して模索している。
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オリジナル記事:荷物の36%が運べなくなる!? 経産省が警鐘を鳴らす物流業界の「2024年問題」とは
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