米国の家具・インテリアのネット通販会社「Wayfair」のECサイトでは、非毒性、無農薬など50種類のサステナブル認証を取得した商品をフィルタリングできるようにしました。Wayfairのデレック・オリバー氏(企業責任担当グローバルヘッド)が、新しいカスタマーエクスペリエンス機能について詳しく語ります。
記事のポイント
- 消費者がサステナブル商品を求めてサイト内を検索していることに気づいた
- 検索機能をバージョンアップし、新しい機能を追加して再ローンチした
- 販売している商品のうち、サステナブル認証を取得しているものは1%未満
WayfairはECサイトに、Green Squared(編注:北米タイル協議会TCNAが定めた、セラミックタイル、ガラスタイル、イル施工材料などに関するサステナビリティ基準)やLEED v4(編注:米国グリーンビルディング協会が開発し、グリーンビルディング認定協会が運用しているグリーンビルディングの認証システム)などのサステナビリティ認証を受けた商品を検索できる新たなフィルターオプションを搭載しました。
第三者機関が認証した50種類のサステナブルな商品を検索することが可能。節水型、無毒、無農薬、フェアトレードなどの項目で分類できます。
消費者がある商品を検索すると、ECサイトの左側に商品単価や素材商品のスタイルなど、十数種類のフィルターを表示。このセクションに、「Shop Sustainably」フィルターと、その商品カテゴリーに関連する属性が表示されるようになりました。
「Wayfair.com」のサイトフィルタリングセクションに、「Shop Sustainably」フィルターとその商品カテゴリーに関連する属性を表示するようにした(赤枠内が該当か所)
Wayfairは商品がある認証を取得した際、バックエンドそのタグを追加するようサプライヤーに通知しています。
サステナブルなキーワードでの流入増加に対応
検索エンジン最適化を手がけるマーケティングチームは、サステナブルな特定キーワードがECサイトのトラフィック促進に寄与していることに気づき、今回の新しい検索機能を追加しました。そして、ECサイトにアクセスしてきた消費者は、検索バーにさまざまなサステナブル関連のキーワードを入力していたのです。
小売業では、従業員1人ひとりが消費者でもあります。ですので、従業員が何を求めているかを知ることから始めました。(オリバー氏)
1つのサステナビリティの関連カテゴリーで認証された商品は1万2000点。「Wayfair.com」全体のSKU数ら見ると微々たる点数ですが、今後はサステナビリティ認証の商品を増やしたいとオリバー氏は説明します。
最近、商品数の公表を控えていますが、以前は1400万点以上のSKUを有していました。この数字から計算すると、Wayfairが扱う商品全体の1%未満しかサステナビリティ関連商品を販売していないことになります。
消費者に最高の価値とカスタマーエクスペリエンスを提供するには、適切なツールを実装する必要があるとオリバー氏は考えていました。
Wayfairは2020年にサステナビリティ検索機能の初期バージョンを搭載。方向転換し、2022年10月に刷新したバージョンをリリースしました。
フィルターのオプションとその名称について、より明確に、より透明性を高め、より良いものにしました。私たちは、消費者の商品の捜し方で間違った認識をしていました。たとえば、消費者がGreen Guard認証商品(米国の第三者安全科学機関であるUL社が実施する、室内空間における化学物質排出に関する環境認証制度)を探していると思っていましたが、そうではありませんでした。非毒性の商品を求めていたのです。(オリバー氏)
Wayfairは、新しいフィルターに消費者がどう反応したか、セールスファネルに何らかの変化があったかなど、サイト内検索の「他の機能」と同じようにフィルターの成功を評価するそうですが、オリバーは具体的な指標は明らかにしていません。
また、これらのフィルタリングオプションを使用する消費者についてのデータも公開していません。
米国のEC専門誌「Digital Commerce 360」と調査会社のBizrate Insightsが2022年10月にオンライン通販利用者1107人を実施した調査によると、こうしたフィルタリングオプションは約4分の1の消費者にとって重要であることがわかっています。
調査では、消費者の23%がオーガニックコットンなど探している商品に特化した精度の高い検索オプションが、機能的でデザイン性の高いショッピング体験を提供するために重要であると回答しています。
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オリジナル記事:サステナビリティの消費者ニーズとトレンドに対応したECサイトを作る方法は?米国企業に学ぶサステナブル対策 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ
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